説明

Eu固溶β型サイアロンの製造方法

【課題】発光効率の高いEu固溶β型サイアロンを品質のバラツキが少なく且つ再現性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の一方又は双方と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、ユーロピウム化合物とからなる原料を空気透過度0.1cm/cmsMPa以下の窒化ホウ素製の容器中、窒素雰囲気下で焼成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Eu(ユーロピウム)を固溶したβ型サイアロンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Euを固溶したβ型サイアロン(以下、Eu固溶β型サイアロンという)は、蛍光体として用いられ、窒化ケイ素(Si)と、窒化アルミニウム(AlN)と、酸化ユーロピウム(Eu)に代表される光学活性元素化合物とを所定のモル比で混合し、2000℃付近の温度で焼成し、得られた焼成物を粉砕して製造されることが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献1に記載された方法で得られたEu固溶β型サイアロンは発光強度が低いため、粉体にさらに熱処理を行うことが知られている(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−255885号
【特許文献2】特開2005−255895号
【特許文献3】国際公開第2008/062781号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の製造方法では、焼成時に用いる容器の形状や充填する原料粉の量により、焼成した蛍光体の特性が大きく変化し、高い発光強度を得られず、かつ発光強度のバラツキの少ないEu固溶β型サイアロンを再現性よく製造することが困難であった。
【0006】
本発明は、発光効率の高いEu固溶β型サイアロンを品質のバラツキが少なく且つ再現性よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、同じ焼成条件で製造してもEu固溶β型サイアロンの発光効率のバラツキが生ずる原因を調べていたところ、Eu固溶β型サイアロンの原料重量減少率又は酸素減少割合が高くなると発光強度が弱くなることを見出した。そして、原料重量減少及び酸素減少割合を一定量以下に制御する方法について鋭意検討を行い、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気透過度が0.1cm/cmsMPa以下の窒化ホウ素製容器に充填した酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の一方又は双方と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、ユーロピウム化合物とからなる原料を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を備えることを特徴とするEu固溶β型サイアロンの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、発光効率の高いEu固溶β型サイアロンを品質のバラツキが少なく且つ再現性よく製造することができる。
【0010】
本発明の方法により製造されたEu固溶β型サイアロンは、高温下でも輝度低下が少なく、これを用いた発光装置はその輝度低下及び色度ズレが小さく、耐熱性にも優れているので高品質且つ安定性がよい。
【0011】
さらに、Eu固溶β型サイアロンと共に、他の発光特性を持つ蛍光体と併用することによって、所望の色を発する発光装置を構成することもできる。特に青色LEDを励起源とした場合、本実施形態の蛍光体と575nm以上590nm以下の領域に発光ピークを有する黄色蛍光体とを組み合わせる時に、幅広い色温度の白色発光が可能となる。
【0012】
また、発光波長のピークが600nm以上700nm以下である赤色の蛍光体、例えば、CaAlSiN:Eu等と組み合わせることにより、演色性や色再現性の向上が達成され、各種室内外照明等に好適な演色性に富み、液晶表示装置のバックライト光源等に好適な色再現性を有し、しかも高温特性に優れた白色光源を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】容器の空気透過度測定の際に用いた装置の模式図である。
【図2】焼成による原料重量減少と得られた蛍光体の発光強度の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、空気透過度が0.1cm/cmsMPa以下の窒化ホウ素製容器に充填した酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の一方又は双方と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、ユーロピウム化合物とからなる原料を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を備えるEu固溶β型サイアロンの製造方法である。
【0015】
ユーロピウム化合物は、金属ユーロピウム、窒化物、酸化物又は炭酸塩から選ぶことができる。工業的には入手のしやすい酸化ユーロピウムを用いるのがよい。ユーロピウムの含有量は0.1質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、実用に適した発光輝度を有するEuを固溶したβ型サイアロンを得ることができる。
【0016】
酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の一方又は双方と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムの配合割合は、一般式Si6−zAl8−zのzが0を超え4.2以下の範囲になるようにする。Al/Oモル比は1.3以下が望ましい。
【0017】
なお、原料の窒化ケイ素に関して、Si(ケイ素)を含有する金属粉末を窒素雰囲気下で焼成したものを用いてもよい。Siを含有する金属粉末の窒化反応は、1400℃以上1600℃の温度で進行するため、この温度条件の範囲の温度、窒素雰囲気下でSiを含有する金属粉末を加熱して、窒化ケイ素にすればよい。
【0018】
前述した原料を混合する場合、乾式混合する方法、原料各成分と実質的に反応しない不活性溶媒中で湿式混合した後に溶媒を除去する方法などを採用することができる。混合において、V型混合機、ロッキングミキサー、ボールミル、振動ミル等の混合装置を使用することができる。
【0019】
原料を充填する容器には窒化ホウ素製容器を用いる。窒化ホウ素製容器(以下、BN容器という)を使用するのは、窒化ホウ素の板状結晶から構成された容器には通気性があり、焼成中に原料粉の成分が主にSiOの気相として、窒化ホウ素の気孔を通って容器の外へ揮発することができるためである。
【0020】
しかし、SiOの揮発量が多くなると、β型サイアロンの一次粒子成長の阻害とβ型サイアロン結晶中の酸素欠乏が生ずることが判明した。本発明者らが一次粒子成長の阻害と酸素欠乏のコントロールを検討したところ、BN容器の空気透過度が0.1cm/cmsMPa以下であるとSiOの揮発量が抑制されることがわかった。
本発明において、BN容器の空気透過度は、後述するが、次の式により算出した。
空気透過度=空気透過量(体積)/(圧力差×透過面積×空気透過時間)
【0021】
空気透過度を0.1cm/cmsMPa以下とするのは、SiOの揮発量を抑制してβ型サイアロンの一次粒子成長阻害を抑止し、かつ、酸素の揮発量を抑止してβ型サイアロン結晶中の酸素の欠乏を抑止するためである。BN容器の空気透過度を0.1cm/cmsMPa以下とすることにより、焼成による原料重量の減少を1.5%以下に抑え、酸素量の減少率を40%以下に抑止できる。原料重量の減少と酸素量の減少率を抑制することにより、焼成中にβ型サイアロンの一次粒子が十分に成長し、高い発光効率を有するEu固溶β型サイアロンを得ることができる。空気透過度は、0.01cm/cmsMPa以上であることが好ましい。0.01cm/cmsMPa未満の場合は、SiOの揮発量が非常に少なくなり、アスペクト比の大きい、短径の細い微細な粒子が形成されやすくなり、発光特性が低下するためである。すなわち、BN容器の空気透過度は0.01cm/cmsMPa以上0.1cm/cmsMPa以下が好ましく、特に、空気透過度は0.01cm/cmsMPa以上0.09cm/cmsMPa以下の範囲が更に好ましい。
【0022】
BN容器の空気透過度は設計により0.1cm/cmsMPa以下とすることができるが、焼成工程での使用回数によっても制御できる。同じBN容器でも使用された頻度によって空気透過度は異なる。焼成に使用された頻度が多くなるほど空気透過度が小さくなる傾向がある。
【0023】
また、BN容器が小さいとSiOの揮発量を抑止する効果が小さくなる傾向にあり、BN容器が大きいと容器内のSiO揮発量が不均一になる傾向がある。したがって、Eu固溶β型サイアロンの粉体物性と発光特性が不均一にならないよう、内寸で直径5cm以上15cm以下、高さ5cm以上15cm以下の円筒型容器とするのが好ましい。
【0024】
焼成炉内の温度は、1820℃以上2200℃以下、好ましくは1850℃以上2050℃以下である。焼成炉内の温度は、低すぎるとEu2+がβ型サイアロンの結晶格子中に入り込むことができなくなる傾向にあり、温度が高すぎるとEu固溶β型サイアロンの分解が生じる傾向にあるため、上記の範囲であることが好ましい。焼成炉内の気圧は、0.5MPa以上10MPa以下が好ましい。また、焼成熱時間は5時間以上20時間以下が好ましい。焼成時間が短いとβ型サイアロンの一次粒子成長が不十分となり、長くなると製造コストの観点から好ましくない。
【0025】
焼成物を、冷却し、粉砕して粒径を揃えた粉末とする。本発明の製造方法にあっては、焼成による原料重量の減少及び酸素量の減少を抑制する。このことにより発光強度の高いEu固溶β型サイアロンを、再現性を有して製造することが可能となる。
【0026】
Eu固溶β型サイアロンの発光強度を向上させるために、得られた粉末を真空中又は窒素ガス以外のガス雰囲気中で再加熱(以後、再加熱工程という)し、さらに酸処理を行ってもよい。
【0027】
再加熱工程は、焼成工程後のEu固溶β型サイアロン中に残存する低結晶性部分を更に不安定にする処理工程であり、酸処理工程は、再加熱工程で不安定化させた低結晶性部分を除去する処理工程である。
【0028】
再加熱工程は、低結晶性部分を構成する元素である窒素と酸素を極力含まない雰囲気中で再加熱を行うのが有効である。窒素ガス以外のガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンから選ばれる希ガスであり、好ましくはアルゴンである。
【0029】
再加熱工程は、焼成工程後のEu固溶β型サイアロンを、真空中で1200℃以上1550℃以下の温度範囲、又は希ガス中で1300℃以上1550℃以下の温度範囲で加熱することが好ましい。この温度範囲内であれば、Eu固溶β型サイアロンの著しい分解を抑制することができる。
【0030】
酸処理熱工程は、強い酸性の液体中に浸すことにより、不安定化させた低結晶性部分を除去する処理工程であり、酸としては、フッ化水素酸、硝酸の単体又は混合体がある。
【0031】
本発明の方法により製造されたEu固溶β型サイアロンは、紫外線から可視光の幅広い波長域で励起され、高効率で520nm以上550nm以下の範囲内を主波長として緑色で発光するため、緑色の蛍光体として優れている。そのため、単独もしくは他の赤色発光、青色発光、黄色発光、橙色発光の蛍光体と組み合わせて種々の発光素子、特に紫外LEDや青色LEDを光源とする白色LEDに好適に使用できる。
【0032】
以下、本発明を実施例により説明する。
【実施例1】
【0033】
原料粉中のAl量から計算したz値が0.25となるよう、電気化学工業社製α型窒化ケイ素粉末(NP−400グレード、酸素含有量0.96質量%)95.4質量%、トクヤマ社製窒化アルミニウム粉末(Fグレード、酸素含有量0.84質量%)2.63質量%、大明化学社製酸化アルミニウム粉末(TM−DARグレード)1.30質量%、信越化学工業社製酸化ユーロピウム粉末(RUグレード)0.794質量%を配合して原料混合物1kgを得た。原料混合粉の酸素量を酸素窒素分析装置(堀場製作所社製EMGA−920)にて測定した結果、1.68質量%であった。
【0034】
原料混合物を、ロッキングミキサー(愛知電機社製RM−10)を用いて60分間乾式で混合し、更に目開き150μmのステンレス製篩を全通させ、蛍光体合成用の原料粉末を得た。
【0035】
BN容器は、内寸で直径10cm×高さ9cm×厚さ0.5cmの蓋付きの円筒型BN容器(電気化学工業社製N−1グレード、密度1.8g/cm)を用いた。
【0036】
BN容器の空気透過性は図1に示す装置を用いて測定した。
上蓋を外したBN容器1を、ゴムパッキン3を介して治具2に固定した。冶具2には、ロータリー真空ポンプ(図示せず)がバルブ4及び圧力計5を介して接続している。室温でBN容器1内の圧力が大気圧に対して−0.03MPaとなるまで真空引きを行った。真空ポンプを停止した後、BN容器の壁を空気が透過して、容器内の圧力が−0.01MPaまで戻るまでの時間(以下、空気透過時間という)を測定した。
【0037】
BN容器の空気透過度は次の計算式により算出した。
[計算式]
空気透過度(cm/cmsMPa)=
空気透過量(体積:cm)/(圧力差(MPa)×透過面積(cm)×空気透過時間(s))
【0038】
ここで、空気透過量は、圧力変化(0.02MPa)を考慮し、BN容器の容積を大気圧状態での値に換算したものを用いた。具体的には、BN容器の容積に圧力差0.02MPaを乗じ、さらに大気圧(0.1024MPa)で除した値とした。圧力差は、空気が透過する際のBN容器側壁の圧力差(0.03MPa)である。なお、透過面積は、BN容器の側面の面積である。透過面積にBN容器の底面積を加えないのは、前述したようにBN容器の底面は冶具2によって覆われているため、空気が透過しないからである。
【0039】
実施例1で用いたBN容器の空気透過時間は260秒であった。
したがって、空気透過度は、
700(cm)*0.02(MPa)/0.1024(MPa)*0.03(MPa)*260(s)=0.062(cm/cmsMPa)、であった。
なお、実施例1のBN容器は、既に50回以上の焼成に使用したものを使用した。
【0040】
BN容器に原料粉末を250g充填し、カーボンヒーターの電気炉で0.9MPaの加圧窒素雰囲気中、2000℃で10時間の焼成を行った。焼成前後の原料重量減少は0.98%であった。
【0041】
焼成物は緩く凝集した塊状であり、軽度の解砕を行った後、目開き45μmの篩を通してEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を得た。蛍光体粉末の酸素量は1.15質量%であり、原料混合粉末に対する酸素量の減少量は、31.5%であった。
【0042】
蛍光体粉末に対して、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行い、結晶相の同定及びβ型サイアロンの格子定数測定を行った結果、結晶相としてβ型サイアロンと再相として、2θ=33〜38°付近に複数の微小な回折線が観察された。その中で最も高い回折線強度はβ型サイアロンの(101)面の回折線強度に対して、1%以下であった。
【0043】
得られたβ型サイアロンにおける455nmの青色光を励起光とした場合における蛍光スペクトルのピーク波長の高さを、分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製F4500)を用いて測定した。化成オプト社製YAG:Ce:蛍光体(P46−Y3)を同じ条件で測定したピーク波長を基準とし、相対値を発光強度として求めた。励起光には、分光したキセノンランプ光源を使用した。実施例1の蛍光体の発光強度は135%であった。
【実施例2】
【0044】
実施例1と同じBN容器に200g充填して焼成を行った以外は、実施例1と同じ条件で原料粉末を焼成し、解砕後に目開き45μmの篩を通してEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末を実施例1と同様に評価を行った。焼成前後の原料重量減少は1.15%、酸素量減少は33.9%、発光強度は127%であった。
【実施例3】
【0045】
空気透過度が0.088cm/cmsMPaのBN容器(空気透過時間は184秒)を用い、実施例2と同じ条件で原料粉末を焼成し、解砕後に目開き45μmの篩を通してEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末を実施例1と同様に評価を行った。焼成前後の原料重量減少は1.29%、酸素量減少は35.1%、発光強度は125%であった。なお、実施例3で使用したBN容器は、使用回数2回目のものである。
【実施例4】
【0046】
実施例2で得られたEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を再びBN容器に充填し、1000℃まで加熱して、1000℃でアルゴンガスを導入してガス圧力を大気圧とし、毎分10℃で1500℃まで昇温し、1500℃で6時間保持して再加熱処理を行った。その後、毎分10℃で1200℃まで冷却し、1200℃以下は炉冷により室温近傍まで冷却した。得られた粉末は深緑色に変色したが、固化は起こらず粉末状のままであった。
【0047】
再加熱処理を行った粉末を10%フッ化水素酸と15%硝酸の混酸中、75℃で加熱処理し、冷却後、静置し、上澄み液を除去し、更に蒸留水を加え、撹拌、静置し、上澄み液を除去するデカンテーションを懸濁液のpHが中性になるまで繰り返し行った。その後、ろ過、乾燥して蛍光体粉末を得た。実施例4の蛍光体の発光強度は203%であった。
【0048】
(比較例1)
空気透過度が0.18cm/cmsMPaのBN容器(空気透過時間は88秒)を用いたこと以外、実施例2と同じ条件で原料粉末を焼成し、解砕後に目開き45μmの篩を通してEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末を実施例1と同様に評価を行った。焼成前後の原料重量減少は1.83%、酸素量減少は41.7%、発光強度は100%であった。比較例1で使用したBN容器は、使用回数2回目のものである。
【0049】
(比較例2)
空気透過度が0.22cm/cmsMPaの低密度のBN容器(電気化学工業社製NB1000グレード、密度1.6g/cm、空気透過時間=75秒)を用いたこと以外は、実施例2と同じ条件で原料粉末を焼成し、解砕後に目開き45μmの篩を通してEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末を実施例1と同様に評価を行った。焼成前後の原料重量減少は2.43%、酸素量減少は43.5%、発光強度は83%であった。
【0050】
(比較例3)
空気透過度が0.34cm/cmsMPaの低密度のBN容器(電気化学工業社製NB1000グレード、密度1.6g/cm、空気透過時間=47秒)を用いたこと以外は、実施例2と同じ条件で原料粉末を焼成し、解砕後に目開き45μmの篩を通してEu固溶β型サイアロンの蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末を実施例1と同様に評価を行った。焼成前後の原料重量減少は2.63%、酸素量減少は47.6%、発光強度は70%であった。
【0051】
実施例1〜3と比較例1〜3の評価結果を表1に示す。また、実施例1〜3と比較例1〜3の評価結果に基づき、原料重量減少と発光強度の関係のグラフを図2に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例1〜3の蛍光体は何れも原料重量減少が1.5%以下、酸素減少量が40%以下であり、比較例1〜3に比べて高い発光強度を有していた。また、図1に示すように原料重量減少値が高くなるほど蛍光体の発光強度が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気透過度が0.1cm/cmsMPa以下の窒化ホウ素製容器に充填した酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の一方又は双方と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、ユーロピウム化合物とからなる原料を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を備える、Eu固溶β型サイアロンの製造方法。
【請求項2】
前記容器が、内寸で直径5cm以上15cm以下、高さ5cm以上15cm以下の円筒型容器である、請求項1記載のEu固溶β型サイアロンの製造方法。
【請求項3】
前記焼成工程の焼成温度が1820℃以上2200℃以下、圧力が0.5MPa以上10MPa以下である、請求項1又は2記載のEu固溶β型サイアロンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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