説明

FCCヒュームからのNOx放出の減少を可能にする新規装置

【課題】FCC装置の再生器に由来するヒュームに含まれる(通常NOxと呼ばれる)窒素酸化物廃棄物を減少させることを目的とする装置を提供する。
【解決手段】2つの再生段階(A)及び(B)を接続し、かつその上端が、前記第2段階の濃密相中の流動床直径の0.1〜1.5倍の、前記第2段階(B)の濃密相及び希薄相を隔てる界面(9)の上の距離で、第2段階(B)の希薄相に開口する上昇垂直導管(3)からなる2段階再生領域を含む、FCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FCC装置の再生器に由来するヒュームに含まれる(通常NOxと呼ばれる)窒素酸化物廃棄物を減少させることを目的とする装置に関する。用語FCCは、流動床中のいかなる種類の接触分解装置をも指し示すために使用される略語である。接触分解装置中の触媒は、一段階のみで再生できる(いわゆる単一再生器技術)か、二段階に分割できる。
【背景技術】
【0002】
単段階技術は、触媒上に堆積したコーク(すなわち、カーボンないし炭化物)の燃焼をできるだけ十分に実行することからなり、温度は、一般的に650℃〜760℃である。二段階技術は、温度を約630〜700℃に限定するために空気の不存在下で第1燃焼ステップを実行し、他方でコーク中に含まれる水素から生じる大部分の水を排出することからなる。第2段階は、過剰の空気中で実行され、かつ触媒が劣化する危険なしに、850℃までのより高い温度に達する。
【0003】
再生は、流動床中で行われ、触媒は、コークを焼く目的で導入された空気によって流動化される。再生領域は、吐き出された燃焼ガス又はヒュームと、ヒューム脱塵の目的で反応領域に再導入される再生された触媒とを分離する、少なくとも1つの装置を常に有さねばならない。気固分離の第1段階は、通常、方向変化効果に基づき、かつ床上に輸送された約60%から90%の触媒粒子を、濃密相に戻せるようにする分離装置によって実行できる。
【0004】
第2の気固分離段階は通常、第1段階で分離されなかった触媒粒子の他に何も含まない気固懸濁物を供給される1つ又は2つのサイクロン段階によって実行される。
【0005】
本発明によるNOxを減少させる装置は実際に、再生領域の全ての気固分離システムに、それが一段階か二段階であるかに関係なく適合する。
【0006】
取引名称R2Rによって知られるような、二段階再生は、特許文献1に記載されている。それは、単段階単一再生器タイプの技術よりも重い装入材料の処理を可能にする。二重再生は、より多くのコークを生成する重量装入材料上の触媒の加熱を限定できるようにし、その結果より良い収率の生成を促進する分解条件を維持できるようにする。
【0007】
第1段階で、酸素不存在下の部分的燃焼は、温度上昇を限定する。更に、コークからの水素をより急速に燃焼することにより、大部分の水が比較的低い温度レベルで放出できるようになり、その結果触媒の熱水分解現象を回避できるようになる。第2再生器中で、燃焼は、全体的であり、かつ低い湿度率を有する雰囲気中で行われ、その結果触媒の非活性化を回避する。第2段階における全体的燃焼温度は、装入材料の種類によって700℃〜850℃である。
【0008】
他の再生技術と比較して、二段階再生技術も、特に、そこに広がるCOに富む雰囲気の結果として多大な量のNOxを放出する傾向にある重量装入材料に関して、第1再生器中のNOx形成を限定できるようにする。
【0009】
従って、多大な量のNOxが、形成されるのは、特に第2再生器中である。従って本発明の目的は、特には第2再生器中のNOx放出を減少させるための解決策を提案することである。
【0010】
それにもかかわらず、二段階再生領域に特に適した本発明の装置が、単段階再生領域でも使用できることが分かった。
【0011】
以下において、用語「NOxを減少させる装置」は、二段階再生技術における第2再生段階か、単段階再生技術における単一再生段階に適用される、本発明の対象を表すために使用される。
【0012】
本装置は、触媒と、燃焼ガスとを分離する、いかなる種類のシステムとも適合でき、特に先行技術の「十字形放出」タイプのシステムと適合する。実際に、二段階再生領域の場合に、本装置は、再生領域の2つの段階を接続する同じ垂直輸送導管の使用を共有する気固分離システムと組み合わされる。単段階再生領域の場合に、本発明による装置は、気固分離システムから独立している。本発明によるNOxを減少させる装置は、ヒューム中に含まれるNOx濃度を15ppm未満、かつ好ましくは10ppm未満に減少させることを目指し、これらの値は、約1000ppmの窒素を含む真空中での留出物タイプの装入材料に対応する。
【0013】
現在の技術のFCC装置の再生領域に由来するヒューム中のNOxレベルは、単段階再生であろうと、二段階再生であろうと、概して50ppm〜400ppmであり、かつ50ppm未満には達することができないことを思い起こすべきである。
【0014】
従って本発明による装置によって達成されるこの利点は、非常に注目に値する。
【0015】
FCC再生器において、触媒上に堆積されるコークの燃焼は、雰囲気中に排出されるヒューム中に含まれ、酸性雨を作り出し、かつ光化学霧の形成を生じさせる窒素酸化物(NOx)を生成する。
【0016】
これらの放出は、ほぼ例外なく、アゾール及びピリジンの形状で燃料中に当初は存在する窒素の酸化に起因する。NOxの生成を決定する主要なパラメータは、濃度(コーク/酸素比)と、コーク中に存在する窒素の質量分率である。実際に、装入材料中に含まれる窒素の、触媒上に堆積されるコークへの移動は、約50%である。コーク/酸素の質量比が0.3を超えるならば、燃焼は豊かであると言われ、かつその比が0.3未満ならば、燃焼は乏しいと言われる。
【0017】
従来、反応が触媒(通常、酸化バナジウム)の存在下で実行されるならば、NOx放出は、NO還元を促進し、かつ炭素又は一酸化炭素と接触する時に作用する添加剤によって現場で、又は無触媒NOxの選択的還元(いわゆるSNCR、又は選択無触媒還元)、若しくはSCRタイプ(又は選択接触還元)の治癒的方法によって減少される。
【0018】
SNCR法の記載は、特許文献2に見出される。
【0019】
特許文献3は、単一再生器に適用できる向流の、段階的再生概念を記載する。向流は、触媒ディスペンサを濃密床の上に張り出すように位置決めすることによって確実にされる。濃密床下部で希薄媒体中で燃焼中に形成されたNOxは、従って床の上部に存在する炭素又は一酸化炭素と接触する濃厚な媒体中で還元される。更にコークの幾つかが、部分的酸化領域で使い尽されるので、過剰の酸素と共に領域に達する触媒は、僅かにコーク化され、このようにしてコークの燃焼率を加減できるようにする。
【0020】
それにもかかわらず、その概念は、単一再生器にのみ適用された。現在、特許文献4に記載されたR2R技術のような二段階再生は、単一再生器タイプの技術と比較して、より高い収率でより重い装入材料の処理を可能にする。R2R技術において、2つの再生段階を接続する上昇垂直導管(又は「リフト」)は、濃密相に開口する。
【0021】
特許文献5は、NOをNO及びNOに変換した後、「スクラッバ」タイプのシステムによる、気固懸濁物への輸送された向流である塩基性溶液によってNOxを収集する方法を記載する。
【特許文献1】米国特許4332674A号
【特許文献2】米国特許3900554号
【特許文献3】米国特許6503460B1号
【特許文献4】米国特許4332674A号
【特許文献5】米国特許0198778号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、FCC装置の再生領域からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置からなり、前記再生領域は、流動床中で作動し、かつ上方に希薄相が配置される濃密相を有する単一段階か、輸送床中で作動し、かつ気固分離システムを上端に含む垂直上昇導管によって接続され、かつ流動床中で作動する二段階を含む。
【0023】
単段階再生領域の場合、本発明による装置は、導管の上端が、濃密相及び希薄相を隔てる界面の上、濃密相の直径の0.10〜1.5倍の距離で、流動床の希薄相に開口するように、適切な空気流を供給される垂直上昇導管によって前記段階を構成する流動床の濃密相と希薄相とを接続することから本質的になる。好ましくは、その距離は、濃密相の直径の0.2〜0.5倍である。
【0024】
二段階再生領域の場合、2つの再生段階を接続し、かつ第1段階から第2段階に触媒を輸送することを目的とする垂直上昇導管は、すでに存在する。本発明による装置は、その上端が、濃密相及び希薄相を隔てる界面の上、濃密相の直径の0.10〜1.5倍の高さで第2再生段階の希薄相に開口するように前記導管を使用することから本質的になる。
【0025】
好ましくは、その距離は、第2段階の濃密相の直径の0.5〜1倍である。
【0026】
単段階再生領域の場合、前記段階の濃密相及び希薄相を接続する垂直導管に流入する空気の質量流量と、流動床の濃密相に流入する空気の質量流量の間の比は、一般的に0.05〜0.1である。
【0027】
二段階再生領域の場合、2つの再生段階を接続する垂直導管に流入する空気の質量流量と、第2段階の濃密相に流入する空気の質量流量の間の比は、一般的に0.1〜0.7であり、かつ好ましくは0.25〜0.5である。
【0028】
本発明は、本発明による装置を用い、NOx含有量を15ppm未満、好ましくは10ppm未満の値に減少できるようにする、FCC装置の再生領域からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法としても、前記領域が単段階又は二段階領域であれ、同様に考慮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
明細書中の括弧内の番号は、二段階再生領域の図1の番号付与と、単段階再生領域の図2の番号付与に対応する。図1及び2の番号付与は、同一の本発明の装置の部品が表される場合に、両方に共通である。
【0030】
二段階再生領域の場合
本発明によるNOxを減少させる装置は、二段階再生領域を有する流動床中で接触分解装置と共に使用でき、2つの段階は、実質的に垂直かつ細長い形状の管状導管によって接続され、該管状導管は、以下で単純に「垂直導管」と呼び、図1で参照番号(3)によって表す。
【0031】
再生領域の第1段階(A)は、反応領域(図示せず)から導管(E)を経由して到達する固体粒子の流れを供給される流動床によって構成され、かつ通常0.5〜1.5m/sである流動化率を得るように流動化空気(Af)を供給される濃密相(1)を有する。
【0032】
流動化率は、濃密床の空の区域を考慮して段階の圧力及び温度条件下での空気の体積流量の比として定義される。
【0033】
図1に示す流動化部材(4)は、例として、貫通孔を有するリングであるが、いかなる流動化部材も適切であり、本発明は、決して1つの特定の流動化技術と関連しない。
【0034】
第1再生段階(A)は、600℃〜720℃の燃焼温度が維持されるように、空気の不存在下で燃焼を行う。
【0035】
第1段階(A)の濃密床(1)の上に、触媒粒子の大部分(一般的にその99.9%超)を濃密相(1)に戻せるようにする気固分離手段(5)を上部に備えた希薄相(2)と、「COボイラ」と呼ばれる一酸化炭素後燃焼装置(carbon monoxide post-combustion unit)に通常輸送され、かつ図1に示さず、放出されるヒュームとが位置する。
【0036】
第1段階(A)の濃密相(1)から、触媒を第1再生段階から第2段階(B)に輸送できるようにする垂直上昇導管(3)が通じる。垂直導管(3)は、導管中のガス流量が3m/s〜15m/sであり、固体粒子の流れが200〜1000kg/m2.sであるように空気(A1)を供給される。
【0037】
垂直導管の取り入れ口での触媒の温度は、それを取り囲む濃密相の温度である。垂直導管(3)内部に、触媒上に堆積されたコーク総量の5%〜15%を占めるコークの幾つかの燃焼が行われる。
【0038】
垂直導管(3)が適切に作動するために必要な触媒及び空気量を取り入れられるようにする装置は通常、前記導管の下端に配置され、かつ前記導管の内部に多かれ少なかれ通じ、触媒が通過して流れる環状空間を画定する機械弁、例えば円錐台状弁(6)の形状である。
【0039】
一般的に、円錐台状弁(6)の侵入度によって決められる触媒の流れは、第1又は第2再生段階(B)の濃密床(7)の位置で抑制される。本発明の文脈において、垂直導管(3)中の空気の流量は、第1段階の濃密床(1)の流動化空気の流量との関係によって決められ、すなわち0.1〜0.7であり、かつ好ましくは0.25〜0.5である。R2Rタイプの装置に関して、その比は、通常0.3〜0.4である。
【0040】
垂直導管(3)は、濃密相(9)の直径の0.15〜1.5倍の高さで、第2再生段階(B)の希薄相(8)に開口する。第2再生段階が、直径6〜10メートルならば、垂直導管(3)は、その第2段階の濃密相(7)及び前記希薄相(8)を隔てる界面(9)の2〜8メートル上の高さで、第2段階の希薄相(8)に開口する。
【0041】
一旦表面流動化速度が0.1m/sを超えると、界面(9)は、流動床に関してあまり明確に定義された概念ではない。
【0042】
本発明の文脈において、界面は、一方の点が濃密相中に位置し、かつ他方の点、現在点が再生器に沿った高度に応じて濃密相中に位置し、かつ次に希薄相中に位置する、2点間の装入材料損失の傾向を示す曲線に基づき正確に定義される。
【0043】
高度の開始は、流動化部材が位置する平面のそれとして無作為に選択される。高度に応じた装入材料損失を示す曲線は、前記界面を通過すると、傾斜に突然の変化を見せ、すなわち現在点が、濃密相から希薄相に移る時、流動化媒体の密度が、それが濃密相中であるか、又は希薄相中であるかによって非常に異なる。界面(9)は、装入材料損失曲線のその突然の変化に対応する。
【0044】
垂直導管(3)の上端は、気固分離システム(10)と嵌め込まれるが、いかなる先行技術のシステムも本発明による装置と適合するので、該気固分離システム(10)は、本明細書では説明しない。
【0045】
一般的に、同システムは、第2再生段階を構成する流動床の濃密相(7)に固体粒子が再び加わるように、固体粒子を下方に導けるようにする気固懸濁物の突然の方向変化に基づくものである。垂直導管(3)の上端に設置される気固分離システムの例は、T字形システム又は十字型システム、又はガス及び固体粒子用の別個の排出口を有する、より複雑なシステムである。
【0046】
濃密相(7)に再び加わらなかった触媒粒子は、ヒューム中の懸濁物中に見出され、かつ通常1グラム/Nm未満の固体粒子を含むヒューム雰囲気に放出できるようにする、1つ以上のサイクロン段階(11)に輸送される。
【0047】
第2再生段階の濃密床(7)は、第1段階の濃密相(1)が備えるものに類似した流動化部材(4’)によって流動化空気を供給される。その第2段階(B)は、一般的に0.5%〜5%のヒューム中の酸素濃度で、全体的燃焼において作動する。
【0048】
燃焼温度は、700℃〜850℃である。流動化率は、一般的に0.3〜1m/sの範囲内である。
【0049】
単段階再生領域の場合
図2に示すような、単段階再生領域(A’)の記載は、二段階再生の場合の第1段階(A)の流動床の記載とほぼ同一である。
【0050】
単段階再生領域(A’)は、導管(E)を経由して到達し、かつ排出導管(S)を経由して去るコーク化された触媒粒子の流れを供給される流動床から構成される。濃密床(1)は、0.3〜1.5m/sの流動化率を得るように、流動化部材(4)を経由して流動化空気を供給される。
【0051】
燃焼が全体的である時、温度は、600℃〜850℃、好ましくは650℃〜760℃である。
【0052】
垂直導管(3)の上端は、濃密相(1)及び希薄相(2)を隔てる界面(9)の上に、濃密相中の流動床の直径の0.1〜1.5倍の高さで、希薄相(2)に開口する。界面(9)は、以上の段落で概説した方法により定義される。
【0053】
垂直導管(3)の上端は、気固分離システム(10)と嵌め込まれるが、いかなる先行技術のシステムも本発明による装置と適合するので、該気固分離システム(10)は、本明細書では説明しない。
【0054】
一般的に、同システムは、濃密相(1)に再び加わるために、固体粒子を下方方向に導けるようにする気固懸濁物の突然の方向変化に基づくものである。
【0055】
垂直導管(3)の上端に設置される気固分離システムの例は、T字形システム又は十字型システム、又はガス及び固体粒子用の別個の排出口を有する、より複雑なシステムである。
【0056】
濃密相(1)に再び加わらなかった触媒粒子は、ヒューム中の懸濁物中に見出され、かつ1グラム/Nm未満の固体粒子を含むヒューム雰囲気に放出できるようにする、1つ以上のサイクロン段階(11)に輸送される。
【0057】
例として図2に示す濃密床(1)の流動化部材は、流動化リング(4)であるが、本発明は、決して1つの特定の流動化リング技術と関連しない。
【0058】
2つの再生段階を接続する垂直導管に関してと同様に、垂直導管(3)は、輸送空気を底部に供給され、かつ触媒取り入れ装置は、通常、二段階技術に関連して記載されたそれと同じ種類である。
【実施例】
【0059】
第1の実施例は、2段階再生領域に関する比較例である。
【0060】
触媒は、70ミクロンの平均直径を有し、かつ1700kg/mの密度を有する粒子によって構成される。
【0061】
コーク化された(すなわち表面にコークが堆積した)触媒上に堆積された窒素分は、重量%で表現すると、なおも0.04質量%(すなわち400質量ppm)である。
【0062】
硫黄は、0.06重量%のレベルでコーク中に存在する。
【0063】
触媒上に堆積されたコークの質量による組成は、91.3重量%の炭素、及び8.6重量%のHである。
【0064】
装置は、水素処理された雰囲気残渣の種類の装入材料を、160トン/時の率で処理する。
【0065】
2つの再生段階の作動条件を以下に示す。質量流量は、装入材料の流量の割合として表現される。
【0066】
第1段階に流入するコークの流量:装入材料の質量流量の8.2%。
【0067】
第1段階に流入する触媒の流量:装入材料の質量流量の7.6倍。
【0068】
第1段階に流入する空気の流量:装入材料の質量流量の68%。
【0069】
第1段階中の温度:650℃。
【0070】
垂直導管中の空気の流量:装入材料の質量流量の11%。
【0071】
第2段階に流入する空気の流量:装入材料の質量流量の24%。
【0072】
第2段階の温度:735℃。
【0073】
垂直導管中の空気の流量の、流動化空気の流量に対する比は、0.45である。
【0074】
先行技術の装置は、第1再生段階を第2再生段階に接続し、かつ第2段階の濃密相に開口する垂直導管を有する。本発明による装置は、第1段階(A)を第2段階(B)に接続し、かつ第2段階の濃密相及び希薄相を隔てる界面(9)の5メートル上の高さで第2段階の希薄相に開口する垂直導管(3)を有する。第2再生段階の濃密床は、直径6メートルである。
【0075】
垂直導管(3)の下端は、流動化部材(4)を含む平面の0.5m上に位置する。
【0076】
図3の曲線は、2つの再生段階を接続する垂直導管(3)の排出口の高さ(H)に応じた、体積ppmで表現される、第2再生段階(B)の排出口からのヒューム中で測定されたNO含有量(X)の傾向を以下に示す。
【0077】
垂直導管が、第2段階の濃密相へ開口する排出口を有する従来の装置の場合は、図3のグラフに破線によって示した部分に対応する。
【0078】
本発明による装置を備えた装置の場合は、図3に連続曲線によって表される濃密相及び希薄相を隔てる界面の上に開かれた排出口に対応する。
【0079】
従来の装置の場合に、NO含有量は、おおよそ一定のままであり、かつ11.5ppmに等しいことに対して、本発明によれば、NO含有量は、垂直導管からの排出口が、界面の2〜8メートル上の高さにある時(図3でZとして表した領域)に達する、8ppmの最小値に減少することが注目される。
【0080】
第2の実施例は、単段階再生領域に関する比較例である。
【0081】
この実施例におけるFCC装置は、単段階再生装置であり、その濃密床の直径は、10メートルである。
【0082】
先行技術の装置は、濃密相及び希薄相を接続する垂直導管を有さない。
【0083】
本発明による装置は、濃密相(1)及び希薄相(2)を接続する垂直導管(3)を有し、その下端は、流動化部材(4)を含む平面の0.5m上に位置し、かつその上端は、濃密相及び希薄相を隔てる界面(9)の2メートル上に排出口を有する。
【0084】
触媒上に堆積されたコーク中の窒素分は、重量%で表現すると、なおも400ppmである。
【0085】
装入材料の流量は、なおも160トン/時である。
【0086】
再生段階の作動条件は、次の通りである:
流入コークの流量:装入材料の質量流量の8.2%
触媒の流量:装入材料の質量流量の760%
流動化空気の流量:装入材料の質量流量の134%
垂直導管に導入される空気の流量(本発明による) 装入材料の質量流量の11%
再生温度:735℃
垂直導管に導入される空気の流動化空気に対する比は、0.083である。
【0087】
図4の曲線は、前記段階の濃密相及び希薄相を接続する垂直導管(3)の排出口の高さに応じた、再生段階からのヒューム中で測定されたNO含有量の傾向を以下に示す。
【0088】
濃密相及び希薄相を接続する垂直導管のない従来の装置の場合は、図4の破線曲線によって示す。
【0089】
本発明による装置を備えた装置の場合は、図4の実線曲線によって示す。
【0090】
従来の装置の場合に、NO含有量は、おおよそ一定のままであり、かつ13.5ppmに等しいことに対して、本発明によれば、NO含有量は、垂直導管が、濃密相(1)及び希薄相(2)の間の界面(9)の2メートル上の高さに排出口を有する時に達する、12.2ppmの最小値に減少することが注目される。
【0091】
図4にYで表し、かつ界面(9)の1〜5メートル上に伸長する領域全体は、濃密相(1)及び希薄相(2)を接続する垂直界面(3)の排出領域として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】再生領域の二段階が、触媒を第1段階から第2段階に輸送する導管によって接続される、本発明による装置の線図である。本発明は、いかなる気固分離システムとも適合できるので、図1に示すような導管の上端に位置する気固分離システムは、いかなる限定も含まない。単純な「十字形放出」システムの形状で、例として示す。
【図2】単段階再生領域の場合の本発明による装置を図式的に示す。同様に、いかなる限定も含まずに、分離システムを、単純な「十字形放出」システムの形状で、図式的に示す。
【図3】二段階再生装置の場合のヒューム中のNOx含有量に対する本発明による装置の排出口の高さの影響を示す。
【図4】単段階再生装置の場合のヒューム中のNOx含有量に対する本発明による装置の排出口の高さの影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの再生段階(A)及び(B)を接続し、かつその上端が、前記第2段階の濃密相中の流動床直径の0.1〜1.5倍の、前記第2段階(B)の濃密相及び希薄相を隔てる界面(9)の上の距離で、第2段階(B)の希薄相に開口する上昇垂直導管(3)からなる2段階再生領域を含む、FCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置。
【請求項2】
2つの再生段階を接続する上昇垂直導管(3)の上端は、前記第2段階の直径の0.5〜1.0倍の、前記第2段階の濃密相及び希薄相を隔てる界面の上の距離で、第2段階の希薄相に開口する請求項1に記載のFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置。
【請求項3】
2つの再生段階を接続する上昇垂直導管(3)は、ガス用の排出口と、同排出口とは別個の固体用の排出口を含む気固分離システムを上端に備える請求項1又は2に記載のFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置。
【請求項4】
濃密相(1)及び希薄相(2)を接続し、かつその上端が、濃密相(1)及び前記希薄相(2)を隔てる界面(9)の上、濃密床の直径の0.1〜1.5倍の距離で、希薄相(2)に開口する上昇垂直導管(3)からなる単段階再生領域を含む、FCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置。
【請求項5】
濃密相(1)及び希薄相(2)を接続する垂直導管(3)の上端は、濃密床(1)の直径の0.2〜0.5倍の距離で、2つの相を隔てる界面(9)の上に開口する請求項4に記載のFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置。
【請求項6】
濃密相(1)及び希薄相(2)を接続する垂直導管(3)は、ガス用の排出口と、固体用の第1のものと別個の排出口を含む気固分離システムを上部に備える請求項4又は5に記載のFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる装置。
【請求項7】
第2再生段階(B)の濃密相中の流動化率は、30cm/s〜100cm/s、かつ好ましくは40cm/s〜80cm/sである請求項1から3のいずれかに記載の装置を用いる、2段階再生領域を含むFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法。
【請求項8】
2つの再生段階を接続する垂直導管(3)に流入する空気の質量流量と、第2段階(B)の濃密相に流入する空気の質量流量の間の比は、0.1〜0.7であり、かつ好ましくは0.25〜0.5である請求項1から3のいずれかに記載の2段階再生領域を含むFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法。
【請求項9】
流動床の濃密相中の流動化率は、50〜150cm/s、かつ好ましくは70〜130cm/sである請求項4から6のいずれかに記載の装置を用いる、単段階再生領域を含むFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法。
【請求項10】
垂直導管(3)に導入される空気の質量流量と、濃密相(1)に注入される空気の流量の間の比は、0.05〜0.1である請求項4から6のいずれかに記載の装置を用いる、単段階再生領域を含むFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法。
【請求項11】
2つの再生段階を接続するか、単段階再生領域の場合には濃密相と希薄相を接続する,垂直導管(3)内部のガスの流量は、3m/s〜15m/s、かつ好ましくは5m/s〜8m/sである請求項1から6のいずれかに記載の装置を用いる、単段階又は二段階再生領域を含むFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法。
【請求項12】
上昇垂直導管(3)の取り入れ口でのコークの質量流量と、酸素の質量流量比は、0.3より大きい請求項1から6のいずれかに記載の装置を用いる、単段階又は二段階再生領域を含むFCC装置からのヒューム中に含まれるNOxを減少させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150603(P2008−150603A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321448(P2007−321448)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】