説明

GCCおよびPCCタイプの非常に微細な共粉砕炭酸カルシウム材料の製造方法、得られた製品およびこれらの使用

本発明の目的は、80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、および25m/g未満の比表面積を示すGCCおよびPCCを含む炭酸カルシウム材料を費用対効果の高い方法で得るための方法を提供することであり、GCCおよびPCCが可能ならば少なくとも別の無機材料と共粉砕されている。本発明の別の目的は、水性懸濁液および乾燥品の形態の共粉砕炭酸カルシウム材料にある。本発明の他の目的は、無機材料を使用する任意の分野、および特に紙、塗料およびプラスチック産業におけるこのような製品の使用にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、GCC(重質炭酸カルシウム)およびPCC(沈降炭酸カルシウム)を含む炭酸カルシウム材料を得るための方法を提供することにある。この材料は、多くの分野、例えば製紙産業で使用するのに適している。
【0002】
また、本発明の目的は、GCCおよびPCCを含む炭酸カルシウム材料を得る方法を提供することにあり、該炭酸カルシウム材料は、80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらにより好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率を示し、ならびに25m/g未満のBET比表面積を示す。
【0003】
1μmより微細な粒子の分率が95%を超える場合は、BET比表面積は好ましくは25m/g未満である。1μmより微細な粒子の分率が90%を超える場合、85%を超える場合、および80%を超える場合は、BET比表面積は好ましくはそれぞれ20m/g未満、18m/g未満、および15m/g未満である。このような材料は、特に光沢の点からこのような材料で塗工された紙の優れた特性をもたらす。
【0004】
また、本発明の目的は、上記した粒度特性を有する、GCCとPCCを含む炭酸カルシウム材料を得るための方法を提供することにあり、GCCとPCCは可能ならば少なくとも別の無機材料と共に共粉砕される。
【0005】
本発明の別の目的は、この方法により得られた、共粉砕炭酸カルシウム材料(即ち、共粉砕GCCおよびPCCを含有する無機スラリー水溶液ならびに共粉砕GCCおよびPCCを含有する乾燥品)にある。
【0006】
本発明の別の目的は、無機材料を利用する任意の分野、および特に紙、塗料およびプラスチック産業におけるこのような製品の使用にある。
【0007】
多くの種類の無機物類が、製紙産業のための紙塗工の処方に使用されている。粘土が、他の無機顔料と比較してこの低価格のために伝統的にこの目的のために使われてきている。
【0008】
炭酸カルシウム(CaCO)は、塗工および充填顔料の両方として使用され、特に光沢度、不透明度または明度などの最終製品の光学的特性のうちのいくつかを改善することが知られている。炭酸カルシウムは、2つのタイプがあり得る。GCCと呼ばれる重質または天然の炭酸カルシウム、およびPCCと呼ばれる合成または沈降炭酸カルシウムである。
【0009】
重質炭酸カルシウムは、石灰石、大理石または白亜などの天然資源から得られる炭酸カルシウムであり、粉砕などの処理により加工される。沈降炭酸カルシウムは、合成材料であり、一般に水性環境で二酸化炭素および石灰の反応後に沈殿させることによって得られる。このPCCは菱面体晶および/または犬牙状晶および/または霰石状晶であってもよい。当業者の必要性に応じて、このGCCまたはPCCは、例えばステアリンでさらに表面処理されてもよい。
【背景技術】
【0010】
長年の間、当業者にGCCとPCCを含む無機スラリーを供給する必要があった。この理由は、塗工紙の最終特性をより正確に規制するために両方とも紙塗工処方物中に存在させることが重要であり得るからである。製紙産業で天然および沈降炭酸カルシウムの両方の使用を言及する出版物は、例えば、「PCC or GCC,factors determining calcium carbonate choice in alkaline conversion」(1995年11月の第28回Pulp and Paper Annual Meetingの後で公表された)および「GCC vs.PCC as the primary filler for uncoated and coated wood−free paper」(Tappi Journal 2000,83(5),pp76)を含む。これらの出版物は、製紙産業で使用するためのPCC/GCCブレンドの特性に言及している。「Chalk:a calcium carbonate for the high−filled sheet」(TAPPI Proceedings,April 5−8 1992,Papermakers Conference,Book 2,Opryland Hotel,Nashville TN,,TAPPI Press,pp.515−520)では、著者は、PCCに伴う欠点は、GCCなどの他の充填剤と一緒にこの無機物を使用することにより、克服され得ると示唆している。最後に、「Coating structure with calcium carbonate pigments and its influence on paper and print gloss」(Pulp&Paper Canada,2004,105(9),pp.43−46)では、GCCおよびPCCを含む異なる顔料のブレンドの、光沢度および印刷物の光沢度を含む紙特性に与える影響について研究されている。出願人は、これらの出版物が本発明の技術背景に属するように思われることを明らかにする。この理由は、これらの出版物は、製紙産業で使用されるGCCとPCCの混合物を得る必要性を証明しているからである。しかしながら、これらの出版物はいずれも、GCCとPCCの両方の共粉砕を何ら教示または明示しておらず、および本発明の目的のうちの1つである粒度の一定の分率の共粉砕製品を得るさらなる可能性について何ら教示または明示していない。
【0011】
さらに塗工紙の最終特性のうちのいくつかを改善するための当業者の要求に関して、当業者が光沢性などの最終製品の光学的性質のうちのいくつかを改善するさらなる必要性がさらにある。この要求に直面して、当業者は紙塗工の処理で用いられる無機物の粒度が主な重要性の基準であることを知っている。無機物の粒度は、塗工紙の光学的性質における改良と大部分は関係がある。
【0012】
当分野では、当業者は、水、スラリー中で塊状の顔料の解離を防ぐ市販の分散剤、および塊状の炭酸塩含有顔料から成るスラリーを開示しているEP 0 894 836を知っており、該塊状の炭酸塩含有顔料は、重量比で80から99%が2μm未満の大きさであり、重量比で50から90%が1μm未満の大きさであり、および重量比で0から10%が0.2μm未満の大きさであり、勾配係数(重量比で20%のときの径に対する重量比で50%のときの径の割合)が1.5から2.0であり、および孔隙率が45から65%である粒径分布を有する。この発明がもっぱら方解石、大理石および白亜タイプの天然の炭酸カルシウムを取り扱っていることは明白である;さらに、この発明は分散プロセスにあり、上記の炭酸塩含有顔料の粉砕については教示していない。US 2002 155 055は、紙で使用される炭酸カルシウム組成物の粒度分布の幅を縮小する課題に取り組んでいるが、この発明者によって認識されるように、もっぱら重質炭酸カルシウムに焦点があてられている([0007]を参照)。提案された解決策は、分散剤を含まない天然炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成し、この懸濁液を湿式粉砕して勾配比率(A)を有する炭酸カルシウム組成物を製造し、35℃より下の温度でこの懸濁液を熟成して、比率(A)より小さい勾配比率(B)を有する炭酸カルシウム組成物を製造する工程を含む方法にある。この文献では、Sedigraph(登録商標)を使用して粒径分布を表す時、勾配係数は、25%質量の粒子の平均径で割った75%質量の粒子の平均径として定義される。
【0013】
少なくとも1つの別の無機材料(および特にカオリン)と共に、単一のタイプまたは両方のタイプ(GCCとPCCとのブレンド)の炭酸カルシウムの使用を取り扱い、各材料および/または最終ブレンドの勾配係数に関するいくつかの特定数値を開示している先行技術文献もまたある。WO2003/093 577は、紙の光沢性、不透明度、明度および平滑性を改善するために、特定の微粒子の顔料が紙塗工処方に有用であるかもしれないことを教示している。これらの顔料は、PCCである第1成分および少なくとも25の形状係数および少なくとも20の峻度を有する加工粒状含水カオリン粘土である第2成分を、または球形粒子形状を有するPCCの第1成分および少なくとも45の形状係数および0.5μm未満の平均等価粒径を有する加工粒状含水カオリン粘土である第2成分を、またはPCCである第1成分および25未満の形状係数を有する加工粒状含水カオリン粘土である第2成分を含む。さらに、WO2002/016 509は、紙の光学的性質および紙塗工の印刷適性を改善するために、0.7から3μmの平均粒子径および少なくとも60の形状係数を有するカオリンを使用することが有利であることを教示している;この種のカオリンは、タルク、硫酸カルシウムおよび/またはアルカリ土類金属炭酸塩などの別の充填剤と組み合わせて使用することができる。最後に、WO2000/066 510は、ブロックカオリン粘土から製造された微細カオリンとGCCまたはPCCのいずれかの炭酸カルシウムとのブレンド(両方の粒子は、0.8μm未満のメディアン粒径、および100×d30/d70として定義される38より大きい勾配係数を有し、ならびにカオリン/炭酸塩の重量比が40/60、好ましくは50/50である。)を含む顔料組成物は、塗工紙の光学的性質および印刷適性を改善することができることを教示している。後者の3つの文献は炭酸カルシウム(できればGCCおよびPCCタイプの両方)および必須のカオリン(これは本発明の要件ではない)のブレンドの使用について言及しているが、これらはPCCとGCCの共粉砕の可能性を教示または明示しておらず、もしくはカオリンを炭酸カルシウム無機物の少なくとも1つのタイプと共粉砕する可能性についてさえ何ら教示または明示していない。
【0014】
本発明の範囲により近いものとして、GCCとPCCの混合物の使用、特に塗工紙の光学的性質のいくつかを増強する紙加工のための使用を取り扱っている文献もまたある。
【0015】
WO 2004/016 566は、重量比で1.6μm未満のメディアン粒径を有するPCCおよび重量比で0.8μm未満のメディアン粒径を有するGCCを、3:2から1:9のPCC:GCCの重量比で混合することから成る顔料組成物の調製方法を開示している。これは、本発明による方法によって得られる微細粒子の最終的な分率に関して何も教えていない。しかしながら、例示は、1μmより微細な粒子の重量%が、主として50%未満であることを明らかに証明している。
【0016】
DE 4 128 570は、紙を充填および塗工するための特定の粒子形およびサイズを有する炭酸塩充填剤および顔料を開示しており、これは高い不透明度、明度および充填含量を与える。このような炭酸塩充填剤および顔料は、菱面体晶または球形粒子を有しており、1.1から1.4の勾配係数(50/20重量%におけるμmでの粒径の比率)、1μmより微細な%粒子/0.6μmより微細な%粒子の8から19の範囲にわたる比率R、および0.4から1.5μmの範囲の平均の統計学的粒径を有する。また、この文献は、乾燥重量で70%および好ましくは95%が1μmより微細である炭酸カルシウム粒子のブレンドを得ることが可能であることを示している。
【0017】
最後に、WO 2004/059 079は、重質炭酸カルシウムである第1顔料および沈降もしくは重質炭酸カルシウムの第2顔料を含む、紙で有用な粒状顔料組成物を開示しており、第1および第2顔料は異なる粒径分布の勾配係数(100×d30/d70)を有している。より正確には、請求された粒状顔料組成物は2つの顔料成分を含む。第1顔料成分は30から45の勾配係数を有する粒状GCC炭酸塩を含み、および第2顔料成分は55から75の勾配係数および最大0.5μmの径を有するPCC、または40から55の勾配係数を有するGCCを含む。出願人によって実施された試験番号10および13は、両方のタイプの炭酸カルシウムのブレンドを開示しており、そこでは乾燥重量で粒子の87%が1μm未満の平均径を有する。
【0018】
しかしながら、これらの発明はGCCおよびPCCの炭酸カルシウムタイプの両方を混合することに依拠していることは明らかであるように思われる。当業者は新しい課題に遭遇する。信頼できる粒度分布を有する微粉砕PCCが一般に望まれ、前記粒度分布は乾燥媒体および/または水性媒体中で粉砕することにより達成される。しかしながら、この粉砕工程の後、得られた微細PCC粒子が崩壊し、続いて機械的な手段、および/または脱凝集剤を添加することにより脱凝集(このような微粉砕PCCを脱凝集するための方法は特にJP 2001 089 505、JP 56 104 713、US 6 143 065またはUS 5 279 663に開示されている)をしなければならないことが観察された。この添加工程はPCC製造工程における追加費用を意味する;費用対効果の高い方法でこの脱凝集工程を行う必要がある。最後に、混合する前に各成分を別々に粉砕するのに反して、GCCおよびPCCを共粉砕する場合には、特に後記するセリア(CeO)含有ビーズを使用する場合には、粉砕効率において驚くべき増加(所与値より微細な粒子の所望の分率を有する最終製品を得るのに必要な合計の比エネルギーにおける減少)が観察された。
【0019】
上記したように、単にGCCとPCCの混合の場合には必要なPCCの脱凝集の特に余分な経費のかかる工程を回避するために、製紙の際に、および費用対効果の高い方法で使用するためのGCCおよびPCCの両方を含む無機物スラリーを当業者に提供する必要がある。
【0020】
本発明によって、驚くことに、GCCとPCCの両方を含む無機物スラリーを製造する新規な方法が、先行技術に存在する欠点なしで見出された。
【0021】
この方法は、80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、ならびに25m/g未満のBET比表面積を示す、GCCおよびPCCタイプの共粉砕炭酸カルシウム材料の調製方法にある。
【0022】
1μmより微細な粒子の分率が95%を超える場合、BET比表面積が、好ましくは25m/g未満である。1μmより微細な粒子の分率が90%を超える場合、85%を超える場合、および80%を超える場合、BET比表面積は、好ましくはそれぞれ20m/g未満、18m/g未満、および15m/g未満である。
【0023】
一般に、1μmより微細な粒子の分率に粉砕された比較し得るGCCは、25m/gを超えるBET比表面積をもたらすことは注目すべきである。
【0024】
より正確には、本発明はGCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料の製造方法にあって、該共粉砕炭酸カルシウム材料が、
80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、および
25m/g未満のBET比表面積
を示し、前記方法は、
(a)少なくとも1つの炭酸カルシウム材料を、場合により水性懸濁液の形態で供給すること、
(b)GCCおよびPCCを、場合により少なくとも別の無機材料と共粉砕すること、
(c)工程(b)に従って得られた共粉砕炭酸カルシウム材料を、場合により篩にかけることおよび/またはアップ濃縮すること、
(d)工程(b)または(c)に従って得られた共粉砕炭酸カルシウム材料を、場合により乾燥すること、
の工程を含むことを特徴とする。
【0025】
本方法は、当業者がGCCとPCCの両方を含む水性スラリーおよび/または乾燥品を得ることを可能にし、これは特に製紙産業で使用され得る。さらに、1μmより微細な粒子の特定の分率により、およびBET比表面積の特定の選択により、高い光沢特性が塗工紙で達成される。最後に驚くことに、共粉砕工程に続いて、重要なさらなるPCC脱凝集は、もはや必要ではないことが知見された。このため、本発明による方法は、GCCとPCCの両方の単純な混合に基づく先行技術(これは最初のPCCの脱凝集を必要とする)の方法ほど高価ではない。最後に、混合する前に各成分を別々に粉砕するのに反して、GCCおよびPCCを共粉砕する場合には、特に後記する特定のセリア含有ビーズを使用する場合には、粉砕効率において驚くべき増加(所望の粒子の分率を有する最終品を得るのに必要な合計の比エネルギーの減少)が観察された。
【0026】
出願人はまた、EP 0 850 880に言及したい。この特許は、PCCとミキサー中に分散されて1000cp(25℃で)より下の粘度を有するスラリーを与える低粘化剤との混合物を含む固形分濃度25から75%の水性スラリーまたは脱水湿性ケーキを開示しており、およびこれは0.2から3μmメディアン径の炭酸カルシウム粒子を含む。この後、スラリーは1.5から30μmメディアン径の乾式粉砕炭酸カルシウム粒子と混合されて20:80から80:20の(II)の重量比、および60から85%の固形分濃度を与える。次に、スラリーは、ミキサー中で分散されて1000cpより下の粘度とし、最後に、砂粉砕機中に分散して0.2から2μmメディアン径の炭酸カルシウム粒子を含む水性スラリー生成物を得る。この特許はまた、得られた炭酸カルシウム粒子が5から25m/gの範囲のBET比表面積を有すると述べている。EP 0 850 880の特許権者は、GCC成分を湿式粉砕する場合に遭遇する高剪断レオロジーの難題に対処する解決策として上記の方法を教示しているが、これは本発明によって解決されたものとは異なる技術的課題である。対照的に、本発明では、光沢を失うことなく湿式粉砕もまた認容可能であることが初めて知見された。さらに、特許権者は、GCCの乾式粉砕を必要とするこの方法による生産工程エネルギーの増加について何も言及していない。最後に、この特許は、粒子の望ましい分率と望ましいBET比表面積との組み合わせが、エネルギー的に経済的な方法で光沢性の改良に到達することができることを教示していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の第1の目的は、
80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、および
25m/g未満のBET比表面積
を示す、GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料の製造方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1つの炭酸カルシウム材料を、場合により水性懸濁液の形態で供給すること、
(b)GCCおよびPCCを、場合により少なくとも別の無機材料と共粉砕すること、
(c)工程(b)に従って得られた共粉砕炭酸カルシウム材料を、場合により篩にかける、および/またはアップ濃縮すること、
(d)工程(b)または(c)に従って得られた共粉砕炭酸カルシウム材料を、場合により乾燥すること、
の工程を含むことを特徴とする。
【0028】
1μmより微細な粒子の分率が95%超の場合、BET比表面積が、好ましくは25m/g未満である。1μmより微細な粒子の分率が90%超の場合、85%超の場合、および80%超の場合、BET比表面積は、好ましくはそれぞれ20m/g未満、18m/g未満、および15m/g未満である。
【0029】
本発明による方法は、工程(a)において、炭酸カルシウム材料が水性懸濁液として供給され、およびこの水性懸濁液が乾燥重量比で炭酸カルシウムの20から80%、好ましくは50から75%、および最も好ましくは50から70%を含有することを特徴とする。前記水性懸濁液は、湿性ケーキの形態をしている炭酸カルシウム材料の分散液から生じ得る。
【0030】
この特定の実施形態によれば、本発明による方法は、また、水性懸濁液の形態で供給される炭酸カルシウム材料がGCCであることを特徴とする。
【0031】
この特定の実施形態では、湿式粉砕の天然炭酸カルシウムは、工程(b)の前で湿式選鉱工程に付してもよく、これによりケイ酸塩不純物などの不純物を例えばフロス浮選によって除くことが可能である。
【0032】
別の実施形態では、本発明による方法はまた、工程(c)が実施されることを特徴とする。
【0033】
別の実施形態では、本発明による方法はまた、工程(d)が実施されることを特徴とする。
【0034】
より一般的には、本発明による方法はまた、工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、水性媒体中で実施され、そこでの炭酸カルシウムの濃度が20から80%(炭酸カルシウムの乾燥重量で)、好ましくは50から75%、および最も好ましくは50から70%の範囲である。
【0035】
本発明による方法はまた、全乾燥無機材料に対して重量%で、0から2%、好ましくは0.2から1.4%、および最も好ましくは0.5から1.2%の範囲で存在する少なくとも1つの分散および/または粉砕助剤が、工程(b)における共粉砕の前、間、後に添加されてもよいことを特徴とする。このような添加剤は、3000mPa.s未満、好ましくは1000mPas未満の安定なBrookfield(登録商標)粘度(25℃で測定)を得るために添加されてもよい。
【0036】
当業者は、達成したいと願う特性を機能するものとして分散および/または粉砕助剤を選択する。当業者は、例えば(メタ)アクリル酸のホモポリマーおよび/または(メタ)アクリル酸と他の水溶性モノマーとを組み合わせたコポリマーを使用することができ、このようなホモポリマーおよびコポリマーは完全に、または部分的に中和されている。
【0037】
本発明による方法はまた、工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、タルク、粘土、Al、TiOまたはこれらの混合物から選択される少なくとも他の無機材料の存在下で実施されることを特徴とする。
【0038】
より好ましくは、他の無機材料は、タルク、粘土、またはこれらの混合物から選択される。
【0039】
より好ましくは、他の無機材料は、タルクまたは粘土である。
【0040】
本発明による方法はまた、工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、7より上のpHで起こることを特徴とする。
【0041】
別の実施形態では、本発明による方法は、工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、10より上のpHで起こることを特徴とする。
【0042】
別の実施形態では、本発明による方法は、工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、11より上のpHで起こることを特徴とする。
【0043】
このpH増加は、例えば下記の1つ以上の結果であり得る。PCCとGCCの粉砕過程などの物質の粉砕過程における塩基、好ましくは1価または2価のカチオン、最も好ましくはナトリウムまたはカルシウムの添加による、殺生物剤のアルカリ製剤の添加による、またはCa(OH)などの水酸化物の解離による。出願人は、粉砕工程(b)の過程で添加してもよい殺生物剤を記述しているフランス特許出願番号05 00779を知っているが、これは本特許出願日にはまだ公開されていなかった。
【0044】
本発明による方法はまた、粉砕機内容物が60℃より上への、好ましくは90℃より上への、および最も好ましくは100℃より上への温度上昇に付されることを特徴とする。
【0045】
この温度は、粉砕機内の任意の場所での粉砕機内容物によって達した温度を指す。特に、粉砕機ベースにおける粉砕機内容物は、より高い静水圧の結果として、より高温に付されてもよい。
【0046】
本発明による方法はまた、工程(b)の過程で共粉砕する場合に存在するPCCが、PCCとGCCを合わせた全重量の10から90%、好ましくはPCCとGCCを合わせた全重量の20から80%、および最も好ましくはPCCとGCCを合わせた全重量の30から70%を占めることを特徴とする。
【0047】
本発明による方法はまた、工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、粉砕媒体としてセリア含有酸化ジルコニウム粉砕用ビーズの存在下で実施され、該ビーズは、
前記ビーズの全重量に対して重量比で14から20%、好ましくは前記ビーズの全重量に対して重量比で15から18%、および最も好ましくは前記ビーズの全重量に対して重量比で約16%のセリア含量;および
前記ビーズを形成する粒子の焼結後、1μm未満、好ましくは0.5μm未満、および最も好ましくは0.3μm未満の平均粒子サイズ
を有することを特徴とする。
【0048】
この粒子サイズは、ビーズの電子顕微鏡画像を走査する分析によって測定される。ビーズのセリア含量はICP発光分析法によって分析される。
【0049】
本発明による方法はまた、ビーズが、粉砕前では0.2から1.5mm、好ましくは0.4から1.0mmの初期径を有することを特徴とする。
【0050】
本発明の別の目的は、GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料にあり、これが本発明の方法により得られることを特徴とする。
【0051】
本発明の別の目的は、GCCおよびPCCを含む炭酸カルシウム材料にあり、これが水性懸濁液の形態であり、
80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、および
25m/g未満のBET比表面積
を示すことを特徴とする。
【0052】
1μmより微細な粒子の分率が95%超の場合には、BET比表面積は、好ましくは25m/g未満である。1μmより微細な粒子の分率が90%超、85%超、および80%超の場合には、BET比表面積は、好ましくはそれぞれ20m/g未満、18m/g未満、および15m/g未満である。
【0053】
上記実施形態によれば、水性懸濁液の形態の共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、これが炭酸カルシウム材料の乾燥重量で20から80%、好ましくは炭酸カルシウム材料の乾燥重量で40から75%、および最も好ましくは炭酸カルシウム材料の乾燥重量で60から70%を含有することを特徴とする。
【0054】
水性懸濁液の形態の共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、存在するPCCが、PCCおよびGCCを合わせた全重量の10から90%、好ましくはPCCおよびGCCを合わせた全重量の20から80%、および最も好ましくはPCCおよびGCCを合わせた全重量の30から70%を占めることを特徴とする。
【0055】
GCCおよびPCCを含み、水性懸濁液の形態である本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、これが少なくとも約30、好ましくは少なくとも約40、および最も好ましくは少なくとも約45の勾配係数を示すことを特徴とする。
【0056】
勾配係数は、d30/d70×100として定義され、式中、dは、粒子のx重量%が、この径に対してより微細な等価球径である。
【0057】
GCCおよびPCCを含み、水性懸濁液の形態である本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、これが約0.2から約2μm、好ましくは0.2から0.8μm、および最も好ましくは約0.25から約0.45μmのd50を特色とすることを特徴とする。このd50は、Sedigraph(登録商標)5100を使用して測定される。
【0058】
GCCおよびPCCを含み、水性懸濁液の形態である本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、水性懸濁液が少なくとも1つの分散および/または粉砕助剤を含有し、このような分散および/または粉砕助剤が全乾燥無機材料に対して重量%で、0から2%、好ましくは0.2から1.4%、および最も好ましくは0.5から1.2%の範囲で存在することを特徴とする。
【0059】
GCCおよびPCCを含み、水性懸濁液の形態である本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、40μmの篩を通過したスラリー水が、ZrOの1000ppm未満およびCeOの200ppm未満を含有することを特徴とする。
【0060】
GCCおよびPCCを含み、水性懸濁液の形態である本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、スラリー水が、4から6.5、好ましくは4.6から5.7、および最も好ましくは5.3のZrO/CeOの重量比を特色とすることを特徴とする。ZrO2およびCeO2の含量はICP−OESによって測定される。
【0061】
本発明の別の目的は、GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料にあり、これが乾燥品の形態であり、
80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、および
25m/g未満のBET比表面積
を示すことを特徴とする。
【0062】
1μmより微細な粒子の分率が95%超の場合には、BET比表面積は、好ましくは25m/g未満である。1μmより微細な粒子の分率が90%超、85%超、および80%超の場合には、BET比表面積は、好ましくはそれぞれ20m/g未満、18m/g未満、および15m/g未満である。
【0063】
GCCおよびPCCを含み、乾燥品の形態の本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、存在するPCCが、PCCおよびGCCを合わせた全重量の10から90%、好ましくはPCCおよびGCCを合わせた全重量の20から80%、および最も好ましくはPCCおよびGCCを合わせた全重量の30から70%を占めることを特徴とする。
【0064】
GCCおよびPCCを含み、乾燥品の形態の本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、これが少なくとも約30、好ましくは少なくとも約40、および最も好ましくは少なくとも約45の勾配係数を示すことを特徴とする。
【0065】
GCCおよびPCCを含み、乾燥品の形態の本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、これが約0.2から約2.0μm、好ましくは0.2から0.8μm、および最も好ましくは約0.25から約0.45μmのd50を特色とすることを特徴とする。
【0066】
GCCおよびPCCを含み、乾燥品の形態の本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料はまた、これが4から6.5、好ましくは4.6から5.7、および最も好ましくは5.3のZrO/CeOの重量比を特色とすることを特徴とする。
【0067】
最後に、本発明の別の目的は、本発明による共粉砕炭酸カルシウム材料の、無機材料を使用する任意の分野、および特に紙、塗料およびプラスチック産業における使用にある。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を説明するように意図され、これは非限定的である。
【0069】
メディアン径は、Sedigraph(登録商標)5100を使用して測定された。
【0070】
(実施例1)
比較例
1.5μmのメディアン径を示す重質炭酸カルシウムは、74.5%の固形分含量で0.45mmのメディアンビーズ径、ビーズ全重量に対する16重量%のCeO含量および焼結後の0.4μmの粒度を特色とするセリア含有酸化ジルコニウム粉砕用ビーズを使用するツー・パス・プロセス(two pass process)により以下の添加物、1.51%のポリアクリル酸ナトリウムの存在下、湿式粉砕された。この材料に関して、97%の1μm未満の粒子の分率を有する最終GCCを得るのに必要な比粉砕エネルギーは、270kWh/tであった。
【0071】
75%のこの後希釈された固形分含量を特色とする粉砕GCC材料の得られたスラリーは、次いで以下の成分割合を構成する標準紙塗工処方物に添加された。
【0072】
100部 粉砕GCC材料
10.5部 SBRラテックス
0.5部 合成増粘剤
0.2部 ポリビニルアルコール
0.2部 蛍光増白剤
上記の塗工物は、68%の最終固形分含量に調節され、10g/m/面の塗工量で71g/mの坪量を有する標準的なあらかじめ塗工された上質原紙上に塗布された。この後、この塗工された原紙は、以下のカレンダ条件、800m/分のカレンダ速度、200kN/cmのカンレンダ荷重および105℃の温度の下、スーパーカレンダを使用してカレンダされた
塗工紙表面の光沢度は70%Tappi75°であった。
【0073】
(実施例2)
本発明による方法の説明
1.4μmのメディアンGCC径を示す重質炭酸カルシウムの76%固形分含量スラリーを、0.75μmのメディアンPCC径を有する51%固形分含量PCCスラリーの存在下、粉砕した。粉砕機中のPCCのGCCに対する重量比は、50:50であった。粉砕機中のスラリーの全固形分含量は、61%およびメディアン径は1.1であった。この後、粉砕機内容物は、ビーズの0.45mmメディアン径、ビーズ全重量に対する16重量%のCeO含量および焼結後の0.4μmの粒度を特色とするセリア含有酸化ジルコニウム粉砕用ビーズを使用して、以下の全添加物含量、0.95重量%のポリアクリル酸ナトリウムの存在下、共粉砕された。この材料に対して、97%の1μm未満の粒子の分率を有する最終共粉砕GCCを得るのに必要な比粉砕エネルギーは、200kWh/tであった。
【0074】
次いで70.2%の固形分含量を特色とする共加工された材料の得られたスラリーは、以下の成分の重量割合を構成する標準の紙塗工処方物に添加された。
【0075】
100部 共加工された材料
10.5部 SBRラテックス
0.5部 合成増粘剤
0.2部 ポリビニルアルコール
0.2部 蛍光増白剤
上記の塗工物は、68%の最終固形分含量に調節され、10g/m/面の塗工量で71g/mの坪量を有する標準的なあらかじめ塗工された上質原紙上に塗布された。この後、この塗工された原紙は、スーパーカレンダを使用して以下のカレンダ条件、800m/分のカレンダ速度、200kN/cmのカレンダ荷重および105℃の温度の下でカレンダされた。
【0076】
塗工紙表面の光沢度は72%Tappi75°であった。
【0077】
上記結果が表1に要約される。
【0078】
【表1】

【0079】
表1は、本発明による方法は、先行技術の方法と比較して、所与の値よりも微細な粒子の所望の分率を得るためにより少ない粉砕エネルギーを必要とし、このことが等価の/改善された光沢度をもたらすことを説明している。
【0080】
(実施例4)
本発明による実施例
この実施例は、本発明による方法によって得られた共粉砕PCCおよびGCCを説明する。
【0081】
実施例4の表2中に掲載された特性を示す重質炭酸カルシウムの74%固形分含量のスラリーを、実施例4の表2中に掲載された特性を有する48%固形分含量のPCCスラリーの存在下、媒体粉砕機中で粉砕した。粉砕機中のPCCのGCCに対する重量比は、30:70であり、および固形分含量は65.9%であった。粉砕機内容物は、粉砕する前では0.6から1.0mmのビーズ径を特徴とするイットリウム安定化ケイ酸ジルコニウム粉砕用ビーズを使用して共粉砕された。表2に示された最終材料特性を有するGCC/PCC共粉砕された最終材料を得るために、合計116kWh/tの比粉砕エネルギーが消費された。このGCCスラリーの最終固形分含量は70.3%であった。
【0082】
次いで、このスラリーは、以下の成分の重量割合を構成する標準の紙塗工処方物に添加された。
【0083】
100部 PCC/GCC共粉砕材料
10.5部 SBRラテックス
0.5部 合成増粘剤
0.2部 ポリビニルアルコール
0.2部 蛍光増白剤
上記の塗工物は、68%の最終固形分含量に調節され、10g/m/面の塗工量で71g/mの坪量を有する標準的なあらかじめ塗工された上質原紙上に塗布された。この後、この塗工された原紙は、スーパーカレンダを使用して以下のカレンダ条件、800m/分のカレンダ速度、200kN/cmのカレンダ荷重および105℃の温度の下でカレンダされた。
【0084】
塗工紙の表面の光学的特性は、表2に示される。
【0085】
【表2】

【0086】
表2は、本発明による共粉砕PCC/GCC材料を調製する方法は、PCCおよびGCCの比較可能なブレンドを調製するために要求される粉砕エネルギーと比較して、なんらの損失もなく、または光学的特性が改善されて、より少ない粉砕エネルギーを必要とすることを示している。
【0087】
(実施例5)
この実施例は、本発明による方法の使用を示しており、3つの無機物、天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよび粘土が、前記ビーズの全重量に対して16重量%のセリア含量、前記ビーズを形成する粒子の焼結後の0.4μmの平均粒子サイズ、および0.45mmのビーズのメディアン径を有するセリア含有酸化ジルコニウム粉砕用ビーズを使用して共粉砕される。次いで、共粉砕された材料は、原紙を塗工するために使用される塗工処方物に添加され、得られる光沢度が測定される。
【0088】
次の材料が共粉砕された。
【0089】
1.4μmのメディアンGCC径を示し、およびアクリル酸のホモポリマーの0.27重量%(乾燥GCCの重量比で)を使用して調製された重質炭酸カルシウムの74%固形分含量スラリー、
0.8μmのメディアンPCC径を有し、およびアクリル酸のホモポリマーの0.7重量%(PCCの乾燥重量比で)を使用して調製された51%固形分含量のPCCスラリー、
およびLithoprint(登録商標)の名前でHUBER(登録商標)によって商品化された粘土の68%固形分含量スラリー。
【0090】
粉砕機中のPCC:GCC:粘土の重量比は、45:45:10であった。
【0091】
粉砕機中のスラリーの全固形分含量は72%であり、および本発明を説明する2つの試験に関してメディアン径は0.4および0.5μmであった。
【0092】
次に、粉砕機内容物は、以下の全添加剤含量の存在下、共粉砕された。
【0093】
カルボキシル官能基の14mol%が水酸化ナトリウムで中和されており、5600g/molの分子量、および2.4に等しい多分散度を有するアクリル酸ホモポリマーのそれぞれ0.4および0.2重量%(無機材料の乾燥重量で)、
ビーズの0.45mmメディアン径、ビーズ全重量に対する16重量%のCeO2含量および焼結後の0.45μmの粒度を特徴とするセリア含有酸化ジルコニウムの粉砕用ビーズを使用して、
これによりそれぞれ0.4および0.5μmのメディアン径を示す共粉砕材料をもたらした。
【0094】
この後、共加工材料の2つの得られたスラリーは、以下の成分の重量割合を構成する標準の紙塗工処方物に添加された。
【0095】
100部 共加工材料
11部 SBRラテックス(DOW CHEMICALS(登録商標)により商品化されたDL966)
0.5部 合成増粘剤(FINNFIX(登録商標)により商品化されたCM
C FF5)
0.4部 ポリビニルアルコール(CLARIANT(登録商標)により商品化されたPVA4−98)
0.6部 蛍光増白剤(BAYER(登録商標)により商品化されたBlancophor(登録商標)P)
上記塗工物は、10g/m/面の塗工量で78g/mの坪量を有する標準的なトップコートの原紙に塗布された。この後、この塗工された原紙は、スーパーカレンダを使用して以下のカレンダ条件、300m/分のカレンダ速度、170kN/cmのカレンダ荷重および80℃の温度の下でカレンダされた。
【0096】
0.4μmのメディアン径を示す共粉砕材料については、塗工紙表面の光沢度が、73%Tappi75°および45%DIN75°であった。
【0097】
これに比べて、0.4μmのメディアン径を有するGCCの100部を使用して製造された同様の塗工物は、70%Tappi75°および35%DIN75°であった。
【0098】
0.5μmのメディアン径を示す共粉砕材料については、塗工紙表面の光沢度が、68%Tappi75°および40%DIN75°であった。
【0099】
これに比べて、0.4μmのメディアン径を有するGCCの100部を使用して製造された同様の塗工物は、63%Tappi75°および33%DIN75°であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の1μmより微細な粒子の分率、および
−25m/g未満のBET比表面積
を示す、GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料の製造方法であって、該方法は、
(a)少なくとも1つの炭酸カルシウム材料を、場合により水性懸濁液の形態で供給すること、
(b)GCCおよびPCCを、場合により少なくとも別の無機材料と共粉砕すること、
(c)工程(b)に従って得られた共粉砕炭酸カルシウム材料を、場合により篩にかけること、および/またはアップ濃縮(upconcentrating)すること、
(d)工程(b)または(c)に従って得られた共粉砕炭酸カルシウム材料を、場合により乾燥すること、
の工程を含むことを特徴とする。
【請求項2】
95%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、25m/g未満であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
90%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、20m/g未満であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
85%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、18m/g未満であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
80%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、15m/g未満であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において、炭酸カルシウム材料が水性懸濁液として供給され、およびこの水性懸濁液が20から80%、好ましくは50から75%、および最も好ましくは50から70%の固形分含量を特色とすることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)において水性懸濁液の形態で供給される炭酸カルシウム材料が、GCCであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)が実施されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)が実施されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、水性媒体中で実施され、そこでの炭酸カルシウムの濃度が20から80%(炭酸カルシウムの乾燥重量で)、好ましくは50から75%、および最も好ましくは50から70%の範囲であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
全乾燥無機材料に対して重量%で、0から2%、好ましくは0.2から1.4%、および最も好ましくは0.5から1.2%の範囲で存在する少なくとも1つの分散および/または粉砕助剤が、工程(b)の前、間、後に添加されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、タルク、粘土、Al、TiOまたはこれらの混合物から選択される少なくとも別の無機材料の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、タルク、粘土、またはこれらの混合物から選択される少なくとも別の無機材料の存在下で実施されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、タルクの存在下で実施されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、粘土の存在下で実施されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、7より上のpHで起こることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、10より上のpHで起こることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、11より上のpHで起こることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(b)でのGCCおよびPCCの共粉砕過程において、粉砕機内容物が60℃より上への、好ましくは90℃より上への、および最も好ましくは100℃より上への温度上昇に付されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
GCCおよびPCCの全重量に対するPCCの重量分率が、10から90%、好ましくは20から80%、および最も好ましくは30から70%であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)の過程でのGCCおよびPCCの共粉砕が、粉砕媒体としてセリア含有酸化ジルコニウム粉砕用ビーズの存在下で実施され、該ビーズが、
前記ビーズの全重量に対して重量比で14から20%、好ましくは前記ビーズの全重量に対して重量比で15から18%、および最も好ましくは前記ビーズの全重量に対して重量比で約16%のセリア含量;および
前記ビーズを形成する粒子の焼結後、1μm未満、好ましくは0.5μm未満、および最も好ましくは0.3μm未満の平均粒子サイズ
を有することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ビーズが、粉砕前では0.2から1.5mm、好ましくは0.4から1.0mmの初期径を有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法により得られることを特徴とする、GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項24】
GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料であって、該共粉砕炭酸カルシウム材料が、水性懸濁液の形態であり、
−80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の、1μmより微細な粒子の分率、および
−25m/g未満のBET比表面積
を示すことを特徴とする。
【請求項25】
95%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、25m/g未満であることを特徴とする、請求項24に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項26】
90%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、20m/g未満であることを特徴とする、請求項24に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項27】
85%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、18m/g未満であることを特徴とする、請求項24に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項28】
80%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、15m/g未満であることを特徴とする、請求項24に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項29】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、炭酸カルシウム材料の乾燥重量で20から80%、好ましくは炭酸カルシウム材料の乾燥重量で40から75%、および最も好ましくは炭酸カルシウム材料の乾燥重量で60から70%を含有することを特徴とする、請求項24から28のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項30】
GCCおよびPCCの全重量に対するPCCの重量分率が、10から90%、好ましくは20から80%、および最も好ましくは30から70%であることを特徴とする、請求項24または29のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項31】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、少なくとも約30、好ましくは少なくとも約40、および最も好ましくは少なくとも約45の勾配係数を示すことを特徴とする、請求項24から30のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項32】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、約0.2から約2.0μm、好ましくは0.2から0.8μm、および好ましくは約0.25から約0.45μmのd50を特色とすることを特徴とする、請求項24から31のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項33】
水性懸濁液が、少なくとも1つの分散および/または粉砕助剤を含有し、このような分散および/または粉砕助剤が全乾燥無機材料に対して重量%で、0から2%、好ましくは0.2から1.4%、および最も好ましくは0.5から1.2%の範囲で存在することを特徴とする、請求項24から32のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項34】
40μmの篩を通過したスラリー水が、ZrOの1000ppm未満およびCeOの200ppm未満を含有することを特徴とする、請求項24から33のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項35】
スラリー水が、4から6.5、好ましくは4.6から5.7、および最も好ましくは5.3のZrO/CeOの重量比を特色とすることを特徴とする、請求項24から34のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項36】
GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料が、乾燥品の形態であり、
−80%超の、好ましくは85%超の、より好ましくは90%超の、およびさらに好ましくは95%超の、1μmより微細な粒子の分率、および
−25m/g未満のBET比表面積
を示すことを特徴とする、GCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項37】
95%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、25m/g未満であることを特徴とする、請求項36に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項38】
90%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、20m/g未満であることを特徴とする、請求項36に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項39】
85%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、18m/g未満であることを特徴とする、請求項36に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項40】
80%超の1μmより微細な粒子の分率に対して、BET比表面積が、15m/g未満であることを特徴とする、請求項36に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項41】
GCCおよびPCCの全重量に対するPCCの重量分率が、10から90%、好ましくは20から80%、および最も好ましくは30から70%であることを特徴とする、請求項36から40のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項42】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、少なくとも約30、好ましくは少なくとも約40、および最も好ましくは少なくとも約45の勾配係数を示すことを特徴とする、請求項36または41のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項43】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、約0.2から約2.0μm、好ましくは0.2から0.8μm、好ましくは約0.25から約0.45μmのd50を特色とすることを特徴とする、請求項36または42のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項44】
共粉砕炭酸カルシウム材料が、4から6.5、好ましくは4.6から5.7、および最も好ましくは5.3のZrO/CeOの重量比を特色とすることを特徴とする、請求項36から43のいずれか一項に記載の共粉砕炭酸カルシウム材料。
【請求項45】
請求項23から44のいずれか一項に記載のGCCおよびPCCを含む共粉砕炭酸カルシウム材料の紙における、および特に紙塗工、塗料およびプラスチックにおける使用。

【公表番号】特表2009−508792(P2009−508792A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530656(P2008−530656)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002649
【国際公開番号】WO2007/031869
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(505351050)オムヤ・デベロツプメント・アー・ゲー (22)
【Fターム(参考)】