説明

GPS使用の三次元筆界復元特定解析システム

【課題】土地台帳附属地図の準拠点と不動点の基準点との確認した各点の位置誤差。
【解決手段】上記地図と空中写真との一致点を特定し現地確認の特定点を不動点5と確定しGPS測量し道路1等を空中写真と上記地図と対査し筆界点を確定しトラバース測量で座標値を求積し地積成果と対査し筆界点を現地に提示用の筆界杭打設用に必要な不動点を選定しその長さをトランジット光波測距離計で測定し、空中写真上の不動点間を百分の1mm迄測定し空中写真の真縮尺を計算し、直線で結んだ線を基線とし筆界杭打設用の点を準拠点として空中写真上に設定した各筆界点と基線との角度を三桿分度器で測角し準拠点を基点として各筆界点間を百分の1mmまで測定し、真の縮尺倍して実長を算出し、目的地内に建物などの遮蔽物がある時は、上記の準拠点を起点として各筆界点の内角と点間百分の1mmまで測定し実長を計算して、その角度と距離で各筆界点を設定し、GPSて座標を求積し筆界点を検証し許容誤差以内に納める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは土地を定める地図に関するものであり、特に土地台帳附属地図に関するものである。就中、この土地台帳附属地図をGPS(カーナビゲーションと同様の位置確認装置)で確認し、三次元筆界復元特定解析するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
しかして、土地台帳附属地図調製の要旨は、以下の通りである。まず、間竿について述べる。明治8年地租改正事務達3号「丈量間竿ニツキ達」によって1間を6尺(1.818m)に1分( 0.003m)の砂摺を加えた1.8121mと定めた。なお、砂摺とは、間竿の両端に打ちつけた厚さ5厘(0.0015m)の鉄板のことである。ただし、これは旧幕時代の検地慣習によるものである。そして、1間6尺3寸(1.908m)に1分(0.003m)を加えた1.911mの間竿と、1間6尺5寸(1.969m)に1分(0.003m)を加えた1.972mの間竿の使用を容認した。結果として、実際に使用した間竿は、1間6尺竿(1.82m)6尺3寸竿( 1.911m)6尺5寸竿(1.972m)が使用されている。
【0003】
そして、その測距方法配下の通りである。まず、旧幕時代の検地慣習に従って引き綱方法で地表面に合わせて測っているため、傾斜地は斜距離となっている。明治9年地租改正事務局別報第16号達の「山林原野調査法細目」第1条の「土地丈量之事」の第2節に「山岳ハ斜面側面ニテ縦横ノ間数ヲ量リ反別ヲ算出スベキモノトス」と規定し、前年明治8年地租改正務事務局議定「地租改正条例細目」第2章「土地丈量ノ事」第5条「山林、原野、池沼等広漠タル地ニシテ実測ナリカタキモノハ四至ノ境界ヲ明白ニ記注セシメ凡ソ反別ヲ記載スヘキコト」とも規定しているため、測量困難な地の測距には、江戸時代に発達していた「視角法」を用いたものと推定される。とした。
【0004】
さらに、その求積(測量)方法は以下の通りである。
(イ)十字法
土地の区画が長方形(矩形)でなくとも、出歩・入歩を目測で平均し、すべての区画を長方形として求積する方法。旧幕時代の検地丈量の主たる方法であった。改租土地整理の主用求積方法として採用されている。
(ロ)三斜法
一区画の土地を求積のため三角形の集団として、個々の三角形の面積を集計する方法。上記の十字法より求積精度は高いが、区画周辺の区画線の形状によっては十字法的思考が用いられている。十字法・三斜法ともに現況地形との不整合があるのは、、出歩・入歩を目測で平均化したためと推定きれ、以上の求積方法によっているため現地と土地台帳附属地図との不整合が生じている。
【0005】
さらに、その求積1反歩( 991.537m)について述べる。旧幕時代の検地慣習による石盛という田の生産高に応じて1反歩( 994.812m)に変動が生じている。生産高の高い地方あるいは藩財政の苦しい地方では、1反歩(991.537m)300坪とせずに250坪(826.281m)としたところもあるが、一般的には上記丈量間竿ニツキ達」に規定された間竿6尺に1分の砂摺を加え 1.821mとして1反を300坪(994.812m)とした地域間竿6尺3寸に1分の砂摺を加え1.911mとして1反を300坪(1095.576m)とした地域間竿6尺5寸に1分の砂摺を加え1.972mとして1反を300坪(1166.635m)とした地域があるが、土地台帳にはすべて1反歩を300坪(991.537m)として登載されている。
【0006】
特に。生産高の低い北陸地方・東北地方では、6尺5寸に1分の砂摺を加え11.972mの間竿で360坪(1399.962m)、450坪(1749.952m)、600坪(2333.270m)、900坪(3499.905m)を1反歩(991.537m)として、土地台帳に登載されている地方があると推定される。
【0007】
急峻な山岳・樹木繁茂の山林原野等当時の丈量(測量)技術で丈量困難とされた地域は、土地の周囲を視角法・視角測進退法等を使用して境界点間の距離を測り、製図して、平均法(改租総代人・村吏5名乃至9名で編成し各自の目測面積を平均する方法)または多数決法(改租総代人・村吏5名乃至9名で編成し各自の目測面積のうち最も多数の人が認めた面積を採用する方法)で地積を定め、求積は行なっていないため、これら平均法・多数決法で定めた面積を査定面積として土地台帳に登載している。
【0008】
よって字ごとに調製されている1枚の土地台帳附属地図には、
・6尺(1.821m)間竿
・6尺3寸(1.911m)間竿
・6尺5寸(1.972m)間竿をそれぞれ地域慣習によって使用している部分
・平坦地につき一応水平面積と認められる部分
・傾斜地に属する土地の斜面積部分
・測量困難と判断した査定面積部分が混載されている。
【0009】
土地台帳附属地図による筆界復原の手法
1.土地台帳附属地図は、水平投影図ではない(別紙土地台帳附属地図調製要旨のとおり)。
2.土地台帳附属地図は、空中写真を利用して、水平投影図に転換しなければならない。
【0010】
その転換の手法は以下の通りである。
a 土地台帳附属地図の不動点(水路分岐点や尾根分岐点などの改租以来現在まで変動していない点)を現地調査をして3〜5点以上確認し、空中写真を実体視して明示する。
b 3〜5点以上の不動点につき、VRS及びFKP方式による観測(GPS測量)を実施して、各点の世界測地座標値と点間距離及び各点の内角の観測を行なう。
c 観測した不動点を準拠点として、空中写真の歪みを修正する。
d 空中写真を実体視して、尾根・谷・道路・水路の方線と池・沼・分水点(水路分岐点)を明示する。
e 空中写真と不動点に準拠して、土地台帳附属地図を修正する。
f 修正土地台帳附属地図とdの空中写真によって、土地台帳附属地図上の尾根線・谷線・道路・水路を選別確定する。
g 確定した道路・水路に囲まれた区域内の各筆又は目的土地の区画を、空中写真と修正土地台帳附属地図によって現地に特定明示する。
h 特定した土地区画線の各点を多角測量し、座標値、点間距離、地積を確定して、筆界は復原できる。
i 復原特定した筆界内の地積は、原始地積である。理由は別紙土地台帳附属地図調製要旨による。登記官は合法地積確定権を保有する。
*以上はすべて実体鏡を用いることにより現地実測方法が可能であるが、fとg以外はパソコンを用いて実施できる。
【0011】
しかして、本願発明と同一の特許出願人は、平成17年7月28日にGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムの特許出願をした(特開2007−33950)。その内容は、以下の通りである。本願発明はこれを基礎にして、改良しさらに優れたものにした。
【0012】
土地台帳附属地図と一致していると現地で確認した点を準拠点とし、不動点を基準点として確認した各点をGPS測量(VRS及びFKP方式による観測)し、原始写真上に尾根線、谷線、道路、水路等の方線を直線又は三次元ソフト(x軸、y軸、z軸)を原則的に使用して、平坦地の小規模区域は二次元ソフト(x軸、y軸)の使用も可能としてパソコンで網図を調整する。つぎに、調整した網図のうち目的土地が属する網目の各点をGPS測量(VRS及びFKP方式による観測)し、地形地物が明瞭に判読できるよう最大に拡大し、実体視(パソコン実体視を含む)しながら土地台帳附属地図を対査し、筆界点を特定する(筆界の確定である)。最後に、特定した筆界点の座標値と点間距離と点間内角を測定求積するものである。
【特許文献1】特開2007−33950
【非特許文献1】明治8年地租改正事務達3号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、土地台帳附属地図の準拠点と、不動点の基準点との確認した各点の位置は正確でなく誤差があることである。すなわち、地形は平坦ではなく大きな起伏があり、山の尾根や河川は直線ではなく曲がりくねっているためである。したがって、その誤差の解消が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかるGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムは、以上の課題を解決するために、土地台帳附属地図の準拠点と、不動点の基準点との確認した各点を、GPS測量し、原始写真上で網図を調整する。そして、この調整した網図のうち目的土地が属する網目の各点をGPS測量し、土地台帳附属地図を対査し、筆界点を特定する。最後に、特定した筆界点の座標値と点間距離と点間内角を測定求積するものとした。
【0015】
以下に、本発明のGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムの具体的な構成を詳細に記載する。まず、土地台帳附属地図(公図)と空中写真とを突き合わせして一致している点をその空中写真状で特定して現地で確認し特定した4〜5点を不動点(道路や水路や谷線や尾根線などを含む)として確認し確定する。つぎに、この確定した4〜5点の不動点をGPS測量する。そして、筆界を復元する目的地周辺の道路や水路の放線および分水点や道路分岐点を空中写真と土地台帳付属地図とを対査して目的土地の位置を確認する。
【0016】
さらに、空中写真上で、地形や地物が明確に判読できるように最大に拡大して、この拡大した空中写真を実体視して土地台帳付属地図と対査しながら目的地の筆界点を確定する。そして、この確定した筆界点をトラバース測量またはパソコンで座標値を求積して、6.0平方尺坪か6.3平方尺坪か6.5平方尺坪かのいずれかを単位として表示されて土地台帳地積を6.0平方尺坪(約3.305立方メートル)に換算して求積した地積成果と対査して地租改正時の許容誤差以内の誤差であれば、復元した筆界線は正しいものと判断する。
【0017】
さらに、上記のようにして空中写真上で確定した筆界点を現地に明示するための筆界杭打設するため、先に復元確定している4〜5点の不動点のうち必要な不動点2点を選定し、不動点間の長さをトランジット光波測距離計で測定して、空中写真上の不動点間の長さを 100分の1mm迄測定して空中写真の真縮尺を計算する。そして、この不動点2点を直線で結んだ線を基線とする。
【0018】
上記の不動点2点のうち筆界杭打設するのに更なる点を準拠点として、空中写真上に設定した各筆界点と基線との角度を三桿分度器またはパソコンで測角する。さらに、上記の準拠点を基点として各筆界点間の長さを 100分の1mmまで測定し、先に算出した真の縮尺倍して実長を算出する。そして、目的地内に建物などの遮蔽物がある時は、上記の準拠点を起点として各筆界点の内角と点間 100分の1mmまで測定し、上記の通り実長を計算して、その角度と距離(長さ)をもって各筆界点を設定する。こうして、目的地の筆界点の設置が終われば、筆界点各点の座標値をGPSまたはトランジット測量で求めて座標を求積し、上記定に基づいて示現した筆界点を検証し許容誤差以内に納める。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかるGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムは、以上のごとくになしたゆえに、上記の課題を解決して以下のごとき多大な効果が生じた。すなわち、地形は平坦ではなく大きな起伏があり、山の尾根や河川は直線ではなく曲がりくねっているため、土地台帳附属地図の準拠点と不動点の基準点との確認した各点の位置の誤差がある。その誤差ををGPSで修正し正確にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
三次元筆界復元特定解析システムは、昭和初期の複数の航空写真から特別な機材を使わずに三次元立体地形を起こし、このデータをもとに土地筆界を解析するシステムである。実体鏡での解析による不動点データを加えることでより精密な筆界が復元される。さらに、このシステムにより作成できる改租地の不動点解析データと、最新の航空写真による立体地形を重ね合わせることで正確な土地筆界データが解析できる。本願発明は、これにGPSを用いたたものである。
【実施例1】
【0021】
しかして、本発明にかかるGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムをその具体的な実施例を用いて添付の図面と共に詳細に述べる。まず、土地台帳附属地図であるが、土地台帳附属地図(斜投影図)を正(水平)投影図に変換するには土地台帳附属地図と現地が一致し、改租以来変動していない点の調査確認が必要であり、土地台帳附属地図上で不動点と認知できる目安として思考できる点を信頼度の順に示すと次のとおりである。
【0022】
すなわち、土地台帳地図上での不動点認知の目安は以下の通りである。
1.尾根線の分岐点
2.地形の急激な変化線(災害地を除く)
3.用水溜池の底樋放水口と水路の接点
4.用水路の水路分岐点(分水点ともいう)
5.三字以上の地界集合点
6.著しく屈曲している地界の屈曲点
7.改変されていない社寺境内地及び墓地の境界点
8.所有者(旧地主)の異なる三筆以上の集合点
9.所有者(旧地主)の異なる筆界の著しい屈曲点
10.改良されていない道路、水路の交差点及び著しい屈曲点
等の不動点を基本として斜投影図(土地台帳附属地図)を測量法に規定する正(水平)投影図に転換する。
【0023】
しかして、本発明にかかるGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムは、まず土地台帳附属地図上で上記動点選定の目安によって不動点と認知する。つぎに、土地台帳附属地図上に認定した不動点を租祖以来地形の改変が最も少ない空中写真として昭和22年、23年に米極東空軍が撮影した空中写真(最も古い空中写真)を原始写真として、地租改正要領報告(明治15年松方正義大蔵卿報告)の第2款第1項「経界ノ更正」の項末尾記載事項「大率、山川、構渠、道路、提塘等著名不動ナル者ニヨッテ境界ヲ定メタリ」を基調として土地台帳附属地図を実体視(三次元ソフトによる実体視を含む)し、先に認定明示した不動点を準拠点として尾根線や谷線や道路や水路等の方線を原始写真にパソコン又は実体視して明示すると共に最新の空中写真に転写する。そして、土地台帳附属地図と道路1や水路2や谷線3や尾根線4などや不動点5を明示した原始写真(これを模した図1と2を参照)、最新の写真を携行して現地調査を実施し、土地台帳附属地図上の道路(赤線で表示)や水路(青線で表示)や
字界を確認し、溜池の放水口や用水路の分水点や地形の急激な変化線や三字以上接合点や社寺境内地や墓地の境界点のうち土地台帳附属地図と一致する点を確認し、これを準拠点として斜投影図(土地台帳附属地図)を正投影図に転換する。
【0024】
図3は、不動産登記法第4条第1項に規定の地図(国土調査地籍図)の343番2の土地の境界点を現地に特定する技法を示す平面図であり、図4はその部分拡大図である。しかして、第1の境界点11,第2の境界点10,第3の境界点16,第4の境界点13,第5の境界点15の各点を現地に設定するため、空中写真と不動産登記法第14条第1項地図とを現地と対査し、図3の符号0を準拠点0として選定し、又343番2の土地についても空中写真、不動産登記法第14条第1項に規定の地図と対査し第1の境界点11が地図と現地の点が一致することを確認し、準拠点0として選定した。
【0025】
準拠点0と第1の境界点11を直線で結んだ線を基線Bとし、準拠点0〜第1の境界点11間の長さをトランシット光波測距計で測定し、83.0129mを得、不動産登記法第14条第1項地図上の長さは164.19mmで本図の公称縮尺は500分の1であるが、境界点復元に必要とする本図が持っている実縮尺は505.59分の1である。よって343番2の土地の
第1の境界点11と第2の境界点10間の図上長 33.45mmで
実測長は16.91198m≒16.91m
第2の境界点10と第3の境界点16間の図上長 27.53mmで
実測長は13.92394m≒13.92m
第3の境界点16と第4の境界点13間の図上長 16.78mmで
実測長は8.4838m≒8.48m
第4の境界点13と第5の境界点15間の図上長 17.45mmで
実測長は8.82254m≒8.82m
第5の境界点15と第1の境界点11間の図上長 18.42mmで
実測長は9.31296m≒9.31m と決定する。
【0026】
次に、準拠点0と第1の境界点11を結んだ線を基線として第1の境界点11を起点として各点の方向を定めるため、図上で三棹分度器を用いて次のとおりの角度を測定した。
準拠点0と第1の境界点11と第2の境界点10の角度は 8度25分
第1の境界点11と第2の境界点10と第3の境界点16の角度 90度55分
第2の境界点10と第3の境界点16と第4の境界点13の角度は 90度45分
第3の境界点16と第4の境界点13と第5の境界点15の角度は 145度04分
第4の境界点13と第5の境界点15と第1の境界点11の角度は 126度31分
第5の境界点15と第1の境界点11と第2の境界点10の角度は 85度21分 と測定した。
【0027】
343番2の土地の内角の総和は、(n−2)×180であるから、(5−2)×180=540度であり、測定合計は540度であるから三棹分度器で測定した内角度は適合した。
よって、トランシットを第1の境界点11に据えて正準し、境界点0を視準し、
8度25分の方向に16.91mの点が第2の境界点10
第2の境界点10にトランシットを据え第1の境界点11と第2の境界点10と第3の境界点16の角度90度54分の方向で16.91mの点が第2の境界点10である。
【0028】
以下同様の方法により第3の境界点16、第4の境界点13、第5の境界点15を設定し、各点をVRS観測により座標値を求め求積し、210.06平方メートルの地積を得た。
343番の地積は207.71平方メートル(登記簿地積)でありその差2.35平方メートルを生じた。
国土調査法施行令第6条、誤差の限度は別表4の内地積測定の公差は200平方メートルで2.48平方メートル であることから、343番2の土地として現地に示現した第1の境界点11、第2の境界点10、第3の境界点16、第4の境界点13、第5の境界点15の各点を直線で結んだ範囲が不動産登記法第14条1項地図と一致すると確認した。但し、本復元は不動産登記法第14条1項地図(国調地籍図)を復元したが、上記の第14条1項地図及び、不動産登記法第14条4項地図(土地台帳地図)、空中写真に明示した土地区画線は上記の法により現地に示現することができる。示現した土地区画線が不動産登記法第123条にいう筆界であると認定して差し支えないと思考される。
【0029】
不動産登記法第14条4項地図(土地台帳地図)を復元する場合は、同地図と空中写真と現地とを対査して、不動点(最少4点)を選点確定した後、VRS観測又はパソコンで座標値を定め各不動点の点間距離、点の内角、標高を測定する。写真を鮮明に判定できる限りに拡大し、実体鏡(パソコン)を使用して目的土地(本例では343番2の土地)の屈曲点を選点確定し、直線で結び目的土地を空中写真上に特定する。不動産登記法第14条4項地図と対査検討(実調と併せて目的地の境界を確定)し、空中写真上に記入し求積して土地台帳地積(登記簿地積)と比較検討し、写真上の境界点を更正して地図、登記簿に適合させる。但し傾斜地域では、不動点間の標高差を実体鏡の視差器で測定し、水平距離を計算し空中写真と対査し確定する。傾斜地域の土地台帳地積(登記簿地積)は斜面積又は査定面積であるから、土地台帳地積を資料として採用することは避ける必要があるため、境界確定には入念な判断が要求される。空中写真上で確定した境界点の示現は、上記動産登記法第14条1項地図(国調地籍図)と同様である。
【0030】
しかして、GPS使用の三次元筆界復元特定解析システムの具体的な実施例の要点を述べる。まず、土地台帳附属地図(公図)と空中写真とを重ね合わせるなどで突き合わせして一致している点をその空中写真状で特定し、現地で確認し特定した4〜5点を不動点5(道路1と水路2と谷線3や尾根線4などの各点を含む)として確認し確定する。つぎに、この確定した4〜5点の不動点5をGPS測量(VRSおよびFKP方式による観測)する。そして、筆界を復元する目的地周辺の道路1や水路2の放線および分水点や道路分岐点を空中写真と土地台帳付属地図とを対査して目的土地の位置を確認する。
【0031】
さらに、空中写真上で、地形や地物が明確に判読できるように最大に拡大する。そして、この拡大した空中写真を実体視して土地台帳付属地図と対査しながら目的地の筆界点を確定する。さらに、この確定した筆界点をトラバース測量(多角測量)またはパソコンで座標値を求積する。そして、6.0平方尺坪か6.3平方尺坪か6.5 平方尺坪かのいずれかを単位として表示されて土地台帳地積を6.0平方尺坪(約3.305立方メートル)に換算して求積した地積成果と対査して地租改正時の許容誤差(郡村地では1反歩につき10坪で約3%、市街地では 100坪につき2坪で約2%)以内の誤差であれば、復元した筆界線は正しいものと判断する。
【0032】
さらに、上記のようにして空中写真上で確定した筆界点を現地(目的地)に明示するための筆界杭打設するため、先に復元確定している4〜5点の不動点のうち必要な不動点2点を選定し、不動点間の長さ(距離)をトランジット光波測距離計で測定する。そして、空中写真上の不動点間の長さを 100分の1mm迄測定して空中写真の真縮尺を計算する。さらに、この不動点2点を直線で結んだ線を基線とする。
【0033】
上記の不動点2点のうち筆界杭打設するのに更なる点を準拠点0として、空中写真上に設定した各筆界点と基線との角度を三桿分度器またはパソコンで測角する。上記の準拠点0を基点として各筆界点間の長さを 100分の1mmまで測定し、先に算出した真の縮尺倍して実長を算出する。さらに、目的地内に建物などの遮蔽物がある時は、上記の準拠点0を起点として各筆界点の内角と点間 100分の1mmまで測定し、上記の通り全長を計算して、その角度と距離(長さ)をもって各筆界点を設定する。こうして、目的地の筆界点の設置が終われば、筆界点各点の座標値をGPSまたはトランジット測量で求めて座標を求積し、上記の規定に基づいて示現した筆界点を検証し許容誤差以内に納める。
【0034】
しかして、この明細書に述べた用語について、ここでもう一度整理して述べる。先ず、土地台帳地図であるが、これは土地台帳法施行に際して「土地台帳付属地図」と言われ、現在一般的に「公図」と言われ現行の不動産登記法では、その第14条第4項地図とされている。土地台帳地図は、明治6年太政官布告第272号「地租改正条例」その他の地租改正法に基づいて、行政機関(大蔵省地租改正事務局)が明治8年5月17日に太政大臣が発出した「地租改正事務一切を委任する。」という委任状を権原として、公的な法律上の行為として実施した地租改正処分の確定図である。よって、本図に明示されている土地区画線が筆界で、屈曲点が筆界点である。
【0035】
国土調査地籍図(不動産登記法第14条第1項地図)に関して、国土調査法(昭和26年不動産登記法180)に基づいて「毎筆の土地について、その所有権地番及び地目の調査並びに境界及び地積の測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成する。」(国土調査法第2条第5項)調査測量で地租改正処分とは関係なく、測地学的測量による現況地籍の調査であるため、国調地籍図に明示している土地区画線を境界で、その屈曲点が境界点である。しかして、不動点とは、改祖処分後今日まで変動していないと認定した点を筆界点を言う。そして、準拠点とは、筆界又は境界を復元確認するため、目的地の復元作業に都合の良い点を選択確認する点である。不動産登記法第14条第4項地図(土地台帳地図)を使用するときは不動点という。
【産業上の利用可能性】
【0036】
GPSを使用しての三次元筆界復元特定解析システムの発展。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかるGPS使用の三次元筆界復元特定解析システムと同一の特許出願人がこの発明の前提になっている前回特許出願した発明の一実施例の不動点を明示した原始写真を模写した筆界特定の平面図である。
【図2】図1と同一の平面図であって、符号5で示す不動点の位置を明白にすべくその引き出し線の起点を中心にして円を描いたものである。
【図3】不動産登記法第4条第1項の地図のある土地の境界点を現地に特定する技法を示す平面図である。
【図4】図3の部分拡大図を示したものである。
【符号の説明】
【0038】
0 準拠点
1 道路
2 水路
3 谷線
4 尾根線
5 不動点
10、11、13、15、16 境界点
B 基線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土地台帳附属地図と空中写真との一致点をその空中写真状で特定して現地で確認し特定した4〜5点を不動点として確認し確定し、この確定した4〜5点の不動点をGPS測量し、筆界を復元する目的地周辺の道路や水路の放線および分水点や道路分岐点を空中写真と土地台帳付属地図とを対査して目的土地の位置を確認し、さらに空中写真上で地形や地物が明確に判読できるように拡大し、この拡大した空中写真を実体視して土地台帳付属地図と対査しながら目的地の筆界点を確定し、この確定した筆界点をトラバース測量またはパソコンで座標値を求積し、6.0平方尺坪か6.3平方尺坪か6.5平方尺坪かのいずれかを単位として表示されて土地台帳地積を6.0平方尺坪に換算して求積した地積成果と対査して地租改正時の許容誤差以内の誤差であれば、復元した筆界線は正しいものと判断し、さらに上記のようにして空中写真上で確定した筆界点は現地に明示するための筆界杭打設するため先に復元確定している4〜5点の不動点のうち必要な不動点2点を選定し不動点間の長さをトランジット光波測距離計で測定して空中写真上の不動点間の長さを 100分の1mm迄測定して空中写真の真縮尺を計算して、この不動点2点を直線で結んだ線を基線とし、上記の不動点2点のうち筆界杭打設するのに更なる点を準拠点として空中写真上に設定した各筆界点と基線との角度を三桿分度器またはパソコンで測角し、さらに上記の準拠点を基点として各筆界点間の長さを 100分の1mmまで測定し、先に算出した真の縮尺倍して実長を算出して、目的地内に建物などの遮蔽物がある時は上記の準拠点を起点として各筆界点の内角と点間 100分の1mmまで測定し、上記の通り実長を計算して、その角度と距離をもって各筆界点を設定して、目的地の筆界点の設置が終われば筆界点各点の座標値をGPSまたはトランジット測量で求めて座標を求積し、示現した筆界点を検証し許容誤差以内に納める、ことを特徴としたGPS使用の三次元筆界復元特定解析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−266619(P2010−266619A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117103(P2009−117103)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(305008019)
【Fターム(参考)】