説明

HOXB4組み換えタンパク質の製造方法

【課題】 HOXB4組み換えタンパク質(すなわちTAT-HOXB4H)の改良された製造方法に関するものである。
【解決手段】 このTAT-HOXB4HのC−末端には、6個ないしそれ以上のヒスチジンからなるタグが含まれる。HOXB4のオープンリーディングフレームのC−末端に少なくとも6個のヒスチジンのコーディングフラグメントを含むDNAコンストラクトを構築し、宿主細胞に形質転換したのち、宿主細胞中でC−末端に少なくとも6個のヒスチジンタグを含むHOXB4組み換えタンパク質を発現させ、組み換えタンパク質を精製する。この組み換えタンパク質が宿主細胞(大腸菌など)で産生されたのちに、タンパク質を精製する際の効率を3ないし5倍に高める。本発明は、製造されたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質を用いて生体外の幹細胞を増殖させる方法、およびその組成物の使用にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C−末端にヒスチジンタグを含むHOXB4組み換えタンパク質(TAT−HOXB4H)の作成に用いられるDNAコンストラクトを構築することによって当該の組み換えタンパク質の精製効率を上げる方法に関するものであり、当該のTAT−HOXB4HはC−末端に6個またはそれ以上のヒスチジンタグを含む。本発明は、作成されたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質を用いて生体外の幹細胞を増殖させる方法、及びその組成物の使用に関し、一段の進歩をもたらすものである。
【背景技術】
【0002】
臍帯血(umbilical cord blood;UCB)は、嬰児の出生時に臍帯及び胎盤の内部に残留した血を指す。臍帯血は多くの「ゼロ歳」の原始幹細胞を含むが、その効用は骨髄に相当し、人体が製造する血液及び免疫系の主要な源である。臍帯血の幹細胞は全能細胞とも呼ばれ、胚に類似した「若い」かつ比較的未分化な細胞であることから、異なる形態の細胞や組織に発展することが可能であり、癌や血液疾病、さらには先天的な代謝疾病等の治療に用いることが可能である。臍帯血幹細胞の数と質は、いずれもその他の幹細胞と比較して優良であり、また臍帯血中の造血幹細胞及び母細胞の濃度は骨髄内の10−20倍であるため、その増殖能力も比較的高い。
【0003】
その上、臍帯血の造血幹細胞は比較的未成熟(primitive; immature)なため、臍帯血中のT細胞は「自己」と「他者(non-self)」を弁別する能力が骨髄や末梢血の成熟した造血幹細胞に比べて低い傾向があり、よって移植片対宿主病(graft versus host disease; GVHD)や拒否反応(rejection)の発生を減少させることができ、少数派に対する移植の機会を増やすことが可能である。このほか、臍帯血幹細胞はペアリングに関する要求条件が比較的低い。非親族間の骨髄移植では6個の白血球抗原(HLA)が全て符合していることが求められるが、臍帯血幹細胞移植では5個もしくは4個の抗原が一致すれば移植可能である。
【0004】
臍帯血幹細胞の採集数量は有限であり、乳幼児に対する使用であれば良いが、成人に対する使用であればやや不足する。カナダ・モントリオール大学(University of Montreal)のGuy Sauvageau博士はかつて骨髄中の幹細胞の数が制限される現象について研究を行った。彼の研究はホメオボックス遺伝子(homeobox gene)であるHOXB4が造血幹細胞の自己複製の調節に対して重要であり、骨髄中のコロニーの大きさを維持することができるということを示した。HOX遺伝子が血球細胞で発現しうることを最初に証明したのは、ヒト及びラットの細胞株(cell line)を用いてのことである。いくつかのHOX遺伝子は異なる形態の細胞ではっきりと広範に発現し、また他のいくつかのHOX遺伝子は特定の細胞のみで活発に発現する。
【0005】
例えば、ヒトのHOXBクラスター中の8個の遺伝子は、赤血球細胞の発育の初めに発現し、HOXB4及びHOXB7を含むいくつかのHOXB遺伝子はT細胞やB細胞でも発現する。Sauvageauらは、9個のHOXA遺伝子、8個のHOXB遺伝子及び4個のHOXC遺伝子がCD34+骨髄細胞内で発現していること、またこのうちHOXB2、HOXB9及びHOXA10がCD34+の細胞コロニー内の赤血球原始細胞において最も多く発現していることを証明した。このほか、実験結果によると、CD34-細胞群においては、発現しているHOX遺伝子が全くないか、少数しか発現していないことも検出された。これにより、“HOXB4”タンパク質は生体外の造血幹細胞(HSC)増殖に有効な刺激剤として最も常用されている。
【0006】
遺伝子工学により作られた既知の組み換え“HOXB4”タンパク質は、タンパク質を細胞内に入れるため“HOXB4”タンパク質のN末端にTAT配列を結合している。このTAT配列は“HOXB4”タンパク質を細胞に入れた後、熱ショックタンパク90(Hsp90)の助けによって“HOXB4”タンパク質を活性のある構造に折りたたむ。また、そのN−末端には6個のヒスチジン(His−6)からなるヒスチジンタグを含むことから、この組み換えタンパク質の精製及び回収を行う際に有利である。この外来性“TAT−HOXB4”組み換えタンパク質は造血幹細胞の増殖を2−6倍に促進しうる、ということが既に証明されている(Amsellem, S. et al., Nature Medicine 9, 1423-1427, 2003; Krosl, J. et al., Nature Medicine 9, 1428-1432, 2003)。しかし、このTAT−HOXB4組み換えタンパク質は、宿主である大腸菌からの純化回収率が低いため、幹細胞を増殖させるために十分な量のTAT−HOXB4タンパク質を得るためには、大量の大腸菌発現細胞を培養し、煩雑な精製工程を用いることが必要である。
【0007】
そこで、本発明はTAT−HOXB4組み換えタンパク質の回収量を向上させることについて解決策を提示したい。その骨子は、C−末端にヒスチジンタグを含むHOXB4(TAT−HOXB4H)組み換えタンパク質を生産するためのコンストラクト(発現した組み換えTAT−HOXB4Hタンパク質はC−末端に少なくとも6個のヒスチジン残基タグを持つ)を構築することにより、当該組み換えタンパク質の精製効率を向上する方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ひとつには、本発明はC−末端に少なくとも6個のヒスチジンタグを含むHOXB4組み換えタンパク質の調製方法に関するものである。この方法には、HOXB4のオープンリーディングフレーム(ORF)のC−末端に少なくとも6個のヒスチジンコーディング配列を持つDNAコンストラクト(得られたコンストラクトを形質転換した宿主細胞においてTAT−HOXB4H組み換えタンパク質が発現する)の構築、及びこの組み換えタンパク質を精製することが含まれる。
【0009】
技術語“発現ベクター”、“ポリヌクレオチドベクター”、“DNAコンストラクト”及び“ベクターコンストラクト”は、この領域の技術を熟知している人が理解している通り、本文中で交換して使用されうる用語であり、遺伝子組み換えに用いられたいかなるコンストラクトをも指す。
技術語“Histidine tag(ヒスチジンタグ、His tag)”は本文中において、少なくとも6個のヒスチジン残基を指す。本発明における実際の方法では、C−末端に7個のヒスチジンコーディングフラグメントを導入したHOXB4のオープンリーディングフレームをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により増幅し、さらにこのDNAフラグメントクローンを適当な宿主細胞の中に入れて発現を進行させる。また別の実際の方法では、TAT−HOXB4組み換えタンパク質を発現するベクターをテンプレートとしてPCR法で増幅するときに、もとのTAT−HOXB4のC−末端のヌクレオチド配列中に5個のヒスチジンからなるコーディング配列を導入し、最終的に発現するTAT−HOXB4H組み換えタンパク質のC−末端に7個のヒスチジンタグが含まれるようにする。このコンストラクトを大腸菌に形質転換することで発現、製造されたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質の精製後の産量は、もとのTAT−HOXB4タンパク質の場合と比べて3−5倍になる。
【0010】
もうひとつには、本発明はTAT−HOXB4H組み換えタンパク質の産量の増加に用いられるDNAコンストラクトに関するものである。その特徴は、TAT−HOXB4のオープンリーディングフレームのC−末端に導入された7個のヒスチジンタグにある。実際の方法においては、本発明のDNAコンストラクトはプラスミドpTAT−HOXB4Hである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の方法を用いて製造されたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質は、同様に幹細胞の増殖に用いることが可能である。このタンパク質は生体外で臍帯血幹細胞の増殖を6倍にし、もとのTAT−HOXB4組み換えタンパク質と同様の効果があることが実験により証明されており、本発明の方法でTAT−HOXB4組み換えタンパク質のC−末端に5個のヒスチジンを導入することで得られた改良型TAT−HOXB4H組み換えタンパク質は、宿主細胞からの精製効率(および精製後の産量)を増加させるのみならず、幹細胞の増殖にも有効であることを示している。
【0012】
本発明のさらなる一面は、製造された新規TAT−HOXB4を含む組み換えタンパク質を用いて幹細胞増殖を行う際の幹細胞増殖用培地、及びその使用方法に関するものである。すなわち、幹細胞増殖に用いられる培地は、本発明の方法で得られた5−100nMのTAT−HOXB4H組み換えタンパク質、及び幹細胞培養に適当な細胞栄養物質、細胞増殖因子及び抗生物質を含む。本発明における実際の方法では、増殖に用いられる幹細胞は臍帯血幹細胞であり、実際の方法で増殖に用いられる幹細胞は造血幹細胞である。
【0013】
技術語“幹細胞”は、増殖・自己複製及び分化した次世代を大量に製造する能力を有する細胞を指す。幹細胞は分化、またはその他の細胞に変化する能力を持つ。このような細胞は通常胚の発育初期段階で得られ、適当な環境条件化で特定の組織と器官に変化することができる。
本申請の実施例による精製及び幹細胞増殖実験のデータが示すとおり、本発明の製造法により得られたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質の産量は、もとのTAT−HOXB4組み換えタンパク質の精製効率(および精製後の産量)と比較して3−5倍高く、かつTAT−HOXB4組み換えタンパク質に相当する幹細胞増殖促進能力を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に示した実施例は本発明の技術内容が達成できる効果を説明するものであるが、本発明を制約するものではない。本発明によって発生する如何なる均等な変化及び修飾も、全て本発明の特許請求の範囲が定める範疇に属する。
【0015】
(実施例1:プラスミドpTAT-HOXB4Hの構築)
プラスミドpTAT-HOXB4(Nature Medicine 9, 1428−1432(2003))を以下のような一対のプライマーを用いたPCR反応により増幅を進行させた。
5’−ctccatggctatgagttcttttttg−3’(配列:1)および
5’−atgatgatgatga tgatgatggagcgcgcgg−3’(配列:2)
この結果、HOXB4のオープンリーディングフレーム(ORF)のC-末端に4個の余剰ヒスチジン残基を含むフラグメント(図2)を得た。このように増幅して得たフラグメントを、再び以下の一対のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅した。
【0016】
5’−ctccatggctatgagttcttttttg−3’(配列:1)および
5’−cagaattcctaatg atgatgatgatga−3’(配列:3)
この結果、3'末端に新たにEcoRIの認識部位を有するフラグメントを得た。続いてこのフラグメントを制限酵素NcoIとEcoRIで切断したものと、またこのサブクローンと同じ二つの制限酵素で処理をして回収された元のpTAT−HOXB4プラスミドの骨格(これをフラグメントのNcoI及びEcoRIの切断部位とつなぐ)とから、新規プラスミドpTAT−HOXB4Hを製造した。本発明では、上述した特性を備える組み換えpTAT−HOXB4タンパク質をpTAT−HOXB4Hと称する。
【0017】
(実施例2:TAT-HOXB4H組み換えタンパク質とTAT-HOXB4組み換えタンパク質との精製及び産量の比較)
PTAT−HOXB4(もしくはpTAT−HOXB4H)のベクターを大腸菌株BL21(DE3)pLysS(Novagen)に形質転換した。形質転換を行った細胞を37℃で一晩増殖させた。一晩経過後の培養物を、OD600(600nmにおける光密度値)が0.05になるように希釈し、さらに37℃でOD600が0.5になるまで増殖させる。続いて1mMになるようにIPTG(Isopropyl-秉och-D-thiogalactopyranoside)を加え、37℃で3時間激しく振盪して発現を誘導する。誘導後、細胞を遠心分離法により収集し、さらに緩衝液A(8M尿素、20mM HEPES(2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid)、0.5mM DTT(ジチオスレイトール)および100mM NaCl、pH8.0)に懸濁する。
【0018】
細胞懸濁液をフレンチプレス(French press)により三回破砕・圧搾し、細胞溶解液を20000×g、4℃条件下で30分間遠心分離した。上清液にイミダゾールを10mMになるように調製して添加し、HisTrapキレーティングカラム(Amersham Pharmacia)に加えた。結合したタンパク質を50、100および250mMの比率で緩衝液A中に溶かしたイミダゾールによって溶出した。HOXB4(もしくはHOXB4H)を含む溶出液を、緩衝液B(4M尿素、20mM HEPES及び50mM NaCl、pH6.5)の存在下でMonoSPカラムに加え、1.5M NaClおよび20mM HEPES(pH8.0)で溶出し、さらにPD−10 Sephadex G−25カラムで脱塩した。PBS(リン酸緩衝液)でHOXB4(HOXB4H)タンパク質をPD−10 Sephadex G−25カラムから溶出、溶出液の純度は>99%であった。全溶出物に1%のBSAと10%のグリセロールを加え、分注して−80℃で急速冷凍した。
【0019】
図3の電気泳動結果に示すとおり、本発明方法により生産されたC−末端に新たに5個のヒスチジンが付加されたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質は、宿主である大腸菌からの回収産量が元のTAT−HOXB4組み換えタンパク質の産量に比べて約3−5倍に増加している。ブラッドフォード法により組み換えタンパク質の産量を以下のように定量した。既知の濃度のBSAのOD595をプロットしたものを利用して標準曲線を描き、内挿法によりサンプル中のタンパク質含量を計算した結果、得られたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質の産量は5.5mg/L、TAT−HOXB4組み換えタンパク質の産量は1.2mg/Lであると判明した。
【0020】
(実施例3:TAT-HOXB4H組み換えタンパク質の造血幹細胞の増殖に対する能力)
ヒト臍帯血中の赤血球を、4℃の0.1%炭酸水素ナトリウムを含む0.83%塩化アンモニウム(pH7.0)溶液中で溶解し除去した。収集した白血球部分を、磁性ビーズを結合させた特定の抗体と共に培養した後、Stemsepカラム分離法により磁性細胞分離を行い、CD34+を持つ細胞を収集し、成熟ヒト白血球細胞を発現している部分を除去した。精製された細胞を幹細胞培地(DMEM、以下の物質を含む。10%FCS(ウシ胎児血清)、5ng/mlインターロイキン−3、10ng/mlインターロイキン−6、100ng/ml STF(幹細胞成長因子)、ペニシリン100単位/ml、及び100μg/mlストレプトマイシン)中で2日間培養し、その後15nM HOXB4(またはHOXB4H)もしくは1%BSAを含む幹細胞培地中で4日間培養した。培養の3日目(処理当日を0日とする)に、4×105細胞/mlとなるように、BSAもしくはHOXB4(またはHOXB4H)を補充した幹細胞培地中に再懸濁した。この後3時間ごとに新鮮なBSAもしくはHOXB4(またはHOXB4H)タンパク質を添加した(総培地の5%に最初のタンパク質量の50%が含まれている)。12時間経過後、FCSと細胞因子を加え、希釈濃度が培地中に含まれる正確な量の20%になるように校正する。24時間経過後、目標タンパク質を含む新鮮培地中に細胞を再懸濁する。処理の0、2および4日目にISHAGE法(CD45/CD34染色と正面および側面からの散乱光)により幹細胞数を計測した。
【0021】
図4の結果が証明するとおり、本発明のTAT−HOXB4H組み換えタンパク質は臍帯血幹細胞の増殖を約6倍にすることができ、この効果は既知のTAT−HOXB4組み換えタンパク質に相当する。本発明により製造されたC−末端に付加された5個のヒスチジンを含むTAT−HOXB4H組み換えタンパク質は、もとのTAT−HOXB4組み換えタンパク質の幹細胞増生能力と比較して何らの影響がないことを示している。
【0022】
このほか、TAT−HOXB4Hタンパク質との共培養を経て増殖したヒトCD34+臍帯血幹細胞(マウス一匹ごとに5000個の細胞を与える)と、放射線照射を経た5×104個のCD34-補助細胞を、放射線照射(2.5Gy)を行ったNOD-LtSz-scid/scid(NOD−SCID)マウスに合わせて注射した。移植後7週間経過したのち、移植を経た動物から得られた血液細胞中のヒトCD45+細胞の存在量をフローサイトメトリーによって分析した。結果、本発明によるTAT−HOXB4Hタンパク処理を経た幹細胞が、BSA処理を行った臍帯血幹細胞と同じ量だけNOD−SCIDマウスの骨髄内に混入していた。さらに、このマウスの末梢血中のマウス白血球細胞に相当する部分に、0.05%から0.07%のヒトCD45陽性の白血球細胞が含まれていた。これは、増殖を経たこれらの幹細胞がなお多分化能(pluripotency)を保持していることを示している。
【0023】
以上に示した産量分析および幹細胞増殖実験の結果は、本発明のTAT−HOXB4H組み換えタンパク質が宿主の大腸菌において高い精製率を得ることが可能であるのみならず、幹細胞増殖の能力に影響しないことも証明している。これは組み換えTAT−HOXB4Hタンパク質の製造・生産面において、極めて進歩性を備えたブレイクスルーであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明であるC-末端に7個のヒスチジンタグを含むコンストラクトpTAT-HOXB4Hの構築過程を示す。
【図2】pTAT−HOXB4HコンストラクトのDNA配列(配列:4)。傍線(6)で示されているCAT配列は、pTAT−HOXB4Hコンストラクト中のC−末端に添加されたヒスチジンタグのコーディング配列を示す。
【図3】本発明であるTAT−HOXB4Hと既知のTAT−HOXB4の精製後の産量の比較結果。矢印はTAT−HOXB4HおよびTAT−HOXB4のタンパク質電気泳動の位置を指し、TAT−HOXB4Hの精製後産量がTAT−HOXB4の約4倍に増加していることを示している。
【図4】TAT−HOXB4H(白丸印)およびTAT−HOXB4(三角形)の生体外臍帯血幹細胞増殖促進の比較結果。CD34+細胞数の測量値を表示した。コントロールはBSA(ウシ血清アルブミン)により処理した(黒丸印)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HOXB4のオープンリーディングフレーム中のC−末端に、少なくとも6個のヒスチジンのコーディングフラグメントを含むDNAコンストラクトを構築し、得られたコンストラクトを宿主細胞に形質転換してTAT−HOXB4H組み換えタンパク質を発現させ、宿主細胞の溶解産物から組み替えタンパク質を精製し、HOXB4組み換えタンパク質(TAT−HOXB4H)を製造する方法。
【請求項2】
DNAコンストラクトにおいて、ポリメラーゼ連鎖反応により付加的な5個のヒスチジンのコーディング配列がTAT−HOXB4のオープンリーディングフレームのC末端に追加されることを特徴とする請求項1に記載のHOXB4組み換えタンパク質を製造する方法。
【請求項3】
宿主細胞として大腸菌を用いることを特徴とする請求項1に記載のHOXB4組み換えタンパク質を製造する方法。
【請求項4】
TAT−HOXB4のオープンリーディングフレームのC−末端に7個のヒスチジンタグを導入していることを特徴とするTAT−HOXB4H組み換えタンパク質の産量の増加に用いられるDNAコンストラクト。
【請求項5】
DNAコンストラクトがプラスミドpTAT−HOXB4Hであることを特徴とする請求項4に記載のTAT−HOXB4組み換えタンパク質の産量の増加に用いられるDNAコンストラクト。
【請求項6】
5nM〜100nMの請求項1に述べた方法で得られたTAT−HOXB4H組み換えタンパク質および幹細胞増殖に適した細胞栄養物質・細胞増殖因子と抗生物質を含む幹細胞増殖に用いられる培地。
【請求項7】
幹細胞が臍帯血幹細胞であることを特徴とする請求項6に記載の幹細胞増殖に用いられる培地。
【請求項8】
幹細胞が造血幹細胞であることを特徴とする請求項6に記載の幹細胞増殖に用いられる培地。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−525731(P2009−525731A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553600(P2008−553600)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000646
【国際公開番号】WO2007/090317
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(507253509)タイワン アドバンス バイオ―ファーム インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】