説明

ICカード、情報処理装置、通信方式の判別方法、及びプログラム

【課題】高速に方式判別が可能なICカードを提供すること。
【解決手段】非接触通信により受信した受信データの通信方式を判別可能なICカード(100)が提供される。当該ICカード(100)は、複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて受信データのエラー検出を実行するエラー検出部(124、126、128)と、複数の通信方式の中で、エラー検出部(124、126、128)によりエラー情報が非検出の通信方式を受信データの通信方式であると判別する方式判別部(180)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード、情報処理装置、通信方式の判別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触式IC(Integrated Circuit)カードや非接触式ICチップを搭載した携帯電話や携帯情報端末、或いは、非接触ICカードとの間で非接触通信するためのリーダ/ライタ機能を搭載した通信装置や情報処理装置等が普及してきている。以下、これらの装置又は機器を非接触通信装置と呼ぶことがある。リーダ/ライタと非接触ICカードとは、互いに特定周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を利用して近接通信を行うことができる。例えば、リーダ/ライタにより所定の処理を非接触ICカードに実行させるためのコマンドが送信されると、非接触ICカードは、受信したコマンドに応じた処理を実行し、その実行結果を応答信号として返送する。
【0003】
このとき、リーダ/ライタ、及び非接触ICカードは、送信データに応じてアンテナの負荷を変化させることで搬送波に変調を施す負荷変調と呼ばれる変調技術を利用して信号を送信することができる。通常、この信号は、ASK(Amplitude Shift Keying)と呼ばれる振幅変調方式で送信される。さらに、この信号は、リーダ/ライタ、及び非接触ICカードが互いに対応する通信方式に基づいて送信される。例えば、この信号は、所定の通信方式で規定された符号化形式で符号化され、さらに、当該所定の通信方式で規定された変調度で変調されて送信される。
【0004】
これに関し、最近、複数の通信方式に対応する非接触ICカードに関する技術に注目が集まっている。特に、通信を確立するに際してリーダ/ライタから受信した信号に基づき、そのリーダ/ライタに対応する通信方式を正確かつ高速に判別することが可能な非接触ICカードの開発が切に求められている。
【0005】
これに関連する技術として、例えば、下記の特許文献1には、非接触ICカードとリーダ/ライタとの間で通信方式を確立するための技術が記載されている。当該技術は、非接触ICカード、又はリーダ/ライタから受信した変調信号に対し、変調方式と符号化方式とに関する複数の組み合わせを順次切り替えながら、その変調信号に整合する組み合わせを探索する技術に主な特徴を有する。
【0006】
他の例として、下記の特許文献2には、非接触ICカードに関する技術が記載されている。当該技術は、リーダ/ライタから受信した受信信号の通信プロトコルを判別する技術に関する。特に、当該技術は、国際規格ISO−14443のタイプA及びタイプB(以下、ISO14443−A、ISO14443ーB)と呼ばれる通信プロトコルの利用を想定しており、受信信号のヘッダ情報に基づいて通信プロトコルを判別する技術に主な特徴を有する。
【0007】
さらに他の例として、下記の特許文献3には、非接触ICカードに関する技術が記載されている。当該技術は、リーダ/ライタとの通信を確立する際に、当該リーダ/ライタから受信した受信信号の通信方式を判別する技術に関する。特に、当該技術は、ISO14443−A及びISO14443−B、或いは、日本ICカード利用促進協議会(JICSA)で規定された高速処理用ICカード規格の利用を想定しており、受信信号のヘッダ情報に基づいて通信プロトコルを判別する技術に主な特徴を有する。
【0008】
【特許文献1】特開2003−233787号公報
【特許文献2】特開2005− 94760号公報
【特許文献3】特開2006− 60363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術を用いると、所定の通信方式に対応する変調方式及び符号化形式に関して全ての整合を確かめるため、非常に判別速度が遅いという問題がある。同様に、上記の特許文献2及び3に記載の技術を用いると、信号のヘッダ情報までを読み込んでから通信方式を判別するため、依然として判別速度が遅いという問題がある。さらに、通信が不安定な状況等において信号を誤って読み込んだ場合に通信方式を誤判定する可能性が高いという問題もある。このように、通信方式の判定技術においては、判定速度の問題、及び判定精度の問題が依然として大きな課題となっている。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、エラー情報を判別に利用することで非接触通信により受信した受信データの通信方式をより高速かつ正確に判別することが可能な、新規かつ改良されたICカード、情報処理装置、通信方式の判別方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、非接触通信により受信した受信データの通信方式を判別可能なICカードが提供される。当該ICカードは、複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて前記受信データのエラー検出を実行するエラー検出部と、前記複数の通信方式の中で、前記エラー検出部によりエラー情報が非検出の通信方式を前記受信データの通信方式であると判別する方式判別部とを備えることを特徴とする。かかる構成により、通信方式の判別速度、及び判別精度をより向上させることが可能になる。
【0012】
また、前記エラー検出部は、前記エラー情報として前記受信データの符号エラー及びフレームエラーを検出するものであってもよい。かかる構成により、通信方式の判別精度をより向上させることが可能になる。
【0013】
また、前記エラー検出部は、所定の符号数に達するまで符号単位で前記受信データのエラー情報を検出するものであってもよい。かかる構成により、通信方式の判別精度をより向上させることが可能になる。
【0014】
また、前記エラー検出部は、前記受信データのヘッダ情報に達するまで符号単位で当該受信データのエラー情報を検出するものであってもよい。かかる構成により、通信方式の判別精度をより向上させることが可能になる。
【0015】
また、前記ICカードは、互いに異なる前記符号化形式に対応し、各々対応する前記符号化形式の符号化データを復号することが可能な複数の復号部と、前記エラー情報が検出された符号化形式に対応する前記復号部の電力供給を低減又は停止させる省電力制御部とをさらに備えていてもよい。かかる構成により、省電力化された復号部を復帰させる際、復帰させる復号部をより高速に判別できるようになるため、ICカード自体が受信可能状態になるまでの時間を短縮することが可能になる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記のICカードの機能を搭載することを特徴とする、情報処理装置が提供される。また、前記情報処理装置は、通話機能を搭載した携帯電話であってもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、非接触通信により受信された受信データの通信方式を判別する方法が提供される。この方法は、複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて前記受信データのエラー検出が実行されるエラー検出ステップと、前記複数の通信方式の中で、前記エラー検出ステップにおいてエラー情報が非検出の通信方式が前記受信データの通信方式であると判別される方式判別ステップとを含むことを特徴とする、通信方式の判別方法である。かかる構成により、通信方式の判別速度、及び判別精度をより向上させることが可能になる。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、非接触通信により受信された受信データの通信方式を判別する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。当該プログラムは、複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて前記受信データのエラー検出を実行するエラー検出機能と、前記複数の通信方式の中で、前記エラー検出機能によりエラー情報が非検出の通信方式を前記受信データの通信方式であると判別する方式判別機能とをコンピュータに実現させるためのプログラムである。また、当該プログラムが記録された記録媒体も提供されうる。かかる構成により、通信方式の判別速度、及び判別精度をより向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、エラー情報を判別に利用することで非接触通信により受信した受信データの通信方式をより高速かつ正確に判別することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態は、リーダ/ライタから受信した信号のエラー情報に基づいて当該信号の通信方式を判別する点に1つの特徴がある。また、エラー情報として符号エラーを検出する点に1つの特徴がある。以下では、これらの特徴点を中心に本実施形態に係る装置及び方法について説明する。
【0022】
[システムの全体構成]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る非接触通信システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るシステム構成の一例を示す説明図である。尚、このシステム構成は、説明の都合上、本実施形態が適用されうるシステム構成の一例として概略的に記載したものであり、これに限定されるものではない。
【0023】
図1に示すように、非接触通信システム1は、例えば、複数のリーダ/ライタ10、20、30と、非接触ICカード100とにより構成される。
【0024】
リーダ/ライタ10は、例えば、ISO14443−Bで規定された通信方式に対応するリーダ/ライタである。同様に、リーダ/ライタ20は、例えば、ISO14443−Aで規定された通信方式に対応するリーダ/ライタである。さらに、リーダ/ライタ30は、例えば、日本ICカード利用促進協議会(JICSA)で規定された高速処理用ICカード規格の通信方式に対応するリーダ/ライタである。
【0025】
一方、非接触ICカード100は、例えば、ISO14443−A、ISO14443−B、及び高速処理用ICカード規格の一部又は全部に対応した複数通信方式対応の非接触ICカードである。尚、非接触ICカード100に代えて、非接触ICカード100の機能を搭載した携帯電話、情報処理装置、又は他の電子機器等であってもよい。
【0026】
非接触ICカード100は、主に、アンテナ102と、受信回路ブロック104と、送信回路ブロック106とにより構成される。受信回路ブロック104は、上記の複数通信方式の信号を受信可能であり、受信した信号の通信方式を判別する機能を有する。受信回路ブロック104により通信方式が判別されると、判別された通信方式に従い、通信経路が確立したリーダ/ライタとの間で通信することが可能になる。
【0027】
例えば、リーダ/ライタ20から信号を受信した場合、非接触ICカード100は、受信回路ブロック104により、その信号が属する通信方式がISO14443−Aであることを判別する。そして、非接触ICカード100は、ISO14443−Aの規定に基づき、送信回路ブロック106により信号を送信し、或いは、受信回路ブロック104により信号を受信する。より具体的には、送信回路ブロック106は、ISO14443−Aの方式に従い、その方式で規定された符号化形式でデータを符号化し、そして、その方式で規定された変調度で符号化されたデータを変調して送信する。逆に、受信回路ブロック104は、ISO14443−Aの方式に従い、その方式で規定された変調度で受信信号を復調し、その方式で規定された符号化形式で復調されたデータを復号する。
【0028】
上記のように、非接触ICカード100は、受信した信号の通信方式が判別されると、その通信方式でリーダ/ライタと相互に通信することが可能になる。以下、非接触ICカード100が有する通信方式の判別機能に係る機能構成について説明する。
【0029】
[非接触ICカード100の機能構成]
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る非接触ICカード100の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る非接触ICカード100の機能構成を示す説明図である。
【0030】
図2に示すように、非接触ICカード100は、主に、アンテナ102と、受信部108と、第1方式判別前段回路120と、第2方式判別前段回路140と、第3方式判別前段回路160と、通信方式判定回路180とにより構成される。
【0031】
(第1方式判別前段回路120)
まず、第1方式判別前段回路120について説明する。第1方式判別前段回路120は、主に、復調回路122と、復号回路124と、符号エラー検出器126と、符号カウンタ128と、フレームエラー検出器130とにより構成される。尚、説明の便宜上、第1方式は、ISO14443−A方式に相当し、変調方式がASK100%に、及び符号化形式が変形ミラー符号に規定されているものと仮定する。もちろん、本実施形態はこれに限定されない。
【0032】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路122に入力される。復調回路122は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。例えば、復調回路122は、100%の振幅変調を利用したASK方式の変調信号を復調することができる。そして、復調回路122により復調されたデータは、復号回路124、及び符号エラー検出器126に入力される。
【0033】
符号エラー検出器126は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器126は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。例えば、符号エラー検出器126は、入力されたデータの各符号が変形ミラー符号として正しいか否かを判別し、正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力することができる。そして、符号エラー検出器126から出力された符号エラーは、符号カウンタ128、及び通信方式判定回路180に入力される。
【0034】
復号回路124は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。例えば、復号回路124は、変形ミラー符号で符号化されたデータを復号することができる。そして、復号回路124により復号されたデータは、フレームエラー検出器130、及び符号カウンタ128に入力される。フレームエラー検出器130は、所定の通信方式(第1方式)で規定されたデータフレームに関するエラー(以下、フレームエラー)を検出する手段である。例えば、フレームエラー検出器130は、入力されたデータのパリティ検査、及びCRC検査を施し、パリティエラー、及びCRCエラーを検出することができる。そして、フレームエラー検出器130により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路180に入力される。
【0035】
符号カウンタ128は、所定の通信方式(第1方式)の符号サンプリングクロックで所定期間の符号数をカウントする手段である。但し、符号カウンタ128は、入力されたデータの先頭からビット単位で符号数をカウントし、符号エラー検出器126により符号エラーが検出された際にカウントされた符号数を0にリセットする。符号カウンタ128は、所定期間の符号数をカウントし終えた場合に完了通知を通信方式判定回路180に入力する。尚、符号数のカウント方法については後述する。
【0036】
(第2方式判別前段回路140)
次に、第2方式判別前段回路140について説明する。第2方式判別前段回路140は、主に、復調回路142と、復号回路144と、符号エラー検出器146と、符号カウンタ148と、フレームエラー検出器150とにより構成される。尚、説明の便宜上、第2方式は、ISO14443−B方式に相当し、変調方式がASK10%に、そして、符号化形式がNRZ符号に規定されているものと仮定する。もちろん、本実施形態はこれに限定されない。
【0037】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路142に入力される。復調回路142は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。例えば、復調回路142は、10%の振幅変調を利用したASK方式の変調信号を復調することができる。そして、復調回路142により復調されたデータは、復号回路144、及び符号エラー検出器146に入力される。
【0038】
符号エラー検出器146は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器146は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。例えば、符号エラー検出器146は、入力されたデータの各符号がNRZ符号として正しいか否かを判別し、正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力することができる。そして、符号エラー検出器146から出力された符号エラーは、符号カウンタ148、及び通信方式判定回路180に入力される。
【0039】
復号回路144は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。例えば、復号回路144は、NRZ符号で符号化されたデータを復号することができる。そして、復号回路144により復号されたデータは、フレームエラー検出器150、及び符号カウンタ148に入力される。フレームエラー検出器150は、所定の通信方式(第2方式)で規定されたフレームエラーを検出する手段である。例えば、フレームエラー検出器150は、入力されたデータのキャラクタエラー、ガードタイムエラー、SOFエラー、EOFエラー、及びCRCエラーを検出することができる。そして、フレームエラー検出器150により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路180に入力される。
【0040】
符号カウンタ148は、所定の通信方式(第2方式)の符号サンプリングクロックで所定期間の符号数をカウントする手段である。但し、符号カウンタ148は、入力されたデータの先頭からビット単位で符号数をカウントし、符号エラー検出器146により符号エラーが検出された際にカウントされた符号数を0にリセットする。符号カウンタ148は、所定期間の符号数をカウントし終えた場合に完了通知を通信方式判定回路180に入力する。尚、符号数のカウント方法については後述する。
【0041】
(第3方式判別前段回路160)
次に、第3方式判別前段回路160について説明する。第3方式判別前段回路160は、主に、復調回路162と、復号回路164と、符号エラー検出器166と、符号カウンタ168と、フレームエラー検出器170とにより構成される。尚、説明の便宜上、第3方式は、高速処理用ICカード方式に相当し、変調方式がASK10%に、そして、符号化形式がマンチェスタ符号に規定されているものと仮定する。もちろん、本実施形態はこれに限定されない。
【0042】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路162に入力される。復調回路162は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。例えば、復調回路162は、10%の振幅変調を利用したASK方式の変調信号を復調することができる。そして、復調回路162により復調されたデータは、復号回路164、及び符号エラー検出器166に入力される。
【0043】
符号エラー検出器166は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器166は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。例えば、符号エラー検出器166は、入力されたデータの各符号がマンチェスタ符号として正しいか否かを判別し、正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力することができる。そして、符号エラー検出器166から出力された符号エラーは、符号カウンタ168、及び通信方式判定回路180に入力される。
【0044】
復号回路164は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。例えば、復号回路164は、マンチェスタ符号で符号化されたデータを復号することができる。そして、復号回路164により復号されたデータは、フレームエラー検出器170、及び符号カウンタ168に入力される。フレームエラー検出器170は、所定の通信方式(第3方式)で規定されたフレームエラーを検出する手段である。例えば、フレームエラー検出器170は、入力されたデータのSYNCコードエラー、及びCRCエラーを検出することができる。そして、フレームエラー検出器170により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路180に入力される。
【0045】
符号カウンタ168は、所定の通信方式(第3方式)の符号サンプリングクロックで所定期間の符号数をカウントする手段である。但し、符号カウンタ168は、入力されたデータの先頭からビット単位で符号数をカウントし、符号エラー検出器166により符号エラーが検出された際にカウントされた符号数を0にリセットする。符号カウンタ168は、所定期間の符号数をカウントし終えた場合に完了通知を通信方式判定回路180に入力する。尚、符号数のカウント方法については後述する。
【0046】
(通信方式判定回路180)
通信方式判定回路180は、第1方式判別前段回路120、第2方式判別前段回路140、及び第3方式判別前段回路160から入力された符号エラー、フレームエラー、及び符号カウンタの完了通知に基づいて受信信号の通信方式を判別する手段である。通信方式判定回路180は、第1方式判別前段回路120、第2方式判別前段回路140、又は第3方式判別前段回路160のうち、エラー情報が検出されない回路に対応する通信方式を選択する。そして、通信方式判定回路180は、信号を送出したリーダ/ライタの通信方式が各回路から出力されたエラー情報に基づいて選択された通信方式であると判別する。さらに、通信方式判定回路180は、エラー情報が検出された回路の電力供給量を低減するか、或いは、電力供給を停止してもよい。
【0047】
尚、通信方式判定回路180は、通信方式を選択する際に、各回路から出力されたエラー情報として符号エラーのみを参照してもよいし、或いは、符号エラー及びフレームエラーを共に参照してもよい。符号エラーのみを参照する場合、通信方式判定回路180は、より高速に通信方式を判定することが可能になる。一方、符号エラー及びフレームエラーを共に参照する場合、通信方式判定回路180は、より精度良く通信方式を判定することが可能になる。
【0048】
(通信方式の判別処理について)
ここで、図3を参照しながら、非接触ICカード100による通信方式の判別処理S100について説明する。図3は、非接触ICカード100による通信方式の判別処理S100の流れを示す説明図である。
【0049】
図3に示すように、非接触ICカード100は信号を受信したか否かを判定する(S102)。信号を受信していない場合、非接触ICカード100は信号受信を確認しつつ、受信待ち受け状態を維持する。一方、信号を受信した場合、非接触ICカード100は、ステップS104、S106、S108の処理に進行する。このとき、非接触ICカード100は、例えば、ステップS104、S106、S108の処理を並列に実行する。
【0050】
ステップS104において、非接触ICカード100は、第1方式のカウント処理を実行する(S104)。同様に、ステップS106において、非接触ICカード100は、第2方式のカウント処理を実行する(S106)。さらに、ステップS108において、非接触ICカード100は、第3方式のカウント処理を実行する(S108)。そこで、これらのカウント処理について、図4を参照しながら、より詳細に説明する。
【0051】
(カウント処理について)
一例として、第1方式のカウント処理S104について説明する。但し、第2方式及び第3方式のカウント処理S106、S108も同様に実行される。
【0052】
図4に示すように、まず、非接触ICカード100は、カウント数を0にリセットする(S132)。次いで、非接触ICカード100は、符号エラー検出器126によりエラーチェックを実行すると共に、符号カウンタ128によりチェックした符号数を示すカウント数を1増加する(S134)。次いで、非接触ICカード100は、符号エラー検出器126によりエラーが発生したか否かを判定する(S136)。符号エラーが発生しなかった場合、非接触ICカード100は、ステップS138の処理に進行する。符号エラーが発生した場合、非接触ICカード100は、ステップS132の処理に進行し、受信待ちの状態に遷移する。
【0053】
ステップS138において、非接触ICカード100は、現在のカウント数が所定数に達したか否かに応じてカウント処理を終了するか否かを判断する(S138)。カウント数が所定数に達してカウント処理を終了する場合、非接触ICカード100は、ステップS140の処理に進行する。一方、カウント数が所定数未満であり、カウント所定を継続する場合、非接触ICカード100は、ステップS134の処理に進行する。ステップS140において、非接触ICカード100は、符号カウンタ128によりカウント終了信号を有効に設定して通信方式判定回路180に通知し(S140)、カウント処理を終了する。以上説明したカウント処理は、第2方式及び第3方式についても実行される。
【0054】
再び図3を参照する。ステップS104、S106、S108において、第1方式、第2方式、及び第3方式のカウント処理が実行され、カウント終了信号が通信方式判定回路180に入力される。すると、非接触ICカード100は、ステップS110の処理に進行する。
【0055】
ステップS110において、非接触ICカード100は、どの方式のカウント終了信号を受信したかを判断する(S110)。このとき、複数のカウント終了信号が通信方式判定回路180に入力された場合、非接触ICカード100は、最初に入力されたカウント終了信号に対応する方式を選択する。
【0056】
第1方式のカウント終了信号を受信した場合、非接触ICカード100は、ステップS112に進行する。第2方式のカウント終了信号を受信した場合、非接触ICカード100は、ステップS114に進行する。第3方式のカウント終了信号を受信した場合、非接触ICカード100は、ステップS116に進行する。尚、通信方式判定回路180には、フレームエラー検出器130、150、170からフレームエラーが入力される。
【0057】
ステップS112において、非接触ICカード100は、第1方式の通信方式を選択し(S112)、ステップS118の処理に進行する。同様に、ステップS114において、非接触ICカード100は、第2方式の通信方式を選択し(S114)、ステップS118の処理に進行する。同様に、ステップS116において、非接触ICカード100は、第3方式の通信方式を選択し(S116)、ステップS118の処理に進行する。このように、非接触ICカード100は、符号エラーに応じて通信方式を選択する。
【0058】
ステップS118において、非接触ICカード100は、選択された通信方式に対応するフレームエラー検出器においてフレームエラーが検出されたか否かを判定する(S118)。フレームエラーが検出された場合、非接触ICカード100は、ステップS102の処理に進行し、受信待ち状態に遷移する。フレームエラーが検出されなかった場合、非接触ICカード100は、ステップS112、S114、S116のいずれかで選択された通信方式を選択し、方式判別処理S100を終了する。
【0059】
(カウント処理の具体例)
ここで、図5を参照しながら、上記のカウント処理中における非接触ICカード100の状態遷移について簡単に説明する。図5は、符号カウント中に符号エラーが発生した場合における非接触ICカード100の状態遷移を示す説明図である。図5には、上から順に、第1方式の符号エラー検出状態(H:検出、L:非検出)、第1方式の符号カウンタ、第2方式の符号エラー検出状態、第2方式の符号カウンタ、第3方式の符号エラー検出状態、第3方式の符号カウンタ、非接触ICカード100の状態が表現されている。
【0060】
まず、第1方式の符号エラー検出状態、及び第1方式の符号カウンタに注目する。非接触ICカード100は、信号を受信すると、符号カウンタ128により符号のカウントを開始する。図5に示すように、第1方式の符号エラー検出状態が非検出状態(L)にある場合、符号カウンタ128は符号数を継続的にカウントする。図5に示す例の場合、B点に到達するまで第1方式の符号カウントが継続される。
【0061】
次に、第2方式の符号エラー検出状態、及び第2方式の符号カウンタに注目する。非接触ICカード100は、信号を受信すると、符号カウンタ128により符号のカウントを開始する。図5に示すように、第2方式の符号エラー検出状態がすぐに符号エラーの検出状態(H)になり、しばらく検出状態(H)が継続しているため、符号カウンタ128のカウント数は0のままである。尚、カウント数が0の状態にある間は、第2方式判別前段回路140の受信待ち状態が維持される。
【0062】
次に、第3方式の符号エラー検出状態、及び第3方式の符号カウンタに注目する。非接触ICカード100は、信号を受信すると、符号カウンタ128により符号のカウントを開始する。図5に示すように、第3方式の符号エラー検出状態は、カウント数が0から3までの間だけ非検出状態(L)にある。しかし、カウント数3の次の時点で第3方式の符号エラー検出状態が検出状態(H)となったため、符号カウンタ128は符号数のカウントを0にリセットする。このとき、第3方式判別前段回路160の状態は受信待ち状態に遷移される。
【0063】
例えば、通信方式が判定されるタイミングを示す所定のカウント数(所定期間)が6(A点)と設定されていた場合、非接触ICカード100は、通信方式判定回路180により、その所定のカウント数に最初に到達した第1方式を受信信号に対応する通信方式であると判定する。つまり、非接触ICカード100は、所定期間、エラーが検出されなかった通信方式を選択する。
【0064】
以上、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカード100の機能構成、及びその機能により実現される通信方式の判別方法等について詳細に説明した。上記のように、非接触ICカード100は、受信信号に対して符号エラー及びフレームエラーの一方又は両方の検出処理を実行し、これらのエラー情報の検出/非検出の状態に応じて通信方式を選択することができる。その結果、非接触ICカード100は、ヘッダ情報までを読み込んで通信方式を判別する装置又は方法に比べて、より高速かつ正確に通信方式を判別することが可能になる。
【0065】
また、エラーが検出された通信方式に対応する回路を省電力化することで、非接触ICカード100の消費電力を低減することが可能になる。この省電力機能に関しても、通信方式の判別が高速であることにより、省電力状態への遷移、及び省電力状態からの復帰が高速に実行されるため、電力消費量をより大きく低減可能になると共に、応答可能状態への復帰時間が短縮される。
【0066】
尚、上記の復号回路124は、復号部の一例である。上記の符号エラー検出器126は、エラー検出部の一例である。上記のフレームエラー検出器130は、エラー検出部の一例である。上記の通信方式判定回路180は、方式判別部、及び省電力制御部の一例である。上記の符号エラーは、エラー情報の一例である。上記のフレームエラーは、エラー情報の一例である。
【0067】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態と上記の第1実施形態との主な相違点は、通信方式の判定タイミングを決定する方法の違いにある。上記の第1実施形態では、符号カウンタにより通信方式の判定タイミングが決定されていた。これに対して、第2実施形態では、受信信号に含まれるヘッダ情報が確定した段階で通信方式が判定される。尚、以下において、上記の第1実施形態と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付して説明する。
【0068】
[非接触ICカード200の機能構成]
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係る非接触ICカード200の機能構成について説明する。図6は、本実施形態に係る非接触ICカード200の機能構成を示す説明図である。
【0069】
図6に示すように、非接触ICカード200は、主に、アンテナ102と、受信部108と、第1方式判別前段回路120と、第2方式判別前段回路140と、第3方式判別前段回路160と、通信方式判定回路280とにより構成される。
【0070】
(第1方式判別前段回路120)
まず、第1方式判別前段回路120について説明する。第1方式判別前段回路120は、主に、復調回路122と、復号回路124と、符号エラー検出器126と、ヘッダ検出器228と、フレームエラー検出器130とにより構成される。尚、説明の便宜上、第1方式は、ISO14443−A方式に相当し、変調方式がASK100%に、及び符号化形式が変形ミラー符号に規定されているものと仮定する。もちろん、本実施形態はこれに限定されない。
【0071】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路122に入力される。復調回路122は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。例えば、復調回路122は、100%の振幅変調を利用したASK方式の変調信号を復調することができる。そして、復調回路122により復調されたデータは、復号回路124、及び符号エラー検出器126に入力される。
【0072】
符号エラー検出器126は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器126は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。例えば、符号エラー検出器126は、入力されたデータの各符号が変形ミラー符号として正しいか否かを判別し、正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力することができる。そして、符号エラー検出器126から出力された符号エラーは、通信方式判定回路280に入力される。
【0073】
復号回路124は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。例えば、復号回路124は、変形ミラー符号で符号化されたデータを復号することができる。そして、復号回路124により復号されたデータは、フレームエラー検出器130、及びヘッダ検出器228に入力される。フレームエラー検出器130は、所定の通信方式(第1方式)で規定されたデータフレームに関するエラー(以下、フレームエラー)を検出する手段である。例えば、フレームエラー検出器130は、入力されたデータのパリティ検査、及びCRC検査を施し、パリティエラー、及びCRCエラーを検出することができる。そして、フレームエラー検出器130により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路280に入力される。
【0074】
ヘッダ検出器228は、入力されたデータのヘッダ情報を検出する手段である。ヘッダ検出器228によりヘッダ情報が検出されると、その検出通知(ヘッダ確定信号)が通信方式判定回路280に入力される。つまり、このヘッダ検出器228は、通信方式を判別するタイミングとなるヘッダ情報の検出時点を通信方式判定回路280に通知する手段である。例えば、ヘッダ検出器228は、入力されたデータのSOCが検出されるまで入力されたデータの符号を確認し、SOCが検出された段階で通信方式判定回路280にヘッダ確定信号を入力する。尚、このヘッダ確定処理については後述する。
【0075】
(第2方式判別前段回路140)
次に、第2方式判別前段回路140について説明する。第2方式判別前段回路140は、主に、復調回路142と、復号回路144と、符号エラー検出器146と、ヘッダ検出器248と、フレームエラー検出器150とにより構成される。尚、説明の便宜上、第2方式は、ISO14443−B方式に相当し、変調方式がASK10%に、そして、符号化形式がNRZ符号に規定されているものと仮定する。もちろん、本実施形態はこれに限定されない。
【0076】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路142に入力される。復調回路142は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。例えば、復調回路142は、10%の振幅変調を利用したASK方式の変調信号を復調することができる。そして、復調回路142により復調されたデータは、復号回路144、及び符号エラー検出器146に入力される。
【0077】
符号エラー検出器146は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器146は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。例えば、符号エラー検出器146は、入力されたデータの各符号がNRZ符号として正しいか否かを判別し、正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力することができる。そして、符号エラー検出器146から出力された符号エラーは、通信方式判定回路280に入力される。
【0078】
復号回路144は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。例えば、復号回路144は、NRZ符号で符号化されたデータを復号することができる。そして、復号回路144により復号されたデータは、フレームエラー検出器150、及び符号カウンタ148に入力される。フレームエラー検出器150は、所定の通信方式(第2方式)で規定されたフレームエラーを検出する手段である。例えば、フレームエラー検出器150は、入力されたデータのキャラクタエラー、ガードタイムエラー、SOFエラー、EOFエラー、及びCRCエラーを検出することができる。そして、フレームエラー検出器150により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路280に入力される。
【0079】
ヘッダ検出器248は、入力されたデータのヘッダ情報を検出する手段である。ヘッダ検出器248によりヘッダ情報が検出されると、その検出通知(ヘッダ確定信号)が通信方式判定回路280に入力される。つまり、このヘッダ検出器248は、通信方式を判別するタイミングとなるヘッダ情報の検出時点を通信方式判定回路280に通知する手段である。例えば、ヘッダ検出器248は、入力されたデータのSOF(Start Of Frame)が検出されるまで入力されたデータの符号を確認し、SOFが検出された段階で通信方式判定回路280にヘッダ確定信号を入力する。尚、このヘッダ確定処理については後述する。
【0080】
(第3方式判別前段回路160)
次に、第3方式判別前段回路160について説明する。第3方式判別前段回路160は、主に、復調回路162と、復号回路164と、符号エラー検出器166と、ヘッダ検出器268と、フレームエラー検出器170とにより構成される。尚、説明の便宜上、第3方式は、高速処理用ICカード方式に相当し、変調方式がASK10%に、そして、符号化形式がマンチェスタ符号に規定されているものと仮定する。もちろん、本実施形態はこれに限定されない。
【0081】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路162に入力される。復調回路162は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。例えば、復調回路162は、10%の振幅変調を利用したASK方式の変調信号を復調することができる。そして、復調回路162により復調されたデータは、復号回路164、及び符号エラー検出器166に入力される。
【0082】
符号エラー検出器166は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器166は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。例えば、符号エラー検出器166は、入力されたデータの各符号がマンチェスタ符号として正しいか否かを判別し、正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力することができる。そして、符号エラー検出器166から出力された符号エラーは、通信方式判定回路280に入力される。
【0083】
復号回路164は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。例えば、復号回路164は、マンチェスタ符号で符号化されたデータを復号することができる。そして、復号回路164により復号されたデータは、フレームエラー検出器170、及び符号カウンタ168に入力される。フレームエラー検出器170は、所定の通信方式(第3方式)で規定されたフレームエラーを検出する手段である。例えば、フレームエラー検出器170は、入力されたデータのSYNCコードエラー、及びCRCエラーを検出することができる。そして、フレームエラー検出器170により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路280に入力される。
【0084】
ヘッダ検出器268は、入力されたデータのヘッダ情報を検出する手段である。ヘッダ検出器268によりヘッダ情報が検出されると、その検出通知(ヘッダ確定信号)が通信方式判定回路280に入力される。つまり、このヘッダ検出器268は、通信方式を判別するタイミングとなるヘッダ情報の検出時点を通信方式判定回路280に通知する手段である。例えば、ヘッダ検出器268は、入力されたデータのプリアンブル及びSYNCコードが検出されるまで入力されたデータの符号を確認し、プリアンブル及びSYNCコードが検出された段階で通信方式判定回路280にヘッダ確定信号を入力する。尚、このヘッダ確定処理については後述する。
【0085】
(通信方式判定回路280)
通信方式判定回路280は、第1方式判別前段回路120、第2方式判別前段回路140、及び第3方式判別前段回路160から入力された符号エラー、フレームエラー、及びヘッダ確定信号に基づいて受信信号の通信方式を判別する手段である。通信方式判定回路280は、第1方式判別前段回路120、第2方式判別前段回路140、又は第3方式判別前段回路160のうち、エラー情報が検出されなかった回路に対応する通信方式を選択する。そして、通信方式判定回路280は、各回路から出力されたエラー情報に基づいて選択された通信方式をリーダ/ライタの通信方式であると判別する。さらに、通信方式判定回路280は、エラー情報が検出された回路の電力供給量を低減するか、或いは、電力供給を停止してもよい。
【0086】
尚、通信方式判定回路280は、通信方式を選択する際に、各回路から出力されたエラー情報として符号エラーのみを参照してもよいし、或いは、符号エラー及びフレームエラーを共に参照してもよい。符号エラーのみを参照する場合、通信方式判定回路280は、より高速に通信方式を判定することが可能になる。一方、符号エラー及びフレームエラーを共に参照する場合、通信方式判定回路280は、より精度良く通信方式を判定することが可能になる。
【0087】
(通信方式の判別処理について)
ここで、図7を参照しながら、非接触ICカード200による通信方式の判別処理S200について説明する。図7は、非接触ICカード200による通信方式の判別処理S200の流れを示す説明図である。
【0088】
図7に示すように、非接触ICカード200は信号を受信したか否かを判定する(S202)。信号を受信していない場合、非接触ICカード200は信号受信を確認しつつ、受信待ち受け状態を維持する。一方、信号を受信した場合、非接触ICカード200は、ステップS204、S206、S208の処理に進行する。このとき、非接触ICカード200は、例えば、ステップS204、S206、S208の処理を並列に実行する。
【0089】
ステップS204において、非接触ICカード200は、第1方式のヘッダ確定処理を実行する(S204)。同様に、ステップS206において、非接触ICカード200は、第2方式のヘッダ確定処理を実行する(S206)。さらに、ステップS208において、非接触ICカード200は、第3方式のヘッダ確定処理を実行する(S208)。ここで、これらのヘッダ確定処理について、図8を参照しながら、より詳細に説明する。
【0090】
(ヘッダ確定処理について)
一例として、第1方式のカウント処理S204について説明する。但し、第2方式及び第3方式のヘッダ確定処理S206、S208も同様に実行される。
【0091】
図8に示すように、まず、非接触ICカード200はヘッダ情報をクリアする(S232)。次いで、非接触ICカード200は、ヘッダ検出器228に入力されたデータのヘッダ情報(SOC)を確認する(S234)。次いで、非接触ICカード200は、ヘッダ情報が検出される前の時点で符号エラー検出器126により符号エラーが検出されたか否かを判断する(S236)。符号エラーが検出された場合、非接触ICカード200は、ステップS232の処理に進行する。一方、符号エラーが検出されなかった場合、非接触ICカード200は、ステップS240の処理に進行する。
【0092】
ステップS240において、非接触ICカード200は、ヘッダ検出器228によりヘッダ確定信号を通信方式判定回路280に入力し(S240)、ヘッダ確定処理を終了する。以上説明したヘッダ確定処理は、第2方式及び第3方式についても実行される。
【0093】
再び図7を参照する。ステップS204、S206、S208において、第1方式、第2方式、及び第3方式のヘッダ確定処理が実行され、ヘッダ確定信号が通信方式判定回路280に入力される。すると、非接触ICカード200は、ステップS210の処理に進行する。
【0094】
ステップS210において、非接触ICカード200は、どの方式のヘッダ確定信号を受信したかを判断する(S210)。このとき、複数のヘッダ確定信号が通信方式判定回路280に入力された場合、非接触ICカード200は、最初に入力されたヘッダ確定信号に対応する通信方式を選択する。
【0095】
第1方式のヘッダ確定信号を受信した場合、非接触ICカード200は、ステップS212に進行する。第2方式のヘッダ確定信号を受信した場合、非接触ICカード200は、ステップS214に進行する。第3方式のヘッダ確定信号を受信した場合、非接触ICカード200は、ステップS216に進行する。尚、通信方式判定回路280には、フレームエラー検出器130、150、170からフレームエラーも入力される。
【0096】
ステップS212において、非接触ICカード200は、第1方式の通信方式を選択し(S212)、ステップS218の処理に進行する。同様に、ステップS214において、非接触ICカード200は、第2方式の通信方式を選択し(S214)、ステップS218の処理に進行する。同様に、ステップS216において、非接触ICカード200は、第3方式の通信方式を選択し(S216)、ステップS218の処理に進行する。このように、非接触ICカード200は、符号エラーに応じて通信方式を選択する。
【0097】
ステップS218において、非接触ICカード200は、選択された通信方式に対応するフレームエラー検出器においてフレームエラーが検出されたか否かを判定する(S218)。フレームエラーが検出された場合、非接触ICカード200は、ステップS202の処理に進行し、受信待ち状態に遷移する。フレームエラーが検出されなかった場合、非接触ICカード200は、ステップS212、S214、S216のいずれかで選択された通信方式を選択し、方式判別処理S200を終了する。
【0098】
(ヘッダ確定処理の具体例)
ここで、図9を参照しながら、上記のヘッダ確定処理中における非接触ICカード200の状態遷移について簡単に説明する。図9は、ヘッダ確定処理中に符号エラーが発生した場合における非接触ICカード200の状態遷移を示す説明図である。図9には、上から順に、第1方式の符号エラー検出状態(H:検出、L:非検出)、第1方式のヘッダ検出状態、第2方式の符号エラー検出状態、第2方式のヘッダ検出状態、第3方式の符号エラー検出状態、第3方式のヘッダ検出状態、非接触ICカード200の状態が表現されている。
【0099】
まず、第1方式の符号エラー検出状態、及び第1方式のヘッダ検出状態に注目する。非接触ICカード200は、信号を受信すると、ヘッダ検出器228によりヘッダ情報の検出を開始する。図9の例では、第1方式のヘッダ情報が検出された時点(A点)まで第1方式の符号エラーが非検出状態(L)である。
【0100】
次に、第2方式の符号エラー検出状態、及び第2方式のヘッダ検出状態に注目する。非接触ICカード200は、信号を受信すると、ヘッダ検出器248によりヘッダ情報の検出を開始する。図9の例では、第2方式のヘッダ情報が検出される前に第2方式の符号エラーが検出されている。
【0101】
次に、第3方式の符号エラー検出状態、及び第3方式のヘッダ検出状態に注目する。非接触ICカード200は、信号を受信すると、ヘッダ検出器268によりヘッダ情報の検出を開始する。図9の例では、第3方式のヘッダ情報が検出される前に第3方式の符号エラーが検出されている。
【0102】
図9の例において、通信方式判定回路280は、第1方式のヘッダ確定信号を最初に取得する(A点)。そこで、通信方式判定回路280は、符号エラー検出器126の出力に基づいて第1方式の符号エラーが検出されたか否かを判断する。図9の例ではA点まで第1方式の符号エラーが非検出の状態であるため、通信方式判定回路280は、第1方式の通信方式を選択する。また、通信方式判定回路280は、第1方式の符号エラーが検出された場合(B点)に、第1方式のヘッダ情報をクリアする。すると、非接触ICカード200は、再び信号の受信待ち受け状態に遷移する。
【0103】
以上、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカード200の機能構成、及びその機能により実現される通信方式の判別方法等について詳細に説明した。上記のように、非接触ICカード200は、受信信号に対して符号エラー及びフレームエラーの一方又は両方の検出処理を実行し、これらのエラー情報の検出/非検出の状態に応じて通信方式を選択することができる。但し、非接触ICカード200は、ヘッダ情報に達する時点まで符号エラーを検出し、その検出結果に基づいて方式判別を実行するため、上記の第1実施形態よりも高精度の方式判別が可能になる。
【0104】
また、エラーが検出された通信方式に対応する回路を省電力化することで、非接触ICカード200の消費電力を低減することが可能になる。例えば、この省電力処理を符号エラーの検出時点で即座に実行することにより、省電力状態への遷移、及び省電力状態からの復帰が高速に実行されるため、電力消費量をより大きく低減可能になると共に、応答可能状態への復帰時間が短縮される。
【0105】
<応用例1>
ここで、図10及び図11を参照しながら、上記の第1実施形態、及び第2実施形態の構成を組み合わせて利用する1つの応用例(以下、応用例1)について説明する。この応用例1は、符号エラーのみに基づいて通信方式を判別する方法に関する。
【0106】
(方式判別処理S300について)
図10を参照しながら、本応用例に係る方式判別処理S300について説明する。図10は、符号エラーのみに基づいて通信方式を判別する場合の方式判別処理S300の流れを示す説明図である。
【0107】
図10に示すように、非接触ICカードは、信号を受信したか否かを判断しつつ(S302)、受信待ち状態を維持する。次いで、非接触ICカードは、各方式に対応する符号カウント処理、及びヘッダ確定処理を実行する(S304)。次いで、非接触ICカードは、どの方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が最初に出力されたかを判断する(S310)。第1方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS312の処理に進行する。第2方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS314の処理に進行する。第3方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS316の処理に進行する。
【0108】
ステップS312において、非接触ICカードは、第1方式の通信方式を選択し(S312)、方式判別処理を終了する。ステップS314において、非接触ICカードは、第2方式の通信方式を選択し(S314)、方式判別処理を終了する。ステップS316において、非接触ICカードは、第3方式の通信方式を選択し(S316)、方式判別処理を終了する。このように、本応用例では、フレームエラーの検出結果を通信方式の判別に利用しない。そのため、フレームエラー検出器が不要になると共に、通信方式の判別処理が高速化される。
【0109】
(方式判別処理の具体例)
図11を参照しながら、本応用例に係る方式判別処理の具体例について述べる。図11は、本応用例に係る方式判別処理の具体例を示す説明図である。図11には、上から順に、第1方式の符号エラー検出状態(H:検出、L:非検出)、第2方式の符号エラー検出状態、第3方式の符号エラー検出状態、及び方式判別結果が表現されている。また、図11のA点まで、及び、B点からC点までの期間を方式判別期間であると仮定する。
【0110】
図11の例では、A点において、第1方式の符号エラーが非検出、第2方式の符号エラーが既検出、第3方式の符号エラーが既検出の状態にある。このように、A点では、第1方式のみが符号エラーの非検出状態であるため、第1方式が選択される。第1方式が選択されると、第1方式の符号エラーが検出されるまで、他の方式の符号エラーが非検出状態に遷移しても、その選択状態が維持される。
【0111】
さらに、B点において第1方式の符号エラーが検出されると、非接触ICカードが受信待ち状態に遷移し、再び各方式について符号エラーの検出状態が参照される。C点において再び各方式の符号エラーの検出状態が参照されると、第1方式の符号エラーが既検出状態、第2方式の符号エラーが非検出状態、第3方式の符号エラーが既検出状態にあるため、第2方式が選択される。
【0112】
<応用例2>
次に、他の応用例(以下、応用例2)として、図12を参照しながら、複数の判別前段回路を備えた非接触ICカード400の構成について述べる。図12は、応用例2に係る非接触ICカード400の機能構成を示す説明図である。尚、本応用例は、上記の第1実施形態を拡張したものである。
【0113】
[非接触ICカード400の機能構成]
図12に示すように、非接触ICカード400は、主に、アンテナ102と、受信部108と、第1方式判別前段回路420と、第2方式判別前段回路440と、第N方式判別前段回路460と、通信方式判定回路480とにより構成される。図中には明示していないが、第3方式〜第N−1方式に対応する複数の前段回路も有している。尚、各方式判別前段回路の違いは、どの方式に対応するかという点にある。そのため、代表して第1方式判別前段回路420についてのみ説明する。他の方式判別前段回路については、適宜、その方式を読み替えることで理解されたい。
【0114】
(第1方式判別前段回路420)
まず、第1方式判別前段回路420について説明する。第1方式判別前段回路420は、主に、復調回路422と、復号回路424と、符号エラー検出器426と、符号カウンタ428と、フレームエラー検出器430とにより構成される。
【0115】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路422に入力される。復調回路422は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。そして、復調回路422により復調されたデータは、復号回路424、及び符号エラー検出器426に入力される。
【0116】
符号エラー検出器426は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器426は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。そして、符号エラー検出器426から出力された符号エラーは、符号カウンタ428、及び通信方式判定回路480に入力される。
【0117】
復号回路424は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。そして、復号回路424により復号されたデータは、フレームエラー検出器430、及び符号カウンタ428に入力される。フレームエラー検出器430は、所定の通信方式(第1方式)で規定されたデータフレームに関するエラー(以下、フレームエラー)を検出する手段である。そして、フレームエラー検出器430により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路480に入力される。
【0118】
符号カウンタ428は、所定の通信方式(第1方式)の符号サンプリングクロックで所定期間の符号数をカウントする手段である。但し、符号カウンタ428は、入力されたデータの先頭からビット単位で符号数をカウントし、符号エラー検出器426により符号エラーが検出された際にカウントされた符号数を0にリセットする。符号カウンタ428は、所定期間の符号数をカウントし終えた場合に完了通知を通信方式判定回路480に入力する。
(通信方式判定回路480)
通信方式判定回路480は、第1方式判別前段回路420、第2方式判別前段回路440、…、第N方式判別前段回路460から入力された符号エラー、フレームエラー、及び符号カウンタの完了通知に基づいて受信信号の通信方式を判別する手段である。通信方式判定回路480は、第1方式判別前段回路420、第2方式判別前段回路440、…、第N方式判別前段回路460のうち、エラー情報が検出されない回路に対応する通信方式を選択する。そして、通信方式判定回路480は、信号を送出したリーダ/ライタの通信方式が、各回路から出力されたエラー情報に基づいて選択された通信方式であると判別する。さらに、通信方式判定回路480は、エラー情報が検出された回路の電力供給量を低減するか、或いは、電力供給を停止してもよい。
【0119】
尚、通信方式判定回路480は、通信方式を選択する際に、各回路から出力されたエラー情報として符号エラーのみを参照してもよいし、或いは、符号エラー及びフレームエラーを共に参照してもよい。符号エラーのみを参照する場合、通信方式判定回路480は、より高速に通信方式を判定することが可能になる。一方、符号エラー及びフレームエラーを共に参照する場合、通信方式判定回路480は、より精度良く通信方式を判定することが可能になる。以上説明したように、前段回路を複数設けることで多数の通信方式の信号に応答することが可能になる。
【0120】
<応用例3>
次に、他の応用例(以下、応用例3)として、図13を参照しながら、複数の判別前段回路を備えた非接触ICカード500の構成について述べる。図13は、応用例3に係る非接触ICカード500の機能構成を示す説明図である。尚、本応用例は、上記の第2実施形態を拡張したものである。
[非接触ICカード400の機能構成]
図13に示すように、非接触ICカード500は、主に、アンテナ102と、受信部108と、第1方式判別前段回路520と、第2方式判別前段回路540と、第N方式判別前段回路560と、通信方式判定回路580とにより構成される。図中には明示していないが、第3方式〜第N−1方式に対応する複数の前段回路も有している。尚、各方式判別前段回路の違いは、どの方式に対応するかという点にある。そのため、代表して第1方式判別前段回路520についてのみ説明する。他の方式判別前段回路については、適宜、その方式を読み替えることで理解されたい。
【0121】
(第1方式判別前段回路520)
まず、第1方式判別前段回路520について説明する。第1方式判別前段回路520は、主に、復調回路522と、復号回路524と、符号エラー検出器526と、ヘッダ検出器528と、フレームエラー検出器530とにより構成される。
【0122】
まず、受信部108によりアンテナ102を介して受信した変調信号は、復調回路522に入力される。復調回路522は、入力された変調信号を2値化した上で所定の変調度で復調する。そして、復調回路522により復調されたデータは、復号回路524、及び符号エラー検出器526に入力される。
【0123】
符号エラー検出器526は、入力されたデータの各符号について、所定の符号化形式の符号として正しいか否かを判別する。そして、符号エラー検出器526は、所定の符号化形式の符号として正しくない(異常)と判別された場合に符号エラーを出力する。そして、符号エラー検出器526から出力された符号エラーは、通信方式判定回路580に入力される。
【0124】
復号回路524は、入力されたデータを所定の符号化形式に基づいて復号する。そして、復号回路524により復号されたデータは、フレームエラー検出器530、及びヘッダ検出器528に入力される。フレームエラー検出器530は、所定の通信方式(第1方式)で規定されたデータフレームに関するエラー(以下、フレームエラー)を検出する手段である。そして、フレームエラー検出器530により検出されたフレームエラーは、通信方式判定回路580に入力される。
【0125】
ヘッダ検出器528は、入力されたデータのヘッダ情報を検出する手段である。ヘッダ検出器528によりヘッダ情報が検出されると、その検出通知(ヘッダ確定信号)が通信方式判定回路580に入力される。つまり、このヘッダ検出器528は、通信方式を判別するタイミングとなるヘッダ情報の検出時点を通信方式判定回路580に通知する手段である。
【0126】
(通信方式判定回路580)
通信方式判定回路580は、第1方式判別前段回路520、第2方式判別前段回路540、…、第N方式判別前段回路560から入力された符号エラー、フレームエラー、及びヘッダ確定信号に基づいて受信信号の通信方式を判別する手段である。通信方式判定回路580は、第1方式判別前段回路520、第2方式判別前段回路540、…、第N方式判別前段回路560のうち、エラー情報が検出されなかった回路に対応する通信方式を選択する。そして、通信方式判定回路580は、各回路から出力されたエラー情報に基づいて選択された通信方式をリーダ/ライタの通信方式であると判別する。さらに、通信方式判定回路580は、エラー情報が検出された回路の電力供給量を低減するか、或いは、電力供給を停止してもよい。
【0127】
尚、通信方式判定回路580は、通信方式を選択する際に、各回路から出力されたエラー情報として符号エラーのみを参照してもよいし、或いは、符号エラー及びフレームエラーを共に参照してもよい。符号エラーのみを参照する場合、通信方式判定回路580は、より高速に通信方式を判定することが可能になる。一方、符号エラー及びフレームエラーを共に参照する場合、通信方式判定回路580は、より精度良く通信方式を判定することが可能になる。以上説明したように、前段回路を複数設けることで多数の通信方式の信号に応答することが可能になる。
【0128】
<応用例4>
ここで、図14を参照しながら、上記の応用例1の構成を多数の通信方式に対応した構成に拡張した1つの応用例(以下、応用例4)について説明する。図14は、本応用例に係る方式判別処理S500の流れを示す説明図である。
【0129】
(方式判別処理S500について)
図14に示すように、非接触ICカードは、信号を受信したか否かを判断しつつ(S502)、受信待ち状態を維持する。次いで、非接触ICカードは、各方式に対応する符号カウント処理、及びヘッダ確定処理を実行する(S504)。次いで、非接触ICカードは、どの方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が最初に出力されたかを判断する(S510)。第1方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS512の処理に進行する。第2方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS514の処理に進行する。第3方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS516の処理に進行する。第N方式のカウント終了信号、又はヘッダ確定信号が出力された場合、非接触ICカードは、ステップS518の処理に進行する。同様の処理が第4方式〜第N−1方式についても実行される。
【0130】
ステップS512において、非接触ICカードは、第1方式の通信方式を選択し(S512)、ステップS520の処理に進行する。ステップS514において、非接触ICカードは、第2方式の通信方式を選択し(S514)、ステップS520の処理に進行する。ステップS516において、非接触ICカードは、第3方式の通信方式を選択し(S516)、ステップS520の処理に進行する。ステップS518において、非接触ICカードは、第N方式の通信方式を選択し(S518)、ステップS520の処理に進行する。同様の処理が第4方式〜第N−1方式についても実行される。
【0131】
ステップS520において、非接触ICカードは、選択された通信方式に対応するフレームエラー検出器においてフレームエラーが検出されたか否かを判定する(S520)。フレームエラーが検出された場合、非接触ICカードは、ステップS502の処理に進行し、受信待ち状態に遷移する。フレームエラーが検出されなかった場合、非接触ICカードは、ステップS512、S514、S516、…、S518のいずれかで選択された通信方式を選択し、方式判別処理S500を終了する。この例のように、上記の第1実施形態、第2実施形態、或いは、応用例1の技術を多数の通信方式に拡張することができる。
【0132】
(具体的な効用)
以上、本発明に係る実施形態、及びその応用例、又は変形例等について説明した。上記説明した構成によると、複数の通信方式から受信データに適合する通信方式を選択する際に、受信データに関するエラー情報のみ、或いは、エラー情報を含めて選択/判定することで通信方式の誤判定を少なくすることができる。また、通信方式を判定する回路により選択された通信方式以外の方式に対応する回路の動作を省電力化することで、動作時の消費電力を抑えることができる。さらに、省電力状態から受信可能な状態に復帰するまでの時間を短縮し、受信データの取り逃しを低減できる。そして、エラー情報のみを使用して通信方式を判別した場合、ヘッダ情報より前に通信方式を判別できるため、より早いタイミングで通信方式を判別することが可能になる。その結果、より高度なアプリケーションが実行可能になる。
【0133】
[非接触通信装置の装置構成例]
ここで、図15を参照しながら、上記の装置が有する機能を実現することが可能な非接触通信装置の装置構成例について簡単に説明する。図15は、非接触通信装置の装置構成例を示す説明図である。尚、上記の装置が有する機能は、この非接触通信装置が有する構成要素の一部のみを利用して実現してもよい。また、重複する符号が付された構成要素は、一体のハードウェア資源により構成されていてもよい。
【0134】
図15に示すように、この非接触通信装置は、主に、ICカード機能提供モジュールと、リーダ/ライタ機能提供モジュールと、コントローラ922とにより構成される。
【0135】
(ICカード機能提供モジュール)
ICカード機能提供モジュールは、例えば、アンテナ902と、フロントエンド回路904と、変調器906と、コマンド再生器908と、クロック再生器910と、制御回路912と、暗号化回路914と、メモリ916と、有線インターフェース回路918とにより構成される。
【0136】
アンテナ902は、ループ・アンテナにより構成され、リーダ/ライタが有するループ・アンテナと磁気的に結合してコマンドや電力を受け取る。フロントエンド回路904は、リーダ/ライタから送出された搬送波を整流して直流電源を再生する。また、フロントエンド回路904は、取得した13.56MHzの搬送波を分周してコマンド再生器908、及びクロック再生器910に入力する。コマンド再生器908は、入力された搬送波からコマンドを再生して制御回路912に入力する。クロック再生器910は、入力された搬送波からロジック回路を駆動するためのクロックを再生して制御回路912に入力する。また、フロントエンド回路904は、再生した電源を制御回路912(CPU)に供給する。
【0137】
全ての回路に電源が供給されると、制御回路912は、再生されたコマンドに応じて各回路を駆動する。尚、制御回路912から出力されたデータは、暗号化回路914により暗号化されてメモリ916に格納される。尚、メモリ916は、例えば、磁気的、光学的、又は光磁気的に情報を記録する記憶装置であってもよいし、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等に利用される半導体記憶装置であってもよい。
【0138】
一方、メモリ916内に格納された暗号化データを送信する場合、フロントエンド回路904は、変調器906により変調された暗号化データに基づいてアンテナ902の給電点にある負荷インピーダンスを変化させ、その変化によりアンテナ902によって誘起される磁界を変化させる。この磁界変化により、磁気的に結合したリーダ/ライタのアンテナを流れる電流変化が誘起されて暗号化データが伝送される。
【0139】
また、制御回路912は、有線インターフェース回路918を介してコントローラ922により制御されてもよい。また、ICカード機能提供モジュールは、インターフェースI/F(未図示)を介して、後述のリーダ/ライタ機能提供モジュールとの間で情報を送受信し、相互に又は一方から他方を制御することが可能であってもよい。
【0140】
(リーダ/ライタ機能提供モジュール)
リーダ/ライタ機能提供モジュールは、例えば、アンテナ902と、フィルタ932と、受信アンプ934と、周波数変換器936と、識別器938と、ロジック回路940と、制御回路912と、メモリ916と、有線インターフェース回路942と、変調器946と、局部発振器950と、送信アンプ948とにより構成される。
【0141】
リーダ/ライタ機能提供モジュールは、非接触ICカード等との磁気的な結合を利用してコマンドや電力を供給する。このリーダ/ライタ機能提供モジュールは、制御部912(CPU)の制御により、非接触ICカード等に電力を供給して活性化させてから、所定の伝送プロトコルに従って通信を開始する。このとき、リーダ/ライタ機能提供モジュールは、通信接続の確立、アンチコリジョン処理、及び認証処理等を行う。
【0142】
リーダ/ライタ機能提供モジュールは、局部発振器950を利用して搬送波を生成する。情報を送信する場合、まず、制御回路912は、メモリ916からデータを読み出してロジック回路940に伝送する。そして、変調器946は、ロジック回路940から出力された信号に基づいて局部発振器950により生成された搬送波を変調する。さらに、送信アンプ948は、変調器946から出力された変調波を増幅し、アンテナ902を介して送信する。
【0143】
一方、情報を受信する場合、まず、アンテナ902を介して受信された変調波は、フィルタ932を通した上で受信アンプ934に入力される。そして、受信アンプ934により増幅された信号は、周波数変換器936により周波数変換されてロジック回路940に入力される。さらに、ロジック回路940から出力された信号は、制御回路912によりメモリ916に記録される。或いは、当該信号は、有線インターフェース回路942を介して外部のコントローラ922に伝送される。
【0144】
以上、非接触通信装置の装置構成例について説明した。当該非接触通信装置は、例えば、携帯電話、携帯情報端末、各種の通信機器、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、或いは、ゲーム機や情報家電等であってもよい。また、上記の非接触通信装置が有する機能又は構成要素の一部又は全部を内蔵した各種の機器についても、上記実施形態の技術的範囲に含まれる。もちろん、上記の各構成要素が有する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムや当該プログラムが記録された記録媒体についても上記実施形態の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
例えば、上記の説明では、通信方式に関して並列に設けられた前段回路からの出力に基づいて方式を判断していたが、これに限定されない。一例として、同一の通信規格でサンプリングレートの異なる複数の方式を判別するように構成することもできる。また、この構成と、上記説明の他の構成とを組み合わせて方式判別することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシステム構成の一例を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る非接触ICカードの機能構成を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る方式判別処理の流れを示す説明図である。
【図4】同実施形態に係るカウント処理の流れを示す説明図である。
【図5】同実施形態に係る非接触ICカードの状態遷移を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る非接触ICカードの機能構成を示す説明図である。
【図7】同実施形態に係る方式判別処理の流れを示す説明図である。
【図8】同実施形態に係るヘッダ確定処理の流れを示す説明図である。
【図9】同実施形態に係る非接触ICカードの状態遷移を示す説明図である。
【図10】本発明の一応用例に係る方式判別処理の流れを示す説明図である。
【図11】同応用例に係る非接触ICカードの状態遷移を示す説明図である。
【図12】本発明の一応用例に係る非接触ICカードの機能構成を示す説明図である。
【図13】本発明の一応用例に係る非接触ICカードの機能構成を示す説明図である。
【図14】本発明の一応用例に係る方式判別処理の流れを示す説明図である。
【図15】非接触通信装置の装置構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0148】
1 非接触通信システム
10、20、30 リーダ/ライタ
100 非接触ICカード
104 受信回路ブロック
106 送信回路ブロック
120 第1方式判別前段回路
140 第2方式判別前段回路
160 第3方式判別前段回路
122、142、162 復調回路
124、144、164 復号回路
126、146、166 符号エラー検出器
128、148、168 符号カウンタ
130、150、170 フレームエラー検出器
180 通信方式判定回路
200 非接触ICカード
228、248、268 ヘッダ検出器
280 通信方式判定回路
400 非接触ICカード
420 第1方式判別前段回路
440 第2方式判別前段回路
460 第N方式判別前段回路
422、442、462 復調回路
424、444、464 復号回路
426、446、466 符号エラー検出器
428、448、468 符号カウンタ
430、450、470 フレームエラー検出器
480 通信方式判定回路
500 非接触ICカード
520 第1方式判別前段回路
540 第2方式判別前段回路
560 第N方式判別前段回路
522、542、562 復調回路
524、544、564 復号回路
526、546、566 符号エラー検出器
528、548、568 ヘッダ検出器
530、550、570 フレームエラー検出器
580 通信方式判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信により受信した受信データの通信方式を判別可能なICカードであって、
複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて前記受信データのエラー検出を実行するエラー検出部と、
前記複数の通信方式の中で、前記エラー検出部によりエラー情報が非検出の通信方式を前記受信データの通信方式であると判別する方式判別部と、
を備えることを特徴とする、ICカード。
【請求項2】
前記エラー検出部は、前記エラー情報として前記受信データの符号エラー及びフレームエラーを検出することを特徴とする、請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記エラー検出部は、所定の符号数に達するまで符号単位で前記受信データのエラー情報を検出することを特徴とする、請求項1に記載のICカード。
【請求項4】
前記エラー検出部は、前記受信データのヘッダ情報に達するまで符号単位で当該受信データのエラー情報を検出することを特徴とする、請求項1に記載のICカード。
【請求項5】
互いに異なる前記符号化形式に対応し、各々が対応する前記符号化形式の符号化データを復号可能な複数の復号部と、
前記エラー情報が検出された符号化形式に対応する前記復号部の電力供給を低減又は停止させる省電力制御部と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のICカード。
【請求項6】
請求項1に記載のICカードの機能を搭載することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、通話機能を搭載した携帯電話であることを特徴とする、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
非接触通信により受信された受信データの通信方式を判別する方法であって、
複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて前記受信データのエラー検出が実行されるエラー検出ステップと、
前記複数の通信方式の中で、前記エラー検出ステップにおいてエラー情報が非検出の通信方式が前記受信データの通信方式であると判別される方式判別ステップと、
を含むことを特徴とする、通信方式の判別方法。
【請求項9】
非接触通信により受信された受信データの通信方式を判別する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
複数の通信方式の各々について、当該通信方式で規定された符号化形式に基づいて前記受信データのエラー検出を実行するエラー検出機能と、
前記複数の通信方式の中で、前記エラー検出機能によりエラー情報が非検出の通信方式を前記受信データの通信方式であると判別する方式判別機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−128943(P2009−128943A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299794(P2007−299794)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(504134520)フェリカネットワークス株式会社 (129)
【Fターム(参考)】