説明

ICカードホルダのロック機構

【解決手段】ロックピン9を有する回転レバー7は、ICカード20が交信位置近傍まで挿入されると回動し、上記ロックピン9をスライダ2に設けられている凹部13へ係入する。この状態を自己保持型ソレノイド11が保持する。この自己保持型ソレノイド11 への解除電流の供給によって上記ロックピン9を外すべく逆方向へ回転するレバー張圧バネ12とを備える。
【効果】オペレータによるICカードの挿入力(大きな力)が、凹部13に入り込む回転力に変換されるので、ロック状態を解除するためのレバー張圧バネ12の張力を大きく設定できるため誤動作が少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードリーダライタ装置に備えるICカードホルダのロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報化社会におけるカードの役割は極めて大きい。金融機関における通帳の役割、流通過程における現金の役割、交通機関における乗車券の役割、等々多岐に渡っている。その結果、一人で何枚ものカードを持ち歩くことが当たり前の社会になっている。この状態を少しでも改善すべく記憶容量の大きいICカードの普及が進んでいる。
【0003】
かかるICカードを用いて情報交換を実行するために不可欠なICカードホルダには、ICカードを交信位置に正確に保持するロック機構が備えられている。従来のロック機構について図を用いて説明する。最初に従来のロック機構の構成について説明し、続いて従来のロック機構の動作について説明する。
【0004】
図7は、従来のロック機構の組み立て図である。
(a)は、平面図、(b)は、側面図、(c)は裏面図である。
図7に示すように、従来のロック機構では、ICカード100の先端を支持するカード支持部101と、スライダ102は一体となって移動するようにカード支持部・スライダ係合部103によって係合されている。スライダ102は、ホルダ本体104に一体化されているガイド105等によって移動方向がガイドされている。又、スライダ102は、スライダ戻しバネ106によってICカード100の排出方向に張力が加えられている。更に、スライダの先端には、ロックピン109を一時保持する凹部113が設けられている。
【0005】
レバー107は、ホルダ本体104に固定されている回転中心部108を回転中心にして回転可能な状態に配置されている。このレバー107にはロックピン109が一体化して設けられている。更に、ソレノイド・レバー係合部110を介して吸引型ソレノイド111と係合されている。この吸引型ソレノイド111は、ホルダ本体104に固定されている。又、吸引型ソレノイド111の可動部先端には上記レバー107を押圧するレバー押圧バネ112を備えている。
【0006】
図8は、従来のロック機構の動作説明図(その1)である。
図8は、ICカードが挿入される前の主要構成部分の位置関係を表している。スライダ102は、スライダ戻しバネ106の張力によってホルダ本体104(図7)に一体成型されているスライダ止め凸部114に固定されている。
【0007】
このとき吸引型ソレノイド111の先端に備えるレバー押圧バネ112の押圧力によって、レバー107には、回転中心部108を回転中心とする回転力f1が加えられている。同様にしてロックピン109にも回転力f2が加えられている。この回転力f2はスライダ102へのY軸方向への押圧力になってレバー107がレバー押圧バネ112の押圧力によって回転するのを防止している。
【0008】
使用者がホルダ本体104(図7)にICカード100(図7)を挿入し、X軸の負の方向へ押圧力F0を加えると、スライダ102は、スライダ戻しバネ106の張力に抗して(打ち勝って)ICカード100(図7)及びカード支持部101(図7)と一体になってX軸の負の方向へ移動を開始する。
【0009】
このときレバー107は、ICカードが挿入される前の状態を維持し続ける。ロックピン109も、回転力f2が加えられている状態を維持し続ける。従って、スライダ102の側面はロックピン109と摺動し続けることになる。
【0010】
図9は、従来のロック機構の動作説明図(その2)である。
図9は、ロック機構がICカードを交信位置に所定の時間保持しているときの主要構成部分を表している。
スライダ102がX軸の負の方向に移動し続け、ついに先端に備える凹部113が、ロックピン109の位置に一致する。このとき回転中心部108を回転中心とする回転力f2が加えられているロックピン109は凹部113へ入り込む。
【0011】
同時に吸引型ソレノイド111の先端に備えるレバー押圧バネ112の押圧力によって、回転中心部108を回転中心とする回転力f1が加えられている回転レバー107は、所定の角度回転する。その結果、吸引型ソレノイド111は突出状態になる。この状態で各構成部分は一時停止状態を保つ。この位置は、ICカードと制御基板(図示してない)の情報交換を実行するための交信位置である。
【0012】
この状態では、スライダ102を元の状態、即ち図8の状態に戻そうとするスライダ戻しバネ106の張力をスライダ102の凹部113に入り込んでいるロックピン109がうち消している。このロックピン109をスライダ102の凹部113に入り込んだ状態に維持しているのはレバー押圧バネ112の押圧力のみである。
【0013】
ICカード制御基板との情報交換が完了し、ICカード100(図7)の排出時になると、吸引型ソレノイド111にソレノイド電流が通電される。従って、吸引型ソレノイド111は吸引状態に移行し、回転中心部108を回転中心としてレバー107を反時計方向に回転させる。同時にロックピン109が、スライダ102の凹部113から外れる。その結果、スライダ戻しバネ106の張力によってスライダ102が元の状態、即ち図8の状態へ戻る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来の技術には以下に説明する解決すべき課題が残されていた。・課題1
レバー押圧バネ112の押圧力は、ロックピン109がスライダ102の凹部113に入り込んだ状態を維持する保持力になっている。この押圧力は吸引型ソレノイド111の吸引方向と逆方向になっている。従って、レバー押圧バネ112の押圧力を吸引型ソレノイド111の吸引力よりも小さく設定する必要がある。その結果、ロックピン109の保持力が弱くなり、軽度の衝撃によってロック状態が解除されレバー107が反時計方向に回転してICカード100が排出されるという不都合な事態が発生しやすい。
【0015】
・課題2
ロックピン109がスライダ102の凹部113に押し込まれた状態を維持する保持力を大きくするには、レバー押圧バネ112の押圧力を大きくする必要がある。更に、この押圧力に抗して吸引型ソレノイド111がレバー107を吸引するための吸引力を増加させる必要もある。吸引力を増加させるためにはソレノイド電流を大きく設定しなければならない。その結果、他の回路に与える悪影響、例えば、電源・電圧の瞬間的な低下等による誤動作の発生等、無視できない不都合が発生する。
【0016】
・課題3
上記課題1及び課題2からも理解できるように、吸引型ソレノイド111の吸引力と、レバー押圧バネ112の押圧力とのバランスが重要な設計要素となってくる。ところが、ICカードが挿入されていない状態、即ち、待機状態(この状態が最も時間的に長い)では、レバー押圧バネ112が押圧された状態に維持されている。
【0017】
・課題4
上記のように、スライダ102が、X軸の負の方向へ移動する際にスライダ102の側面はロックピン109と摺動し続けている。先端に備える凹部113が、ロックピン109の位置に一致したときにロックピン109が、凹部113へ入り込む。この凹部113のくぼみは各構成要素との関わりから通常1mm前後に設定される。従って、スライダ102がX軸方向へ移動中に、Y軸方向へ過度に揺れることは許されない。その結果、部品精度が要求され製品コストが上昇してしまう。
【0018】
・課題5
吸引型ソレノイド111を用いているために製品の厚さ寸法が大きくなってしまい、小型化への市場ニーズに反することとなる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
ICカードをホルダ本体に挿入すると、上記ICカードに加える力によって、バネ弾性力に抗して、ICカードと共に移動するスライダと、上記ICカードが交信位置に達すると上記スライダに設けられた凹部に入り込んで上記バネ弾性力に抗してスライダを保持するロックピンとを含み、上記ロックピンを上記凹部から外して上記バネ弾性力によって上記ICカードを排出させるICカードホルダのロック機構であって、上記ロックピンが設けられ、上記ICカードが交信位置近傍まで挿入されると回動し、上記ロックピンを、その回動に伴って上記凹部に係入させる回転レバーと、上記ロックピンが凹部に係入された状態で上記回転レバーを固定的に保持する電磁ソレノイドと、上記電磁ソレノイドへの解除電流の供給によって上記ロックピンを外すべく逆方向へ回転するレバー張圧バネとを備えることを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【0020】
〈構成2〉
構成1に記載のICカードホルダのロック機構において、上記回転レバーは、回転中心点としての回転中心部と、一方の作用点としての上記ロックピンと、上記交信位置近傍における上記スライダによって押圧される、他方の作用点としてのレバー回転ピンとからなる回転クランクを有することを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【0021】
〈構成3〉
構成1又は構成2に記載のICカードホルダのロック機構において、上記電磁ソレノイドは、自己保持型ソレノイドであることを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【0022】
〈構成4〉
構成1乃至構成3の何れか1項に記載のICカードホルダのロック機構において、上記凹部は、装着・取り外し可能な凹部金具と該凹部金具を保持する金具保持部とを備えることを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
〈具体例の構成〉
本発明では、ICカードホルダ本体に固定された回転中心部を中心として回転するレバーを備え、このレバーにICカードの交信位置近傍におけるオペレータのICカード挿入力(強い力)をロックピンがスライダの凹部に入り込む(係入)回転運動に変換する第一の回転クランクと、スライダの凹部に入り込んだロックピンを強い自己保持力で保持する自己保持型ソレノイドと、保持状態のロックピンをロック状態から開放する第二の回転クランクとを備える。
【0024】
オペレータがICカードをICカードホルダに挿入し、ICカードと制御基板との交信位置近傍に近づくと、上記第一の回転クランクがオペレータのICカード挿入力をスライダの凹部に入り込む回転運動に変換してロックピンを強い力(オペレータの挿入力)でスライダの凹部に入れ込む。このとき同時にレバー張圧バネに強い力が蓄積される。
【0025】
スライダの凹部にロックピンが入り込むと自己保持型ソレノイドの磁気回路が閉ループを形成する。磁気回路に閉ループが形成されると、その強い自己保持力によってスライダの凹部にロックピンを入れ込んだ状態が保持される。この状態では軽度の衝撃によってロック状態が解除されない。
【0026】
ロックピンをスライダの凹部から開放する時には自己保持型ソレノイドの自己保持力を開放し、レバー張圧バネに蓄積されている張力を上記第二の回転クランクが凹部からロックピンを外す方向の力に変換し、凹部からロックピンを外す方向に回転してロック状態を開放する。かかる機能を発揮させるために本発明によるICカードホルダのロック機構は以下のように構成される。
【0027】
図1は、本発明によるロック機構の組み立て図である。
(a)は、平面図、(b)は、側面図、(c)は裏面図である。
図1に示すように、本発明によるロック機構は、カード支持部1と、スライダ2と、カード支持部・スライダ係合部3と、ホルダ本体4と、ガイド5と、スライダ戻しバネ6と、レバー7と、回転中心部8(図(c))と、ロックピン9(図(c))と、ソレノイド・レバー係合部10と、自己保持型ソレノイド11と、レバー張圧バネ12と、凹部13と、レバー回転ピン14(図(c))と、回転ピン押圧部15とを備える。
【0028】
ICカード20の先端を支持するカード支持部1とスライダ2は、カード支持部・スライダ係合部3によって係合され一体となって移動する。スライダ2は、ホルダ本体4に一体化されているガイド5等によって移動方向がガイドされる。又、スライダ戻しバネ6によってICカード20の排出方向に張力が加えられる。更に、スライダの一部(図中右端)には、ロックピン9が入り込む凹部13が設けられる。同様にスライダの一部(図中右端)には、レバー回転ピン14を押圧する回転ピン押圧部15が設けられる。
【0029】
レバー7は、ICカード20の交信位置近傍における上記スライダ2の移動をロックピン9が凹部13に入り込む回転運動に変換する第一の回転クランクの役割を果たす部分である。ホルダ本体4に固定されている回転中心部8が回転中心点としての役割を、ロックピン9がクランクの一方の作用点としての役割を、レバー回転ピン14がクランクの他方の作用点としての役割をそれぞれ果たしている。かかる回転クランクとして作動するために、ホルダ本体4に固定されている回転中心部8を回転中心にして回転可能な状態に配置されている。
【0030】
このレバー7は、ソレノイド・レバー係合部10を介して自己保持型ソレノイド11と係合されている。この自己保持型ソレノイド11は、ホルダ本体4に固定されている。又、自己保持型ソレノイド11の可動方向の延長線上に上記レバー7の回転を復元させるためのレバー張圧バネ12がホルダ本体4に一端を固定された状態で配置されている。
【0031】
尚、レバー7は、ICカード20が情報交信後に上記ロックピン9を外して上記スライダ戻しバネ6のバネ弾性力によってICカード20を排出させる第二の回転クランクの役割を果たす部分でもある。この第二の回転クランクは、上記回転中心部8が回転中心点としての役割を、上記ロックピン9がクランクの一方の作用点としての役割を、上記自己保持型ソレノイド11と係合するソレノイド・レバー係合部10がクランクの他方の作用点としての役割をそれぞれ果たしている。
【0032】
〈具体例の動作〉
図2は、本発明によるロック機構の動作説明図(その1)である。
図2は、ICカードが挿入される前の主要構成部分の位置関係を表している。スライダ2は、ホルダ本体4(図1)に一体成型されているレバー止め凸部24に、レバー張圧バネ12の張力によって、当接されている。
【0033】
このとき自己保持型ソレノイド11の磁路21は、オープン状態になっている。又スライダ2の先端は、Y軸上の原点に保持されている。スライダは、スライダ戻しバネ6(図1)によってICカード20の排出方向(Y軸正方向)への張力を受け、図示していないスライダ止めによって位置決めされている。第一の回転クランク22のレバー回転ピン14と回転ピン押圧部15とはy1離れた状態に保持されている。
【0034】
オペレータがホルダ本体4(図1)にICカード20(図1)を挿入し、Y軸の負の方向へスライダ戻しバネ6(図1)に抗する(打ち勝つ)押圧力F0を加えると、スライダ2は、ICカード20(図1)及びカード支持部1(図1)と一体になってY軸の負の方向へ移動を開始する。
【0035】
図3は、本発明によるロック機構の動作説明図(その2)である。
スライダ2をカードと共に挿入方向(Y軸負方向)へy1移動させたときの図である。
スライダ2の先端が−y1に達するとレバー回転ピン14と、回転ピン押圧部15が接触する。この位置ではまだ第一の回転クランク22は回転しない。従って、ロックピン9は、凹部13に入り込んでいない。更に、第一の回転クランク22が回転していないのでレバー7も回転しないため自己保持型ソレノイド11の磁路21もオープン状態のままである。
【0036】
図4は、本発明によるロック機構の動作説明図(その3)である。
スライダ2をカードと共に挿入方向(Y軸負方向)へ図3の位置から、更に、Δy移動させたときの図である。
上記図3までは、オペレータがICカード20(図1)にスライダ戻しバネ6(図1)に抗する押圧力F0を加えてスライダ2をカードと共に挿入方向(Y軸負方向)へ移動させた。
【0037】
しかし、上記図3までのスライダ2の移動(移動距離y1)でレバー回転ピン14と、回転ピン押圧部15が接触している。従って、ここでは、オペレータがスライダ戻しバネ6(図1)に抗する押圧力F0に、レバー張圧バネ12に抗する押圧力ΔFとを加算した押圧力F0+ΔFをICカード20(図1)に加えてスライダ2を更にΔy移動させる。
【0038】
このとき、第一の回転クランク22は、レバー7と共に回転中心部8を回転中心として反時計方向へθ度回転する。従って、ロックピン9は、凹部13へ入り込む。このとき、レバー7がこれ以上回転しなくなり、この位置でスライダ2の挿入は止まる。この位置でレバー7は反時計方向へθ度回転しているので自己保持型ソレノイド11の磁路21は、クローズ状態になりレバー張圧バネ12に抗する、永久磁石による強い吸引力がレバー保持力となってレバー7に働くことになる。
【0039】
図5は、本発明によるロック機構の動作説明図(その4)である。
スライダ2がICカード20の交信位置に一時保持されている状態を表す図である。
オペレータがICカード20に加える押圧力を緩めると、スライダ戻しバネ6(図1)の張力によってスライダ2は、ICカード20(図1)の排出方向(Y軸正方向)へ戻される。
【0040】
このときロックピン9は、凹部に入り込んでいるので、スライダ2がΔy戻ったときにロックピン9が凹部の図中の下側側面に接触して停止する。この状態がICカード20の交信位置にスライダ2が一時保持された状態である。このとき、レバー7は、自己保持型ソレノイド11の強い保持力によって保持されている。即ち、軽度の衝撃によってロック状態が解除されることが無くなる。
【0041】
次に、図5を用いて、第二の回転クランクの動作について説明する。ICカード20と制御基板(図示していない)の交信が終了して自己保持型ソレノイド11にロック解除電流が流される。このとき磁路21に、永久磁石に基づく磁束と反対方向に流れる磁束が励磁コイルによって励起される。その結果、自己保持型ソレノイド11は瞬時に自己保持力を喪失する。そのときレバー張圧バネ12の強い張力によって第二の回転クランク23が時計方向に回転する。
【0042】
その結果、ロックピン9が凹部13から外れ、スライダ2をロック状態から解除する。スライダ2は、スライダ戻しバネ6(図1)の張力によってY軸正方向へ移動してICカード20(図1)をホルダ本体4(図1)から排出する。その後は、再び図2の状態に戻って同様の動作を繰り返す。以上で本発明によるICカードのロック機構の動作の説明を終了する。
【0043】
以上の説明では、凹部13は、予めスライダ2に所定の形状に形成されているものとして説明した。しかし、本発明は、この例に限定されるものではない。他の拡張例について図を用いて説明する。
図6は、本発明によるロック機構の他の形態を表す平面図である。
(a)は、平面図であり、(b)は、部分拡大断面(A−A)図である。
上記具体例との差異のみについて説明する。
拡張例によるスライダ31は、凹部金具32と、金具保持部33とを備える。
【0044】
凹部金具32は、凹部のみを装着、取り外し可能に部品化した凹部の金具である。
金具保持部33は、上記凹部金具32をスライダ31に保持すべく設けられた嵌合部分である。
以上の構成を採用することによって、スライダ31を軽量、かつ廉価な高分子材料で構成し、金属で構成されているロックピン9との摺動部分のみに金属で構成した凹部金具32を配置することが可能になる。
【0045】
【発明の効果】
・ロックピン9とレバー回転ピン14とを有するレバー7を備えることによって、以下の効果を得る。
(1)オペレータによるICカードの挿入力(大きな力)が第一の回転クランク22によって、ロックピン9がレバー張圧バネ12の張力に抗して、凹部13に入り込む回転力に変換されるので、ロック状態を解除するためのレバー張圧バネ12の張力を大きく設定できるため誤動作が少なくなる。
(2)スライダ2をX軸方向へ移動する際にスライダ2の側面とロックピン9と摺動させる必要が無くなるためスライダの横揺れがある程度許されることになる。その結果、過度の部品精度が要求されることがなくなり、製品コストが下降する。
・電磁ソレノイドとして自己保持型ソレノイド11を採用することによって、以下の効果を得る。
(3)自己保持型ソレノイド11の閉ループ磁気回路における強い自己保持力によってロックピン9をスライダ2の凹部13に押し込んだ状態に維持するため、軽度の衝撃によってロック状態が外れることが無くなる。
(4)ホルダ本体4を薄く、且つ、軽量にすることができる。
(5)ロック状態を外すために瞬時のみ通電すれば良いので消費電力及び通電電流とも小さくなり他の回路部分に及ぼす影響も少なくなる。
(6)自己保持型ソレノイド11の閉ループ磁気回路における自己保持力は大きいので、レバー張圧バネ12の張力を大きく設定できる(上記(1))ため、両者のバランスはあまり重要な設計要素にはならない。
・スライダの凹部のみを装着、取り外し可能な部品として構成することによって以下の効果を得る。
(7)スライダを軽量、かつ廉価な高分子材料で構成し、金属で構成されているロックピン9との摺動部分のみを凹部金具32として金属で構成することが可能になりホルダ全体が軽量化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロック機構の組み立て図である。
【図2】本発明によるロック機構の動作説明図(その1)である。
【図3】本発明によるロック機構の動作説明図(その2)である。
【図4】本発明によるロック機構の動作説明図(その3)である。
【図5】本発明によるロック機構の動作説明図(その4)である。
【図6】本発明によるロック機構の他の形態を表す平面図である。
【図7】従来のロック機構の組み立て図である。
【図8】従来のロック機構の動作説明図(その1)である。
【図9】従来のロック機構の動作説明図(その2)である。
【符号の説明】
1 カード支持部
2 スライダ
3 カード支持部・スライダ係合部
4 ホルダ本体
5 ガイド
6 スライダ戻しバネ
7 レバー
8 回転中心部
9 ロックピン
10 ソレノイド・レバー係合部
11 自己保持型ソレノイド
12 レバー張圧バネ
13 凹部
14 レバー回転ピン
15 回転ピン押圧部
20 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードをホルダ本体に挿入すると、前記ICカードに加える力によって、バネ弾性力に抗して、ICカードと共に移動するスライダと、前記ICカードが交信位置に達すると前記スライダに設けられた凹部に入り込んで前記バネ弾性力に抗してスライダを保持するロックピンとを含み、前記ロックピンを前記凹部から外して前記バネ弾性力によって前記ICカードを排出させるICカードホルダのロック機構であって、
前記ロックピンが設けられ、前記ICカードが交信位置近傍まで挿入されると回動し、前記ロックピンを、その回動に伴って前記凹部に係入させる回転レバーと、
前記ロックピンが凹部に係入された状態で前記回転レバーを固定的に保持する電磁ソレノイドと、
前記電磁ソレノイドへの解除電流の供給によって前記ロックピンを外すべく逆方向へ回転するレバー張圧バネとを備えることを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【請求項2】
請求項1に記載のICカードホルダのロック機構において、前記回転レバーは、回転中心点としての回転中心部と、一方の作用点としての前記ロックピンと、前記交信位置近傍における前記スライダによって押圧される、他方の作用点としてのレバー回転ピンとからなる回転クランクを有することを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のICカードホルダのロック機構において、
前記電磁ソレノイドは、自己保持型ソレノイドであることを特徴とするICカードホルダのロック機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のICカードホルダのロック機構において、
前記凹部は、
装着・取り外し可能な凹部金具と該凹部金具を保持する金具保持部とを備えることを特徴とするICカードホルダのロック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−102409(P2004−102409A)
【公開日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−260011(P2002−260011)
【出願日】平成14年9月5日(2002.9.5)
【出願人】(595095559)ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】