説明

ICカード回収箱

【課題】ICカードを確実に回収し、異物混入の可能性を低くし、1個のセンサで2種類の検知ができ、低コスト化・省スペース・省資源に寄与するカード回収箱を提供する。
【解決手段】カード投入口31Tを上部に備え、下方にカード通過部31とカード通過部31を通過したICカードを回収するカード回収トレイ32とを備えて成るICカード回収箱31において、カード回収トレイ32に落下したカードを検知する回収トレイカード落下センサ32Sをカード回収トレイ32の入口付近に設け、回収トレイカード落下センサ32Sによりカード検知時間が所定期間経過継続するとカード満杯情報を送信するように制御した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会社、ビルのテナント事務所、商業施設のエントランス、マンションの出口、展示場の出口等に設置される入退出管理ゲートに関し、特に、ビジターの通行を管理する入退出管理ゲート用ICカードをビジターの退出時に確実に回収する入退出管理ゲート用ICカード回収箱および入退出管理ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
〈2つの公知文献〉
本出願人の先行発明として、ビジターの退出時にビジターのICカードを速やかに回収することができる入退出管理ゲートが提起されている(特許文献1参照)。これは、ビジター識別データが記憶されるICカードから識別データを読み取るリーダー部と複数のゲート本体の他に、カード回収部を別体にゲート本体より外部側に配置するようにしたものである。
また、ビジターが退出する場合、カードリーダー部にカードの識別データを読み取らせることによりカード回収部の蓋部を開いて、カードをカード回収部に投入するように促し、カードの投入を検出して初めてゲートの開閉扉を開けるようにしたものも公知である(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−134895号公報
【特許文献2】特開2005−336730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
〈各公知文献の改良すべき点〉
特許文献1記載の発明は、カード回収箱1個で済むといった省資源の面から好ましいものでもあったが、一方、ビジターは別体のカード回収部まで出向いてカードを投入しなければならず、ビジターの行動の動線としては無駄な動作が入り、煩わしさがあった。
特許文献2記載の発明は、カードリーダーがビジターと認識したらすぐにカード回収箱のシャッター(蓋)を開くので、ビジターはシャッターの開いているカード回収箱を見て他の回収箱(ごみ箱、たばこの吸い殻入れ)と勘違いして、チリ紙やたばこの吸い殻を誤投入する動作を誘発する恐れがあった。また、シャッターの開いている時間が長ければそれだけカード以外の異物が混入する可能性が高くなった。
【0005】
本発明はこのような従来装置の不都合を解消するためになされたもので、その目的は、ICカードを確実に回収すると共に、ビジターに無駄な動作をさせないようにし、かつカード回収箱を他の回収箱と勘違いさせないような、また、異物混入の可能性を低くしたカード回収箱を提供することにある。
さらに、1つのセンサで2種類の検知ができ、低コスト化・省スペース・省資源に寄与するカード回収箱を提供することにある。
また、シャッターがシャッター指令されたにもかかわらず動かないことをシャッターセンサに確認させるので、シャッターの異常を迅速・確実に検出できるカード回収箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)入退出管理ゲート用ICカードを回収するICカード回収箱であって、前記ICカードを投入するカード投入口を上部に備え、該カード投入口の下方にカード通過部と該カード通過部を通過したICカードを回収するカード回収トレイとを備えて成るICカード回収箱において、
前記カード回収トレイに落下したカードを検知する回収トレイカード落下センサを前記カード回収トレイの入口付近に設け、
該回収トレイカード落下センサにより、カード検知時間が所定期間経過継続するとカード満杯情報を送信するように制御されたことを特徴とする。
【0007】
(2)前記シャッターが開位置へ水平移動したことを検知する開シャッターセンサを設け、前記シャッターがシャッター開指令されたにもかかわらず開位置において所定時間継続して未検知であることを前記開シャッターセンサが確認すると異常の報知信号を送信するように制御されることを特徴とする。
【0008】
(3)前記シャッターが閉位置へ水平移動したことを検知する閉シャッターセンサを設け、前記シャッターがシャッター閉指令されたにもかかわらず閉位置において所定時間継続して未検知であることを前記閉シャッターセンサが確認すると異常の報知信号を送信するように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)の発明によれば、カード回収トレイに落下したカードを検知する回収トレイカード落下センサを前記カード回収トレイの入口付近に設け、該回収トレイカード落下センサにより、カード検知時間が所定期間経過継続するとカード満杯情報を送信するように制御したので、1つのセンサで2種類の検知ができ、低コスト化・省スペース・省資源に寄与することとなる。
(2)の発明によれば、シャッターがシャッター開指令されたにもかかわらず開位置において所定時間継続して未検知であることを開シャッターセンサが確認するので、シャッターの異常を迅速・確実に検出することができる。
(3)の発明によれば、シャッターがシャッター閉指令されたにもかかわらず閉位置において所定時間継続して未検知であることを閉シャッターセンサが確認するので、シャッターの異常を迅速・確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るカード回収箱について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るカード回収箱を備えた入退出管理ゲートの斜視図である。
〈入退出管理ゲートの構成〉
図1において、10は本発明に係るカード回収箱を備えた入退出管理ゲートで、これは矢印の退出路を挟んで両側(図で左右)に配備された2台のゲート本体20と一方のゲート本体20(図で右側)の退出路手前に近接設置されたカード回収箱30とで構成される。
【0011】
〈ゲート本体20の構成〉
ゲート本体20は、フレーム及びパネルを組み立てたローパティションであって、ゲート本体20、20を並べることにより間に形成される1本の通路(本発明では退出者を対象としているので退出路として用いる)ができる。この退出路は退出者がいないときはゲートの開閉扉21、21で塞がれている。このゲートの開閉扉21、21は開閉扉駆動装置収納ボックス23内にある開閉扉駆動装置によって駆動され、退出者が通過するときは開閉扉21は回動して開閉扉収納スペース21s内に収納され、退出者が通過した後、通過を確認し若しくは所定時間したら開閉扉21は自動的に閉じられる。退出路手前側にカードリーダー22が設けられている。
【0012】
〈カードリーダー22の役割〉
22はカードリーダーで、退出者がICカードをカードリーダー22に翳(かざ)すとICカードに記憶されている退出者情報が社員かビジターかを読みとり社員であればただちに開閉扉21を開くようにし、ビジターであれば本発明によるICカード回収手続き(後述)を経てから開閉扉21を開くようになる。
【0013】
〈カード回収箱30の役割〉
30は本発明に係るカード回収箱である。
カード回収箱30は縦長の直方体をした筐体であり、その1側面にゲート本体20との連結をする連結部30T、30T(図2(c))を備えている。2つの連結部30T、30Tはそれぞれ先細となっており2つの連結部30T、30Tの間にゲート本体20を挟むように配置されたときつなぎ目に違和感がないようにしている。
カード回収箱30の上部にはカード投入口31T(図2)が設けられ、ここからカードを差し込んで落下させるとカード回収箱30の中を落下して最終的にカード回収トレイ32の中に収納される。カード回収トレイ32の中がカードで満杯になったら図のように引き出され、中のカードを回収してカード回収トレイ32を空にした後、再び差し込まれる。
【0014】
〈カード回収箱30の構成〉
図2は本発明に係るカート゛回収箱30の三面図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。カード回収箱30の構成は、図2(b)に示すように、上から順にカード通過部31、カード回収トレイ32、制御部33となっている。
【0015】
〈カード通過部31の構成〉
カード通過部31は上部にカード投入口31Tを備えている。カード投入口31Tの開口の大きさは、ICカードを収容したカードケース(クリップ付き)が投入されるまでの大きさとなっており、それよりも大きい指は入らないようにしている。カード通過部31の内部には、シャッターとその付勢手段と押圧手段と3種類のセンサが設けられている(後述)。
【0016】
〈カード回収トレイ32の構成〉
図3はカード回収トレイ32とこれを収納するカード回収箱30を説明する斜視図で(a)はカード回収箱30のカード回収トレイ収納スペース32’からカード回収トレイ32を引き抜いた状態を示す斜視図、(b)はカード回収トレイ32を正面斜め下から見上げた斜視図(イ)と、カード回収トレイ32を奥側斜め上から見おろした斜視図(ロ)である。
カード回収トレイ32は上面開口の箱状に形成されている。カード回収箱30は、満杯になったカード回収トレイ32をカード回収箱30から引き出すために、カギ孔32kがあり、カギをカギ孔32kに差し込んで右方向に90°回転させると中に垂直に立っていた鍵兼用のストッパ32Lが水平となって、回収箱30との係合が外れて、引き出し可能となる。
カード回収トレイ32の底部32Tの奥側に係合孔32Hが2か所に設けられている。カード回収トレイ32と制御部33との間に両者を仕切る仕切板32Bが水平に取り付けられている。そして、この仕切板32Bにはカード回収トレイ32の係合孔32Hに対向する部位に切り欠き片32Kが2か所で垂直に切り起こされており、カード回収トレイ32をカード回収トレイ収納スペース32’開口から差し込んで装着したときに、係合孔32Hに切り欠き片32Kが係合してストッパーの役割をし、カード回収トレイ32の安定的な固定に寄与している。
【0017】
〈制御部33の構成〉
制御部33はカート゛回収動作に必要な制御を行うCPUとそのインタフェース、カードリーダー・各センサからの信号を受信する受信回路、ソレノイド・開閉扉・視覚または聴覚手段の報知手段への信号を出力する送信回路等が納められている。
【0018】
〈カード通過部31の構成〉
図4はカード通過部31の構成を説明する図で(a)は平面図、(b)は縦断面図である。図4において、カード通過部31は内部が空胴の筐体で囲われており、カード投入口31T(図1)には、カードを投入しやすくするためのロート形状をしたロート形状樹脂310を上部のカード投入口31T(図1)に嵌め込んでいる。シャッター312は開口通路310hから指が入らない深さの部位に設けておくとよい。投入されたカードは、シャッター312の開口312hを通過して落下し、落下通路315内を通って下方のカード回収トレイ32(図1、図2)内に収納される。次に、シャッター312の構成について説明する。
【0019】
〈シャッター312の構成〉
シャッター312は平面視(図4(a))で矩形をした金属板に、カード投入口31T(図2(c))の開口よりも若干大きな相似形状をした開口312hがあけられていて、このシャッター312は常時(ゲートを通過する退出者がいないとき)引っ張りスプリング313で引っ張りスプリング端子取りつけ部側(図4で右側)に引き戻されている。シャッター312にあけられた開口312hは矩形の中心よりも引っ張りスプリング313方向寄りに偏心して設けられているので、シャッター312が引っ張りスプリング313側に引き戻されている状態では開口通路310hはシャッター312の閉止面で閉じられており、また、シャッター312が引っ張りスプリング313に抗してストロークの反対側に達したときはシャッター312の開口312hは開口通路310hと重なり、カードの落下が可能となる。314はシャッター312を移動させるための押圧手段である。
次に、押圧手段314の構成について説明する。
【0020】
〈押圧手段314の構成〉
押圧手段314は内部にソレノイド(電磁コイル)と、ソレノイドの励磁によってソレノイドに吸引される長尺状の可動子314Pとを内蔵しており、ソレノイドが非励磁のとき可動子314Pをソレノイドから遠ざける方向に押圧するのは引っ張りスプリング313が兼ねている。
図のように可動子314Pの先端はソレノイドから露出しており、ソレノイドが非励磁のとき可動子314Pはソレノイドから大きく突出し、ソレノイドが励磁されると電磁吸引力が引っ張りスプリング313の押圧力に打ち勝って可動子314Pはソレノイドの中へ引き込まれる(引き込まれた状態を点線314P’で示している。)。
可動子314Pの先端にはL字状レバー314Lの短軸にピン314Aで回動可能にピン止めされている。また、L字状レバー314Lの長軸の短軸側端部に孔があけられ、その孔に装置に固定の固定ピン314Kが挿入され、支点となっている。
その結果、非励磁時で可動子314Pがストロークの最上位まで移動するとL字状レバー314Lは図の実線状態になってほぼ直立姿勢を取り、励磁時で可動子314Pがストロークの最下位まで移動するとL字状レバー314Lは図の点線状態になって傾斜姿勢を取る(この傾斜姿勢状態を図で314L’で示している)。
【0021】
〈センサが本発明により4箇所に設置〉
本発明では次に説明する各種のセンサが設けられている。
〈1つ目のセンサ:カード通過センサ〉
1つ目は、開口通路310h(図4(b))の入口に開口通路310hを挟んで両側に設けられた光センサ310S(図4(b))で、一方が発光素子で他方が受光素子で1対をなすフォトカプラである。カードが投入されて開口通路310hを落下してフォトカプラ間の光を遮ったら(すなわち、受光素子が光を受光しなかったら)、出力するようになっているので、「カード通過」を検知するカード通過センサである。
【0022】
〈2つ目のセンサ:シャッター開センサ〉
2つ目は、水平移動するシャッター312を検知するセンサで、シャッター312が反引っ張りスプリング313側にきた「開」のときのシャッター端部にシャッター端部を挟んで両側に設けられた光センサ312S1(図4(b))で、一方が発光素子で他方が受光素子で1対をなすフォトカプラである。シャッター312が反引っ張りスプリング313側にきたときフォトカプラ間の光を遮ったら(すなわち、受光素子が光を受光しなかったら)、出力するようになっているので、「シャッター開」を検知するシャッター開センサである。
【0023】
〈3つ目のセンサ:シャッター閉センサ〉
3つ目も、水平移動するシャッター312を検知するセンサで、シャッター312が引っ張りスプリング313側にきた「閉」のときシャッター端部にシャッター端部を挟んで両側に設けられた光センサ312S2(図4(b))で、一方が発光素子で他方が受光素子で1対をなすフォトカプラである。シャッター312が引っ張りスプリング313側にきたときフォトカプラ間の光を遮ったら(すなわち、受光素子が光を受光しなかったら)、出力するようになっているので、「シャッター閉」を検知するシャッター閉センサである。
【0024】
〈4つ目のセンサ:回収トレイカード落下センサ〉
4つ目は、カード回収トレイ32(図1)に入ったカードを検知する光センサ32S(図4(b))である。この光センサ32Sは、カード回収トレイ32(図4(b))の入口の高さに相当するカード回収箱31の側板31Hの高さの部位にカード回収トレイ32を挟んで両側板31H、31Hに設けられている。一方が発光素子で他方が受光素子で1対をなすフォトカプラである。カードがカード回収トレイ32に落下してフォトカプラ間の光を遮ったら(すなわち、受光素子が光を受光しなかったら)、出力するようになっているので、「カードが回収トレイに落下」を検知する回収トレイカード落下センサである。
【0025】
〈従来よりも迅速にシャッターが開閉する原理〉
図5はシャッターが迅速に水平方向に開閉する原理を説明する正面図で、(a)は非励磁時、(b)は励磁時である。314は上記で説明した押圧手段である。L字状レバー314Lの長軸先端に略円弧状にR(アール)が形成されている。アールRの近傍にシャッター312が水平に置かれており、シャッター312は引っ張りスプリング313(図2)で常時引っ張りスプリング313側に引っ張られているので、シャッター312の引っ張りスプリング313側端部はL字状レバー314LのR近傍に当接している。
固定ピン314Kを支点として可動子314Pが最上部から最下部までストロークL1だけ移動すると、シャッター312の端部は、最右部312aから最左部312bまでL2の長いストロークに増幅することができる。可動子314Pが最上部から最下部までストロークL1だけ移動する時間は瞬時であり、それに伴う増幅動作も原理的に時間遅れはないから、シャッター312は最右部312aから最左部312bまでL2の長いストロークをほぼ瞬時に移動することとなる。
《膨出部によってストローク幅が小さくなり、さらに速くなる》
しかも、L字状レバー314Lの形状は本発明により固定ピン314K側から長軸の先端に進むにしたがって横幅が次第に大きくなったいわゆる膨出形状(角度α)となっている。この膨出形状αにより膨出形状のない場合と比べてストローク幅が小さくなり、同じ時間でその差分だけ速く向こうに達することとなる。
以上の構成により、狭い寸法の中でシャッターを大きくかつ迅速に開閉することができるようになる。
【0026】
〈シャッター312の開閉動作〉
非励磁時では、可動子314Pがストロークの最上位まで移動して、L字状レバー314Lは図の実線状態になってほぼ直立姿勢を取り、したがってこれに当接するシャッター312は引っ張りスプリング313側に引かれ、開口通路310hは閉じている。
励磁時では、可動子314Pがストロークの最下位まで移動して、L字状レバー314Lは図の点線状態になって傾斜し、したがってこれに当接するシャッター312は引っ張りスプリング313のスプリング力に抗して反スプリング313側に移動され、開口通路310hにシャッター312の開口312hが重畳して、開口通路310hは開く。
【0027】
〈シャッター312の開動作のタイミング〉
図1に戻って、ビジターがカードをカードリーダー22に翳すと、従来装置はICカード回収箱30のシャッターが即、開いたので前述の誤使用やイタズラの誘発となったが、本発明ではビジターがカードをカードリーダー22に翳しただけではICカード回収箱30のシャッター312は開かず、投入口センサ310SがONとなってセンサ開始となるだけである。
そこで、カード回収箱30のカード投入口31T(図2)にカードを投入して投入口センサ310Sがカードを検知したら初めてシャッター312を開いて、カードの落下・回収を行うようにしている。
【0028】
〈ビジターカードを確実に回収できる本発明の動作フローの説明〉
図6はビジターのカードを確実に回収できる本発明による動作フローを説明するフローチャートである。
(1)動作開始で、ステップ51へ行き、回収ボックスが満杯でないか、各センサが異常ないか、と言った本システムの異常チェックを行ない、異常がなければステップ52へ進む。異常があった場合はその異常を検知したセンサからその旨の報知がなされるので、対処する。
(2)カードリーダー22(図1)にカードを翳(かざ)すと、カードリーダー22はカードの情報から現在の退出者が社員かビジターかを判断する。社員であればカードの回収はしないので、ゲートの開閉扉21(図1)を開けて終わる。
ビジターであればステップ54に進み、本発明によるカードの確実な回収ステップが開始する。
(3)ステップ54で投入口センサ310S(図4)をONとして、投入口に到来したカードを検出できる状態にして、ステップ55へ進む。
(4)ステップ55では、「カードを回収ボックスへ入れてください」と音声で表示すると共に、表示器の点滅により回収を促すようにする。また、液晶表示装置等をカードリーダー22の近傍に置いて「カードを回収ボックスへ入れてください」と表示させてもよい。
(5)ステップ56でビジターがカードを回収ボックスへ入れると、既にステップ54でONとなっている投入口センサ310Sがカードを検知して、ステップ58へ進み、シャッター312を開く。
(6)ステップ56でビジターがカードを回収ボックスへ入れないでいると、所定時間のt秒(例えば10秒)を経過したらこの動作フローは終了し、ビジターに最初のカードリーダー22にカードを翳すことから始めるように促す。
(7)ステップ59でカードがカード収納ボックス(カード回収トレイ)に回収されたことを回収トレイカード落下センサ32S(図4(b))が検知すると、ステップ591でゲートの開閉扉21(図1)を開き、ステップ592で内部シャッターを閉じて、本動作フローは終了する。
なお、ステップ59で、投入口センサ310Sで検知したカードが回収トレイカード落下センサ32Sで検知されないということは装置の構成上考えられないので、そちらのフローは省略したが、もし途中で引っかかる恐れがあるときは所定時間のt秒(例えば10秒)を経過したら警報を発するようにすればよい。
また、上記フローでは、収箱カード落下センサ32Sが検知するのを待ってゲートの開閉扉21を開くようにしたが、そこまで待たなくても投入口センサ310Sがカードを検知した段階で開閉扉21を開くようにしてもかまわない。
【0029】
〈本発明の効果〉
以上のように、本発明によれば、ビジターのカードを回収してからゲートの開閉扉を開いてビジターに退出可能にしているので、カードを確実に回収することができる。
しかも、先行技術と比べても、カードリーダー22とカード回収箱30とが同じ位置のほぼ上下にあるので、ビジターは動かずにその場に立ったままでカード翳しとカード投入との2つの動作ができるので無駄な動作をさせないようになる(特許文献1の改良)。
また、シャッターが開いているカード回収箱を見ると、ビジターは他の回収箱(ごみ箱、吸い殻入れ)と勘違いする恐れがあったが、本発明によればカード回収箱のシャッターが閉じているので、他の回収箱と勘違いする可能性は極めて低くなり、また吸い殻やゴミ等を投入するいたずらが誘起されない(特許文献2の改良)。
また、シャッターが長い時間開いているとそれだけ異物混入の可能性が高くなったが、本発明によればカードをカード回収箱の投入口に投入して初めてシャッターが開くのでシャッターが開となる時間が短くなり異物混入の可能性がそれだけ低くなる(特許文献2の改良)。
【0030】
〈特許文献2の利点も本発明は備えている〉
なお、本発明のソレノイド等の改良によりそのシャッターの開動作が瞬時に行われるため、投入口に投入されたカードがシャッターに接触する前に既にシャッター開動作が完了しているので、特許文献2のようなビジターと判断してすぐにシャッターが開口している装置と比べて遜色ない使い勝手となる(特許文献2の改良)。
【0031】
〈1つのセンサを落下検知と満杯検知とに兼用〉
図7はもう1つの発明を示す満杯検知フローチャートである。
図6のステップ59でカードがカード収納ボックスに回収されたことを回収トレイカード落下センサ32S(図4(b))が検知すると、図7の満杯検知フローチャートに移り、ステップ61で回収トレイカード落下センサ32Sのカード検出動作(受光が遮断される時間)が所定時間(例えば10秒)続くことは、満杯以外考えられないので、タイムアップしたら、ステップ62へ移って音声や表示で回収トレイが満杯になったことを知らせるようにする。
ステップ63で係員がカードを回収すると、この満杯検知フローチャートは終了する。
このように、1つのセンサを落下検知と満杯検知とに兼用できるのは、回収トレイカード落下センサ32Sが本発明によりカード回収トレイ32の入口に設けられているからであり、これによって、カードが回収トレイに満杯になると32Sは光を受光できない状態が長くつづくことになり、落下ではなくて満杯になったことも検知することができるようになる。
以上のように、本発明によれば、1個のセンサで2つの役割をするので、省資源・低コスト・小型化に大きく寄与することができる。
【0032】
〈シャッターの2つの異常を検知〉
図8はさらにもう1つの発明を示すシャッターの開・閉動作の異常検知を行うフローチャートである。
【0033】
〈シャッターが開動作しない異常を検知〉
図6のステップ58でシャッター312を開く指令が与えられたにもかかわらず、シャッター312が開かないことが起きた場合(例えば、ソレノイド回路の断線)、これを検知する必要がある。そこで、図8のステップ71で、カード通過部31(図4)の内部にあるシャッター312に開動作指令が与えられると、正常時は瞬時に開となり、シャッター開センサ312S1が動作するのであるが、ステップ72で所定時間経過してもシャッター開センサ312S1が開状態を検出しないときは、ステップ73に進んで音声や表示で開動作に異常が発生したことを知らせるようにする。その後、ステップ74で係員が復帰作業を行い、ステップ741でシャッター開センサ312S1が所定時間開状態を検出したら正常なので図6のステップ58へ戻る。
【0034】
〈シャッターが閉動作しない異常を検知〉
図6のステップ592で内部シャッターを閉じる指令が与えられたにもかかわらず、シャッター312が閉じないことが起きた場合(例えば、引っ張りスプリングの破損)、これを検知する必要がある。そこで、ステップ76で、カード通過部31(図4)の内部にあるシャッター312に閉動作指令が与えられると、正常時は瞬時に閉となり、シャッター閉センサ312S2が動作するのであるが、ステップ77で所定時間経過してもシャッター閉センサ312S2が閉状態を検出しないときは、ステップ78に進んで音声や表示で閉動作に異常が発生したことを知らせるようにする。その後、ステップ79で係員が復帰作業を行い、ステップ791でシャッター閉センサ312S2が所定時間閉状態を検出したら正常なので図6のステップ592へ戻る。
このように、本発明によれば、シャッターの開と閉の2種類の異常検知を行うようにしたので、シャッターの開と閉の異常動作時に自動的に異常を知らせる等の素速い対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るカード回収箱を備えた入退出管理ゲートの斜視図である。
【図2】本発明に係るカート゛回収箱の三面図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図3】カード回収トレイとこれを収納するカード回収箱を説明する斜視図で(a)はカード回収箱のカード回収トレイ収納スペースからカード回収トレイを引き抜いた状態を示す斜視図、(b)はカード回収トレイを正面斜め下から見上げた斜視図(イ)と、カード回収トレイを奥側斜め上から見おろした斜視図(ロ)である。
【図4】カード通過部の構成を説明する図で(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図5】シャッターが迅速に水平方向に開閉する原理を説明する正面図で、(a)は非励磁時、(b)は励磁時である。
【図6】ビジターのカードを確実に回収できる本発明によるフローチャートである。
【図7】本発明による満杯検知フローチャートである。
【図8】本発明によるシャッターの開・閉動作の異常検知を行うフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 本発明に係るカード回収箱
20 ゲート本体
21 開閉扉
21s 開閉扉収納スペース
22 カードリーダー
23 開閉扉駆動装置収納ボックス
30 カード回収箱
30T 連結部
31 カード通過部
31T カード投入口
310 ロート形状樹脂
310h 開口通路
310S 投入口センサ
312 シャッター
312h シャッター開口
312S1 シャッター開センサ
312S2 シャッター閉センサ
313 引っ張りスプリング
314 押圧手段
314P 可動子
314A ピン
314K 固定ピン
314L L字状レバー
315 落下通路
32 カード回収トレイ
32k カギ孔
32S 回収トレイカード落下センサ
33 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退出管理ゲート用ICカードを回収するICカード回収箱であって、前記ICカードを投入するカード投入口を上部に備え、該カード投入口の下方にカード通過部と該カード通過部を通過したICカードを回収するカード回収トレイとを備えて成るICカード回収箱において、
前記カード回収トレイに落下したカードを検知する回収トレイカード落下センサを前記カード回収トレイの入口付近に設け、
該回収トレイカード落下センサにより、カード検知時間が所定期間経過継続するとカード満杯情報を送信するように制御されたことを特徴とする入退出管理ゲート用ICカード回収箱。
【請求項2】
前記シャッターが開位置へ水平移動したことを検知する開シャッターセンサを設け、前記シャッターがシャッター開指令されたにもかかわらず開位置において所定時間継続して未検知であることを前記開シャッターセンサが確認すると異常の報知信号を送信するように制御されることを特徴とする請求項1記載の入退出管理ゲート用ICカード回収箱。
【請求項3】
前記シャッターが閉位置へ水平移動したことを検知する閉シャッターセンサを設け、前記シャッターがシャッター閉指令されたにもかかわらず閉位置において所定時間継続して未検知であることを前記閉シャッターセンサが確認すると異常の報知信号を送信するように制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の入退出管理ゲート用ICカード回収箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−152565(P2010−152565A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328797(P2008−328797)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】