ICタグの添付構造
【課題】外気に関するデータを取得するセンサ部を備えたICタグの紛失を防止できるICタグの添付構造を提供する。
【解決手段】ICタグ20の添付対象物30に対する添付構造を、ICタグ20より外形が大きくかつICタグ20を収容し、添付対象物30に対して着脱可能に装着される収容部10と、収容部10を添付対象物30に装着した状態で収容部30の外気に関するデータを取得し、測定データをICタグ20に提供するセンサ部とを備える構成とした。
【解決手段】ICタグ20の添付対象物30に対する添付構造を、ICタグ20より外形が大きくかつICタグ20を収容し、添付対象物30に対して着脱可能に装着される収容部10と、収容部10を添付対象物30に装着した状態で収容部30の外気に関するデータを取得し、測定データをICタグ20に提供するセンサ部とを備える構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを添付対象物に添付するICタグの添付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、RFID(Radio Frequency Identification)とも称され、ICチップに対するデータの書き込み及びICチップが保持するデータの読み取りを無線通信によって非接触状態で行うことができるものである。
また、ICタグは、温度センサを備え、所定の時間毎に温度を計測してICチップに記録するものが知られている。
このような温度センサ付きのICタグは、農産物や水産物等の食料品に添付され、これらの食料品が保冷車等によって生産者から販売店舗に輸送される際にどのような温度環境下にあったかを管理するシステムに用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このシステムにおいて、ICタグは、販売店舗等の流通経路の最下流部から生産者側に返送して再利用することが望ましいが、近年、ICタグは、より小型化、薄型化される傾向にあり、これに伴い紛失の可能性も高くなっている。特に使用後に廃棄される段ボール箱等にICタグを貼り付ける場合、ICタグは、これらとともに廃棄される可能性がより高くなるという問題があった。
【特許文献1】特開2004−217426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、外気に関するデータを取得するセンサ部を備えたICタグの紛失を防止できるICタグの添付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、ICタグと、前記ICタグより外形が大きくかつ前記ICタグを収容し、添付対象物に対して着脱可能に装着される収容部と、前記収容部を前記添付対象物に装着した状態で前記収容部の外気と連通し、前記外気に関するデータを前記ICタグに提供するセンサ部とを備えるICタグの添付構造である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のICタグの添付構造において、前記センサ部が前記収容部に収容されるとともに、前記収容部がその内部と外部とを連通する通気孔を備えることを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項3の発明は、請求項1に記載のICタグの添付構造において、前記センサ部が前記収容部の外部に配置され、前記収容部が前記センサ部と前記ICタグとを接続する接続部が挿通される挿通孔を備えることを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、前記収容部が可撓性を有する材料によって袋状に形成されることを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、前記収容部がその表面に情報表示領域を有することを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、前記センサ部が温度センサを含むことを特徴とするICタグの添付構造である。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明のICタグの添付構造によれば、ICタグを収容した収容部は、添付対象物に着脱可能に設けられているから、この収容部単位でICタグを取り扱うことができる。この収容部は、その外形がICタグより大きいから、ICタグの紛失を防止できる。また、センサ部は、収容部に収容された状態で外気と連通しているから、外気のデータを正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、外気に関するデータを取得するセンサ部を備えたICタグの紛失を防止できるICタグの添付構造を提供するという課題を、封筒状に形成された収容部にICタグを収容し、この収容部を添付対象物である段ボール箱に着脱可能に装着することによって解決した。
【実施例1】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を適用したICタグの添付構造の実施例1について説明する。
実施例1のICタグの添付構造において、ICタグは、温度センサ付のICタグであって封筒状の収容部に収容され、その添付対象物は農産物を収納した段ボール箱である。
図1は、本発明を適用したICタグの添付構造の実施例1を示す図であり、(a)は、ICタグを収容した収容部を、(b)は、(a)の収容部が添付された状態の段ボール箱をそれぞれ示す斜視図である。
図2は、収容部の平面図である。
図3は、段ボール箱に添付される配送先識別ラベルを示す平面図である。
【0010】
収容部10は、例えば、日本工業規格(JIS)に規定によるA5サイズ(210mm×148mm)に相当する大きさの紙製の封筒であり、表紙部11、裏表紙部12、側面部13、底面部14、フラップ15、通気孔16、ICタグ20を備えている。
表紙部11、裏表紙部12は、それぞれ、例えば、A5サイズの面部であり、所定の間隔をおいて重ねて配置されている。
また、表紙部11の裏表紙部12と対向する面部とは反対側の面部であって、その中央部分には、情報表示領域11aが設けられている。この情報表示領域11aに表示される事項については後述する。
側面部13は、表紙部11の長手方向と平行に延在して設けられた帯状の紙片であり、表紙部11、裏表紙部12の短辺方向の両端部に一対設けられ、これらの両端部を接続している。
底面部14は、表紙部11の短辺方向と平行に延在して設けられた帯状の紙片であり、表紙部11、裏表紙部12の長手方向の一方の端部を接続している。
【0011】
フラップ15は、裏表紙部12の長手方向の他方の端部に一体に接続された帯状の紙片であり、裏表紙部12との境界部に沿って折り曲げられることによって表紙部11に重なるように折り返され、表紙部11、裏表紙部12の長手方向の他方の端部側に形成された開口を封緘している。
通気孔16は、底面部14を貫通して形成された孔部であり、表紙部11の短辺方向に沿って略等間隔に、例えば、6つ形成されている。また、通気孔16は、表紙部11の他方の端部寄り(底面部14寄り)の領域にも、例えば、8つ、適当な間隔で形成されている。さらに、通気孔16は、側面部13にも、例えば、ふたつ形成されている。
【0012】
ICタグ20は、合成樹脂材料によってその平面形が長方形状に形成されたカード型のケースを備え、その内部にそれぞれ図示しないデータ通信部、温度測定部を収容した公知の温度センサ付ICタグである。このケースの外形寸法は、収容部10の外形寸法(A5サイズ)よりも小さくなっている。
データ通信部は、アンテナ、ICチップを備え、例えば、13.56MHzの周波数帯域の電波を用いて外部に設けられた通信装置と電磁誘導方式の通信を行うようになっている。このICチップは、段ボール箱30の個体の識別を可能にするID番号等の情報を保持するとともに、後述する温度センサが取得した温度データを保持するようになっている。
【0013】
温度測定部は、温度センサ、制御部、バッテリ等を備えている。
温度センサは、ICタグ20の周辺温度を測定する部分であり、例えば、サーミスタ等を備えている。この温度センサは、ICタグ20が収容部10へ収容された状態で、通気孔16を介して収容部10の外気に触れるようになっており、この外気の温度データを制御部を介してデータ通信部のICチップに提供するようになっている。
【0014】
図1(b)に示すように、このICタグ20を収容した収容部10は、段ボール箱30の上面部に裏表紙部12の表紙部11と対向する面部とは反対側の面部が、例えば、再剥離可能な両面テープによって着脱可能に接着されている。
この段ボール箱30は、その内部に、例えば、野菜等の農産物31を収納し、この農産物31は、輸送時における周囲の温度を温度センサ付のICタグ20によって測定、記録する公知の物流管理システム40によって品質管理が行われる。
【0015】
図4は、物流管理システムの構成を示す概略図である。
物流管理システム40において、農産物31を収容した段ボール箱30は、農産物31の生産者41から物流センタ42を経由して販売店舗43に搬送される。この農産物31(段ボール箱30)は、上述のようにICタグ20を収容した収容部10が着脱可能に装着され、ICタグ20の温度測定部は、農産物10が生産者41側から販売店舗43に運送される間の運送車両の荷室内の温度や物流センタ42に備えられた保管ヤードの温度等、農産物31の周辺の温度を所定時間毎に測定する。
この段ボール箱30の側面部には、その配送先である販売店舗43の名称等、販売店舗43を特定できる情報が表示された配送先識別ラベル32が添付されている(図1(b)及び図3参照)。
【0016】
また、物流管理システム40は、データセンタ44を備えている。
物流センタ42や販売店舗43(以下、「アクセスポイントAP」と称して説明する)は、それぞれICタグリーダを備えており、ICタグ20が保持する温度履歴に関するデータは、段ボール箱30がこれらのアクセスポイントAPに到着するごとにデータセンタ44に備えられたサーバに、例えば、インターネット等の電気通信回線網を介して転送されて蓄積される。このサーバに蓄積された農産物31の温度履歴データは、例えば、農産物31の関係者や消費者等が閲覧することができ、このシステムのユーザは、この温度履歴データに基づいて農産物31の品質管理を行う。
また、ユーザは、温度履歴データを取得した後、収容部10(ICタグ20)を段ボール箱30から剥がして、新たな農産物等が生産者側から出荷されるのに備えて、例えば、郵便や宅配便によって生産者41側に返送する。
前述した収容部10の表紙部11に設けられた情報表示領域11aは、この収容部10(ICタグ20)の返送先を特定できる生産者41の住所や電話番号等が予め印刷されている。
【0017】
以上、説明したように、本実施例のICタグの添付構造によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ICタグ20をICタグ20より外形形状が大きい封筒状の収容部10に収容し、この収容部10を添付対象物である段ボール箱30に対して着脱可能に装着したから、この収容部10を段ボール箱30から剥がして返送すればよく、ICタグ20の紛失を防止できる。
(2)収容部10に複数の通気孔16を設けたから、収容部10の内部と外部との温度の差を小さくすることができ、ICタグ20は、段ボール箱30の周辺の温度を正確に測定できる。
(3)表紙部11に、返送先である生産者の住所を印刷したから、収容部20は、段ボール箱30から剥がした後、直ちに返送できるので便利である。
【実施例2】
【0018】
次に、本発明を適用したICタグの添付構造の実施例2について説明する。
なお、以下説明する実施例2において、実施例1と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
図5は、実施例2の収容部を示す斜視図である。
実施例2のICタグ50は、本体部51、外部温度センサ52、接続ケーブル53を備えている。
本体部51は、実施例1における温度センサ付のICタグ20を同様にカード状に形成され、データ通信部、情報処理部等を備えるとともに接続ケーブル53の端子が接続される端子口を有しており、実施例1と同様に収容部10に収容されている。
【0019】
外部温度センサ52は、実施例1の温度センサと同様にサーミスタ等を備えた温度測定部であり、本体部51と分離して、例えば、3つ設けられ、例えば、段ボール箱30の上面部、側面部、内部等、段ボール箱30の任意の場所の温度データを同時に測定することができるようになっている。
接続ケーブル53は、外部温度センサ52を本体部51に接続する接続部であり、外部温度センサ52に対応して、例えば、3本設けられている。この接続ケーブル53は、通気孔16を貫通して配置され、通気孔16は、挿通孔として機能する。
実施例2のICタグの添付構造によれば、収容部10の通気孔16に接続ケーブル53を貫通させることによって、外部温度センサ52を本体部51に容易に接続できる。
【0020】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施例の収容部は、紙によって封筒状に形成されていたが、収容部の構成はこれに限られず適宜変更が可能であり、例えば、材料が合成樹脂製であってもよく、その形状は、例えば、箱型であってもよい。
(2)実施例のICタグの添付構造は、農産物の物流管理システムに用いられていたが、これに限らず、例えば、保管場所の湿度を管理する必要がある美術品等を搬送する際に、この美術品等に添付して保管状態を記録するシステムに用いてもよい。
(3)実施例のICタグに備えられたセンサは、温度センサであったが、これに限らず、例えば、湿度センサ、照度センサ、ガス濃度センサ等の他のセンサであってもよい。また、ICタグは、複数のセンサを備えたマルチセンサタイプであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用したICタグの貼付構造の実施例1を示す図である。
【図2】収容部を示す平面図である。
【図3】配送先識別ラベルを示す平面図である。
【図4】物流管理システムの構成を示す概略図である。
【図5】実施例2の収容部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 収容部
11a 情報表示領域
16 通気孔
20 ICタグ
30 段ボール箱
31 農産物
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを添付対象物に添付するICタグの添付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、RFID(Radio Frequency Identification)とも称され、ICチップに対するデータの書き込み及びICチップが保持するデータの読み取りを無線通信によって非接触状態で行うことができるものである。
また、ICタグは、温度センサを備え、所定の時間毎に温度を計測してICチップに記録するものが知られている。
このような温度センサ付きのICタグは、農産物や水産物等の食料品に添付され、これらの食料品が保冷車等によって生産者から販売店舗に輸送される際にどのような温度環境下にあったかを管理するシステムに用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このシステムにおいて、ICタグは、販売店舗等の流通経路の最下流部から生産者側に返送して再利用することが望ましいが、近年、ICタグは、より小型化、薄型化される傾向にあり、これに伴い紛失の可能性も高くなっている。特に使用後に廃棄される段ボール箱等にICタグを貼り付ける場合、ICタグは、これらとともに廃棄される可能性がより高くなるという問題があった。
【特許文献1】特開2004−217426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、外気に関するデータを取得するセンサ部を備えたICタグの紛失を防止できるICタグの添付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、ICタグと、前記ICタグより外形が大きくかつ前記ICタグを収容し、添付対象物に対して着脱可能に装着される収容部と、前記収容部を前記添付対象物に装着した状態で前記収容部の外気と連通し、前記外気に関するデータを前記ICタグに提供するセンサ部とを備えるICタグの添付構造である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のICタグの添付構造において、前記センサ部が前記収容部に収容されるとともに、前記収容部がその内部と外部とを連通する通気孔を備えることを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項3の発明は、請求項1に記載のICタグの添付構造において、前記センサ部が前記収容部の外部に配置され、前記収容部が前記センサ部と前記ICタグとを接続する接続部が挿通される挿通孔を備えることを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、前記収容部が可撓性を有する材料によって袋状に形成されることを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、前記収容部がその表面に情報表示領域を有することを特徴とするICタグの添付構造である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、前記センサ部が温度センサを含むことを特徴とするICタグの添付構造である。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明のICタグの添付構造によれば、ICタグを収容した収容部は、添付対象物に着脱可能に設けられているから、この収容部単位でICタグを取り扱うことができる。この収容部は、その外形がICタグより大きいから、ICタグの紛失を防止できる。また、センサ部は、収容部に収容された状態で外気と連通しているから、外気のデータを正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、外気に関するデータを取得するセンサ部を備えたICタグの紛失を防止できるICタグの添付構造を提供するという課題を、封筒状に形成された収容部にICタグを収容し、この収容部を添付対象物である段ボール箱に着脱可能に装着することによって解決した。
【実施例1】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を適用したICタグの添付構造の実施例1について説明する。
実施例1のICタグの添付構造において、ICタグは、温度センサ付のICタグであって封筒状の収容部に収容され、その添付対象物は農産物を収納した段ボール箱である。
図1は、本発明を適用したICタグの添付構造の実施例1を示す図であり、(a)は、ICタグを収容した収容部を、(b)は、(a)の収容部が添付された状態の段ボール箱をそれぞれ示す斜視図である。
図2は、収容部の平面図である。
図3は、段ボール箱に添付される配送先識別ラベルを示す平面図である。
【0010】
収容部10は、例えば、日本工業規格(JIS)に規定によるA5サイズ(210mm×148mm)に相当する大きさの紙製の封筒であり、表紙部11、裏表紙部12、側面部13、底面部14、フラップ15、通気孔16、ICタグ20を備えている。
表紙部11、裏表紙部12は、それぞれ、例えば、A5サイズの面部であり、所定の間隔をおいて重ねて配置されている。
また、表紙部11の裏表紙部12と対向する面部とは反対側の面部であって、その中央部分には、情報表示領域11aが設けられている。この情報表示領域11aに表示される事項については後述する。
側面部13は、表紙部11の長手方向と平行に延在して設けられた帯状の紙片であり、表紙部11、裏表紙部12の短辺方向の両端部に一対設けられ、これらの両端部を接続している。
底面部14は、表紙部11の短辺方向と平行に延在して設けられた帯状の紙片であり、表紙部11、裏表紙部12の長手方向の一方の端部を接続している。
【0011】
フラップ15は、裏表紙部12の長手方向の他方の端部に一体に接続された帯状の紙片であり、裏表紙部12との境界部に沿って折り曲げられることによって表紙部11に重なるように折り返され、表紙部11、裏表紙部12の長手方向の他方の端部側に形成された開口を封緘している。
通気孔16は、底面部14を貫通して形成された孔部であり、表紙部11の短辺方向に沿って略等間隔に、例えば、6つ形成されている。また、通気孔16は、表紙部11の他方の端部寄り(底面部14寄り)の領域にも、例えば、8つ、適当な間隔で形成されている。さらに、通気孔16は、側面部13にも、例えば、ふたつ形成されている。
【0012】
ICタグ20は、合成樹脂材料によってその平面形が長方形状に形成されたカード型のケースを備え、その内部にそれぞれ図示しないデータ通信部、温度測定部を収容した公知の温度センサ付ICタグである。このケースの外形寸法は、収容部10の外形寸法(A5サイズ)よりも小さくなっている。
データ通信部は、アンテナ、ICチップを備え、例えば、13.56MHzの周波数帯域の電波を用いて外部に設けられた通信装置と電磁誘導方式の通信を行うようになっている。このICチップは、段ボール箱30の個体の識別を可能にするID番号等の情報を保持するとともに、後述する温度センサが取得した温度データを保持するようになっている。
【0013】
温度測定部は、温度センサ、制御部、バッテリ等を備えている。
温度センサは、ICタグ20の周辺温度を測定する部分であり、例えば、サーミスタ等を備えている。この温度センサは、ICタグ20が収容部10へ収容された状態で、通気孔16を介して収容部10の外気に触れるようになっており、この外気の温度データを制御部を介してデータ通信部のICチップに提供するようになっている。
【0014】
図1(b)に示すように、このICタグ20を収容した収容部10は、段ボール箱30の上面部に裏表紙部12の表紙部11と対向する面部とは反対側の面部が、例えば、再剥離可能な両面テープによって着脱可能に接着されている。
この段ボール箱30は、その内部に、例えば、野菜等の農産物31を収納し、この農産物31は、輸送時における周囲の温度を温度センサ付のICタグ20によって測定、記録する公知の物流管理システム40によって品質管理が行われる。
【0015】
図4は、物流管理システムの構成を示す概略図である。
物流管理システム40において、農産物31を収容した段ボール箱30は、農産物31の生産者41から物流センタ42を経由して販売店舗43に搬送される。この農産物31(段ボール箱30)は、上述のようにICタグ20を収容した収容部10が着脱可能に装着され、ICタグ20の温度測定部は、農産物10が生産者41側から販売店舗43に運送される間の運送車両の荷室内の温度や物流センタ42に備えられた保管ヤードの温度等、農産物31の周辺の温度を所定時間毎に測定する。
この段ボール箱30の側面部には、その配送先である販売店舗43の名称等、販売店舗43を特定できる情報が表示された配送先識別ラベル32が添付されている(図1(b)及び図3参照)。
【0016】
また、物流管理システム40は、データセンタ44を備えている。
物流センタ42や販売店舗43(以下、「アクセスポイントAP」と称して説明する)は、それぞれICタグリーダを備えており、ICタグ20が保持する温度履歴に関するデータは、段ボール箱30がこれらのアクセスポイントAPに到着するごとにデータセンタ44に備えられたサーバに、例えば、インターネット等の電気通信回線網を介して転送されて蓄積される。このサーバに蓄積された農産物31の温度履歴データは、例えば、農産物31の関係者や消費者等が閲覧することができ、このシステムのユーザは、この温度履歴データに基づいて農産物31の品質管理を行う。
また、ユーザは、温度履歴データを取得した後、収容部10(ICタグ20)を段ボール箱30から剥がして、新たな農産物等が生産者側から出荷されるのに備えて、例えば、郵便や宅配便によって生産者41側に返送する。
前述した収容部10の表紙部11に設けられた情報表示領域11aは、この収容部10(ICタグ20)の返送先を特定できる生産者41の住所や電話番号等が予め印刷されている。
【0017】
以上、説明したように、本実施例のICタグの添付構造によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ICタグ20をICタグ20より外形形状が大きい封筒状の収容部10に収容し、この収容部10を添付対象物である段ボール箱30に対して着脱可能に装着したから、この収容部10を段ボール箱30から剥がして返送すればよく、ICタグ20の紛失を防止できる。
(2)収容部10に複数の通気孔16を設けたから、収容部10の内部と外部との温度の差を小さくすることができ、ICタグ20は、段ボール箱30の周辺の温度を正確に測定できる。
(3)表紙部11に、返送先である生産者の住所を印刷したから、収容部20は、段ボール箱30から剥がした後、直ちに返送できるので便利である。
【実施例2】
【0018】
次に、本発明を適用したICタグの添付構造の実施例2について説明する。
なお、以下説明する実施例2において、実施例1と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
図5は、実施例2の収容部を示す斜視図である。
実施例2のICタグ50は、本体部51、外部温度センサ52、接続ケーブル53を備えている。
本体部51は、実施例1における温度センサ付のICタグ20を同様にカード状に形成され、データ通信部、情報処理部等を備えるとともに接続ケーブル53の端子が接続される端子口を有しており、実施例1と同様に収容部10に収容されている。
【0019】
外部温度センサ52は、実施例1の温度センサと同様にサーミスタ等を備えた温度測定部であり、本体部51と分離して、例えば、3つ設けられ、例えば、段ボール箱30の上面部、側面部、内部等、段ボール箱30の任意の場所の温度データを同時に測定することができるようになっている。
接続ケーブル53は、外部温度センサ52を本体部51に接続する接続部であり、外部温度センサ52に対応して、例えば、3本設けられている。この接続ケーブル53は、通気孔16を貫通して配置され、通気孔16は、挿通孔として機能する。
実施例2のICタグの添付構造によれば、収容部10の通気孔16に接続ケーブル53を貫通させることによって、外部温度センサ52を本体部51に容易に接続できる。
【0020】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施例の収容部は、紙によって封筒状に形成されていたが、収容部の構成はこれに限られず適宜変更が可能であり、例えば、材料が合成樹脂製であってもよく、その形状は、例えば、箱型であってもよい。
(2)実施例のICタグの添付構造は、農産物の物流管理システムに用いられていたが、これに限らず、例えば、保管場所の湿度を管理する必要がある美術品等を搬送する際に、この美術品等に添付して保管状態を記録するシステムに用いてもよい。
(3)実施例のICタグに備えられたセンサは、温度センサであったが、これに限らず、例えば、湿度センサ、照度センサ、ガス濃度センサ等の他のセンサであってもよい。また、ICタグは、複数のセンサを備えたマルチセンサタイプであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用したICタグの貼付構造の実施例1を示す図である。
【図2】収容部を示す平面図である。
【図3】配送先識別ラベルを示す平面図である。
【図4】物流管理システムの構成を示す概略図である。
【図5】実施例2の収容部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 収容部
11a 情報表示領域
16 通気孔
20 ICタグ
30 段ボール箱
31 農産物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグと、
前記ICタグより外形が大きくかつ前記ICタグを収容し、添付対象物に対して着脱可能に装着される収容部と、
前記収容部を前記添付対象物に装着した状態で前記収容部の外気と連通し、前記外気に関するデータを前記ICタグに提供するセンサ部と
を備えるICタグの添付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のICタグの添付構造において、
前記センサ部が前記収容部に収容されるとともに、前記収容部がその内部と外部とを連通する通気孔を備えること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項3】
請求項1に記載のICタグの添付構造において、
前記センサ部が前記収容部の外部に配置され、
前記収容部が前記センサ部と前記ICタグとを接続する接続部が挿通される挿通孔を備えること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、
前記収容部が可撓性を有する材料によって袋状に形成されること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、
前記収容部がその表面に情報表示領域を有すること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、
前記センサ部が温度センサを含むこと
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項1】
ICタグと、
前記ICタグより外形が大きくかつ前記ICタグを収容し、添付対象物に対して着脱可能に装着される収容部と、
前記収容部を前記添付対象物に装着した状態で前記収容部の外気と連通し、前記外気に関するデータを前記ICタグに提供するセンサ部と
を備えるICタグの添付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のICタグの添付構造において、
前記センサ部が前記収容部に収容されるとともに、前記収容部がその内部と外部とを連通する通気孔を備えること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項3】
請求項1に記載のICタグの添付構造において、
前記センサ部が前記収容部の外部に配置され、
前記収容部が前記センサ部と前記ICタグとを接続する接続部が挿通される挿通孔を備えること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、
前記収容部が可撓性を有する材料によって袋状に形成されること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、
前記収容部がその表面に情報表示領域を有すること
を特徴とするICタグの添付構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のICタグの添付構造において、
前記センサ部が温度センサを含むこと
を特徴とするICタグの添付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−323387(P2007−323387A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153152(P2006−153152)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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