ICタグ付き容器、及びICタグ付き包装体
【課題】 本発明は、ICタグが損傷しないように設けられ、該タグ情報を確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き容器を提供することを課題とする。
【解決手段】 接地部36と該接地部36よりも内側に凹んだ凹み部37が形成された底面31を有する容器3に、ICチップ及びアンテナ部を有するICタグ2が具備されており、前記ICタグ2と前記容器3の接地部36を含む面との間に隙間を有した状態で、前記ICタグ2が、前記凹み部37によって形成される底面31の空間部38内に収められているICタグ付き容器。
【解決手段】 接地部36と該接地部36よりも内側に凹んだ凹み部37が形成された底面31を有する容器3に、ICチップ及びアンテナ部を有するICタグ2が具備されており、前記ICタグ2と前記容器3の接地部36を含む面との間に隙間を有した状態で、前記ICタグ2が、前記凹み部37によって形成される底面31の空間部38内に収められているICタグ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグが具備されたICタグ付き容器、及び該容器の複数個が包装されてなるICタグ付き包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の著しい進歩によって、超小型のICチップを備えるICタグが、バーコードなどに代わって商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。例えば、このICタグに商品情報(品名、ロット番号、製造日、品質保持期限等)や入出荷情報(出荷日、入庫日等)などを適宜記録することにより、商品の製造元から流通業者を経て消費者に至るまでの流通履歴を含めた商品管理を、個々の商品毎に行うことが可能となる。
このようなICタグを商品に具備させる手段として、例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICタグが貼着されているICタグ付きボトル用ラベルを、容器胴部に装着することが開示されている。
また、このような筒状ラベル以外に、ICタグを備えるタックラベルを、容器胴部に貼付する手段も考えられる。
【0003】
しかしながら、上記のように、容器胴部にICタグを装着すると、製造ライン上や保管運搬時などに於いて、容器胴部が互いに擦れたり衝突することによってICタグが損傷する虞がある。さらに、この容器が飲料容器の場合には、充填された飲料に電波が吸収され易く、ICタグの読み取り感度などが低下する。また、胴部が円筒状であると、該容器の胴部形状に沿ってラベルが湾曲し、それに伴いICタグが変形する。このようにICタグが変形すると、リーダ装置などの無線通信装置との通信が悪くなり、ICタグの情報の読み取り感度などが低下する。
【0004】
また、一般に、多くの商品は、複数個を纏めて段ボール箱や厚紙箱などの包材に詰められた包装体の形態で、工場から出荷され、保管・運搬などの流通に供している。
しかしながら、ICタグが容器胴部に具備されている場合、包装体の状態で、個々の容器に具備されたそれぞれのICタグ情報を正確に読み取ることなどができないという問題点がある。
すなわち、上記のように胴部にICタグが具備された容器の複数個を纏め、包材にて包装した場合、隣合う容器のICタグ同士が向かい合うことがあり、該対面したICタグが干渉し合うため、無線通信装置によって各容器のICタグ情報を正確に読み取ったり、或いは各商品のICタグに情報を書き込むことができない。また、飲料などの液体が収納されている場合、液体に電波が吸収され易いので、同様にICタグ情報の読み取り精度などが低下する。
【0005】
この点、包材で包装する際に、ICタグが対向しないように包装すれば、隣合う容器や該容器に具備されたICタグの干渉を抑制することも可能となるが、向きを調整して包装することは包装作業の煩雑化を招き、又、容器の形状によっては、向き調整して包装しても運搬中にその向きが変わることがある。さらに、例えば、12個の容器を3列×4行に並べて包装する場合などのように3列以上に並べて包装された包装体にあっては、中央部分に位置する容器の周囲には、他の容器が存在するので、少なくとも中央部分に位置する容器のICタグ情報を正確に読み取ることなどができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−20771公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ICタグが損傷しないように設けられ、該タグ情報を確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き容器を提供することを課題とする。
また、本発明は、複数個の容器が包装された包装体に於いて、それぞれの容器に具備されたICタグの情報を個々に確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、接地部と接地部よりも内側に凹んだ凹み部が形成された底面を有する容器に、ICチップ及びアンテナ部を有するICタグが具備されており、前記ICタグと前記容器の接地部を含む面との間に隙間を有した状態で、前記ICタグが、前記凹み部によって形成される底面の空間部内に収められているICタグ付き容器を提供する。
【0009】
かかるICタグ付き容器は、ICタグが、凹み部によって形成される底面の空間部内に収められているので、接地部にて容器を自立させて搬送保管する際、ICタグが損傷することを防止できる。
【0010】
さらに、本発明の好ましい態様は、上記ICタグの上方又は下方の少なくとも何れか一方に、緩衝性シートが設けられている上記ICタグ付き容器である。
【0011】
また、本発明の好ましい態様では、上記緩衝性シートが前記ICタグの下方に設けられ、その緩衝性シートが発泡樹脂シートである上記ICタグ付き容器である。
【0012】
さらに、本発明の好ましい態様では、上記ICタグの上方にシートが設けられており、そのシートの上面が粘着層を介して前記容器の凹み部に貼付されている上記ICタグ付き容器である。
【0013】
さらに、本発明の第2の手段は、上記ICタグ付き容器の複数個が、それぞれ底面を下にして、包材にて包装されているICタグ付き包装体を提供する。
【0014】
上記ICタグ付き包装体は、上記底面の空間部内にICタグが収められている容器の複数個が、それぞれ底面を下にした状態で、包材によって包装されているので、包装体の底面側には、各容器に具備されたICタグが、それぞれ平面上に並んだ状態となっている。
従って、複数個の容器を包装する際、隣合う容器の向き調整などを行わなくても、個々の容器に具備されたICタグは、隣合う容器や該容器に具備されたICタグによって干渉を受けず、このICタグ付き包装体の底面側から無線通信装置を作用させることにより、個々の容器のICタグ情報をそれぞれ確実に読み取る又はICタグに情報を書き込むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のICタグ付き容器は、搬送保管する際、ICタグが損傷することを防止できる。従って、ICタグ付き容器は、無線通信装置を用いてICタグの情報を確実に読み取る又はICタグに情報を確実に書き込むことができる。
また、本発明のICタグ付き包装体によれば、複数の容器を包装した状態で、各容器に具備されたICタグの情報をそれぞれ確実に読み取る又はICタグに情報を書き込むことができる。従って、包装体を開封して容器を取り出さなくても、ICタグを利用して、商品毎の商品管理を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、ICタグ付き包装体の一実施形態を示す正面図、(b)は、同上面図。
【図2】図1のA−A線に於いて包材のみを切断した状態で示す断面図。
【図3】ICタグ付き容器の一実施形態を示す縦断面。
【図4】(a)は、ICタグが貼付されたタックラベルの一実施形態を示す上面図、(b)は、同B−B線断面図。
【図5】(a)は、無線通信装置を用いてICタグにアクセスする状態の一実施形態を示す正面図、(b)は、同上面図。
【図6】ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す縦断面図。
【図7】(a)は、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す上面図、(b)は、該タックラベルを容器の凹み部に貼付した状態を示す下面図。
【図8】(a)、(b)共に、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す上面図。
【図9】(a)は、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す上面図、(b)は、C−C線縦断面図、(c)は、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す縦断面図。
【図10】ICタグ付き容器の変形例を示す縦断面図。
【図11】ICタグ付き包装体の変形例であって、その包装体のうち包材のみを切断した状態で示す縦断面図。
【図12】(a)、(b)ともに、ICタグ付き包装体の変形例であって、その包装体のうち包材のみを切断した状態で示す縦断面図。但し、軟質フィルムについては、切断面を表す斜線を入れず、単なる実線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、容器3の底面31にICタグ2が収められたICタグ付き容器4と、該容器4の複数個を纏めて外包装する包材5と、からなるICタグ付き包装体を示す。
容器3は、図3に示すように、底面31を下にして自立可能な形態とされている。
具体的には、容器3は、略円状の底面31と、この底面31に続く円筒状の胴部32と、この胴部32から次第に細くなる肩部33と、この肩部33の上端部に開口された円状の開口部34と、この開口部34を封緘するゴム栓などの蓋部35と、から構成されている。この容器3内には、収納物として液状の医薬品が収納されている。尚、このように医薬品が収納された上記容器3は、一般にバイアル瓶と言われている。
【0018】
容器3の底面31は、自立させる際に載置面に接する環状の接地部36と、該接地部36よりも内側に凹んだ凹み部37と、から構成されている。この凹み部37は、中央部に平坦面が形成され、且つその周囲に次第に外側下方へ緩やかに傾斜する傾斜面が形成されており、この凹み部37と接地部36によって、容器3の底面31の中央部分には、空間部38が形成されている。
この底面31に形成された空間部38に、ICタグ2が収められている。
【0019】
ICタグ2は、図4にも示すように、ICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部を少なくとも有し、無線通信装置(後述するように、読込み型、書込み型、又は読書き型の何れでもよい)によって非接触で、ICチップ22の電気的情報を読み込む及び電気的情報をICチップ22に書き込む、又は、ICチップ22の電気的情報を読み込む若しくは電気的情報をICチップ22に書き込むことができる公知のものを用いることができる。
ICタグ2の具体的構成としては、図示したように、基材21の上にICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部が形成された構成のものや、図示しないが、基材21の上にICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部が形成され、且つこのICチップ22等の上に保護基材が更に積層された上下基材によるラミネート構造のものなどを用いることができる。
尚、このICタグ2とは、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
このICタグ2は、空間部38内に収まる大きさのものが用いられている。
【0020】
このICタグ2は、ICチップ22が設けられた面をタックラベル6に貼付し、このタックラベル6を介して容器3の底面31に貼付されている。
具体的には、タックラベル6は、ICタグ2よりも大面積で且つ凹み部37内に収まるような略円状の支持板61と、この支持板61の上面に粘着剤を塗布してなる粘着層62と、からなる。前記支持板61は、ICタグ2の下面に設けられているので、ICタグ2に外部から直接的に異物が接触することを防止できる。この粘着層62の略中央部にICタグ2のICチップ面が接着されている。このタックラベル6の粘着層62のうち、ICタグ2が接着されていない領域(支持板61の周縁部)を凹み部37の傾斜面に接着することにより、タックラベル6を介してICタグ2が空間部38内に保持されている。
従って、ICタグ2の上面と凹み部37の中央部下面は非接着となっており、該ICタグ2と容器3の凹み部37の下面の間には、隙間が確保されている。また、タックラベル6(支持板61)の下面と接地部36を含む面との間にも、同様に隙間が確保されている。
また、支持板61の少なくとも周縁部が、粘着層62を介して接着されているので、ICタグ2と凹み部37の下面の間に隙間を確保しつつ、ICタグ2を容器3に対して剥離可能に具備させることができる。
支持板61としては、厚み50〜100μm程度の合成樹脂シートや紙などを用いることができる。また、支持板61や粘着層62は、無色透明又は半透明(薄い色が付いているものも含む)なものを用いることが好ましい。このような透視可能なタックラベル6を用いることにより、ICタグ2が接着されていない領域に於いて容器3内部を視認することができ、容器3の底面31から医薬品を確認するための領域を広く確保できる。
【0021】
包材5は、特に限定されず、例えば、図2に示すように、厚紙、段ボール、硬質プラスチックシートなどの比較的硬いシートを組み立てた組立箱を用いることができる。また、包材は、透明なもの又は非透明なものを用いることができる。
この包材5の底面51に各容器4の接地部36を載せることにより、包材5の底面51にICタグ付き容器4の底面31を対面させた状態で、包材5内に複数のICタグ付き容器4が並べられて収納されている。従って、各容器4は、上下に積み重ねられておらず、その底面31を下にした状態で包装されている。尚、52は、箱型の包材5の開閉蓋を示す。
包材5によって包装されるICタグ付き容器4の個数は、複数個(2個以上)であれば特に限定されない。また、各容器4の並べ方も特に限定されず、1列×複数行、2列×複数行、3列×複数行などのように規則的に並べて包装してもよいし、或いは、不規則に並べて包装してもよい。図1では、10個の容器4を2列×5行に並べ、これを包材5にて包装してICタグ付き包装体1を示している。
尚、包材5によって容器4を包装する際、包材5と容器4との間、或いは隣合う容器4の間に、緩衝用のシートなどを介装してもよい。
【0022】
次に、上記ICタグ付き包装体1の製造方法及びICタグ付き包装体1のICタグ通信方法について説明する。
医薬品を容器3に充填し封緘した後、該医薬品に関する商品情報(品名、商品の個別的な識別番号、製造日、製造場所、品質保持期限などの所望の情報)を記録したICタグ2を、タックラベル6を介して容器3の凹み部37内に収まるように貼付する。
このICタグ付き容器4の複数個を、接地部36を包材5の底面51上に載置して自立させた状態で箱状の包材5に詰め込み、該包材5の開閉蓋52を封緘することによって、ICタグ付き包装体1が得られる。
尚、ICタグ2への商品情報の記録は、容器3に貼付する前に行わず、包装体1の製造後にICタグ2へ情報を書き込み可能な書込み型又は読書き型の無線通信装置を用いて行うこともできる。
【0023】
このICタグ付き包装体1は、搬送ラインなどで搬送され、倉庫に保管、或いは製造元から出荷され、流通に供される。そして、搬送ラインなどの所定箇所に於いて、無線通信装置を用いて、包装体1の状態で個々の容器4のICタグ2との通信が行われる。
例えば、この搬送途中に於いて、図5に示すように、コンベア11の間に無線通信装置10を配置し、該コンベア11で搬送される包装体1の底面を無線通信装置10上に通過させている間に、該無線通信装置10から電波が送られ、個々の商品3に具備されたICタグ2と通信することで、ICタグ2に記録された情報をそれぞれ読み取る及びICタグ2に情報をそれぞれ書き込む、又は、ICタグ2に記録された情報をそれぞれ読み取る若しくはICタグ2に情報をそれぞれ書き込むことができる。
また、無線通信装置10を、包装体1の搬送途中に配置してICタグ2と通信する態様に限られず、所望の場所で、包装体1を無線通信装置10の上に載せる又は通過させることにより、ICタグ2と通信することもできる。
【0024】
ここで、無線通信装置10は、ICタグ2と無線(非接触)によってアクセスできる装置であって、ICタグ2の情報を読み込む読込み型、無線でICタグ2に情報を記録する書込み型、又は該読み込みと書き込みの双方を行える読書き型、の何れかの型を用いることができる。
読込み型の無線通信装置10は、ICタグ2に対しては、その記録情報を読み込む機能を有する。かかる読込み型の無線通信装置10を用いる場合、例えば、容器4毎に具備されたICタグ2にそれぞれの識別番号(ID番号)が記録され、且つ該識別番号に対応した商品情報が別途データベース化されたシステムを構築することにより(例えば、別に設置したホストコンピュータに商品情報が記録更新され、且つインターネットなどの通信網を通じてアクセスできるデータベースなど)、読込み型の無線通信装置10で読み込んだICタグ情報(識別番号等)を元にしてこのデータベースと照合し、個々の容器4についての商品情報を確認でき、商品管理を行うことができる。
また、書込み型の無線通信装置10は、ICタグ2に対しては、所定情報を書き込む機能を有する。かかる書込み型の無線通信装置10を用いる場合、流通過程に於ける各箇所で、所定の商品情報を追記更新することにより、容器4毎のICタグ2に重畳的に商品情報を蓄積できる。
これら読込み型、書込み型、読書き型の無線通信装置10は、各流通箇所に於いて適宜選択して使用でき、例えば、製造元から販売業者又は消費者に至るまで、同じ型の無線通信装置(例えば、読込み型や読書き型など)を用いたり、或いは、製造元では書込み型の無線通信装置、問屋などの流通業者では読書き型、販売業者又は消費者では読込み型をそれぞれ用いるなどのように、流通箇所で異なる型の無線通信装置10を用いることもできる。
【0025】
また、無線通信装置10は、包装体1に包装された商品3のICタグ2に個々にアクセスするものでも良いし、或いは、複数個を纏めて一括してアクセスする方式のものでもよい。
【0026】
上記包装体1は、底面31にICタグ2が備えられた容器4の複数個が、それぞれ底面31を下にした状態で包材5によって包装された構成からなるので、該包装体1の底面側には、各容器3のICタグ2が、恰も包材5の底面51上に並べられたような状態となっている。従って、同一包装されている隣合う容器4や該容器4に具備されたICタグ2の干渉を受けず、各容器4に具備されたICタグ2の情報をそれぞれ確実に読み取る又は各容器4に具備されたICタグ2に情報を記録することができる。特に、収納物が液状の場合、従来のようにICタグを容器胴部に装着していると電波が吸収されて読み取り感度などが低下するが、本発明の包装体1によれば、無線通信装置10と各容器4のICタグ2の間に、液状の収納物が介在しないので、読み取り感度などが低下する虞もない。
よって、包装体1を開封して容器4を取り出さなくても、包装した状態のまま、容器毎にICタグ2を介してその商品管理を行うことができる。
尚、このようにICタグ2と無線通信装置10によって情報を通信するので、バーコードなどの光学的な手段に比してより確実に情報を読み込むことができ、又、包材5として非透明なものを用いることもできる。
【0027】
さらに、ICタグ2が、任意に読み書き可能なICチップ22を備えている場合には、書込み型又は読書き型の無線通信装置10によって、所望の情報を追加又は更新記録することができる。
従って、例えば、製造元から流通業者を経て消費者に至るまでの各流通拠点で、上記包装体1に無線通信装置10を作用させ、各容器4のICタグ2のそれぞれに、入出荷情報(出荷日、入庫日等)や検品情報などの所望の情報を追加又は更新記録していくことにより、極めて正確な流通履歴が記録されたICタグ2を個々の容器毎に得ることができる。
このICタグ2の記録情報に従えば、ICタグ付き容器4の追跡管理を容易に行えるので、医薬品の流通管理システムとして特に好適に利用できる。
【0028】
また、ICタグ2は、容器3の底面31のうち凹み部37によって形成される空間部38内に収められているので、ICタグ付き容器4を接地部36にて自立させて搬送保管する際、コンベアなどにICタグ2が接触し損傷することを防止できる。
加えて、ICタグ付き容器4が転倒しても、ICチップ22が床面などに当たって破損する虞もない。
さらに、ICタグ2と凹み部37の下面の間に隙間が確保されるようにICタグ2が具備されているので、搬送等の際に容器3へ加わる振動がICタグ2に直接に伝わることを防止できる。従って、衝撃によるICタグ2の損傷を防止できる。
また、ICタグ2は、凹み部37の略中央部分(略中心部分)に配設されているので、包装体1とした際、隣合う容器4のICタグ2同士が接近することを防止できる。従って、包装体1に於いて、隣合うICタグ2の干渉を確実に防止することができる。
【0029】
さらに、ICタグ2は、タックラベル6に剥離可能な粘着剤を介して貼付した場合には、タックラベル6から剥離することができる。従って、例えば、病院で、ICタグ付き容器4に収納された医薬品を使用した後、タックラベル6を容器3から引き剥がし、且つ該タックラベル6からICタグ2を引き剥がした後、このICタグ2をカルテなどに添付して保存しておくことができる。このようにICタグ2をカルテなどの患者に関連した資料と共に保存しておくことで、後日、患者に投与した医薬品の追跡調査を簡単に行うことができる。
【0030】
次に、本発明の変形例を示す。但し、下記変形例の説明では、上記各実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
【0031】
上記実施形態に於いては、ICタグ2の支持板61として合成樹脂シートなどが例示されているが、支持板61として、例えば、発泡樹脂シート、軟質な熱可塑性樹脂シート、不織布などの緩衝性のあるシートを用いてもよい。
このように緩衝性のあるシートを用いることにより、該支持板61はICタグ2を下面から保護する緩衝板としての機能も有する。つまり、外部からタックラベル6に押圧力が加わった際に、支持板61が変形吸収するので、ICタグ2に外部からの押圧力が強く作用することを防止できる。
このような発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの比較的軟質な熱可塑性発泡シートが例示される。この発泡樹脂シートの発泡倍率は、概ね1.5〜40倍程度のもの、厚みは、概ね50〜1000μm程度、好ましくは100〜300μm程度のものを用いることができる。
【0032】
また、図6に示すように、支持板61を少なくとも上下2層の積層体で構成し、この上層63と下層64の間にICタグ2を挟持したタックラベル6を用いてもよい。
このタックラベル6は、上層63に塗布された粘着層62を介して容器3の凹み部37内に貼付される。
このようにICタグ2を上下2層のシートで挟み込むことにより、ICタグ2を保護することができる。
この上下層63,64は、合成樹脂シートや紙などでもよいが、発泡樹脂シートや不織布などの緩衝性のあるシートを用いることが好ましい。下層64を緩衝性シートで構成することにより、上記と同様にICタグ2を下面から保護する緩衝板として機能する。
一方、上層63を緩衝性シートで構成することにより、ICタグ2と容器3の底面31の間に介在する緩衝板として機能する。例えば、このタックラベル6を容器2の凹み部37の下面に貼付すべく、タックラベル6を押さえつけた際、該緩衝板63が介在していることにより、ICタグ2が容器3に強く押圧されて破損することを防止できる。
【0033】
また、ICタグ2の支持板61として発泡樹脂シートを用いれば、図6に示すように、ICチップ22を収容するための凹部65を形成することもできる。一般に、ICチップ22は比較的厚みが厚いので、該ICチップ22を収容できる凹部65を支持部材61に形成することにより、支持板61に対するICタグ2の収まり具合を良くすることができる。
かかる凹部65を有する支持板61は、例えば、発泡樹脂シートの一面をエンボスロールにて押圧することによって凹部65を形成でき、この凹部65にICチップ22が嵌り込むようにICタグ2が貼付される。
尚、特に図示しないが、図4に示すような1層構造の支持部材61についても同様に、凹部65を形成してもよい。
【0034】
また、図7(a)は、周縁部に複数の切込部66が所定間隔をおいて形成されている支持板61に、ICタグ2が貼付されたタックラベル6を示す。
具体的には、支持板61は、容器3の凹み部37内に収まるように、リング状の接地部36よりもやや小径の円盤状に形成され、上面にICタグ2が貼付されている。この支持板61のうちICタグ2が接着されていない領域に於いて、その縁から中心方向に向けて次第に幅狭状(例えば略V字スリット状)に切り欠くことにより、切込部66が形成されている。この切込部66は、好ましくは略均等に複数箇所設けられる。
このように支持板61の周縁部に複数の切込部66が設けられたタックラベル6によれば、凹み部37の周縁部が傾斜面とされている容器3の該凹み部37に確実に接着することができる。すなわち、図3のように支持板61の周縁部を凹み部37の傾斜面に貼付すると、その傾斜に従い径外方向に徐々に皺が生じるので、支持板61の容器3に対する接着面が部分的に浮き上がる。この点、周縁部に切込部66が形成されている上記支持板61によれば、図7(b)に示すように、周縁部を凹み部37の傾斜面に貼付した際、切込部66の間隔が狭まって径外方向に皺が生じることを防止できる。
尚、図7(a)では、1層の支持板61を例示しているが、ICタグ2を挟持する2層の支持板61についても同様に、切込部66を形成することができる。
【0035】
また、上記では、切込部66として、支持板61の周縁部を略V字状に切り欠くことを例示しているが、例えば、図8(a)に示すように、支持板61の周縁部を略直角状に切り欠くことによって切込部66が形成されていてもよいし、或いは、図8(b)に示すように、支持板61の周縁部を線状に切り込むことによって切込部66が形成されていてもよい。これら何れのタックラベル6も上記と同様に、周縁部を凹み部37の傾斜面に貼付した際、周縁部に皺が生じることを防止できる。尚、図8(b)のように線状に切り込まれた切込部66の場合には、切込部66を境に分けられた対向側縁を重ね合わせることにより、皺の発生を防止できる。
【0036】
さらに、上記実施形態では、ICタグ2と容器3の凹み部37の下面の間には、隙間が確保されているため、容器へ加わる振動がICタグ2に直接に伝わらないので好ましいが、該隙間を有しないようにICタグ2を具備させることもできる。例えば、図3に示すICタグ付き容器4に於いて、ICタグ2の基材21に粘着剤を塗布することにより、支持板61の粘着層露出部分とICタグ2とを凹み部37の下面に貼付してもよい。また、図6に示すICタグ2が上下2層のシートで挟持されているものについても、上層63全体を凹み部37の下面に接着してもよい。
【0037】
また、図9(a)は、支持板61がICタグ2と略同形状の大きさに形成されているタックラベル6を示す。この態様に於いても、図9(b)に示すように、支持板61は上下2層からなる積層体でも良いし、図9(c)に示すように、支持板61は1層構造でもよい。このタックラベル6は、容器3の凹み部37の下面に貼付される。例えば、図10は、支持板61の一面(ICタグ2が貼付された面と反対面)全体に粘着層62を設け、この粘着層62を介して凹み部37の下面に貼付しているICタグ付き容器4を示す。尚、ICタグ2の基材21に粘着剤を設け、該基材21側を凹み部37の下面に貼付してもよい。
支持板61がICタグ2と略同形状に形成されていることにより、支持板61によって塞がれる容器3の底面31の面積を狭くすることができる。この態様は、容器4の内部を底面31から視認するための領域を広く確保できることから、支持板61が発泡樹脂シートなどの非透明なシートの場合に有効である。
【0038】
また、上記各実施形態に於いては、ICタグ2は、基材21にICチップ22とアンテナ部23が形成された態様からなるが、基材21のない態様、例えば、支持板61上にICタグ22とアンテナ部23が直接設けられていてもよい。尚、基材21にICチップ22とアンテナ部23が形成された公知のICタグ2を用い、この基材21に粘着剤を塗工などすることにより、容器底面の空間部38内に具備させることもできる。
【0039】
さらに、上記実施形態では、容器3としてバイアル瓶を例示しているが、底面31に凹み部37が形成されている容器3であれば特に限定されず、例えば、胴部よりも小径の注出口が形成されたボトル型、底面から上面まで略同寸法の円筒又は四角筒などの筒状型、底面から上面に向かって拡がるカップ型、瓢箪型、樽型、壺型、胴部に窪みを有するなどの異形型などの各種形状の成形容器の他、厚紙や合成樹脂シートなどを箱型に組み立てた組立容器などでもよい。
また、容器3の材質についても特に限定されず、透明なポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製、ガラス製、金属製、陶器製、紙製などでもよい。但し、金属製容器を用いる場合には、磁束の異常反射などが発生して電磁誘導に影響を及ぼして無線通信装置10による読み取り感度などが低下する虞があるので、金属面でも正常に使用可能なICタグ2を用いることが好ましい。
さらに、容器3に収納される収納物としては液状の医薬品に限られず、例えば、顆粒状、錠剤状、粉状、ゼリー状、固形状などの性状の医薬品でもよいし、又、医薬品に限られず、液状、顆粒状、錠剤状、粉状、ゼリー状、固形状などの性状の食品、飲料、化粧品、サニタリー品などでもよく、或いは、玩具などでもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態では、ICタグ付き容器4は、包材5に直接包装されているが、例えば、図11に示すように、ICタグ付き容器4を更に外装材7にて個包装し、これを包材5にて包装することにより包装体1を構成してもよい。外装材7としては、図示したような厚紙や合成樹脂シートなどの展開シートを組み立てた組立小箱や樹脂成形箱などの箱体の他、特に図示しないが、外装材7として熱収縮性フィルムを用い、容器4を個別にオーバーラップしてもよい。
外装材7で個包装されたICタグ付き容器4についても同様に、それぞれ底面31を下にした状態で、包材5によって複数個が包装される。
【0041】
さらに、上記実施形態では、包材5は、厚紙などを組み立てた組立箱が用いられているが、包材5は組立箱に限られず、例えば、容体と蓋体からなる合成樹脂ケースなどの樹脂成形品を用いることもできる。また、図12(a)に示すように、包材5として、熱収縮性フィルムなどの軟質フィルム54を用い、複数個の容器4を纏めてオーバーラップすることによりICタグ付き包装体1を構成することもできる。さらに、同図(b)に示すように、包装する各容器4の底面31に対面するように厚紙や合成樹脂シートなどの板材55を添付し且つ全体を軟質フィルム54で包装してもよい。また、包材5として、結束ベルトを用いることもできる。包材5は、複数個の商品4が離れないように一体化できるものであれば、全体を被包して一体化する態様、複数個の容器4の一部分が露出した状態で一体化する態様の何れでもよい。もっとも、商品4の底面31を保護できることから、包材5としては、厚紙などのシートを組み立てた組立箱や合成樹脂ケースなどの樹脂成形品、図12(b)に示すような板材55を添付したものが好ましい。
【符号の説明】
【0042】
1…ICタグ付き包装体、2…ICタグ、21…基材、22…ICチップ、23…アンテナ部、3…容器、31…容器の底面、36…容器の接地部、37…容器の凹み部、38…容器の空間部、4…ICタグ付き容器、5…包材、51…包材の底面、6…タックラベル、61…支持板、62…粘着層、63…上層、64…下層、66…切込部、10…無線通信装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグが具備されたICタグ付き容器、及び該容器の複数個が包装されてなるICタグ付き包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の著しい進歩によって、超小型のICチップを備えるICタグが、バーコードなどに代わって商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。例えば、このICタグに商品情報(品名、ロット番号、製造日、品質保持期限等)や入出荷情報(出荷日、入庫日等)などを適宜記録することにより、商品の製造元から流通業者を経て消費者に至るまでの流通履歴を含めた商品管理を、個々の商品毎に行うことが可能となる。
このようなICタグを商品に具備させる手段として、例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICタグが貼着されているICタグ付きボトル用ラベルを、容器胴部に装着することが開示されている。
また、このような筒状ラベル以外に、ICタグを備えるタックラベルを、容器胴部に貼付する手段も考えられる。
【0003】
しかしながら、上記のように、容器胴部にICタグを装着すると、製造ライン上や保管運搬時などに於いて、容器胴部が互いに擦れたり衝突することによってICタグが損傷する虞がある。さらに、この容器が飲料容器の場合には、充填された飲料に電波が吸収され易く、ICタグの読み取り感度などが低下する。また、胴部が円筒状であると、該容器の胴部形状に沿ってラベルが湾曲し、それに伴いICタグが変形する。このようにICタグが変形すると、リーダ装置などの無線通信装置との通信が悪くなり、ICタグの情報の読み取り感度などが低下する。
【0004】
また、一般に、多くの商品は、複数個を纏めて段ボール箱や厚紙箱などの包材に詰められた包装体の形態で、工場から出荷され、保管・運搬などの流通に供している。
しかしながら、ICタグが容器胴部に具備されている場合、包装体の状態で、個々の容器に具備されたそれぞれのICタグ情報を正確に読み取ることなどができないという問題点がある。
すなわち、上記のように胴部にICタグが具備された容器の複数個を纏め、包材にて包装した場合、隣合う容器のICタグ同士が向かい合うことがあり、該対面したICタグが干渉し合うため、無線通信装置によって各容器のICタグ情報を正確に読み取ったり、或いは各商品のICタグに情報を書き込むことができない。また、飲料などの液体が収納されている場合、液体に電波が吸収され易いので、同様にICタグ情報の読み取り精度などが低下する。
【0005】
この点、包材で包装する際に、ICタグが対向しないように包装すれば、隣合う容器や該容器に具備されたICタグの干渉を抑制することも可能となるが、向きを調整して包装することは包装作業の煩雑化を招き、又、容器の形状によっては、向き調整して包装しても運搬中にその向きが変わることがある。さらに、例えば、12個の容器を3列×4行に並べて包装する場合などのように3列以上に並べて包装された包装体にあっては、中央部分に位置する容器の周囲には、他の容器が存在するので、少なくとも中央部分に位置する容器のICタグ情報を正確に読み取ることなどができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−20771公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ICタグが損傷しないように設けられ、該タグ情報を確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き容器を提供することを課題とする。
また、本発明は、複数個の容器が包装された包装体に於いて、それぞれの容器に具備されたICタグの情報を個々に確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、接地部と接地部よりも内側に凹んだ凹み部が形成された底面を有する容器に、ICチップ及びアンテナ部を有するICタグが具備されており、前記ICタグと前記容器の接地部を含む面との間に隙間を有した状態で、前記ICタグが、前記凹み部によって形成される底面の空間部内に収められているICタグ付き容器を提供する。
【0009】
かかるICタグ付き容器は、ICタグが、凹み部によって形成される底面の空間部内に収められているので、接地部にて容器を自立させて搬送保管する際、ICタグが損傷することを防止できる。
【0010】
さらに、本発明の好ましい態様は、上記ICタグの上方又は下方の少なくとも何れか一方に、緩衝性シートが設けられている上記ICタグ付き容器である。
【0011】
また、本発明の好ましい態様では、上記緩衝性シートが前記ICタグの下方に設けられ、その緩衝性シートが発泡樹脂シートである上記ICタグ付き容器である。
【0012】
さらに、本発明の好ましい態様では、上記ICタグの上方にシートが設けられており、そのシートの上面が粘着層を介して前記容器の凹み部に貼付されている上記ICタグ付き容器である。
【0013】
さらに、本発明の第2の手段は、上記ICタグ付き容器の複数個が、それぞれ底面を下にして、包材にて包装されているICタグ付き包装体を提供する。
【0014】
上記ICタグ付き包装体は、上記底面の空間部内にICタグが収められている容器の複数個が、それぞれ底面を下にした状態で、包材によって包装されているので、包装体の底面側には、各容器に具備されたICタグが、それぞれ平面上に並んだ状態となっている。
従って、複数個の容器を包装する際、隣合う容器の向き調整などを行わなくても、個々の容器に具備されたICタグは、隣合う容器や該容器に具備されたICタグによって干渉を受けず、このICタグ付き包装体の底面側から無線通信装置を作用させることにより、個々の容器のICタグ情報をそれぞれ確実に読み取る又はICタグに情報を書き込むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のICタグ付き容器は、搬送保管する際、ICタグが損傷することを防止できる。従って、ICタグ付き容器は、無線通信装置を用いてICタグの情報を確実に読み取る又はICタグに情報を確実に書き込むことができる。
また、本発明のICタグ付き包装体によれば、複数の容器を包装した状態で、各容器に具備されたICタグの情報をそれぞれ確実に読み取る又はICタグに情報を書き込むことができる。従って、包装体を開封して容器を取り出さなくても、ICタグを利用して、商品毎の商品管理を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、ICタグ付き包装体の一実施形態を示す正面図、(b)は、同上面図。
【図2】図1のA−A線に於いて包材のみを切断した状態で示す断面図。
【図3】ICタグ付き容器の一実施形態を示す縦断面。
【図4】(a)は、ICタグが貼付されたタックラベルの一実施形態を示す上面図、(b)は、同B−B線断面図。
【図5】(a)は、無線通信装置を用いてICタグにアクセスする状態の一実施形態を示す正面図、(b)は、同上面図。
【図6】ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す縦断面図。
【図7】(a)は、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す上面図、(b)は、該タックラベルを容器の凹み部に貼付した状態を示す下面図。
【図8】(a)、(b)共に、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す上面図。
【図9】(a)は、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す上面図、(b)は、C−C線縦断面図、(c)は、ICタグが貼付されたタックラベルの変形例を示す縦断面図。
【図10】ICタグ付き容器の変形例を示す縦断面図。
【図11】ICタグ付き包装体の変形例であって、その包装体のうち包材のみを切断した状態で示す縦断面図。
【図12】(a)、(b)ともに、ICタグ付き包装体の変形例であって、その包装体のうち包材のみを切断した状態で示す縦断面図。但し、軟質フィルムについては、切断面を表す斜線を入れず、単なる実線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、容器3の底面31にICタグ2が収められたICタグ付き容器4と、該容器4の複数個を纏めて外包装する包材5と、からなるICタグ付き包装体を示す。
容器3は、図3に示すように、底面31を下にして自立可能な形態とされている。
具体的には、容器3は、略円状の底面31と、この底面31に続く円筒状の胴部32と、この胴部32から次第に細くなる肩部33と、この肩部33の上端部に開口された円状の開口部34と、この開口部34を封緘するゴム栓などの蓋部35と、から構成されている。この容器3内には、収納物として液状の医薬品が収納されている。尚、このように医薬品が収納された上記容器3は、一般にバイアル瓶と言われている。
【0018】
容器3の底面31は、自立させる際に載置面に接する環状の接地部36と、該接地部36よりも内側に凹んだ凹み部37と、から構成されている。この凹み部37は、中央部に平坦面が形成され、且つその周囲に次第に外側下方へ緩やかに傾斜する傾斜面が形成されており、この凹み部37と接地部36によって、容器3の底面31の中央部分には、空間部38が形成されている。
この底面31に形成された空間部38に、ICタグ2が収められている。
【0019】
ICタグ2は、図4にも示すように、ICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部を少なくとも有し、無線通信装置(後述するように、読込み型、書込み型、又は読書き型の何れでもよい)によって非接触で、ICチップ22の電気的情報を読み込む及び電気的情報をICチップ22に書き込む、又は、ICチップ22の電気的情報を読み込む若しくは電気的情報をICチップ22に書き込むことができる公知のものを用いることができる。
ICタグ2の具体的構成としては、図示したように、基材21の上にICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部が形成された構成のものや、図示しないが、基材21の上にICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部が形成され、且つこのICチップ22等の上に保護基材が更に積層された上下基材によるラミネート構造のものなどを用いることができる。
尚、このICタグ2とは、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
このICタグ2は、空間部38内に収まる大きさのものが用いられている。
【0020】
このICタグ2は、ICチップ22が設けられた面をタックラベル6に貼付し、このタックラベル6を介して容器3の底面31に貼付されている。
具体的には、タックラベル6は、ICタグ2よりも大面積で且つ凹み部37内に収まるような略円状の支持板61と、この支持板61の上面に粘着剤を塗布してなる粘着層62と、からなる。前記支持板61は、ICタグ2の下面に設けられているので、ICタグ2に外部から直接的に異物が接触することを防止できる。この粘着層62の略中央部にICタグ2のICチップ面が接着されている。このタックラベル6の粘着層62のうち、ICタグ2が接着されていない領域(支持板61の周縁部)を凹み部37の傾斜面に接着することにより、タックラベル6を介してICタグ2が空間部38内に保持されている。
従って、ICタグ2の上面と凹み部37の中央部下面は非接着となっており、該ICタグ2と容器3の凹み部37の下面の間には、隙間が確保されている。また、タックラベル6(支持板61)の下面と接地部36を含む面との間にも、同様に隙間が確保されている。
また、支持板61の少なくとも周縁部が、粘着層62を介して接着されているので、ICタグ2と凹み部37の下面の間に隙間を確保しつつ、ICタグ2を容器3に対して剥離可能に具備させることができる。
支持板61としては、厚み50〜100μm程度の合成樹脂シートや紙などを用いることができる。また、支持板61や粘着層62は、無色透明又は半透明(薄い色が付いているものも含む)なものを用いることが好ましい。このような透視可能なタックラベル6を用いることにより、ICタグ2が接着されていない領域に於いて容器3内部を視認することができ、容器3の底面31から医薬品を確認するための領域を広く確保できる。
【0021】
包材5は、特に限定されず、例えば、図2に示すように、厚紙、段ボール、硬質プラスチックシートなどの比較的硬いシートを組み立てた組立箱を用いることができる。また、包材は、透明なもの又は非透明なものを用いることができる。
この包材5の底面51に各容器4の接地部36を載せることにより、包材5の底面51にICタグ付き容器4の底面31を対面させた状態で、包材5内に複数のICタグ付き容器4が並べられて収納されている。従って、各容器4は、上下に積み重ねられておらず、その底面31を下にした状態で包装されている。尚、52は、箱型の包材5の開閉蓋を示す。
包材5によって包装されるICタグ付き容器4の個数は、複数個(2個以上)であれば特に限定されない。また、各容器4の並べ方も特に限定されず、1列×複数行、2列×複数行、3列×複数行などのように規則的に並べて包装してもよいし、或いは、不規則に並べて包装してもよい。図1では、10個の容器4を2列×5行に並べ、これを包材5にて包装してICタグ付き包装体1を示している。
尚、包材5によって容器4を包装する際、包材5と容器4との間、或いは隣合う容器4の間に、緩衝用のシートなどを介装してもよい。
【0022】
次に、上記ICタグ付き包装体1の製造方法及びICタグ付き包装体1のICタグ通信方法について説明する。
医薬品を容器3に充填し封緘した後、該医薬品に関する商品情報(品名、商品の個別的な識別番号、製造日、製造場所、品質保持期限などの所望の情報)を記録したICタグ2を、タックラベル6を介して容器3の凹み部37内に収まるように貼付する。
このICタグ付き容器4の複数個を、接地部36を包材5の底面51上に載置して自立させた状態で箱状の包材5に詰め込み、該包材5の開閉蓋52を封緘することによって、ICタグ付き包装体1が得られる。
尚、ICタグ2への商品情報の記録は、容器3に貼付する前に行わず、包装体1の製造後にICタグ2へ情報を書き込み可能な書込み型又は読書き型の無線通信装置を用いて行うこともできる。
【0023】
このICタグ付き包装体1は、搬送ラインなどで搬送され、倉庫に保管、或いは製造元から出荷され、流通に供される。そして、搬送ラインなどの所定箇所に於いて、無線通信装置を用いて、包装体1の状態で個々の容器4のICタグ2との通信が行われる。
例えば、この搬送途中に於いて、図5に示すように、コンベア11の間に無線通信装置10を配置し、該コンベア11で搬送される包装体1の底面を無線通信装置10上に通過させている間に、該無線通信装置10から電波が送られ、個々の商品3に具備されたICタグ2と通信することで、ICタグ2に記録された情報をそれぞれ読み取る及びICタグ2に情報をそれぞれ書き込む、又は、ICタグ2に記録された情報をそれぞれ読み取る若しくはICタグ2に情報をそれぞれ書き込むことができる。
また、無線通信装置10を、包装体1の搬送途中に配置してICタグ2と通信する態様に限られず、所望の場所で、包装体1を無線通信装置10の上に載せる又は通過させることにより、ICタグ2と通信することもできる。
【0024】
ここで、無線通信装置10は、ICタグ2と無線(非接触)によってアクセスできる装置であって、ICタグ2の情報を読み込む読込み型、無線でICタグ2に情報を記録する書込み型、又は該読み込みと書き込みの双方を行える読書き型、の何れかの型を用いることができる。
読込み型の無線通信装置10は、ICタグ2に対しては、その記録情報を読み込む機能を有する。かかる読込み型の無線通信装置10を用いる場合、例えば、容器4毎に具備されたICタグ2にそれぞれの識別番号(ID番号)が記録され、且つ該識別番号に対応した商品情報が別途データベース化されたシステムを構築することにより(例えば、別に設置したホストコンピュータに商品情報が記録更新され、且つインターネットなどの通信網を通じてアクセスできるデータベースなど)、読込み型の無線通信装置10で読み込んだICタグ情報(識別番号等)を元にしてこのデータベースと照合し、個々の容器4についての商品情報を確認でき、商品管理を行うことができる。
また、書込み型の無線通信装置10は、ICタグ2に対しては、所定情報を書き込む機能を有する。かかる書込み型の無線通信装置10を用いる場合、流通過程に於ける各箇所で、所定の商品情報を追記更新することにより、容器4毎のICタグ2に重畳的に商品情報を蓄積できる。
これら読込み型、書込み型、読書き型の無線通信装置10は、各流通箇所に於いて適宜選択して使用でき、例えば、製造元から販売業者又は消費者に至るまで、同じ型の無線通信装置(例えば、読込み型や読書き型など)を用いたり、或いは、製造元では書込み型の無線通信装置、問屋などの流通業者では読書き型、販売業者又は消費者では読込み型をそれぞれ用いるなどのように、流通箇所で異なる型の無線通信装置10を用いることもできる。
【0025】
また、無線通信装置10は、包装体1に包装された商品3のICタグ2に個々にアクセスするものでも良いし、或いは、複数個を纏めて一括してアクセスする方式のものでもよい。
【0026】
上記包装体1は、底面31にICタグ2が備えられた容器4の複数個が、それぞれ底面31を下にした状態で包材5によって包装された構成からなるので、該包装体1の底面側には、各容器3のICタグ2が、恰も包材5の底面51上に並べられたような状態となっている。従って、同一包装されている隣合う容器4や該容器4に具備されたICタグ2の干渉を受けず、各容器4に具備されたICタグ2の情報をそれぞれ確実に読み取る又は各容器4に具備されたICタグ2に情報を記録することができる。特に、収納物が液状の場合、従来のようにICタグを容器胴部に装着していると電波が吸収されて読み取り感度などが低下するが、本発明の包装体1によれば、無線通信装置10と各容器4のICタグ2の間に、液状の収納物が介在しないので、読み取り感度などが低下する虞もない。
よって、包装体1を開封して容器4を取り出さなくても、包装した状態のまま、容器毎にICタグ2を介してその商品管理を行うことができる。
尚、このようにICタグ2と無線通信装置10によって情報を通信するので、バーコードなどの光学的な手段に比してより確実に情報を読み込むことができ、又、包材5として非透明なものを用いることもできる。
【0027】
さらに、ICタグ2が、任意に読み書き可能なICチップ22を備えている場合には、書込み型又は読書き型の無線通信装置10によって、所望の情報を追加又は更新記録することができる。
従って、例えば、製造元から流通業者を経て消費者に至るまでの各流通拠点で、上記包装体1に無線通信装置10を作用させ、各容器4のICタグ2のそれぞれに、入出荷情報(出荷日、入庫日等)や検品情報などの所望の情報を追加又は更新記録していくことにより、極めて正確な流通履歴が記録されたICタグ2を個々の容器毎に得ることができる。
このICタグ2の記録情報に従えば、ICタグ付き容器4の追跡管理を容易に行えるので、医薬品の流通管理システムとして特に好適に利用できる。
【0028】
また、ICタグ2は、容器3の底面31のうち凹み部37によって形成される空間部38内に収められているので、ICタグ付き容器4を接地部36にて自立させて搬送保管する際、コンベアなどにICタグ2が接触し損傷することを防止できる。
加えて、ICタグ付き容器4が転倒しても、ICチップ22が床面などに当たって破損する虞もない。
さらに、ICタグ2と凹み部37の下面の間に隙間が確保されるようにICタグ2が具備されているので、搬送等の際に容器3へ加わる振動がICタグ2に直接に伝わることを防止できる。従って、衝撃によるICタグ2の損傷を防止できる。
また、ICタグ2は、凹み部37の略中央部分(略中心部分)に配設されているので、包装体1とした際、隣合う容器4のICタグ2同士が接近することを防止できる。従って、包装体1に於いて、隣合うICタグ2の干渉を確実に防止することができる。
【0029】
さらに、ICタグ2は、タックラベル6に剥離可能な粘着剤を介して貼付した場合には、タックラベル6から剥離することができる。従って、例えば、病院で、ICタグ付き容器4に収納された医薬品を使用した後、タックラベル6を容器3から引き剥がし、且つ該タックラベル6からICタグ2を引き剥がした後、このICタグ2をカルテなどに添付して保存しておくことができる。このようにICタグ2をカルテなどの患者に関連した資料と共に保存しておくことで、後日、患者に投与した医薬品の追跡調査を簡単に行うことができる。
【0030】
次に、本発明の変形例を示す。但し、下記変形例の説明では、上記各実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
【0031】
上記実施形態に於いては、ICタグ2の支持板61として合成樹脂シートなどが例示されているが、支持板61として、例えば、発泡樹脂シート、軟質な熱可塑性樹脂シート、不織布などの緩衝性のあるシートを用いてもよい。
このように緩衝性のあるシートを用いることにより、該支持板61はICタグ2を下面から保護する緩衝板としての機能も有する。つまり、外部からタックラベル6に押圧力が加わった際に、支持板61が変形吸収するので、ICタグ2に外部からの押圧力が強く作用することを防止できる。
このような発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの比較的軟質な熱可塑性発泡シートが例示される。この発泡樹脂シートの発泡倍率は、概ね1.5〜40倍程度のもの、厚みは、概ね50〜1000μm程度、好ましくは100〜300μm程度のものを用いることができる。
【0032】
また、図6に示すように、支持板61を少なくとも上下2層の積層体で構成し、この上層63と下層64の間にICタグ2を挟持したタックラベル6を用いてもよい。
このタックラベル6は、上層63に塗布された粘着層62を介して容器3の凹み部37内に貼付される。
このようにICタグ2を上下2層のシートで挟み込むことにより、ICタグ2を保護することができる。
この上下層63,64は、合成樹脂シートや紙などでもよいが、発泡樹脂シートや不織布などの緩衝性のあるシートを用いることが好ましい。下層64を緩衝性シートで構成することにより、上記と同様にICタグ2を下面から保護する緩衝板として機能する。
一方、上層63を緩衝性シートで構成することにより、ICタグ2と容器3の底面31の間に介在する緩衝板として機能する。例えば、このタックラベル6を容器2の凹み部37の下面に貼付すべく、タックラベル6を押さえつけた際、該緩衝板63が介在していることにより、ICタグ2が容器3に強く押圧されて破損することを防止できる。
【0033】
また、ICタグ2の支持板61として発泡樹脂シートを用いれば、図6に示すように、ICチップ22を収容するための凹部65を形成することもできる。一般に、ICチップ22は比較的厚みが厚いので、該ICチップ22を収容できる凹部65を支持部材61に形成することにより、支持板61に対するICタグ2の収まり具合を良くすることができる。
かかる凹部65を有する支持板61は、例えば、発泡樹脂シートの一面をエンボスロールにて押圧することによって凹部65を形成でき、この凹部65にICチップ22が嵌り込むようにICタグ2が貼付される。
尚、特に図示しないが、図4に示すような1層構造の支持部材61についても同様に、凹部65を形成してもよい。
【0034】
また、図7(a)は、周縁部に複数の切込部66が所定間隔をおいて形成されている支持板61に、ICタグ2が貼付されたタックラベル6を示す。
具体的には、支持板61は、容器3の凹み部37内に収まるように、リング状の接地部36よりもやや小径の円盤状に形成され、上面にICタグ2が貼付されている。この支持板61のうちICタグ2が接着されていない領域に於いて、その縁から中心方向に向けて次第に幅狭状(例えば略V字スリット状)に切り欠くことにより、切込部66が形成されている。この切込部66は、好ましくは略均等に複数箇所設けられる。
このように支持板61の周縁部に複数の切込部66が設けられたタックラベル6によれば、凹み部37の周縁部が傾斜面とされている容器3の該凹み部37に確実に接着することができる。すなわち、図3のように支持板61の周縁部を凹み部37の傾斜面に貼付すると、その傾斜に従い径外方向に徐々に皺が生じるので、支持板61の容器3に対する接着面が部分的に浮き上がる。この点、周縁部に切込部66が形成されている上記支持板61によれば、図7(b)に示すように、周縁部を凹み部37の傾斜面に貼付した際、切込部66の間隔が狭まって径外方向に皺が生じることを防止できる。
尚、図7(a)では、1層の支持板61を例示しているが、ICタグ2を挟持する2層の支持板61についても同様に、切込部66を形成することができる。
【0035】
また、上記では、切込部66として、支持板61の周縁部を略V字状に切り欠くことを例示しているが、例えば、図8(a)に示すように、支持板61の周縁部を略直角状に切り欠くことによって切込部66が形成されていてもよいし、或いは、図8(b)に示すように、支持板61の周縁部を線状に切り込むことによって切込部66が形成されていてもよい。これら何れのタックラベル6も上記と同様に、周縁部を凹み部37の傾斜面に貼付した際、周縁部に皺が生じることを防止できる。尚、図8(b)のように線状に切り込まれた切込部66の場合には、切込部66を境に分けられた対向側縁を重ね合わせることにより、皺の発生を防止できる。
【0036】
さらに、上記実施形態では、ICタグ2と容器3の凹み部37の下面の間には、隙間が確保されているため、容器へ加わる振動がICタグ2に直接に伝わらないので好ましいが、該隙間を有しないようにICタグ2を具備させることもできる。例えば、図3に示すICタグ付き容器4に於いて、ICタグ2の基材21に粘着剤を塗布することにより、支持板61の粘着層露出部分とICタグ2とを凹み部37の下面に貼付してもよい。また、図6に示すICタグ2が上下2層のシートで挟持されているものについても、上層63全体を凹み部37の下面に接着してもよい。
【0037】
また、図9(a)は、支持板61がICタグ2と略同形状の大きさに形成されているタックラベル6を示す。この態様に於いても、図9(b)に示すように、支持板61は上下2層からなる積層体でも良いし、図9(c)に示すように、支持板61は1層構造でもよい。このタックラベル6は、容器3の凹み部37の下面に貼付される。例えば、図10は、支持板61の一面(ICタグ2が貼付された面と反対面)全体に粘着層62を設け、この粘着層62を介して凹み部37の下面に貼付しているICタグ付き容器4を示す。尚、ICタグ2の基材21に粘着剤を設け、該基材21側を凹み部37の下面に貼付してもよい。
支持板61がICタグ2と略同形状に形成されていることにより、支持板61によって塞がれる容器3の底面31の面積を狭くすることができる。この態様は、容器4の内部を底面31から視認するための領域を広く確保できることから、支持板61が発泡樹脂シートなどの非透明なシートの場合に有効である。
【0038】
また、上記各実施形態に於いては、ICタグ2は、基材21にICチップ22とアンテナ部23が形成された態様からなるが、基材21のない態様、例えば、支持板61上にICタグ22とアンテナ部23が直接設けられていてもよい。尚、基材21にICチップ22とアンテナ部23が形成された公知のICタグ2を用い、この基材21に粘着剤を塗工などすることにより、容器底面の空間部38内に具備させることもできる。
【0039】
さらに、上記実施形態では、容器3としてバイアル瓶を例示しているが、底面31に凹み部37が形成されている容器3であれば特に限定されず、例えば、胴部よりも小径の注出口が形成されたボトル型、底面から上面まで略同寸法の円筒又は四角筒などの筒状型、底面から上面に向かって拡がるカップ型、瓢箪型、樽型、壺型、胴部に窪みを有するなどの異形型などの各種形状の成形容器の他、厚紙や合成樹脂シートなどを箱型に組み立てた組立容器などでもよい。
また、容器3の材質についても特に限定されず、透明なポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製、ガラス製、金属製、陶器製、紙製などでもよい。但し、金属製容器を用いる場合には、磁束の異常反射などが発生して電磁誘導に影響を及ぼして無線通信装置10による読み取り感度などが低下する虞があるので、金属面でも正常に使用可能なICタグ2を用いることが好ましい。
さらに、容器3に収納される収納物としては液状の医薬品に限られず、例えば、顆粒状、錠剤状、粉状、ゼリー状、固形状などの性状の医薬品でもよいし、又、医薬品に限られず、液状、顆粒状、錠剤状、粉状、ゼリー状、固形状などの性状の食品、飲料、化粧品、サニタリー品などでもよく、或いは、玩具などでもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態では、ICタグ付き容器4は、包材5に直接包装されているが、例えば、図11に示すように、ICタグ付き容器4を更に外装材7にて個包装し、これを包材5にて包装することにより包装体1を構成してもよい。外装材7としては、図示したような厚紙や合成樹脂シートなどの展開シートを組み立てた組立小箱や樹脂成形箱などの箱体の他、特に図示しないが、外装材7として熱収縮性フィルムを用い、容器4を個別にオーバーラップしてもよい。
外装材7で個包装されたICタグ付き容器4についても同様に、それぞれ底面31を下にした状態で、包材5によって複数個が包装される。
【0041】
さらに、上記実施形態では、包材5は、厚紙などを組み立てた組立箱が用いられているが、包材5は組立箱に限られず、例えば、容体と蓋体からなる合成樹脂ケースなどの樹脂成形品を用いることもできる。また、図12(a)に示すように、包材5として、熱収縮性フィルムなどの軟質フィルム54を用い、複数個の容器4を纏めてオーバーラップすることによりICタグ付き包装体1を構成することもできる。さらに、同図(b)に示すように、包装する各容器4の底面31に対面するように厚紙や合成樹脂シートなどの板材55を添付し且つ全体を軟質フィルム54で包装してもよい。また、包材5として、結束ベルトを用いることもできる。包材5は、複数個の商品4が離れないように一体化できるものであれば、全体を被包して一体化する態様、複数個の容器4の一部分が露出した状態で一体化する態様の何れでもよい。もっとも、商品4の底面31を保護できることから、包材5としては、厚紙などのシートを組み立てた組立箱や合成樹脂ケースなどの樹脂成形品、図12(b)に示すような板材55を添付したものが好ましい。
【符号の説明】
【0042】
1…ICタグ付き包装体、2…ICタグ、21…基材、22…ICチップ、23…アンテナ部、3…容器、31…容器の底面、36…容器の接地部、37…容器の凹み部、38…容器の空間部、4…ICタグ付き容器、5…包材、51…包材の底面、6…タックラベル、61…支持板、62…粘着層、63…上層、64…下層、66…切込部、10…無線通信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地部と該接地部よりも内側に凹んだ凹み部が形成された底面を有する容器に、ICチップ及びアンテナ部を有するICタグが具備されており、
前記ICタグと前記容器の接地部を含む面との間に隙間を有した状態で、前記ICタグが、前記凹み部によって形成される底面の空間部内に収められていることを特徴とするICタグ付き容器。
【請求項2】
前記ICタグの上方又は下方の少なくとも何れか一方に、緩衝性シートが設けられている請求項1記載のICタグ付き容器。
【請求項3】
前記緩衝性シートが前記ICタグの下方に設けられ、その緩衝性シートが発泡樹脂シートである請求項2記載のICタグ付き容器。
【請求項4】
前記ICタグの上方にシートが設けられており、そのシートの上面が粘着層を介して前記容器の凹み部に貼付されている請求項2又は3記載のICタグ付き容器。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のICタグ付き容器の複数個が、それぞれ底面を下にして、包材にて包装されていることを特徴とするICタグ付き包装体。
【請求項1】
接地部と該接地部よりも内側に凹んだ凹み部が形成された底面を有する容器に、ICチップ及びアンテナ部を有するICタグが具備されており、
前記ICタグと前記容器の接地部を含む面との間に隙間を有した状態で、前記ICタグが、前記凹み部によって形成される底面の空間部内に収められていることを特徴とするICタグ付き容器。
【請求項2】
前記ICタグの上方又は下方の少なくとも何れか一方に、緩衝性シートが設けられている請求項1記載のICタグ付き容器。
【請求項3】
前記緩衝性シートが前記ICタグの下方に設けられ、その緩衝性シートが発泡樹脂シートである請求項2記載のICタグ付き容器。
【請求項4】
前記ICタグの上方にシートが設けられており、そのシートの上面が粘着層を介して前記容器の凹み部に貼付されている請求項2又は3記載のICタグ付き容器。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のICタグ付き容器の複数個が、それぞれ底面を下にして、包材にて包装されていることを特徴とするICタグ付き包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−275021(P2010−275021A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187941(P2010−187941)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【分割の表示】特願2005−154965(P2005−154965)の分割
【原出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【分割の表示】特願2005−154965(P2005−154965)の分割
【原出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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