説明

ICタグ検品装置

【課題】 不良ICタグが衣類などに付されることを防止し、生産効率を低下させることなく、多種多様なICタグに対応可能となるICタグの検品装置を提供する。
【解決手段】 シリンダS1は、不良ICタグTC1を検出した場合に、シリンダS1のピストンS1aを進出させ、ピストンS1sの端部に固定され型抜き刃Pが、不良ICタグTC1に進出して貫通穴TC7を形成させる。また、シリンダS2は、シリンダS1の動作に合わせてシリンダS2のピストンS2aを進出させ、ピストンS2sの端部に固定され受け台Dが、不良ICタグTC1の裏面に当接する。この時、シリンダS1のピストンS1aの端部に固定された型抜き刃Pが不良ICタグTC1を貫通して下方に抜き出た状態となり、受け台Dの略真ん中にある受け穴DPで型抜き刃Pを受け止める。そして、電磁弁DVが、エアホースHからの負圧を受け台Dの中空に流して、型抜き刃Pに抜かれた不良ICタグTC1の抜き片を吸い取るよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICモジュールを内包したICタグを検品するICタグ検品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類などに付す値札用下げ札(以下、適宜「タグ」と称する)にサイズ、色および価格などの可変情報を印字するタグプリンタが知られている。
このタグプリンタは、帯状で巻回されたタグを用紙供給部に装填し、この用紙供給部よりタグを順次繰り出して、タグの搬送方向下流にあるサーマルヘッドとプラテン等から成る印字部でタグに可変情報を印字し、その後、さらにタグの搬送方向下流の切断部で規定の長さに切断する。
切断されたタグは、タグプリンタの外部に連結されたスタッカに搬送され、1枚毎に整列されると共に積み上げられる。
上記のタグプリンタにおいて、本願出願人が提案しているもので、タグの製造工程で発生する小巻の長さに満たない半端なタグを繋ぎ合わせ、その繋ぎ目にパンチ穴を形成したタグを使用し、タグの繋ぎ目にあるパンチ穴を検出すると共にパンチ穴があるタグの印字をスキップするタグプリンタが知られている(特許文献1)。
【0003】
上記従来のタグプリンタで使用するタグの構成を図6に示す。
図中の帯状に形成されたタグ用紙TKは、切断位置TK2で切断することで規定の長さLのタグTK1となり、その後、穴TK3に糸やビニール製のワイヤーを通して衣類などに付すことができるようになっている。TK4はパンチ穴で、作業者により半端なタグ用紙TKの終端と新なたタグ用紙TKの始端をテープTK5で巻き付け繋ぎ合わせた後、パンチ穴TK4が繋ぎ合わせたタグTK1の長手方向の略中間に形成される。
これにより、上記従来のタグプリンタにおいて、繋ぎ目のあるタグTK1のパンチ穴TK4を検出することで、使用できない繋ぎ目のあるタグTK1の印字をスキップすることができる。
【0004】
また近頃では、ICチップとアンテナから成り非接触で情報の電気的な書き込みおよび読み込みを可能とするICモジュールを内包したタグ(以下、適宜「ICタグ」と称する)を使用して、発注管理や在庫管理を容易とするシステムが提案されており、タグプリンタにおいても、内部にICモジュールと非接触で通信を行なうアンテナと接続されたリーダライタを内蔵し、ICモジュールのICチップに製品番号や履歴情報を書き込みおよび読み込みを可能とするタグプリンタが実用化されている。
【0005】
図1は、ICタグの構成を説明するための説明図であり、(a)は平面図で、(b)は矢印X−Xの断面図である。
図1(a)に示す帯状に形成されたICタグ用紙TCは、切断位置TC2で切断することで規定の長さLのICタグTC1となり、その後、穴TC3に糸やビニール製のワイヤーを通して衣類などに付すことができるようになっている。また、用途によっては、ICタグ用紙TCの裏面にブラックマークBMが予め印刷されている場合もある。
図1(b)に示すICタグ用紙TCは、印刷層TC4とベース層TC5の間に粘着層TC6を構成し、粘着層TC6の中にICモジュールRを構成する。
このICタグ用紙TCに内包するICモジュールRは、ICチップR1とアンテナR2とから構成すると共に、フィルム層R3により保護されている。
【0006】
しかし、上記ICタグの製造工程において、幾つもの層を形成するために紙やシートを貼り合わせる工程があり、各工程で紙やシートを均一に張架するためにローラによる押圧や転向及び摩擦による静電気等によりICモジュールが破損する場合があり、その結果、ICモジュールとアンテナとの通信距離が不足して通信ができないなど不良なICタグが発生する場合がある。
【0007】
上記の不良なICモジュールを検査部により検出し、不良と判断されたICモジュールを通信不可状態とする処理を備えたIC製品検査装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平2001−30556号公報
【特許文献2】特開平2004−86785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のIC製品検査装置では、不良なICモジュール(特許文献2では、「RF−IDメディア」と称している)を後工程の検査においても確実に不良品と判断できるように処理するとしているが、帯状に形成されたICモジュールの一部不良品を確実に検出はするものの排除するものではなく、さらに、ICタグ用紙の製造工程では、ICタグ用紙が帯状に形成されるため、不良なICタグを取り除くことは出来ない問題がある。この場合、一部不良なICタグが、タグプリンタにより可変情報を印字すると共に規定の長さに切断され、衣類などに付される問題がある。
【0009】
また、上記IC製品検査装置では、確実に不良品と判断できるように処理する手段として、ICチップまたはアンテナを少なくとも部分的に打ち抜く、アンテナを切断する、ICチップを破壊する及びアンテナを短絡するなどを提案しているが、いずれも搬送されてくるICモジュールの一部に的確に処理する精度が求められることとなり、ICモジュールの搬送速度を高速にできないことから、生産効率を低下させる問題がある。
【0010】
さらに、ICタグのサイズや形状も多種多様となり、それに合わせてICタグに内包するICモジュールの内包位置が、例えば、ICモジュールをタグの片隅に寄せ内包する形体のものや、ICモジュールを図1(a)のICモジュールRの配置から90°回転させ内包した形体のものなどがある中で、上記IC製品検査装置を、ICタグ用紙の製造工程に用いた場合、上記手段における機器の設置位置やタイミングをその都度調整しなければならないため、その作業が煩わしい問題がある。
【0011】
本発明は、前述した従来の問題を解決するために鑑みなされたもので、不良なICタグが衣類などに付されることを防止し、生産効率を低下させることなく、多種多様なICタグに対応可能としたICタグ検品装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係るICタグ検品装置は、ICモジュールを内包したICタグを検品するICタグ検品装置であって、前記ICタグに内包する前記ICモジュールが不良な不良ICタグか否かを判断する判断手段と、前記ICタグに貫通穴を形成する貫通手段と、前記判断手段が前記不良ICタグと判断した場合に、前記貫通手段を起動し前記不良ICタグに貫通穴を形成するよう制御する制御手段を有することを特徴とする。
上記ICタグ検品装置で検品されたICタグ用紙を従来のタグプリンタで使用すれば、不良ICタグに形成された貫通穴を検出することで印字がスキップされ、切断部で単葉に切断された後、無印字で貫通穴が形成された単葉の不良ICタグが視認可能となり容易に排除することができることから、不良ICタグが衣類などに付されることを防止することができる。
また本発明は、ICモジュールと非接触で通信するアンテナおよびリーダライタを内蔵しないタグプリンタでも、不良なICタグを容易に排除することができる。
【0013】
また、本発明に係るICタグ検品装置は、前記判断手段は、前記判断手段は、前記ICモジュールと非接触で通信を行うアンテナが接続されたリーダライタと、前記アンテナの近傍に電磁波を遮断するシールド部材を有することを特徴とする。
上記の発明によると、リーダライタと接続されたアンテナの近傍に電磁波を遮断するシールド部材を設けたことで、連続する隣のICタグや他機器からの電磁波等の影響を無くし、不良ICタグを確実に検出することができる。
【0014】
また、本発明に係るICタグ検品装置は、前記ICタグの幅方向一端または両端にマークを塗布するマーク塗布手段を有し、前記判断手段が前記不良ICタグと判断した場合に、前記制御手段が前記マーク塗布手段を起動し前記不良ICタグの幅方向一端または両端にマークを塗布するよう制御することを特徴とする。
上記の発明によると、判断手段が不良ICタグと判断した場合に、制御手段がマーク塗布手段を起動し不良ICタグの幅方向一端または両端にマークを塗布するよう制御することで、従来のタグプリンタにおいて、切断部で単葉に切断された後、タグプリンタの外部に連結されたスタッカ積み上げられた単葉のICタグの中で、不良ICタグに塗布されたマークが視認可能となり容易に排除することができることから、不良ICタグが衣類などに付されることを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係るICタグ検品装置は、前記ICタグの長手方向の長さを入力する入力手段を有し、前記判断手段が前記不良ICタグと判断した場合に、前記制御手段が前記貫通手段または前記マーク塗布手段を起動して、前記不良ICタグの長手方向の長さの略中間に貫通穴を形成する、またはマークを塗布するよう制御することを特徴とする。
上記のICタグ検品装置をICタグ用紙の製造工程下流に組み込んだ場合、制御手段が、入力手段により入力されたICタグの長さにより、不良ICタグの長さの略中間に貫通穴を形成する、またはマークを塗布するよう制御することで、ICタグの形状や長さおよびICモジュールの内包位置や形状が異なる場合であっても、貫通手段またはマーク塗布手段の設置位置やタイミングをその都度調整する必要が無く、ICタグ用紙の搬送速度を高速に対応できることから、生産効率を向上させることができる。
また本発明は、ICモジュールと非接触で通信するアンテナおよびリーダライタを内蔵しないタグプリンタにおいて、ICタグの切断位置が多少変更されても不良ICタグの略中間に貫通穴を形成する、またはマークを塗布するので、不良ICタグを確実に視認可能とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るICタグの検品装置によれば、不良ICタグが衣類などに付されることを防止し、生産効率を低下させることなく、多種多様なICタグに対応可能となる。
また本発明は、不良ICタグを視認可能とし容易に排除することができる。
また本発明は、ICモジュールと非接触で通信するリーダライタを内蔵しないタグプリンタでも、不良ICタグを容易に排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図2は、本発明のICタグ検品装置の制御系の基本的な構成を示すブロック図であり、図3は、本発明のICタグ検品装置のメカ構成を説明するための説明図、図4は、本発明のICタグ検品装置の各処理における流れを説明するための説明図であり、(a)は、マーク塗布手段および貫通手段が待機状態である状態を示し、(b)は、マーク塗布手段が起動された状態を示し、(c)は、貫通手段が起動された状態を示す。図5は、本発明のICタグ検品装置で検品した不良ICタグの形態を説明するための説明図である。
【0018】
図2および図3を参照すると、図中の10は、本発明のICタグ検品装置を司るCPUであり、CPU10は、各種制御部のプログラムを格納するROMやフラッシュメモリ等から成る非揮発性メモリ11と、CPU10の作業領域としてのRAM12と、上位ホスト30からの入力およびステータス返送などを行なう外部インタフェース13と、巻回状のICタグ用紙TCを搬送モータ31を制御して搬送させる搬送モータ制御部14と、シリンダS1、S2を起動してICタグ用紙TCに貫通穴を形成させるシリンダ制御部15と、各種釦と表示パネルから成る操作部32を制御する操作制御部16と、ICタグ用紙TCに形成された穴TC3やICタグ用紙TCの裏面に印刷されたブラックマークBMを検出する用紙検知センサSEを制御するセンサ制御部17と、ICタグ用紙TCに内包されたICモジュールRのICチップR1にアンテナSAを介して情報を読み書きするリーダライタ装置33とシリアル通信等により接続されリーダライタ装置33を制御するリーダライタ制御部18と、ICタグ用紙TCに貫通穴を形成した時に出る抜き片を電磁弁DVの負圧で吸い取るよう制御する電磁弁制御部19と、インク塗料を吸収したスポンジ部材などから成るインクローラMKをICタグ用紙TCの幅方向の端部に向け進退動させるソレノイドMSを制御するソレノイド制御部20とをシステムバス21を介して制御する。
【0019】
尚、上記ではリーダライタ装置33とリーダライタ制御部18をシリアル通信等により接続すると説明したが、リーダライタ装置33の回路をリーダライタ制御部18に組み込み、システムバス21を介してCPU10と接続するように変更しても何ら差支えない。
【0020】
搬送モータ制御部14は、供給軸KJに装填された巻回状のICタグ用紙TCを搬送ローラL1a、L1bおよびL2a、L2bで挟持し、図示せぬギアやV字型ベルトなどにより連動された搬送ローラL1b、L2bおよび巻取り軸RJを搬送モータ31により回転駆動し、ICタグ用紙TCの搬送を制御する。搬送ローラL1aおよびL2aは従動ローラである。尚、巻取り軸RJは、ICタグ用紙TCの巻き径に応じて巻き取り力を調整することができるように図示しないクラッチ機構を有している。
【0021】
アンテナSAの近傍には、連続する隣のICタグや他機器からの電磁波を遮断して影響を無くし、不良ICタグを確実に検出するためのシールド部材Sが設けられている。
【0022】
(マーク塗布手段)
ソレノイド制御部20は、インク塗料を吸収したスポンジ部材などから成る円筒形状のインクローラMKを回転自在に支持し屈曲形状の支持板MBと、支持板MBの屈曲した裏面に固定された支点軸MJを支点として、支持板MBの下端と接続固定されているソレノイドMSが進出することで、インクローラMKがICタグ用紙TCの幅方向端部から離間し、ソレノイドMSが退出することでインクローラMKがICタグ用紙TCの幅方向端部に当接するようソレノイドMSを制御する。これにより、不良なICタグTC1の幅方向端部にマークTC8が塗布される。尚、支点軸MJおよびソレノイドMSは、図示せぬ筐体に固定されている。
【0023】
(貫通手段)
シリンダ制御部15が制御するシリンダS1は、ICタグ用紙TCの上空で図示せぬ筐体により固定され、アンテナSAおよびリーダライタ装置33を介してリーダライタ制御部18が不良ICタグTC1を検出した場合に、シリンダS1のピストンS1aを進出させ、ピストンS1sの端部に固定され先端が刃物で円筒形状の型抜き刃Pが、不良ICタグTC1に進出して貫通穴TC7を形成させる。
また、シリンダ制御部15が制御するシリンダS2は、ICタグ用紙TCの下方で図示せぬ筐体により固定され、シリンダS1の動作に合わせてシリンダS2のピストンS2aを進出させ、ピストンS2sの端部に固定され板状で中空な受け台Dが、不良ICタグTC1の裏面に当接する。この時、シリンダS1のピストンS1aの端部に固定された型抜き刃Pが不良ICタグTC1を貫通して下方に抜き出た状態となり、受け台Dの略真ん中にある受け穴DPで型抜き刃Pを受け止める。そして、電磁弁制御部19が電磁弁DVを起動して、エアホースHからの負圧を受け台Dの中空に流して、型抜き刃Pに抜かれた不良ICタグTC1の抜き片を吸い取るよう構成されている。
【0024】
次に図4を用いて、本実施の形態での各処理における流れを説明する。
先ず図4(a)を参照すると、巻回状のICタグ用紙TCが供給軸KJに装填され、搬送ローラL1a、L1bおよびL2a、L2bに挟持され、巻取り軸RJに掛け渡されている。この状態で、搬送モータ制御部14が搬送モータ31を起動し、ICタグ用紙TCの搬送を開始する。
【0025】
(タイミング計算手段)
CPU10は、ICタグ用紙TCの搬送の開始にあたり、操作部32および上位ホスト30から入力されたICタグ用紙TCにおけるICタグTC1の用紙長により、アンテナSAで不良なICモジュールRを内包するICタグTC1を検出した場合に、マーク塗布手段および貫通手段を起動するタイミングを予め計算しRAM12に記憶する。このタイミングとは、貫通手段が貫通穴TC7を形成する位置およびマーク塗布手段がマークTC8を塗布する位置が、不良なICモジュールRを内包するICタグTC1の用紙長さLの略中間となるようICタグ用紙TCの搬送距離および搬送速度を加味して計算されている。
上記により、ICタグTC1の長さLに変更があった場合や、搬送速度が変更になった場合でも、容易に貫通手段およびマーク塗布手段のタイミングを外部より入力する必要が無く対応可能となる。
【0026】
センサ制御部17は、ICタグ用紙TCの搬送に伴い用紙検出センサSEによりICタグ用紙TCの穴TC3およびブラックマークBMを検出すると、その旨の信号をCPU10に出力する。
CPU10は、この信号を受けてリーダライタ制御部18を起動してリーダライタ装置33およびアンテナSAを介して、ICタグ用紙TCのICモジュールRのICチップR1へ非接触による通信によりデータの書き込みまたは読込みを行なう。この時、ICモジュールRのICチップR1よりステータスが返送され、リーダライタ装置33およびアンテナSAを介してステータスを受信したリーダライタ制御部18は、ICタグ用紙TCのICモジュールRが不良か否かを判定する。さらに、リーダライタ制御部18は、ICモジュールRのICチップR1よりステータスが一定時間内に返送されない場合、このICタグ用紙TCのICモジュールRが不良と判断する。
【0027】
上記ICモジュールRのICチップR1からのステータスが異常であった場合、または、ICモジュールRのICチップR1からステータスが一定時間内に返送されない場合に、リーダライタ制御部18は、このICタグ用紙TCのICモジュールRが不良と判断し、その旨の信号をCPU10に出力する。
【0028】
次いで図4(b)を参照すると、CPU10は、ICタグ用紙TCのICモジュールRが不良である旨の信号を受け、上記RAM12に記憶されたタイミングによりマーク塗布手段を起動する。
ソレノイド制御部20は、CPU10からの起動を受け、ソレノイドMSを退出してインクローラMKが不良なICタグTC1の幅方向端部にマークTC8が塗布されるよう一定時間当接させる。その後、ソレノイド制御部20は、ソレノイドMSを進出させることでインクローラMKをICタグ用紙TCの幅方向端部から離間させる。これにより、不良なICタグTC1の幅方向端部にマークTC8が塗布される。
【0029】
次いで図4(c)を参照すると、CPU10は、ICタグ用紙TCのICモジュールRが不良である旨の信号を受け、上記RAM12に記憶されたタイミングにより貫通手段を起動する。
シリンダ制御部15は、シリンダS1およびS2を起動して、シリンダS1は、ピストンS1aを進出させ、ピストンS1aの端部に固定されている型抜き刃Pが、不良ICタグTC1に進出して貫通穴TC7を形成させる。
シリンダS2は、シリンダS1の動作に合わせてシリンダS2のピストンS2aを進出させ、ピストンS2sの端部に固定され受け台Dが、不良ICタグTC1の裏面に当接する。この時、シリンダS1のピストンS1aの端部に固定された型抜き刃Pが不良ICタグTC1を貫通して下方に抜き出た状態となり、受け台Dの略真ん中にある受け穴DPで型抜き刃Pを受け止める。そして、電磁弁制御部19が電磁弁DVを起動して、エアホースHからの負圧を受け台Dの中空に流して、型抜き刃Pに抜かれた不良ICタグTC1の抜き片を吸い取る。
その後、シリンダ制御部15は、直ちにシリンダS1およびS2を起動して、ピストンS1aおよびS2aを退出させ、電磁弁制御部19が電磁弁DVを再度起動して、エアホースHからの負圧を止める。
【0030】
上記処理が、ICタグ用紙TCの搬送に伴い行なわれ、アンテナSAにより不良なICタグTC1が検出された場合は、マーク塗布手段および貫通手段が起動され、検品を受けたICタグ用紙TCが巻取り軸RJに巻き取られる。
【0031】
上記処理により検品されたICタグTC1を図5で参照すると、図5の(a)は、一般的なICタグTC1の長さLの略中間に、貫通手段による貫通穴TC7が形成されマーク塗布手段によるマークTC8が塗布されている。尚、このICタグ用紙TCの裏面にブラックマークBMが印刷されているものである。
図5の(b)は、穴TC3がICタグ用紙TCの左上方に有り、ICモジュールRが図5(a)のICモジュールRから90°反時計方向に回転し内包されている。この場合においても、ICタグTC1の長さLの略中間に、貫通手段による貫通穴TC7が形成されマーク塗布手段によるマークTC8が塗布されるので、多種多様な形態のICタグ用紙TCに対応できる。
図5の(c)は、図5(a)と略同形態のICタグTC1であるが、内包するICモジュールRが向かって左上片隅に寄っており、ICモジュールRの形態も小型なものになっている。この場合も、ICタグTC1の長さLの略中間に、貫通手段による貫通穴TC7が形成されマーク塗布手段によるマークTC8が塗布されるが、ICモジュールRのICチップR1を破壊する、またはアンテナR2を短絡しなくても、従来のICモジュールと非接触で通信するアンテナおよびリーダライタを内蔵しないタグプリンタにおいて、不良なICモジュールRを内包するICタグTC1を確実に視認可能とし排除することができる。
【0032】
尚、上記実施の形態のICタグ検品装置をICタグの製造工程下流に設けることで、安価に組み込む事ができると共に、不良ICタグが衣類などに付されることを防止し、生産効率を低下させることなく、多種多様なICタグに対応可能となる。
【0033】
さらに、上記実施の形態におけるマーク塗布手段および貫通手段は、これに限定するものではなく。例えば、マーク塗布手段をICタグ用紙TCの両端に設けても良く、また、マーク塗布手段のソレノイドMSの代わりにバネ機構やシリンダを用いても良い。さらに貫通手段においては、型抜き刃Pの代わりにダイカットローラを用いても良く、これら処理の順番や個数、構成は、その目的とする機能の範囲であれば適宜変更して差支えない。但し、本実施の形態によれば、低コストに実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ICタグの構成を説明するための説明図であり、(a)は平面図で、(b)は矢印X−Xの断面図である。
【図2】本発明のICタグ検品装置の制御系の基本的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のICタグ検品装置のメカ構成を説明するための説明図である。
【図4】本発明のICタグ検品装置の各処理における流れを説明するための説明図であり、(a)は、マーク塗布手段および貫通手段が待機状態である状態を示し、(b)は、マーク塗布手段が起動された状態を示し、(c)は、貫通手段が起動された状態を示す。
【図5】本発明のICタグ検品装置で検品した不良ICタグの形態を説明するための説明図である。
【図6】従来のタグプリンタで使用するタグの構成図である。
【符号の説明】
【0035】
TK タグ用紙
TK1 タグ
TK2 切断位置
TK3 穴
TK4 パンチ穴
TK5 テープ
TC タグ用紙
TC1 ICタグ
TC2 切断位置
TC3 穴
TC4 印刷層
TC5 ベース層
TC6 粘着層
TC7 貫通穴
TC8 マーク
BM ブラックマーク
R ICモジュール
R1 ICチップ
R2 アンテナ
R3 フィルム層
10 CPU
11 非揮発性メモリ
12 RAM
13 外部インタフェース
14 搬送モータ制御部
15 シリンダ制御部
16 操作制御部
17 センサ制御部
18 リーダライタ制御部
19 電磁弁制御部
20 ソレノイド制御部
21 システムバス
30 上位ホスト
31 搬送モータ
32 操作部
33 リーダライタ装置
L1a、L1b、L2a、L2b 搬送ローラ
KJ 供給軸
RJ 巻取り軸
S1、S2 シリンダ
S1a、S2a ピストン
P 型抜き刃
D 受け台
DP 受け穴
SE 用紙検知センサ
SA アンテナ
S シールド部材
DV 電磁弁
H エアホース
MS ソレノイド
MK インクローラ
MB 支持板
MJ 支点軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICモジュールを内包したICタグを検品するICタグ検品装置であって、
前記ICタグに内包する前記ICモジュールが不良な不良ICタグか否かを判断する判断手段と、
前記ICタグに貫通穴を形成する貫通手段と、
前記判断手段が前記不良ICタグと判断した場合に、前記貫通手段を起動し前記不良ICタグに貫通穴を形成するよう制御する制御手段を有することを特徴とするICタグ検品装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記ICモジュールと非接触で通信を行うアンテナが接続されたリーダライタと、
前記アンテナの近傍に電磁波を遮断するシールド部材を有することを特徴とする請求項1記載のICタグ検品装置。
【請求項3】
前記ICタグの幅方向一端または両端にマークを塗布するマーク塗布手段を有し、
前記判断手段が前記不良ICタグと判断した場合に、前記制御手段が前記マーク塗布手段を起動し前記不良ICタグの幅方向一端または両端にマークを塗布するよう制御することを特徴とする請求項1記載のICタグ検品装置。
【請求項4】
前記ICタグの長手方向の長さを入力する入力手段を有し、
前記判断手段が前記不良ICタグと判断した場合に、前記制御手段が前記貫通手段または前記マーク塗布手段を起動して、前記不良ICタグの長手方向の長さの略中間に貫通穴を形成する、またはマークを塗布するよう制御することを特徴とする請求項1または3記載のICタグ検品装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−172232(P2006−172232A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365158(P2004−365158)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】