説明

L字型擁壁ユニット及びL字型擁壁ユニットの施工方法

【課題】運搬や施工作業が容易で、工期は短く、しかも製作及び施工コストが低くて、さらに高い耐久性と均一性を備え、然も外観を美麗化することが出来るL字型擁壁ユニットを提供する。
【解決手段】垂直壁部を構成する第1の鋼板部材と、底面部を構成する第2の鋼板部材からなるL字型の外壁部と、第1の鋼板部材の内側壁面に対向する複数本の第1の帯状鋼板部材と、L字型の外壁部と第1の帯状鋼板部材との間隔を規制するブラケット部と、複数本の縦鉄筋群とから構成されているL字型擁壁ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L字型擁壁ユニット及びL字型擁壁ユニットの施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に、少なくとも1m以上の段差のある地形に滑り止め、土砂落下防止、降雨による土砂くずれ等の発生を防止し、強固な擁壁を構成するために、L字型擁壁ユニットが使用されており、その多くは、予め当該L字型擁壁を工事現場から離れた工場で鉄筋を使用せずに、プレキャストして製造しておき、当該工場から所定の工事現場に当該L字型擁壁を搬送して、現場で組み立てる方式である。
【0003】
当該L字型擁壁に於いて、擁壁の高さが例えば2m乃至6mのものでは、現場で木製の型枠をL字型に組立て、その内部に適宜の鉄筋を並列或は格子状に配列させ、コンクリートを当該木製型枠内に流し込んで鉄筋と合体させた後所定の期間、コンクリートを養生させた後、木製型枠を取り外してから、土砂を当該L字型擁壁のL字型内部面に挿入させ当該L字型擁壁をその場に固定保持させるものである。
【0004】
然しながら、従来の工法では、大きさが小さいL字型擁壁では、鉄筋が当該コンクリート内部に存在していない為、強度が不足し、当該L字型擁壁が、容易に破損する事が多く、不経済であり、一方、当該L字型擁壁の垂直壁を形成する擁壁部の高さが数mに及ぶ場合には、特別な足場、或は支保工を予め構成した後に、当該木製型枠の設置、当該型枠内に鉄筋を配置した後、コンクリートを当該型枠内に注入し、当該コンクリートの養生期間を経過した後に当該型枠を取り外し、その後、当該L字型擁壁のL字型擁壁内面部に土砂を挿入すると言う複雑な施工方法を必要とするものであるから、施工工程が多く、施工時間長時間掛かる事から、コストが膨大なものとなり、不経済である。
【0005】
更に、上記した、大型のL字型擁壁の施工にあっては、それぞれのユニット間の接合が十分でなく、相互の対向縁面でずれが生じたり、間隙が発生して、内部から土砂が噴出すとか、当該複数個のL字型擁壁ユニット間に於ける、上縁部同士の水平位置がずれてくる等の多くの問題を抱えており、その修復にも多くの費用が要求されていた。
【0006】
一方、従来のL字型擁壁の施工に当たっては、当該L字型擁壁ユニットの垂直壁部の表面は、木製木枠のあとが鮮明に残っているので美観性に乏しく、地域環境にマッチングしないと言う問題もあった。
更に、従来の方法で、工場で予めコンクリートで形成されたL字型擁壁ユニットを工事現場迄搬送する場合には、重量が膨大なものとなり、輸送のコストが膨大になる他、搬送並びに設置作業が複雑で危険性が高く、従って安全面の配慮も必要となり、より不経済なシステムとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を改良し、運搬や施工作業が容易で、工期は短く、しかも製作及び施工コストが低くて、さらに高い耐久性と均一性を備え、然も外観を美麗化することが出来るL字型擁壁ユニット及びL字型擁壁ユニットの施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した目的を達成するため、以下に記載されたような、基本的な技術構成を採用するものである。
即ち、本発明の第1の態様としては、所定の幅と高さを有する垂直壁部を構成する第1の鋼板部材と、当該第1の鋼板部材の下端部縁部に接続されており、且つ当該第1の鋼板部材に対して直交する方向に延展している、所定の長さを有し、且つ当該第1の鋼板部材の当該所定の幅と同一の幅を持つ、底面部を構成する第2の鋼板部材からなるL字型の外壁部と、当該L字型の外壁部の当該第1の鋼板部材の内側壁面と対向して、当該第1の鋼板部材の内側壁面から所定の間隔を持って当該第1の鋼板部材の幅方向に平行で且つ相互に適宜の間隔を介して互いに平行に配置されている複数本の第1の帯状鋼板部材と、当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間に固定配置され、当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間隔を規制するブラケット部と、当該L字型の外壁部の内側面に沿って配置された、L字型に屈曲せしめられた相互に平行に、且つ、当該L字型の外壁部の幅方向と直交する方向に配置されている複数本の縦鉄筋群であって、当該縦鉄筋群は、当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に配置され、且つ当該底面部の内壁面に配置されている当該ブラケット部にその一部が係止保持されている縦鉄筋群とから構成されている事を特徴とするL字型擁壁ユニットであり、又、本発明の第2の態様としては、上記した構成を有する当該L字型擁壁ユニットを壁建設現場から離れた工場で生産する工程、当該L字型擁壁ユニットを当該擁壁建設現場に搬送する工程、当該L字型擁壁ユニットを当該擁壁設置現場の基礎土台表面に当該L字型擁壁ユニットの当該底面部が接するように配置する工程、当該L字型擁壁ユニット内に複数本の緯鉄筋群を、当該L字型擁壁ユニットの当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に、当該縦鉄筋群の配置方向に対して直交する方向に挿入し、当該縦鉄筋と相互の交差部で接合固定処理を行う工程、当該緯鉄筋群の挿入操作が完了した後、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用空間部を当該被覆用鋼板部材で被覆する工程、当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に形成された空間部にコンクリートを注入する工程、当該L字型の外壁部の内側空間部に土砂、砕石等を搬入する工程とから構成されている事を特徴とするL字型擁壁ユニットの施工方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る当該L字型擁壁ユニット及び当該L字型擁壁ユニットの施工方法は、上記した様な技術構成を採用しているので、基本的には主構成体は、工場にて製作される構造を有する事によって、従来のL字型擁壁ユニットと異なり、現場での工数を低く抑えることが可能となり、支保工などの解体費を省略することによりコストを低減するのみならず、鋼板部材を直接当該L字型擁壁ユニットの外壁として採用するにより擁壁そのものの耐久性を向上し、美観を高め、然も安全性が高いL字型擁壁ユニットが完成するものである。
【0010】
さらに、本発明に於けるL字型擁壁ユニットの施工方法では、資材の運搬作業や、施工作業を容易に行うことができるようになると同時に、各L字型擁壁ユニットの品質の向上、設計どおりの均一性の高いユニットに形成出来るので、工期の大幅な短縮と工事費を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明のL字型擁壁ユニットの一具体例の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す本発明のL字型擁壁ユニットに緯鉄筋群を挿入した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明に於けるL字型擁壁ユニットで、第1の帯状鋼板部材間の空間部を被覆用鋼板部材で被覆した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明に使用される縦鉄筋群の一具体例の構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明のL字型擁壁ユニットを擁壁建設現場に配置した場合の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明のL字型擁壁ユニットの施工方法の手順の一具体例を示す側面図である。
【図7】図7は、本発明のL字型擁壁ユニットの施工方法の手順の一具体例を示す側面図である。
【図8】図8は、本発明のL字型擁壁ユニットの施工方法の手順の一具体例を示す側面図である。
【図9】図9は、本発明のL字型擁壁ユニットの施工方法の手順の一具体例を示す側面図である。
【図10】図10は、本発明のL字型擁壁ユニットの施工方法の手順の一具体例を示す側面図である。
【図11】図11は、本発明のL字型擁壁ユニットの施工方法の手順の一具体例を示す側面図である。
【図12】図12は、本発明のL字型擁壁ユニットの他の具体例の構造を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明に係るL字型擁壁ユニット及びL字型擁壁ユニットの施工方法の具体例を図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、図1は、本発明に於けるL字型擁壁ユニット1の一具体例に於ける内部構造の概略を示す斜視図である。
【0013】
当該図1から理解できる通り、本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1は、所定の幅Wと高さHを有する垂直壁部2を構成する第1の鋼板部材21と、当該第1の鋼板部材21の下端部縁部3に接続されており、且つ当該第1の鋼板部材21に対して直交する方向に延展している、所定の長さLを有し、且つ当該第1の鋼板部材21の当該所定の幅Wと同一の幅Wを持つ、底面部を構成する第2の鋼板部材31からなるL字型の外壁部5と、当該L字型の外壁部5の当該第1の鋼板部材31の内側壁面4と対向して、当該第1の鋼板部材31の内側壁面4から所定の間隔Sを持って当該第1の鋼板部材21の幅方向Wに平行で且つ相互に適宜の間隔Tを介して互いに平行に配置されている複数本の第1の帯状鋼板部材6と、該L字型の外壁部5の当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’と対向して、当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’から所定の間隔Sを持って当該第2の鋼板部材31の幅方向Wに平行で且つ相互に適宜の間隔Uを介して互いに平行に配置されている複数本の第2の帯状鋼板部材7、若しくは、当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’と対向して、当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’から所定の間隔Sを持って当該第2の鋼板部材31と平行して、当該底面部3のかなりの部分と重複する面積を有する第3の鋼板部材8と、当該L字型の外壁部5と、当該第1の帯状鋼板部材6、又は当該第2の帯状鋼板部材7若しくは当該第3の鋼板部材8との間に固定配置され、当該L字型の外壁部5と、当該第1の帯状鋼板部材6、又は当該第2の帯状鋼板部材7若しくは当該第3の鋼板部材8との間隔を規制するブラケット部9と、当該L字型の外壁部5の内側面4、4’に沿って配置された、L字型に屈曲せしめられた相互に平行に、且つ、当該L字型の外壁部5の幅方向と直交する方向に配置されている複数本の縦鉄筋群13であって、当該縦鉄筋群13は、当該L字型の外壁部5と当該第1及び第2の帯状鋼板部材6,7若しくは当該第3の鋼板部材8との間に配置されており、且つ当該ブラケット部9にその一部が係止保持されている縦鉄筋群8と、から構成されているL字型擁壁ユニット8が示されている。
【0014】
本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1は、上記した構成を有するものであって、最終的には、当該L字型の外壁部5と当該第1の帯状鋼板部材6、当該第2の帯状鋼板部材7或いは当該第3の鋼板部材8との間に形成された空間部に、後述する様に適宜の緯鉄筋群を挿入し縦鉄筋群と交差する部分を適宜の固定手段で固定した後、当該空間部内にコンクリートが注入されて擁壁として完成されるものである。
【0015】
尚、本発明に係る当該L字型擁壁ユニット1の他の具体例としては、図1に示された、底面部3内壁面内に形成された当該ブラケット部9の上面部に当該第2の帯状鋼板部材7或いは当該第3の鋼板部材8を配置せずに構成し、コンクリートを注入する段階で、適宜の被覆用鋼板部材20を当該ブラケットと接合して当該底面部3上を被覆する様に構成されたものであっても良い。
【0016】
係る具体例では、当該底面部3の内壁面上で当該緯鉄筋群15を挿入し、当該縦鉄筋群13とを結合固定し、格子状のマトリックス構造を形成する場合、作業員は、当該底面部内壁面上に立脚して作業を実行する事が可能である。
係る構成では、鉄筋組み立て作業は他の具体例に比べてより効率的になる。
つまり、本発明に於いては、図1に示す様な構造を有する当該L字型ユニット1が擁壁の建設現場以外の工場等で、設計通りに正確に且つ複数個のL字型擁壁ユニット1間でも、均一な仕様となる様に製造されるものである。
【0017】
本発明に於いて、当該L字型擁壁ユニット1に使用される各種の鋼材は、特に特定されるものではないが、好ましくは、鉄或いは鉄合金を含む鋼製で形成されることが必要であり、その他には、プラスチック、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、炭素繊維などの材質も状況によって選択することが可能である。
或いは、上記各素材を相互に張り合せた材料を使用する事も可能である。
更に、当該鋼材としては、耐水性、耐候性、防錆性を併せ持っているものである事が望ましい。
【0018】
本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1の当該垂直壁部2の高さHと幅W、及び、当該L字型擁壁ユニット1の当該底面部3の長さLと幅Wは任意に設定する事が可能であるが、両者の幅Wは、同一である事が必要である。
又、当該垂直壁部2の高さHは、設置しようとする当該擁壁の高さに応じて予め設定するもので、中には、数m、例えば6乃至10mのものでも可能である。
【0019】
本発明に於いては、当該擁壁ユニット1の垂直壁部2の高さが、高くなればなるほどそれに応答して、当該底面部3の長さも長くなるように設計する必要がある。
その際、当該底面部3の長さを無制限に長くすると、当該L字型擁壁ユニット1を工事現場まで搬送する際にトラック等の運搬車両に当該L字型擁壁ユニット1が搭載できなくなり、コスト高となる要因となっている。
【0020】
従って、例えば、当該当該垂直壁部2の高さHが、2m以上となるような場合には、当該底面部3を適宜の長さに複数個(少なくとも2個、3A、3B)に予め分割して設計、製造し、当該工事現場で、適宜の連結接続手段200を使用して両者の端部同士90を接合固定することが可能である。
又、当該L字型擁壁ユニット1の幅Wは、計画されている当該擁壁の全体の長さから、いくつのブロックに分割すれば良いかの判断に基づいて決定する事が出来る。
【0021】
一方、当該L字型の外壁部5の内側壁部4に対向して設けられる当該第1の帯状鋼板部材6は、適宜の幅wと適宜の長さnを持つ短冊状の鋼板部材であり、上記したと同様の材料から構成されるものであるが、その厚みは、当該L字型擁壁ユニット1ヲL字型の外壁部5を構成する鋼板部材の厚みよりも薄くても良い。
【0022】
当該第1の帯状鋼板部材6は、当該L字型の外壁部5の当該第1の鋼板部材21の内側壁面4と対向して、当該第1の鋼板部材21の内側壁面4から所定の間隔を持って当該第1の鋼板部材31の幅方向Wに平行で且つ相互に適宜の間隔Tを介して互いに平行に配置されている.
当該第1の帯状鋼板部材6の幅wと長さn及びその間隔Tは、適宜決定する事が可能である。
【0023】
又、当該L字型の外壁部5の当該第1の鋼板部材21の内側壁面4と当該第1の帯状鋼板部材6との間隔Sも適宜に設定する事が出来る。
当該複数個の第1の帯状鋼板部材6の間に形成される空間部12は、後述する様に、当該L字型擁壁ユニット1を当該擁壁建設現場に設置した後に、作業員が当該L字型擁壁ユニット1内に緯鉄筋群15を挿入し、当該縦鉄筋群13と格子構造を形成するために使用される窓口となる。
【0024】
尚、当該縦鉄筋群13と当該緯鉄筋群15とはその相互の交差部位で適宜の結合手段、例えば金属線や、適宜の締具を用いて接合固定する事が出来る。
一方、当該L字型の外壁部5と、当該第1の帯状鋼板部材6との間には、適宜のブラケット部9が、適宜のボルト或いはリベット又はスタットなどの固定手段14等を介して、固定配置されており、当該ブラケット部9の長さが、当該L字型の外壁部5と、当該第1の帯状鋼板部材6との間の間隔を規制する。
【0025】
次に、本発明に係る当該L字型擁壁ユニット1に於いては、上記したと同様に、該L字型の外壁部5の当該底面部3を構成する当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’と対向して、当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’から所定の間隔Sを介して当該第2の鋼板部材31の幅方向Wに平行で且つ相互に適宜の間隔Uを介して互いに平行に配置されている複数本の第2の帯状鋼板部材7が配置されている。
当該第2の帯状鋼板部材7の幅w’と長さn’及びその間隔Uは、適宜決定する事が可能である。
【0026】
又、当該L字型の外壁部5の当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’と当該第2の帯状鋼板部材7との間隔S’も適宜に設定する事が出来る。
例えば、当該第1と第2の帯状鋼板部材6、7の仕様は、及び配列間隔T及びUは、互に同一であっても良い。
【0027】
尚、上記した様に、当該複数個の第2の帯状鋼板部材7の間に形成される空間部12は、後述する様に、当該L字型擁壁ユニット1を当該擁壁建設現場に設置した後に、作業員が当該L字型擁壁ユニット1内に緯鉄筋群15を挿入し、当該縦鉄筋群13と格子構造を形成するために使用される窓口となる。
本発明に於ける当該緯鉄筋挿入操作用空間部窓口12は、当該L字型擁壁ユニット1を水平方向(横方向)に複数個連続して配列した後、隣接する当該L字型擁壁ユニット1同士の間を連結固定する為に、当該相互に隣接する当該各L字型擁壁ユニット1間に緯鉄筋群を挿入して固定化する際にも有効に使用出来る。
【0028】
一方、当該L字型の外壁部5と、当該第2の帯状鋼板部材7との間には、適宜のブラケット部9が、適宜の溶接、ボルト或いはリベット又はスタットなどの固定手段14等を介して、固定配置されており、当該ブラケット部9の長さが、当該L字型の外壁部5と、当該第1の帯状鋼板部材6との間の間隔を規制する。
上記した具体例では、当該L字型の外壁部5の底面部の内壁面4’の上面に形成される複数個の第2の帯状鋼板部材7が当該ブラケット部9を介して相互に平行に、且つ当該底面部の内壁面4’にたいしても平行となる様に固定配置される例を示したが、別の具体例では、当該複数個の第2の帯状鋼板部材7を使用する代わりに、作業者の作業効率を勘案して、当該第2の鋼板部材31の内側壁面31’と対向して、当該第2の鋼板部材31の内側壁面4’から所定の間隔Sを介して当該第2の鋼板部材31と平行して、当該底面部3のかなりの部分と重複する面積を有する第3の鋼板部材8を配置する事も可能である。
【0029】
本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1に於いては、図5に示す様に、当該底面部3の外側面は、上記した通り、擁壁の建設が予定されている基礎土台部100の表面に接触配置されるが、その際に当該L字型擁壁ユニット1が適正場所に配置され、その位置からずれない様に、当該底面部3の外側面に適宜の嵌合固定部101を設けておき、当該基礎土台部100に予め設けられた適宜の嵌合手段99と係合する様に構成されるものであっても良い。
【0030】
更に、本発明に於いては、当該L字型の外壁部5の内側面4及び4’に沿って、L字型に屈曲せしめられた複数本の縦鉄筋群13が相互に平行に、且つ、当該L字型の外壁部5の幅方向Wと直交する方向に配置されているものであって、当該縦鉄筋群13は、当該L字型の外壁部5と当該第1及び第2の帯状鋼板部材6又は7、或いは当該第3の鋼板部材8との間に配置されており、且つ当該ブラケット部9にその一部の縦鉄筋群13が係止保持されている。
【0031】
本発明に於ける当該縦鉄筋群13は、一般的に建築現場、工事現場で使用されるものと同じものが使用可能であり、その太さ、材質、更には、使用本数、配置間隔等は特に限定されるものではない。
当該複数本の当該縦鉄筋群13が、図4に示す様に、該L字型の外壁部の内壁面4、4’の面に対して直交する方向に直列的に配列されているものであっても良く、その場合には、例えば図4に示す様に、二段に配置された縦鉄筋群13、13’を適宜の吊金具103等で双方を結合固定した状態の鉄筋具を使用する事も可能である。
【0032】
本発明に係る当該L字型擁壁ユニット1は、適宜の工場内で設計図に添って正確に組み立てる事が可能であり、更に、当該完成されたL字型擁壁ユニット1は、内部にコンクリートが注入されていないので、軽量であるので、当該L字型擁壁ユニット1を擁壁建設現場まで搬送するに際し、軽量である為、コストが安く且つ安全に容易に搬送可能であるから、搬送コストが大幅に低減させる事が可能である。
【0033】
本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1に於いて当該L字型擁壁ユニット1が当該擁壁部の端部に配置されるものである場合には、当該L字型の外壁部5の幅方向の両端部の一方に閉鎖壁部105が設けられてもよく、又、当該L字型擁壁ユニット1の当該底面部と当該第2の帯状鋼板部材7若しくは当該第3の鋼板部材8の長さ方向の端部には、注入されるコンクリートが漏れ出さないように適宜の閉鎖壁部106が設けられる事が望ましい。
【0034】
即ち、本発明に係る当該L字型擁壁ユニット1に於いては、当該L字型の外壁部5と、当該第1の帯状鋼板部材6、又は当該第2の帯状鋼板部材7若しくは当該第3の鋼板部材8との間に、当該L字型の外壁部5の幅方向Wと平行に、複数本の緯鉄筋群15が互いに平行に且つ所定の間隔を介して配置され、且つ、当該縦鉄筋13と部分的に接合処理されているものである。
【0035】
次に、本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1が擁壁建設現場に於いて、その複数個が連続的に配列された後、上記した通り、作業員により複数本の緯鉄筋群15を当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間12を利用してその内部に配置させ、既に固定配置されている当該縦鉄筋13と格子状に配列した後、当該両鉄筋群の交差点部を適宜の締結結合手段例えば針金によって締結固定する。
【0036】
係る操作は、当該L字型擁壁ユニット1の当該垂直壁部の高さが低い場合例えば1m以下の場合であれば、全ての当該緯鉄筋群15を同時に挿入する事が可能であるが、例えば、当該の当該垂直壁部の高さが低い場合例えば、2m以上である場合には、当該垂直壁部2の低層部から当該緯鉄筋群15の挿入作業を開始し、順次に高層部での当該緯鉄筋群15の挿入作業を実施するように、段階的に実行することも可能である。
【0037】
次に、本発明に於いては、当該複数本の第1の帯状鋼板部材6間、若しくは当該複数本の第2の帯状鋼板部材7間若しくは当該第1と第2の帯状鋼板部6、7間に形成された、緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を介して、当該緯鉄筋群15を挿入操作を行った後、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を閉鎖する為の、単一の若しくは複数枚の被覆用鋼板部材20が使用され、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を被覆し、後述するコンクリートの注入に際し、当該コンクリートが漏れ出さない様に構成されるものである。
【0038】
当該被覆用鋼板部材20の材質は、特に限定されるものではないが、好ましくは、上記した第1の帯状鋼板部材6或いは第2の帯状鋼板部材7、若しくは第3の鋼板部材8の材質の同一であり、その厚みは、当該第1の鋼板部材21及び当該第2の鋼板部31の厚みよりも薄いものであっても良い。
更に、当該被覆用鋼板部材20の寸法も特に限定されるものではなく、当該それぞれの緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12の大きさよりも大なる寸法を有するものであれば良い。
【0039】
尚、本発明に係る具体例に於いて、上記した様に、当該L字型擁壁ユニット1の底面部3の内壁面4’で、当該ブラケット部9上に当該第2の帯状鋼板部材7或いは当該第3の鋼板部材8を何れも、配置使用はしない場合には、当該被覆用鋼板部材20は、最初の被覆材料となる。
当該それぞれの被覆用鋼板部材20は、適宜の接合手段、例えば、適宜の溶接、ボルト或いはリベット又はスタットなどの固定手段14等を介して、当該第1の帯状鋼板部材6や、当該第2の帯状鋼板部材7或いは当該第3の鋼板部材8の適宜の部位で固定接合されるものである。
【0040】
当該被覆用鋼板部材20に於いて、当該第1と当該第2の帯状鋼板部材6、7間に形成されている当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を被覆する当該被覆用鋼板部材20は、当該L字型の外壁部5のL字型形成部と対向する部分に相当するものであって、係る部分の強度を向上させる目的から、傾斜面部21を形成している事が好ましい。
【0041】
例えば、図3に示す様に、当該部分に使用される当該被覆用鋼板部材20は、最下端部に配置されている当該第1の帯状鋼板部材6と最も当該垂直壁部2に近い位置に配置されている当該第2の帯状鋼板部材7との間を適宜の傾斜面21を含む三折状に形成された鋼板部材21で構成させる事も可能である。
【0042】
この場合、当該底面部3の内面部で当該第2の帯状鋼板部材7或いは当該第3の鋼板部材8を使用しない場合には、当該三折状に形成された鋼板部21は、当該第1の帯状鋼板部材6の内、最下端に位置している当該第1の帯状鋼板部材6の下部縁部と当該底面部3の内壁面4’に設けられた当該ブラケット9の一部と接合して配置されるものである。
【0043】
尚、当該被覆用鋼板部材20は、その長さは、当該L字型擁壁ユニット1の幅Wと同じ長さを有するものであることが好ましく、一方その幅Qは、少なくとも当該第1の帯状鋼板部材6又は当該第2の帯状鋼板部材7間の間隔Tよりも長く設定される事が望ましい。
【0044】
係る設計によって、当該第1の帯状鋼板部材6間、或いは当該第2の帯状鋼板部材7の間隙Tの両縁部30が、当該被覆用鋼板部材20の両縁部35、36が当該第1の帯状鋼板部材6間、或いは当該第2の帯状鋼板部材7の両縁部30と重複する様に、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用空間窓口12を被覆する。
【0045】
当該第1の帯状鋼板部材6、或いは当該第2の帯状鋼板部材7の端縁部と当該被覆用鋼板部材20の端部間は、適宜の接合手段、例えば、適宜の溶接、ボルト或いはリベット又はスタットなどの接合手段14を介して相互に接続固定されているものである。
【0046】
一方、本発明に於ける他の具体例では、当該被覆用鋼板部材20を、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用空間窓口部12を個別に被覆閉鎖できる幅を有する様に構成されている場合であっても良く、或いは、当該複数個の第1の帯状鋼板部材6若しくは、複数本の当該第2の帯状鋼板部材7を同時に被覆可能で、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部の1つ或いは複数個を同時に被覆可能な大きさに形成されるものであっても良い。
【0047】
一方、本発明に於ける当該L字型擁壁ユニット1に於いては、特に当該垂直壁部2の高さが高い場合には、作業者が、高所で安全に作業出来る様にするために、当該第1の帯状鋼板部材6の少なくとも一部に適宜の足場部材25が設けられている事も望ましい。
【0048】
更に、本発明に於いては、当該L字型の外壁部5の当該垂直壁部2と当該底面部3との間の角度を正確に90度に設定する必要があり、その為、工場での製造工程では、厳密に当該各度を直角にせってして組み立てるが、搬送中に当該各度が変形する可能性があるため、当該垂直壁部2と当該底面部3との間に斜め状に掛け渡された、当該垂直壁部と当該底面部との間の角度を調整する角度調整部材26が、配置されている事物であっても良い。
【0049】
当該角度調整部材26は、その中間部に当該角度調整部材26の長さを調整できる長さ調整装置27を有している事が好ましく、当該調整装置27使用して、当該垂直壁部と当該底面部との間の角度を直角になるように調整する。
【0050】
以下に本発明に係るL字型擁壁ユニットの施工方法の具体例を詳細に説明する。
即ち、本発明に係る当該L字型擁壁ユニットの施工方法の一具体例としては、上記したL字型擁壁ユニット1を擁壁建設現場から離れた工場で生産する工程、
当該L字型擁壁ユニットを当該擁壁建設現場に搬送する工程、
当該L字型擁壁ユニットを当該擁壁設置現場の基礎土台99の表面100に当該L字型擁壁ユニット1の当該底面部3が接するように配置する工程、
当該L字型擁壁ユニット1内に複数本の緯鉄筋群15を、当該L字型擁壁ユニット1の当該L字型の外壁部5と当該第1若しくは第2の帯状鋼板部材6、7との間に、当該縦鉄筋群13の配置方向に対して直交する方向に挿入し、当該縦鉄筋13との相互の交差部で適宜の接合固定処理を行う工程、
当該緯鉄筋群15の挿入操作が完了した後、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を被覆用鋼板部材20で被覆する工程、
当該L字型の外壁部5と当該第1若しくは第2の帯状鋼板部材6、7或いは第3の鋼板部材8との間に形成された空間部にコンクリートを注入する工程、
当該L字型の外壁部5の内側空間部に土砂、砕石等を搬入する工程
とから構成されているL字型擁壁ユニットの施工方法である。
【0051】
更に、本発明に於ける当該L字型擁壁ユニットの施工方法に於いては、当該L字型擁壁ユニット1を、当該擁壁設置現場の基礎土台99の表面100に配置するに際し、当該垂直壁部2と当該底面部3との間に斜め状に角度調整部材26を配置し、当該角度調整部材26は、その長さが調整可能な構成27を含み、それによって、当該垂直壁部2と当該底面部3との間に形成される角度を所定の角度に調整保持するL字型擁壁ユニットの施工方法でもある。
【0052】
更に、当該L字型擁壁ユニット1の底面部3の外壁面に適宜の嵌合手段101を取り付け、一方、当該基礎土台99の表面100に当該嵌合手段101と緊密に嵌合する嵌合固定手段110が設けられており、当該L字型擁壁ユニット1の当該底面部3の外壁面に設けられた当該の嵌合手段101を、当該嵌合固定手段110に嵌合させて、当該L字型擁壁ユニット1の安定した配置状態を実現させる突起状のL字型擁壁ユニットの施工方法でもある。
【0053】
本発明に係る、L字型擁壁ユニットの施工方法に於いては、当該第1の帯状鋼板部材6間に形成される当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12は、コンクリートの注入状況若しくは土砂砕石の盛り土状況に応じて順次に下端部から上方に向けて当該被覆用鋼板部材20により閉鎖される様にする事が好ましい。
【0054】
本発明に於ける当該L字型擁壁ユニットの施工方法のさらに詳細な具体例を図6乃至図11を参照しながら説明する。
先ず、図6は、図1に示す本発明に係る当該L字型擁壁ユニット1の断面図であり、特に当該L字型擁壁ユニット1では、縦鉄筋群として、図4に示す様な、2本の縦鉄筋13,13’が並列に配置され、当該両縦鉄筋13,13’が適宜の吊金具103により相互に固定されている縦鉄筋を使用する例をしめしており、又、当該L字型擁壁ユニット1の底面部3の内壁側面には、ブラケット9と当該縦鉄筋群13とが配置されているが、上記した当該第2の帯状鋼板部材7や当該第3の鋼板部材8等は配置されていない構造のものが使用されている。
【0055】
図6では、当該L字型擁壁ユニット1が、図5に示す様に、所定の基礎土台部99の表面部100上に適宜の嵌合手段を介して固定される。
その際、適宜の角度調整部材26を当該L字型擁壁ユニット1の垂直壁部2と当該底面部との間に斜めに取り付けておき、当該角度調整部材26の長さ調整手段27を使用して、当該垂直壁部2と当該底面部3との交差角度が、正確に90度となるように調整する。
【0056】
次に、作業者により、当該第1の帯状鋼板部材6の間に形成された緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を介して、当該縦鉄筋群13に対して複数本の緯鉄筋群15を当該縦鉄筋群13に対して直交する方向に挿入し、当該縦鉄筋群13と当該緯鉄筋群15との交錯点を適宜の結合手段で結合する。
【0057】
この作業に際し、当該垂直壁部2の高さが高く、作業者が一度に当該垂直壁部2の頂部まで、当該緯鉄筋群15の挿入することが不可能な場合には、当該L字型擁壁ユニット1に設けられた足場200を利用して作業を行うか、途中まで上記操作を行い、コンクリートの注入と盛り土作業を完成させてから、上部の緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を利用して、緯鉄筋群15の挿入操作を繰り返すことも出来る。
【0058】
次ぎに、図7に示す様に、当該緯鉄筋群15の挿入操作が修了した後、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12を適宜の鋼板で形成された被覆用鋼板部材20で被覆する。
この場合に、当該被覆用鋼板部材20の下端部で、当該垂直壁部2と当該底面部3との交点である屈折部に対向する部分には、テーパー部21を設け、当該当該垂直壁部2と当該底面部3との交点である屈折部に多くのコンクリートが配置される様に構成することが望ましい。
【0059】
又、当該被覆用鋼板部材20の当該テーパー部21の先端部20’は、適宜のブラケット部9と接合固定できるように水平面を形成し、全体として三つ折れ形状を呈する様に構成しておく。
尚、当該底面部3の端縁部には、注入されるコンクリートが漏れ出さない様に、適宜の閉鎖壁106が取り付けられている。
【0060】
この際、当該底面部3の当該縦鉄筋群13、緯鉄筋群15及び当該ブラケット9が配置されている上面に適宜の被覆用鋼板部材20を配置する事も可能である。
その後、閉鎖された当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12より上部にある緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12’からコンクリートが注入され、所定の期間養生される。
【0061】
次いで、図8に示す様に、当該L字型擁壁ユニット1の内壁部空間に適宜の土砂、砕石等の埋め土が搬入され、例えば水準202の近傍まで埋め土が行われる。
その後、図9に示す様に、当該埋め土の上に作業員が位置して、当該垂直壁部2の上部に位置している別の緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12’から、当該緯鉄筋群15の挿入、固定操作が実行され、更に、当該を適宜の被覆用鋼板部材20で被覆する。
【0062】
その後、図10に示す様に、当該別の緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12’の更に上部にある更に別の緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部12“から、若しくは当該垂直壁部2の頂部空間部から、コンクリートが注入され、所定の期間養生される。
最後に図11に示す様に、盛り土を行って擁壁部が完成する。
【0063】
以上のように本発明によれば、主要な構造物を全て、工場で行い、正確な製品を現場に搬入し、わずか、配力筋を挿入して結束するだけの工程を消化するだけで、コンクリート打設作業ができるので、工期は、早く労働力の縮減を提供できて、正確な擁壁を完成することができる。
【0064】
さらに、強度面に於いて従来の擁壁の最大の欠点であった、コンクリート表面の劣化を防止し、堅固で且つ金属製の鋼材による美麗な擁壁を完成することが可能になったことと、コスト面においては、資材の運搬作業や、施工作業を容易に行うことができるようになるので、工事費を大幅に低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1…L字型擁壁ユニット
2…垂直壁部
3…底面部
4…内側壁面
5…外壁部
6…第1の帯状鋼板部材
7…第2の帯状鋼板部材
8…第3の鋼板部材
9…ブラケット部
12…緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部
13…縦鉄筋群
15…緯鉄筋群
21…第1の鋼板部材
31…第2の鋼板部材
20…被覆用鋼板部材
99…嵌合手段
100…基礎土台部
101…嵌合固定部
103…吊金具
105…閉鎖壁部
106…閉鎖壁部
200…連結接合手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幅と高さを有する垂直壁部を構成する第1の鋼板部材と、当該第1の鋼板部材の下端部縁部に接続されており、且つ当該第1の鋼板部材に対して直交する方向に延展している、所定の長さを有し、且つ当該第1の鋼板部材の当該所定の幅と同一の幅を持つ、底面部を構成する第2の鋼板部材からなるL字型の外壁部と、
当該L字型の外壁部の当該第1の鋼板部材の内側壁面と対向して、当該第1の鋼板部材の内側壁面から所定の間隔を持って当該第1の鋼板部材の幅方向に平行で且つ相互に適宜の間隔を介して互いに平行に配置されている複数本の第1の帯状鋼板部材と、
当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間に固定配置され、当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間隔を規制するブラケット部と、
当該L字型の外壁部の内側面に沿って配置された、L字型に屈曲せしめられた相互に平行に、且つ、当該L字型の外壁部の幅方向と直交する方向に配置されている複数本の縦鉄筋群であって、当該縦鉄筋群は、当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に配置され、且つ当該底面部の内壁面に配置されている当該ブラケット部にその一部が係止保持されている縦鉄筋群と、
から構成されている事を特徴とするL字型擁壁ユニット。
【請求項2】
当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間に、当該L字型の外壁部の幅方向と平行に、複数本の緯鉄筋群が互いに平行に且つ所定の間隔を介して配置されると共に、当該複数本の緯鉄筋群が当該底面部の内壁面にも配置され、且つ、複数個の当該縦鉄筋と当該緯鉄筋群とが部分的に接合処理されている事を特徴とする請求項1に記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項3】
当該複数本の第1の帯状鋼板部材間に形成された、緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部を閉鎖する為の、単一の若しくは複数枚の被覆用鋼板部材が配置されている事を特徴とする請求項2に記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項4】
当該第1の帯状鋼板部材の下層部分に形成されている当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部を被覆する当該被覆用鋼板部材は、傾斜面を形成している事を特徴とする請求項3に記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項5】
当該第1の帯状鋼板部材の少なくとも一部に足場部材が設けられている事を特徴とする請求項1乃至4のいづれかに記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項6】
当該底面部の当該第1の帯状鋼板部材の配列方向に平行な端縁部には、適宜の被覆部材により閉鎖されている事を特徴とする請求項1乃至5のいづれかに記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項7】
当該L字型の外壁部を構成する鋼板部材の厚さは、当該第1の帯状鋼板部材の厚さよりも厚い事を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項8】
当該L字型の外壁部の当該垂直壁部と当該底面部との間に斜め状に、当該垂直壁部と当該底面部との間の角度を調整する角度調整部材が、配置されている事を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項9】
当該L字型の外壁部の当該底面部の少なくとも一部に連結接合部が設けられている事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のL字型擁壁ユニット。
【請求項10】
所定の幅と高さを有する垂直壁部を構成する第1の鋼板部材と、当該第1の鋼板部材の下端部縁部に接続されており、且つ当該第1の鋼板部材に対して直交する方向に延展している、所定の長さを有し、且つ当該第1の鋼板部材の当該所定の幅と同一の幅を持つ、底面部を構成する第2の鋼板部材からなるL字型の外壁部と、
当該L字型の外壁部の当該第1の鋼板部材の内側壁面と対向して、当該第1の鋼板部材の内側壁面から所定の間隔を持って当該第1の鋼板部材の幅方向に平行で且つ相互に適宜の間隔を介して互いに平行に配置されている複数本の第1の帯状鋼板部材と、
当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間に固定配置され、当該L字型の外壁部と、当該第1の帯状鋼板部材との間隔を規制するブラケット部と、
当該L字型の外壁部の内側面に沿って配置された、L字型に屈曲せしめられた相互に平行に、且つ、当該L字型の外壁部の幅方向と直交する方向に配置されている複数本の縦鉄筋群であって、当該縦鉄筋群は、当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に配置され、且つ当該底面部の内壁面に配置されている当該ブラケット部にその一部が係止保持されている縦鉄筋群とから構成されているL字型擁壁ユニットを擁壁建設現場から離れた工場で生産する工程、
当該L字型擁壁ユニットを当該擁壁建設現場に搬送する工程、
当該L字型擁壁ユニットを当該擁壁設置現場の基礎土台表面に当該L字型擁壁ユニットの当該底面部が接するように配置する工程、
当該L字型擁壁ユニット内に複数本の緯鉄筋群を、当該L字型擁壁ユニットの当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に、当該縦鉄筋群の配置方向に対して直交する方向に挿入し、当該縦鉄筋と相互の交差部で接合固定処理を行う工程、
当該緯鉄筋群の挿入操作が完了した後、当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用空間部を当該被覆用鋼板部材で被覆する工程、
当該L字型の外壁部と当該第1の帯状鋼板部材との間に形成された空間部にコンクリートを注入する工程、
当該L字型の外壁部の内側空間部に土砂、砕石等を搬入する工程
とから構成されている事を特徴とするL字型擁壁ユニットの施工方法。
【請求項11】
当該L字型擁壁ユニットを、当該擁壁設置現場の基礎土台表面に配置するに際し、当該垂直壁部と当該底面部との間に斜め状に角度調整部材を配置し、当該角度調整部材は、その長さが調整可能な構成を含み、それによって、当該垂直壁部と当該底面部との間に形成される角度を所定の角度に調整保持する事を特徴とする請求項10に記載のL字型擁壁ユニットの施工方法。
【請求項12】
当該第1の帯状鋼板部材間に形成される当該緯鉄筋挿入操作用若しくはコンクリート注入操作用窓口空間部は、コンクリートの注入状況若しくは土砂砕石の盛り土状況に応じて順次に下端部から上方に向けて当該被覆用鋼板部材により閉鎖される様に構成されている事を特徴とする請求項10又は11に記載のL字型擁壁ユニットの施工方法.

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−219936(P2011−219936A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87730(P2010−87730)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(506159460)株式会社アイ・テック (5)
【Fターム(参考)】