説明

LEDランプおよび照明器具

【課題】放熱性の向上を図ることができるLEDランプおよび照明器具を提供する。
【解決手段】モジュール基板5aおよびこのモジュール基板に実装されるLED6,6,…を有するLEDモジュール5と;モジュール基板を保持するアルミプレート9と;LEDモジュールとアルミプレートを収容する透光性を有するランプカバー2と;モジュール基板のLED実装面の裏面側にてカバーに配設されて外部に露出する外表面を有する放熱板11と;ランプカバー2内で放熱板11の内面11aとアルミプレートとの間に密に介在されて、これら放熱部材と保持部材とに密着する熱伝導部材10と;を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はLEDランプおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の直管状のLEDランプは知られている。例えば円管状のランプカバー内に、基板上に複数のLED(発光ダイオード)を実装してなるLEDモジュールを収容したLEDランプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、この種のLEDランプにおいて、LEDモジュール基板をランプカバー内で熱伝導性の高いアルミプレートにより保持する構造に構成する場合には、LEDの発熱をこのアルミプレートに移動させ、蓄熱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−123359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種のLEDランプでは、アルミプレートの蓄熱を外部に排出できないので、長時間点灯する場合には、アルミプレートからの放熱が不十分となり、ランプカバー内に熱が籠る場合がある。このために、LEDの発光効率が低下するうえに、ランプ寿命も短くなるという課題が考えられる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、放熱性の向上を図ることができるLEDランプおよび照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、基板およびこの基板に実装されるLEDを有するLEDモジュールと;基板を保持する保持部材と;LEDモジュールと保持部材を収容する透光性を有するカバーと;を具備している。
【0008】
また、本実施形態によれば、基板のLED実装面の裏面側にてカバーに配設されて外部に露出する外表面を有する放熱部材と;カバー内で、放熱部材の内面と保持部材との間に介在されて、これら放熱部材と保持部材とに密着する熱伝導部材と;を具備している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るLEDランプの分解斜視図を示す図3のI−I線断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るLEDランプの一部切欠外観斜視図。
【図3】同,LEDランプのランプカバーから給電用口金とアース用口金を取り外した状態の一部切欠分解斜視図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るLEDランプの横断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る照明器具の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0011】
(第1の実施形態)
図2は本発明の第1の実施形態に係るLEDランプの一部切欠外観斜視図、図3は同,一部切欠分解斜視図である。
【0012】
図1〜図3に示すようにLEDランプ1は、例えば20W形や40W形等の直管形蛍光ランプ相当の明るさを有し、管径約25.5mm、長さは20W相当形が600mm、40W相当形が1200mmを有し、透光性を有するランプカバー2を具備している。ランプカバー2は、直状円管の円弧状一部を軸方向全長に亘って切欠いて開口部2cを形成し、横断面形状がほぼC字形に形成されている。このランプカバー2は、その軸方向開口両端部に、例えばJEL801で規定されるL形ピン口金GX16t−5の給電用口金3とアース用口金4をそれぞれ嵌合してシリコーン樹脂等の接着剤により固着している。
【0013】
給電用口金3は、所要電圧の直流(DC)電力を、後述する照明器具の給電用ソケット等から受電する口金であり、円管状のランプカバー2の軸方向開口一端部に外嵌される短軸の有底円筒体よりなる口金本体3aを有し、この口金本体3aの底部外面に、軸方向外方へほぼ平行に突出する左右一対のL形ピン3b,3bをそれぞれ並設している。口金本体3aの内底面には、軸方向内方へほぼ平行に突出する一対の給電用コネクタ3c,3cを突設している。これら給電用コネクタ3c,3cの内端は一対のL形ピン3b,3bの内端にそれぞれ電気的に接続されている。
【0014】
アース用口金4は、ランプカバー2の軸方向開口他端部に外嵌される短軸有底円筒体よりなる口金本体4aを有し、その内面に、LEDモジュール5の軸方向他端を接触させる等により電気的に接続し、口金本体3aの外面のほぼ中央部には外方に突出するアースピン4bを突設している。アースピン4bは照明器具のアース用ソケット等に着脱可能に装着される。
【0015】
図1,図3に示すようにランプカバー2は、透光性を有する例えばポリカーボネート等の合成樹脂やガラス等により、円弧状開口部2cを有する円筒体に形成され、その内部に、LEDモジュール5の幅方向両端部を、板厚方向で挟持するために内方へそれぞれ突出する図1,図3中、左右一対の角柱状の支持用突条2a,2bを一体に突設している。
【0016】
これら一対の支持用突条2a,2bは、ランプカバー2の中心軸Oから半径方向一端側(図1,図3では下方)へ所定長偏位し、かつこの中心軸Oに平行な面(図1,図3では水平面)内において内方へそれぞれ所定長突出し、中心軸Oに平行かつランプカバー2のほぼ全長に形成されている。このような構成のランプカバー2は、例えば透光性を有するポリカーボネート等の合成樹脂の押出成形等により一体に形成される。
【0017】
LEDモジュール5は、基板の一例である電気絶縁性を有する例えばガラスエポキシ樹脂製であって、ランプカバー2とほぼ等しい長さ、または若干短かい長方形平板状のモジュール基板5aを有する。このモジュール基板5a上には、SMD(表面実装形)やCOB(Chip On Board)型等であって、例えば白色発光の複数のLED6,6,…が長手方向に所要のピッチを置いて実装されている。
【0018】
モジュール基板5aは、その一面(図1,図3では上面)側に図示省略の回路パターンを形成し、この回路パターンの図示省略の複数対の電極上に、各LED6の一対の電極をそれぞれ固着して電気的に接続し、これら回路パターンの上面等外面には、電気絶縁被膜を形成している。
【0019】
そして、モジュール基板5aは、給電用口金3側の一端部上に、一対の受電用コネクタ7a,7bを配設している。これら受電用コネクタ7a,7bは、給電用口金3側の給電用コネクタ3c,3cに着脱可能に嵌合されて電気的に接続される。また、各受電用コネクタ7a,7bは、モジュール基板5aの図示省略の回路パターンを介して各LED6に接続され、受電用コネクタ7a,7bにより受電した直流電力を各LED6に通電し白色発光させる。
【0020】
また、モジュール基板5aは、その上面上に、一対の受電用コネクタ7a,7bの後方(図3では右側)において、ブリッジダイオード8を実装している。ブリッジダイオード8は給電用口金3の一対のL形ピン3b,3bにより受電した直流電力の極性が+極、−極のいずれであっても、各LED6に正しい極性の直流電力を給電する。さらに、モジュール基板5aは、アース用口金4側の一端部(図3では右端部)において、給電用口金3側の一端部(図3では左端部)へ折り返す回路パターンを形成しており、モジュール基板5aの図3中右端部をアース用口金4の内面に直接接触させ、またはリード線により接続することにより、電気的に接続している。
【0021】
そして、モジュール基板5aは、LED6の実装面5a1の裏面5a2に、保持部材の一例である熱伝導率の高いアルミプレート9をモジュール基板5aの長手方向ほぼ全長に亘って固着している。アルミプレート9はランプカバー2の中心軸Oに垂直方向に直交する垂直軸を対称軸として、図1中ほぼ左右対称に形成され、図1中左右一対の支持脚部9a,9bを一体に形成している。
【0022】
これら一対の支持脚部9a,9bは、その図1中下底面9a1,9b1を円弧状に湾曲する湾曲面に形成して、ランプカバー2の図1中下部の内面に密着させ、LEDモジュール5をランプカバー2内で支持している。また、これら一対の支持脚部9a,9bは、その各外側面に、ランプカバー2の一対の支持用突条2a,2bにそれぞれ嵌合する嵌合凹部9a2,9b2を支持用突条2a,2bのほぼ全長に亘って形成している。
【0023】
さらに、一対の支持脚部9a,9bは、その嵌合凹部9a2,9b2の各内側にて、モジュール基板5aの裏面5a2に接するU字状の空隙9a3,9b3を支持脚部9a,9bのほぼ全長に亘って形成している。
【0024】
そして、アルミプレート9は、これら一対の支持脚部9a,9bの横方向同士の空間において、各空隙9a2,9b2よりも大きい、ほぼ大の字状の中央間隙9cを一体に形成している。
【0025】
この中央間隙9cは支持脚部9a,9bのほぼ全長に亘って形成され、その内部には、電気絶縁性と高熱伝導性を有する熱伝導部材11をほぼ全長に亘って充填している。これにより、熱伝導部材10はアルミプレート9に密着している。
【0026】
熱伝導部材10は、電気絶縁性を有する例えばシリコーン樹脂に、セラミックスや金属酸化物等熱伝導性の高いフィラーを含有してなる弾性を有するペースト状のシリコーングリスやシリコーンゴム等により形成されており、その図1中下底面を湾曲面10aに形成して放熱部材の一例である放熱板11の湾曲内面11aに密着させている。
【0027】
放熱板11は、熱伝導率の高いアルミニウム等の金属やセラミックス等により円弧板状に形成され、ランプカバー2のモジュール基板5aの裏面5a2側の開口部2cを密閉するようにランプカバー2の一部として形成されている。
【0028】
すなわち、ランプカバー2は、モジュール基板5aの裏面5a2側の一部(図1,図3では下部)に開口部2cを全長に亘って形成し、この開口部2cに、ランプカバー2と同一の曲率で湾曲形成された円弧板状の放熱板11をランプカバー2の開口部2cの開口端に、例えばあり接ぎ等により一体的に接合している。放熱板11の湾曲外表面11bはランプカバー2の外表面と同様に外気に露出しているので、外気に放熱できる。
【0029】
次に、このLEDランプ1の作用を説明する。
【0030】
LEDランプ1の給電用口金3が後述する照明器具等のソケットに装着されて、この給電用口金3の一対のL形ピン3b,3bに所定電圧の直流電力が給電されると、この直流電力が給電用コネクタ3c,3c、受電用コネクタ7a,7bおよびブリッジダイオード8を介してLEDモジュール5の回路パターンに給電される。
【0031】
ブリッジダイオード8は、給電用口金3が受電した直流電力の極性がLEDモジュール5の回路パターンの極性と相違する場合でも、LEDモジュール5の極性に一致させてLEDモジュール5に給電する。
【0032】
これにより、LEDモジュール5の複数のLED6,6,…が白色発光し、この白色光がランプカバー2を透過して外部へ照射される。
【0033】
LED6,6,…の白色発光時の発熱はモジュール基板5aから高熱伝導性のアルミプレート9へ熱伝導され、さらに、アルミプレート9から高熱伝導性の熱伝導部材10を介して放熱板11に伝導され、放熱板11の外表面11bから外気へ放熱される。
【0034】
このために、LED6,6,…の発熱がランプカバー2内に籠ることを抑制できるので、ランプカバー2内の昇温を抑制できる。このために、LED6,6,…の高温昇温に起因する発光効率の低下やランプ寿命の短命化を抑制できる。
【0035】
また、アルミプレート9と熱伝導部材10と放熱板11とが相互に密着しているので、アルミプレート9から熱伝導部材10を介して放熱板11に伝達される熱量を増大させることができる。このために、放熱板11の外表面11bから外気へ放熱される放熱量の増大を図ることができるので、ランプカバー2内の温度のさらなる低減を図ることができる。
【0036】
さらに、アルミプレート9と放熱板11との間に、電気絶縁性を有する熱伝導部材10を介在させ、アルミプレート9と放熱板11とが直接接触する部分を無くしたので、アルミプレート9と放熱板11とを電気的に絶縁することができる。
【0037】
また、熱伝導部材10の形状を複雑な形状に形成することにより、アルミプレート9と密着する密着面積の増大を図ることができる。しかも、熱伝導部材10は弾性を有するので、その分、アルミプレート9と放熱板11との密着度を高めることができるので、アルミプレート9からの熱を放熱板11へ熱伝導させる熱量をさらに増大させることができる。このために、放熱板11の外表面11bから外気へ放熱される放熱量のさらなる増大を図ることができる。
【0038】
さらに、アルミプレート9は、その全長に亘って一対の空隙9a3,9b3を形成しているので、これら一対の空隙9a3,9b3内を通風するランプカバー2内の空気により放熱することができる。
【0039】
そして、ランプカバー2の開口端において、その一対の支持用突条2a,2bを、アルミプレート9の一対の嵌合凹部9a2,9b2内に嵌入させるように位置決めしてから、LEDモジュール5をランプカバー2内に挿入することにより、LEDモジュール5をランプカバー2内に簡単に挿入し、引出すことが可能であり、また、LEDモジュール5をランプカバー2内で簡単に支持固定できる。
【0040】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るLEDランプ1Aの横断面図である。このLEDランプ1Aは、図1〜図3で示す第1の実施形態に係るLEDランプ1に対し、上記放熱板11を波形の放熱板11Aに形成した点に特徴がある。
【0041】
この波形放熱板11Aは、上記放熱板11と同様にアルミプレートにより形成され、ランプカバー2の裏面側に、その一部としてあり接合等により接合されているが、その内面11aAと外表面11bAを波形に形成している点に特徴がある。
【0042】
このために、波形放熱板11Aは、その内面11aAと密着する熱伝導部材10との密着面積の増大を図ることができるので、熱伝導部材10から波形放熱板11Aへ伝導される熱量を増大させることができる。
【0043】
また、波形放熱板11は、その外表面11bAを波形に形成し、外気との接触面積の増大を図っているので、その分、外気へ放出される放熱量の増大を図ることができる。
【0044】
(第3の実施形態)
図5は本発明の第3の実施形態に係る照明器具21の正面模式図である。この照明器具21は上記LEDランプ1,1Aのいずれかと、所要の形状と寸法の器具本体22とを具備している。
【0045】
器具本体22は、例えば天井等に直付けまたは吊設等により配設される板金製等のシャーシ22aを有し、このシャーシ22aには、LEDランプ1,1Aの給電用口金3に所定電圧の直流電力を給電して点灯させる図示省略の電源装置と、この電源装置に電気的に接続されている給電用のソケット、例えば23aと、アース用のソケット23bを支持部材として設けている。
【0046】
これらソケット23a,23bはLEDランプ1,1AのJEL801の給電用口金3とアース用口金4に適合するソケットにより構成され、これら口金3,4と着脱可能に装着される。
【0047】
この照明器具21によれば、上記LEDランプ1,1Aを具備しているので、これらLEDランプ1,1Aと同様に放熱性の向上を図ることができ、そのために、発光効率の向上とランプ寿命の長寿命化を図ることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、LEDモジュール5を単数設ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数のLEDモジュール5をその長手方向に、電気的かつ機械的に連結し得るように構成してもよく、さらに、モジュール基板5a上に、LED6,6,…を複数列設けてもよい。また、LEDランプ1,1Aを環形に形成してもよい。
【0049】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1,1A…LEDランプ、2…ランプカバー(カバー)、5…LEDモジュール、5a…モジュール基板、6…LED、9…アルミプレート(保持部材)、10…熱伝導部材、11…放熱板(放熱部材)、11A…波形放熱板、23a,23b…ソケット(支持部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板およびこの基板に実装されるLEDを有するLEDモジュールと;
基板を保持する保持部材と;
LEDモジュールと保持部材を収容する透光性を有するカバーと;
基板のLED実装面の裏面側にてカバーに配設されて外部に露出する外表面を有する放熱部材と;
カバー内で放熱部材の内面と保持部材との間に密に介在されて、これら放熱部材と保持部材とに密着する熱伝導部材と;
を具備していることを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
熱伝導部材は、保持部材と放熱部材とを電気的に絶縁していることを特徴とする請求項1記載のLEDランプ。
【請求項3】
放熱部材は、波形に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のLEDランプ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一記載のLEDランプと;
LEDランプを通電可能に支持する支持部材を有する器具本体と;
具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−204186(P2012−204186A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68699(P2011−68699)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】