説明

LED光源装置およびその色度調整方法

【課題】LEDに色度のばらつきがあっても、色度補正を行うことで、目標とする色度に合わせることができるLED光源装置およびその色度調整方法を提供する。
【解決手段】LEDディスプレイ装置Dは、赤色、緑色、青色のLEDを1ドットとしてマトリクス状に配置されたLEDパネルPが、縦列および横列に配列された発光部10と、LEDパネルPのうちの一の色のLEDを発光させて実測した色度を、目標とする色度とするために、他の色のLEDを発光させる発光強度を示す色度補正データが格納された色度補正データ格納部20と、一の色のLEDを点灯させるときに、色度補正データに基づいて他の色のLEDの階調をPWMにより調整した状態で点灯させる点灯部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDが照明装置や表示装置などの光源として使用されるLED光源装置およびその色度調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDは、赤色、緑色、青色の3色を揃えることで、白色光としてパーソナルコンピュータ用の液晶ディスプレイモニタやテレビのバックライト、天井から照らす照明装置などに使用される例が多くなってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光色が3色のLEDのすべてを同時に点灯する期間と、1個または2個のLEDを独立して点灯させる短時間の監視期間(モニター期間)を間欠的に設け、その期間には、時間をずらせて順に1個又は2個のLEDを独立に点灯させ、残りのLEDを消して、光センサでモニターし発光強度を得て、こうして得た赤色、緑色及び青色の各LEDの発光強度を基準値と比較し、その差がゼロになるよう、LEDにフィードバックをかけて発光強度を調整することにより、発光装置を任意の白色点に安定させる液晶パネルのバックライトである発光装置が記載されている。
【0004】
また、複数色のLEDを使用したものとしては、赤色、緑色、青色の3色のLEDが、ドットマトリクス状に配置された大型ディスプレイ装置が、駅前や施設などの屋外に設置されて、カラー画像が表示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−157316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数のLEDが光源として使用されるLED光源装置では、同じ発光色のLEDであってもばらつきが生じ、輝度だけでなく、色度が微妙に違う場合がある。LEDの輝度や色度については、所定の範囲内に収まるように選別されたLEDだけを揃えれば、均一な発光面とすることができるが、選別することでLEDのコストが増大する。
【0007】
特許文献1では、LEDの発光時間を調整することで、発光強度(輝度)の調整を行っているため、発光波長が基準値とずれることによる色度のずれは、発光時間による輝度の調整だけでは困難であると思われる。
【0008】
LEDの色度のばらつきは、例えば、赤色、緑色、青色の3色のLEDがドットマトリクス状に配置されたLEDディスプレイ装置では顕著に観察者に視認される。従って、LEDに色度のばらつきがあっても、色度補正により、色度調整ができれば、色味の整った美しい発光面とすることができる。
【0009】
そこで本発明は、LEDに色度のばらつきがあっても、色度補正を行うことで、目標とする色度に合わせることができるLED光源装置およびその色度調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数色のLEDのうちの一の色を発光させて実測した色度を、目標とする色度とするために、他の色を発光させる発光強度を示す色度補正データに基づいて、一の色を点灯させるときに、他の色の発光強度を調整した状態で点灯させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、一の色を点灯させるときに、色度補正データに基づいて他の色の発光強度を調整した状態で点灯させることより、一の色に影響することなく目標とする色度とすることができるので、LEDに色度のばらつきがあっても、色度補正を行うことで、目標とする色度に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置の構成を示すブロック図
【図2】LEDの輝度ランクの分布を示すグラフ
【図3】色度補正データ生成装置を示すブロック図
【図4】色度補正データを作成する手順を説明するフローチャート
【図5】色度補正データを説明するためのXY色度図
【図6】色度の領域判定を説明するためのxy色度図
【図7】本発明の実施の形態2に係るLEDディスプレイ装置の構成を示すブロック図
【図8】図7に示すLEDディスプレイ装置の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の第1の発明は、複数色のLEDが組み合わされて配列された発光部と、複数色のLEDを点灯させるときに、複数色のLEDのうちの一の色を点灯させて実測した色度を、目標とする色度とするために、一の色および他の色を発光させる発光強度の割合を示す色度補正データに基づいて複数色のLEDを調整した状態で点灯させる点灯部とを備えたことを特徴としたLED光源装置である。
【0014】
本願の第1の発明によれば、一の色を点灯させるために駆動電流を変更すると、発光波長がシフトしてしまい補正が困難となるが、点灯部が複数色のLEDを点灯させるときに、色度補正データに基づいて発光強度を調整した状態で点灯させることより、一の色に影響することなく目標とする色度とすることができる。
【0015】
本願の第2の発明は、第1の発明において、点灯部は、複数色のLEDを点灯させたときの色度が、複数色のそれぞれの一の色に対応させて色度を区分けした領域のいずれかに含まれるかを判定し、この領域に対応する色度補正データを選択して、複数色のLEDの発光強度を調整することを特徴としたLED光源装置である。
【0016】
第2の発明によれば、点灯部が複数色のLEDの発光強度を調整する際に、複数色のそれぞれの一の色に対応させて色度を区分けした領域のいずれかに、複数色のLEDを点灯させたときの色度が含まれるかを判定し、この領域に対応する色度補正データを選択することで、色度の補正を行うことができる。
【0017】
本願の第3の発明は、第2の発明において、点灯部は、階調を示す階調データに基づいて複数色のLEDを点灯させるときに、複数色のLEDの色度が含まれる領域に対応する一の色の色度補正データに一の色の階調データを乗算して一の色の補正階調データを算出すると共に、他の色の色度補正データに、一の色の階調データを乗算し、他の色の階調データを加算して他の色の補正階調データを算出して、これらの補正階調データに基づいて複数色のLEDの階調を調整することを特徴としたLED光源装置である。
【0018】
第3の発明によれば、点灯部が階調を示す階調データに基づいて複数色のLEDを点灯させる場合でも、色度の補正を行うことができる。
【0019】
本願の第4の発明は、第3の発明において、点灯部は、複数色のLEDのうち一の色以外の他の色が非点灯であるときに、一の色が含まれる領域に対応する一の色の色度補正データに一の色の階調データを乗算して一の色の補正階調データを算出すると共に、他の色の色度補正データに一の色の階調データを乗算して他の色の補正階調データを算出し、これらの補正階調データに基づいて複数色のLEDの階調を調整することを特徴としたLED光源装置である。
【0020】
第4の発明によれば、点灯部が階調を示す階調データに基づいて複数色のLEDを点灯させる際に、一の色以外の他の色が非点灯である場合でも、色度の補正を行うことができる。
【0021】
本願の第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、点灯部は、複数色のLEDの発光強度の調整をPWM(Pulse Width Modulation)による階調で調整することを特徴としたLED光源装置である。
【0022】
第5の発明によれば、発光強度の調整をPWMにより行うことで、容易に色度の補正を割合で行うことができる。
【0023】
本願の第6の発明は、複数色のLEDが組み合わされて配列された発光部のうち、一の色のLEDを点灯して色度を実測する測定ステップと、実測された色度を目標とする色度とするために、一の色および他の色を点灯させる発光強度の割合を示す色度補正データを演算する色度補正データ生成ステップと、色度補正データに基づいて複数色のLEDの点灯を調整する点灯制御ステップとを含むことを特徴としたLED光源装置の色度調整方法である。
【0024】
第6の発明によれば、一の色を点灯させるために駆動電流を変更すると、発光波長がシフトしてしまい補正が困難となるが、点灯部が複数色のLEDを点灯させるときに、色度補正データに基づいて発光強度を調整した状態で点灯させることより、一の色に影響することなく目標とする色度とすることができる。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態に係るLED光源装置について、照明装置を例に図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示す照明装置Lは、発光部10と、色度補正データ格納部20と、点灯部30とを備えている。
【0027】
発光部10は、2個の赤色LEDと1個の緑色LEDと1個の青色LEDとを1セットとして、この3色のLEDが縦列および横列に配置されたものである。この3色が同時点灯することで白色に発光する。LEDは、同じ規格の製品であっても、輝度のばらつきや、波長のばらつきがある。つまり、2個以上のLEDに同じ順方向電流を流しても、ばらつきにより同じ明るさにならなかったり色味(色度)が違ったりすることがある。例えば、輝度であれば、図2に示すような輝度分布(輝度ランクA〜J)となる。従って、LEDを実装するときには、この輝度ランクA〜Jを指定することで、ほぼ近い輝度のものを揃えることできる。発光部10に実装されるLEDは、図2に示すような輝度ランクA〜Jのうち、量産性を考慮して、輝度ランクFのものを採用している。
【0028】
色度補正データ格納部20は、3色のLEDのうちの一の色の実測された色度を、目標とする色度とするために、他の2色を点灯させる輝度を示す色度補正データが格納された不揮発性のメモリである。この色度補正データ格納部20は、書き替え可能なフラッシュメモリなどのEPROMとしたり、書き替えが不可なPROMとしたりすることができる。
【0029】
点灯部30は、色度補正データ格納部20からの色度補正データに基づいて発光部10を点灯させるもので、階調生成部301と、点灯制御部302と、LEDドライブ部303とを備えている。この点灯部30はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのLSI(Large Scale Integration)で作製することが可能である。
【0030】
階調生成部301は、点灯制御部302からの点灯色の階調データと、色度補正データ格納部20からの色度補正データとに基づいて、点灯させる階調を演算して補正階調データとして出力する機能を備えている。
【0031】
点灯制御部302は、階調生成部301に点灯色の階調データを出力し、階調生成部301からの補正階調データに基づいてLEDドライブ部303へ階調を指示する機能と、LEDの駆動電流を指示する機能とを備えている。
【0032】
LEDドライブ部303は、点灯制御部302からの階調および駆動電流の指示に応じて発光部10へ電流を駆動してLEDを点灯させる機能を備えている。本実施の形態では、階調をPWMによる点灯率により調整される。
【0033】
ここで、色度補正データ格納部20に格納される色度補正データについて、図面に基づいて説明する。色度補正データは、事前に製造工程にて測定・生成され、照明装置Lの色度補正データ格納部20に格納される設定データである。
【0034】
この色度補正データは、図3に示す色度補正データ生成装置50により作成される。色度補正データ生成装置50は、色度を測定する色度計51と、色度計51により測定された色度を目標とする色度へ補正するための色度補正データを生成する色度補正データ演算部52と、目標とする色度を入力するための入力部53と、作業者が色度計51からの測定された色度を確認したり、目標とする色度を入力する際に数値を確認したりするための表示部54とを備えている。入力部53により入力された目標とする色度は、赤色、緑色、青色のそれぞれについて、目標赤色色度データ、目標緑色色度データ、目標青色色度データ、目標白色色度データとして色度補正データ演算部52に設定される。
【0035】
色度補正データ演算部52と、入力部53と、表示部54とは、例えば、キーボードとマウス、LCDディスプレイを備えたコンピュータとすることができる。
【0036】
作業者は、まず測定ステップを行う。図3に示すように、発光部10の赤色のみを点灯させる。そして、色度計51により赤色のLEDの輝度と色度とを測定する(図4ステップS10)。次に、発光部10の緑色のみを点灯させ、緑色のLEDの輝度と色度とを測定する(図4ステップS20)。同様にして、発光部10の青色のみを点灯させ、青色のLEDの輝度と色度とを測定する(図4ステップS30)。最後に、発光部10の全部のLEDを点灯させ、白色とした場合の輝度と色度とを測定する(図4ステップS40)。
【0037】
次に作業者は、色度補正データ生成ステップを行う。色度補正データ生成ステップは、測定した赤色のLEDの輝度および色度から、入力部53により入力された目標赤色色度データに基づいて色度補正データ演算部52により演算して、赤色補正データを算出する(図4ステップS50)。これは、測定された赤色の色度が、目標赤色色度データに基づく色度とずれている場合に、緑色と青色とを点灯させ、緑色と青色との色度を混色させることで、あたかもこの赤色のLEDが目標赤色色度データで示される色度で点灯しているかのように見せるためである。赤色補正データは、このときの緑色と青色との点灯の調整割合である。従って、赤色補正データは、赤色のLEDの色度を目標赤色色度データが示す色度に合わせるためのものであるため、測定された緑色のLEDと測定された青色のLEDの色度によっては点灯させる調整割合が変動する値となる。
【0038】
同様にして、測定した緑色のLEDの輝度および色度から、目標緑色色度データに基づいて、赤色LEDと青色LEDの調整割合である緑色補正データを算出する(図4ステップS60)。また、測定した青色のLEDの輝度および色度から、目標青色色度データに基づいて、赤色LEDと緑色LEDの調整割合である青色補正データを算出する(図4ステップS70)。最後に、測定した白色の色度から、目標白色色度データに基づいて、赤色LEDと緑色のLEDと青色LEDとの調整割合である白色補正データを算出する(図4ステップS80)。なお、色度補正データの算出は、どのような順序としてもよい。
【0039】
そして、作業者は、色度補正データ演算部52により算出された赤色補正データ、緑色補正データ、青色補正データおよび白色補正データを、色度補正データとして、色度補正データ格納部20に設定する(図4ステップS90)。
【0040】
例えば、色度計51により測定された色度について、図5に示すように、赤色が(0.695,0.305)、緑色が(0.195,0.721)、青色が(0.120,0.090)で、赤色の目標とする色度が(0.670,0.320)であれば、R(赤色割合値):G(緑色割合値):B(青色割合値)=90.7%:9.1%:0.2%となる。
【0041】
また、緑色の目標とする色度が(0.200,0.700)であれば、R:G:B=0.6%:99.1%:0.3%となる。また、青色の目標とする色度が(0.140,0.100)であれば、R:G:B=10.4%:3.0%:86.6%となる。
【0042】
更に、白色の目標とする色度が(0.295,0.295)であれば、R:G:B=28.3%:56.6%:15.1%となる。
【0043】
従って、色度補正データとしては、階調を8ビットデータで表す場合では、赤色領域では赤色補正データが「232」、緑色補正データが「23」、青色補正データが「1」となる。緑色領域では赤色補正データが「2」、緑色補正データが「254」、青色補正データが「1」となる。青色領域では赤色補正データが「27」、緑色補正データが「8」、青色補正データが「222」となる。そして、白色領域では赤色補正データが「73」、緑色補正データが「145」、青色補正データが「39」となる。
【0044】
このようにして、色度補正データが色度補正データ格納部20に設定されれば、図1に示す照明装置Lは動作可能な状態となる。なお、この色度補正データを得るための測定は、発光部10の各色のLEDを点灯させるが、その際の駆動電流を標準駆動電流として、照明装置Lで発光部10を点灯する場合もその標準駆動電流で発光部10を駆動する。
【0045】
例えば、照明装置Lにて標準駆動電流と異なる電流により発光部10を駆動すると、LEDの発光波長がシフトして、色度補正データによる色度の補正が有効に機能しなくなる。そうなると発光部10からの光を目標とする色度とすることができない。従って、色度補正データを決定したときと同じ駆動電流により発光部10を駆動することで、目標とする色度に正確に補正することができる。
【0046】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る照明装置Lの動作について、図面に基づいて説明する。
【0047】
電源が投入されると、点灯制御部302は、発光部10の3色LEDを全点灯させるための階調データを階調生成部301へ出力する。例えば、点灯制御部302は、256階調で発光部10を駆動するのであれば、赤色、緑色、青色の各色の階調データ(赤色階調データ,緑色階調データ,青色階調データ)として、それぞれ16進数で「FF」を示す8ビットデータを出力する。照明装置Lの発光色は白色なので、点灯制御部302が階調生成部301へ出力する階調データは、赤色、緑色、青色の各色が同じ値となる。
【0048】
階調生成部301は、赤色、緑色、青色の各色の階調データから、発光色が、図6に示すxy色度図に示されるような領域のいずれの領域に含まれるかを判定する。この場合、階調生成部301は、白色点灯する照明装置であるため、白色領域に含まれることが判定される。従って、階調生成部301は、色度補正データ格納部20から色度補正データである白色補正データを読み込む。次に、階調生成部301は、階調データと色度補正データとを乗算して補正階調データを算出し、点灯制御部302へ出力する。
【0049】
点灯制御部302は、補正階調データと、色度補正データを決定する際に発光部10を点灯させた標準駆動電流を示す駆動電流データとを、LEDドライブ部303へ出力する。
【0050】
LEDドライブ部303は、補正階調データに応じた階調の調整をPWMにより行うと共に、駆動電流データに基づく駆動電流により発光部10の各LEDを駆動する(点灯制御ステップ)。
【0051】
発光部10がLEDドライブ部303からのPWMによる駆動電流に応じて発光する。これにより、三色のLEDの色度が補正された状態で同時に発光することで、目標とする色度に補正された白色光となって照光する。
【0052】
このように、赤色や緑色、青色のそれぞれの色度を補正する際に、LEDを駆動する電流の増減で補正を図ろうとするとLEDの発光波長がシフトしてしまい補正が困難になるが、本実施の形態1に係る照明装置Lでは、補正対象の色のLEDで補正を行うのではなく、他の色のLEDを発光させ、その他の色のLEDの発光強度を階調により制御することで、全体として目標とする色度とすることができる。従って、LEDに色度のばらつきがあっても、色度を均一にすることができる。
【0053】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るLED光源装置について、表示装置であるLEDディスプレイ装置を例に、図面に基づいて説明する。なお、図7においては、LEDディスプレイ装置Dの主要な構成のみを図示しており、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0054】
図7に示すLEDディスプレイ装置Dは、発光部11と、色度補正データ格納部20と、点灯部31と、輝度補正データ格納部41とを備えている。
【0055】
発光部11は、2個の赤色LEDと1個の緑色LEDと1個の青色LEDとを1セットとして、この3色のLEDが縦列および横列に配置されたLEDパネルPが、更に縦列および横列に配置された大型ディスプレイである。この発光部11は、大量のLEDが使用されるため、複数の輝度ランクからLEDが採用される。本実施の形態2に係る発光部11では、図2に示すような輝度ランクA〜Jの中から、輝度ランクE〜GのLEDが採用されている。1枚のLEDパネルPでは、同じ輝度ランクのものが実装されている。
【0056】
点灯部31は、階調生成部301と、点灯制御部312と、LEDドライブ部303とを備えている。点灯制御部312は、図示しない映像出力装置からの表示データに基づいて、階調生成部301に点灯色の階調データを出力し、階調生成部301からの補正階調データに基づいてLEDドライブ部303へ階調を指示する機能と、LEDの駆動電流を指示する機能とを備えている。
【0057】
輝度補正データ格納部41は、LEDパネルPに実装されたLEDの輝度ランクに応じて輝度を補正するための輝度補正データが格納されている。つまり、輝度ランクEに属するLEDが実装されたLEDパネルPは、輝度ランクFに属するLEDが実装されたLEDパネルPより同じ駆動電流であれば、輝度が低いので、輝度補正データとしては輝度を高める補正値が格納される。
【0058】
ここで、色度補正データ格納部20に格納される色度補正データについて説明する。色度補正データは、基本的に実施の形態1において、図4に基づいて説明した手順と同じ手順により決定される。異なる点は、色度補正データが、LEDパネルP単位であることである。従って、作業者は、LEDパネルPに実装される全LEDのうち、全部の赤色LED、全部の緑色LED、全部の青色LEDと、全色のLEDを順番に点灯させ、測定された各色の色度を目標の色度とするために、それぞれ入力部53により入力された目標赤色色度データ、目標緑色色度データ、目標青色色度データおよび目標白色色度データに基づいて色度補正データ演算部52により演算して、色度補正データを算出する。
【0059】
この作業を全てのLEDパネルPにて行う。そうすることで、LEDパネルPごとに色度補正データが決定できる。
【0060】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係るLEDディスプレイ装置Dの動作について、図面に基づいて説明する。
【0061】
映像出力装置(図示せず)からの映像を示す表示データを入力されると、点灯制御部312は、表示データからそれぞれの色の階調データを階調生成部301へ出力する。例えば、点灯制御部312は、256階調で発光部10を駆動するのであれば、赤色、緑色、青色の各色の階調データ(赤色階調データ,緑色階調データ,青色階調データ)を示す8ビットデータを出力する。
【0062】
階調生成部301は、点灯制御部312から3色の階調データを入力する(図8ステップS100)。階調生成部301は、表示データの点灯色がこの3色の階調データから図6に示される領域のうち、白色領域に含まれるか否かを判定する(図8ステップS110)。
【0063】
点灯色の色度が白色領域に含まれるのであれば、それぞれの色の階調データに対応する色の色度補正データのその色の割合値を乗算して、それぞれの色の階調補正データを算出する(図8ステップS120)。具体的には、以下の式(1)〜式(3)により算出する。
【0064】
赤色階調補正データ=赤色階調データ×赤色補正データの赤色割合値・・・(1)
緑色階調補正データ=緑色階調データ×緑色補正データの緑色割合値・・・(2)
青色階調補正データ=青色階調データ×青色補正データの青色割合値・・・(3)
点灯色の色度が白色領域以外である場合、つまり、色度が、赤色領域、緑色領域、青色領域のいずれかに含まれる場合には、点灯色の色度が含まれる領域に対応する色(一の色)の階調補正データを算出する(図8ステップS130)。例えば、点灯色の色度が赤色領域に含まれるのであれば、赤色階調補正データは、以下の式(4)により算出する。
【0065】
赤色階調補正データ=赤色階調データ×赤色補正データの赤色割合値・・・(4)
また、点灯色の色度が緑色領域に含まれるのであれば、緑色階調補正データは、以下の式(5)により算出する。
【0066】
緑色階調補正データ=緑色階調データ×緑色補正データの緑色割合値・・・(5)
また、点灯色の色度が青色領域に含まれるのであれば、青色階調補正データは、以下の式(6)により算出する。
【0067】
青色階調補正データ=青色階調データ×青色補正データの青色割合値・・・(6)
次に、点灯色の色度が含まれる領域以外の領域に対応する色(他の色)が「0」であるか否かを判定する(図8ステップS140)。例えば、点灯色の色度が赤色領域に含まれる場合には、緑色階調データまたは青色階調データのいずれか、または両方が「0」であるか否かを判定する。
【0068】
点灯色の色度が含まれる領域以外の領域に対応する色(他の色)が「0」である場合には、点灯色の色度が含まれる領域に対応する色の階調データに、色度補正データの他の色に対応する割合値を乗算する(図8ステップS150)。例えば、緑色階調データと青色階調データとの両方が「0」であれば、緑色階調補正データおよび青色階調補正データは、以下の式(7),式(8)により算出する。
【0069】
緑色階調補正データ=赤色階調データ×赤色補正データの緑色割合値・・・(7)
青色階調補正データ=赤色階調データ×赤色補正データの青色割合値・・・(8)
緑色階調データと青色階調データとの両方が「0」であれば、赤色の色度補正データを測定したステップS10と同じ条件となる。従って、式(7)および式(8)からも判るように、点灯色の色度の補正は、ステップS50で算出した赤色の色度補正データの発光強度の割合で行うことと同じとなる。
【0070】
点灯色の色度が含まれる領域以外の領域に対応する色(他の色)が「0」でない場合に、点灯色の色度が含まれる領域に対応する色の階調データに、色度補正データの他の色に対応する割合値を乗算し、他の色の階調データを加算する(図8ステップS160)。例えば、緑色階調データと青色階調データとの両方が「0」でなければ、緑色階調補正データおよび青色階調補正データは、以下の式(9),式(10)により算出する。
【0071】
緑色階調補正データ=赤色階調データ×赤色補正データの緑色割合値+緑色階調データ・・・(9)
青色階調補正データ=赤色階調データ×赤色補正データの青色割合値+青色階調データ・・・(10)
以上のようにして、階調生成部301は、赤色階調補正データ、緑色階調補正データおよび青色階調補正データをして補正階調データを算出し、点灯制御部312へ出力する。
【0072】
点灯制御部312は、補正階調データを階調生成部301から入力すると、輝度補正データ格納部41から輝度補正データを読み込む(図8ステップS170)。そして、点灯制御部312は、補正階調データと輝度補正データとを乗算してパネル階調データとしてLEDドライブ部303へ出力する(図8ステップS180)と共に、色度補正データを決定する際に発光部10を点灯させた標準駆動電流を示す駆動電流データを、LEDドライブ部303へ出力する(図8ステップS190)。
【0073】
LEDドライブ部303は、パネル階調データに応じた階調の調整をPWMにより行うと共に、駆動電流データに基づく駆動電流により発光部10の各LEDパネルPを駆動する(点灯制御ステップ,図8ステップS200)。
【0074】
このように、映像を表示するための表示データであっても、LEDディスプレイ装置Dは、表示データの階調データと、色度補正データ格納部20に格納された色度補正データと、輝度補正データ格納部41に格納された輝度補正データとから、赤色であれば緑色と青色、緑色であれば赤色と青色、青色であれば赤色と緑色を点灯させて補正することにより、全体として目標とする色度とすることができる。従って、LEDに色度のばらつきがあっても、色度を均一にすることができる。
【0075】
また、それぞれのLEDパネルPは、輝度ランクを揃えたLEDを実装しているので、LEDパネルPごとに色度を管理することで、階調の補正処理の簡素化を図ることができる。
【0076】
なお、実施の形態1および2では、色度補正データを色度補正データ格納部20に格納していたが、測定した赤色・緑色・青色のLEDの輝度および色度を格納し、階調生成部301に設定しておいた目標緑色色度データに基づいて、階調生成部301が色度補正データを算出して、3色LEDを点灯するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、LEDに色度のばらつきがあっても、色度補正を行うことで、目標とする色度に合わせることができるので、複数のLEDが照明装置や表示装置などの光源として使用されるLED光源装置およびその色度調整方法に好適である。
【符号の説明】
【0078】
10,11 発光部
20 色度補正データ格納部
30,31 点灯部
41 輝度補正データ格納部
50 色度補正データ生成装置
51 色度計
52 色度補正データ演算部
53 入力部
54 表示部
301 階調生成部
302,312 点灯制御部
303 LEDドライブ部
L 照明装置
D LEDディスプレイ装置
P LEDパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のLEDが組み合わされて配列された発光部と、
前記複数色のLEDを点灯させるときに、前記複数色のLEDのうちの一の色を点灯させて実測した色度を、目標とする色度とするために、一の色および他の色を発光させる発光強度の割合を示す色度補正データに基づいて前記複数色のLEDを調整した状態で点灯させる点灯部とを備えたことを特徴とするLED光源装置。
【請求項2】
前記点灯部は、前記複数色のLEDを点灯させたときの色度が、前記複数色のそれぞれの一の色に対応させて色度を区分けした領域のいずれかに含まれるかを判定し、この領域に対応する色度補正データを選択して、前記複数色のLEDの発光強度を調整する請求項1記載のLED光源装置。
【請求項3】
前記点灯部は、階調を示す階調データに基づいて前記複数色のLEDを点灯させるときに、前記複数色のLEDの色度が含まれる領域に対応する一の色の色度補正データに一の色の階調データを乗算して一の色の補正階調データを算出すると共に、他の色の色度補正データに、一の色の階調データを乗算し、他の色の階調データを加算して他の色の補正階調データを算出して、これらの補正階調データに基づいて前記複数色のLEDの階調を調整する請求項2記載のLED光源装置。
【請求項4】
前記点灯部は、前記複数色のLEDのうち一の色以外の他の色が非点灯であるときに、一の色が含まれる領域に対応する一の色の色度補正データに一の色の階調データを乗算して一の色の補正階調データを算出すると共に、他の色の色度補正データに一の色の階調データを乗算して他の色の補正階調データを算出し、これらの補正階調データに基づいて前記複数色のLEDの階調を調整する請求項3記載のLED光源装置。
【請求項5】
前記点灯部は、前記複数色のLEDの発光強度の調整をPWMによる階調で調整する請求項1から4のいずれかの項に記載のLED光源装置。
【請求項6】
複数色のLEDが組み合わされて配列された発光部のうち、一の色のLEDを点灯して色度を実測する測定ステップと、
前記実測された色度を目標とする色度とするために、一の色および他の色を点灯させる発光強度の割合を示す色度補正データを演算する色度補正データ生成ステップと、
前記色度補正データに基づいて前記複数色のLEDの点灯を調整する点灯制御ステップとを含むことを特徴とするLED光源装置の色度調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227458(P2012−227458A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95763(P2011−95763)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】