説明

LED対応非常用照明装置への改修工法

【課題】安価な工事費用で蛍光灯等からLEDへの変更を可能にするLED対応非常用照明装置への改修工法を提供する。
【解決手段】既存の蛍光灯用の非常灯用安定器におけるバッテリ充電回路を、LEDドライバ駆動部17、バッテリ/LEDドライバ回路18を追加接続したLED対応のバッテリ充電回路15とし、蛍光灯をLED照明器具へと変換可能となるように改修する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安価な工事で非常用照明器具を蛍光灯から発光ダイオード(以下LEDと称す)への変更を可能にするLED対応非常用照明装置への改修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等における非常灯は停電時にその電源をバッテリに切り替えて、法律上最低30分間は点灯するようにしている。
【0003】
近年、蛍光灯等よりなる既存の非常灯に対し、点灯時間が長く且つ耐用年数の長いLEDを採用する工事が増加しているが、この既存の非常灯にLEDを採用するとなると、それに伴う他の関連機器も全て取り替えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−185875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように非常灯に採用されている通常の蛍光灯に替えてLEDを採用する場合には、蛍光灯用の回路構成による既存の非常灯装置のみでは対応できなかったが、LEDへの改修に当っては替える必要のない機器も含めて全ての機器を取り替えていた。そのため、工事に要する時間や機器類代金等の費用が嵩むという問題点を有していた。
【0006】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、蛍光灯等からなる非常用照明器具をLEDへ変更するに際し、安価な工事費用で対応することのできるLED対応非常用照明装置への改修工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、既存の蛍光灯用の非常灯用安定器におけるバッテリ充電回路を、LEDドライバ駆動部、バッテリ/LEDドライバ回路が追加接続されたLED対応のバッテリ充電回路とし、蛍光灯をLED照明器具へと変換可能となるように改修することを特徴とした。
【0008】
LEDドライバ駆動部は、バッテリ/LEDドライバ回路を駆動し、LEDコネクタに接続されているオペレーションLEDを点灯させるように改修することを特徴とした。
【0009】
非常灯用安定器には、停電時に蛍光灯に直流の電力を送るための交流/直流選択切り換え用のリレーを備え、該リレーを、バッテリー充電回路とバッテリ/LEDドライバ回路との間に介在接続されたリレードライバー駆動部に接続されるように改修することを特徴とした。
【0010】
LED照明器具は、LEDドライバ駆動部、バッテリ/LEDドライバ回路が追加接続されたLED対応のバッテリ充電回路と、バッテリ/LEDドライバ回路に設けられたLEDコネクタとを含む非常用安定器に取り付けられることを特徴とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価な工事費用でLEDへの変更を可能にするLED対応非常用照明装置への改修工法を提供することができる。
【0012】
すなわち、従来ではLEDへの改修にはLEDとは関連しない他の機器を含めて全ての機器を取り替えていたが、本発明によればそのようなことをすることなく一部の機器のみの取り替えで済むので、現行8万円前後/1箇所必要だった経費が3万円前後の経費で済むようになった。特に、蛍光灯用の電子安定器を外さなくてもLEDに対応可能な非常用照明装置の改修工事が行える。
【0013】
また、LEDは消費電力が少ないためバッテリでの点灯時間も従来蛍光灯に比べ長くなる。例えばLEDとすることにより同一のバッテリで現行30〜45分程度の点灯であったものが1時間〜1時間半持続するようになった。しかも、LED化による省エネや減価償却にも最適で、且つ二酸化炭素(CO2)削減によるメリットも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施するための一形態を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明は、図1に示すように、AC電源Wに接続された既存の電子安定器1と、蛍光灯をLED照明器具へと変換可能となるように改修された非常灯用安定器11と、非常灯21とから概ね構成されている。
【0017】
電子安定器1は、電磁波干渉フィルタ2と、整流器(+PFC)3と、ドライバ・インバータ回路4と、共振回路5とを互いに直列接続することで構成されている。
【0018】
非常灯用安定器11は、電磁波干渉フィルタ12と、整流器(+PFC)13と、交流/直流選択切り替え用のリレー14とが直列接続され、整流器(+PFC)13にはバッテリ充電回路15と、リレードライバ駆動部16と、LEDドライバー駆動部17と、LEDコネクタ18aを備えたバッテリ/LEDドライバ回路18とが接続され、前記リレー14は前記電子安定器1の共振回路5に接続され、更にリレー14は前記リレードライバ駆動部16と、非常灯21に接続することで構成されている。この非常灯用安定器11のリレー14は、停電時に非常灯21に直流の電力を送るために交流を直流に切り替え又は選択する。
【0019】
すなわち、バッテリ充電回路15は、第1のダイオードD1と第2のダイオードD2との間に抵抗Rが直列接続され、第1のダイオードD1は、整流器(+PFC)13に接続され、第2の第2のダイオードD2は、一端がアース接続されたバッテリVの他端に接続され、且つ第2のダイオードD2は、リレードライバ駆動部16に接続されている。また、抵抗Rと第2のダイオードD2との間は、LEDドライバー駆動部17に接続され、前記リレードライバ駆動部16と共にバッテリ/LEDドライバ回路18に接続されている。また、バッテリ/LEDドライバ回路18のLEDコネクタ18aには、オペレーションLEDが取り付けられる。
【0020】
このように、既存のバッテリ充電回路(図示せず)を、LEDドライバ駆動部17、バッテリ/LEDドライバ回路18が追加接続されたLED対応のバッテリ充電回路15とすることで、非常灯21をLED照明器具へと変換可能となるように改修することができる。このとき、LEDドライバ駆動部17は、バッテリ/LEDドライバ回路18を駆動することで、LEDコネクタ18aに接続されているオペレーションLEDを点灯させるように改修される。
【0021】
また、AC電源Wには、停電テスト機能を備えている。すなわち、常用電源SW1がONになった状態からOFFにすると停電状態となるように構成されている。
【0022】
尚、現行の非常灯21は、それ単独のもの或いは常用灯との切り換えによるものなどあるが、いずれにも対応可能とする。また、LEDの非常灯は現行の蛍光灯とその長さが同様のもので、LED特有の点状のものが可視できないものが良い。
【0023】
次に、以上のように構成された形態についての改修方法、使用、動作の一例について説明する。
【0024】
改修工事において、既存のバッテリ充電回路(図示せず)を、LEDドライバ駆動部17、バッテリ/LEDドライバ回路18が追加接続されたLED対応のバッテリ充電回路15とする。これにより、非常灯21をLED照明器具へと変換可能となる。
【0025】
このとき、LEDドライバ駆動部17は、バッテリ/LEDドライバ回路18を駆動することで、LEDコネクタ18aに接続されているオペレーションLEDを点灯させるように改修される。
【0026】
正常電源での使用時(100〜110V)において、停電時スイッチSW1がON状態のとき、使用電源が正常作動している場合には、非常灯用安定器11を通じてバッテリVに充電され、オペレーションLEDが点灯される。
【0027】
停電時において、常用電源が停電されると非常灯用安定器11のリレー14が変換され、直流電源が供給されて、オペレーションLEDが点灯状態から不点灯になる。
【0028】
また、停電テストを行う場合には、常用電源がON(SW1/ON)になった状態からSW1をOFFにすると停電状態となる。このとき、非常灯用安定器11のリレー14が変換されて直流電源が供給され、オペレーションLEDが点灯状態から不点灯になる。
【0029】
このように非常灯用安定器11を上記構成のように改修するだけで、低コストで蛍光灯等からLEDへの改修を可能にする。
【符号の説明】
【0030】
W AC電源
R 抵抗
D1、D2 ダイオード
V バッテリ
1 電子安定器
2、12 電磁波干渉フィルタ
3、13 整流器
4 ドライバ・インバータ回路
5 共振回路
11 非常灯用安定器
14 リレー
15 バッテリ充電回路
16 リレードライバ駆動部
17 LEDドライバー駆動部
18 バッテリ/LEDドライバ回路
18a LEDコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の蛍光灯用の非常灯用安定器におけるバッテリ充電回路を、LEDドライバ駆動部、バッテリ/LEDドライバ回路が追加接続されたLED対応のバッテリ充電回路とし、蛍光灯をLED照明器具へと変換可能となるように改修することを特徴としたLED対応非常用照明装置への改修工法。
【請求項2】
LEDドライバ駆動部は、バッテリ/LEDドライバ回路を駆動し、LEDコネクタに接続されているLEDを点灯させるように改修することを特徴とした請求項1記載のLED対応非常用照明装置への改修工法。
【請求項3】
非常灯用安定器には、停電時に蛍光灯に直流の電力を送るための交流/直流選択切り換え用のリレーを備え、該リレーを、バッテリー充電回路とバッテリ/LEDドライバ回路との間に介在接続されたリレードライバー駆動部に接続されるように改修することを特徴とした請求項1又は2記載のLED対応非常用照明装置への改修工法。
【請求項4】
LED照明器具は、LEDドライバ駆動部、バッテリ/LEDドライバ回路が追加接続されたLED対応のバッテリ充電回路と、バッテリ/LEDドライバ回路に設けられたLEDコネクタとを含む非常用安定器に取り付けられることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか記載のLED対応非常用照明装置への改修工法。

【図1】
image rotate