説明

LED灯照明装置とそれに使用される連結治具、LED灯保持具及び直管型LED灯

【課題】直管型LED灯を既設の蛍光灯取付け装置に取付け可能として、既設の蛍光灯取付け装置を有効活用し、LED灯が変形しても脱落しないようにする
【解決手段】直管型蛍光灯、ソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板等にLED灯を取付けた。LED灯の取付けに、既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板等に取付け可能な連結治具を使用する。既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板等に取付けた連結治具に直に又はLED灯を保持可能なLED灯保持具を取付けることにより、LED灯を既設の蛍光灯取付け装置に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、蛍光灯とソケットを取外した後の既設の蛍光灯取付け装置にLED灯を装備したLED灯照明装置と、取外し後の既設の蛍光灯取付け装置に連結可能でありLED灯を連結可能な連結治具と、LED灯を保持可能なLED灯保持具と、LED灯照明装置用LED灯に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで人工照明に利用される灯具は、白熱灯や蛍光灯が主流であったが、これら白熱灯や蛍光灯は寿命が短く、頻繁に交換する必要があった。
【0003】
昨今、多くの場面で発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)の利用が広がり、人工照明にもこのLEDが利用されるようになった。LED灯は白熱灯や蛍光灯に比べるとはるかに寿命が長く、紫外線をほとんど含まず、灯具の小型化、軽量化が可能であり、省電力である、など様々な長所を備えている。
【0004】
多くの職場や家庭には白熱灯や蛍光灯を用いた照明器具が設置されている。これらを新たに、LEDあるいはLEDモジュールを使用したLED灯に交換するとなると、白熱灯や蛍光灯といった蛍光灯取付け装置を天井や壁面等から取外す必要があり、さらにこれらを廃棄物として処分しなければならない。我が国では廃棄物処分場が飽和状態に近付きつつあり、全国規模で蛍光灯取付け装置が廃棄物として発生することは望ましくない。
【0005】
特許文献1では、既設の直管型蛍光灯をLED灯に交換する場合に、天井や壁等に取付けられている蛍光灯取付け装置や反射板等をそのまま残し、それらをLED灯取付け装置として利用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−351402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、既設の蛍光灯取付け装置を廃棄物として出さないという利点はあるものの、直管型蛍光灯のように細長いLED灯(直管型LED灯)の両端にピン型口金があり、このピン型口金のピン端子を既設の蛍光灯取付け装置のソケットに嵌合させてLED灯を支持する構造となっているため次のような問題があった。LEDは発熱量が多いため直管型LED灯は軸方向中央部が湾曲したり変形したりすることがあり、短いピン端子をソケットに挿入しただけではピン端子がソケットから外れてLED灯が落下するおそれがあった。
【0008】
本願発明の課題は、天井、壁等に取付けられている既設の蛍光灯取付け装置を廃棄物として出すことなく、蛍光灯とソケットを外した後の既設の蛍光灯取付け装置のフレーム、ソケット支持具、反射板等をそのまま利用でき、LED灯を確実に保持できるLED灯照明装置と、前記フレーム、ソケット支持具、反射板等に取付け可能な連結治具と、前記LED灯照明装置にLED灯を保持可能なLED灯保持具と、前記蛍光灯取付け装置に取付け可能なLED灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明のLED灯照明装置は、直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に直管型LED灯を取付けたものである。
【0010】
本願発明のLED灯照明装置は、直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に連結治具を取付け、その連結治具に直管型LED灯を取付けたものである。
【0011】
本願発明のLED灯照明装置は、直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板のいずれか、又はフレーム及びそれに重ねた反射板に連結治具を取付け、その連結治具に直管型LED灯を取付けたものである。
【0012】
本願発明のLED灯照明装置は、前記いずれかに記載のLED灯照明装置において、LED灯がその軸方向両端に支持用又は電極用のピンを備えないピンレスタイプのものである。
【0013】
本願発明のLED灯照明装置は、前記いずれかに記載のLED灯照明装置において、既設の蛍光灯取付け装置における安定器をLED灯照明用電源器に替え、そのLED灯照明用電源器を介してLED灯に電源供給可能としたものである。
【0014】
本願発明のLED灯照明装置用連結治具は、既設の蛍光灯取付け装置に連結可能な既設側連結部と、LED灯保持具又は直管型LED灯を取付け可能な灯側連結部を備えたものである。
【0015】
本願発明のLED灯照明装置用連結治具は、直管型LED灯を保持可能なLED灯保持具に固定又は脱着可能とすることもできる。
【0016】
本願発明のLED灯照明装置用連結治具は、一つの基材に二以上設けられ、その基材の連結治具と反対側に、LED灯保持具が固定又は脱着可能とすることもできる。
【0017】
本願発明のLED灯照明装置用連結治具は、前記LED灯照明装置用連結治具の既設側連結部が、既設の蛍光灯取付け装置の一部を挟着保持可能な二つの挟着片を備えたものである。
【0018】
本願発明のLED灯保持具は、直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に直管型LED灯を取付けるLED灯保持具であり、そのLED灯保持具は直管型LED灯の軸方向端部を嵌入可能な収容空間と、前記取外し後の蛍光灯取付け装置又は同装置に取付けられた連結治具に取付けられる取付け部と、直管型LED灯の灯本体と前面カバーの嵌合部が嵌入可能な嵌合溝を備えたものである。
【0019】
本願発明のLED灯照明装置用LED灯は、直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に取付けられる直管型LED灯であり、直管型LED灯は灯本体とそれのLED光出射側に取付けられる前面カバーを備え、灯本体は半円筒形又は略半円筒形であり、背面周方向に間隔をあけて数本の放熱フィンが設けられ、それら放熱フィンは灯本体の軸方向に細長であり、その軸方向に間隔をあけて二以上のLEDが取付けられ、前面カバーは半円筒形又は略半円筒形であり、灯本体の開口部に対向して取付けられ、灯本体及び前面カバーの軸方向両端に支持用又は電極用のピンを備えないピンレスタイプのものである。
【0020】
本願発明のLED灯照明装置用LED灯は、前記LED灯照明装置用LED灯において、灯本体又は/及び前面カバー内にLEDの点灯に必要な電源回路が搭載されたものである。
【発明の効果】
【0021】
本願発明のLED灯照明装置は次のような効果がある。
1.直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置をそのまま有効利用できるので、既設の蛍光灯取付け装置の無駄が少なく、廃棄処分される部品も少なくなり、廃棄物処理場の負担増を抑制できる。
2.直管型LED灯が、直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に取付けられた連結治具に直に又はLED灯保持具を介して取付けられているので、直管型LED灯の取付けが確実になり、LEDからの放熱で直管型LED灯が変形しても脱落のおそれがない。
3.ピンレスタイプの直管型LED灯を使用することにより、既設の蛍光灯用ソケットがなくても取付け可能である。
4.LEDが長寿命であることから、長期にわたって直管型LED灯を交換する必要がなく、経済的でもある。
5.既設の蛍光灯取付け装置の安定器をLED灯照明用電源器に交換して既設の蛍光灯取付け装置の電源配線を利用できるので、新設配線の面倒がない。
【0022】
本願発明のLED灯照明装置用連結治具は次のような効果がある。
1.既設の蛍光灯取付け装置に装着できる既設側連結部と、直管型LED灯又はLED灯保持具を取付け可能な灯側連結部があるため、蛍光灯取付け装置への取付けも、直管型LED灯の取付けも容易にできる。
2.連結治具が、蛍光灯用ソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板等に取付け可能であるため、既設の蛍光灯取付け装置を有効活用できる。
3.連結治具がピンレスタイプの直管型LED灯を保持できるLED灯保持具に取付けられている場合は、直管型LED灯の取付けが容易且つ確実にできる。
4.連結治具が既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板等を挟着保持可能な二つの挟着片を有する場合は、その挟着片で前記ソケット支持具、フレーム、反射板等を挟んでそれらへ取付けることができ、取付けが容易且つ確実になる。
【0023】
本願発明のLED灯保持具は次のような効果がある。
1.取付け部を備えているので、蛍光灯、ソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置への取付けが容易である。
2.収容空間と嵌合溝を備えているので、LED灯の保持が確実になる。
【0024】
本願発明のLED灯照明装置用LED灯は次のような効果がある。
1.半円筒状又は略半円筒状の灯本体と、灯本体の開口部に脱着可能な半円筒状又は略半円筒状の前面カバーが互いに脱着可能であるので、灯本体と前面カバーの取付けが容易且つ確実になり、前面カバーを外せば連結治具への取付けも容易になる。
2.放熱フィンが本体の背面周方向に間隔をあけて複数本設けられ、それら放熱フィンが本体の軸方向に細長であるため、灯本体が小型であっても放熱効率が良い。
3.灯本体及び前面カバーの軸方向両端にピン型口金を備えないピンレスタイプの場合は、構成が簡潔で安価になり、LED灯保持具に嵌合し易くもなる。
4.本体に電源回路を搭載した場合は、LED灯の外部に別途電源回路を設ける必要がなく、構成が簡素になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明のLED灯照明装置用連結治具を、既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具に取付ける過程の説明図。
【図2】本願発明のLED灯照明装置用連結治具を、既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具に取付けた状態の説明図。
【図3】本願発明のLED灯照明装置用LED灯にLED灯保持具を嵌合した状態の説明図。
【図4】(a)は本願発明のLED灯照明装置用連結治具の一例を示す底面側斜視図、(b)は上面側斜視図。
【図5】(a)は図6に示すLED灯保持具にセットした直管型LED灯を図2の連結治具に取付けた状態を示す縦断正面図、(b)は同状態を示す縦断側面図。
【図6】(a)は本願発明のLED灯照明装置に使用されるLED灯保持具の一例を示す右側斜視図、(b)は左側斜視図。
【図7】本願発明のLED灯照明装置用LED灯の分解斜視図。
【図8】本願発明のLED灯照明装置用LED灯の組立て斜視図。
【図9】本願発明のLED灯照明装置用LED灯をLED灯保持具に嵌合した状態の左側端部の斜視図。
【図10】本願発明のLED灯照明装置用LED灯と端面閉塞具及び連結治具の取付け状態の一例を示す一部分解斜視図。
【図11】(a)は図9のLED灯照明装置用LED灯を既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具に連結治具を介して取付けた状態の縦断正面図、(b)は同状態の縦断側面図。
【図12】本願発明のLED灯照明装置用連結治具の他例を示すもので、(a)は底面側斜視図、(b)は上面側斜視図、(c)はネジ締付け前の縦断面図、(d)はネジ締付け後の縦断面図。
【図13】図12に示すLED灯照明装置用連結治具を既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具に取付けた状態を示す説明図。
【図14】本願発明のLED灯照明装置において、図12に示すLED灯照明装置用連結治具を反射板に取付けた状態の説明図。
【図15】(a)は本願発明のLED灯照明装置用連結治具を他の形状のソケット支持具に取付けた状態を示す部分図、(b)は反射板を取付けた状態の底面図。
【図16】本願発明の二連型のLED灯照明装置用連結治具を示すもので、(a)は底面側斜視図、(b)は上面側斜視図。
【図17】図16の二連型のLED灯照明装置用連結治具を使用して既設の二灯型蛍光灯取付け装置にLED灯を二灯取付けた状態の縦断正面図。
【図18】既設のV字型蛍光灯取付け装置にLED灯を取付けた状態の縦断正面図。
【図19】(a)は本願発明のLED灯照明装置内の配線説明図、(b)は既設の蛍光灯取付け装置内の配線説明図。
【図20】既設の二灯型蛍光灯取付け装置にLED灯を一灯取付けた状態の縦断正面図。
【図21】既設のV型二灯型蛍光灯取付け装置にLED灯を一灯取付けた状態の縦断正面図。
【図22】直管型蛍光灯を二本取付けた従来の蛍光灯取付け装置の説明図。
【図23】直管型蛍光灯一本用の従来の蛍光灯取付け装置の説明図。
【図24】図23の蛍光灯取付け装置からソケットを取外す状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態)
本願発明のLED灯照明装置と、それに使用される連結治具、LED灯保持具及びLED灯の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。本願発明のLED灯照明装置の一例として図示したものは、図22、図23に示す既設の蛍光灯照明装置(蛍光灯取付け装置)1から直管型蛍光灯2(図22)を取外し、図24のように反射板3、ソケット4を取外し、既設の蛍光灯取付け装置1のフレーム5の内側に残ったソケット支持具6に、図1、図2のように連結治具7を取付け、前記フレーム5に反射板3を付け戻し、反射板3の開口部3a(図2)から下方に露出又は突出する連結治具7に、その下方から図3のように細長の直管型LED灯(取外した蛍光灯とほぼ同じ長さ)8の軸方向端部に被せたLED灯保持具9をネジ10(図2)により、図5(a)、(b)のように直管型LED灯8を既設の蛍光灯取付け装置1に取付けたものである。
【0027】
図1、図2に示す既設のソケット支持具6はコ字形であるが、ソケット支持具6には各種形状のもの、例えば図15(a)に示すようなものがある。図1、図2は蛍光灯取付け装置1の軸方向一端(左端)部分のみを図示してあるが、本願発明のLED灯照明装置は軸方向他端(右端)にも左端部分と同様に、既設のソケット4を取外して残ったソケット支持具6があり、それに連結治具7を取付け、反射板3を前記蛍光灯取付け装置1に付け戻し、反射板3の開口部3aから下方に露出又は突出する連結治具7にその下方から、図3の直管型LED灯8の軸方向右端のLED灯保持具9をネジ10で取付けて、直管型LED灯8の右端も既設の蛍光灯取付け装置1に図5(a)、(b)に示すように取付けてある。
【0028】
前記連結治具7の詳細を図4に示す。この連結治具7は図1、図2に示すようにソケット支持具6に嵌合可能な嵌合溝11と、ソケット支持具6を挟持可能な二つの挟着片12、13とを備えた既設側取付け部14と、LED灯保持具9を取付け可能な止め孔(灯側連結部)15を備えている。前記嵌合溝11は図2のように板状のソケット支持具5の奥まで被せることができるように連結治具7の幅方向両側面に開口しており、二つの挟着片12、13は嵌合溝11の上下に対向して形成されている。前記止め孔15は貫通方向入口側(図2のようにソケット支持具6に取付けると下になる側)がネジ無し孔15a(図4(a))、貫通方向出口側(図2のようにソケット支持具6に取付けると上になる側)がネジ孔15b(図4(b))となっている。この孔構造とすることにより、図2のようにLED灯保持具9の止め孔(取付け部)9aにその下方から差込んだネジ(ボルト)10が図5(b)のようにネジ無し孔15aに差込まれ、途中からネジ孔15bにネジ込まれてLED灯保持具9が連結治具7に固定されるようにしてある。連結治具7はアルミ製、金属製、樹脂製、その他の所望材質製とすることができ、LED灯を吊下げても変形しない剛性とするのがよい。前記嵌合溝11はそれを嵌合部材、例えば、ソケット支持具6に密に嵌合できて、嵌合するだけで嵌合部材から外れないようにしておくのが望ましい、そのためには、嵌合溝11の両側の二つの挟着片12、13をバネ構造、例えば板バネ状にするとか、他の挟着構造とすることができる。
【0029】
LED灯保持具9の詳細を図6に示す。このLED灯保持具9は直管型LED灯8の軸方向一端を収容できる収容空間16と、図7、図8に示す直管型LED灯8の灯本体17の受け溝17b内に前面カバー18の差込突部18bを嵌入した連結部19を差込可能な嵌合溝20と、灯本体17の放熱フィン21(図7)のうち両外側の放熱フィン21の上に図8のように被さる上縁22(図6)と、連結治具7にネジ止めするための止め孔9a(図6)を備えている。図6の収容空間16は下部がLED灯の形状に合わせて半円状又は略半円状であり、上部が開口しており、嵌合溝20と上縁22の夫々が両側壁23の軸方向に沿って形成されている。嵌合溝20は左右の側壁23の対向位置に形成され、上縁22も左右の側壁23の対向位置に形成されている。LED灯保持具9は剛性(硬質)の樹脂製であるが、LEDからの放熱で変形しにくく、放熱性に優れたものが良く、アルミ製、金属製といった材質製とすることもできる。
【0030】
直管型LED灯8は図7に示すように、灯本体17と前面カバー18で構成されている。灯本体17は金属、アルミ等の放熱性に優れた材質製であり、細長の半円筒状又は略半円筒状であり、開口部17aと受け溝17bを備え、受け溝17bは灯本体17の幅方向両側に形成され、灯本体17の長手方向全長に形成されている。灯本体17の背面には数本の放熱フィン21が周方向に間隔をあけて配列されており、各放熱フィン21は灯本体17の軸方向に細長である。
【0031】
灯本体17の幅方向中央部には、外側に一段突出した(内側:図7では上方に一段窪んだ)LED配置部24(図7)が形成されている、そのLED配置部24は灯本体17の軸方向に沿って細長に形成されており、そのLED配置部24の内面に多数のLED25(図12)が間隔をあけて配置固定されている。LED25はチップ状のものを個々に配置固定することもできるが、多数のLED25が基板26に間隔をあけて配置固定されているLEDモジュールを配置固定することもできる。灯本体17にはLED25の点灯に必要な電源回路や電源回路に必要な電子部品、電気機器等を組み込むことができる。これら電源回路、電子部品、電気機器等は灯本体17の軸方向両端部に設けて、灯本体17及び前面カバー18の軸方向両端部に被せるLED灯保持具9の内側に隠れるようにすると体裁が良い。前記灯本体17の受け溝17b内に前面カバー18の差込突起18bを差込んで直管型LED灯8としてある。
【0032】
図7の前面カバー18は細長の半円筒状又は略半円筒状であり、開口部18aと差込突起18bを備え、差込突起18bは前面カバー18の幅方向両側方に突出して形成され、前面カバー18の長手方向全長に形成されている。差込突起18bは前記受け溝17bに嵌入可能である。前面カバー18は直進性のLED光をまぶしくならない程度に遮光(減光)できるものや、前面カバーの幅方向(横方向)に拡散できるものが望ましい。一例としては半透明の樹脂製や曇りガラス製とすることができるし、着色されたものでもよい。前面カバー18の内側或いは内面に光拡散板を積層したり配置したりすることもできる。本願発明の灯本体17、前面カバー18の形状、サイズ等は用途に合わせて変えることができる。灯本体17及び前面カバー18の軸方向両端は開口しており、従来の蛍光灯のピン型口金28(図20)を備えないピンレスタイプとして、LED灯保持具9(図6)に差込み易くしてある。
【0033】
本願発明のLED灯照明装置は、図6に示すようなLED灯保持具9を使用せずに、図10に示すように、図11(a)、(b)のように既設の蛍光灯取付け装置1のソケット支持具6に固定した連結治具7に、直管型LED灯8を直にネジで取付ける(直付けする)こともできる。図11(a)、(b)では図10の連結治具7の嵌合溝11(図1)をソケット支持具6に固定し、その連結治具7に、その下方から直管型LED灯8の前面カバー18(図7)を取外した灯本体17をネジ10で固定し、その後に、灯本体17の受け溝17bに前面カバー18の差込突起18bを差込んで直管型LED灯8を組み立て、その直管型LED灯8の軸方向両端に図10のように板状の端面閉塞具27を取付けたものである。端面閉塞具27はその差込筒部27a(図10)を図11(b)のように直管型LED灯8の灯本体17及び前面カバー18の内側に差込んで取付けてある。この場合の直管型LED灯8もピンレスタイプである。
【0034】
本願発明のLED灯照明装置は、図12(a)、(b)に示す連結治具7を使用して、既設の蛍光灯取付け装置1に直管型LED灯8を図13のように取付けることもできる。図12(a)、(b)に示す連結治具7はブロック31が溶接とか他の手段で固定された平板状の挟着片13と平板状の挟着片12が対向しており、その両挟着片13とその間の空間11により既設の蛍光灯取付け装置1に連結可能な既設側連結部14が形成され、前記両挟着片12、13は、ブロック31から挟着片13を貫通して挟着片12までねじ込まれた2本の締付けネジ30で連結され、その締付けネジ30の締付けを緩めると対向する2枚の両挟着片12、13の空間11が図12(c)のように広がり、締付けネジ30を締付けるとその空間11が図12(d)のように狭くなって、図13のように両挟着片12、13間に例えばソケット支持具6を挟着固定できるようにしてある。前記両締付けネジ30の間に止め孔15が開口されている。この止め孔15は図12(c)、(d)に示すようにブロック31の底面から灯側連結部15の挟着片13まで貫通し、ブロック31内がネジ孔、挟着片13内がネジ無し孔となっている。この連結治具7を使用して直管型LED灯8を取付けるには、図13のように連結治具7をソケット支持具6に取付け、反射板3を付け戻す。このとき、連結治具7の灯側連結部15が反射板3の既設の開口部3aから下方に露出する。その状態で直管型LED灯8の軸方向両端が嵌合されたLED灯保持具9(図13)を、図13のように反射板3の下からネジ10で連結治具7の止め孔15にねじ込んで、直管型LED灯8を既設の蛍光灯取付け装置1に取付けることができる。
【0035】
図12(a)、(b)に示す連結治具7は、図14のように、既設の蛍光灯取付け装置1の反射板3の軸方向一端の周縁部3bに取付けることもできる。図14に示すものは、二枚の挟着片12、13で反射板3の周縁部3bを挟み、二本の締付けネジ30を締付けて両挟着片12、13で周縁部3bを挟着固定する。その固定状態で図9のように直管型LED灯8の軸方向両端が嵌合されたLED灯保持具9を、図13に示すようなネジ10で図14に示す連結治具7の止め孔15にねじ込んで、直管型LED灯8を既設の蛍光灯取付け装置1に取付けることができる。
【0036】
図12(a)、(b)に示す連結治具7は、図15(a)、(b)のようにして、既設の蛍光灯取付け装置1のソケット支持板6に取付けることもできる。図15(a)に示すものは、二枚の挟着片12、13でソケット支持具6を挟み、二本の締付けネジ30を締付けて両挟着片12、13でソケット支持具6を挟着固定する。その二つの連結治具7に、LED灯保持具9が取付けられている基板32をネジ10で固定して、直管型LED灯8を既設の蛍光灯取付け装置1に取付けることができる。
【0037】
本願発明では図12(a)、(b)の連結治具7を、既設の蛍光灯取付け装置1のフレーム5の周縁部5a(図12)に取付けて、その連結治具7に直管型LED灯8を取付けることもできる。連結治具7は既設の蛍光灯取付け装置1のフレーム5の周縁部5aとそれに重ねた反射板3の双方を、図12(a)、(b)の連結治具7の挟着片12、13で挟み、締付けネジ30を締付けてフレーム5の周縁部5aと反射板3の周縁部3bの双方に挟着固定することもできる。この場合は、反射板3だけの場合よりも強度が優れ、直管型LED灯8の支持が確実、安全になる。
【0038】
本願発明で使用する連結治具7は図16(a)、(b)のようなものであってもよい。この連結治具7は図4の連結治具7を二つ連結したものであり、図17のように既設の蛍光灯取付け装置1の二つのソケット支持具6に取付け、左右の連結治具7にソケット支持具6を取付けて、直管型LED灯8を取付けることができるようにしてある。この場合、連結治具7のブロック31を反射板3の開口部3aから下方に突出させておくことにより連結治具7への直管型LED灯8の取付けが容易になり、反射板3に孔をあけることなく連結治具7に直管型LED灯8を取付けることができる。
【0039】
図18は、V型の反射板3を備えた蛍光灯取付け装置1に直管型LED灯8を取付けた例である。この場合は、蛍光灯取付け装置1の二つのソケット支持具6に図4又は図12(a)、(b)に示す連結治具7を取付け、それら連結治具7にLED灯保持具9を取付けて、直管型LED灯8を保持できるようにしてある。この場合も、連結治具7のブロック31を反射板3の開口部3aから下方に突出させておくことにより連結治具7への直管型LED灯8の取付けが容易になり、反射板3に孔をあけることなく連結治具7に直管型LED灯8を取付けることができる。
【0040】
本願発明の連結治具7は既設の蛍光灯取付け装置1に取付け可能であれば図示した以外の形状、構造のものであってもよく、既設の蛍光灯取付け装置1のソケット支持具6、フレーム5、反射板3以外の箇所に取付け可能なものであってもよい。連結治具7はLED灯保持具9と一体化しておくこともでき、連結治具7及びLED灯保持具9が樹脂製の場合は一体成型、アルミ製の場合は一体に押出成型、その他の金属の場合は溶接等で一体化することもできる。
【0041】
本願発明のLED灯保持具9も直管型LED灯8の軸方向端部又は軸方向任意の箇所(例えば中間部)を保持可能であれば他の形状、構造、サイズであってもよい。連結治具7へのLED灯保持具9の取付けもボルト10(図5)以外の固定手段であってもよい。
【0042】
既設の蛍光灯取付け装置1は図19(b)に示すように安定器40を備えているが、本願発明のLED灯照明装置では、その安定器40を図19(a)のようにLED灯照明用電源器(LEDドライバ)41に替え、そのLED灯照明用電源器41と直管型LED灯8を接続コネクタ42で接続して直管型LED灯8に電源供給できるようにすることができる。
【0043】
図20は板状の一枚の基材32に取付けられている二つの連結治具7を既設の蛍光灯取付け装置1のソケット支持具6に取付け、連結治具7の下から反射板3を付け戻し、反射板3の開口部3aから連結治具7のブロック31を下方に突出させておく。この状態で、LED灯保持具9を前記基材32の下面に固定ネジ33で取付けて直管型LED灯8を既設の蛍光灯取付け装置1に取付けてある。このようにすることにより蛍光灯が二本取付けられていた既設の蛍光灯取付け装置に一本のLED灯を取付けることができる。この場合、連結治具7と基材32は一体であっても別体であってもよい。別体の場合は固定ネジ33で脱着可能とする。図20の基材32は平板であるが、他の形状、構造であってもよい。この場合も、連結治具7のブロック31を反射板3の開口部3aから下方に突出させておくことにより連結治具7への直管型LED灯8の取付けが容易になり、反射板3に孔をあけることなく連結治具7に直管型LED灯8を取付けることができる。
【0044】
図21は一枚の基材32に取付けられている二つの連結治具7を既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具6に取付け、連結治具7の下から反射板3を付け戻し、反射板3の開口部3aから連結治具7のブロック31を下方に突出させておく。この状態で、その基材32の下面に固定ネジ33で取付けられているLED灯保持具9に直管型LED灯8が保持されている。このようにすることにより蛍光灯が二本取付けられていた既設の蛍光灯取付け装置に一本のLED灯を取付けることができる。この場合の連結治具7と基材32も一体であっても別体であってもよい。別体のときは固定ネジ33で脱着可能とする。図20の基材32はその軸方向中央部34が平坦で、その両側部分35が外側上がりに傾斜し、軸方向中央部34にLED灯保持具9を固定ネジ33で取付けてある。この基材32も他の形状、構造とすることもできる。この場合も、連結治具7のブロック31を反射板3の開口部3aから下方に突出させておくことにより連結治具7への直管型LED灯8の取付けが容易になり、反射板3に孔をあけることなく連結治具7に直管型LED灯8を取付けることができる。
【0045】
本願発明は蛍光灯が3本以上の既設の蛍光灯取付け装置1に付け替えることもできるし、図示した以外の形状の蛍光灯取付け装置1に付け替えることもできる。本願発明における連結治具7、LED灯支持具9、灯本体17、前面カバー18、他の構成部材を全て不燃材製にすると、地下鉄の構内とかその他の不燃要請場所に設置するのに適する。直管型LED灯8の前面カバー18の不燃材としては例えばガラスがある。
【符号の説明】
【0046】
1 蛍光灯取付け装置
2 直管型蛍光灯
3 反射板
3a 反射板の開口部
3b 反射板の周縁部
4 ソケット
5 フレーム
5a フレームの周縁部
6 ソケット支持具
7 連結治具
8 直管型LED灯
9 LED灯保持具
9a LED灯保持具の取付け部(止め孔)
10 ネジ(ボルト)
11 嵌合溝
12 挟着片
13 挟着片
14 既設側連結部
15 灯側連結部(止め孔)
15a ネジ無し孔
15b ネジ孔
16 収容空間
17 灯本体
17a 開口部
17b 灯本体の受け溝
18 前面カバー
18a 前面カバーの開口部
18b 前面カバーの差込突部
19 連結部
20 嵌合溝
21 放熱フィン
22 上縁
23 側壁
24 LED配置部
25 LED
26 基板
27 端面閉塞具
27a 差込筒部
28 ピン型口金
30 締付けネジ
31 ブロック
32 基材
33 固定ネジ
34 基材の中央部
35 基材の両側部分
40 安定器
41 LED灯照明用電源器
42 接続コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に直管型LED灯を取付けたことを特徴とするLED灯照明装置。
【請求項2】
直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に連結治具を取付け、その連結治具に直管型LED灯を取付けたことを特徴とするLED灯照明装置。
【請求項3】
直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置のソケット支持具、フレーム、反射板のいずれか、又はフレーム及びそれに重ねた反射板に連結治具を取付け、その連結治具に直管型LED灯を取付けたことを特徴とするLED灯照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のLED灯照明装置において、LED灯がその軸方向両端に支持用又は電極用のピンを備えないピンレスタイプであることを特徴とするLED灯照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のLED灯照明装置において、既設の蛍光灯取付け装置における安定器をLED灯照明用電源器に替え、そのLED灯照明用電源器を介してLED灯に電源供給できるようにしたことを特徴とするLED灯照明装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のLED灯照明装置に使用される連結治具が、既設の蛍光灯取付け装置に連結可能な既設側連結部と、LED灯保持具又は直管型LED灯を取付け可能な灯側連結部を備えたことを特徴とするLED灯照明装置用連結治具。
【請求項7】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のLED灯照明装置に使用される連結治具が、直管型LED灯を保持可能なLED灯保持具に固定又は脱着可能であることを特徴とするLED灯照明装置用連結治具。
【請求項8】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のLED灯照明装置に使用される連結治具が、一つの基材に二以上設けられ、その基材の連結治具と反対側に、LED灯保持具が固定又は脱着可能であることを特徴とするLED灯照明装置用連結治具。
【請求項9】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のLED灯照明装置に使用される連結治具の既設側連結部が、既設の蛍光灯取付け装置の一部を挟着保持可能な二つの挟着片を備えることを特徴とするLED灯照明装置用連結治具。
【請求項10】
直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に直管型LED灯を取付けるLED灯保持具であり、そのLED灯保持具は直管型LED灯の軸方向端部を嵌入可能な収容空間と、前記取外し後の蛍光灯取付け装置又は同装置に取付けられた連結治具に取付けられる取付け部と、直管型LED灯の灯本体と前面カバーの嵌合部が嵌入可能な嵌合溝を備えたことを特徴とするLED灯保持具。
【請求項11】
直管型蛍光灯とソケットを取外した既設の蛍光灯取付け装置に取付けられる直管型LED灯であり、直管型LED灯は灯本体とそれのLED光出射側に取付けられる前面カバーを備え、灯本体は半円筒形又は略半円筒形であり、背面周方向に間隔をあけて数本の放熱フィンが設けられ、それら放熱フィンは灯本体の軸方向に細長であり、その軸方向に間隔をあけて二以上のLEDが取付けられ、前面カバーは半円筒形又は略半円筒形であり、灯本体の開口部に対向して取付けられ、灯本体及び前面カバーの軸方向両端に支持用又は電極用のピンを備えないピンレスタイプであることを特徴とするLED灯照明装置用LED灯。
【請求項12】
請求項11記載のLED灯照明装置用LED灯において、灯本体又は/及び前面カバー内にLEDの点灯に必要な電源回路が搭載されたことを特徴とするLED灯照明装置用LED灯。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−49143(P2011−49143A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72925(P2010−72925)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【特許番号】特許第4616411号(P4616411)
【特許公報発行日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(593222779)東京エレテック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】