LED点灯装置
【課題】入力電流の高調波成分を低減しながら、直流平滑電圧で点灯させた場合と同等の光出力が得られるLED点灯装置を提供する。
【解決手段】商用交流電源Vsを全波整流する全波整流器DBと、全波整流器DBの出力端に並列接続される第1のコンデンサC1と、第1のコンデンサC1に入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部1と、スイッチング電源回路部1の出力端に接続されるLED発光部2と、LED発光部2に並列接続される第2のコンデンサC2とを備え、第1のコンデンサC1の容量が1μF未満であり、第2のコンデンサC2はLED発光部2に流れる電流のリプル率が0.59以下になる容量に設定した。
【解決手段】商用交流電源Vsを全波整流する全波整流器DBと、全波整流器DBの出力端に並列接続される第1のコンデンサC1と、第1のコンデンサC1に入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部1と、スイッチング電源回路部1の出力端に接続されるLED発光部2と、LED発光部2に並列接続される第2のコンデンサC2とを備え、第1のコンデンサC1の容量が1μF未満であり、第2のコンデンサC2はLED発光部2に流れる電流のリプル率が0.59以下になる容量に設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は商用交流電源を用いて発光ダイオード(以下「LED」という)を点灯させるLED点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの光学性能が高くなってきており、LEDを用いた照明器具は寿命が長いなどの理由で従来の光源から置き換えられる状態にある。今後LEDの性能がますます向上していけば、さらに汎用の照明器具分野で採用されると考えられる。また、LEDの点灯装置も照明器具としての効率を上げるために、ますます高効率化しようとしている。そのため点灯装置は特にスイッチング素子を用いたスイッチング電源方式の定電流型が採用されてきており、今後もそのような傾向が続くと思われる。
【0003】
図9に特許文献1(特開2007−189819号公報)に開示された従来のLED点灯装置の回路図を示す。Vsは商用交流電源、DBは全波整流器、C2はコンデンサ、T1はトランスで1次巻線n1と2次巻線n2を備えている。Q1はスイッチング素子、D1は整流ダイオード、13はスイッチング素子Q1の制御回路、2はLED発光部、14は定電流素子である。
【0004】
次に、図9に示す回路の動作を説明する。商用交流電源Vsの交流電圧を全波整流器DBで整流し、コンデンサC2で平滑し、トランスT1、MOSFETなどのスイッチング素子Q1で高周波矩形波交流電圧に変換し、整流ダイオードD1で整流して得られたパルス電圧に定電流素子14、LED発光部2の直列回路を接続する。スイッチング素子Q1は制御回路13によってオン・オフ制御される。
【0005】
図10にトランスT1の2次側電圧Vn2と整流ダイオードD1で整流して得られたパルス電圧Vpの波形を示す。LED発光部2を流れる電流はパルス電圧Vpがある時だけ定電流素子14で規定された定電流Icが流れて点灯する。
【0006】
定電流素子14の特性例を図11に示す。横軸は印加電圧、縦軸は電流である。定電流素子14にある電圧Vc以上の電圧を印加すると、印加電圧に関係なく一定の電流Icが流れる。電源電圧の変動、LEDの順方向電圧のばらつきは定電流素子14に印加される電圧が電圧変動と順方向電圧のばらつきを吸収するように変化し、流れる電流はIcと一定に保たれる。したがって、消費電力は電源電圧の変動分だけ増減するが、LEDの輝度は変化しない。
【0007】
図9に示す回路ではパルス電圧Vpが無いときはLED発光部2は消灯するが、パルス電圧Vpが数kHz以上の高周波であれば、消灯していることは人間の目では認知できないので、LED発光部2は点灯し続けているように見える。
【0008】
図10に示すパルス電圧Vpの一周期Tに対するパルス電圧Vpの割合(t/T)を減少させると、LED発光部2の輝度が低下し、パルス電圧Vpの割合(t/T)を増加させると輝度が上昇しているように見える。パルス電圧Vpの割合(t/T)は制御回路13で調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−189819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のような定電流素子を用いる定電流電源では、出力電圧の平滑化がされなければ、定電流素子14にある電圧Vc以上の電圧が保たれなくなる。つまり、定電流素子14はダイオードのように電圧Vc以上の電圧があってこそ、流れる電流がIcと一定に保たれるものであるから、この従来例の回路では、トランスT1の1次側の全波整流器DBの後段に設けたコンデンサC2で平滑を行っている。このコンデンサC2が無ければ、全波整流器DBの出力電圧は全波の脈流電圧になるため、50/60Hzの交流電源であれば、100Hzまたは120Hzの低周波のちらつきが発生することになる。ところが、このコンデンサC2が平滑化のために存在しているので、入力電流の高調波成分は大きなものとなり、照明機器で定められている高調波規制のガイドラインの規格値から外れるといった問題が生じる。
【0011】
また、トランスT1の2次側はパルス電圧Vpで点灯させているが、照明器具の光出力(光束)を器具込みの入力電力で除した器具効率といった面からは効率が低下する方向となる。すなわち、LEDの特性はダイオードと同様、順方向電圧Vfを超えることによってそれに応じた順電流Ifが流れる。LEDの仕様上、出力の光効率(出力の光束を出力の消費電力で割ったもの)が最も良いのは、リプル率が略0の直流平滑電圧で直流電流Idcを流したときである。従って、パルス電圧Vpでパルス点灯させた場合、先の直流電流Idcよりも平均化して少ない電流となり、出力の光束がそれに応じて小さくなってしまうという問題が生じる。さらにパルス電圧Vpを大きくしてパルスで流す電流の平均値を直流電流Idcと同等にしようとすると、パルス電圧Vpのピークを大きくせざるを得ないため、定電流素子14の定格も大きくなり、コストの上昇の一因となり、さらにLEDのピーク電流の絶対最大定格を超える可能性が生じるという問題がある。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、入力電流の高調波成分を低減しながら、直流平滑電圧で点灯させた場合と同等の光出力が得られるLED点灯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のLED点灯装置は、商用交流電源を全波整流する全波整流器と、全波整流器の出力端に並列接続される第1のコンデンサと、第1のコンデンサに入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部と、スイッチング電源回路部の出力端に接続されるLED発光部と、LED発光部に並列接続される第2のコンデンサとを備え、第1のコンデンサの容量が1μF未満であり、第2のコンデンサはLED発光部に流れる電流のリプル率が0.59以下になる容量に設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のLED点灯装置は、第1のコンデンサの容量を1μF未満としているので、全波整流器からスイッチング電源回路部までの電圧波形は、ほぼ全波の脈流派形となる。このように、第1のコンデンサの容量が小さいために、商用交流電源からの入力電流の波形は従来例のようなコンデンサインプット型の電流波形ではなく、全波の谷部を除いたほぼ全域で電流が流れる波形となるため、照明機器で定められている高調波規制ガイドラインの規格値におさまるようになる。また、このままでは出力の電圧波形も脈流電圧となり、LEDの順方向電圧Vf以下の電圧範囲では電流が流れなくなってしまうため、第1のコンデンサの容量の例えば100倍以上の容量をLED発光部の両端に並列接続し、LEDに流れる電流の変動幅を実効電流で除したリプル率を0.59以下にすることで光出力の低下を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図4】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図6】本発明の実施形態2のリプル率とDC光束比の関係を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の実装状態を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態4の実装状態を示す断面図である。
【図9】従来例の回路図である。
【図10】従来例の動作波形図である。
【図11】従来例に用いる定電流素子の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0017】
(基本構成)
本発明の基本構成を図1に示す。Vsは商用交流電源、DBは全波整流器、C1,C2はコンデンサ、1はスイッチング素子を含んだスイッチング電源回路部、2はLED発光部、3はフィルタ回路部である。LED発光部2の消費電力は例えば20W以下である。
【0018】
図1の回路において、全波整流器DBの直流出力端に接続されたコンデンサC1は、1μF未満の容量のコンデンサであり、全波整流器DBの出力電圧を平滑化するには小さい容量のため、ほぼ全波の波形の脈流電圧がスイッチング電源回路部1に印加され、内部のスイッチング素子により高周波でスイッチングされ、パルス電圧が出力される。このスイッチング電源回路部1の出力にはコンデンサC1の容量に比べ、後述する条件を満たした大きい容量のコンデンサC2が並列接続され、パルス電圧の平滑化を行う。このコンデンサC2に並列接続されたLED発光部2には平滑電圧が印加される。
【0019】
このとき、LED2a〜2dに流れる電流は平滑化といっても完全にリプルが無くなるわけではなく、電流の最大値Imaxと最小値Iminで規定される電流の変動幅Ipp(=Imax−Imin)を、LEDに流れる電流の平均値Iaで除したリプル率(Ipp/Ia)が0.59以下となるように、出力コンデンサC2の容量を設定する。このことにより、図1の回路で得られる光出力は、平坦な直流電圧から流れる電流で得られる光出力と殆ど差が無くなる。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の回路図を図2に示す。この実施形態では、図1のスイッチング電源回路部1をフライバック型のDC−DCコンバータ回路としたものであり、このDC−DCコンバータ回路は1次側の制御回路11と2次側の制御回路12により制御される。これらの回路とフィルタ回路部3を含めて直流電源ユニット4としている。
【0021】
LED発光部2は、4個のLED2a〜2dが搭載されており、LED2aからLED2dまでがアノードからカソードに直列につながれる構成となっている。LED2aのアノード側にはプラス、LED2dのカソード側にはマイナスの電圧が印加されることにより、各LED2a〜2dが発光する。LED2a〜2dの順方向電圧Vfの合計以上の電圧が印加されると、流れる電流の値に応じてLEDから光束を得ることが出来る。順方向電圧Vfは通常略3.5Vのため、4個直列に接続するのであれば、4×3.5V以上の直流電圧において点灯させることが出来る。
【0022】
直流電源ユニット4の出力コネクタCON2とLED発光部2は一対のリード線5で接続されている。直流電源ユニット4の入力コネクタCON1は、商用交流電源Vsからの交流電源電圧(例えば、AC100V、50/60Hz)に接続される。
【0023】
商用交流電源Vsに直流電源ユニット4のフィルタ回路部3が接続される。フィルタ回路部3はヒューズFUSE、コンデンサC3、ラインフィルタLFからなり、商用交流電源Vsの一端にヒューズFUSEが直列接続され、商用交流電源Vsの他端とヒューズFUSEの出力端と並列にコンデンサC3、ラインフィルタLFが接続される。
【0024】
フィルタ回路部3の出力には全波整流器DBとコンデンサC1が並列接続され、コンデンサC1と並列にトランスT1とスイッチング素子Q1の直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1の両端には並列にコンデンサC4が接続されている。トランスT1の2次巻線側には高電位側にダイオードD1が接続され、コンデンサC2、出力コネクタCON2がダイオードD1を介して並列に接続されており、出力コネクタCON2の低電位側とコンデンサC2の負極の間には出力電流Ioを電圧値に変換する抵抗器R1が接続されている。
【0025】
第1の制御回路11はトランスT1の1次側に設けられ、フィードバック端子FBからの入力値によりスイッチング素子Q1のスイッチング信号を出力している。また、第2の制御回路12はトランスT1の2次側に設けられ、出力電流Ioを抵抗器R1により電圧に変換した値を入力とし、フィードバック信号を生成している。この第2の制御回路12の出力にはフォトカプラPC1の発光素子が接続され、そのフォトカプラPC1の受光素子には第1の制御回路11のフィードバック入力端子FBが接続されている。
【0026】
以下、回路動作について説明する。このDC−DCコンバータ回路は、いわゆるフライバック型の直流電源装置であり、スイッチング素子Q1に並列接続されたコンデンサC4を持つ部分共振型である。商用交流電源Vsから入力された電圧は入力コネクタCON1を介しフィルタ回路部3を経て全波整流器DBにて全波整流される。全波整流された電圧はコンデンサC1を介してトランスT1とスイッチング素子Q1との直列回路に印加される。このときの印加電圧波形はコンデンサC1の容量が0.47μFと設定されているため、ほぼ全波整流の脈流電圧となる。つまり、全波整流された電圧はコンデンサC1では平滑化されず、全波波形の脈流電圧がトランスT1とスイッチング素子Q1との直列回路に印加される。スイッチング素子Q1が閉じている場合、トランスT1には電流が流れるため磁気エネルギーとして充電され、スイッチング素子Q1が開放になった場合にはその磁気エネルギーを2次巻線、ダイオードD1を介して出力側に放出される。
【0027】
その出力電圧はコンデンサC2によりリプル率が0.59以下となるまで平滑化され、出力コネクタCON2を介して出力される。直流電源ユニット4から出力される電圧はLED発光部2に供給され、各LED2a〜2dの順方向電圧Vfの合計以上の電圧になった場合に各LED2a〜2dは点灯する。
【0028】
ここで、コンデンサC1の容量は0.47μFであるため、トランスT1の出力電圧も脈流波形となる。これをそのままLED発光部2に印加すると、LED発光部2内のLED2a〜2dの順電圧Vfの総和以上の電圧のときのみ発光するため、リプルがないときと比べて光出力が小さくなってしまう。そこで、コンデンサC2の容量はコンデンサC1の容量に比べて大きく、220μFとしている。このとき、出力電流のリプル率(電流の変動幅Ipp、つまり最大電流値Imax−最小電流値Iminを平均電流値Iaで除したもの)は0.59以下としている。
【0029】
図3は本実施形態の動作波形であり、Ch1は出力電流波形、Ch2は入力電流波形、Ch3はコンデンサC1の両端電圧波形である。Ch1は50mA/10mVレンジにて測定しており、電流の変動幅Ippは70mApp(波形の中の△が変動幅Ippを示しており、△:14mVのため、14mV×50mA/10mVで70mApp)となる。また、平均電流値は179mAであるので、リプル率は0.39で0.59以下としている。
【0030】
各LED2a〜2dに流れた電流は出力コネクタCON2を介し抵抗器R1に流れ、抵抗器R1は電流に応じた電圧を発生する。この電圧を第2の制御回路12における制御用集積回路IC2(例えば新日本無線社製のNJM2146)のIN端子でモニタし、基準電圧端子REFの基準電圧と比較演算され、これによりLED2a〜2dに流れる電流に応じた第2の制御回路12のOUT端子の出力が決定する。この出力により、制御電圧Vccに接続されたフォトカプラPC1の発光素子に流れる電流が決まる。フォトカプラPC1内の受光素子から、第1の制御回路11の制御用集積回路IC1(例えば新電元社製のMR1722)のフィードバック端子FBに制御電圧が帰還入力される。このとき、フィードバック端子FBに入力された制御電圧に応じてスイッチング素子Q1のON幅を決定する。このように動作することにより、LED2a〜2dに流れる電流を一定にする制御を行う。
【0031】
尚、その他の構成について述べておくと、第1の制御回路11の電源Vccは全波整流後の電圧ラインから抵抗R8を介してツェナーダイオードZD1のツェナー電圧で規制された電圧が供給される。当然、制御回路11の不動作電圧以下にならない。また、第1の制御回路11のZC端子はゼロクロス端子であり、トランスT1のエネルギー放出をモニタし、スイッチング素子Q1が不連続モードで動作するようにしている。
【0032】
このような動作をすることにより従来の回路に比べ安価で高調波規制を満足でき、かつLEDの絶対最大定格電流を超えることなく、直流平滑電圧で点灯させた場合に比べて光出力の低下を抑えることができる。
【0033】
なお、この実施形態においてはフライバック型の直流電源にて説明を行ったが、もちろん直流電源はどのようなタイプであっても直流電圧を出力するものであれば同様な効果が得られる。また、LED発光部2においても4個直列のLED接続について説明したが、個数には関係なくアノードとカソードの方向さえ一致していれば並列接続しても構わない。
【0034】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の回路図を図4に示す。この実施形態では、図1のスイッチング電源回路部1を非絶縁型の降圧チョッパ回路としたものである。先述の実施形態1と同様の回路の説明は省略する。コンデンサC1はこの実施形態でも0.47μFに設定している。この回路ではパワースイッチング素子を兼ねた制御回路IC3(例えば松下電器産業株式会社製造のMIP552)により制御され、降圧チョッパ回路として動作する。
【0035】
コンデンサC1の両端にLED2a〜2dの直列回路からなるLED発光部2とチョークL1と制御回路IC3の出力端子Qとグランド端子G間が直列に接続されている。出力端子Qは制御回路IC3の内部でスイッチング用のMOSFETのドレイン端子に接続されている。グランド端子Gは制御回路IC3の内部でスイッチング用のMOSFETのソース端子に接続されている。
【0036】
また、LED発光部2とチョークL1の直列回路にダイオードD1が並列接続されており、コンデンサC2がLED発光部2と並列に接続されている。ダイオードD1のカソード側はコンデンサC2の正極側に接続され、アノード側はチョークL1を介してコンデンサC2の負極側に接続されている。
【0037】
制御回路IC3の周辺には、制御部品として抵抗R2,R3,R8、コンデンサC5〜C7が接続されている。制御回路IC3のVdd端子は外部基準電圧端子であり、この端子の雑音防止用にコンデンサC5が接続されている。制御回路IC3のEX端子はLED発光部2への出力電流の大きさを決める端子であり、Vdd端子と回路グランド(グランド端子G)の間に抵抗R2と抵抗R3が直列接続され、その分圧電圧がEX端子に印加されている。コンデンサC6は上述のコンデンサC5と同様、雑音防止用のコンデンサである。
【0038】
Vin端子は商用交流電源Vsが投入された後、全波整流後の電源ラインからこの端子を介して制御回路IC3に制御電源を供給する端子である。コンデンサC7はコンデンサC5、C6と同じく雑音防止用のコンデンサである。
【0039】
コンデンサC2は実施形態1と同様、LED2a〜2dに流れる電流のリプル率が0.59以下となる容量に設定される。ここでは、コンデンサC2の容量は100μFとしている。
【0040】
回路動作としては、まず商用交流電源Vsから入力された電圧は入力コネクタCON1を介しフィルタ回路部3を経て全波整流器DBにて全波整流される。全波整流された電圧はコンデンサC1を介してLED発光部2とコンデンサC2の並列回路とチョークL1と制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間の直列回路に印加される。
【0041】
商用交流電源Vsの投入直後は、制御回路IC3のVin端子から制御電源が制御回路IC3に供給され、Vdd端子の電圧が所定の電圧に達したときに発振を開始する。制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間の電圧がほぼ0のとき、つまり内部のスイッチング素子がON状態のときは、制御回路IC3を介して全波整流器DBの出力電圧がLED発光部2とコンデンサC2の並列回路とチョークL1の直列回路に印加され、LED発光部2のLED2a〜2dが点灯する。このときの全波整流後の波形はコンデンサC1の容量が0.47μFと小さく設定されているため、ほぼ全波整流の脈流電圧となる。
【0042】
上述のON状態の時間幅は制御回路IC3の内部で設定される閾値電圧で決定される。制御回路IC3の内部で出力端子Q−グランド端子G間に流れる電流を電圧に変換し、その電圧が前記閾値電圧に達すると、制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間が開放状態(つまり内部のスイッチング素子がOFF状態)となる。このとき、チョークL1の蓄積エネルギーによる逆起電力にてダイオードD1を介してコンデンサC2とLED発光部2の並列回路に回生電流が流れて、LED2a〜2dの点灯状態を維持する。ON区間とOFF区間を合算した周期T、つまりその逆数のスイッチング周波数は、この制御回路IC3では数十kHzに固定されているため、OFF状態からON状態へは強制的に移行する。
【0043】
また、制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間がON状態になる時間幅を設定するための閾値電圧はEX端子の分圧電圧により変えることができる。このEX端子の電圧を変更することによりLED発光部2のLEDに流れる電流を設定し、所望の光出力を得ることができる。
【0044】
図5は本実施形態の動作波形であり、Ch1は出力電流波形、Ch4はコンデンサC2の両端電圧波形である。Ch1は50mA/10mVのレンジで測定しており、電流の変動幅Ippは101mApp(図中の△が変動幅Ippを示しており、△:20.2mVのため、20.2mV×50mA/10mVで101mApp)となる。また、平均電流値は170mAであるため、LED2a〜2dに流れる電流のリプル率は0.59となる。
【0045】
市販の直流電源装置(例えば、(株)テクシオPA80−1B)でLED発光部2に印加されて流れる直流平滑電流で得られる光出力φdcと、リプル率を変化させたときの光出力φlとの比(DC光束比=φl/φdc)の関係を図6に示す。リプル率を0.59以下に設定することで、DC光束比をほぼ1とすることができ、直流平滑電圧で点灯させた場合に比べて光出力の低下を抑えることができる。
【0046】
以上のように、コンデンサC1の容量値を1μF未満に設定することにより、高調波ガイドラインの規定を満足することができ、なおかつ、コンデンサC2の容量値をLED発光部2に流れる電流のリプル率が0.59以下となるように設定することにより、直流平滑電圧で点灯した場合の光出力と殆ど変わらない光出力を得ることができる。
【0047】
また、実施形態1,2に共通して言えることであるが、コンデンサC1の容量値を下げることで、電源投入時に発生する突入電流を小さくすることができるため、LED照明器具の並列台数の制限に関しても有利になる。
【0048】
(実施形態3)
図7は実施形態1または2のLED点灯装置を用いた電源別置型LED照明器具の構成を示している。器具筐体7は、下端開放された金属製の円筒体よりなり、下端開放部は光拡散板8で覆われている。この光拡散板8に対向するように、LED発光部2が配置されている。21はLED実装基板であり、LED発光部2のLED2a〜2dを実装している。器具筐体7は天井9に埋め込まれており、天井裏に配置された直流電源ユニット4からリード線5とコネクタ6を介して配線されている。
【0049】
(実施形態4)
図8は実施形態1または2のLED点灯装置を用いた電源内蔵型LED照明器具の構成を示している。21はLED実装基板であり、LED発光部2のLED2a〜2dを実装している。41は電源回路基板であり、図2または図4の直流電源ユニット4の電子部品を実装している。LED発光部2は、器具筐体7内において放熱板71に接触するように設置されており、LED2a〜2dの発生する熱を器具筐体7に逃がすようになっている。また、LED発光部2と直流電源ユニット4は、この放熱板71に設けられた穴を介して、リード線5で接続されている。放熱板71はアルミ板や銅板のような金属板であり、放熱効果と遮蔽効果を兼ねている。放熱板71は器具筐体7に電気的に接続されてアースされるが、リード線5のプラス側ならびにマイナス側とは電気的に分離された非充電部となっている。
【0050】
このように、点灯装置を器具筐体7に内蔵することにより、LED発光部2への配線を外部から触れないことから、配線の引き回しが一定となり、雑音性能が安定するという効果がある。
【符号の説明】
【0051】
Vs 商用交流電源
DB 全波整流器
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
1 スイッチング電源回路部
2 LED発光部
3 フィルタ回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は商用交流電源を用いて発光ダイオード(以下「LED」という)を点灯させるLED点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの光学性能が高くなってきており、LEDを用いた照明器具は寿命が長いなどの理由で従来の光源から置き換えられる状態にある。今後LEDの性能がますます向上していけば、さらに汎用の照明器具分野で採用されると考えられる。また、LEDの点灯装置も照明器具としての効率を上げるために、ますます高効率化しようとしている。そのため点灯装置は特にスイッチング素子を用いたスイッチング電源方式の定電流型が採用されてきており、今後もそのような傾向が続くと思われる。
【0003】
図9に特許文献1(特開2007−189819号公報)に開示された従来のLED点灯装置の回路図を示す。Vsは商用交流電源、DBは全波整流器、C2はコンデンサ、T1はトランスで1次巻線n1と2次巻線n2を備えている。Q1はスイッチング素子、D1は整流ダイオード、13はスイッチング素子Q1の制御回路、2はLED発光部、14は定電流素子である。
【0004】
次に、図9に示す回路の動作を説明する。商用交流電源Vsの交流電圧を全波整流器DBで整流し、コンデンサC2で平滑し、トランスT1、MOSFETなどのスイッチング素子Q1で高周波矩形波交流電圧に変換し、整流ダイオードD1で整流して得られたパルス電圧に定電流素子14、LED発光部2の直列回路を接続する。スイッチング素子Q1は制御回路13によってオン・オフ制御される。
【0005】
図10にトランスT1の2次側電圧Vn2と整流ダイオードD1で整流して得られたパルス電圧Vpの波形を示す。LED発光部2を流れる電流はパルス電圧Vpがある時だけ定電流素子14で規定された定電流Icが流れて点灯する。
【0006】
定電流素子14の特性例を図11に示す。横軸は印加電圧、縦軸は電流である。定電流素子14にある電圧Vc以上の電圧を印加すると、印加電圧に関係なく一定の電流Icが流れる。電源電圧の変動、LEDの順方向電圧のばらつきは定電流素子14に印加される電圧が電圧変動と順方向電圧のばらつきを吸収するように変化し、流れる電流はIcと一定に保たれる。したがって、消費電力は電源電圧の変動分だけ増減するが、LEDの輝度は変化しない。
【0007】
図9に示す回路ではパルス電圧Vpが無いときはLED発光部2は消灯するが、パルス電圧Vpが数kHz以上の高周波であれば、消灯していることは人間の目では認知できないので、LED発光部2は点灯し続けているように見える。
【0008】
図10に示すパルス電圧Vpの一周期Tに対するパルス電圧Vpの割合(t/T)を減少させると、LED発光部2の輝度が低下し、パルス電圧Vpの割合(t/T)を増加させると輝度が上昇しているように見える。パルス電圧Vpの割合(t/T)は制御回路13で調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−189819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のような定電流素子を用いる定電流電源では、出力電圧の平滑化がされなければ、定電流素子14にある電圧Vc以上の電圧が保たれなくなる。つまり、定電流素子14はダイオードのように電圧Vc以上の電圧があってこそ、流れる電流がIcと一定に保たれるものであるから、この従来例の回路では、トランスT1の1次側の全波整流器DBの後段に設けたコンデンサC2で平滑を行っている。このコンデンサC2が無ければ、全波整流器DBの出力電圧は全波の脈流電圧になるため、50/60Hzの交流電源であれば、100Hzまたは120Hzの低周波のちらつきが発生することになる。ところが、このコンデンサC2が平滑化のために存在しているので、入力電流の高調波成分は大きなものとなり、照明機器で定められている高調波規制のガイドラインの規格値から外れるといった問題が生じる。
【0011】
また、トランスT1の2次側はパルス電圧Vpで点灯させているが、照明器具の光出力(光束)を器具込みの入力電力で除した器具効率といった面からは効率が低下する方向となる。すなわち、LEDの特性はダイオードと同様、順方向電圧Vfを超えることによってそれに応じた順電流Ifが流れる。LEDの仕様上、出力の光効率(出力の光束を出力の消費電力で割ったもの)が最も良いのは、リプル率が略0の直流平滑電圧で直流電流Idcを流したときである。従って、パルス電圧Vpでパルス点灯させた場合、先の直流電流Idcよりも平均化して少ない電流となり、出力の光束がそれに応じて小さくなってしまうという問題が生じる。さらにパルス電圧Vpを大きくしてパルスで流す電流の平均値を直流電流Idcと同等にしようとすると、パルス電圧Vpのピークを大きくせざるを得ないため、定電流素子14の定格も大きくなり、コストの上昇の一因となり、さらにLEDのピーク電流の絶対最大定格を超える可能性が生じるという問題がある。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、入力電流の高調波成分を低減しながら、直流平滑電圧で点灯させた場合と同等の光出力が得られるLED点灯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のLED点灯装置は、商用交流電源を全波整流する全波整流器と、全波整流器の出力端に並列接続される第1のコンデンサと、第1のコンデンサに入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部と、スイッチング電源回路部の出力端に接続されるLED発光部と、LED発光部に並列接続される第2のコンデンサとを備え、第1のコンデンサの容量が1μF未満であり、第2のコンデンサはLED発光部に流れる電流のリプル率が0.59以下になる容量に設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のLED点灯装置は、第1のコンデンサの容量を1μF未満としているので、全波整流器からスイッチング電源回路部までの電圧波形は、ほぼ全波の脈流派形となる。このように、第1のコンデンサの容量が小さいために、商用交流電源からの入力電流の波形は従来例のようなコンデンサインプット型の電流波形ではなく、全波の谷部を除いたほぼ全域で電流が流れる波形となるため、照明機器で定められている高調波規制ガイドラインの規格値におさまるようになる。また、このままでは出力の電圧波形も脈流電圧となり、LEDの順方向電圧Vf以下の電圧範囲では電流が流れなくなってしまうため、第1のコンデンサの容量の例えば100倍以上の容量をLED発光部の両端に並列接続し、LEDに流れる電流の変動幅を実効電流で除したリプル率を0.59以下にすることで光出力の低下を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図4】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図6】本発明の実施形態2のリプル率とDC光束比の関係を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の実装状態を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態4の実装状態を示す断面図である。
【図9】従来例の回路図である。
【図10】従来例の動作波形図である。
【図11】従来例に用いる定電流素子の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0017】
(基本構成)
本発明の基本構成を図1に示す。Vsは商用交流電源、DBは全波整流器、C1,C2はコンデンサ、1はスイッチング素子を含んだスイッチング電源回路部、2はLED発光部、3はフィルタ回路部である。LED発光部2の消費電力は例えば20W以下である。
【0018】
図1の回路において、全波整流器DBの直流出力端に接続されたコンデンサC1は、1μF未満の容量のコンデンサであり、全波整流器DBの出力電圧を平滑化するには小さい容量のため、ほぼ全波の波形の脈流電圧がスイッチング電源回路部1に印加され、内部のスイッチング素子により高周波でスイッチングされ、パルス電圧が出力される。このスイッチング電源回路部1の出力にはコンデンサC1の容量に比べ、後述する条件を満たした大きい容量のコンデンサC2が並列接続され、パルス電圧の平滑化を行う。このコンデンサC2に並列接続されたLED発光部2には平滑電圧が印加される。
【0019】
このとき、LED2a〜2dに流れる電流は平滑化といっても完全にリプルが無くなるわけではなく、電流の最大値Imaxと最小値Iminで規定される電流の変動幅Ipp(=Imax−Imin)を、LEDに流れる電流の平均値Iaで除したリプル率(Ipp/Ia)が0.59以下となるように、出力コンデンサC2の容量を設定する。このことにより、図1の回路で得られる光出力は、平坦な直流電圧から流れる電流で得られる光出力と殆ど差が無くなる。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の回路図を図2に示す。この実施形態では、図1のスイッチング電源回路部1をフライバック型のDC−DCコンバータ回路としたものであり、このDC−DCコンバータ回路は1次側の制御回路11と2次側の制御回路12により制御される。これらの回路とフィルタ回路部3を含めて直流電源ユニット4としている。
【0021】
LED発光部2は、4個のLED2a〜2dが搭載されており、LED2aからLED2dまでがアノードからカソードに直列につながれる構成となっている。LED2aのアノード側にはプラス、LED2dのカソード側にはマイナスの電圧が印加されることにより、各LED2a〜2dが発光する。LED2a〜2dの順方向電圧Vfの合計以上の電圧が印加されると、流れる電流の値に応じてLEDから光束を得ることが出来る。順方向電圧Vfは通常略3.5Vのため、4個直列に接続するのであれば、4×3.5V以上の直流電圧において点灯させることが出来る。
【0022】
直流電源ユニット4の出力コネクタCON2とLED発光部2は一対のリード線5で接続されている。直流電源ユニット4の入力コネクタCON1は、商用交流電源Vsからの交流電源電圧(例えば、AC100V、50/60Hz)に接続される。
【0023】
商用交流電源Vsに直流電源ユニット4のフィルタ回路部3が接続される。フィルタ回路部3はヒューズFUSE、コンデンサC3、ラインフィルタLFからなり、商用交流電源Vsの一端にヒューズFUSEが直列接続され、商用交流電源Vsの他端とヒューズFUSEの出力端と並列にコンデンサC3、ラインフィルタLFが接続される。
【0024】
フィルタ回路部3の出力には全波整流器DBとコンデンサC1が並列接続され、コンデンサC1と並列にトランスT1とスイッチング素子Q1の直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1の両端には並列にコンデンサC4が接続されている。トランスT1の2次巻線側には高電位側にダイオードD1が接続され、コンデンサC2、出力コネクタCON2がダイオードD1を介して並列に接続されており、出力コネクタCON2の低電位側とコンデンサC2の負極の間には出力電流Ioを電圧値に変換する抵抗器R1が接続されている。
【0025】
第1の制御回路11はトランスT1の1次側に設けられ、フィードバック端子FBからの入力値によりスイッチング素子Q1のスイッチング信号を出力している。また、第2の制御回路12はトランスT1の2次側に設けられ、出力電流Ioを抵抗器R1により電圧に変換した値を入力とし、フィードバック信号を生成している。この第2の制御回路12の出力にはフォトカプラPC1の発光素子が接続され、そのフォトカプラPC1の受光素子には第1の制御回路11のフィードバック入力端子FBが接続されている。
【0026】
以下、回路動作について説明する。このDC−DCコンバータ回路は、いわゆるフライバック型の直流電源装置であり、スイッチング素子Q1に並列接続されたコンデンサC4を持つ部分共振型である。商用交流電源Vsから入力された電圧は入力コネクタCON1を介しフィルタ回路部3を経て全波整流器DBにて全波整流される。全波整流された電圧はコンデンサC1を介してトランスT1とスイッチング素子Q1との直列回路に印加される。このときの印加電圧波形はコンデンサC1の容量が0.47μFと設定されているため、ほぼ全波整流の脈流電圧となる。つまり、全波整流された電圧はコンデンサC1では平滑化されず、全波波形の脈流電圧がトランスT1とスイッチング素子Q1との直列回路に印加される。スイッチング素子Q1が閉じている場合、トランスT1には電流が流れるため磁気エネルギーとして充電され、スイッチング素子Q1が開放になった場合にはその磁気エネルギーを2次巻線、ダイオードD1を介して出力側に放出される。
【0027】
その出力電圧はコンデンサC2によりリプル率が0.59以下となるまで平滑化され、出力コネクタCON2を介して出力される。直流電源ユニット4から出力される電圧はLED発光部2に供給され、各LED2a〜2dの順方向電圧Vfの合計以上の電圧になった場合に各LED2a〜2dは点灯する。
【0028】
ここで、コンデンサC1の容量は0.47μFであるため、トランスT1の出力電圧も脈流波形となる。これをそのままLED発光部2に印加すると、LED発光部2内のLED2a〜2dの順電圧Vfの総和以上の電圧のときのみ発光するため、リプルがないときと比べて光出力が小さくなってしまう。そこで、コンデンサC2の容量はコンデンサC1の容量に比べて大きく、220μFとしている。このとき、出力電流のリプル率(電流の変動幅Ipp、つまり最大電流値Imax−最小電流値Iminを平均電流値Iaで除したもの)は0.59以下としている。
【0029】
図3は本実施形態の動作波形であり、Ch1は出力電流波形、Ch2は入力電流波形、Ch3はコンデンサC1の両端電圧波形である。Ch1は50mA/10mVレンジにて測定しており、電流の変動幅Ippは70mApp(波形の中の△が変動幅Ippを示しており、△:14mVのため、14mV×50mA/10mVで70mApp)となる。また、平均電流値は179mAであるので、リプル率は0.39で0.59以下としている。
【0030】
各LED2a〜2dに流れた電流は出力コネクタCON2を介し抵抗器R1に流れ、抵抗器R1は電流に応じた電圧を発生する。この電圧を第2の制御回路12における制御用集積回路IC2(例えば新日本無線社製のNJM2146)のIN端子でモニタし、基準電圧端子REFの基準電圧と比較演算され、これによりLED2a〜2dに流れる電流に応じた第2の制御回路12のOUT端子の出力が決定する。この出力により、制御電圧Vccに接続されたフォトカプラPC1の発光素子に流れる電流が決まる。フォトカプラPC1内の受光素子から、第1の制御回路11の制御用集積回路IC1(例えば新電元社製のMR1722)のフィードバック端子FBに制御電圧が帰還入力される。このとき、フィードバック端子FBに入力された制御電圧に応じてスイッチング素子Q1のON幅を決定する。このように動作することにより、LED2a〜2dに流れる電流を一定にする制御を行う。
【0031】
尚、その他の構成について述べておくと、第1の制御回路11の電源Vccは全波整流後の電圧ラインから抵抗R8を介してツェナーダイオードZD1のツェナー電圧で規制された電圧が供給される。当然、制御回路11の不動作電圧以下にならない。また、第1の制御回路11のZC端子はゼロクロス端子であり、トランスT1のエネルギー放出をモニタし、スイッチング素子Q1が不連続モードで動作するようにしている。
【0032】
このような動作をすることにより従来の回路に比べ安価で高調波規制を満足でき、かつLEDの絶対最大定格電流を超えることなく、直流平滑電圧で点灯させた場合に比べて光出力の低下を抑えることができる。
【0033】
なお、この実施形態においてはフライバック型の直流電源にて説明を行ったが、もちろん直流電源はどのようなタイプであっても直流電圧を出力するものであれば同様な効果が得られる。また、LED発光部2においても4個直列のLED接続について説明したが、個数には関係なくアノードとカソードの方向さえ一致していれば並列接続しても構わない。
【0034】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の回路図を図4に示す。この実施形態では、図1のスイッチング電源回路部1を非絶縁型の降圧チョッパ回路としたものである。先述の実施形態1と同様の回路の説明は省略する。コンデンサC1はこの実施形態でも0.47μFに設定している。この回路ではパワースイッチング素子を兼ねた制御回路IC3(例えば松下電器産業株式会社製造のMIP552)により制御され、降圧チョッパ回路として動作する。
【0035】
コンデンサC1の両端にLED2a〜2dの直列回路からなるLED発光部2とチョークL1と制御回路IC3の出力端子Qとグランド端子G間が直列に接続されている。出力端子Qは制御回路IC3の内部でスイッチング用のMOSFETのドレイン端子に接続されている。グランド端子Gは制御回路IC3の内部でスイッチング用のMOSFETのソース端子に接続されている。
【0036】
また、LED発光部2とチョークL1の直列回路にダイオードD1が並列接続されており、コンデンサC2がLED発光部2と並列に接続されている。ダイオードD1のカソード側はコンデンサC2の正極側に接続され、アノード側はチョークL1を介してコンデンサC2の負極側に接続されている。
【0037】
制御回路IC3の周辺には、制御部品として抵抗R2,R3,R8、コンデンサC5〜C7が接続されている。制御回路IC3のVdd端子は外部基準電圧端子であり、この端子の雑音防止用にコンデンサC5が接続されている。制御回路IC3のEX端子はLED発光部2への出力電流の大きさを決める端子であり、Vdd端子と回路グランド(グランド端子G)の間に抵抗R2と抵抗R3が直列接続され、その分圧電圧がEX端子に印加されている。コンデンサC6は上述のコンデンサC5と同様、雑音防止用のコンデンサである。
【0038】
Vin端子は商用交流電源Vsが投入された後、全波整流後の電源ラインからこの端子を介して制御回路IC3に制御電源を供給する端子である。コンデンサC7はコンデンサC5、C6と同じく雑音防止用のコンデンサである。
【0039】
コンデンサC2は実施形態1と同様、LED2a〜2dに流れる電流のリプル率が0.59以下となる容量に設定される。ここでは、コンデンサC2の容量は100μFとしている。
【0040】
回路動作としては、まず商用交流電源Vsから入力された電圧は入力コネクタCON1を介しフィルタ回路部3を経て全波整流器DBにて全波整流される。全波整流された電圧はコンデンサC1を介してLED発光部2とコンデンサC2の並列回路とチョークL1と制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間の直列回路に印加される。
【0041】
商用交流電源Vsの投入直後は、制御回路IC3のVin端子から制御電源が制御回路IC3に供給され、Vdd端子の電圧が所定の電圧に達したときに発振を開始する。制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間の電圧がほぼ0のとき、つまり内部のスイッチング素子がON状態のときは、制御回路IC3を介して全波整流器DBの出力電圧がLED発光部2とコンデンサC2の並列回路とチョークL1の直列回路に印加され、LED発光部2のLED2a〜2dが点灯する。このときの全波整流後の波形はコンデンサC1の容量が0.47μFと小さく設定されているため、ほぼ全波整流の脈流電圧となる。
【0042】
上述のON状態の時間幅は制御回路IC3の内部で設定される閾値電圧で決定される。制御回路IC3の内部で出力端子Q−グランド端子G間に流れる電流を電圧に変換し、その電圧が前記閾値電圧に達すると、制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間が開放状態(つまり内部のスイッチング素子がOFF状態)となる。このとき、チョークL1の蓄積エネルギーによる逆起電力にてダイオードD1を介してコンデンサC2とLED発光部2の並列回路に回生電流が流れて、LED2a〜2dの点灯状態を維持する。ON区間とOFF区間を合算した周期T、つまりその逆数のスイッチング周波数は、この制御回路IC3では数十kHzに固定されているため、OFF状態からON状態へは強制的に移行する。
【0043】
また、制御回路IC3の出力端子Q−グランド端子G間がON状態になる時間幅を設定するための閾値電圧はEX端子の分圧電圧により変えることができる。このEX端子の電圧を変更することによりLED発光部2のLEDに流れる電流を設定し、所望の光出力を得ることができる。
【0044】
図5は本実施形態の動作波形であり、Ch1は出力電流波形、Ch4はコンデンサC2の両端電圧波形である。Ch1は50mA/10mVのレンジで測定しており、電流の変動幅Ippは101mApp(図中の△が変動幅Ippを示しており、△:20.2mVのため、20.2mV×50mA/10mVで101mApp)となる。また、平均電流値は170mAであるため、LED2a〜2dに流れる電流のリプル率は0.59となる。
【0045】
市販の直流電源装置(例えば、(株)テクシオPA80−1B)でLED発光部2に印加されて流れる直流平滑電流で得られる光出力φdcと、リプル率を変化させたときの光出力φlとの比(DC光束比=φl/φdc)の関係を図6に示す。リプル率を0.59以下に設定することで、DC光束比をほぼ1とすることができ、直流平滑電圧で点灯させた場合に比べて光出力の低下を抑えることができる。
【0046】
以上のように、コンデンサC1の容量値を1μF未満に設定することにより、高調波ガイドラインの規定を満足することができ、なおかつ、コンデンサC2の容量値をLED発光部2に流れる電流のリプル率が0.59以下となるように設定することにより、直流平滑電圧で点灯した場合の光出力と殆ど変わらない光出力を得ることができる。
【0047】
また、実施形態1,2に共通して言えることであるが、コンデンサC1の容量値を下げることで、電源投入時に発生する突入電流を小さくすることができるため、LED照明器具の並列台数の制限に関しても有利になる。
【0048】
(実施形態3)
図7は実施形態1または2のLED点灯装置を用いた電源別置型LED照明器具の構成を示している。器具筐体7は、下端開放された金属製の円筒体よりなり、下端開放部は光拡散板8で覆われている。この光拡散板8に対向するように、LED発光部2が配置されている。21はLED実装基板であり、LED発光部2のLED2a〜2dを実装している。器具筐体7は天井9に埋め込まれており、天井裏に配置された直流電源ユニット4からリード線5とコネクタ6を介して配線されている。
【0049】
(実施形態4)
図8は実施形態1または2のLED点灯装置を用いた電源内蔵型LED照明器具の構成を示している。21はLED実装基板であり、LED発光部2のLED2a〜2dを実装している。41は電源回路基板であり、図2または図4の直流電源ユニット4の電子部品を実装している。LED発光部2は、器具筐体7内において放熱板71に接触するように設置されており、LED2a〜2dの発生する熱を器具筐体7に逃がすようになっている。また、LED発光部2と直流電源ユニット4は、この放熱板71に設けられた穴を介して、リード線5で接続されている。放熱板71はアルミ板や銅板のような金属板であり、放熱効果と遮蔽効果を兼ねている。放熱板71は器具筐体7に電気的に接続されてアースされるが、リード線5のプラス側ならびにマイナス側とは電気的に分離された非充電部となっている。
【0050】
このように、点灯装置を器具筐体7に内蔵することにより、LED発光部2への配線を外部から触れないことから、配線の引き回しが一定となり、雑音性能が安定するという効果がある。
【符号の説明】
【0051】
Vs 商用交流電源
DB 全波整流器
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
1 スイッチング電源回路部
2 LED発光部
3 フィルタ回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を全波整流する全波整流器と、前記全波整流器の出力端に並列接続される第1のコンデンサと、前記第1のコンデンサに入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部と、前記スイッチング電源回路部の出力端に接続されるLED発光部と、前記LED発光部に並列接続される第2のコンデンサとを備え、前記第1のコンデンサの容量が1μF未満であり、前記第2のコンデンサは前記LED発光部に流れる電流のリプル率が0.59以下になる容量に設定されたことを特徴とするLED点灯装置。
【請求項1】
商用交流電源を全波整流する全波整流器と、前記全波整流器の出力端に並列接続される第1のコンデンサと、前記第1のコンデンサに入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部と、前記スイッチング電源回路部の出力端に接続されるLED発光部と、前記LED発光部に並列接続される第2のコンデンサとを備え、前記第1のコンデンサの容量が1μF未満であり、前記第2のコンデンサは前記LED発光部に流れる電流のリプル率が0.59以下になる容量に設定されたことを特徴とするLED点灯装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−182155(P2012−182155A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−143753(P2012−143753)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2007−309225(P2007−309225)の分割
【原出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2007−309225(P2007−309225)の分割
【原出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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