LED照明制御システム
【課題】LED照明装置からの輻射ノイズを抑えつつLED照明装置の調光を簡易な構成で制御することができるLED照明制御システムを提供すること。
【解決手段】少なくとも一つのLEDを備えるLED照明装置と、LED照明装置の調光制御を行う調光制御ユニットとを有し、調光制御ユニットが、ユーザの操作に応じた調光制御信号を生成する調光制御信号生成手段と、生成された調光制御信号と、調光制御信号に同期した同期クロックを交流電力線に重畳してLED照明装置に伝送する信号重畳手段とを備え、LED照明装置が、調光制御ユニットから伝送された交流電力線に重畳された同期クロックに基づいて調光制御信号を交流電力線から復調する復調手段と、復調された調光制御信号に基づいてLEDの調光を行う調光制御手段とを備える。
【解決手段】少なくとも一つのLEDを備えるLED照明装置と、LED照明装置の調光制御を行う調光制御ユニットとを有し、調光制御ユニットが、ユーザの操作に応じた調光制御信号を生成する調光制御信号生成手段と、生成された調光制御信号と、調光制御信号に同期した同期クロックを交流電力線に重畳してLED照明装置に伝送する信号重畳手段とを備え、LED照明装置が、調光制御ユニットから伝送された交流電力線に重畳された同期クロックに基づいて調光制御信号を交流電力線から復調する復調手段と、復調された調光制御信号に基づいてLEDの調光を行う調光制御手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)照明装置の調光を遠隔操作等によって行うLED照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
疑似白色LEDの出現と技術進歩に伴う発光効率の向上に伴い、LEDを光源に用いた照明装置の製品化に向けた各種試みがなされている。LEDを光源として用いることにより、従来光源として多用されてきた白熱電球よりも、高いエネルギー効率を実現することができ、さらに装置の小型化・軽量化や長寿命化が可能となる。
【0003】
この種のLED照明装置の具体的構成は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1には、外部壁スイッチや制御装置などの調光器からLED照明装置に調光制御信号を送信することで、LED照明装置の調光を遠隔操作することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−142137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1において、調光制御信号をLED照明装置に送信するためには、電源ラインとは別の信号ラインを配線する必要がある。この種の信号ラインの増設を避けるには、PLC(Power Line Communication)やPLT(Power Line Telecommunication)などの電力線搬送通信技術を利用することが考えられる。かかる技術を適用してLED照明制御システムを構築した場合、調光制御信号が電源ラインに重畳されてLED照明装置に送信されるため、調光制御信号用の信号ラインが不要となる。
【0006】
しかし、電力線搬送通信技術を適用してLED照明制御システムを構築した場合、調光制御信号を復調するための、LED照明装置内のクロックジェネレータがノイズ発生源となり、ラジオやテレビなどの他の機器に影響を与えるという問題が指摘される。ここで、輻射ノイズ対策としてしばしば行なわれる方法は、ノイズ源を金属網等でシールドし、これを接地する方法であるが、LED照明装置は、構造上、この種のノイズ対策を施すことが難しく、簡単には採用できない対策である。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、LED照明装置からの輻射ノイズを抑えつつLED照明装置の調光を簡易な構成で制御することができるLED照明制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係るLED照明制御システムは、少なくとも一つのLEDを備えるLED照明装置と、LED照明装置の調光制御を行う調光制御ユニットとを有するシステムである。かかる調光制御ユニットは、ユーザの操作に応じた調光制御信号を生成する調光制御信号生成手段と、生成された調光制御信号と、調光制御信号に同期した同期クロックを交流電力線に重畳してLED照明装置に伝送する信号重畳手段とを有する。一方、LED照明装置は、調光制御ユニットから伝送された交流電力線に重畳された同期クロックに基づいて調光制御信号を交流電力線から復調する復調手段と、復調された調光制御信号に基づいてLEDの調光を行う調光制御手段とを有する。
【0009】
本発明によれば、電力線を利用して調光制御信号を送信する場合であっても、受信側(LED照明装置側)にクロックジェネレータを設置することなく、LEDの輝度や色調を簡易な構成で制御することができる。輻射ノイズ発生源となるクロックジェネレータがLED照明装置に設置されないため、ラジオやテレビなどの他の機器へのノイズ混入等が有効に避けられる。
【0010】
信号重畳手段は、交流電力線の半波毎に、調光制御信号及び同期クロックを重畳する構成としてもよい。この場合、復調手段は、交流電力線の半波毎に、同期クロックに基づく調光制御信号の復調を行い、調光制御手段は、交流電力線の半波毎に、復調された調光制御信号に基づくLEDの調光を行う。
【0011】
調光制御ユニットは、一部の交流電力線を整流して脈流を生成する脈流生成手段を有する構成としてもよい。この場合、信号重畳手段は、生成された各脈流を検出し、各脈流の検出タイミングに基づいて、交流電力線の各半波中に調光制御信号及び同期クロックを重畳する。
【0012】
本発明においては、調光制御信号を構成する各ビットに対して複数の同期クロックが割り当てられていてもよい。この場合、復調手段は、各ビットに対し、N(N≧1)番目に割り当てられた同期クロックに同期する値を読み取り、読み取った各ビットの値を復調結果として得る。
【0013】
また、調光制御ユニットは、交流電力線の入力端から調光制御ユニットの外部への調光制御信号及び同期クロックへの送出を遮断する遮断手段を有する構成としてもよい。
【0014】
かかる遮断手段は、調光制御ユニットに供給される交流電力線に含まれるノイズをカットする構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、LED照明装置からの輻射ノイズを抑えつつLED照明装置の調光を簡易な構成で制御することができるLED照明制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るLED照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るLED照明制御システムの動作を説明するための各種波形を示す図である。
【図3】図2の同期クロック、及び調光制御信号をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るLED照明制御システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るLED照明制御システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、LED照明制御システム1は、調光制御ユニット10及びLED照明装置20を備えている。
【0019】
調光制御ユニット10は、ノイズカットフィルタ11を備えている。ノイズカットフィルタ11は、交流入力を次段の重畳回路12及び全波整流回路13に流しつつ交流入力に含まれる外部ノイズをカットするとともに、LED照明制御システム1内の回路から外部への出力を遮断する。外部ノイズが遮断された交流入力は、主に重畳回路12に入力し、一部が全波整流回路13に入力する。
【0020】
また、LED照明制御システム1は、操作パネル14を備えている。操作パネル14は、例えば壁等に埋設された備え付けパネルである。操作パネル14には、電源スイッチの他、輝度や色調等を調節する調光用のボリュームスイッチが設置されている。操作パネル14からは、ユーザによる輝度や色調等の調節操作に応じた操作信号が出力され、次段の信号処理回路16に入力する。なお、操作パネル14は、備え付けパネルに限らず、リモートコントローラであってもよい。
【0021】
全波整流回路13への交流入力は、全波整流された後、次段の安定化回路15で安定化されて、信号処理回路16に入力する。図2(a)は、安定化回路15の出力波形を示す。信号処理回路16は、安定化回路15からの全波整流信号の各脈流の動作開始電圧を検出する。ここで、動作開始電圧とは、LEDが安定して点灯するのに必要な電圧レベルであり、図2(a)中、閾値tsに達したときの電圧を指す。
【0022】
信号処理回路16は、操作パネル14からの操作信号に基づいて例えば数十ビットの調光制御信号を生成する。調光制御信号は、例えばRZ(Return to Zero)方式で生成される。RZ方式を採用した場合、ビット間でゼロ電圧に戻るため、タイミングを取りやすいメリットがある。信号処理回路16は、全波整流信号の脈流毎に、動作開始電圧を検出し、全波整流信号のレベルが閾値ts以上の期間(図2(b)に示す「動作期間」)中、所定の発振回路で生成した同期クロック(図2(c)参照)と、調光制御信号(図2(d)参照)を重畳回路12に別個且つ同時に出力する。
【0023】
図3(a)、(b)は、それぞれ、同期クロック、調光制御信号の一例である。同期クロックは、調光制御信号の各ビットに対して複数(本実施形態では三つ)割り当てられる。本実施形態では、三つ中二つ目の同期クロックに同期する値が調光制御信号を構成する。図3(a)、(b)の例では、調光制御信号は、「1、1、・・・」となる。一つ目の同期クロックに同期する値を適用しないのは(言い換えると、2つ目以降の同期クロックに同期する値を適用するのは)、同期ズレによる復調エラーを避けるためである。但し、別の実施形態では、一つ目の同期クロックに同期する値を適用してもよい。
【0024】
重畳回路12は、ノイズカットフィルタ11を介して供給される交流電圧の各半波の、動作期間(図2(b)参照)に対応する期間中、信号処理回路16から出力された同期クロック(図2(c)参照)及び調光制御信号(図2(d)参照)を交流電圧に重畳する。同期クロックと調光制御信号の重畳には、交流電圧よりも高周波で且つ互いに異なる搬送波が使用される。信号重畳後の交流電圧は、単一の交流電力線を介して、操作パネル14から離れた位置(例えば天上など)に設置されたLED照明装置20に伝送される。
【0025】
LED照明装置20は、分離用フィルタ21を備えている。分離用フィルタ21には、調光制御ユニット10(重畳回路12)から伝送される交流電圧が入力する。分離用フィルタ21は、交流電圧を電源回路22に出力するとともに、周波数が互いに異なる搬送波で搬送された交流電圧中の同期クロックと調光制御信号をそれぞれ分離して、LED駆動回路23に出力する。
【0026】
電源回路22は、例えば、分離用フィルタ21を介して調光制御ユニット10(重畳回路12)から伝送される交流電圧を全波整流する単純な全波整流回路であり、その出力段にはLED駆動回路23が接続されている。
【0027】
LED駆動回路23の出力段には、LED照明装置20の発光領域全体にアレイ状に設置された複数のLED24が接続されている。LED駆動回路23は、電源回路22からの電力供給(電力波形は図2(a)を援用して示す。)により各LED24に駆動電流を供給し、各LED24を発光させる。より詳細には、LED駆動回路23は、分離用フィルタ21で分離された同期クロックと調光制御信号に従い、各LED24の発光を制御する。LED駆動回路23は、調光制御信号の各ビット(図3(b)参照)に対して割り当てられた三つ中二つ目の同期クロック(図3(a)参照)に同期する値を読み取り、読み取った値に応じて各LED24の輝度や色調を発光制御する。
【0028】
各LED24は、各脈流の閾値ts以上の電圧が印加されている期間中(動作期間(図2(b)参照)に対応する期間中)発光し、それ以外の期間は消灯する。すなわち、各LED24は、交流電圧の2倍の周波数で点滅する。しかし、かかる点滅速度に人間の眼は追従できないため、人間の眼には、各LED24が連続的に点灯しているように映る。なお、各LED24は、例えば高視感度の黄色に蛍光する蛍光体と、青色LED(又は紫外発光LED)とを組み合わせた擬似白色LEDである。別の実施形態では、RGBの三色方式による白色LEDに置き換えてもよい。
【0029】
ところで、LED駆動回路23への電力供給は、図2(a)に示されるように、脈流毎に途絶える。そのため、LED駆動回路23が復調した輝度や色調の情報は、脈流毎にリセットされる。しかし、調光制御信号(図2(d)参照)は各脈流に対して重畳伝送されているため、LED駆動回路23は、輝度や色調の情報が一旦リセットされても、次の脈流の調光制御信号の値を読み取ることにより、操作パネル14の操作に応じた適切な輝度や色調で各LED24を発光制御することができる。
【0030】
このように、本実施形態では、電力線を利用して調光制御信号を送信する場合であっても、受信側(LED照明装置20側)にクロックジェネレータを設置することなく、LED24の輝度や色調を簡易な構成で制御することができる。輻射ノイズ発生源となるクロックジェネレータがLED照明装置20に設置されないため、ラジオやテレビなどの他の機器へのノイズ混入等が有効に避けられる。
【0031】
また、LED照明装置20内の電源回路22は、上記の通り、簡素な回路構成で足りる。電源回路22には、電解コンデンサからなる平滑回路すら不要である。比較的寿命の短い電解コンデンサを電源回路内に実装する必要がないため、LED照明装置20の長寿命化に有利である。また、電源回路22は、スイッチング電源でもないため、輻射ノイズが少ない。なお、簡素な構成を採用した代償として、輝度や色調の情報は脈流毎にリセットされ、保持することができない。しかしながら、本実施形態では、このリセットを有効利用している。具体的には、LED駆動回路23において、復調エラーが一つの脈流で発生し、操作パネル14の操作に則さない輝度変化等が起こった場合であっても、脈流終了時にリセットされるため、次の脈流で復調が正常であれば適正な輝度変化等が行われる。すなわち、復調エラーによる不具合が、人間の眼に知覚されることなく、直ぐさま解消され得る。
【0032】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば本実施形態では、調光制御信号の各ビットに対して三つの同期クロックを割り当てているが、別の実施形態では、一つの同期クロックだけを割り当ててもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 LED照明制御システム
10 調光制御ユニット
11 ノイズカットフィルタ
12 重畳回路
13 全波整流回路
14 操作パネル
15 安定化回路
16 信号処理回路
20 LED照明装置
21 分離用フィルタ
22 電源回路
23 LED駆動回路
24 LED
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)照明装置の調光を遠隔操作等によって行うLED照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
疑似白色LEDの出現と技術進歩に伴う発光効率の向上に伴い、LEDを光源に用いた照明装置の製品化に向けた各種試みがなされている。LEDを光源として用いることにより、従来光源として多用されてきた白熱電球よりも、高いエネルギー効率を実現することができ、さらに装置の小型化・軽量化や長寿命化が可能となる。
【0003】
この種のLED照明装置の具体的構成は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1には、外部壁スイッチや制御装置などの調光器からLED照明装置に調光制御信号を送信することで、LED照明装置の調光を遠隔操作することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−142137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1において、調光制御信号をLED照明装置に送信するためには、電源ラインとは別の信号ラインを配線する必要がある。この種の信号ラインの増設を避けるには、PLC(Power Line Communication)やPLT(Power Line Telecommunication)などの電力線搬送通信技術を利用することが考えられる。かかる技術を適用してLED照明制御システムを構築した場合、調光制御信号が電源ラインに重畳されてLED照明装置に送信されるため、調光制御信号用の信号ラインが不要となる。
【0006】
しかし、電力線搬送通信技術を適用してLED照明制御システムを構築した場合、調光制御信号を復調するための、LED照明装置内のクロックジェネレータがノイズ発生源となり、ラジオやテレビなどの他の機器に影響を与えるという問題が指摘される。ここで、輻射ノイズ対策としてしばしば行なわれる方法は、ノイズ源を金属網等でシールドし、これを接地する方法であるが、LED照明装置は、構造上、この種のノイズ対策を施すことが難しく、簡単には採用できない対策である。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、LED照明装置からの輻射ノイズを抑えつつLED照明装置の調光を簡易な構成で制御することができるLED照明制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係るLED照明制御システムは、少なくとも一つのLEDを備えるLED照明装置と、LED照明装置の調光制御を行う調光制御ユニットとを有するシステムである。かかる調光制御ユニットは、ユーザの操作に応じた調光制御信号を生成する調光制御信号生成手段と、生成された調光制御信号と、調光制御信号に同期した同期クロックを交流電力線に重畳してLED照明装置に伝送する信号重畳手段とを有する。一方、LED照明装置は、調光制御ユニットから伝送された交流電力線に重畳された同期クロックに基づいて調光制御信号を交流電力線から復調する復調手段と、復調された調光制御信号に基づいてLEDの調光を行う調光制御手段とを有する。
【0009】
本発明によれば、電力線を利用して調光制御信号を送信する場合であっても、受信側(LED照明装置側)にクロックジェネレータを設置することなく、LEDの輝度や色調を簡易な構成で制御することができる。輻射ノイズ発生源となるクロックジェネレータがLED照明装置に設置されないため、ラジオやテレビなどの他の機器へのノイズ混入等が有効に避けられる。
【0010】
信号重畳手段は、交流電力線の半波毎に、調光制御信号及び同期クロックを重畳する構成としてもよい。この場合、復調手段は、交流電力線の半波毎に、同期クロックに基づく調光制御信号の復調を行い、調光制御手段は、交流電力線の半波毎に、復調された調光制御信号に基づくLEDの調光を行う。
【0011】
調光制御ユニットは、一部の交流電力線を整流して脈流を生成する脈流生成手段を有する構成としてもよい。この場合、信号重畳手段は、生成された各脈流を検出し、各脈流の検出タイミングに基づいて、交流電力線の各半波中に調光制御信号及び同期クロックを重畳する。
【0012】
本発明においては、調光制御信号を構成する各ビットに対して複数の同期クロックが割り当てられていてもよい。この場合、復調手段は、各ビットに対し、N(N≧1)番目に割り当てられた同期クロックに同期する値を読み取り、読み取った各ビットの値を復調結果として得る。
【0013】
また、調光制御ユニットは、交流電力線の入力端から調光制御ユニットの外部への調光制御信号及び同期クロックへの送出を遮断する遮断手段を有する構成としてもよい。
【0014】
かかる遮断手段は、調光制御ユニットに供給される交流電力線に含まれるノイズをカットする構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、LED照明装置からの輻射ノイズを抑えつつLED照明装置の調光を簡易な構成で制御することができるLED照明制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るLED照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るLED照明制御システムの動作を説明するための各種波形を示す図である。
【図3】図2の同期クロック、及び調光制御信号をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るLED照明制御システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るLED照明制御システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、LED照明制御システム1は、調光制御ユニット10及びLED照明装置20を備えている。
【0019】
調光制御ユニット10は、ノイズカットフィルタ11を備えている。ノイズカットフィルタ11は、交流入力を次段の重畳回路12及び全波整流回路13に流しつつ交流入力に含まれる外部ノイズをカットするとともに、LED照明制御システム1内の回路から外部への出力を遮断する。外部ノイズが遮断された交流入力は、主に重畳回路12に入力し、一部が全波整流回路13に入力する。
【0020】
また、LED照明制御システム1は、操作パネル14を備えている。操作パネル14は、例えば壁等に埋設された備え付けパネルである。操作パネル14には、電源スイッチの他、輝度や色調等を調節する調光用のボリュームスイッチが設置されている。操作パネル14からは、ユーザによる輝度や色調等の調節操作に応じた操作信号が出力され、次段の信号処理回路16に入力する。なお、操作パネル14は、備え付けパネルに限らず、リモートコントローラであってもよい。
【0021】
全波整流回路13への交流入力は、全波整流された後、次段の安定化回路15で安定化されて、信号処理回路16に入力する。図2(a)は、安定化回路15の出力波形を示す。信号処理回路16は、安定化回路15からの全波整流信号の各脈流の動作開始電圧を検出する。ここで、動作開始電圧とは、LEDが安定して点灯するのに必要な電圧レベルであり、図2(a)中、閾値tsに達したときの電圧を指す。
【0022】
信号処理回路16は、操作パネル14からの操作信号に基づいて例えば数十ビットの調光制御信号を生成する。調光制御信号は、例えばRZ(Return to Zero)方式で生成される。RZ方式を採用した場合、ビット間でゼロ電圧に戻るため、タイミングを取りやすいメリットがある。信号処理回路16は、全波整流信号の脈流毎に、動作開始電圧を検出し、全波整流信号のレベルが閾値ts以上の期間(図2(b)に示す「動作期間」)中、所定の発振回路で生成した同期クロック(図2(c)参照)と、調光制御信号(図2(d)参照)を重畳回路12に別個且つ同時に出力する。
【0023】
図3(a)、(b)は、それぞれ、同期クロック、調光制御信号の一例である。同期クロックは、調光制御信号の各ビットに対して複数(本実施形態では三つ)割り当てられる。本実施形態では、三つ中二つ目の同期クロックに同期する値が調光制御信号を構成する。図3(a)、(b)の例では、調光制御信号は、「1、1、・・・」となる。一つ目の同期クロックに同期する値を適用しないのは(言い換えると、2つ目以降の同期クロックに同期する値を適用するのは)、同期ズレによる復調エラーを避けるためである。但し、別の実施形態では、一つ目の同期クロックに同期する値を適用してもよい。
【0024】
重畳回路12は、ノイズカットフィルタ11を介して供給される交流電圧の各半波の、動作期間(図2(b)参照)に対応する期間中、信号処理回路16から出力された同期クロック(図2(c)参照)及び調光制御信号(図2(d)参照)を交流電圧に重畳する。同期クロックと調光制御信号の重畳には、交流電圧よりも高周波で且つ互いに異なる搬送波が使用される。信号重畳後の交流電圧は、単一の交流電力線を介して、操作パネル14から離れた位置(例えば天上など)に設置されたLED照明装置20に伝送される。
【0025】
LED照明装置20は、分離用フィルタ21を備えている。分離用フィルタ21には、調光制御ユニット10(重畳回路12)から伝送される交流電圧が入力する。分離用フィルタ21は、交流電圧を電源回路22に出力するとともに、周波数が互いに異なる搬送波で搬送された交流電圧中の同期クロックと調光制御信号をそれぞれ分離して、LED駆動回路23に出力する。
【0026】
電源回路22は、例えば、分離用フィルタ21を介して調光制御ユニット10(重畳回路12)から伝送される交流電圧を全波整流する単純な全波整流回路であり、その出力段にはLED駆動回路23が接続されている。
【0027】
LED駆動回路23の出力段には、LED照明装置20の発光領域全体にアレイ状に設置された複数のLED24が接続されている。LED駆動回路23は、電源回路22からの電力供給(電力波形は図2(a)を援用して示す。)により各LED24に駆動電流を供給し、各LED24を発光させる。より詳細には、LED駆動回路23は、分離用フィルタ21で分離された同期クロックと調光制御信号に従い、各LED24の発光を制御する。LED駆動回路23は、調光制御信号の各ビット(図3(b)参照)に対して割り当てられた三つ中二つ目の同期クロック(図3(a)参照)に同期する値を読み取り、読み取った値に応じて各LED24の輝度や色調を発光制御する。
【0028】
各LED24は、各脈流の閾値ts以上の電圧が印加されている期間中(動作期間(図2(b)参照)に対応する期間中)発光し、それ以外の期間は消灯する。すなわち、各LED24は、交流電圧の2倍の周波数で点滅する。しかし、かかる点滅速度に人間の眼は追従できないため、人間の眼には、各LED24が連続的に点灯しているように映る。なお、各LED24は、例えば高視感度の黄色に蛍光する蛍光体と、青色LED(又は紫外発光LED)とを組み合わせた擬似白色LEDである。別の実施形態では、RGBの三色方式による白色LEDに置き換えてもよい。
【0029】
ところで、LED駆動回路23への電力供給は、図2(a)に示されるように、脈流毎に途絶える。そのため、LED駆動回路23が復調した輝度や色調の情報は、脈流毎にリセットされる。しかし、調光制御信号(図2(d)参照)は各脈流に対して重畳伝送されているため、LED駆動回路23は、輝度や色調の情報が一旦リセットされても、次の脈流の調光制御信号の値を読み取ることにより、操作パネル14の操作に応じた適切な輝度や色調で各LED24を発光制御することができる。
【0030】
このように、本実施形態では、電力線を利用して調光制御信号を送信する場合であっても、受信側(LED照明装置20側)にクロックジェネレータを設置することなく、LED24の輝度や色調を簡易な構成で制御することができる。輻射ノイズ発生源となるクロックジェネレータがLED照明装置20に設置されないため、ラジオやテレビなどの他の機器へのノイズ混入等が有効に避けられる。
【0031】
また、LED照明装置20内の電源回路22は、上記の通り、簡素な回路構成で足りる。電源回路22には、電解コンデンサからなる平滑回路すら不要である。比較的寿命の短い電解コンデンサを電源回路内に実装する必要がないため、LED照明装置20の長寿命化に有利である。また、電源回路22は、スイッチング電源でもないため、輻射ノイズが少ない。なお、簡素な構成を採用した代償として、輝度や色調の情報は脈流毎にリセットされ、保持することができない。しかしながら、本実施形態では、このリセットを有効利用している。具体的には、LED駆動回路23において、復調エラーが一つの脈流で発生し、操作パネル14の操作に則さない輝度変化等が起こった場合であっても、脈流終了時にリセットされるため、次の脈流で復調が正常であれば適正な輝度変化等が行われる。すなわち、復調エラーによる不具合が、人間の眼に知覚されることなく、直ぐさま解消され得る。
【0032】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば本実施形態では、調光制御信号の各ビットに対して三つの同期クロックを割り当てているが、別の実施形態では、一つの同期クロックだけを割り当ててもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 LED照明制御システム
10 調光制御ユニット
11 ノイズカットフィルタ
12 重畳回路
13 全波整流回路
14 操作パネル
15 安定化回路
16 信号処理回路
20 LED照明装置
21 分離用フィルタ
22 電源回路
23 LED駆動回路
24 LED
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのLEDを備えるLED照明装置と、該LED照明装置の調光制御を行う調光制御ユニットと、を有するLED照明制御システムであって、
前記調光制御ユニットは、
ユーザの操作に応じた調光制御信号を生成する調光制御信号生成手段と、
前記生成された調光制御信号と、該調光制御信号に同期した同期クロックを交流電力線に重畳して前記LED照明装置に伝送する信号重畳手段と、
を有し、
前記LED照明装置は、
前記伝送された交流電力線に重畳された同期クロックに基づいて前記調光制御信号を該交流電力線から復調する復調手段と、
前記復調された調光制御信号に基づいて前記LEDの調光を行う調光制御手段と、
を有することを特徴とする、LED照明制御システム。
【請求項2】
前記信号重畳手段は、前記交流電力線の半波毎に、前記調光制御信号及び前記同期クロックを重畳し、
前記復調手段は、前記交流電力線の半波毎に、前記同期クロックに基づく前記調光制御信号の復調を行い、
前記調光制御手段は、前記交流電力線の半波毎に、前記復調された調光制御信号に基づく前記LEDの調光を行うことを特徴とする、請求項1に記載のLED照明制御システム。
【請求項3】
前記調光制御ユニットは、
一部の前記交流電力線を整流して脈流を生成する脈流生成手段
を有し、
前記信号重畳手段は、前記生成された各脈流を検出し、各脈流の検出タイミングに基づいて、前記交流電力線の各半波中に前記調光制御信号及び前記同期クロックを重畳することを特徴とする、請求項2に記載のLED照明制御システム。
【請求項4】
前記調光制御信号を構成する各ビットに対して複数の前記同期クロックが割り当てられており、
前記復調手段は、前記各ビットに対し、N(N≧1)番目に割り当てられた同期クロックに同期する値を読み取り、読み取った各ビットの値を復調結果として得ることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のLED照明制御システム。
【請求項5】
前記調光制御ユニットは、
前記交流電力線の入力端から前記調光制御ユニットの外部への前記調光制御信号及び前記同期クロックへの送出を遮断する遮断手段
を有することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のLED照明制御システム。
【請求項6】
前記遮断手段は、前記調光制御ユニットに供給される前記交流電力線に含まれるノイズをカットすることを特徴とする、請求項5に記載のLED照明制御システム。
【請求項1】
少なくとも一つのLEDを備えるLED照明装置と、該LED照明装置の調光制御を行う調光制御ユニットと、を有するLED照明制御システムであって、
前記調光制御ユニットは、
ユーザの操作に応じた調光制御信号を生成する調光制御信号生成手段と、
前記生成された調光制御信号と、該調光制御信号に同期した同期クロックを交流電力線に重畳して前記LED照明装置に伝送する信号重畳手段と、
を有し、
前記LED照明装置は、
前記伝送された交流電力線に重畳された同期クロックに基づいて前記調光制御信号を該交流電力線から復調する復調手段と、
前記復調された調光制御信号に基づいて前記LEDの調光を行う調光制御手段と、
を有することを特徴とする、LED照明制御システム。
【請求項2】
前記信号重畳手段は、前記交流電力線の半波毎に、前記調光制御信号及び前記同期クロックを重畳し、
前記復調手段は、前記交流電力線の半波毎に、前記同期クロックに基づく前記調光制御信号の復調を行い、
前記調光制御手段は、前記交流電力線の半波毎に、前記復調された調光制御信号に基づく前記LEDの調光を行うことを特徴とする、請求項1に記載のLED照明制御システム。
【請求項3】
前記調光制御ユニットは、
一部の前記交流電力線を整流して脈流を生成する脈流生成手段
を有し、
前記信号重畳手段は、前記生成された各脈流を検出し、各脈流の検出タイミングに基づいて、前記交流電力線の各半波中に前記調光制御信号及び前記同期クロックを重畳することを特徴とする、請求項2に記載のLED照明制御システム。
【請求項4】
前記調光制御信号を構成する各ビットに対して複数の前記同期クロックが割り当てられており、
前記復調手段は、前記各ビットに対し、N(N≧1)番目に割り当てられた同期クロックに同期する値を読み取り、読み取った各ビットの値を復調結果として得ることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のLED照明制御システム。
【請求項5】
前記調光制御ユニットは、
前記交流電力線の入力端から前記調光制御ユニットの外部への前記調光制御信号及び前記同期クロックへの送出を遮断する遮断手段
を有することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のLED照明制御システム。
【請求項6】
前記遮断手段は、前記調光制御ユニットに供給される前記交流電力線に含まれるノイズをカットすることを特徴とする、請求項5に記載のLED照明制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−51137(P2013−51137A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188717(P2011−188717)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(310016795)株式会社ブリンツテクノロジー (17)
【出願人】(503455802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(310016795)株式会社ブリンツテクノロジー (17)
【出願人】(503455802)
【Fターム(参考)】
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