説明

LED照明装置

【課題】多用な配光調整を可能にしたLED照明装置を提供する。
【解決手段】照射方向前部に光源支持部10Fを設けたフレーム10Cに、照射対象となるナンバープレート2の幅方向に対応して配置された複数のLED11,11,…からなる照明部10Aと、この照明部10AのLED11,11,…をナンバープレート2の幅方向に傾けて、照明を上記幅方向に拡散させる配光調整部10Bとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば通行車両のナンバープレート読取装置に適用して好適な、複数のLEDを配置したLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通行車両のナンバープレートを照射する照明装置には、光源にハロゲンランプが適用されていた。近年、光量の大きい高寿命の照明用LEDが開発され、これに伴いLEDを多数配置したLED照明装置が適用されるに至った。このLED光源は直進性が強く、配光バランスの調整が難しいという問題があった。
【0003】
この種、ナンバープレートの照明装置として、従来では、光波長を特定したLED光源によりナンバープレート情報を読み取るナンバープレート読取装置、または、カメラとハロゲンランプを一体にしたユニットを駐車場のゲートバーに、バーの長さ方向に移動可能に取り付けたナンバープレート読取装置が存在した。
【特許文献1】特開2001−209885号公報
【特許文献2】特開平08−096291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、ナンバープレートの照明装置に適用される、複数のLEDを配置したLED照明装置においては、配光バランスの調整が難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解消し、多用な配光調整を可能にしたLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、通行車両のナンバープレートを照射するLED照明装置であって、前記ナンバープレートの幅方向に対応して配置された複数のLED光源からなる照明部と、前記LED光源を前記ナンバープレートの幅方向に傾けて照明を拡散させる配光調整機構とを具備したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、通行車両のナンバープレートを照射するLED照明装置であって、前記ナンバープレートの幅方向に対応して複数のLED光源を配置した照明部と、前記照明部を前記幅方向の両端を支持点に前記照射方向に膨出させ、その膨出度合を調整して、前記LED光源の照明を前記幅方向に拡散させる配光調整機構とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多用な配光調整を可能にしたLED照明装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0010】
本発明の第1実施形態に係るLED照明装置の構成を図1および図2に示す。
【0011】
図1および図2に示す、本発明の第1実施形態に係るLED照明装置10は、例えば、通行車両1のナンバープレート2を撮影する監視カメラ3とともに、有料道路の料金所(TG)における車両通行ゲートの路肩(P)に設置される。
【0012】
このLED照明装置10は、照射方向前部に光源支持部10Fを設けたフレーム10Cに、照射対象となるナンバープレート2の幅方向に対応して配置された複数のLED(照明用LED光源)11,11,…からなる照明部10Aと、この照明部10AのLED11,11,…をナンバープレート2の幅方向に傾けて、照明を上記幅方向に拡散させる配光調整部10Bとを具備して構成される。
【0013】
照明部10Aは、ナンバープレート2の高さ方向に対応して、複数のLED11,11,…を配置し、LED光源をマトリクス配置したナンバープレート照明部を構成している。図2(a),(b)は、横方向に7個、縦方向に6個のLED11,11,…をマトリクス配置したナンバープレート照明部10Aの構成を例示している。このナンバープレート照明部10Aを構成するLED11,11,…は、図2(b)に示すように、縦方向に配置した6個のLED11,11,…を1ブロックとして、各ブロック(7ブロック)がそれぞれ横方向(ナンバープレート2の幅方向に対応する方向)に配置され、各ブロック毎にそれぞれ配光調整部10Bを介してフレーム10Cの光源支持部10Fに固定支持されている。
【0014】
配光調整部10Bは、ナンバープレート2の幅方向に対応する方向に配置されたLED11,11,…をそれぞれ調整可能に固定支持する。
【0015】
配光調整部10Bは、ナンバープレート照明部10Aを構成する各LED11,11,…をブロックを単位に個別に支持する複数の照射方向調整フレーム12,12,…と、この各照射方向調整フレーム12,12,…を、ナンバープレート2の幅方向に対応する方向に、所定の角度範囲(θa+θb)内で調整可能にフレーム10Cの光源支持部10Fに支持し固定する調整用固定部13とを具備して構成される。ここでは、照射方向調整フレーム12を角度調整後、フレーム10Cの光源支持部10Fに締め付け固定する締付ねじにより調整用固定部13を構成している。
【0016】
上記照射方向調整フレーム12,12,…に設けられたLED11,11,…は、直進性をもつビーム(bm)に対し、ナンバープレート2の幅方向に対応する方向に、一定の角度(θa+θb)範囲内で照射方向を調整可能にフレーム10Cの光源支持部10Fに支持され、調整後、締付ねじ13によりフレーム10Cに固定される。
【0017】
上記構成のLED照明装置10によれば、ナンバープレート2の幅方向に対応する方向に配置されたLED11,11,…のビーム(bm)照射方向を、それぞれ上記幅方向に対し個別に角度調整できることから、配光バランスの調整を容易に可能にした、多用な配光調整を可能にし、これによって、車両通行ゲートの路肩(P)から、路上を通行する車両1のナンバープレート2を照明する際に、ナンバープレート2に対して照明斑のない均等な照明を確保することができる。
【0018】
本発明の第2実施形態に係るLED照明装置の構成を図3および図4に示す。LED光源の照明をナンバープレート2の幅方向に拡散させた一状態例を図3に示し、上記拡散調整前の状態を図4に示している。
【0019】
図3および図4に示す、本発明の第2実施形態に係るLED照明装置20は、例えば上記第1実施形態と同様に、第1に示すように、通行車両1のナンバープレート2を撮影する監視カメラ3とともに、有料道路の料金所(TG)における車両通行ゲートの路肩(P)に設置される。
【0020】
このLED照明装置20は、ナンバープレート2の幅方向に対応して複数のLED21,21,…を配置した照明部20Aと、この照明部20Aを上記幅方向の両端を支持点に上記照射方向に膨出させて膨出度合を調整し、上記LED21,21,…の照明を上記幅方向に拡散させる配光調整部20Bとを具備して構成される。
【0021】
照明部20Aは、一方面に上記ナンバープレート2の高さ方向に対応して複数のLED21,21,…を配置し、LED光源をマトリクス配置しているとともに、上記ナンバープレート2の幅方向に対応して複数の関節部2j,2j,…を有するLED支持部20Lと、このLED支持部20Lに接して、同LED支持部20Lに、後述する押圧調整手段の押圧力を伝達する弾発性を有する膨出調整部20Gと、LED支持部20Lおよび膨出調整部20Gを膨出可能にフレーム20Cに支持する張設部2Sとを具備して構成される。
【0022】
配光調整部20Bは、上記照明部20Aの他方面の一部を進退可能に押圧して、上記照明部20Aを上記関節部2j,2j,…を折曲点に膨出させる押圧調整手段(23〜27)を具備して構成される。押圧調整手段は、支持部23と、押圧調整軸24と、押当板25と、軸支部26と、膨出調整操作部27とを具備する。
【0023】
支持部23は、フレーム20Cに一体に設けられ、フレーム20Cに張設されたLED支持部20Lおよび膨出調整部20Gに対して、押圧調整軸24を図示矢印a方向に進退自在に、かつ図示矢印b方向にスライド可能に任意の調整位置に固定支持する。押圧調整軸24は、軸支部26に螺合され、押当板25を一端(前端)に支持し、膨出調整操作部27を他端(後端)に有して、膨出調整操作部27の回転操作に伴い押当板25を膨出調整部20Gの他方面の一部に押し当てる。押当板25は、押圧調整軸24の前端に支持され、膨出調整操作部27の回転操作で押圧調整軸24が照明方向へ突出することにより押圧力を受けて膨出調整部20Gの他方面を押圧し、LED支持部20Lおよび膨出調整部20GをLED21,21,…の照射方向に膨出させる。軸支部26は、支持部23に対してスライド可能に、支持部23に支持され、押圧調整軸24と螺合して、押圧調整軸24を軸支する。膨出調整操作部27は、照明部20Aの照明拡散調整作業において調整作業者により回転操作されるもので、軸支部26を回転操作することで、LED支持部20Lおよび膨出調整部20Gを図4に示す扁平状態から図3に示す膨出状態に偏向させる。
【0024】
LED支持部20Lおよび膨出調整部20Gが照明方向に膨出されていない状態、すなわちLED支持部20Lおよび膨出調整部20Gが配光調整部20Bにより押圧偏向されていない状態を図4に示している。この状態で、照明部20Aの照明方向を拡散調整する際は、軸支部26に軸支された押圧調整軸24を矢印b方向の任意のスライド位置に設定した後、膨出調整操作部27を回転操作して押圧調整軸24を軸支部26から照明方向に突出させる。この膨出調整操作部27の回転操作で押圧調整軸24を軸支部26から照明方向に突出させることにより、押圧調整軸24の前端に支持された押当板25が弾発性を有する膨出調整部20Gの接合面を押圧し、膨出調整部20Gに接して設けられたLED支持部20Lを、関節部2j,2j,…を折曲点に照明方向に膨出させる。
【0025】
このようにしてLED支持部20Lを照明方向へ膨出させることで、配光バランスの調整を容易に可能にした多用な配光調整が可能となり、車両通行ゲートの路肩(P)から、路上を通行する車両1のナンバープレート2を照明する際に、ナンバープレート2に対して照明斑のない均等な照明を行うことができる。
【0026】
なお、上記した各実施形態において、照明部10A,20A、配光調整部10B,20Bを含む、各部の構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形または変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLED照明装置の構成を示す図。
【図2】上記第1実施形態に係るLED照明装置の一部を拡大して示す図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るLED照明装置の構成(配光調整後の状態)を示す図。
【図4】上記第2実施形態に係るLED照明装置の構成(配光調整前の状態)を示す図。
【符号の説明】
【0028】
1…通行車両、2…ナンバープレート、3…監視カメラ、10,20…LED照明装置、10A,20A…照明部、10B,20B…配光調整部、10C,20C…フレーム、10F…光源支持部、11,21…LED(照明用LED光源)、12…照射方向調整フレーム、13…調整用固定部、2j,2j,…関節部、20L…LED支持部、20G…膨出調整部、2S…張設部、23…支持部、24…押圧調整軸、25…押当板、26…軸支部、27…膨出調整操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行車両のナンバープレートを照射するLED照明装置であって、
前記ナンバープレートの幅方向に対応して配置された複数のLED光源からなる照明部と、
前記LED光源を前記ナンバープレートの幅方向に傾けて照明を拡散させる配光調整機構と、
を具備したことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記照明部は、前記ナンバープレートの高さ方向に対応して、複数のLED光源を配置し、LED光源をマトリクス配置したナンバープレート照明部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
通行車両のナンバープレートを照射するLED照明装置であって、
前記ナンバープレートの幅方向に対応して複数のLED光源を配置した照明部と、
前記照明部を前記幅方向の両端を支持点に前記照射方向に膨出させ、その膨出度合を調整して、前記LED光源の照明を前記幅方向に拡散させる配光調整機構と、
を具備したことを特徴とするLED照明装置。
【請求項4】
前記照明部は、前面に前記ナンバープレートの高さ方向に対応して複数のLED光源を配置し、LED光源をマトリクス配置しているとともに、前記ナンバープレートの幅方向に対応して複数の関節部を有し、
前記配光調整機構は、前記照明部の後面を前後方向に進退して、前記関節部を可動点に、前記照明部の前記膨出度合を調整する調整手段を具備したことを特徴とする請求項3に記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−86761(P2010−86761A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253823(P2008−253823)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000220620)東芝テリー株式会社 (116)
【Fターム(参考)】