LED照明装置
【課題】本発明は、多数のLEDを配置した長尺のLED基板が透光性管体内の長手方向に収納され、管体の端部に端子部を有する端部キャップを備えたLED照明装置において、照明領域の照明の色を変更する場合や、照明領域の明るさを変える場合、電気的に行なうのではなく、管体の回動によって容易に行なうことができる技術を提供するものである。
【解決手段】管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、LED基板が管体の両端の端部キャップに固定された状態で、管体が端部キャップに回動可能に支持されており、管体の回動によって、上半部と下半部のいずれが照明側面に対応するかを選択可能としたこと。
【解決手段】管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、LED基板が管体の両端の端部キャップに固定された状態で、管体が端部キャップに回動可能に支持されており、管体の回動によって、上半部と下半部のいずれが照明側面に対応するかを選択可能としたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のLED(発光ダイオード)を配置した長尺帯板状の基板が管体内に収納されたLED照明装置に関し、特に、明るさ、色彩等を変更可能な構造としたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明または半透明の管体1内に、多数のLEDを配置した長尺のLED実装基板3と、LED実装基板3を取り付ける回路基板5が、管体1の長手に延在するように設けられ、管体1の両端には、管体1内部を閉塞するような状態で口金9が取り付けられ、口金9には、従来の直管形蛍光灯の取り付け用ソケット部に嵌合装着される端子部10が取り付けられ、回路基板5と端子部10は、リード線によって電気的に接続された、直管形LED照明装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−44920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、長尺のLED実装基板3の片面に多数のLEDを配置した構成では、LEDの照射角度が略120度であり、これを例えば天井に取り付けた従来の直管形蛍光灯の取り付け用ソケット部に嵌合装着する場合、その照射方向は下方に向いた一定状態となる。この状態で、管体1は透明または半透明であるため、照射される領域の明るさや色彩は一定である。
【0005】
照射される領域の色彩を変える場合、発光色の異なるLEDを使用して、発光させるLEDを電気的に選択して発光色を変えることはできるが、通常照明のための白色LEDの他に、発光色の異なるLEDを使用する必要があり、電気回路を含めてコストアップとなる。また、、照明領域の明るさを変える場合、LEDへ供給する電圧を電気的に変更する方法もあるが、切り替えスイッチを含めてコストアップとなる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、照明領域の照明の色を変更する場合や、または、照明領域の明るさを変える場合、このように電気的に行なうのではなく、管体の回動によって容易に行なうことができる技術を提供するものであり、特に管体が一重の場合において、照明領域の照明の色または明るさの変更が容易に行なえる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、多数のLEDを照明側面に配置した長尺のLED基板が管体内の長手方向に延在するよう収納され、ソケット部に嵌合装着される端子部を備えた端部キャップが前記管体の両端に取り付けられ、前記端子部を通して前記LEDへ電力が供給されるLED照明装置において、
前記管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、
前記LED基板が前記管体の両端の端部キャップに固定された状態で、前記管体が前記管両端の端部キャップに回動可能に支持されており、
前記管体の回動によって、前記上半部と下半部のいずれが前記照明側面に対応するかを選択可能としたことを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明において、前記上半部と下半部が異なる透光性色彩で色分けされたことを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第1発明において、前記上半部と下半部が異なる拡散度を有するように区分されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によって、LED基板は管体の両端の端部キャップに固定された状態であるため、管体の回動に関わらず、端部キャップがソケットに装着された状態で、LEDへ安定的に電力供給ができる。
【0011】
第2発明では、管体の回動によって、上半部と下半部のいずれが照明側面に対応するかによって、照明領域の照明の色を変更することができるため、例えば、上半部を白色透明とし下半部を透光性オレンジ色とすれば、オレンジ色照明とする場合は、透光性オレンジ色の下半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよく、通常照明にする場合は、白色透明の上半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよい。
【0012】
第3発明では、管体の回動によって、上半部と下半部のいずれが照明側面に対応するかによって、LEDから照明領域へ達する光の拡散度が変えられるため、例えば、上半部の拡散度を小さくしてLEDからの光の眩しさが強い状態とし、下半部の拡散度を大きくしてLEDからの光の眩しさが弱い状態とした場合、強い光が欲しい場合は上半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよく、また、柔らかい光が欲しい場合は下半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るLED照明装置の外観図である。
【図2】本発明に係るLED照明装置の管体内に収納した基板の状態説明図である。
【図3】図2のY方向から見た管体内に収納したLED基板の状態説明図である。
【図4】本発明に係るLED照明装置の端部キャップと管体内に収納した基板との関係を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るLED照明装置の端部キャップのリード線の配置状態とLED基板の支持部の関係を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るLED照明装置の端部キャップと管体と関係図である。
【図7】本発明に係るLED照明装置の端部キャップ内のリード線の配置状態とLED基板の支持部の関係を示す図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】本発明に係るLED照明装置の端部キャップ、LED基板及び管体の関係を示す分解斜視図である。
【図10】本発明に係るLED照明装置をグロー管点灯方式の直管形蛍光灯照明装置に置換する場合の結線図である。
【図11】本発明に係るLED照明装置をラピッドスタート点灯方式の直管形蛍光灯照明装置に置換する場合の結線図である。
【図12】本発明に係るLED照明装置を専用ソケットに取り付ける場合の結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、多数のLEDを照明側面に配置した長尺のLED基板が管体内の長手方向に延在するよう収納され、ソケット部に嵌合装着される端子部を備えた端部キャップが前記管体の両端に取り付けられ、前記端子部を通して前記LEDへ電力が供給されるLED照明装置において、前記管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、前記LED基板が前記管体の両端の端部キャップに固定された状態で、前記管体が前記管両端の端部キャップに回動可能に支持されており、前記管体の回動によって、前記上半部と下半部のいずれが前記照明側面に対応するかを選択可能としたものであり、以下に本発明の実施例を記載する。
【実施例1】
【0015】
本発明に係るLED照明装置1は、従来使用されている直管形蛍光灯照明装置の直管形蛍光灯に代わって、そのソケット(図10〜図11に点線で示す)に取り付けられるようにすることを一つの目的とするものであるが、これに限定されず、本発明に係るLED照明装置1を取り付ける専用のソケット12(図12に点線で示す)を備える照明器具にも適用可能な照明装置となるものである。
【0016】
以下に本発明に係るLED照明装置1を図に基づき説明する。LED照明装置1は、多数の白色LED(発光ダイオード)2を配置した長尺のLED基板3が少なくとも一部が透光性である直管形管体4内の長手方向(管体4の長軸方向)に延在するよう収納され、従来使用されている直管形蛍光灯照明装置等のソケット部12(図10〜図12に点線で示す)に嵌合装着される端子部5を備えた端部キャップ6が管体4の両端に取り付けられ、端子部5に半田付けされたリード線7を介してLED2へ所定の電力が供給され、LED2が発光するものである。
【0017】
管体4内には、LED基板3の他にLED駆動用回路基板8が収納されている。LED基板3は平板状の合成樹脂製であり、その片側面(図2では下側面)が照明側面3Pとなるように多数のLED2が配置されており、照明側面3Pの反対側となる他方側面(裏面)には、LED2へ電力供給する電気回路素子を取り付けた平板状のLED駆動用回路基板8が、LED基板3と並行状態にLED基板3に取り付けられている。実施例では図1乃至図3に示すように、LED照明装置1は、部屋の天井部分等に取り付けられて下方を照明する状態を示しており、LED基板3の下側面が照明側面3Pとなるように配置された構成である。
【0018】
LED基板3の照明側面3Pには、一列に電気的に直列接続された多数のLED2が直線状に配列される状態でもって、全部で306個の白色LED2が3列に所定間隔でもって配置されている。実施例で示すLED照明装置1は、長さLが略1200mmであり、この長さに対応する長さのLED基板3を1枚の基板で形成することは、コスト的にもアップするため、実施例では3枚の単位基板A、B、Cが直列接続されてLED基板3を構成している。このため、単位基板A、B、Cにはそれぞれ1列34個の白色LED2が3列に所定間隔でもって配置された状態であり、単位基板A、B、Cの各列のLED2は、電気的に直列接続されて、全体として306個のLED2が3列構成である。
【0019】
管体4は、LED2の発光が透過するために、透光性の合成樹脂材(ポリカーボネート、アクリル等)で円筒形状に成形されている。本発明は、管体4の回動によって照明領域の明るさ、色彩等を変更可能とするものであり、管体4は、長手方向の上半部4Uと下半部4Dが異なる透光性を有するように区分するために、図1に一点鎖線で示す線PLから上方領域4Uと線PLから下方領域4Dが、明るさ、色彩等を変えた構成である。管体4は、上方領域4Uと下方領域4Dが一体成形される合成樹脂材の押し出し成形または引き抜き成形で形成された円筒状またはそれに近い筒状であるが、上方領域4Uと下方領域4Dがそれぞれ半円筒状に別個に形成されたものが組み合わされて円筒状をなすものであってもよい。
【0020】
本発明は、管体4の回動によって照明領域の明るさ、色彩等を変更可能とするものであるため、LED基板3の長尺側両端部3Bは、管体4の両端に配置される端部キャップ6に固定された状態であり、管体4は、管体4の両端に配置される端部キャップ6の環状取り付け部6Bに対して回動可能な支持状態である。
【0021】
端部キャップ6は、円筒状の管体4に合わせるために、電気絶縁材である合成樹脂材でもって円筒状に形成されている。端子部5は、電気絶縁材の端子支持部材14に取り付けられた状態で、端子側コネクタ11Bを備えたリード線7の一端と半田付けにて接続される。端部キャップ6への端子支持部材14の取り付けは、端子支持部材14と一体に組み合わせたカップ状の金属製外観部材14Aが、端部キャップ6の外側端の環状取り付け部6Aの外面に接着にて行なわれる。
【0022】
図4に示すように、電気回路素子Sを取り付けたLED駆動用回路基板8の幅T1は、LED基板3の幅T2よりも小さく設定され、LED駆動用回路基板8の幅T1の両側に、LED基板3の長尺方向に並行に延びた長尺端縁3Aが存在する配置でもって、LED駆動用回路基板8をLED基板3の裏側に取り付けている。
【0023】
LED基板3と端部キャップ6との結合のために、端部キャップ6の環状取り付け部6Bには、その内側部分に一対の支持溝6Dがリブ6F間に形成されている。この支持溝6DにLED基板3の両側の長尺側端部3Bが接着にて結合された状態で、管体4は端部キャップ6の環状取り付け部6Bに回動可能に支持された状態となる。
【0024】
このような構成を達成するために、以下に、LED基板3、管体4、及び端部キャップ6の組み立てについて説明する。
【0025】
LED基板3と端部キャップ6との結合に際し、先ず基板側コネクタ11Aと端子側コネクタ11Bとを結合させて、LED基板3の長尺側両端側に端部キャップ6を配置させる。この状態で、LED基板3の一方の長尺側端部3Bを、一方の端部キャップ6の支持溝6Dに嵌め合わせ、この部分で接着またはネジ結合にて結合する。この結合後、LED基板3の他方の長尺側端部3B側から、管体4内にLED基板3が収納される関係で組み合わせ、管体4の一端部がLED基板3と結合されている端部キャップ6の環状取り付け部6Bの外面に嵌め合わせる。次に、管体4の他端部を他方の端部キャップ6の環状取り付け部6Bの外面に嵌め合わせる関係にて、LED基板3の他方の長尺側端部3Bを、他方の端部キャップ6の支持溝6Dに嵌め合わせ、この他方の長尺側端部3Bと他方の端部キャップ6の支持溝6Dとを接着結合する。
【0026】
この組み合わせによって、LED基板3は管体4内に収納された状態でもって、管体4は端部キャップ6の環状取り付け部6Bに回動可能に支持された状態となる。端部キャップ6の環状取り付け部6Bに対する管体4の回動位置決めを行なうために、端部キャップ6と管体4とに位置決め手段が設けられている。この位置決め手段の一つとして、図7等に示すように、管体4の内面には一条の突起19が管体4の管軸方向に成形されており、環状取り付け部6Bには左右対称位置に嵌合溝18が形成されている。これによって、管体4の180度回動ごとに、突起19が嵌合溝18に嵌合し、その時点で上半部4Uまたは下半部4Dが照明側面3Pに対応する状態に管体4が位置決めされる。
【0027】
LED照明装置1が、照明領域の明るさを変更するものでは、上半部4Uと下半部4Dが異なる拡散度を有するように区分された管体4となる。このため、上半部4Uの拡散度を小さくしてLED2からの光の眩しさが強い状態とし、下半部4Dの拡散度を大きくしてLED2からの光の眩しさが弱い状態とした場合、強い光が欲しい場合は上半部を照明側面3Pに対応するように管体4を回動させればよく、また、柔らかい光が欲しい場合は下半部4Dを照明側面3Pに対応するように管体4を回動させればよい。
【0028】
また、LED照明装置1が、照明領域の色彩を変更するものでは、上半部4Uと下半部4Dが異なる透光性色彩で色分けされた管体4となる。このため、上半部4Uを白色透明とし下半部4Dを透光性オレンジ色とすれば、オレンジ色照明とする場合は、透光性オレンジ色の下半部4Dを照明側面に対応するように管体を回動させればよく、通常照明にする場合は、白色透明の上半部4Uを照明側面に対応するように管体を回動させればよい。
【0029】
LED基板3の長尺側両端部に端部キャップ6が結合され、両側の端部キャップ6の管体4が回動可能に支持された構成であるため、LED照明装置1が長尺になってLED基板3が撓めば、直線性が得られなくなり、管体4のスムースな回動を得難くなる。これを防止するために、例えば、図8に示すように、照明側面3Pの反対側となる他方側面(裏面)に配置した剛性の補助支持部材17でもって、両側の端部キャップ6を結合した構成とすれば、LED基板3の直線性を保つことが有効となり、直線軸上で管体4を回動させることができるため、管体4のスムースな回動が得られるものとなる。
【0030】
管体4の両端部に配置された端部キャップ6の端子部5は、それぞれ2本のピンを備えたものであるが、これは従来使用されている直管形蛍光灯照明装置のソケット部12(図10〜図12に点線で示す)に嵌合装着されるための構成となっているためである。このため、直管形蛍光灯に替えてLED照明装置1を直管形蛍光灯照明装置のソケット部12に嵌合装着する場合において、直管形蛍光灯の点灯がグロー管方式であった場合は、図10に示すように、グロー管を取り外すと共に、安定器への配線は×印で示すように切り離した状態でもって、新たなバイパス結線13を結線する。この状態で、LED照明装置1をソケット部12に嵌合装着すれば、商用交流電力ACがこのバイパス結線13を通して、管体4の一方側(図10の左方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方と、管体4の他方側(図10の右方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方とに供給されるものとなる。
【0031】
また、直管形蛍光灯の点灯がグロー管方式でないラピッドスタート方式の場合は、図11に示すように、安定器への配線は×印で示すように切り離した状態でもって、新たなバイパス結線13を結線する。この状態で、LED照明装置1をソケット部12に嵌合装着すれば、商用交流電力ACがこのバイパス結線13を通して、管体4の一方側(図11の左方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方と、管体4の他方側(図11の右方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方に供給されるものとなる。
【0032】
図12には、LED照明装置1の専用ソケット方式を示している。この場合は、LED照明装置1を専用ソケット部12に嵌合装着すれば、商用交流電力ACが専用ソケット部12から、管体4の一方側(図12の左方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方と、管体4の他方側(図12の右方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方とに供給される配線である。
【0033】
このようにしてLED照明装置1の両端の端子部5へ供給される商用交流電力ACによって、LED2が発光するようにするために、LED2へ電力供給する電気回路素子Sを取り付けたLED駆動用回路基板8が設けられている。LED駆動用回路基板8には、左右の端子部5にそれぞれリード線7側の端子側コネクタ11Bと接続される基板側コネクタ11Aが配置され、これらの基板側コネクタ11Aと端子側コネクタ11Bが接続された状態で、左右の端子部5からリード線7を介して商用交流電力ACが、LED駆動用回路基板8の電気回路素子Sに供給される。この電気回路素子として、LED駆動用回路基板8には、この左右の端子部5からリード線7を介して供給される商用交流電力ACを整流して所定の直流DCとするための整流回路を含むAC/DC変換回路部9と、AC/DC変換回路部9から供給される直流DCを所定電圧としてLED2に供給する電圧制御部10を備えている。
【0034】
上記のように、LED基板3、管体4、及び端部キャップ6の組み立てにおいて、リード線7が引っ張られたり、撓んだり、捩じれたりした場合、その作用力がリード線7と端子部5との半田付け箇所に直接掛かれば、この半田付け箇所が剥がれたり、接触不良状態になったり等、電気的接続不良が生じる。また、端子側コネクタ11Bを取り付けたリード線7が端子部5に半田付けされた状態で、上記のような組立作業の準備中や運搬中に、引っ張いや捩じれ等による作用力が半田付け箇所に掛かった場合も、同様に電気的接続不良が生じる虞がある。このような事態にならないようにする技術を以下に記載する。
【0035】
図5、図7、図8等に示すように、端部キャップ6の内側には、環状取り付け部6Bで囲まれた内方領域には、環状取り付け部6Bから突出しない範囲で、リード線7の途中を屈曲係止する係止部15を備え、この屈曲係止によってリード線7と端子部5との半田付け箇所へ掛かるリード線7の引っ張りや撓み等の作用力を吸収するようにしている。
【0036】
係止部15は、向かい合った一対の第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bによって構成している。第1係止部15A、15Aは、端部キャップ6内の内外隔壁16に形成した孔16Aに端部に形成され、この孔16Aに臨むように第2係止部15B、15Bが形成されている。このため、端子部5から延びた2本のリード線7は、それぞれ孔16Aの近傍で内外隔壁16を貫通して第2係止部15B、15Bに係止するように屈曲して後、端子側コネクタ11Bへ延びる。この状態で、図8に示すように、2本のリード線7はそれぞれ第1係止部15A、15Aに係止すると共に孔16Aに一部が侵入する状態で、第2係止部15B、15Bに係止した状態となる。第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bへのリード線7の係止は、第2係止部15B、15B間からリード線7を屈曲させつつ挿入係止することによって達成できる。
【0037】
第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bへのリード線7の係止は、第2係止部15B、15B間からリード線7を屈曲させつつ、図5に矢印Qで示す方向へ挿入係止することによって達成できる。
【0038】
これによって、端子側コネクタ11B側へリード線7が引っ張られても、主として第2係止部15Bに係止するため、この引っ張り作用力がこの部分で吸収されて、端子部5との半田付け箇所へ掛かることがないか抑制される。
また、端子側コネクタ11B側から端子部5方向へリード線7が撓んでも、主として第2係止部15Bに押し圧係止するため、この撓み作用力がこの部分で吸収されて、端子部5との半田付け箇所へ掛かることがないか抑制される。また、リード線7が捩じれた場合には、第1係止部15A、15A及び第2係止部15B、15Bのいずれかまたは双方によって、この捩じれ作用力がこの部分で吸収されて、端子部5との半田付け箇所へ掛かることがないか抑制される。
【0039】
図8に示すように、第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bへリード線7を係止した状態で、2本のリード線の途中がS字状屈曲となる状態で係止されることにより、リード線7の引っ張り、撓み、捩じれによる作用力の吸収は、更に良好な効果を得ることができる。
【0040】
また、上記のようなリード線7の引っ張り、撓み、捩じれによる作用力の吸収は、内外隔壁16に形成した孔16Aが存在しない構成でも差し支えないが、この孔16Aの存在によって、更に良好な効果を得ることができる。また、この孔16Aに相当する部分で隔壁16が端子部5側へ窪んでいても、この係止部15に部分で2本のリード線の途中がS字状屈曲となる状態で係止されることとなり、同様の効果を得ることができる。
【0041】
上記のように、LED基板3、管体4、及び端部キャップ6が組み立てられた状態で、図8に示すように、LED基板3の長尺側端部3Bが、端部キャップ6の支持溝6Dの底面となるストッパ部6Eに当接することにより、環状取り付け部6Bで囲まれた内方領域において、LED基板3の長手方向端部3Bが、係止部15によって屈曲係止されたリード線7の屈曲部に当接しない状態となる。このため、LED基板3の長手方向移動がストッパ部6Eによって制限され、運搬中などでLED基板3が移動してリード線7の被覆損傷等引き起こすことがなくなる。
【0042】
管体4の回動は、手動式でもよいが、LED照明装置1が部屋の天井に取り付けられる場合等では、その回動操作がし難いので、電動式とすることもできる。この電動式の場合は、端部キャップ6の外面部分に電動機を取り付け、この電動機の回転軸の回転を減速歯車機構によって管体4を低速回転させるようにすればよい。この場合、リモートコントローラによってこの電動機の運転を制御する方式とすれば便利である。この電動機の回転によって、管体4が一方向へ180度ずつ回転する方式と、管体4が一方向へ180度し次に逆方向へ180度回転する方式のいずれの方式でもよい。これによって、上記のように照明領域の明るさや色彩を変更することができる。なお、この電動式の場合は、突起19と嵌合溝18による位置決め手段は省略できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るLED照明装置は、上記実施例に示した構成に限らず、その他の形態にも本発明の技術が適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態のLED照明装置を包含するものである。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・・LED照明装置
2・・・・・LED
3・・・・・LED基板
3A・・・・照明側面
3B・・・・LED基板3の長手方向端部
3P・・・・照明側面
4・・・・・管体
4A・・・・溝
4B・・・・リブ
5・・・・・端子部
6・・・・・端部キャップ
6B・・・・環状取り付け部
6D・・・・支持溝
6E・・・・ストッパ部
7・・・・・リード線
8・・・・・LED駆動用回路基板
9・・・・・AC/DC変換回路部
10・・・・電圧制御部
11A・・・基板側コネクタ
11B・・・端子側コネクタ
12・・・・ソケット
13・・・・バイパス線
15・・・・係止部
15A・・・第1係止部
15B・・・第2係止部
16・・・・隔壁
16A・・・孔
17・・・・補助支持部材
18・・・・嵌合溝
19・・・・突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のLED(発光ダイオード)を配置した長尺帯板状の基板が管体内に収納されたLED照明装置に関し、特に、明るさ、色彩等を変更可能な構造としたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明または半透明の管体1内に、多数のLEDを配置した長尺のLED実装基板3と、LED実装基板3を取り付ける回路基板5が、管体1の長手に延在するように設けられ、管体1の両端には、管体1内部を閉塞するような状態で口金9が取り付けられ、口金9には、従来の直管形蛍光灯の取り付け用ソケット部に嵌合装着される端子部10が取り付けられ、回路基板5と端子部10は、リード線によって電気的に接続された、直管形LED照明装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−44920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、長尺のLED実装基板3の片面に多数のLEDを配置した構成では、LEDの照射角度が略120度であり、これを例えば天井に取り付けた従来の直管形蛍光灯の取り付け用ソケット部に嵌合装着する場合、その照射方向は下方に向いた一定状態となる。この状態で、管体1は透明または半透明であるため、照射される領域の明るさや色彩は一定である。
【0005】
照射される領域の色彩を変える場合、発光色の異なるLEDを使用して、発光させるLEDを電気的に選択して発光色を変えることはできるが、通常照明のための白色LEDの他に、発光色の異なるLEDを使用する必要があり、電気回路を含めてコストアップとなる。また、、照明領域の明るさを変える場合、LEDへ供給する電圧を電気的に変更する方法もあるが、切り替えスイッチを含めてコストアップとなる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、照明領域の照明の色を変更する場合や、または、照明領域の明るさを変える場合、このように電気的に行なうのではなく、管体の回動によって容易に行なうことができる技術を提供するものであり、特に管体が一重の場合において、照明領域の照明の色または明るさの変更が容易に行なえる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、多数のLEDを照明側面に配置した長尺のLED基板が管体内の長手方向に延在するよう収納され、ソケット部に嵌合装着される端子部を備えた端部キャップが前記管体の両端に取り付けられ、前記端子部を通して前記LEDへ電力が供給されるLED照明装置において、
前記管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、
前記LED基板が前記管体の両端の端部キャップに固定された状態で、前記管体が前記管両端の端部キャップに回動可能に支持されており、
前記管体の回動によって、前記上半部と下半部のいずれが前記照明側面に対応するかを選択可能としたことを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明において、前記上半部と下半部が異なる透光性色彩で色分けされたことを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第1発明において、前記上半部と下半部が異なる拡散度を有するように区分されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によって、LED基板は管体の両端の端部キャップに固定された状態であるため、管体の回動に関わらず、端部キャップがソケットに装着された状態で、LEDへ安定的に電力供給ができる。
【0011】
第2発明では、管体の回動によって、上半部と下半部のいずれが照明側面に対応するかによって、照明領域の照明の色を変更することができるため、例えば、上半部を白色透明とし下半部を透光性オレンジ色とすれば、オレンジ色照明とする場合は、透光性オレンジ色の下半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよく、通常照明にする場合は、白色透明の上半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよい。
【0012】
第3発明では、管体の回動によって、上半部と下半部のいずれが照明側面に対応するかによって、LEDから照明領域へ達する光の拡散度が変えられるため、例えば、上半部の拡散度を小さくしてLEDからの光の眩しさが強い状態とし、下半部の拡散度を大きくしてLEDからの光の眩しさが弱い状態とした場合、強い光が欲しい場合は上半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよく、また、柔らかい光が欲しい場合は下半部を照明側面に対応するように管体を回動させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るLED照明装置の外観図である。
【図2】本発明に係るLED照明装置の管体内に収納した基板の状態説明図である。
【図3】図2のY方向から見た管体内に収納したLED基板の状態説明図である。
【図4】本発明に係るLED照明装置の端部キャップと管体内に収納した基板との関係を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るLED照明装置の端部キャップのリード線の配置状態とLED基板の支持部の関係を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るLED照明装置の端部キャップと管体と関係図である。
【図7】本発明に係るLED照明装置の端部キャップ内のリード線の配置状態とLED基板の支持部の関係を示す図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】本発明に係るLED照明装置の端部キャップ、LED基板及び管体の関係を示す分解斜視図である。
【図10】本発明に係るLED照明装置をグロー管点灯方式の直管形蛍光灯照明装置に置換する場合の結線図である。
【図11】本発明に係るLED照明装置をラピッドスタート点灯方式の直管形蛍光灯照明装置に置換する場合の結線図である。
【図12】本発明に係るLED照明装置を専用ソケットに取り付ける場合の結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、多数のLEDを照明側面に配置した長尺のLED基板が管体内の長手方向に延在するよう収納され、ソケット部に嵌合装着される端子部を備えた端部キャップが前記管体の両端に取り付けられ、前記端子部を通して前記LEDへ電力が供給されるLED照明装置において、前記管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、前記LED基板が前記管体の両端の端部キャップに固定された状態で、前記管体が前記管両端の端部キャップに回動可能に支持されており、前記管体の回動によって、前記上半部と下半部のいずれが前記照明側面に対応するかを選択可能としたものであり、以下に本発明の実施例を記載する。
【実施例1】
【0015】
本発明に係るLED照明装置1は、従来使用されている直管形蛍光灯照明装置の直管形蛍光灯に代わって、そのソケット(図10〜図11に点線で示す)に取り付けられるようにすることを一つの目的とするものであるが、これに限定されず、本発明に係るLED照明装置1を取り付ける専用のソケット12(図12に点線で示す)を備える照明器具にも適用可能な照明装置となるものである。
【0016】
以下に本発明に係るLED照明装置1を図に基づき説明する。LED照明装置1は、多数の白色LED(発光ダイオード)2を配置した長尺のLED基板3が少なくとも一部が透光性である直管形管体4内の長手方向(管体4の長軸方向)に延在するよう収納され、従来使用されている直管形蛍光灯照明装置等のソケット部12(図10〜図12に点線で示す)に嵌合装着される端子部5を備えた端部キャップ6が管体4の両端に取り付けられ、端子部5に半田付けされたリード線7を介してLED2へ所定の電力が供給され、LED2が発光するものである。
【0017】
管体4内には、LED基板3の他にLED駆動用回路基板8が収納されている。LED基板3は平板状の合成樹脂製であり、その片側面(図2では下側面)が照明側面3Pとなるように多数のLED2が配置されており、照明側面3Pの反対側となる他方側面(裏面)には、LED2へ電力供給する電気回路素子を取り付けた平板状のLED駆動用回路基板8が、LED基板3と並行状態にLED基板3に取り付けられている。実施例では図1乃至図3に示すように、LED照明装置1は、部屋の天井部分等に取り付けられて下方を照明する状態を示しており、LED基板3の下側面が照明側面3Pとなるように配置された構成である。
【0018】
LED基板3の照明側面3Pには、一列に電気的に直列接続された多数のLED2が直線状に配列される状態でもって、全部で306個の白色LED2が3列に所定間隔でもって配置されている。実施例で示すLED照明装置1は、長さLが略1200mmであり、この長さに対応する長さのLED基板3を1枚の基板で形成することは、コスト的にもアップするため、実施例では3枚の単位基板A、B、Cが直列接続されてLED基板3を構成している。このため、単位基板A、B、Cにはそれぞれ1列34個の白色LED2が3列に所定間隔でもって配置された状態であり、単位基板A、B、Cの各列のLED2は、電気的に直列接続されて、全体として306個のLED2が3列構成である。
【0019】
管体4は、LED2の発光が透過するために、透光性の合成樹脂材(ポリカーボネート、アクリル等)で円筒形状に成形されている。本発明は、管体4の回動によって照明領域の明るさ、色彩等を変更可能とするものであり、管体4は、長手方向の上半部4Uと下半部4Dが異なる透光性を有するように区分するために、図1に一点鎖線で示す線PLから上方領域4Uと線PLから下方領域4Dが、明るさ、色彩等を変えた構成である。管体4は、上方領域4Uと下方領域4Dが一体成形される合成樹脂材の押し出し成形または引き抜き成形で形成された円筒状またはそれに近い筒状であるが、上方領域4Uと下方領域4Dがそれぞれ半円筒状に別個に形成されたものが組み合わされて円筒状をなすものであってもよい。
【0020】
本発明は、管体4の回動によって照明領域の明るさ、色彩等を変更可能とするものであるため、LED基板3の長尺側両端部3Bは、管体4の両端に配置される端部キャップ6に固定された状態であり、管体4は、管体4の両端に配置される端部キャップ6の環状取り付け部6Bに対して回動可能な支持状態である。
【0021】
端部キャップ6は、円筒状の管体4に合わせるために、電気絶縁材である合成樹脂材でもって円筒状に形成されている。端子部5は、電気絶縁材の端子支持部材14に取り付けられた状態で、端子側コネクタ11Bを備えたリード線7の一端と半田付けにて接続される。端部キャップ6への端子支持部材14の取り付けは、端子支持部材14と一体に組み合わせたカップ状の金属製外観部材14Aが、端部キャップ6の外側端の環状取り付け部6Aの外面に接着にて行なわれる。
【0022】
図4に示すように、電気回路素子Sを取り付けたLED駆動用回路基板8の幅T1は、LED基板3の幅T2よりも小さく設定され、LED駆動用回路基板8の幅T1の両側に、LED基板3の長尺方向に並行に延びた長尺端縁3Aが存在する配置でもって、LED駆動用回路基板8をLED基板3の裏側に取り付けている。
【0023】
LED基板3と端部キャップ6との結合のために、端部キャップ6の環状取り付け部6Bには、その内側部分に一対の支持溝6Dがリブ6F間に形成されている。この支持溝6DにLED基板3の両側の長尺側端部3Bが接着にて結合された状態で、管体4は端部キャップ6の環状取り付け部6Bに回動可能に支持された状態となる。
【0024】
このような構成を達成するために、以下に、LED基板3、管体4、及び端部キャップ6の組み立てについて説明する。
【0025】
LED基板3と端部キャップ6との結合に際し、先ず基板側コネクタ11Aと端子側コネクタ11Bとを結合させて、LED基板3の長尺側両端側に端部キャップ6を配置させる。この状態で、LED基板3の一方の長尺側端部3Bを、一方の端部キャップ6の支持溝6Dに嵌め合わせ、この部分で接着またはネジ結合にて結合する。この結合後、LED基板3の他方の長尺側端部3B側から、管体4内にLED基板3が収納される関係で組み合わせ、管体4の一端部がLED基板3と結合されている端部キャップ6の環状取り付け部6Bの外面に嵌め合わせる。次に、管体4の他端部を他方の端部キャップ6の環状取り付け部6Bの外面に嵌め合わせる関係にて、LED基板3の他方の長尺側端部3Bを、他方の端部キャップ6の支持溝6Dに嵌め合わせ、この他方の長尺側端部3Bと他方の端部キャップ6の支持溝6Dとを接着結合する。
【0026】
この組み合わせによって、LED基板3は管体4内に収納された状態でもって、管体4は端部キャップ6の環状取り付け部6Bに回動可能に支持された状態となる。端部キャップ6の環状取り付け部6Bに対する管体4の回動位置決めを行なうために、端部キャップ6と管体4とに位置決め手段が設けられている。この位置決め手段の一つとして、図7等に示すように、管体4の内面には一条の突起19が管体4の管軸方向に成形されており、環状取り付け部6Bには左右対称位置に嵌合溝18が形成されている。これによって、管体4の180度回動ごとに、突起19が嵌合溝18に嵌合し、その時点で上半部4Uまたは下半部4Dが照明側面3Pに対応する状態に管体4が位置決めされる。
【0027】
LED照明装置1が、照明領域の明るさを変更するものでは、上半部4Uと下半部4Dが異なる拡散度を有するように区分された管体4となる。このため、上半部4Uの拡散度を小さくしてLED2からの光の眩しさが強い状態とし、下半部4Dの拡散度を大きくしてLED2からの光の眩しさが弱い状態とした場合、強い光が欲しい場合は上半部を照明側面3Pに対応するように管体4を回動させればよく、また、柔らかい光が欲しい場合は下半部4Dを照明側面3Pに対応するように管体4を回動させればよい。
【0028】
また、LED照明装置1が、照明領域の色彩を変更するものでは、上半部4Uと下半部4Dが異なる透光性色彩で色分けされた管体4となる。このため、上半部4Uを白色透明とし下半部4Dを透光性オレンジ色とすれば、オレンジ色照明とする場合は、透光性オレンジ色の下半部4Dを照明側面に対応するように管体を回動させればよく、通常照明にする場合は、白色透明の上半部4Uを照明側面に対応するように管体を回動させればよい。
【0029】
LED基板3の長尺側両端部に端部キャップ6が結合され、両側の端部キャップ6の管体4が回動可能に支持された構成であるため、LED照明装置1が長尺になってLED基板3が撓めば、直線性が得られなくなり、管体4のスムースな回動を得難くなる。これを防止するために、例えば、図8に示すように、照明側面3Pの反対側となる他方側面(裏面)に配置した剛性の補助支持部材17でもって、両側の端部キャップ6を結合した構成とすれば、LED基板3の直線性を保つことが有効となり、直線軸上で管体4を回動させることができるため、管体4のスムースな回動が得られるものとなる。
【0030】
管体4の両端部に配置された端部キャップ6の端子部5は、それぞれ2本のピンを備えたものであるが、これは従来使用されている直管形蛍光灯照明装置のソケット部12(図10〜図12に点線で示す)に嵌合装着されるための構成となっているためである。このため、直管形蛍光灯に替えてLED照明装置1を直管形蛍光灯照明装置のソケット部12に嵌合装着する場合において、直管形蛍光灯の点灯がグロー管方式であった場合は、図10に示すように、グロー管を取り外すと共に、安定器への配線は×印で示すように切り離した状態でもって、新たなバイパス結線13を結線する。この状態で、LED照明装置1をソケット部12に嵌合装着すれば、商用交流電力ACがこのバイパス結線13を通して、管体4の一方側(図10の左方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方と、管体4の他方側(図10の右方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方とに供給されるものとなる。
【0031】
また、直管形蛍光灯の点灯がグロー管方式でないラピッドスタート方式の場合は、図11に示すように、安定器への配線は×印で示すように切り離した状態でもって、新たなバイパス結線13を結線する。この状態で、LED照明装置1をソケット部12に嵌合装着すれば、商用交流電力ACがこのバイパス結線13を通して、管体4の一方側(図11の左方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方と、管体4の他方側(図11の右方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方に供給されるものとなる。
【0032】
図12には、LED照明装置1の専用ソケット方式を示している。この場合は、LED照明装置1を専用ソケット部12に嵌合装着すれば、商用交流電力ACが専用ソケット部12から、管体4の一方側(図12の左方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方と、管体4の他方側(図12の右方側)の端子部5の2本のピンのうちのいずれか一方とに供給される配線である。
【0033】
このようにしてLED照明装置1の両端の端子部5へ供給される商用交流電力ACによって、LED2が発光するようにするために、LED2へ電力供給する電気回路素子Sを取り付けたLED駆動用回路基板8が設けられている。LED駆動用回路基板8には、左右の端子部5にそれぞれリード線7側の端子側コネクタ11Bと接続される基板側コネクタ11Aが配置され、これらの基板側コネクタ11Aと端子側コネクタ11Bが接続された状態で、左右の端子部5からリード線7を介して商用交流電力ACが、LED駆動用回路基板8の電気回路素子Sに供給される。この電気回路素子として、LED駆動用回路基板8には、この左右の端子部5からリード線7を介して供給される商用交流電力ACを整流して所定の直流DCとするための整流回路を含むAC/DC変換回路部9と、AC/DC変換回路部9から供給される直流DCを所定電圧としてLED2に供給する電圧制御部10を備えている。
【0034】
上記のように、LED基板3、管体4、及び端部キャップ6の組み立てにおいて、リード線7が引っ張られたり、撓んだり、捩じれたりした場合、その作用力がリード線7と端子部5との半田付け箇所に直接掛かれば、この半田付け箇所が剥がれたり、接触不良状態になったり等、電気的接続不良が生じる。また、端子側コネクタ11Bを取り付けたリード線7が端子部5に半田付けされた状態で、上記のような組立作業の準備中や運搬中に、引っ張いや捩じれ等による作用力が半田付け箇所に掛かった場合も、同様に電気的接続不良が生じる虞がある。このような事態にならないようにする技術を以下に記載する。
【0035】
図5、図7、図8等に示すように、端部キャップ6の内側には、環状取り付け部6Bで囲まれた内方領域には、環状取り付け部6Bから突出しない範囲で、リード線7の途中を屈曲係止する係止部15を備え、この屈曲係止によってリード線7と端子部5との半田付け箇所へ掛かるリード線7の引っ張りや撓み等の作用力を吸収するようにしている。
【0036】
係止部15は、向かい合った一対の第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bによって構成している。第1係止部15A、15Aは、端部キャップ6内の内外隔壁16に形成した孔16Aに端部に形成され、この孔16Aに臨むように第2係止部15B、15Bが形成されている。このため、端子部5から延びた2本のリード線7は、それぞれ孔16Aの近傍で内外隔壁16を貫通して第2係止部15B、15Bに係止するように屈曲して後、端子側コネクタ11Bへ延びる。この状態で、図8に示すように、2本のリード線7はそれぞれ第1係止部15A、15Aに係止すると共に孔16Aに一部が侵入する状態で、第2係止部15B、15Bに係止した状態となる。第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bへのリード線7の係止は、第2係止部15B、15B間からリード線7を屈曲させつつ挿入係止することによって達成できる。
【0037】
第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bへのリード線7の係止は、第2係止部15B、15B間からリード線7を屈曲させつつ、図5に矢印Qで示す方向へ挿入係止することによって達成できる。
【0038】
これによって、端子側コネクタ11B側へリード線7が引っ張られても、主として第2係止部15Bに係止するため、この引っ張り作用力がこの部分で吸収されて、端子部5との半田付け箇所へ掛かることがないか抑制される。
また、端子側コネクタ11B側から端子部5方向へリード線7が撓んでも、主として第2係止部15Bに押し圧係止するため、この撓み作用力がこの部分で吸収されて、端子部5との半田付け箇所へ掛かることがないか抑制される。また、リード線7が捩じれた場合には、第1係止部15A、15A及び第2係止部15B、15Bのいずれかまたは双方によって、この捩じれ作用力がこの部分で吸収されて、端子部5との半田付け箇所へ掛かることがないか抑制される。
【0039】
図8に示すように、第1係止部15A、15Aと、第2係止部15B、15Bへリード線7を係止した状態で、2本のリード線の途中がS字状屈曲となる状態で係止されることにより、リード線7の引っ張り、撓み、捩じれによる作用力の吸収は、更に良好な効果を得ることができる。
【0040】
また、上記のようなリード線7の引っ張り、撓み、捩じれによる作用力の吸収は、内外隔壁16に形成した孔16Aが存在しない構成でも差し支えないが、この孔16Aの存在によって、更に良好な効果を得ることができる。また、この孔16Aに相当する部分で隔壁16が端子部5側へ窪んでいても、この係止部15に部分で2本のリード線の途中がS字状屈曲となる状態で係止されることとなり、同様の効果を得ることができる。
【0041】
上記のように、LED基板3、管体4、及び端部キャップ6が組み立てられた状態で、図8に示すように、LED基板3の長尺側端部3Bが、端部キャップ6の支持溝6Dの底面となるストッパ部6Eに当接することにより、環状取り付け部6Bで囲まれた内方領域において、LED基板3の長手方向端部3Bが、係止部15によって屈曲係止されたリード線7の屈曲部に当接しない状態となる。このため、LED基板3の長手方向移動がストッパ部6Eによって制限され、運搬中などでLED基板3が移動してリード線7の被覆損傷等引き起こすことがなくなる。
【0042】
管体4の回動は、手動式でもよいが、LED照明装置1が部屋の天井に取り付けられる場合等では、その回動操作がし難いので、電動式とすることもできる。この電動式の場合は、端部キャップ6の外面部分に電動機を取り付け、この電動機の回転軸の回転を減速歯車機構によって管体4を低速回転させるようにすればよい。この場合、リモートコントローラによってこの電動機の運転を制御する方式とすれば便利である。この電動機の回転によって、管体4が一方向へ180度ずつ回転する方式と、管体4が一方向へ180度し次に逆方向へ180度回転する方式のいずれの方式でもよい。これによって、上記のように照明領域の明るさや色彩を変更することができる。なお、この電動式の場合は、突起19と嵌合溝18による位置決め手段は省略できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るLED照明装置は、上記実施例に示した構成に限らず、その他の形態にも本発明の技術が適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態のLED照明装置を包含するものである。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・・LED照明装置
2・・・・・LED
3・・・・・LED基板
3A・・・・照明側面
3B・・・・LED基板3の長手方向端部
3P・・・・照明側面
4・・・・・管体
4A・・・・溝
4B・・・・リブ
5・・・・・端子部
6・・・・・端部キャップ
6B・・・・環状取り付け部
6D・・・・支持溝
6E・・・・ストッパ部
7・・・・・リード線
8・・・・・LED駆動用回路基板
9・・・・・AC/DC変換回路部
10・・・・電圧制御部
11A・・・基板側コネクタ
11B・・・端子側コネクタ
12・・・・ソケット
13・・・・バイパス線
15・・・・係止部
15A・・・第1係止部
15B・・・第2係止部
16・・・・隔壁
16A・・・孔
17・・・・補助支持部材
18・・・・嵌合溝
19・・・・突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のLEDを照明側面に配置した長尺のLED基板が管体内の長手方向に延在するよう収納され、ソケット部に嵌合装着される端子部を備えた端部キャップが前記管体の両端に取り付けられ、前記端子部を通して前記LEDへ電力が供給されるLED照明装置において、
前記管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、
前記LED基板が前記管体の両端の端部キャップに固定された状態で、前記管体が前記管両端の端部キャップに回動可能に支持されており、
前記管体の回動によって、前記上半部と下半部のいずれが前記照明側面に対応するかを選択可能としたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記上半部と下半部が異なる透光性色彩で色分けされたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記上半部と下半部が異なる拡散度を有するように区分されたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項1】
多数のLEDを照明側面に配置した長尺のLED基板が管体内の長手方向に延在するよう収納され、ソケット部に嵌合装着される端子部を備えた端部キャップが前記管体の両端に取り付けられ、前記端子部を通して前記LEDへ電力が供給されるLED照明装置において、
前記管体は、長手方向の上半部と下半部が異なる透光性を有するように区分された一体成形の合成樹脂製筒であり、
前記LED基板が前記管体の両端の端部キャップに固定された状態で、前記管体が前記管両端の端部キャップに回動可能に支持されており、
前記管体の回動によって、前記上半部と下半部のいずれが前記照明側面に対応するかを選択可能としたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記上半部と下半部が異なる透光性色彩で色分けされたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記上半部と下半部が異なる拡散度を有するように区分されたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−9363(P2012−9363A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145738(P2010−145738)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】
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