説明

LED電源パックおよびLED照明器具

【課題】LED電源回路のみを簡単に交換することができるようにしたLED電源パックおよびLED照明器具を提供する。
【解決手段】LED照明器具のLED電源回路を耐用年数に応じて交換する際、LED灯1,1はそのままにしてLED電源パック2のみがリード線の切断作業や再接続作業を伴うことなく、ワンタッチの着脱作業で器具本体3から極めて簡単に取り外して交換される。これにより、LED灯1,1の無駄な廃棄が防止されて省資源化が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを発光源とする照明器具に使用されるLED電源パック、および、このLED電源パックを備えたLED照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策の一環として省エネルギー化が進められており、照明器具の分野では、白熱灯はもとより蛍光灯に比べても消費電力が格段に小さく、しかも寿命が圧倒的に長いLED(発光ダイオード)を発光源とした各種のLED灯が開発されている。
【0003】
この種のLED灯のうち、反射板などを有する照明器具のソケットに着脱自在に装着される蛍光灯型のLED灯は、オフィス等で大量に使用されている蛍光灯の代替需要が大幅に見込まれている。
【0004】
ここで、LED灯を点灯させるには、例えば商用100Vの交流を所定電圧の直流に変換するLED用の電源回路が別途必要となる。そこで、従来一般には、個々のLED灯に対応した専用のLED電源回路を各LED灯の内部に組み込んでいる(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−351402号公報
【特許文献2】特開2010−192242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般にLED電源回路は、LED自体の寿命に較べて耐用年数が短く、数年に一度の割合で交換する必要がある。この点、特許文献1、2に記載のように、LED電源回路が個々のLED灯内に組み込まれている場合には、LED電源回路を含めたLED灯の全体を交換する必要があり、省資源化の時代の要求に反する。
【0007】
本発明は、このような省資源化の時代の要求に応えるべくなされたものであり、LED電源回路のみを簡単に交換することができるようにしたLED電源パックおよびLED照明器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明に係るLED電源パックは、LEDを発光源とする照明器具に使用される電源であって、少なくとも交流を直流に変換する整流回路および変換した直流の電圧を所定電圧に調整する電圧制御回路を内蔵し、前記照明器具に着脱自在に装着されることで前記LEDに給電可能に接続されることを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明のLED電源パックは、照明器具に設けられたスロット状の装着口に挿入される厚板状とし、装着口の奥部に設けられた係着装置に着脱自在に係止される係合突部を挿入側の先端部に形成することにより、照明器具に着脱自在に装着することができる。
【0010】
一方、本発明に係るLED照明器具は、本発明のLED電源パックが着脱自在に装着される照明器具であって、LED電源パックを介して給電されるLED灯が着脱自在に装着されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るLED電源パックおよびLED照明器具では、LED電源回路を耐用年数に応じて交換する際、LED灯はそのままにしてLED電源パックのみを照明器具から取り外して交換する。その際、LED電源パックは、リード線の切断作業や再接続作業を伴うことなく、ワンタッチの着脱作業で極めて簡単に交換される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るLED電源パックおよびLED照明器具によれば、LED電源回路を耐用年数に応じて交換する際、LED灯を交換することなくLED電源パックのみを照明器具から取り外して交換することができる。その際、LED電源パックは、リード線の切断作業や再接続作業を伴うことなく、ワンタッチの着脱作業で極めて簡単に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED電源パックおよびLED照明器具の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したLED灯の斜視図である。
【図3】図2に示したLED灯の模式的な横断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う縦断面図である。
【図5】図1に示した器具本体の一端部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明に係るLED電源パックおよびLED照明器具の実施の形態を説明する。一実施形態のLED照明器具は、例えば図1に示すように、2本のLED灯1,1および単一のLED電源パック2が器具本体3に着脱自在に装着されるように構成されている。
【0015】
LED灯1は、図2に示すように、例えば600〜2400mmの範囲の規格の長さを有する直管形に構成されている。このLED灯1は、直管状の透光カバー4の両端部に口金5,5が装着されており、各口金5にはそれぞれ2本のピン端子5A,5Bが突設されている。
【0016】
透光カバー4は、例えばポリカーボネート(PC)やアクリル樹脂などの透明樹脂に適宜の光拡散剤を混入して成形されたすりガラス状の外観を呈する。ここで、透光カバー4は、図3に示すように、周面一部に切割り状開口部を有する円弧状の断面形状に形成されている。この透光カバー4は、直径が例えば32mm、肉厚が例えば0.8〜1.0mm程度に成形されており、その切割り状開口部には、バー状の溝型放熱部材6を装着するための係合凸部4Aが形成されている。
【0017】
溝型放熱部材6は、例えば板厚が0.8〜1.0mmのアルミニウム板を図3に示す溝型の断面形状にプレス成形したものであり、溝部の開口幅は8〜12mm程度、深さは8mm程度に設定されていて、極めて軽量化されている。この溝型放熱部材6の開口部には、透光カバー4の係合凸部4Aに着脱自在に係合する係合凹部6Aが折曲げ加工により形成されている。
【0018】
溝型放熱部材6は、その係合凹部6A,6Aが透光カバー4の係合凸部4A,4Aに係合することで透光カバー4の切割り状開口部に着脱自在に装着されており、この装着状態で溝型放熱部材6は透光カバー4の内側に突出している。そして、透光カバー4の内側に突出する溝型放熱部材6の平坦な突出頂面6Bには、図4に示すように、溝型放熱部材6の長手方向に沿って延びる長板状のパッケージ基板7が複数の止ねじ(符号省略)により固定されている。
【0019】
パッケージ基板7には、複数の装着穴7Aが長手方向に沿って所定間隔で形成されており、各装着穴7AにはLEDパッケージ8がそれぞれ嵌め込まれている。パッケージ基板7の装着穴7Aの壁面のうち、図3に示す横断面に表れる左右の壁面は、溝型放熱部材6側の相互間隔が広く、反対側の相互間隔が狭くなるように左右対称に傾斜する傾斜壁面7B,7Bとされている。
【0020】
LEDパッケージ8は、ポリカーボネート(PC)やセラミックスからなる薄型ボックス状のキャビティ基体8Aに形成されたリフレクタ凹部8Bの底部にLEDチップ8Cが配置され、このLEDチップ8Cがリフレクタ凹部8Bに充填された封入樹脂8Dにより封入された構造を有する。
【0021】
LEDチップ8Cは、例えばLEDパッケージ8に白色光を発光させるために青色光を発光するものである。封入樹脂8Dは、エポキシ樹脂やシリコン樹脂からなり、この封入樹脂8Dには、LEDチップ8Cの青色光によりその補色の黄色光を発光する蛍光体が分散されている。
【0022】
なお、図示省略したが、各LEDパッケージ8のリフレクタ凹部8Bの周壁面には、LEDチップ8Cの投光を反射するリフレクタ用のメッキ層が形成されている。このメッキ層は、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),銀(Ag)のメッキ層を順次積層したものである。
【0023】
このようなLEDパッケージ8は、図3の下方に向かうLEDチップ8Cの投光方向とは反対側の基端面を溝型放熱部材6の突出頂面6Bに対面させて配置されている。このLEDパッケージ8が配置される位置は、透光カバー4の断面中央部から切割り状開口部側に寄った位置となっている。
【0024】
LEDパッケージ8のキャビティ基体8Aの外側面のうち、図3に示す横断面に表れる左右の外側面は、パッケージ基板7の左右の傾斜壁面7B,7Bと同じ角度で傾斜する傾斜側面8E,8Eとされている。そして、LEDパッケージ8の基端面側である傾斜側面8E,8Eの基端部がパッケージ基板7の傾斜壁面7B,7Bに斜面係合し、この状態でパッケージ基板7が複数の止ねじ(符号省略)により溝型放熱部材6の突出頂面6Bに固定されることで、LEDパッケージ8の基端面側が溝型放熱部材6の突出頂面6B側に押圧されている。
【0025】
LEDパッケージ8の基端面側となるリフレクタ凹部8Bの底部には、LEDチップ8Cをパッケージ基板7に接続する回路の一部を構成する電極層8Fが露出状態で形成されている。この電極層8Fは、厚さが0.025mm程度であって、LEDパッケージ8の基端面から0.015〜0.020mm程度突出しており、LEDチップ8Cに接触すると共に、溝型放熱部材6の突出頂面6Bに押圧されて圧接している。
【0026】
図1に示すように、器具本体3は、2本のLED灯1,1を相互に平行に配置して装着する板金製のものであり、例えば室内の天井面に固定される上面の固定板(符号省略)と、浅いV字状に傾斜して下方に突出する下面の反射板3A,3Aと、下向きの山形形状をなす両端面の一方の装着板3Bとを有する中空の長板状に形成されている。
【0027】
器具本体3の一方の反射板3Aの両端部には、一方のLED灯1の口金5,5を着脱自在に装着するための一対のソケット3C,3Cが配設されている。同様に、他方の反射板3Aの両端部には、他方のLED灯1の口金5,5を着脱自在に装着するための一対のソケット3C,3Cが配設されている。
【0028】
ここで、図5に示すように、器具本体3の一端部の装着板3Bには、厚板ブロック状に形成されたLED電源パック2を着脱自在に装着するためのスロット状の装着口3Dが開口されている。この装着口3Dは、LED電源パック2が押し込まれると、そのLED電源パック2を装着状態に保持し、この装着状態からLED電源パック2が更に押し込まれると、LED電源パック2を装着口3Dから押し出すように構成されている。
【0029】
そのための構造として、装着口3Dの奥部には、プッシュラッチ装置、プッシュキャッチ装置、ワンプッシュキャッチ装置などの呼称で従来一般に知られている構造の係着装置(例えば特開平7−34746号公報参照)が組み込まれている。これに対応して、LED電源パック2の挿入側の先端部には、装着口3Dの奥部に組み込まれた係着装置に着脱自在に係止される左右の係合突部2A,2Aが形成されている。
【0030】
ここで、LED電源パック2の例えば下面には、一対の交流入力端子2B,2Cと、一対の直流出力端子2D,2Eが形成されている。そして、LED電源パック2の内部には、図3および図4に示した一群のLEDパッケージ8,8,…8を点灯させるための図示しないLED電源回路が交流入力端子2B,2Cと直流出力端子2D,2Eとの間に構成されている。
【0031】
すなわち、LED電源パック2の交流入力端子2B,2Cと直流出力端子2D,2Eとの間には、例えば商用100〜240Vの交流を直流に変換するダイオードブリッジ回路などの整流回路、整流された直流の電圧を例えば32〜49Vの所定電圧に制御する電圧制御回路、過電流を遮断するヒューズやサージ電流を遮断するサーミスタなどを有する保護回路、PFC(Power Factor Controller)制御回路、ノイズフィルターなどが構成されている。
【0032】
このようなLED電源パック2の一対の交流入力端子2B,2Cは、器具本体3の装着口3D内に配線された給電端子、例えば商用100Vの電線の給電端子(図示省略)に接触する。そして、LED電源パック2の一対の直流出力端子2D,2Eのうち、プラス側の直流出力端子2Dは、装着口3D内に配設されたプラス接続端子(図示省略)に接触し、マイナス側の直流出力端子2Eは、装着口3D内に配設されたマイナス接続端子(図示省略)に接触する。
【0033】
ここで、図3および図4に示した一群のLEDパッケージ8,8,…8は、パッケージ基板7上の配線パターン(図示省略)を介して図2に示したLED灯1の口金5,5のピン端子5A,5Bに接続されている。すなわち、一群のLEDパッケージ8,8,…8は、プラス側がピン端子5A,5Aに接続され、マイナス側がピン端子5B,5Bに接続されている。
【0034】
これに対応して、器具本体3の装着口3D内に配設されたプラス接続端子(図示省略)は、LED灯1のピン端子5A,5Aが嵌合するソケット3C,3C内のピン受け(図示省略)に接続され、装着口3D内に配設されたマイナス接続端子(図示省略)は、LED灯1のピン端子5B,5Bが嵌合するソケット3C,3C内のピン受け(図示省略)に接続されている。
【0035】
以上のように構成された一実施形態のLED照明器具では、図1に示したように、器具本体3の一対のソケット3C,3Cに1本のLED灯1の口金5,5を装着し、他の一対のソケット3C,3Cに他の1本のLED灯1の口金5,5を装着すると共に、器具本体3の装着口3DにLED電源パック2を押し込んで装着することにより、2本のLED灯1,1が点灯可能となる。
【0036】
ここで、LED灯1,1内の一群のLEDパッケージ8,8,…8を点灯させるためのLED電源回路を耐用年数に応じて交換する際、LED灯1,1はそのままにして、LED電源パック2のみを器具本体3の装着口3Dから取り外して交換する。
【0037】
その際、LED電源パック2は、装着口3D内に押し込むだけの極めて簡単な作業により、プッシュラッチ装置などの係着装置による係止状態が解除されて装着口3Dから押し出される。これにより、LED灯の無駄な廃棄が防止されて省資源化が達成される。
【0038】
このように、一実施形態のLED照明器具によれば、LED電源回路を耐用年数に応じて交換する際、LED灯1,1を交換することなくLED電源パック2のみを器具本体3から取り外して交換することができる。その結果、LED灯1,1の無駄な廃棄が防止されて省資源化が達成される。
【0039】
そして、このLED電源回路の交換作業は、リード線の切断作業や再接続作業を伴うことなく、LED電源パック2を器具本体3の装着口3Dに押し込むというワンタッチ作業で極めて簡単に行うことができる。
【0040】
なお、一実施形態のLED照明器具において、図3および図4に示した一群のLEDパッケージ8,8,…の各LEDチップ8Cの点灯に伴う発熱は、各LEDチップ8Cに接触する各電極層8F(図3参照)から、これが圧接する溝型放熱部材6の突出頂面6Bに直接かつ確実に伝熱され、溝型放熱部材6により効率よく放熱される。
【0041】
本発明に係るLED電源パックおよびLED照明器具は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図5に例示したLED電源パック2の形状は、厚板ブロック状に限らず、スティック状など、適宜の形状に変更できる。
【0042】
そして、このLED電源パック2を器具本体3に着脱自在に装着するための係着構造も、プッシュラッチ装置などを使用しない簡易な構造、例えば器具本体3の装着板3Bの装着口3Dに挿入されたLED電源パック2を抜け止めする回動式の押え蓋を装着板3Bに設け、この押え蓋でLED電源パック2を着脱自在に装着するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 :LED灯
2 :LED電源パック
2B,2C:交流入力端子
2D:プラス側直流出力端子
2E:マイナス側直流出力端子
3 :器具本体
3A:反射板
3B:装着板
3C:ソケット
3D:装着口
4 :透光カバー
5 :口金
5A:ピン端子
5B:ピン端子
6 :溝型放熱部材
7 :パッケージ基板
8 :LEDパッケージ
8C:LEDチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを発光源とする照明器具に使用される電源であって、少なくとも交流を直流に変換する整流回路および変換した直流の電圧を所定電圧に調整する電圧制御回路を内蔵し、前記照明器具に着脱自在に装着されることで前記LEDに給電可能に接続されることを特徴とするLED電源パック。
【請求項2】
請求項1に記載のLED電源パックあって、前記照明器具に設けられたスロット状の装着口に挿入される厚板状を呈し、その挿入側の先端部には、前記装着口の奥部に設けられた係着装置に着脱自在に係止される係合突部が形成されていることを特徴とするLED電源パック。
【請求項3】
請求項1または2に記載のLED電源パックが着脱自在に装着される照明器具であって、前記LED電源パックを介して給電されるLED灯が着脱自在に装着されることを特徴とするLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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