LED駆動電圧供給回路及びLED装置
【課題】 LEDの発光駆動に際して定電流駆動回路で生じる消費電力を抑制・低減し、定電流駆動回路の安定・正常な動作を保証する。
【解決手段】 LED装置は、LEDアレイ12と、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)と、DC−DCコンバータ16と、分圧抵抗24,26からなる第1のフィードバック回路と、コントローラ38および第2のフィードバック回路80とを有するヘッドルーム電圧監視回路とを備えている。第2のフィードバック回路80は、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)の電流端子OUT0〜OUTm−1にそれぞれ得られるヘッドルーム電圧HV0〜HVm−1をDC−DCコンバータ16にフィードバックする。
【解決手段】 LED装置は、LEDアレイ12と、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)と、DC−DCコンバータ16と、分圧抵抗24,26からなる第1のフィードバック回路と、コントローラ38および第2のフィードバック回路80とを有するヘッドルーム電圧監視回路とを備えている。第2のフィードバック回路80は、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)の電流端子OUT0〜OUTm−1にそれぞれ得られるヘッドルーム電圧HV0〜HVm−1をDC−DCコンバータ16にフィードバックする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト、照明、ディスプレイ等に用いられるLED装置、およびLEDを発光駆動するためのLED駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、LED(発光ダイオード)は、高輝度で発光するものや、白色その他様々な色を発光するものが開発・量産されており、バックライト、照明、ディスプレイなどに広く利用されている。
【0003】
図11に、LCD(液晶ディスプレイ)−TV(テレビジョン)向けのバックライトに用いられている従来のLCD装置の回路構成を示す。図示のように、このLCD装置は、n×m(n,mは2以上の整数)個のLED[10(0,0)・・・10(n−2,0),10(n−1,0)]〜[10(0,m−1)・・・10(n−2,m−1),10(n−1,m−1)]からなるLEDアレイ12と、たとえば16チャンネル型の1個または複数(N)個のLEDドライバIC(集積回路)14(0)〜14(N−1)と、直流電源たとえばDC−DCコンバータ16と、コントローラ18とを有している。
【0004】
図11において、各列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)(y=0〜m−1)は、DC−DCコンバータ16の出力端子とLEDドライバIC14の各対応する電流端子OUTyとの間で電気的に直列に接続されている。たとえば、第1列のLED10(0,0)・・・10(n−2,0),10(n−1,0)は、DC−DCコンバータ16の出力端子と1番目のLEDドライバIC14(0)の1番目の電流端子OUT0との間で電気的に直列に接続されている。また、第m列のLED10(0,m−1)・・・10(n−2,m−1),10(n−1,m−1)は、DC−DCコンバータ16の出力端子とN番目のLEDドライバIC14(N−1)で使用される最後尾の電流端子OUTm−1との間で電気的に直列に接続されている。
【0005】
このLEDバックライトは、エリアライト方式であり、図12に示すようにバックライト領域22をマトリクス状にm個(m=i×j)のブロックB0,B1・・・Bm−1に分割し、各ブロックBy内に図11の各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)をたとえば図13に示すような一定の密度分布で二次元的に配置している。
【0006】
図11において、DC−DCコンバータ16は、たとえばチョッパ方式昇圧形コンバータとして動作するスイッチング電源であり、たとえば24ボルトで入力される直流の入力電圧VINを昇圧して一定レベルたとえば50ボルトの直流電圧をLED駆動電圧VLEDとして出力する。
【0007】
このDC−DCコンバータ16は、その出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDについて定電圧制御を行うために、基準電圧入力端子REF、フィードバック電圧入力端子FB、分圧抵抗24,26からなるフィードバック回路等を有している。より詳細には、DC−DCコンバータ16の出力端子とグランド電位端子との間に抵抗24,26が直列に接続され、両抵抗の間のノードNAがフィードバック電圧入力端子FBに接続されている。両抵抗24,26の抵抗値をそれぞれR24,R26とすると、LED駆動電圧VLEDに係数R26/(R24+R26)を乗じた値の分圧電圧VAがノードNAに得られ、この分圧電圧VAがフィードバック電圧としてフィードバック電圧入力端子FBに入力される。一方、基準電圧入力端子REFには、たとえばコントローラ18からの一定の基準電圧VREFが入力される。DC−DCコンバータ16は、抵抗分圧回路[24,26]からのフィードバック電圧VAが基準電圧VREFに等しくなるように、スイッチング電源の動作を行うようになっている。
【0008】
各LEDドライバIC14(x)(x=0〜N−1)は、16チャンネルのシンク型定電流駆動回路を有しており、各々の定電流駆動回路の出力端子を上記電流端子OUTy(y=0〜m−1)としている。各チャンネルの定電流駆動回路は、各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)に一定のLED駆動電流Iyを流すように働く。ただし、安定した定電流動作を保証するためには、各電流端子OUTyに所定レベルを上回る電圧がヘッドルーム電圧HVyとして常時保たれていなければならず、このヘッドルーム電圧条件を満たすように、DC−DCコンバータ16の出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDが設定される。ここで、各電流端子OUTyにおけるヘッドルーム電圧HVyは、各対応するLED直列回路[10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)]で生じる全電圧降下をVy(0〜n−1)すると、HVy=VLED−Vy(0〜n−1)で表される。
【0009】
各LEDドライバIC14(x)には、コントローラ18より所要のクロック信号と共に当該LEDバックライトの明るさを制御するためのデータおよび制御信号が入力される。最近のLCD−TVでは、1画面内で画像に応じてLEDバックライトの明るさをエリアまたはブロック単位で独立に可変制御するローカル・ダイミング(local dimming)の手法が用いられている。このローカル・ダイミングを行うために、コントローラ18より一定サイクル(たとえば120Hz)毎に各ブロックByの輝度または明るさの度合いを諧調で示すグレイスケール・データが各対応する定電流駆動回路にシリアル転送で送り込まれ、各定電流駆動回路が各グレイスケール・データに基づいて1サイクル内でLED駆動電流Iyを流す時間またはデューティをPWM(パルス幅変調)制御方式で可変制御するようにしている。
【0010】
なお、図11において、各列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)と各対応するチャンネルの電流端子OUTyとの間には、LED短絡時の高電圧から各定電流駆動回路を保護するためのNMOSトランジスタ28が設けられている。このNMOSトランジスタ28は、抵抗30,32からなる分圧回路より与えられるバイアス電圧VKによってバイアスされ、各電流端子OUTyの電圧を一定値(VK+Vth)以下に制限する。ここで、VthはNMOSトランジスタ28のしきい値電圧である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般に、LEDの順方向電圧には負の温度特性があり、LEDの温度が低いほど発光状態のLEDで生じる電圧降下は大きくなり、そのぶん各LEDドライバIC14(x)では各電流端子OUTyに得られるヘッドルーム電圧HVyが低くなる。このため、LCD−TVの最低動作温度の下でも各電流端子OUTyに一定値以上のヘッドルーム電圧HVyが保証されるように、DC−DCコンバータ16の出力電圧VLEDが設定される。
【0012】
一方で、周囲温度の上昇やLEDの自己発熱によってLED温度が高くなるほど、発光状態のLEDで生じる電圧降下は小さくなり、そのぶん各LEDドライバIC14(x)では各電流端子OUTyにおけるヘッドルーム電圧HVyが高くなり、これが問題となっている。すなわち、各定電流駆動回路は一定のLED駆動電流Iyを流すように動作するので、ヘッドルーム電圧HVyが高くなるほど、定電流駆動回路の消費電力は増大する。さらに、LEDドライバIC14(x)全体の消費電力(発熱量)がそのICパッケージの許容損失を上回ると、ドライバ回路が破損または故障して正常に動作しなくなり、信頼性の低下を来たす。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、LEDの発光駆動に際して定電流駆動回路で生じる消費電力を抑制ないし低減するとともに、定電流駆動回路の安定ないし正常な動作を保証するようにしたLED駆動回路およびLED装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明のLED駆動回路は、1個または電気的に直列接続された複数個のLED(発光ダイオード)を発光駆動するためのLED駆動回路であって、直流のLED駆動電圧を出力する直流電源と、前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対して前記LEDと直列に接続される定電流駆動回路と、前記定電流駆動回路の電流端子に得られるヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路とを有する。
【0015】
また、本発明のLED装置は、直流のLED駆動電流を出力する直流電源と、n個(nは2以上の整数)のLEDを電気的に直列接続してなるm個(mは2以上の整数)のLED直列回路が前記直流電源の出力端子に対して電気的に並列に接続されているLEDアレイと、前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対してm個の前記LED直列回路とそれぞれ直列に接続されているm個の定電流駆動回路と、m個の前記定電流駆動回路の電流端子にそれぞれ得られるヘッドルーム電圧の少なくとも1つが第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路とを有する。
【0016】
本発明においては、直流電源および定電流駆動回路により各LEDに一定のLED駆動電流が注入されるとともに、定電流駆動回路の電流端子に得られるヘッドルーム電圧がヘッドルーム電圧監視回路によって監視される。ヘッドルーム電圧監視回路は、ヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に保たれるように、直流電源に作用してその出力電圧つまりLED駆動電圧を動的に可変制御させる。これにより、環境温度やLEDの自己発熱等に起因してLEDの電圧降下が変動しても、特に下がる方向に変動しても、ヘッドルーム電圧監視回路を介したフィードバックループが働いてヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に安定に維持されるので、定電流駆動回路で生じる消費電力および発熱量を一定限度内に抑制することができる。
【0017】
本発明の好適な一態様によれば、直流電源は、高周波数でオン・オフ可能な第1のスイッチング素子を有し、この第1のスイッチング素子をオン・オフ動作させて直流の入力電圧をLED駆動電圧に変換するスイッチング電源部と、このスイッチング電源部における第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部と、LED駆動電圧をスイッチング制御部にフィードバックする第1のフィードバック回路とを有する。そして、ヘッドルーム電圧監視回路は、ヘッドルーム電圧を直流電源のスイッチング制御部にフィードバックする第2のフィードバック回路を有する。
【0018】
この場合において、好ましくは、スイッチング制御部は、基準電圧入力端子とフィードバック電圧入力端子とを有し、フィードバック電圧入力端子に入力される電圧が基準電圧入力端子に入力される第2の基準電圧に等しくなるように、第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御する。また、第1のフィードバック回路が、スイッチング電源部の出力端子と基準電位の端子との間に接続された第1および第2の抵抗を有し、第1の抵抗と第2の抵抗との間のノードをスイッチング制御部のフィードバック電圧入力端子に接続している。そして、第2のフィードバック回路は、スイッチング制御部のフィードバック電圧入力端子と基準電位の端子との間に接続された第1のトランジスタと、ヘッドルーム電圧と第1の基準電圧とを比較して、両電圧の高低関係を示す比較結果信号を出力するコンパレータと、このコンパレータより出力された比較結果信号に応じて第1のトランジスタを制御するフィードバック制御回路とを有する。
【0019】
さらに好ましくは、第2のフィードバック回路において、スイッチング制御部のフィードバック電圧入力端子と基準電位の端子との間で第1のトランジスタと直列に第3の抵抗を接続してよい。
【0020】
また、好ましい一態様として、フィードバック制御回路は、コンパレータより出力される比較結果信号を一定サイクル毎に所定のタイミングでラッチするラッチ回路と、このラッチ回路にラッチされた比較結果信号を制御信号として入力し、ヘッドルーム電圧が第1の基準電圧よりも高かったことを比較結果信号が示しているときはオン状態になって、第1のトランジスタをオンさせ、または第1のトランジスタを流れる電流を増大させ、ヘッドルーム電圧が第1の基準電圧よりも低かったことを比較結果信号が示しているときはオフ状態になって、第1のトランジスタをオフさせ、または第1のトランジスタを流れる電流を減少させる第2のトランジスタとを更に有する。
【0021】
また、好ましい一態様として、フィードバック制御回路において、第2のトランジスタの出力端子と第1のトランジスタの制御端子との間に時定数回路を接続してもよい。さらに、第1のトランジスタの制御端子に一定のバイアス電圧を与えるバイアス回路を設けてもよい。
【0022】
また、好ましい一態様として、定電流駆動回路は、LED駆動電流を一定に保つための定電流源と、この定電流源と直列に接続される高周波数でオン・オフ可能な第2のスイッチング素子と、この第2のスイッチング素子をパルス幅変調方式で一定の周期毎にオン・オフさせるLED輝度制御回路とを有する。
【0023】
また、本発明のLED装置においては、好ましい一態様として、1つの面光源がm個のブロックからなり、m個のブロックにm個のLED直列回路およびm個の定電流駆動回路がそれぞれ割り当てられ、各々のブロック内で当該LED直列回路を構成するn個のLEDが一定の密度分布で二次元的に配置される。この場合、各々のブロック毎にパルス幅変調方式によるデューティが個別に制御されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のLED装置またはLED駆動回路によれば、上記のような構成および作用により、LEDの発光駆動に際して定電流駆動回路で生じる消費電力を抑制ないし低減するとともに、定電流駆動回路の安定ないし正常な動作を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態におけるLED駆動回路を有するLED装置の回路構成を示す回路図である。
【図2】実施形態のLED装置で使用されるDC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図3】実施形態のLED装置で使用されるLEDドライバIC内の構成例を示すブロック図である。
【図4】実施形態のLED装置において第2のフィードバック回路内のノードNCにおける制御電圧VGとDC−DCコンバータの出力電圧(LED駆動電圧)VLEDとの間のDC的な関係の一例を示す図である。
【図5】実施形態のLED装置においてLEDアレイをn=12,m=3の配列構成にした場合の回路構成を示す回路図である。
【図6】実施形態のLED装置(図5)のある条件下の作用を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【図7】実施形態のLED装置(図5)の別の条件下の作用を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【図8】ローカル・ダイミング機能における実施形態のLED装置(図5)の効果を検証するために行った実験で用いたデューティ制御のパターンを示す図である。
【図9】上記実験で得られたヘッドルーム電圧およびLED駆動電圧の波形を示す波形図である。
【図10】比較例として、実施形態のLED装置(図5)において第2のフィードバック回路を省いて同一の実験を行った場合に得られたヘッドルーム電圧およびLED駆動電圧の波形を示す。
【図11】LCD−TV向けのバックライトに用いられている従来のLCD装置の回路構成を示す回路図である。
【図12】LEDバックライトをマトリクス状に多数のブロックに分割する構成を示す図である。
【図13】LEDバックライトの各ブロックにおけるLEDの配置構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1〜図10を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0027】
図1に、本発明の一実施形態におけるLED駆動回路を有するLED装置の回路構成を示す。このLED装置は、たとえばLCD−TV向けのLEDバックライトに使用可能である。図中、図11の従来装置のものと同様の構成または機能を有する素子または回路には同一の符号を附してある。
【0028】
このLED装置は、従来のLED装置(図11)と共通する主な構成として、n×m個(n,mは2以上の整数)のLED[10(0,0)・・・10(n−2,0),10(m−1,0)]〜[10(0,m−1)・・・10(n−2,m−1),10(n−1,m−1)]からなるLEDアレイ12と、たとえば16チャンネル型の1個または複数(N)個のLEDドライバIC14(0)〜14(N−1)と、直流電源たとえばDC−DCコンバータ16と、フィードバック用の分圧抵抗24,26と、高圧保護用のトランジスタ28と、バイアス回路[30,32]とを有している。この実施形態では、分圧抵抗24,26によって構成されるフィードバック回路を第1のフィードバック回路としている。
【0029】
従来のLED装置(図11)と同様に、LEDアレイ12において、各列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)(y=0〜m−1)は、DC−DCコンバータ16の出力端子といずれかのLEDドライバIC14(x)(x=0〜N−1)の各対応する電流端子OUTyとの間で電気的に直列に接続されている。また、このLEDバックライトは、エリアライト方式であり、図12に示すようにバックライト領域22をマトリクス状にm個(m=i×j)のブロックB0,B1・・・Bm−1に分割し、各ブロックBy内に図1の各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)を図13のような一定の密度分布で二次元的に配置している。
【0030】
図2に、DC−DCコンバータ16の一構成例を示す。このDC−DCコンバータ16は、インダクタンスコイル40、NMOSトランジスタ(スイッチング素子)42、ダイオード44、コンデンサ46からなるスイッチング電源部48と、NMOSトランジスタ42のオン・オフ動作をパルス制御方式たとえばPWM制御方式で制御するスイッチング制御回路50とを有している。PWM制御のために、コントローラ38またはクロック回路(図示せず)より一定周波数たとえば150kHzのクロック信号CKがスイッチング制御回路50に供給される。
【0031】
スイッチング制御回路50によるPWM制御において、1サイクル内でNMOSトランジスタ42がオンしている期間中は、入力電圧VINを入力する電圧入力端子52からインダクタンスコイル40およびNMOSトランジスタ42を通ってグランド電位の端子に電流が流れ、インダクタンスコイル40にエネルギーが蓄えられる。そして、1サイクル内でNMOSトランジスタ42がオフすると、インダクタンスコイル40に蓄えられたエネルギーがダイオード44を介してコンデンサ46側に放出され、コンデンサ46が入力電圧VINよりも高い電圧に充電され、コンデンサ46の端子間電圧がLED駆動電圧VLEDとして出力端子54より出力されるようになっている。
【0032】
図3に、LEDドライバIC14(0)内の回路構成例を示す。他のLEDドライバIC14(1)〜14(N−1)も同じ回路構成を有している。
【0033】
図3に示すように、LEDドライバIC14(0)内には、16チャンネルの定電流駆動回路60(0)〜60(15)が設けられている。各定電流駆動回路60(y)(y=0〜15)は、各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)(図1)とグランド電位の端子との間で直列に接続されているスイッチング素子62(y)および定電流源64(y)と、各対応するブロックByの輝度または明るさの度合いを諧調で指示するグレイスケール・データGSyに基づいて該スイッチング素子62(y)のオン・オフ動作をPWM制御方式で制御するグレイスケールPWM制御回路66(y)とを主たる構成要素としている。
【0034】
ローカル・ダイミングを行うために、コントローラ38(図1)より一定サイクル(たとえば120Hz)毎にシリアル転送で送られてくるグレイスケール・データGSyが、入力シフトレジスタ68,70を介して各GSレジスタ72(y)にロードされる。各PWM制御回路66(y)は、各GSレジスタ72(y)にロードされたグレイスケール・データGSyに基づいて、1サイクル内でスイッチング素子62(y)をオンにする時間つまりLED駆動電流Iyが流れる時間(パルス幅)をPWM制御方式で可変制御するようになっている。グレイスケール・データGSyがたとえば12ビットの場合、各チャンネルのLED駆動電流Iyについて4096(212)段階のパルス幅制御が可能であり、これにより各ブロックBy毎に4096諧調の輝度制御が可能である。
【0035】
LEDドライバIC14(0)内には、他の付随的な機能として、チャンネル間でLED駆動電流I0〜I15のばらつきをなくすように定電流源64(0)〜64(15)をそれぞれ個別に制御するドット補正回路74(0)〜74(15)が設けられている。初期化でコントローラ38(図1)よりシリアル転送で送られてくる各チャンネル分のドット補正データDCyは、入力シフトレジスタ68,70を介して各DCレジスタ78(y)にロードされる。各ドット補正回路74(y)は、各DCレジスタ78(y)にロードされたドット補正データDCyに基づいて、各定電流源64(y)の流す電流値つまりLED駆動電流Iyを補正するようになっている。ドット補正データがたとえば6ビットの場合、各チャンネルのLED駆動電流Iyについて64段階の微調整を行うことができる。さらに、LEDドライバIC14(0)内には、定電流駆動回路60(0)〜60(15)でLED破損等に起因する開路が発生した時にそれを検出するLEDオープン検出回路76(0)〜76(15)等も設けられている。
【0036】
再び図1において、この実施形態のLED装置において、従来のLED装置(図11)と最も大きく異なる点は、LEDアレイ12に接続されているm個の電流端子OUT0〜OUTm−1にそれぞれ得られるm個のヘッドルーム電圧HV(0)〜HV(m−1)を後述する第2のフィードバック回路80を介してDC−DCコンバータ16にフィードバックしていることである。このLED装置のコントローラ38は、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)およびDC−DCコンバータ16に対してだけでなく、第2のフィードバック回路80に対しても所定の制御を行う。この実施形態では、コントローラ38とフィードバック回路80とで本発明におけるヘッドルーム電圧監視回路が構成されている。
【0037】
第2のフィードバック回路80は、DC−DCコンバータ16のフィードバック電圧入力端子FBとグランド電位端子との間に直列に接続された抵抗82およびNMOSトランジスタ84と、m個の電流端子OUT0〜OUTm−1にそれぞれ得られるm個のヘッドルーム電圧HV(0)〜HV(m−1)を所定の基準電圧VSと比較するm個のコンパレータ86(0)〜86(m−1)と、これらのコンパレータ86(0)〜86(m−1)よりそれぞれ出力されるm個の比較結果信号CO0〜COm−1に応じてNMOSトランジスタ84を制御するフィードバック制御回路88とを有している。
【0038】
各コンパレータ86(y)(y=0〜m−1)は、各電流端子OUTyのヘッドルーム電圧HVyを一方の入力端子(+)に入力するとともに、基準電圧発生回路95からの所定の基準電圧VSを他方の入力端子(−)に入力し、ヘッドルーム電圧HVyが基準電圧VSよりも高いときはHレベルの比較結果信号COyを出力し、ヘッドルーム電圧HVyが基準電圧VSよりも低いときはLレベルの比較結果信号COyを出力するようになっている。
【0039】
フィードバック制御回路88は、m個の上記コンパレータ86(0)〜86(m−1)の出力端子に接続された論理回路90と、この論理回路90の出力端子に接続されたD型フリップフロップからなるラッチ回路92と、このラッチ回路92の出力端子に接続されたPMOSトランジスタ94と、このPMOSトランジスタ94の出力端子とNMOSトランジスタ84のゲート端子との間に接続された時定数回路96とを有している。
【0040】
論理回路90は、それぞれのカソード端子がコンパレータ86(0)〜86(m−1)の出力端子に接続され、それぞれのアノード端子がラッチ回路92のデータ入力端子(D)に共通接続されたm個のダイオード98(0)〜98(m−1)と、これらダイオード98(0)〜98(m−1)のアノード端子またはノードNBと電源電圧VCCの端子との間に接続されているプルアップ抵抗100とで構成されている。コンパレータ86(0)〜86(m−1)よりそれぞれ出力される比較結果信号CO0〜COm−1の全部がHレベルのときはノードNBにHレベルの判定信号SAが得られ、比較結果信号CO0〜COm−1の少なくとも1つがLレベルのときはノードNBにLレベルの判定信号SAが得られるようになっている。このように、この実施形態における論理回路90は、AND回路として機能する。
【0041】
ラッチ回路92のクロック端子(C)には、所定のサイクル毎に(すなわち、各LEDドライバIC14(x)におけるLED駆動電流ILEDのPWM制御のサイクル毎に)、所定のタイミングで(すなわち、LED駆動電流ILEDの流れる電流持続時間の開始直後に)、コントローラ38よりサンプリングクロックSCKが供給される。ラッチ回路92は、このサンプリングクロックSCKに応動して判定信号SAをラッチし、ラッチした判定信号SAと同一の論理レベルを有する出力(Q)をPMOSトランジスタ94のゲート端子に与える。
【0042】
PMOSトランジスタ94は、ソース端子が電源電圧VCCの端子に接続され、ドレイン端子(出力端子)が抵抗102を介してグランド電位の端子に接続されるとともに時定数回路96を介してNMOSトランジスタ84のゲート端子に接続されている。時定数回路96は、抵抗104とコンデンサ106とで構成されている。
【0043】
ラッチ回路92の出力信号(Q)がHレベルのとき、つまり直前のサンプリングクロックSCKのタイミングで全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0〜HV15がいずれも基準電圧VSより高かったときは、PMOSトランジスタ94がオフ状態になる。PMOSトランジスタ94がオフ状態になっている時は、時定数回路96のコンデンサ106が抵抗104,102を介して放電し、ノードNCの電位つまりNMOSトランジスタ84のゲート電圧VGが下がる。これによって、第1のフィードバック回路を構成する分圧抵抗24,26のノードNAから抵抗82およびNMOSトランジスタ84を通って流れるバイパス電流iが減少し、または電流iが流れなくなり、DC−DCコンバータ16のフィードバック電圧入力端子FBに入力されるフィードバック電圧VFBは上昇する。
【0044】
ラッチ回路92の出力信号(Q)がLレベルのとき、つまり直前のサンプリングクロックSCKのタイミングでヘッドルーム電圧HV0〜HV15の少なくとも1つが基準電圧VSより低かったときは、PMOSトランジスタ94がオン状態になる。PMOSトランジスタ94がオン状態になっている時は、時定数回路96のコンデンサ106がPMOSトランジスタ94および抵抗104を介して充電され、ノードNCの電位つまりNMOSトランジスタ84のゲート電圧VGが上昇する。これによって、分圧抵抗24,26のノードNAから抵抗82およびNMOSトランジスタ84を通って流れるバイパス電流iが増大し、フィードバック電圧VFBは低下する。
【0045】
このように、この実施形態における第2のフィードバック回路80は、コントローラ38より一定周期で与えられるサンプリングクロックSCKのタイミングで全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0〜HV15がすべて基準電圧VSよりも高かったときはDC−DCコンバータ16に対するフィードバック電圧VFBを上昇させ、ヘッドルーム電圧HV0〜HV15の少なくとも1つが基準電圧VSよりも低かったときはフィードバック電圧VFBを低下させるように働く。
【0046】
DC−DCコンバータ16においては、フィードバック電圧VFBが基準電圧VREFより低いときは、この誤差を零にするように、つまり出力電圧VLEDの電圧レベルを上げるように、スイッチング制御回路50(図2)がスイッチング素子42のオン・オフ動作のデューティを上げる。反対に、フィードバック電圧VFBが基準電圧VREFよりも高いときは、この誤差を零にするように、つまり出力電圧VLEDの電圧レベルを下げるように、スイッチング制御回路50がスイッチング素子42のオン・オフ動作のデューティを下げる。
【0047】
なお、第2のフィードバック回路80の伝送特性を任意に調整することが可能であり、時定数回路96の時定数、抵抗24,26,82の抵抗値、基準電圧VREF等は適宜選定されてよい。
【0048】
図4に、時定数回路96のノードNCに得られる制御電圧VGとDC−DCコンバータ16の出力電圧(LED駆動電圧)VLEDとの間のDC的な関係(VG−VLED特性)の一例を示す。この例では、LED駆動電圧VLEDの変動が39ボルト〜42.5ボルトの範囲内に収まるように、制御電圧VGが1.0ボルト〜1.6ボルトの範囲内で変化するように設定される。LED駆動電圧VLEDの許容変動幅は、LEDアレイの構成、LEDの順方向電圧特性、周囲温度等に依存して決まる。
【0049】
次に、図6〜図10につき、この実施形態におけるLED装置の作用を説明する。ここで、説明の簡略化と理解の便宜を図るため、図5に示すようにLEDアレイ12においてn=12,m=3の場合を例にとる。なお、図5に示すように、第2のフィードバック回路80において、NMOSトランジスタ84のゲート端子またはノードNBに常時一定のバイアス電圧を与えるための抵抗バイアス回路108,110を設ける構成も可能である。この構成では、NMOSトランジスタ84を常時オン状態にしてパイパス電流iを可変させることができる。
【0050】
図6に、このLED装置における定常時の各部の波形の一例を示す。図6の(A)は、コントローラ38より各LEDドライバIC14(x)に一定サイクル(たとえば120Hz)で与えられる水平ブランキング信号BLANKを示す。
【0051】
図6の(B)は、LEDアレイ12の全チャンネルのLED駆動電流I0,I1,I2を示す。ここでは、全てのLED駆動電流I0,I1,I2がPWM制御で同一のパルス幅に制御されるようにしている。
【0052】
図6の(C)は、コントローラ38より第2のフィードバック回路80のラッチ回路92に与えられるサンプリングクロックSCKを示す。図示のように、サンプリングクロックSCKのタイミングは、PWM制御による全LED駆動電流I0,I1,I2の可変パルス時間の開始直後に設定されている。
【0053】
図6の(D)は、全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2を示す。ここでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が同一の波形で変化するものと仮定している。
【0054】
図6の(E)は、ラッチ回路92の出力信号(Q)を示す。図6の(F)は、第2のフィードバック回路80内のノードNCに得られる制御電圧VGを示す。図6の(G)は、第2のフィードバック回路80のNMOSトランジスタ84を流れるバイパス電流iを示す。図6の(H)は、DC−DCコンバータ16のフィードバック電圧入力端子FBに入力されるフィードバック電圧VFBを示す。図6の(I)は、DC−DCコンバータ16より出力されるLED駆動電圧VLEDを示す。
【0055】
図6に示すように、サンプリングクロックSCK(1)のタイミングでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSよりも高い。そうすると、第2のフィードバック回路80においては、ラッチ回路92の出力信号(Q)がそれまでのLレベルからHレベルに変わり、制御電圧VGがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じ、バイパス電流iがそれまでのリニアな増大からリニアな減少に転じる。これによって、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じ、出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じる。LED駆動電圧VLEDがリニアに低下すると、PWM制御の各サイクル内でLED駆動電流I0,I1,I2が流れている期間中にヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに低下し、LED駆動電流I0,I1,I2の流れない期間中もヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに低下する。
【0056】
次のサンプリングクロックSCK(2)のタイミングでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSよりも低くなる。そうすると、第2のフィードバック回路80においては、ラッチ回路92の出力信号(Q)がそれまでのHレベルからLレベルに変わり、制御電圧VGがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じ、バイパス電流iがそれまでのリニアな減少からリニアな増大に転じる。これによって、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じ、出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じる。LED駆動電圧VLEDがリニアに上昇すると、PWM制御の各サイクル内でLED駆動電流I0,I1,I2が流れている期間中にヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに上昇し、LED駆動電流I0,I1,I2の流れない期間中もヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに上昇する。
【0057】
以降も、図6に示すように、上記と同様の動作が繰り返される。このように、この実施形態のLED装置においては、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSを割ったり超えたりしながら基準電圧VS付近に維持されるように、第2のフィードバック回路80がDC−DCコンバータ16に作用し、LED駆動電圧VLEDが動的に可変制御される。
【0058】
図6の例では全チャンネルのLED駆動電流I0,I1,I2がPWM制御で同一のパルス幅に制御されるものとした場合に、それぞれのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が同一の波形で変化するものと仮定したが、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2の間で波形が互いに異なる場合もある。図7に、ヘッドルーム電圧HV0,HV1の波形が同じで,ヘッドルーム電圧HV2の波形が異なる場合の各部の波形を示す。
【0059】
図7の例の場合は、第3のサンプリングクロックSCK(3)の直前までは、図6の例の場合と略同じである。しかし、このサンプリングクロックSCK(3)のタイミングで、ヘッドルーム電圧HV2は基準電圧VSよりも高くなるが、ヘッドルーム電圧HV0,HV1が基準電圧VSよりも低くなるため、第2のフィードバック回路80においてラッチ回路92の出力信号(Q)はそれまでのLレベルを維持し続ける。これにより、制御電圧VGはリニアな上昇を維持し、バイパス電流iはリニアな増大を維持する。この結果、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがリニアな低下を維持し、出力電圧圧VLEDはリニアな上昇を維持する。
【0060】
しかし、次の第4のサンプリングクロックSCK(4)のタイミングでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSよりも高くなる。そうすると、第2のフィードバック回路80においては、ラッチ回路92の出力信号(Q)がそれまでのLレベルからHレベルに変わり、制御電圧VGがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じ、バイパス電流iがそれまでのリニアな増大からリニアな減少に転じる。これによって、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じ、出力電圧VLEDがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じる。
【0061】
こうして、この場合も、ヘッドルーム電圧HV0,HV1とヘッドルーム電圧HV2が周期を異にしながらも基準電圧VSを割ったり超えたりしながら基準電圧VS付近に維持されるように、第2のフィードバック回路80がDC−DCコンバータ16に作用し、LED駆動電圧VLEDが動的に可変制御される。
【0062】
図示省略するが、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2の波形が全て異なる場合、さらにはLED駆動電流I0,I1,I2のパルス幅が区々の場合も、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2の全部または一部が周期を区々にしながらも基準電圧VSを割ったり超えたりしながら基準電圧VS付近に維持されるように、第2のフィードバック回路80を通じてDC−DCコンバータ16の出力電圧VLEDが動的に可変制御される。
【0063】
次に、ローカル・ダイミング機能における本実施形態の効果を説明する。図8に、図5の装置構成においてPWM制御のデューティを一定の周期(たとえば500sec)毎に5%と95%とで交互に切り替えてLEDアレイ12の3ブロックB1,B2,B3の輝度を一様に変化させた実験例のパターンを示す。図9に、この実験例において得られたヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)およびLED駆動電圧VLEDの波形を示す。
【0064】
図9に示すように、この実施形態のLED装置においては、LED駆動電圧VLEDがデューティ5%のサイクルでは約41.0ボルト、デューティ95%のサイクルでは約40.0ボルトと交互に段差のある2つの値をとり、これによって、ヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)は全サイクルを通じて約1.5ボルト付近に保たれた。また、LED駆動電流(I0,I1,I2)を100mAとした場合にLEDアレイ12、LEDドライバIC14(1),14(2),14(3)およびDC−DCコンバータ16で発生した全消費電力は、周囲温度25℃の下では6719mW、周囲温度60℃の下では6499mWであった。
【0065】
図10に、比較例として、図5の装置構成において第2のフィードバック回路80を省いて上記と同じパターンの実験を行った場合に得られたヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)およびLED駆動電圧VLEDの波形を示す。この場合は、LED駆動電圧VLEDがデューティ5%のサイクルでは約41.1ボルト、デューティ95%のサイクルでは約41.2ボルトと僅かしか変化せず、その一方でヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)はデューティ5%のサイクルでは約1.7ボルト、デューティ95%のサイクルでは約2.6ボルトと大きく変動した。また、この比較例において、LED駆動電流(I0,I1,I2)を100mAとした場合にLEDアレイ12、LEDドライバIC14(1),14(2),14(3)およびDC−DCコンバータ16で発生した全消費電力は、周囲温度25℃の下では6863mW、周囲温度60℃の下では6894mWであった。
【0066】
このように、本実施形態のLED装置は、ローカル・ダイミング機能においてもヘッドルーム電圧の安定性および消費電力の低減を改善できることが実験で確認されている。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0068】
たとえば、上記した実施形態では、ヘッドルーム電圧監視回路[38,80]が全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0〜HVm−1を監視したが、一部のヘッドルーム電圧のみを監視することも可能である。特に、LEDアレイ12を構成するLED10の特性のばらつきが小さいときは、代表的に選んだ1チャンネルまたは数チャンネルのヘッドルーム電圧のみを第2のフィードバック回路80を介してDC−DCコンバータ16にフィードバックしてもよい。
【0069】
また、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)において、図示省略するが、LEDオープン検出回路76(0)〜76(m−1)をコンパレータ、論理回路およびラッチ回路で構成することができる。この場合、各コンパレータの一方の入力端子には各チャンネルの電流端子OUTyの電圧が入力され、他方の入力端子には専用の基準電圧発生回路より所定の基準電圧VOPが入力される。したがって、ヘッドルーム電圧監視用の基準電圧VSとLEDオープン検出用の基準電圧VOPとを時分割的に切り替えて、同一のコンパレータ、論理回路およびラッチ回路を第1のフィードバック回路80およびLEDオープン検出回路76(0)〜76(m−1)に兼用する構成も可能である。
【0070】
各LEDドライバIC14(x)内の他の構成、特に定電流駆動回路60(y)やPWM制御回路66(y)等の構成も種種の変形が可能である。また、DC−DCコンバータ16もチョッパ方式昇圧形に限るものではなく、他の方式たとえばトランスを使用する絶縁形も可能である。
【0071】
本発明のLED装置は、バックライトに限らず、照明やディスプレイ等の他のLEDアプリケーションにも適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 LED
12 LEDアレイ
14(0)〜14(N−1) LEDドライバIC
16 DC−DCコンバータ
24,26 分圧抵抗(第1のフィードバック回路)
38 コントローラ
48 スイッチング電源部
50 スイッチング制御回路
FB フィードバック電圧入力端子
REF 基準電圧入力端子
60(0)〜60(15) 定電流駆動回路
62(0)〜62(15) スイッチング素子
64(0)〜64(15) 定電流源
66(0)〜66(15) グレイスケールPWM制御回路
80 第2のフィードバック回路
82 抵抗
84 NMOSトランジスタ
86(0)〜86(m−1) コンパレータ
88 フィードバック制御回路
90 論理回路
92 ラッチ回路
94 PMOSトランジスタ
95 基準電圧発生回路
96 時定数回路
98(0)〜98(m−1) ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト、照明、ディスプレイ等に用いられるLED装置、およびLEDを発光駆動するためのLED駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、LED(発光ダイオード)は、高輝度で発光するものや、白色その他様々な色を発光するものが開発・量産されており、バックライト、照明、ディスプレイなどに広く利用されている。
【0003】
図11に、LCD(液晶ディスプレイ)−TV(テレビジョン)向けのバックライトに用いられている従来のLCD装置の回路構成を示す。図示のように、このLCD装置は、n×m(n,mは2以上の整数)個のLED[10(0,0)・・・10(n−2,0),10(n−1,0)]〜[10(0,m−1)・・・10(n−2,m−1),10(n−1,m−1)]からなるLEDアレイ12と、たとえば16チャンネル型の1個または複数(N)個のLEDドライバIC(集積回路)14(0)〜14(N−1)と、直流電源たとえばDC−DCコンバータ16と、コントローラ18とを有している。
【0004】
図11において、各列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)(y=0〜m−1)は、DC−DCコンバータ16の出力端子とLEDドライバIC14の各対応する電流端子OUTyとの間で電気的に直列に接続されている。たとえば、第1列のLED10(0,0)・・・10(n−2,0),10(n−1,0)は、DC−DCコンバータ16の出力端子と1番目のLEDドライバIC14(0)の1番目の電流端子OUT0との間で電気的に直列に接続されている。また、第m列のLED10(0,m−1)・・・10(n−2,m−1),10(n−1,m−1)は、DC−DCコンバータ16の出力端子とN番目のLEDドライバIC14(N−1)で使用される最後尾の電流端子OUTm−1との間で電気的に直列に接続されている。
【0005】
このLEDバックライトは、エリアライト方式であり、図12に示すようにバックライト領域22をマトリクス状にm個(m=i×j)のブロックB0,B1・・・Bm−1に分割し、各ブロックBy内に図11の各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)をたとえば図13に示すような一定の密度分布で二次元的に配置している。
【0006】
図11において、DC−DCコンバータ16は、たとえばチョッパ方式昇圧形コンバータとして動作するスイッチング電源であり、たとえば24ボルトで入力される直流の入力電圧VINを昇圧して一定レベルたとえば50ボルトの直流電圧をLED駆動電圧VLEDとして出力する。
【0007】
このDC−DCコンバータ16は、その出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDについて定電圧制御を行うために、基準電圧入力端子REF、フィードバック電圧入力端子FB、分圧抵抗24,26からなるフィードバック回路等を有している。より詳細には、DC−DCコンバータ16の出力端子とグランド電位端子との間に抵抗24,26が直列に接続され、両抵抗の間のノードNAがフィードバック電圧入力端子FBに接続されている。両抵抗24,26の抵抗値をそれぞれR24,R26とすると、LED駆動電圧VLEDに係数R26/(R24+R26)を乗じた値の分圧電圧VAがノードNAに得られ、この分圧電圧VAがフィードバック電圧としてフィードバック電圧入力端子FBに入力される。一方、基準電圧入力端子REFには、たとえばコントローラ18からの一定の基準電圧VREFが入力される。DC−DCコンバータ16は、抵抗分圧回路[24,26]からのフィードバック電圧VAが基準電圧VREFに等しくなるように、スイッチング電源の動作を行うようになっている。
【0008】
各LEDドライバIC14(x)(x=0〜N−1)は、16チャンネルのシンク型定電流駆動回路を有しており、各々の定電流駆動回路の出力端子を上記電流端子OUTy(y=0〜m−1)としている。各チャンネルの定電流駆動回路は、各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)に一定のLED駆動電流Iyを流すように働く。ただし、安定した定電流動作を保証するためには、各電流端子OUTyに所定レベルを上回る電圧がヘッドルーム電圧HVyとして常時保たれていなければならず、このヘッドルーム電圧条件を満たすように、DC−DCコンバータ16の出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDが設定される。ここで、各電流端子OUTyにおけるヘッドルーム電圧HVyは、各対応するLED直列回路[10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)]で生じる全電圧降下をVy(0〜n−1)すると、HVy=VLED−Vy(0〜n−1)で表される。
【0009】
各LEDドライバIC14(x)には、コントローラ18より所要のクロック信号と共に当該LEDバックライトの明るさを制御するためのデータおよび制御信号が入力される。最近のLCD−TVでは、1画面内で画像に応じてLEDバックライトの明るさをエリアまたはブロック単位で独立に可変制御するローカル・ダイミング(local dimming)の手法が用いられている。このローカル・ダイミングを行うために、コントローラ18より一定サイクル(たとえば120Hz)毎に各ブロックByの輝度または明るさの度合いを諧調で示すグレイスケール・データが各対応する定電流駆動回路にシリアル転送で送り込まれ、各定電流駆動回路が各グレイスケール・データに基づいて1サイクル内でLED駆動電流Iyを流す時間またはデューティをPWM(パルス幅変調)制御方式で可変制御するようにしている。
【0010】
なお、図11において、各列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)と各対応するチャンネルの電流端子OUTyとの間には、LED短絡時の高電圧から各定電流駆動回路を保護するためのNMOSトランジスタ28が設けられている。このNMOSトランジスタ28は、抵抗30,32からなる分圧回路より与えられるバイアス電圧VKによってバイアスされ、各電流端子OUTyの電圧を一定値(VK+Vth)以下に制限する。ここで、VthはNMOSトランジスタ28のしきい値電圧である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般に、LEDの順方向電圧には負の温度特性があり、LEDの温度が低いほど発光状態のLEDで生じる電圧降下は大きくなり、そのぶん各LEDドライバIC14(x)では各電流端子OUTyに得られるヘッドルーム電圧HVyが低くなる。このため、LCD−TVの最低動作温度の下でも各電流端子OUTyに一定値以上のヘッドルーム電圧HVyが保証されるように、DC−DCコンバータ16の出力電圧VLEDが設定される。
【0012】
一方で、周囲温度の上昇やLEDの自己発熱によってLED温度が高くなるほど、発光状態のLEDで生じる電圧降下は小さくなり、そのぶん各LEDドライバIC14(x)では各電流端子OUTyにおけるヘッドルーム電圧HVyが高くなり、これが問題となっている。すなわち、各定電流駆動回路は一定のLED駆動電流Iyを流すように動作するので、ヘッドルーム電圧HVyが高くなるほど、定電流駆動回路の消費電力は増大する。さらに、LEDドライバIC14(x)全体の消費電力(発熱量)がそのICパッケージの許容損失を上回ると、ドライバ回路が破損または故障して正常に動作しなくなり、信頼性の低下を来たす。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、LEDの発光駆動に際して定電流駆動回路で生じる消費電力を抑制ないし低減するとともに、定電流駆動回路の安定ないし正常な動作を保証するようにしたLED駆動回路およびLED装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明のLED駆動回路は、1個または電気的に直列接続された複数個のLED(発光ダイオード)を発光駆動するためのLED駆動回路であって、直流のLED駆動電圧を出力する直流電源と、前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対して前記LEDと直列に接続される定電流駆動回路と、前記定電流駆動回路の電流端子に得られるヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路とを有する。
【0015】
また、本発明のLED装置は、直流のLED駆動電流を出力する直流電源と、n個(nは2以上の整数)のLEDを電気的に直列接続してなるm個(mは2以上の整数)のLED直列回路が前記直流電源の出力端子に対して電気的に並列に接続されているLEDアレイと、前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対してm個の前記LED直列回路とそれぞれ直列に接続されているm個の定電流駆動回路と、m個の前記定電流駆動回路の電流端子にそれぞれ得られるヘッドルーム電圧の少なくとも1つが第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路とを有する。
【0016】
本発明においては、直流電源および定電流駆動回路により各LEDに一定のLED駆動電流が注入されるとともに、定電流駆動回路の電流端子に得られるヘッドルーム電圧がヘッドルーム電圧監視回路によって監視される。ヘッドルーム電圧監視回路は、ヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に保たれるように、直流電源に作用してその出力電圧つまりLED駆動電圧を動的に可変制御させる。これにより、環境温度やLEDの自己発熱等に起因してLEDの電圧降下が変動しても、特に下がる方向に変動しても、ヘッドルーム電圧監視回路を介したフィードバックループが働いてヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に安定に維持されるので、定電流駆動回路で生じる消費電力および発熱量を一定限度内に抑制することができる。
【0017】
本発明の好適な一態様によれば、直流電源は、高周波数でオン・オフ可能な第1のスイッチング素子を有し、この第1のスイッチング素子をオン・オフ動作させて直流の入力電圧をLED駆動電圧に変換するスイッチング電源部と、このスイッチング電源部における第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部と、LED駆動電圧をスイッチング制御部にフィードバックする第1のフィードバック回路とを有する。そして、ヘッドルーム電圧監視回路は、ヘッドルーム電圧を直流電源のスイッチング制御部にフィードバックする第2のフィードバック回路を有する。
【0018】
この場合において、好ましくは、スイッチング制御部は、基準電圧入力端子とフィードバック電圧入力端子とを有し、フィードバック電圧入力端子に入力される電圧が基準電圧入力端子に入力される第2の基準電圧に等しくなるように、第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御する。また、第1のフィードバック回路が、スイッチング電源部の出力端子と基準電位の端子との間に接続された第1および第2の抵抗を有し、第1の抵抗と第2の抵抗との間のノードをスイッチング制御部のフィードバック電圧入力端子に接続している。そして、第2のフィードバック回路は、スイッチング制御部のフィードバック電圧入力端子と基準電位の端子との間に接続された第1のトランジスタと、ヘッドルーム電圧と第1の基準電圧とを比較して、両電圧の高低関係を示す比較結果信号を出力するコンパレータと、このコンパレータより出力された比較結果信号に応じて第1のトランジスタを制御するフィードバック制御回路とを有する。
【0019】
さらに好ましくは、第2のフィードバック回路において、スイッチング制御部のフィードバック電圧入力端子と基準電位の端子との間で第1のトランジスタと直列に第3の抵抗を接続してよい。
【0020】
また、好ましい一態様として、フィードバック制御回路は、コンパレータより出力される比較結果信号を一定サイクル毎に所定のタイミングでラッチするラッチ回路と、このラッチ回路にラッチされた比較結果信号を制御信号として入力し、ヘッドルーム電圧が第1の基準電圧よりも高かったことを比較結果信号が示しているときはオン状態になって、第1のトランジスタをオンさせ、または第1のトランジスタを流れる電流を増大させ、ヘッドルーム電圧が第1の基準電圧よりも低かったことを比較結果信号が示しているときはオフ状態になって、第1のトランジスタをオフさせ、または第1のトランジスタを流れる電流を減少させる第2のトランジスタとを更に有する。
【0021】
また、好ましい一態様として、フィードバック制御回路において、第2のトランジスタの出力端子と第1のトランジスタの制御端子との間に時定数回路を接続してもよい。さらに、第1のトランジスタの制御端子に一定のバイアス電圧を与えるバイアス回路を設けてもよい。
【0022】
また、好ましい一態様として、定電流駆動回路は、LED駆動電流を一定に保つための定電流源と、この定電流源と直列に接続される高周波数でオン・オフ可能な第2のスイッチング素子と、この第2のスイッチング素子をパルス幅変調方式で一定の周期毎にオン・オフさせるLED輝度制御回路とを有する。
【0023】
また、本発明のLED装置においては、好ましい一態様として、1つの面光源がm個のブロックからなり、m個のブロックにm個のLED直列回路およびm個の定電流駆動回路がそれぞれ割り当てられ、各々のブロック内で当該LED直列回路を構成するn個のLEDが一定の密度分布で二次元的に配置される。この場合、各々のブロック毎にパルス幅変調方式によるデューティが個別に制御されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のLED装置またはLED駆動回路によれば、上記のような構成および作用により、LEDの発光駆動に際して定電流駆動回路で生じる消費電力を抑制ないし低減するとともに、定電流駆動回路の安定ないし正常な動作を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態におけるLED駆動回路を有するLED装置の回路構成を示す回路図である。
【図2】実施形態のLED装置で使用されるDC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図3】実施形態のLED装置で使用されるLEDドライバIC内の構成例を示すブロック図である。
【図4】実施形態のLED装置において第2のフィードバック回路内のノードNCにおける制御電圧VGとDC−DCコンバータの出力電圧(LED駆動電圧)VLEDとの間のDC的な関係の一例を示す図である。
【図5】実施形態のLED装置においてLEDアレイをn=12,m=3の配列構成にした場合の回路構成を示す回路図である。
【図6】実施形態のLED装置(図5)のある条件下の作用を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【図7】実施形態のLED装置(図5)の別の条件下の作用を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【図8】ローカル・ダイミング機能における実施形態のLED装置(図5)の効果を検証するために行った実験で用いたデューティ制御のパターンを示す図である。
【図9】上記実験で得られたヘッドルーム電圧およびLED駆動電圧の波形を示す波形図である。
【図10】比較例として、実施形態のLED装置(図5)において第2のフィードバック回路を省いて同一の実験を行った場合に得られたヘッドルーム電圧およびLED駆動電圧の波形を示す。
【図11】LCD−TV向けのバックライトに用いられている従来のLCD装置の回路構成を示す回路図である。
【図12】LEDバックライトをマトリクス状に多数のブロックに分割する構成を示す図である。
【図13】LEDバックライトの各ブロックにおけるLEDの配置構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1〜図10を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0027】
図1に、本発明の一実施形態におけるLED駆動回路を有するLED装置の回路構成を示す。このLED装置は、たとえばLCD−TV向けのLEDバックライトに使用可能である。図中、図11の従来装置のものと同様の構成または機能を有する素子または回路には同一の符号を附してある。
【0028】
このLED装置は、従来のLED装置(図11)と共通する主な構成として、n×m個(n,mは2以上の整数)のLED[10(0,0)・・・10(n−2,0),10(m−1,0)]〜[10(0,m−1)・・・10(n−2,m−1),10(n−1,m−1)]からなるLEDアレイ12と、たとえば16チャンネル型の1個または複数(N)個のLEDドライバIC14(0)〜14(N−1)と、直流電源たとえばDC−DCコンバータ16と、フィードバック用の分圧抵抗24,26と、高圧保護用のトランジスタ28と、バイアス回路[30,32]とを有している。この実施形態では、分圧抵抗24,26によって構成されるフィードバック回路を第1のフィードバック回路としている。
【0029】
従来のLED装置(図11)と同様に、LEDアレイ12において、各列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)(y=0〜m−1)は、DC−DCコンバータ16の出力端子といずれかのLEDドライバIC14(x)(x=0〜N−1)の各対応する電流端子OUTyとの間で電気的に直列に接続されている。また、このLEDバックライトは、エリアライト方式であり、図12に示すようにバックライト領域22をマトリクス状にm個(m=i×j)のブロックB0,B1・・・Bm−1に分割し、各ブロックBy内に図1の各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)を図13のような一定の密度分布で二次元的に配置している。
【0030】
図2に、DC−DCコンバータ16の一構成例を示す。このDC−DCコンバータ16は、インダクタンスコイル40、NMOSトランジスタ(スイッチング素子)42、ダイオード44、コンデンサ46からなるスイッチング電源部48と、NMOSトランジスタ42のオン・オフ動作をパルス制御方式たとえばPWM制御方式で制御するスイッチング制御回路50とを有している。PWM制御のために、コントローラ38またはクロック回路(図示せず)より一定周波数たとえば150kHzのクロック信号CKがスイッチング制御回路50に供給される。
【0031】
スイッチング制御回路50によるPWM制御において、1サイクル内でNMOSトランジスタ42がオンしている期間中は、入力電圧VINを入力する電圧入力端子52からインダクタンスコイル40およびNMOSトランジスタ42を通ってグランド電位の端子に電流が流れ、インダクタンスコイル40にエネルギーが蓄えられる。そして、1サイクル内でNMOSトランジスタ42がオフすると、インダクタンスコイル40に蓄えられたエネルギーがダイオード44を介してコンデンサ46側に放出され、コンデンサ46が入力電圧VINよりも高い電圧に充電され、コンデンサ46の端子間電圧がLED駆動電圧VLEDとして出力端子54より出力されるようになっている。
【0032】
図3に、LEDドライバIC14(0)内の回路構成例を示す。他のLEDドライバIC14(1)〜14(N−1)も同じ回路構成を有している。
【0033】
図3に示すように、LEDドライバIC14(0)内には、16チャンネルの定電流駆動回路60(0)〜60(15)が設けられている。各定電流駆動回路60(y)(y=0〜15)は、各対応する列のLED10(0,y)・・・10(n−2,y),10(n−1,y)(図1)とグランド電位の端子との間で直列に接続されているスイッチング素子62(y)および定電流源64(y)と、各対応するブロックByの輝度または明るさの度合いを諧調で指示するグレイスケール・データGSyに基づいて該スイッチング素子62(y)のオン・オフ動作をPWM制御方式で制御するグレイスケールPWM制御回路66(y)とを主たる構成要素としている。
【0034】
ローカル・ダイミングを行うために、コントローラ38(図1)より一定サイクル(たとえば120Hz)毎にシリアル転送で送られてくるグレイスケール・データGSyが、入力シフトレジスタ68,70を介して各GSレジスタ72(y)にロードされる。各PWM制御回路66(y)は、各GSレジスタ72(y)にロードされたグレイスケール・データGSyに基づいて、1サイクル内でスイッチング素子62(y)をオンにする時間つまりLED駆動電流Iyが流れる時間(パルス幅)をPWM制御方式で可変制御するようになっている。グレイスケール・データGSyがたとえば12ビットの場合、各チャンネルのLED駆動電流Iyについて4096(212)段階のパルス幅制御が可能であり、これにより各ブロックBy毎に4096諧調の輝度制御が可能である。
【0035】
LEDドライバIC14(0)内には、他の付随的な機能として、チャンネル間でLED駆動電流I0〜I15のばらつきをなくすように定電流源64(0)〜64(15)をそれぞれ個別に制御するドット補正回路74(0)〜74(15)が設けられている。初期化でコントローラ38(図1)よりシリアル転送で送られてくる各チャンネル分のドット補正データDCyは、入力シフトレジスタ68,70を介して各DCレジスタ78(y)にロードされる。各ドット補正回路74(y)は、各DCレジスタ78(y)にロードされたドット補正データDCyに基づいて、各定電流源64(y)の流す電流値つまりLED駆動電流Iyを補正するようになっている。ドット補正データがたとえば6ビットの場合、各チャンネルのLED駆動電流Iyについて64段階の微調整を行うことができる。さらに、LEDドライバIC14(0)内には、定電流駆動回路60(0)〜60(15)でLED破損等に起因する開路が発生した時にそれを検出するLEDオープン検出回路76(0)〜76(15)等も設けられている。
【0036】
再び図1において、この実施形態のLED装置において、従来のLED装置(図11)と最も大きく異なる点は、LEDアレイ12に接続されているm個の電流端子OUT0〜OUTm−1にそれぞれ得られるm個のヘッドルーム電圧HV(0)〜HV(m−1)を後述する第2のフィードバック回路80を介してDC−DCコンバータ16にフィードバックしていることである。このLED装置のコントローラ38は、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)およびDC−DCコンバータ16に対してだけでなく、第2のフィードバック回路80に対しても所定の制御を行う。この実施形態では、コントローラ38とフィードバック回路80とで本発明におけるヘッドルーム電圧監視回路が構成されている。
【0037】
第2のフィードバック回路80は、DC−DCコンバータ16のフィードバック電圧入力端子FBとグランド電位端子との間に直列に接続された抵抗82およびNMOSトランジスタ84と、m個の電流端子OUT0〜OUTm−1にそれぞれ得られるm個のヘッドルーム電圧HV(0)〜HV(m−1)を所定の基準電圧VSと比較するm個のコンパレータ86(0)〜86(m−1)と、これらのコンパレータ86(0)〜86(m−1)よりそれぞれ出力されるm個の比較結果信号CO0〜COm−1に応じてNMOSトランジスタ84を制御するフィードバック制御回路88とを有している。
【0038】
各コンパレータ86(y)(y=0〜m−1)は、各電流端子OUTyのヘッドルーム電圧HVyを一方の入力端子(+)に入力するとともに、基準電圧発生回路95からの所定の基準電圧VSを他方の入力端子(−)に入力し、ヘッドルーム電圧HVyが基準電圧VSよりも高いときはHレベルの比較結果信号COyを出力し、ヘッドルーム電圧HVyが基準電圧VSよりも低いときはLレベルの比較結果信号COyを出力するようになっている。
【0039】
フィードバック制御回路88は、m個の上記コンパレータ86(0)〜86(m−1)の出力端子に接続された論理回路90と、この論理回路90の出力端子に接続されたD型フリップフロップからなるラッチ回路92と、このラッチ回路92の出力端子に接続されたPMOSトランジスタ94と、このPMOSトランジスタ94の出力端子とNMOSトランジスタ84のゲート端子との間に接続された時定数回路96とを有している。
【0040】
論理回路90は、それぞれのカソード端子がコンパレータ86(0)〜86(m−1)の出力端子に接続され、それぞれのアノード端子がラッチ回路92のデータ入力端子(D)に共通接続されたm個のダイオード98(0)〜98(m−1)と、これらダイオード98(0)〜98(m−1)のアノード端子またはノードNBと電源電圧VCCの端子との間に接続されているプルアップ抵抗100とで構成されている。コンパレータ86(0)〜86(m−1)よりそれぞれ出力される比較結果信号CO0〜COm−1の全部がHレベルのときはノードNBにHレベルの判定信号SAが得られ、比較結果信号CO0〜COm−1の少なくとも1つがLレベルのときはノードNBにLレベルの判定信号SAが得られるようになっている。このように、この実施形態における論理回路90は、AND回路として機能する。
【0041】
ラッチ回路92のクロック端子(C)には、所定のサイクル毎に(すなわち、各LEDドライバIC14(x)におけるLED駆動電流ILEDのPWM制御のサイクル毎に)、所定のタイミングで(すなわち、LED駆動電流ILEDの流れる電流持続時間の開始直後に)、コントローラ38よりサンプリングクロックSCKが供給される。ラッチ回路92は、このサンプリングクロックSCKに応動して判定信号SAをラッチし、ラッチした判定信号SAと同一の論理レベルを有する出力(Q)をPMOSトランジスタ94のゲート端子に与える。
【0042】
PMOSトランジスタ94は、ソース端子が電源電圧VCCの端子に接続され、ドレイン端子(出力端子)が抵抗102を介してグランド電位の端子に接続されるとともに時定数回路96を介してNMOSトランジスタ84のゲート端子に接続されている。時定数回路96は、抵抗104とコンデンサ106とで構成されている。
【0043】
ラッチ回路92の出力信号(Q)がHレベルのとき、つまり直前のサンプリングクロックSCKのタイミングで全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0〜HV15がいずれも基準電圧VSより高かったときは、PMOSトランジスタ94がオフ状態になる。PMOSトランジスタ94がオフ状態になっている時は、時定数回路96のコンデンサ106が抵抗104,102を介して放電し、ノードNCの電位つまりNMOSトランジスタ84のゲート電圧VGが下がる。これによって、第1のフィードバック回路を構成する分圧抵抗24,26のノードNAから抵抗82およびNMOSトランジスタ84を通って流れるバイパス電流iが減少し、または電流iが流れなくなり、DC−DCコンバータ16のフィードバック電圧入力端子FBに入力されるフィードバック電圧VFBは上昇する。
【0044】
ラッチ回路92の出力信号(Q)がLレベルのとき、つまり直前のサンプリングクロックSCKのタイミングでヘッドルーム電圧HV0〜HV15の少なくとも1つが基準電圧VSより低かったときは、PMOSトランジスタ94がオン状態になる。PMOSトランジスタ94がオン状態になっている時は、時定数回路96のコンデンサ106がPMOSトランジスタ94および抵抗104を介して充電され、ノードNCの電位つまりNMOSトランジスタ84のゲート電圧VGが上昇する。これによって、分圧抵抗24,26のノードNAから抵抗82およびNMOSトランジスタ84を通って流れるバイパス電流iが増大し、フィードバック電圧VFBは低下する。
【0045】
このように、この実施形態における第2のフィードバック回路80は、コントローラ38より一定周期で与えられるサンプリングクロックSCKのタイミングで全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0〜HV15がすべて基準電圧VSよりも高かったときはDC−DCコンバータ16に対するフィードバック電圧VFBを上昇させ、ヘッドルーム電圧HV0〜HV15の少なくとも1つが基準電圧VSよりも低かったときはフィードバック電圧VFBを低下させるように働く。
【0046】
DC−DCコンバータ16においては、フィードバック電圧VFBが基準電圧VREFより低いときは、この誤差を零にするように、つまり出力電圧VLEDの電圧レベルを上げるように、スイッチング制御回路50(図2)がスイッチング素子42のオン・オフ動作のデューティを上げる。反対に、フィードバック電圧VFBが基準電圧VREFよりも高いときは、この誤差を零にするように、つまり出力電圧VLEDの電圧レベルを下げるように、スイッチング制御回路50がスイッチング素子42のオン・オフ動作のデューティを下げる。
【0047】
なお、第2のフィードバック回路80の伝送特性を任意に調整することが可能であり、時定数回路96の時定数、抵抗24,26,82の抵抗値、基準電圧VREF等は適宜選定されてよい。
【0048】
図4に、時定数回路96のノードNCに得られる制御電圧VGとDC−DCコンバータ16の出力電圧(LED駆動電圧)VLEDとの間のDC的な関係(VG−VLED特性)の一例を示す。この例では、LED駆動電圧VLEDの変動が39ボルト〜42.5ボルトの範囲内に収まるように、制御電圧VGが1.0ボルト〜1.6ボルトの範囲内で変化するように設定される。LED駆動電圧VLEDの許容変動幅は、LEDアレイの構成、LEDの順方向電圧特性、周囲温度等に依存して決まる。
【0049】
次に、図6〜図10につき、この実施形態におけるLED装置の作用を説明する。ここで、説明の簡略化と理解の便宜を図るため、図5に示すようにLEDアレイ12においてn=12,m=3の場合を例にとる。なお、図5に示すように、第2のフィードバック回路80において、NMOSトランジスタ84のゲート端子またはノードNBに常時一定のバイアス電圧を与えるための抵抗バイアス回路108,110を設ける構成も可能である。この構成では、NMOSトランジスタ84を常時オン状態にしてパイパス電流iを可変させることができる。
【0050】
図6に、このLED装置における定常時の各部の波形の一例を示す。図6の(A)は、コントローラ38より各LEDドライバIC14(x)に一定サイクル(たとえば120Hz)で与えられる水平ブランキング信号BLANKを示す。
【0051】
図6の(B)は、LEDアレイ12の全チャンネルのLED駆動電流I0,I1,I2を示す。ここでは、全てのLED駆動電流I0,I1,I2がPWM制御で同一のパルス幅に制御されるようにしている。
【0052】
図6の(C)は、コントローラ38より第2のフィードバック回路80のラッチ回路92に与えられるサンプリングクロックSCKを示す。図示のように、サンプリングクロックSCKのタイミングは、PWM制御による全LED駆動電流I0,I1,I2の可変パルス時間の開始直後に設定されている。
【0053】
図6の(D)は、全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2を示す。ここでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が同一の波形で変化するものと仮定している。
【0054】
図6の(E)は、ラッチ回路92の出力信号(Q)を示す。図6の(F)は、第2のフィードバック回路80内のノードNCに得られる制御電圧VGを示す。図6の(G)は、第2のフィードバック回路80のNMOSトランジスタ84を流れるバイパス電流iを示す。図6の(H)は、DC−DCコンバータ16のフィードバック電圧入力端子FBに入力されるフィードバック電圧VFBを示す。図6の(I)は、DC−DCコンバータ16より出力されるLED駆動電圧VLEDを示す。
【0055】
図6に示すように、サンプリングクロックSCK(1)のタイミングでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSよりも高い。そうすると、第2のフィードバック回路80においては、ラッチ回路92の出力信号(Q)がそれまでのLレベルからHレベルに変わり、制御電圧VGがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じ、バイパス電流iがそれまでのリニアな増大からリニアな減少に転じる。これによって、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じ、出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じる。LED駆動電圧VLEDがリニアに低下すると、PWM制御の各サイクル内でLED駆動電流I0,I1,I2が流れている期間中にヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに低下し、LED駆動電流I0,I1,I2の流れない期間中もヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに低下する。
【0056】
次のサンプリングクロックSCK(2)のタイミングでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSよりも低くなる。そうすると、第2のフィードバック回路80においては、ラッチ回路92の出力信号(Q)がそれまでのHレベルからLレベルに変わり、制御電圧VGがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じ、バイパス電流iがそれまでのリニアな減少からリニアな増大に転じる。これによって、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じ、出力電圧つまりLED駆動電圧VLEDがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じる。LED駆動電圧VLEDがリニアに上昇すると、PWM制御の各サイクル内でLED駆動電流I0,I1,I2が流れている期間中にヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに上昇し、LED駆動電流I0,I1,I2の流れない期間中もヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2はリニアに上昇する。
【0057】
以降も、図6に示すように、上記と同様の動作が繰り返される。このように、この実施形態のLED装置においては、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSを割ったり超えたりしながら基準電圧VS付近に維持されるように、第2のフィードバック回路80がDC−DCコンバータ16に作用し、LED駆動電圧VLEDが動的に可変制御される。
【0058】
図6の例では全チャンネルのLED駆動電流I0,I1,I2がPWM制御で同一のパルス幅に制御されるものとした場合に、それぞれのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が同一の波形で変化するものと仮定したが、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2の間で波形が互いに異なる場合もある。図7に、ヘッドルーム電圧HV0,HV1の波形が同じで,ヘッドルーム電圧HV2の波形が異なる場合の各部の波形を示す。
【0059】
図7の例の場合は、第3のサンプリングクロックSCK(3)の直前までは、図6の例の場合と略同じである。しかし、このサンプリングクロックSCK(3)のタイミングで、ヘッドルーム電圧HV2は基準電圧VSよりも高くなるが、ヘッドルーム電圧HV0,HV1が基準電圧VSよりも低くなるため、第2のフィードバック回路80においてラッチ回路92の出力信号(Q)はそれまでのLレベルを維持し続ける。これにより、制御電圧VGはリニアな上昇を維持し、バイパス電流iはリニアな増大を維持する。この結果、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがリニアな低下を維持し、出力電圧圧VLEDはリニアな上昇を維持する。
【0060】
しかし、次の第4のサンプリングクロックSCK(4)のタイミングでは、全てのヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2が基準電圧VSよりも高くなる。そうすると、第2のフィードバック回路80においては、ラッチ回路92の出力信号(Q)がそれまでのLレベルからHレベルに変わり、制御電圧VGがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じ、バイパス電流iがそれまでのリニアな増大からリニアな減少に転じる。これによって、DC−DCコンバータ16では、フィードバック電圧VFBがそれまでのリニアな低下からリニアな上昇に転じ、出力電圧VLEDがそれまでのリニアな上昇からリニアな低下に転じる。
【0061】
こうして、この場合も、ヘッドルーム電圧HV0,HV1とヘッドルーム電圧HV2が周期を異にしながらも基準電圧VSを割ったり超えたりしながら基準電圧VS付近に維持されるように、第2のフィードバック回路80がDC−DCコンバータ16に作用し、LED駆動電圧VLEDが動的に可変制御される。
【0062】
図示省略するが、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2の波形が全て異なる場合、さらにはLED駆動電流I0,I1,I2のパルス幅が区々の場合も、ヘッドルーム電圧HV0,HV1,HV2の全部または一部が周期を区々にしながらも基準電圧VSを割ったり超えたりしながら基準電圧VS付近に維持されるように、第2のフィードバック回路80を通じてDC−DCコンバータ16の出力電圧VLEDが動的に可変制御される。
【0063】
次に、ローカル・ダイミング機能における本実施形態の効果を説明する。図8に、図5の装置構成においてPWM制御のデューティを一定の周期(たとえば500sec)毎に5%と95%とで交互に切り替えてLEDアレイ12の3ブロックB1,B2,B3の輝度を一様に変化させた実験例のパターンを示す。図9に、この実験例において得られたヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)およびLED駆動電圧VLEDの波形を示す。
【0064】
図9に示すように、この実施形態のLED装置においては、LED駆動電圧VLEDがデューティ5%のサイクルでは約41.0ボルト、デューティ95%のサイクルでは約40.0ボルトと交互に段差のある2つの値をとり、これによって、ヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)は全サイクルを通じて約1.5ボルト付近に保たれた。また、LED駆動電流(I0,I1,I2)を100mAとした場合にLEDアレイ12、LEDドライバIC14(1),14(2),14(3)およびDC−DCコンバータ16で発生した全消費電力は、周囲温度25℃の下では6719mW、周囲温度60℃の下では6499mWであった。
【0065】
図10に、比較例として、図5の装置構成において第2のフィードバック回路80を省いて上記と同じパターンの実験を行った場合に得られたヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)およびLED駆動電圧VLEDの波形を示す。この場合は、LED駆動電圧VLEDがデューティ5%のサイクルでは約41.1ボルト、デューティ95%のサイクルでは約41.2ボルトと僅かしか変化せず、その一方でヘッドルーム電圧(HV0,HV1,HV2)はデューティ5%のサイクルでは約1.7ボルト、デューティ95%のサイクルでは約2.6ボルトと大きく変動した。また、この比較例において、LED駆動電流(I0,I1,I2)を100mAとした場合にLEDアレイ12、LEDドライバIC14(1),14(2),14(3)およびDC−DCコンバータ16で発生した全消費電力は、周囲温度25℃の下では6863mW、周囲温度60℃の下では6894mWであった。
【0066】
このように、本実施形態のLED装置は、ローカル・ダイミング機能においてもヘッドルーム電圧の安定性および消費電力の低減を改善できることが実験で確認されている。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0068】
たとえば、上記した実施形態では、ヘッドルーム電圧監視回路[38,80]が全チャンネルのヘッドルーム電圧HV0〜HVm−1を監視したが、一部のヘッドルーム電圧のみを監視することも可能である。特に、LEDアレイ12を構成するLED10の特性のばらつきが小さいときは、代表的に選んだ1チャンネルまたは数チャンネルのヘッドルーム電圧のみを第2のフィードバック回路80を介してDC−DCコンバータ16にフィードバックしてもよい。
【0069】
また、LEDドライバIC14(0)〜14(N−1)において、図示省略するが、LEDオープン検出回路76(0)〜76(m−1)をコンパレータ、論理回路およびラッチ回路で構成することができる。この場合、各コンパレータの一方の入力端子には各チャンネルの電流端子OUTyの電圧が入力され、他方の入力端子には専用の基準電圧発生回路より所定の基準電圧VOPが入力される。したがって、ヘッドルーム電圧監視用の基準電圧VSとLEDオープン検出用の基準電圧VOPとを時分割的に切り替えて、同一のコンパレータ、論理回路およびラッチ回路を第1のフィードバック回路80およびLEDオープン検出回路76(0)〜76(m−1)に兼用する構成も可能である。
【0070】
各LEDドライバIC14(x)内の他の構成、特に定電流駆動回路60(y)やPWM制御回路66(y)等の構成も種種の変形が可能である。また、DC−DCコンバータ16もチョッパ方式昇圧形に限るものではなく、他の方式たとえばトランスを使用する絶縁形も可能である。
【0071】
本発明のLED装置は、バックライトに限らず、照明やディスプレイ等の他のLEDアプリケーションにも適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 LED
12 LEDアレイ
14(0)〜14(N−1) LEDドライバIC
16 DC−DCコンバータ
24,26 分圧抵抗(第1のフィードバック回路)
38 コントローラ
48 スイッチング電源部
50 スイッチング制御回路
FB フィードバック電圧入力端子
REF 基準電圧入力端子
60(0)〜60(15) 定電流駆動回路
62(0)〜62(15) スイッチング素子
64(0)〜64(15) 定電流源
66(0)〜66(15) グレイスケールPWM制御回路
80 第2のフィードバック回路
82 抵抗
84 NMOSトランジスタ
86(0)〜86(m−1) コンパレータ
88 フィードバック制御回路
90 論理回路
92 ラッチ回路
94 PMOSトランジスタ
95 基準電圧発生回路
96 時定数回路
98(0)〜98(m−1) ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個または電気的に直列接続された複数個のLED(発光ダイオード)を発光駆動するためのLED駆動回路であって、
直流のLED駆動電圧を出力する直流電源と、
前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対して前記LEDと直列に接続される定電流駆動回路と、
前記定電流駆動回路の電流端子に得られるヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路と
を有するLED駆動回路。
【請求項2】
前記直流電源が、
高周波数でオン・オフ可能な第1のスイッチング素子を有し、前記第1のスイッチング素子をオン・オフ動作させて直流の入力電圧を前記LED駆動電圧に変換するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部における前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部と、
前記LED駆動電圧を前記スイッチング制御部にフィードバックする第1のフィードバック回路と
を有し、
前記ヘッドルーム電圧監視回路が、前記ヘッドルーム電圧を前記直流電源の前記スイッチング制御部にフィードバックする第2のフィードバック回路を有する、
請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記スイッチング制御部が、基準電圧入力端子とフィードバック電圧入力端子とを有し、前記フィードバック電圧入力端子に入力される電圧が前記基準電圧入力端子に入力される第2の基準電圧に等しくなるように、前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御し、
前記第1のフィードバック回路が、前記スイッチング電源部の出力端子と基準電位の端子との間に接続された第1および第2の抵抗を有し、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間のノードを前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子に接続し、
前記第2のフィードバック回路が、
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間に接続された第1のトランジスタと、
前記ヘッドルーム電圧と前記第1の基準電圧とを比較して、両電圧の高低関係を示す比較結果信号を出力するコンパレータと、
前記コンパレータより出力された前記比較結果信号に応じて前記第1のトランジスタを制御するフィードバック制御回路と
を有する、
請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間で前記第1のトランジスタと直列に接続される第3の抵抗を有する請求項3に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
前記フィードバック制御回路が、
前記コンパレータより出力される前記比較結果信号を一定サイクル毎に所定のタイミングでラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路にラッチされた前記比較結果信号を制御信号として入力し、前記ヘッドルーム電圧が前記第1の基準電圧よりも高かったことを前記比較結果信号が示しているときはオン状態になって、前記第1のトランジスタをオンさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を増大させ、前記ヘッドルーム電圧が前記第1の基準電圧よりも低かったことを前記比較結果信号が示しているときはオフ状態になって、前記第1のトランジスタをオフさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を減少させる第2のトランジスタと
を有する、
請求項3または請求項4に記載のLED駆動回路。
【請求項6】
前記フィードバック制御回路が、前記第2のトランジスタの出力端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続された時定数回路を有する、請求項5に記載のLED駆動回路。
【請求項7】
前記第1のトランジスタの制御端子に一定のバイアス電圧を与えるバイアス回路を有する請求項3〜6のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【請求項8】
前記定電流駆動回路が、
前記LED駆動電流を一定に保つための定電流源と、
前記定電流源と直列に接続される高周波数でオン・オフ可能な第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子をパルス幅変調方式で一定の周期毎にオン・オフさせるLED輝度制御回路と
を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【請求項9】
直流のLED駆動電流を出力する直流電源と、
n個(nは2以上の整数)のLEDを電気的に直列接続してなるm個(mは2以上の整数)のLED直列回路が前記直流電源の出力端子に対して電気的に並列に接続されているLEDアレイと、
前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対してm個の前記LED直列回路とそれぞれ直列に接続されているm個の定電流駆動回路と、
m個の前記定電流駆動回路の電流端子にそれぞれ得られるヘッドルーム電圧の少なくとも1つが第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路と
を有するLED装置。
【請求項10】
前記直流電源が、
高周波数でオン・オフ可能な第1のスイッチング素子を有し、前記第1のスイッチング素子をオン・オフ動作させて直流の入力電圧を前記LED駆動電圧に変換するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部における前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部と、
前記LED駆動電圧を前記スイッチング制御部にフィードバックする第1のフィードバック回路と
を有し、
前記ヘッドルーム電圧監視回路が、少なくとも1つの前記ヘッドルーム電圧を前記直流電源の前記スイッチング制御部にフィードバックする第2のフィードバック回路を有する、
請求項9に記載のLED装置。
【請求項11】
前記スイッチング制御部が、基準電圧入力端子とフィードバック電圧入力端子とを有し、前記フィードバック電圧入力端子に入力される電圧が前記基準電圧入力端子に入力される第2の基準電圧に等しくなるように、前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御し、
前記第1のフィードバック回路が、前記スイッチング電源部の出力端子と基準電位の端子との間に接続された第1および第2の抵抗を有し、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間のノードを前記スイッチング制御部の前記フィードバック信号入力端子に接続し、
前記第2のフィードバック回路が、
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間に直列に接続された第1のトランジスタと、
少なくとも1つの前記ヘッドルーム電圧と前記第1の基準電圧とを比較して、両電圧の高低関係を示す二値レベルの比較結果信号を出力する1つまたは複数個のコンパレータと、
1つまたは複数個の前記コンパレータよりそれぞれ出力された1つまたは複数個の前記比較結果信号に応じて前記第1のトランジスタを制御するフィードバック制御回路と
を有する、
請求項10に記載のLED装置。
【請求項12】
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間で前記第1のトランジスタと直列に接続される第3の抵抗を有する請求項11に記載のLED装置。
【請求項13】
前記フィードバック制御回路が、
1つまたは複数個の前記コンパレータよりそれぞれ出力される1つまたは複数個の前記比較結果信号の論理積または論理和を表す二値レベルの判定信号を一定サイクル毎に所定のタイミングでラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路にラッチされた前記判定信号を制御信号として入力し、全ての前記コンパレータにそれぞれ入力される前記ヘッドルーム電圧の全部が前記第1の基準電圧よりも高かったことを前記判定信号が示しているときはオン状態になって、前記第1のトランジスタをオンさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を増大させ、少なくとも1つの前記ヘッドルーム電圧が前記第1の基準電圧よりも低かったことを前記判定信号が示しているときはオフ状態になって、前記第1のトランジスタをオフさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を減少させる第2のトランジスタと
を有する、
請求項11または請求項12に記載のLED装置。
【請求項14】
前記フィードバック制御回路が、前記第2のトランジスタの出力端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続された時定数回路を有する、請求項13に記載のLED装置。
【請求項15】
前記第1のトランジスタの制御端子に一定のバイアス電圧を与えるバイアス回路を有する請求項11〜14のいずれか一項に記載のLED装置。
【請求項16】
各々の前記定電流駆動回路が、
前記LED駆動電流を一定に保つための定電流源と、
前記定電流源と直列に接続される高周波数でオン・オフ可能な第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子をパルス幅変調方式で一定のサイクル毎にオン・オフさせるLED輝度制御回路と
を有する請求項15に記載のLED装置。
【請求項17】
1つの面光源がm個のブロックからなり、
m個の前記ブロックにm個の前記LED直列回路およびm個の前記定電流駆動回路がそれぞれ割り当てられ、
各々の前記ブロック内で当該LED直列回路を構成するn個の前記LEDが一定の密度分布で二次元的に配置される
請求項9〜16のいずれか一項に記載のLED装置。
【請求項18】
各々のブロック毎に前記パルス幅変調方式によるデューティが個別に制御される請求項17に記載のLED装置。
【請求項1】
1個または電気的に直列接続された複数個のLED(発光ダイオード)を発光駆動するためのLED駆動回路であって、
直流のLED駆動電圧を出力する直流電源と、
前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対して前記LEDと直列に接続される定電流駆動回路と、
前記定電流駆動回路の電流端子に得られるヘッドルーム電圧が第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路と
を有するLED駆動回路。
【請求項2】
前記直流電源が、
高周波数でオン・オフ可能な第1のスイッチング素子を有し、前記第1のスイッチング素子をオン・オフ動作させて直流の入力電圧を前記LED駆動電圧に変換するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部における前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部と、
前記LED駆動電圧を前記スイッチング制御部にフィードバックする第1のフィードバック回路と
を有し、
前記ヘッドルーム電圧監視回路が、前記ヘッドルーム電圧を前記直流電源の前記スイッチング制御部にフィードバックする第2のフィードバック回路を有する、
請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記スイッチング制御部が、基準電圧入力端子とフィードバック電圧入力端子とを有し、前記フィードバック電圧入力端子に入力される電圧が前記基準電圧入力端子に入力される第2の基準電圧に等しくなるように、前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御し、
前記第1のフィードバック回路が、前記スイッチング電源部の出力端子と基準電位の端子との間に接続された第1および第2の抵抗を有し、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間のノードを前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子に接続し、
前記第2のフィードバック回路が、
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間に接続された第1のトランジスタと、
前記ヘッドルーム電圧と前記第1の基準電圧とを比較して、両電圧の高低関係を示す比較結果信号を出力するコンパレータと、
前記コンパレータより出力された前記比較結果信号に応じて前記第1のトランジスタを制御するフィードバック制御回路と
を有する、
請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間で前記第1のトランジスタと直列に接続される第3の抵抗を有する請求項3に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
前記フィードバック制御回路が、
前記コンパレータより出力される前記比較結果信号を一定サイクル毎に所定のタイミングでラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路にラッチされた前記比較結果信号を制御信号として入力し、前記ヘッドルーム電圧が前記第1の基準電圧よりも高かったことを前記比較結果信号が示しているときはオン状態になって、前記第1のトランジスタをオンさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を増大させ、前記ヘッドルーム電圧が前記第1の基準電圧よりも低かったことを前記比較結果信号が示しているときはオフ状態になって、前記第1のトランジスタをオフさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を減少させる第2のトランジスタと
を有する、
請求項3または請求項4に記載のLED駆動回路。
【請求項6】
前記フィードバック制御回路が、前記第2のトランジスタの出力端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続された時定数回路を有する、請求項5に記載のLED駆動回路。
【請求項7】
前記第1のトランジスタの制御端子に一定のバイアス電圧を与えるバイアス回路を有する請求項3〜6のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【請求項8】
前記定電流駆動回路が、
前記LED駆動電流を一定に保つための定電流源と、
前記定電流源と直列に接続される高周波数でオン・オフ可能な第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子をパルス幅変調方式で一定の周期毎にオン・オフさせるLED輝度制御回路と
を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【請求項9】
直流のLED駆動電流を出力する直流電源と、
n個(nは2以上の整数)のLEDを電気的に直列接続してなるm個(mは2以上の整数)のLED直列回路が前記直流電源の出力端子に対して電気的に並列に接続されているLEDアレイと、
前記LEDに一定のLED駆動電流を注入するために、前記直流電源に対してm個の前記LED直列回路とそれぞれ直列に接続されているm個の定電流駆動回路と、
m個の前記定電流駆動回路の電流端子にそれぞれ得られるヘッドルーム電圧の少なくとも1つが第1の基準電圧付近に保たれるように、前記直流電源に作用して前記LED駆動電圧の電圧レベルを動的に可変制御するヘッドルーム電圧監視回路と
を有するLED装置。
【請求項10】
前記直流電源が、
高周波数でオン・オフ可能な第1のスイッチング素子を有し、前記第1のスイッチング素子をオン・オフ動作させて直流の入力電圧を前記LED駆動電圧に変換するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部における前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部と、
前記LED駆動電圧を前記スイッチング制御部にフィードバックする第1のフィードバック回路と
を有し、
前記ヘッドルーム電圧監視回路が、少なくとも1つの前記ヘッドルーム電圧を前記直流電源の前記スイッチング制御部にフィードバックする第2のフィードバック回路を有する、
請求項9に記載のLED装置。
【請求項11】
前記スイッチング制御部が、基準電圧入力端子とフィードバック電圧入力端子とを有し、前記フィードバック電圧入力端子に入力される電圧が前記基準電圧入力端子に入力される第2の基準電圧に等しくなるように、前記第1のスイッチング素子のオン・オフ動作を制御し、
前記第1のフィードバック回路が、前記スイッチング電源部の出力端子と基準電位の端子との間に接続された第1および第2の抵抗を有し、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間のノードを前記スイッチング制御部の前記フィードバック信号入力端子に接続し、
前記第2のフィードバック回路が、
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間に直列に接続された第1のトランジスタと、
少なくとも1つの前記ヘッドルーム電圧と前記第1の基準電圧とを比較して、両電圧の高低関係を示す二値レベルの比較結果信号を出力する1つまたは複数個のコンパレータと、
1つまたは複数個の前記コンパレータよりそれぞれ出力された1つまたは複数個の前記比較結果信号に応じて前記第1のトランジスタを制御するフィードバック制御回路と
を有する、
請求項10に記載のLED装置。
【請求項12】
前記スイッチング制御部の前記フィードバック電圧入力端子と前記基準電位の端子との間で前記第1のトランジスタと直列に接続される第3の抵抗を有する請求項11に記載のLED装置。
【請求項13】
前記フィードバック制御回路が、
1つまたは複数個の前記コンパレータよりそれぞれ出力される1つまたは複数個の前記比較結果信号の論理積または論理和を表す二値レベルの判定信号を一定サイクル毎に所定のタイミングでラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路にラッチされた前記判定信号を制御信号として入力し、全ての前記コンパレータにそれぞれ入力される前記ヘッドルーム電圧の全部が前記第1の基準電圧よりも高かったことを前記判定信号が示しているときはオン状態になって、前記第1のトランジスタをオンさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を増大させ、少なくとも1つの前記ヘッドルーム電圧が前記第1の基準電圧よりも低かったことを前記判定信号が示しているときはオフ状態になって、前記第1のトランジスタをオフさせ、または前記第1のトランジスタを流れる電流を減少させる第2のトランジスタと
を有する、
請求項11または請求項12に記載のLED装置。
【請求項14】
前記フィードバック制御回路が、前記第2のトランジスタの出力端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続された時定数回路を有する、請求項13に記載のLED装置。
【請求項15】
前記第1のトランジスタの制御端子に一定のバイアス電圧を与えるバイアス回路を有する請求項11〜14のいずれか一項に記載のLED装置。
【請求項16】
各々の前記定電流駆動回路が、
前記LED駆動電流を一定に保つための定電流源と、
前記定電流源と直列に接続される高周波数でオン・オフ可能な第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子をパルス幅変調方式で一定のサイクル毎にオン・オフさせるLED輝度制御回路と
を有する請求項15に記載のLED装置。
【請求項17】
1つの面光源がm個のブロックからなり、
m個の前記ブロックにm個の前記LED直列回路およびm個の前記定電流駆動回路がそれぞれ割り当てられ、
各々の前記ブロック内で当該LED直列回路を構成するn個の前記LEDが一定の密度分布で二次元的に配置される
請求項9〜16のいずれか一項に記載のLED装置。
【請求項18】
各々のブロック毎に前記パルス幅変調方式によるデューティが個別に制御される請求項17に記載のLED装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−14945(P2011−14945A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236949(P2010−236949)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【分割の表示】特願2008−131784(P2008−131784)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【分割の表示】特願2008−131784(P2008−131784)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]