説明

N末端にポリエーテル置換基を有するHIVプロテアーゼ抑制剤

【目的】 他の抗ウィルス剤、免疫モジュレータ、抗生物質またはワクチンと結合した、または結合していない医薬品組成物として、HIVプロテアーゼの抑制、HIV感染の予防または治療およびAIDSの治療に有用な化合物を提供する。本発明は、AIDS治療法およびHIV感染の予防または治療法にも関する。
【構成】
【化1】


[式中、Aはポリエーテルまたはエーテル置換基であり、Gはジペプチド同配体であり、Bはアミノ酸またはその類似体であり、Jは小さい末端基である。]の化合物あるいは薬剤的に許容されうる塩。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)でコードされるプロテアーゼを抑制する化合物に関する。その化合物または薬剤的に許容されうるその塩は、HIV感染の予防、HIV感染の治療およびその結果の後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療に重要である。
【0002】本発明はまた、その化合物を含む医薬品組成物ならびに本発明化合物および他の薬品をAIDSおよびHIV感染の治療に使用する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】ヒト免疫不全ウィルス(HIV)というレトロウィルスは、免疫系の進行性破壊(後天性免疫不全症候群;AIDS)および中枢・末梢神経系の損傷を含む複雑な病気の原因ウィルスである。このウィルスは、以前は、LAV、HTLV−III またはARVとして知られていた。レトロウィルスの複製は、普通、ウィルスによりコードされたプロテアーゼにより、前駆体ポリタンパク質が広範な翻訳後プロセシングを受け、ウィルス形成および作用に必要な成熟ウィルスタンパク質を生じるという特徴を有する。この過程を抑制すれば、本来感染性のウィルスの産生が妨げられる。例えば、Kohl, N.E., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA85, 4686 (1988) は、HIVでコードされるプロテアーゼの遺伝子的不活性化の結果、未成熟で非感染性のウィルス粒子が産生することを示している。これらの結果は、HIVプロテアーゼの抑制がAIDSの治療およびHIV感染の予防または治療のための有用な方法であることを暗示している。
【0004】HIVの塩基配列から、open reading frameの一つにpol遺伝子があることがわかる [Ratner, L. et al., Nature, 313, 277(1985)]。アミノ酸配列の相同関係から、polの配列が逆転写酵素、エンドヌクレアーゼおよびHIVプロテアーゼをコードすることは明らかである [Toh, H. etal., EMBO J. 4, 1267(1985); Power, M.D. et al., Science, 231, 1567(1986); Pearl, L.H. et al., Nature 329, 351(1987)]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、本発明化合物がHIVプロテアーゼの抑制剤であることを示す。
【0006】本発明化合物は特に、バイオアベイラビリティーが高く、毒性が低いという利点を有し、N末端のみにポリエーテル置換基を有するジペプチド同配体であることを特徴とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、本明細書で定義する式Iの化合物を開示する。これらの化合物は、化合物あるいは薬剤的に許容されうる塩、水和物またはエステル自体として、あるいは他の抗ウィルス剤、免疫モジュレータ、抗生物質またはワクチンと併用した、または併用していない医薬品組成物成分として、HIVプロテアーゼの抑制、HIV感染の予防、HIV感染の治療およびAIDSの治療に有用である。AIDS治療法、HIV感染予防法およびHIV感染治療法も開示する。
【0008】
【表1】


【0009】本発明は、HIVプロテアーゼの抑制、HIV感染の予防、HIV感染の治療および後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療における式Iの化合物、それらの組み合わせ、または薬剤的に許容されうるその塩に関する。式Iの化合物は、次のように定義される。
【0010】
【化10】


【0011】{式中、Aは−CO−O〔(CH2 m O〕n R(nは1〜6であり、mは各繰り返し単位nごとに1〜3であり、Rは水素またはC1-4 アルキルである。)であり、Gは
【0012】
【化11】


【0013】[式中、ZはO、SまたはNHであり、R1 は独立して1)水素;
2)
【0014】
【化12】


【0015】3)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
4)−NR2
5)C1-4 アルキレン−R(式中、qは0〜5であり、Rは独立してa)水素;
b)ヒドロキシ;またはc)C1-4 アルキルであり、R3 はa)水素;
b)下記i)〜xvii)の一個以上の置換基を有していてもよいアリール:i)ハロゲン;
ii)ヒドロキシ;
iii)−NH2 、−NO2 、−NHRまたは−NR2 (RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iv) C1-4 アルキル;
v)C1-3 アルコキシ;
vi)−COOR;
vii)−CONR2
viii)−CH2 NR2
ix)−CH2 NHCOR;
x)CN;
xi)CF3
xii)−NHCOR;
xiii)アリールC1-3 アルコキシ;
xiv)アリール;
xv)−NRSO2 R;
xvi)−OP(O)(ORx 2 (Rx はH、アリール、ベンジルまたは金属イオンである。);
xvii)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルであり、またR3 はc)N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含むヘテロ5または6員環(イミダゾリル、チアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピペリジル、チアジアゾリル、ピペラジニル、ピリジルまたはピラジニルなど)であって、その環は下記i)〜xv)の一個以上の置換基を有していてもよい:i)ハロゲン;
ii)ヒドロキシ;
iii)−NH2 、−NHRまたは−NR2
iv) C1-4 アルキル;
v)C1-3 アルコキシ;
vi)−COOR;
vii)−CONR2
viii)−CH2 NR2
ix)−NHCOR;
x)−CN;
xi)CF3
xii)−NHSO2 R;
xiii)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xiv)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキル;
xv)SR、S(O)RおよびS(O2 )Rd)下記i)〜xv)の一個以上の置換基を有していてもよいC1-6 アルキルまたはC1-6 アルケニル:i)ヒドロキシ;
ii)C1-4 アルキル;
iii)−NH2 、−NHRまたは−NR2
iv) −NHC(=NH)H;
v)−NHC(=NH)NH2
vi)−COOH;
vii)−COOR;
viii)−SR、S(O)RおよびS(O)2 R;
ix)−SO2 NHR;
x)C1-4 アルキルスルホニルアミノまたはアリールスルホニルアミノ;
xi)−CONHR;
xii)−NHCOR;
xiii)−OR;
xiv)アリールC1-3 アルコキシ;
xv)アリールe)下記i)〜 xii)の一個以上の置換基を有していてもよいC3-7 シクロアルキルi)ヒドロキシ;
ii)C1-4 アルキル;
iii)−NH2 、−NHRまたは−NR2
iv) −NHC(=NH)H;
v)−NHC(=NH)NH2
vi)−COOH;
vii)−COOR;
viii)−SR、S(O)RおよびS(O2 )R;
ix)−SO2 NH2
x)アルキルスルホニルアミノまたはアリールスルホニルアミノ;
xi)−CONHR;
xii)−NHCORf)飽和または不飽和の炭素5〜7員環または二環式炭素7〜10員環(シクロペンタン、シクロヘキサン、インダン、ノルボルネンまたはナフタレンなど)であって、炭素環は下記i)〜 xii)の一個以上の置換基を有していてもよい:i)ハロゲン;
ii)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2 ;vi)−SO2 NR2 または−S(O)y R(yは0、1または2である。);
vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 Rであってもよい。)であり、R9 は−OHまたは−NHR10(R10は−H、−CHO、C1-4 アルキルまたは−COORである。)であり、Qは
【0016】
【化13】


【0017】(式中、R1 およびR10は上記で定義した通りであり、X1 はO、SまたはNHであり、Wは1)OH;
2)NH2
3)OR;または4)NHRである。)である。]であり、Bは独立して、存在しないかまたは
【0018】
【化14】


【0019】であり、Jは1)YR11(YはOまたはNHであり、R11はa)H;
b)下記i)〜 xviii)の一個以上の置換基を有していてもよいC1-6 アルキルi)−NR6 2
ii)−OR;
iii)−NHSO2 1-4 アルキル;
iv)−NHSO2 アリールまたは−NHSO2 (ジアルキルアミノアリール);
v)−CH2 OR;
vi)C1-4 アルキル;
vii)−COOR;
vii)−CONR2 ;ix)−NHC(=NH)NR2 または−NHC(=N−CN)NR2
x)−NHCOR;
xi)−N(CH2 CH2 OH)SO2 CH3
xii)−NHCOO−CH2 Ph;
xiii)−NR3 + - (A- は対イオンである。);
xiv)−NR1213(R12およびR13は同じでも異なってもよいC1-5 アルキルまたは一緒になってヘテロ5〜7員環を形成してもよい。);
xv)アリール;
xvi)−CHO;
xvii)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xviii)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルc)−(CH2 CH2 O)n CH3 または−(CH2 CH2 O)n H;
2)−N(R112
3)−NR1213(R12およびR13は上記で定義した通りである。);
4)
【0020】
【化15】


【0021】[式中、Y、R11およびqは上記で定義した通りであり、R14はa)水素;
b)下記i)〜xv)の一個以上の置換基を有していてもよいアリール:i)ハロゲン;
ii)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 R;
xiii)−C1-4 アルキル−NR2
xiv)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xv)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルc)下記i)〜 xvi)の一個以上の置換基を有していてもよいヘテロ環;
i)ハロゲン;
ii)−OR(RはH、C1-4 アルキルまたはC1-4 アルケニルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 R;
xiii)フエニルC1-4 アルキル;
xiv)−OCOR;
xv)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xvi)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルd)飽和または不飽和の炭素5〜7員環または二環式炭素7〜10員環(シクロペンタン、シクロヘキサン、インダン、ノルボルネンまたはナフタレンなど)であって、炭素環は下記i)〜 xiv)の一個以上の置換基を有していてもよい:i)ハロゲン;
ii)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2
vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 R;
xiii)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xiv)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルである。]である。}の化合物もしくは薬剤的に許容されうるその塩、水和物またはエステル。
【0022】本発明化合物において、A、G、BおよびJ成分などは不斉中心を有することがあり、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のジアステレオマーまたはエナンチオマーとして存在し得るが、全ての異性体形式が本発明に含まれるものとする。
【0023】変化するもの(例えば、アリール、ヘテロ環、R、R9 、R10、R11、R12、n、Zなど)が構成要素または式Iに2回以上現れる場合、その各定義は他のどの定義とも無関係である。また、置換基および/または変化するものの組み合わせは、そのような組み合わせにより安定な化合物が得られる場合にのみ許容される。
【0024】特に断らないかぎり、本明細書において、「アルキル」は特定した炭素原子数を有する、分枝および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基(Meはメチル、Etはエチル、Prはプロピル、Buはブチルである。)を含み、「アルコキシ」は指示した炭素数のアルキル基に酸素架橋基が結合したものを表す。「アルケニル」は直鎖または分枝した炭化水素基であって、その鎖に沿って安定箇所に一個以上の炭素−炭素不飽和結合が存在するもの(エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなど)を含む。「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味し、「対イオン」は小さい一価の負イオン種(塩素イオン、臭素イオン、水酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、過塩素酸イオン、亜硝酸イオン、安息香酸イオン、マレイン酸イオン、酒石酸イオン、ヘミ酒石酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンなど)を表す。
【0025】特に断らないかぎり、本明細書において、「アリール」はフェニル(Ph)またはナフチルを意味する。「炭素環」は飽和または部分的に不飽和の安定した炭素5〜7員環または二環式炭素7〜10員環を意味する。
【0026】特に断らないかぎり、本明細書において、「ヘテロ環」は単環式または二環式の安定したヘテロ5〜7員環もしくは二環式の安定したヘテロ7〜10員環であって、飽和または不飽和のどちらでもよく、炭素原子とN、OおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子とから成る。窒素および硫黄のヘテロ原子は所望により酸化されていてもよく、窒素は所望により第四窒素原子であってもよい。上記ヘテロ環がベンゼン環と接合した二環式基も含む。ヘテロ環はヘテロ原子または炭素原子のところで結合して安定な構造をつくることができる。そのようなヘテロ環の例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホンおよびオキサジアゾリルが挙げられる。モルホリノはモルホリニルと同じである。
【0027】式Iの化合物の薬剤的に許容されうる塩(水溶性、油溶性または分散型物質)としては、これらの化合物の通常の無毒塩または第四アンモニウム塩が挙げられ、例えば、無機・有機の酸または塩基から形成される。そのような酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。塩基塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、有機塩基との塩(ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン塩など)およびアミノ酸(アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物など);ジアルキル硫酸塩(ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル硫酸塩など);長鎖ハロゲン化物(デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物など);アラルキルハロゲン化物(臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなど)などの試薬で第四級化してもよい。エステルも本発明に含まれ、当業者であれば容易に得られるエステル(例えば、C1-4 アルキルエステル)が挙げられる。
【0028】本発明の好ましい態様では、Aが−CO−O〔(CH2 2 O〕n CH3 (n=1〜4)であり、Gが
【0029】
【化16】


【0030】である。
【0031】第二の態様では、さらに、Gが
【0032】
【化17】


【0033】であり、Bは存在しないか、1個存在する化合物に限定される。
【0034】第三の態様では、さらに、Bが存在しないで、JがNHR14(R14は置換した炭素またはヘテロ5〜7員環もしくは置換した二環式の炭素またはヘテロ7〜10員環であって、飽和または不飽和のどちらでもよい。)である化合物に限定される。
【0035】第四の態様では、さらに、JがOH置換基を1個または2個有するインダンである化合物に限定される。
【0036】本発明の新規化合物としては次のものが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0037】N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6−ジオキサヘプチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3−オキサブチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6−ジオキサヘプチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3−オキサブチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2−ベンズイミダゾリルメチル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル イソロイシルアミド;N−〔(シス)−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)〕ヘキサンアミド;N’−〔(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル〕−N−イソロイシン−(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミド;N−〔(シス)−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル〕−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(4−ヒドロキシフェニル)メチルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(3−ヒドロキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−〔3−フェニルプロパニル〕ヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(3−メトキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−〔3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル〕ヘキサンアミド;またはN−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(13,13−ジメチル−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミドもしくは薬剤的に許容されうるその塩またはエステル。
【0038】本発明の最も好ましい化合物は下記の化合物Aである。
【0039】
【化18】


【0040】N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド本発明化合物は、図式I〜III に従って製造する。一般に、まず置換基Gを形成し、残りの合成は、主として、液相または固相のペプチド合成のカップリング法によるアミド結合生成による。一個以上の保護基の付加および除去も、典型的である。
【0041】本発明化合物を合成するためのアミドカップリングは、典型的には、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどの試薬を用いて、カルボジイミド法により行う。アミド結合またはペプチド結合を生成する他の方法としては、酸クロライド、アジド、混合無水物または活性化エステルによる合成ルートが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、液相アミド結合を行うが、古典的な Merrifield 法による固相合成も使用できる。
【0042】式Iの化合物を製造するためのいくつかの図式を以下に示す。実施例では、以下の図式を特定の化合物に適用した例を特定的に示す。合成に関する他の情報は、欧州特許公開0337714に含まれている。
【0043】本発明に包含される重要な中間体の合成に関する一つの図式は、次の通りである。
【0044】
【化19】


【0045】[式中、R1 a およびR1 b は各々独立してR1 である。]本発明に含まれるカルバミン酸塩は、次の図式に従って製造する。
【0046】
【化20】


【0047】カルバミン酸塩を生成するための試薬AおよびBは、次の反応に従って、適当なアルコールをクロロギ酸p−ニトロフェニルと反応させるか、またはホスゲン(またはトリホスゲン)およびN−ヒドロキシスクシンイミドと順次反応させることにより製造する。
【0048】
【化21】


【0049】[式中、R15はHO〔(CH 2m O〕n 17(R17は水素、C1-4 アルキルまたはアルコール保護基(ベンジル、トリアルキルシリルなど)である。)である。]あるいは、本発明で開示した化合物の合成に重要ないくつかの中間体は、次の反応によって製造する。
【0050】
【化22】


【0051】[式中、R16BrはR1 の定義内のアルキル化剤の代表例である。]合成に関する他の図式および方法は、欧州特許公開0337714に示してある。他の関連する刊行物は、USP4,661,473; Evans, B.E. et al., J. Org. Chem. 50, 4615(1985); Luly, J.R. et al., ibid., 52, 1487(1987)である。
【0052】
【作用】本発明化合物は、HIVプロテアーゼの抑制、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染の予防または治療、および結果として生じるAIDSなどの病的状態の治療に有用である。AIDSの治療もしくはHIV感染の予防または治療は、症候性および無症候性の広範囲にわたるHIV感染状態、AIDS、ARC(AIDS関連症候群)、HIVに実際にまたは潜在的に接触することを含むとして定義されるが、これに限定されるものではない。例えば、本発明化合物は、輸血、過失による注射針の刺創または手術中に患者の血液に触れるなどによる、HIV感染の疑いが生じた場合の治療に有用である。
【0053】これらの目的に対して、本発明化合物は、通常の無毒で薬剤的に許容されうる担体、アジュバントおよびビヒクルを含む投与単位の配合組成で、経口投与、非経口投与(皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射または点滴など)、吸入噴霧または直腸投与することができる。
【0054】すなわち、本発明はさらに、HIV感染およびAIDSの治療方法および治療用医薬品組成物を提供する。治療は、そのような治療を必要とする患者に、薬剤的担体および治療上有効量の本発明化合物または薬剤的に許容されうるその塩を含む医薬品組成物を投与することを含む。
【0055】これらの医薬品組成物は、経口投与可能な懸濁物または錠剤、点鼻液、注射可能な無菌製剤(例えば、注射可能な無菌の水性または油性懸濁物)または座薬の形をとることができる。
【0056】懸濁物として経口投与する場合、これらの組成物は、薬剤処方において周知の方法により調製し、増量効果をもたらす微晶質セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、この分野で知られている甘味料/香料を含むことができる。即時放出錠剤として経口投与する場合、これらの組成物は、微晶質セルロース、リン酸ジカルシウム、でん粉、ステアリン酸マグネシウムおよび乳糖、および/またはこの分野で知られている他の賦形剤、バインダ、増量剤、分解剤、希釈剤および潤滑剤を含むことができる。
【0057】点鼻用エアロゾルまたは吸入による投与の場合、これらの組成物は、薬剤処方において周知の方法により調製し、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティーを高める吸収促進剤、フルオロカーボン、および/またはこの分野で知られている他の溶解剤または分散剤を用いて、食塩水溶液として調製してもよい。
【0058】注射可能な溶液または懸濁物は、無毒で、非経口的に許容されうる適当な希釈剤または溶媒(マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液または等張性塩化ナトリウム溶液など)、もしくは分散剤または湿潤剤および懸濁剤(合成のモノ−またはジグリセリドなどの無菌で甘口の不揮発性油およびオレイン酸などの脂肪酸など)を使用して、公知技術により処方する。
【0059】座薬の形で直腸投与する場合、これらの組成物は、薬を刺激性でない適当な賦形剤(ココアバター、合成のグリセリドエステルまたはポリエチレングリコールなど−これらは常温で固体であるが、直腸腔で液化および/または溶解して薬を放出する。)と混合することにより調製する。
【0060】上記病状の治療または予防に有用な用量レベルは、一日に0.02〜5.0または10.0gであるが、経口投与の場合は2〜5倍高くなる。例えば、HIV感染の効果的な治療では、体重1kgにつき10〜50mgの化合物を一日に1〜3回投与する。しかし、理解されるように、特定の患者に対する特定の用量レベルおよび投与回数は変えてもよく、使用する特定化合物の活性、その化合物の代謝性および作用時間、患者の年齢、体重、全身の健康、性、食物、投与の様式および時間、排泄速度、薬の併用、特定病状の重症度ならびに治療を受ける受容体などの種々の要因による。
【0061】本発明はまた、HIVプロテアーゼ抑制化合物とAIDSの治療に有用な一種以上の試薬との組み合わせに関する。
【0062】例えば、本発明化合物は、下記表に挙げた抗ウィルス剤、免疫モジュレータ、抗生物質またはワクチンもしくはそれらの他の誘導体と組み合わせることができる(出典: Marketletter, Nov. 30. 1987, pp.26-27 ; Genetic Engineering News, Jan. 1988, Vol. 8, 23)。
【0063】
【表2】


【0064】
【表3】


【0065】
【表4】


【0066】
【表5】


【0067】D.ワクチンAIDSおよびHIVの種々のワクチンが現在、研究・開発中であるが、どれも本発明化合物もしくはその塩または誘導体と組み合わせて、AIDSおよびHIVによって引き起こされる類似の病気の治療および予防に使用できる。
【0068】理解されるように、本発明化合物とAIDS抗ウィルス剤、免疫モジュレータ、抗生物質またはワクチンとの組み合わせ範囲は、上記表に限定されるものではなく、一般原則として、AIDSの治療に有用な医薬品組成物であればどれと組み合わせてもよい。
【0069】
【実施例】
実施例1N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド工程A:N−(1,3,6,9,12,15−ヘキサオキサ−2−オキソヘキサデシル)スクシンイミドホスゲンのトルエン溶液(12.5%,80ml)を攪拌しながら、これにテトラエチレングリコール モノメチルエーテル(4.16g)を添加した。4時間後、過剰のホスゲンを、アルゴンガスを使用して、反応混合物から水酸化ナトリウムのエタノール洗浄水溶液中に吹き出した。反応混合物は、真空中で濃縮した。得られた油状残渣をアセトニトリル(50ml)に溶解し、この溶液にN−ヒドロキシスクシンイミド(2.85g)およびトリエチルアミン(3.4ml)を添加した。30分攪拌した後、反応混合物を濾過して白色固体を除去し、濾液を真空中で濃縮した。得られた半固体残渣を、酢酸エチルおよび10%クエン酸溶液に分配した。有機相を分離し、水、次いでブラインで洗浄して脱水(硫酸マグネシウム)し、真空中で濾過・濃縮すると5.67gの標記化合物が油状物質として得られた。
【0070】1H NMR(CDCl3 ):δ2.84(s,4H);3.38(s,3H);3.55(m,2H);3.65(m,10H);3.80(t,2H);4.48(t,2H)
工程B:3(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−2(RS)−ヒドロキシ−4−フェニル−1−トリメチルシリルブタンの製造マグネシウム片(9.79g,403ミリモル)の乾燥ジエチルエーテル懸濁液(200ml)を窒素雰囲気下で攪拌しながら、これにクロロメチルトリメチルシラン(50ml,358ミリモル)を添加した。ゆっくり温めて反応を開始し、次いで氷浴中で冷却して、ゆっくり還流を行った。発熱反応完了後、室温で1時間攪拌し、ドライアイス/アセトン浴中で−78℃に冷却した。そのグリニャール溶液に、N−2(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−3−フェニルプロピオンアルデヒド(19.3g,77.4ミリモル)の乾燥ジエチルエーテル溶液(250ml)を攪拌しながら滴下した。滴下は、反応温度を−55℃に保って行った。得られた灰色の懸濁液を室温まで温めて30分間攪拌した後、氷(500g)と10%クエン酸(500ml)との混合物に注入して反応を止めた。有機相を集め、水相はジエチルエーテル(3x300ml)で抽出した。一緒にした有機相を10%クエン酸(1x300ml)およびブライン(1x200ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮すると、粗製の3(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−2(RS)−ヒドロキシ−4−フェニル−1−トリメチルシリルブタン(26.6g,粗製物として定量的収量)が黄色の油状物として得られた。分析試料は、低圧クロマトグラフィ(シリカゲル 230〜400メッシュ;ジエチルエーテル:ヘキサン 30%:70%)の後、ヘプタンから再結晶することにより得た。融点:91〜95℃元素分析:C1831NO3 Si(337.53)に対する計算値:C,64.05;H,9.26;N,4.15実験値:C,64.15;H,9.13;N,4.22〔α〕D 20:−40.0°工程C:3(S)−アミノ−4−フェニル−1−ブテンの製造工程Bの生成物(22.8g,67.5ミリモル)の乾燥塩化メチレン溶液(400ml)を窒素雰囲気下、氷浴中で冷却・攪拌しながら、三フッ化ホウ素エーテラート (43ml,345ミリモル)を細流にして加えた。その溶液をそのままにして室温まで温め4日間攪拌した。反応溶液を氷浴で冷却し、10%水酸化ナトリウム(400ml)を滴下して添加することにより反応を停止した。有機相を集め、水性相は塩化メチレン(2x250ml)で抽出した。まとめた有機相をブライン(1x200ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過、濃縮すると、粗製の3(S)−アミノ−4−フェニル−1−ブテン(14.2g)が黄色の油状物として得られた。
【0071】工程D:N−3(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−4−フェニル−1−ブテンの製造工程Cの生成物(14.2g)およびジ−t−ブチルジカーボネート(31.0g,142ミリモル)の乾燥塩化メチレン溶液(200ml)を室温で18時間攪拌し、10%クエン酸(3x100ml)、水(1x100ml)、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(3x125ml)およびブライン(1x250ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮すると、粗製のN−3(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−4−フェニルブテン(34.6g)が黄色の油状物として得られた。粗生成物を低圧クロマトグラフィ(シリカゲル,230〜400メッシュ,10x20cmカラム;ジエチルエーテル:ヘキサン 20%:80%)で精製すると、N−3(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−4−フェニル−1−ブテン(16.3g,収率97.6%)が白色固体として得られた。分析試料は、ヘプタンから再結晶することにより得た。融点:67.5〜68.5℃元素分析:C1521NO2 (247.34)に対する計算値:C,72.84;H,8.56;N,5.66実験値:C,72.78;H,8.76;N,5.64工程E:1(R)−〔1’(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ−2−フェニルエチル〕オキシランの製造工程Dの生成物(9.4g,38ミリモル)の乾燥塩化メチレン溶液(100ml)を窒素雰囲気下、氷浴で冷却しながら、3−クロロ過安息香酸(工業的純度 80〜85%;41g,約200ミリモル)を添加した。その混合物を0℃で18時間、25℃で23時間攪拌した後、ジエチルエーテル(300ml)で希釈し、氷冷した亜硫酸ナトリウム水溶液(10%,1l)に注入した。有機相を集め、水性相はジエチルエーテル(3x100ml)で抽出した。まとめた有機相を10%の硫酸ナトリウム(3x100ml)、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(3x100ml)およびブライン(1x100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水、濾過、濃縮すると、白色固体が得られた。粗生成物を低圧クロマトグラフィ(シリカゲル 230〜400メッシュ,8x15cmカラム;酢酸エチル:ヘキサン 25%:75%)で精製すると、1(R)−〔1’(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ−2−フェニルエチル〕オキシラン(7.0g,収率70%)が透明な油状物として得られ、放置しておくと結晶化した。分析試料は、ヘプタンから再結晶することにより得た。融点:51.5〜52℃元素分析:C1521NO3 (263.34)に対する計算値:C,68.42;H,8.04;N,5.32実験値:C,68.22;H,8.26;N,5.29〔α〕D 20:−1.34°工程F:(5S,1’S)−3−カルボエトキシ−5−(1−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ)−2−フェニルエチル)ジヒドロフラン−2−(3H)−オンの製造工程Eの生成物9.93gを100mlの無水エタノールに溶解し、ナトリウム2.6gおよびマロン酸ジエチル20.1mlの無水エタノール溶液170mlに添加した。一夜攪拌後、反応溶液を10%クエン酸でpH約4まで酸性にし、エーテル(2x500ml)で抽出した。有機抽出物をまとめて、水(1x500ml)、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(1x500ml)およびブライン飽和溶液(1x500ml)で洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒を除去し、粗生成物を低圧クロマトグラフィ(シリカゲル、溶離液:50%エーテル/ヘキサン(または酢酸エチル/ヘキサン))で精製した。半固体物質が10.6g得られた。後の画分は、不要の5R異性体(白色固体)を2.5g含んでいた。
【0072】工程G:(5S,1’S)−3−カルボエトキシ−3−フェニルメチル−5−(1−((1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ)−2−フェニルエチル)ジヒドロフラン−2−(3H)−オンの製造工程Fの生成物10.6gを3.7mlの臭化ベンジルを含む100mlの無水エタノールに溶解し、ナトリウム0.71gの無水エタノール溶液100mlに添加した。その溶液を1.5時間50℃に加熱した後、氷浴で冷却し、10%クエン酸500mlで酸性にした。混合物をエーテル(3x500ml)で抽出し、エーテル抽出物をまとめて水400ml、ブライン400mlで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒を減圧除去すると、透明無色の油状物13.6gが得られた。これは、TLC(25%酢酸エチル/ヘキサン)により、本質的に均一であった。
【0073】工程H:(3R,5S,1’S)−3−ベンジル−5−(1−((1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ)−2−フェニルエチル)ジヒドロフラン−2−(3H)−オンの製造工程Gの生成物13.6gを1,2−ジメトキシエタン250mlに溶解し、それに、室温で、1Mの水酸化リチウム117mlを添加した。12時間攪拌後、溶媒を減圧除去し、残渣を10%クエン酸200mlに懸濁し、ジエチルエーテル(3x500ml)で抽出した。エーテル抽出物をまとめてブライン500mlで洗浄し、MgSO4 で脱水し、乾固した。残渣をトルエン250mlに溶解し、12時間加熱還流した後、減圧下で乾固した。中圧クロマトグラフィ(シリカゲル、溶離液:15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製すると、3.2gの3R−ラクトンが透明な泡状物として得られた。さらにおなじ溶媒で溶離すると、6.15gの3S−ラクトンが白色固体として得られた。
【0074】工程I:N’−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)−5(S)−アミノ−4(S)−(1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジメチルシリルオキシ)−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)−ヘキサン酸の製造(3R,5S,1’S)−3−ベンジル−5−(1−((1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ)−2−フェニルエチル)ジヒドロフラン−2−(3H)−オン 0.5gをエチレングリコールジメチルエーテル/水の2:1混合物30mlに溶解し、それに、室温で、1M水酸化リチウム5mlを添加した。1時間攪拌後、溶媒を真空除去し、残渣を20mlのクロロホルムおよび20mlの10%クエン酸に分配した。層を分離し、水性相をクロロホルム(3x20ml)で抽出した。有機相をまとめてNa2 SO4 で脱水し、溶媒を除去すると、0.46gの粗ヒドロキシ酸が得られた。この残渣を5mlの乾燥DMFに溶解し、t−ブチルジメチルシリルクロライド0.845gおよびイミダゾール0.725gを添加した。18時間攪拌後、反応溶液を50mlの水に注入し、酢酸エチル(3x20ml)で抽出した。有機抽出物をまとめて、10%クエン酸(3x20ml)、水(1x20ml)、炭酸ナトリウムの飽和水溶液(3x10ml)およびブライン(1x20ml)で洗浄した。Na2 SO4 で乾燥後、溶媒を除去し、得られた残渣をTHF5ml、氷酢酸5mlおよび水2mlの混合物に溶解した。混合物を4時間攪拌した後、50mlの水に注入し、エーテル(3x20ml)で抽出した。エーテル抽出物をまとめて、水(2x20ml)、ブラインで洗浄し、Na2 SO4 で乾燥して、溶媒を除去した。中圧クロマトグラフィ(シリカゲル、溶離液:メタノール/クロロホルム)で精製すると、0.53gの物質が白色固体として得られた。
【0075】工程J:1−アミノ−2−ヒドロキシインダンの分割標記化合物の公知ラセミ体を Rittle らの方法(Tetrahedron Letters 28, 521(1987) )に従って、ジアステレオマーのフェニルアラニンアミドにより分割した。極性の小さいアミドを鹸化すると、1(S)−アミノ−2(R)−ヒドロキシインダン(αD =−58°,c=1.0,クロロホルム)が得られた。
【0076】工程K:N−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル−5(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ−4(S)−(1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジメチルシリルオキシ)−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミドの製造工程Iで製造した5(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ−4(S)−(1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジメチルシリルオキシ)−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサン酸(700mg,1.33ミリモル)を2.5mlの乾燥DMFに溶解し、HOBT(197mg,1.46ミリモル)およびEDC(280mg,1.46ミリモル)を添加した。混合物を5分間攪拌し、200mgの1(S)−アミノ−2(R)−ヒドロキシインダン(1.34ミリモル)、次いで0.41mlのトリエチルアミン(2.9ミリモル)を添加した。24時間後、生成物を酢酸エチルおよび10%クエン酸に分配した。有機相をブラインで洗浄し、Na2 SO4 で脱水した。溶媒を蒸発させて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(2%メタノール/クロロホルム)にかけると、0.86gの所望の物質が油状物として得られた(収率98%)。
【0077】工程L:N−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル−5(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミドの製造工程Kの生成物を1Mのフッ化テトラブチルアンモニウム5mlに溶解した。48時間後、反応混合物を10%クエン酸に注入し、析出物質を濾別した。その固体を、THFと酢酸エチルとの混合物に溶解し、水およびブラインで洗浄し、蒸発させると0.68gの標記化合物が得られた。
【0078】工程M:N−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミドの製造工程Lの生成物を200mlの塩化メチレンと50mlのトリフルオロ酢酸との混合物に溶解した。30分後、溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルに溶解した。この溶液を10%の重炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、乾固した。その固体残渣をエーテルで摩砕すると、0.42gの所望の化合物が白色固体として得られた。
【0079】工程N:N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニル−ヘキサンアミドN−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミド(1.147g,2.58ミリモル)の塩化メチレン懸濁物に0.36mlのトリエチルアミン(2.6ミリモル)および946mgのN−1,3,6,9,12,15−ヘキサオキサ−2−オキソヘキサデシルスクシンイミド(2.7ミリモル)を添加した。混合物を一夜攪拌し、塩化メチレンで希釈して、溶液を、10%クエン酸、5%水酸化アンモニウムおよびブラインで順次洗浄した。溶液を乾固し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(1〜2%メタノール/クロロホルムで溶離)にかけた。エーテルで摩砕すると、0.95gの固体生成物が得られた。融点:148〜150℃元素分析:C38502 9 に対する計算値:C,67.24;H,7.42;N,4.13実験値:C,67.07;H,7.23;N,4.07実施例2N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド工程A:N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミドの製造標記化合物を実施例1、工程B〜Mに記載した方法に従って製造したが、工程Gで使用した臭化ベンジルの代わりに臭化シンナミルを用いた。
【0080】工程B:テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(146mg,0.70ミリモル)を121mgのクロロギ酸p−ニトロフェニルを含む2mlのTHFに溶解し、0.84ml(0.60ミリモル)のトリエチルアミンを添加した。30分後、2mlの1:1THF/DMFに溶解した工程Aの生成物100mg(0.21ミリモル)および0.54mlのトリエチルアミンを添加した。48時間攪拌後、水100mlを加えた。24時間後、その混合物を酢酸エチルおよび5%水酸化アンモニウムに分配した。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥した。溶媒を蒸発させると、黄色固体が得られ、これをシリカゲルクロマトグラフィ(メタノール/クロロホルムで溶離)にかけた。エーテルで摩砕し、純粋な標記化合物(58mg)を得た。
【0081】元素分析:C40522 9 に対する計算値:C,68.16;H,7.44;N,3.97実験値:C,68.09;H,7.76;N,4.03実施例3〜8実施例1および2に記載した方法により、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりに適当なアルコールを用いて下記化合物を製造した。
【0082】N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−5−フェニルヘキサンアミド元素分析:C36462 8 に対する計算値:C,68.12;H,7.30;N,4.41実験値:C,68.17;H,7.26;N,4.39N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6−ジオキサヘプチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド元素分析:C34422 7 に対する計算値:C,69.13;H,7.17;N,4.74実験値:C,69.03;H,7.07;N,4.77N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3−オキサブチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド元素分析:C32382 6 に対する計算値:C,70.31;H,7.01;N,5.12実験値:C,70.42;H,6.86;N,5.08N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド元素分析:C38482 8 に対する計算値:C,69.07;H,7.32;N,4.24実験値:C,69.23;H,7.66;N,4.35N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6−ジオキサヘプチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド元素分析:C36442 7 に対する計算値:C,70.11;H,7.19;N,4.54実験値:C,70.02;H,7.24;N,4.58N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3−オキサブチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド元素分析:C34402 6 に対する計算値:C,71.31;H,7.04;N,4.89実験値:C,71.54;H,7.14;N,4.94実施例9N−(2−ベンズイミダゾリルメチル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイルイソロイシルアミド工程A:N−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)イソロイシルスクシンイミドの製造15g(0.065モル)のBoc−イソロイシン、8.2gのN−ヒドロキシスクシンイミドおよび13.7gのEDCを80mlのDMFに溶解した。25℃で18時間攪拌後、その溶液を水500mlに加え、酢酸エチル(3x200ml)で抽出した。有機相を一緒にして水(4x200ml)およびブライン(1x200ml)で洗浄し、Na2 SO4 で脱水した。真空下で濾過・濃縮すると、工程Aの生成物が20.2g(95%)得られた。融点:62〜64℃工程B:N−(2−ベンズイミダゾリルメチル−N’−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)イソロイシルアミドの製造工程Aの生成物4.6g(14ミリモル)を70mlの1,2−ジメトキシエタンに溶解し、それに5.9g(28ミリモル)の2−アミノメチルベンズイミダゾール ジヒドロクロライドおよび7.8ml(56ミリモル)のトリエチルアミンを添加した。25℃で18時間攪拌後、溶媒を真空除去し、残渣を250mlの酢酸エチルに溶解した。この溶液を水(3x100ml)およびブライン(1x100ml)で洗浄し、Na2 SO4 で脱水した。真空下で濾過・濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィ(CH2 Cl2 :CH3 OH,95:5)にかけると、工程Bの生成物が4.4g(87%)得られた。
【0083】工程C:N−(2−ベンズイミダゾリルメチル)イソロイシルアミドの製造工程Bの生成物2g(5.6ミリモル)を50mlの酢酸エチルに溶解し、−25℃に冷却した。その溶液に塩化水素ガスを0.75時間またはTLCが反応終了を示すまで吹き込んだ。その反応溶液を室温に温めたまま、窒素ガスを吹き込んだ。真空下で濃縮すると、工程Cの生成物が1.6g(86%)得られた。
【0084】工程D:N−(2−ベンズイミダゾリルメチル)−5(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイルイソロイシルアミドの製造実施例2の中間体である5(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサン酸を、実施例1、工程Kの条件を使用して工程Cの生成物と結合した。
【0085】工程E:N−(2−ベンズイミダゾリルメチル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイルイソロイシルアミドの製造工程Dの生成物を、実施例1、工程Mおよび実施例2、工程Bの方法により、標記化合物に変えた。融点:164〜166℃元素分析:C43575 8 ・0.5H2 Oに対する計算値:C,66.13;H,7.49;N,8.97実験値:C,66.12;H,7.44;N,8.90実施例10N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミド工程A:2−(1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジフェニルシリルオキシ)エトキシ p−ニトロフェニルカーボネートの製造2−(1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジフェニルシリルオキシ)エタノール(544mg)およびN−メチルモルホリン(202mg)の塩化メチレン溶液30mlに、クロロギ酸p−ニトロフェニル403mgを添加した。室温で18時間放置後、その混合物を10%クエン酸とともに振り、有機相を乾固した。得られた油状物をヘキサンで処理してp−ニトロフェノールを析出させ、濾液を蒸発させると30%の未反応アルコールを含む所望の化合物が得られた。この化合物を、精製することなく次の工程で使用した。
【0086】工程B:N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔2−((1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジフェニルシリルオキシ)エトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミドの製造N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミド95mgの塩化メチレン溶液6mlに、0℃で2mlのトリフルオロ酢酸を添加した。3時間後、反応溶液を乾固し、粗残渣を3mlのDMFおよび0.2mlのトリエチルアミンに溶解した。工程Aの化合物150mgのDMF溶液2mlを添加し、室温で18時間攪拌した後、乾固して精製(2mm SiO2 prep plate,5%メタノール/クロロホルム)すると標記化合物が得られた。
【0087】工程C:N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)ヘキサンアミドの製造上記工程Bの生成物を4mlのTHFに溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウムの1M溶液を1ml加えた。室温で2時間放置後、反応溶液を水25mlで希釈し、酢酸エチル、次いで塩化メチレンで抽出し、有機相をまとめて乾燥・濾過・濃縮すると黄色固体が得られた。その残渣をクロマトグラフィ(2mm SiO2 prep plate, 5%メタノール/クロロホルム)にかけると標記化合物が得られた。融点:181〜183℃実施例11N’−〔(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル〕−N−イソロイシン(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミドの製造実施例10と同様の方法により、実施例9で製造した5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル−N−イソロイシン−(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミドを〔2−(1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジフェニルシリルオキシ)エトキシ〕−p−ニトロフェノキシカルバメートと反応させて、N’−5(S)−〔2−((1’,1’−ジメチルエチル−1,1−ジフェニルシリルオキシ)エトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル−N−イソロイシン(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミドを得た。この化合物を、実施例9、工程Cに記載したように脱シリル化すると、N’−〔(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル〕−N−イソロイシン(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミドが得られた。融点:202〜204℃実施例12N−〔(シス)−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル〕−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミドの製造工程A:2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−エチルスクシンイミド−1−イル カーボネートの製造2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エタノール(17.3g)を200mlの塩化メチレンに溶解し、−40℃に冷却して、トリホスゲン9.9gを添加した。ピリジン8.0mlの塩化メチレン溶液50mlを滴下した。冷却浴を取り除き、混合物を室温で2時間攪拌した。−5℃に冷却後、N−ヒドロキシスクシンイミド12.4gおよびトリエチルアミン15mlのアセトニトリル溶液120mlを滴下した。冷却浴を取り除いて、混合物を室温まで温め、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルおよび10%クエン酸に分配した.有機相を乾固し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィにかけると、標記化合物が白色固体として得られた。
【0088】1H NMR(CDCl3 ):δ4.39(2H,t);3.90(2H,t);2.82(4H,s);0.90(9H,s);0.10(6H,s)
工程B:N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミドの製造工程Aの生成物(270mg)を、塩化メチレン中で、実施例2で製造したN−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミド(400mg)と混合し、120μlのトリエチルアミンを加えた。一夜攪拌した後、溶液を10%クエン酸で洗浄し、乾固した。粗生成物を実施例1、工程Lに記載したように脱シリル化すると、標記化合物が得られた。融点:218.5〜219.2℃元素分析:C33382 6 に対する計算値:C,70.93;H,6.86;N,5.02実験値:C,71.09;H,7.00;N,4.99実施例13N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(4−ヒドロキシフェニル)メチルヘキサンアミドの製造公知化合物(EPO 0337714A2を参照)であるN−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(1,1−ジメチルエトキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(4−ヒドロキシフェニル)メチルヘキサンアミドを、実施例1および2の方法を使用して標記化合物に変えた。
【0089】
元素分析:C38502 10・0.32H2 Oに対する計算値:C,64.95;H,7.30;N,3.99実験値:C,64.96;H,7.22;N,3.99実施例14N−〔2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル〕−5(S)−〔(3−ヒドロキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロピル)ヘキサンアミドの製造工程A:1−〔3−(ベンジルオキシ)プロポキシカルボニルオキシ〕ピロリジン−2,5−ジオンの製造ホスゲンのトルエン溶液(12.5%の市販溶液10ml)を0℃で攪拌しながら、それに1.05g(6.3ミリモル)の3−ベンジルオキシ−1−プロパノールを添加した。得られた溶液を0〜23℃で24時間攪拌した。その後、窒素を15分間吹き込み、過剰のホスゲンを除去した。次いで、混合物を減圧下で乾固した。油状の残渣を無水アセトニトリル(25ml)に溶解し、0℃に冷却して、950mg(8ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミド、次いで1.5mlのトリエチルアミンを添加した。次いで、得られた混合物を0℃〜室温で2時間攪拌した。反応を、重炭酸ナトリウムの飽和溶液10mlを用いて停止し、酢酸エチルで2回抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルを用いたクロマトグラフィ(50%酢酸エチル/ヘキサン)にかけると、標記カーボネート2.0gが無色の油状物として得られた。
【0090】工程B:N−〔2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル〕−5(S)−〔(3−ヒドロキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロパニル)ヘキサンアミドの製造1−〔(3−ベンジルオキシ)プロポキシカルボニルオキシ〕ピロリジン−2,5−ジオン0.388gを5mlの乾燥塩化メチレンに溶解し、実施例2で得たN’−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)メチルヘキサンアミド0.4gを添加した。その攪拌溶液に、pHが8.5になるまでトリエチルアミンを添加した。室温で12時間攪拌後、反応溶液を水5mlに注入し、酢酸エチル(3x15ml)で抽出した。有機相を合わせて、10%クエン酸、水、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を蒸発して得た残渣をシリカゲルを用いたクロマトグラフィ(5%メタノール/クロロホルム)にかけると、カルバメート誘導体0.49gが白色固体として得られた。この物質(0.03g)を3:1の酢酸エチル/メタノール(5ml)に溶解し、得られた溶液を、10%Pd−C(15mg)を用いて、室温、自然圧で12時間水素添加した。その後、溶液を濾過し、蒸発させて得た残渣をシリカゲルを用いたクロマトグラフィ(50%酢酸エチル/ヘキサン)にかけると、標記化合物0.02gが白色固体として得られた。融点:177〜180℃実施例15N−〔2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル〕−5(S)−〔(3−メトキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−〔3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル〕ヘキサンアミドの製造標記化合物(融点:173〜175℃)を、実施例1、工程AおよびNの方法により、実施例2で製造された3−メトキシプロパン−1−オールおよびN−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミドを使用して製造した。
【0091】実施例16N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(13,13−ジメチル−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド工程A:13,13−ジメチル−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカノールの製造テトラエチレングリコール(10g)を85mlのt−ブタノールに溶解し、4.5mlの硫酸を攪拌しながら滴下した。3日後、水酸化ナトリウム7.2gのメタノール溶液150mlを加え、その懸濁液をセリットを用いてスラリー化し、濾過した。濾液を蒸発し、固体残渣をエーテルで抽出した。そのエーテル溶液を乾固した。TLC(10%メタノール/クロロホルム)により、3種類の物質を検出した(Rf:0.33,出発物質;0.48,標記化合物;0.67,出発物質のビス−t−ブチルエーテル)。所望の化合物をシリカゲルクロマトグラフィ(1〜2%メタノール/クロロホルム)により単離した。
【0092】工程B:N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(13,13−ジメチル−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミドの製造工程Aの生成物を、実施例12、工程Aに記載したようにスクシンイミジルカーボネートに変えた。この試薬を使用して、実施例1、工程Nに記載したように標記化合物を製造した。融点:150.3〜151.5℃元素分析:C41562 9 に対する計算値:C,68.31;H,7.83;N,3.89実験値:C,68.30;H,7.99;N,3.90実施例17:微生物で発現するウィルス性プロテアーゼの抑制試験大腸菌で発現するプロテアーゼとペプチド基質〔Val−Ser−Gln−Asn−(ベータナフチル)Ala−Pro−Ile−Val,反応開始時:0.5mg/ml〕との反応の抑制試験を50mMの酢酸ナトリウム中、pH5.5、30℃で1時間行った。種々の濃度の抑制剤のDMAO溶液1.0μlをペプチド水溶液25μlに添加した。反応開始は、0.33nMプロテアーゼ(0.11ng)の0.133M酢酸ナトリウム溶液(pH5.5)15μlおよび0.26%ウシ血清アルブミンを添加することにより行った。反応停止には、5%リン酸160μlを用いた。反応生成物を、HPLC(VYDAC 広孔 5cm C−18 逆相,アセトニトリル 勾配,0.1%リン酸)で分離した。反応抑制の程度は生成物のピーク高さから求めたが、別に合成した物質のHPLCを定量基準とし、生成組成物の確認をした。化合物AのIC50値は約5nMだった。
【0093】本明細書により本発明の本質を開示し、説明のために実施例を記載したが、本発明は、特許請求の範囲内での通常のあらゆる変形、修正を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】


{式中、Aは−CO−O〔(CH2 m O〕n R(nは1〜6であり、mは各繰り返し単位nごとに1〜3であり、Rは水素またはC1-4 アルキルである。)であり、Gは
【化2】


[式中、ZはO、SまたはNHであり、R1 は独立して1)水素;
2)
【化3】


3)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
4)−NR2
5)C1-4 アルキレン−R3(式中、qは0〜5であり、R2 は独立してa)水素;
b)ヒドロキシ;またはc)C1-4 アルキルであり、R3 はa)水素;
b)下記i)〜xvii)の一個以上の置換基を有していてもよいアリール:i)ハロゲン;
ii)ヒドロキシ;
iii)−NH2 、−NO2 、−NHRまたは−NR2 (RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iv) C1-4 アルキル;
v)C1-3 アルコキシ;
vi)−COOR;
vii)−CONR2
viii)−CH2 NR2
ix)−CH2 NHCOR;
x)CN;
xi)CF3
xii)−NHCOR;
xiii)アリールC1-3 アルコキシ;
xiv)アリール;
xv)−NRSO2 R;
xvi)−OP(O)(ORx 2 (Rx はH、アリール、ベンジルまたは金属イオンである。);
xvii)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルであり、またR3 はc)N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含むヘテロ5または6員環であって、その環は下記i)〜xv)の一個以上の置換基を有していてもよい:i)ハロゲン;
ii)ヒドロキシ;
iii)−NH2 、−NHRまたは−NR2
iv) C1-4 アルキル;
v)C1-3 アルコキシ;
vi)−COOR;
vii)−CONR2
viii)−CH2 NR2
ix)−NHCOR;
x)−CN;
xi)CF3
xii)−NHSO2 R;
xiii)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xiv)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキル;
xv)SR、S(O)RおよびS(O2 )Rd)下記i)〜xv)の一個以上の置換基を有していてもよいC1-6 アルキルまたはC1-6 アルケニル:i)ヒドロキシ;
ii)C1-4 アルキル;
iii)−NH2 、−NHRまたは−NR2
iv) −NHC(=NH)H;
v)−NHC(=NH)NH2
vi)−COOH;
vii)−COOR;
viii)−SR、S(O)RおよびS(O)2 R;
ix)−SO2 NHR;
x)C1-4 アルキルスルホニルアミノまたはアリールスルホニルアミノ;
xi)−CONHR;
xii)−NHCOR;
xiii)−OR;
xiv)アリールC1-3 アルコキシ;
xv)アリールe)下記i)〜 xii)の一個以上の置換基を有していてもよいC3-7 シクロアルキルi)ヒドロキシ;
ii)C1-4 アルキル;
iii)−NH2 、−NHRまたは−NHR2
iv) −NHC(=NH)H;
v)−NHC(=NH)NH2
vi)−COOH;
vii)−COOR;
viii)−SR、S(O)RおよびS(O2 )R;
ix)−SO2 NH2
x)アルキルスルホニルアミノまたはアリールスルホニルアミノ;
xi)−CONHR;
xii)−NHCORf)飽和または不飽和の炭素5〜7員環または二環式炭素7〜10員環であって、炭素環は下記i)〜 xii)の一個以上の置換基を有していてもよい:i)ハロゲン;
ii)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2 または−S(O)y R(yは0、1または2である。);
vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 Rであってもよい。)であり、R9 は−OHまたは−NHR10(R10は−H、−CHO、C1-4 アルキルまたは−COORである。)であり、Qは
【化4】


(式中、R1 およびR10は上記で定義した通りであり、X1 はO、SまたはNHであり、Wは1)OH;
2)NH2
3)OR;または4)NHRである。)である。]であり、Bは独立して、存在しないかまたは
【化5】


であり、Jは1)YR11(YはOまたはNHであり、R11はa)H;
b)下記i)〜 xviii)の一個以上の置換基を有していてもよいC1-6 アルキルi)−NR6 2
ii)−OR;
iii)−NHSO2 1-4 アルキル;
iv)−NHSO2 アリールまたは−NHSO2 (ジアルキルアミノアリール);
v)−CH2 OR;
vi)C1-4 アルキル;
vii)−COOR;
vii)−CONR2
ix)−NHC(=NH)NR2 または−NHC(=N−CN)NR2
x)−NHCOR;
xi)−N(CH2 CH2 OH)SO2 CH3
xii)−NHCOO−CH2 Ph;
xiii)−NR3 + - (A- は対イオンである。);
xiv)−NR1213(R12およびR13は同じでも異なってもよいC1-5 アルキルまたは一緒になってヘテロ5〜7員環を形成してもよい。);
xv)アリール;
xvi)−CHO;
xvii)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xviii)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルc)−(CH2 CH2 O)n CH3 または−(CH2 CH2 O)n H;
2)−N(R112
3)−NR1213(R12およびR13上記で定義した通りである。);
4)
【化6】


[式中、Y、R11およびqは上記で定義した通りであり、R14はa)水素;
b)下記i)〜xv)の一個以上の置換基を有していてもよいアリール:i)ハロゲン;
ii)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 R;
xiii)−C1-4 アルキル−NR2
xiv)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xv)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルc)下記i)〜 xvi)の一個以上の置換基を有していてもよいヘテロ環;
i)ハロゲン;
ii)−OR(RはH、C1-4 アルキルまたはC1-4 アルケニルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 R;
xiii)フエニルC1-4 アルキル;
xiv)−OCOR;
xv)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xvi)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルd)飽和または不飽和の炭素5〜7員環または二環式炭素7〜10員環であって、炭素環は下記i)〜 xiv)の一個以上の置換基を有していてもよい:i)ハロゲン;
ii)−OR(RはHまたはC1-4 アルキルである。);
iii)−COOR;
iv) −CONR2
v)−CH2 NR2
vi)−SO2 NR2
vii)−NR2
viii)−NHCOR;
ix)C1-4 アルキル;
x)フェニル;
xi)−CF3
xii)−N(R)SO2 R;
xiii)−OP(O)(ORx 2 (Rx はHまたはアリールである。);
xiv)一個以上のアミンまたは第四アミンで置換された−OCO−C1-4 アルキルである。]である。}の化合物もしくは薬剤的に許容されうるその塩、水和物またはエステル。
【請求項2】 Aが−CO−O〔(CH2 2 O〕n CH3 (n=1〜4)であり、Gが
【化7】


であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】 Aが−CO−O〔(CH2 2 O〕n CH3 (n=1〜4)であり、Gが
【化8】


であり、Bは存在しないか、1個存在することを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】 Aが−CO−O〔(CH2 2 O〕n CH3 (n=1〜4)であり、Gが
【化9】


であり、Bは存在しないで、JがNHR14(R14は置換した炭素またはヘテロ5〜7員環もしくは置換した二環式の炭素またはヘテロ7〜10員環であって、飽和または不飽和のどちらでもよい。)であることを特徴とする請求項3に記載の化合物。
【請求項5】 JがOH置換基を1個または2個有するインダンであることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】 N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6−ジオキサヘプチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3−オキサブチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6−ジオキサヘプチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3−オキサブチルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)−6−フェニルヘキサンアミド;N−(2−ベンズイミダゾリルメチル)−5(S)−(3,6,9−トリオキサデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル イソロイシルアミド;N−〔(シス)−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(フェニルメチル)〕ヘキサンアミド;N’−〔(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−5(S)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサノイル〕−N−イソロイシン−(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミド;N−〔(シス)−2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル〕−5(S)−〔(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)アミノ〕−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル)ヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(4−ヒドロキシフェニル)メチルヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(3−ヒドロキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−〔3−フェニルプロパニル〕ヘキサンアミド;N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−〔(3−メトキシ)プロポキシカルボニル〕アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−〔3−フェニルプロプ−2−エン−1−イル〕ヘキサンアミド;またはN−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(13,13−ジメチル−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミドの化合物もしくは薬剤的に許容されうるその塩またはエステル。
【請求項7】 N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−5(S)−(3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−2(R)−フェニルメチル−6−フェニルヘキサンアミドの化合物もしくは薬剤的に許容されうるその塩またはエステル。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物および薬剤的に許容されうる担体を含む医薬品組成物。
【請求項9】 AIDSの治療、HIV感染の予防、HIV感染の治療またはHIVプロテアーゼの抑制に使用するための請求項8に記載の医薬品組成物。
【請求項10】 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を、前記治療を必要とする非ヒト哺乳動物に有効量投与することを含むAIDSの治療方法。
【請求項11】 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を、前記治療を必要とする非ヒト哺乳動物に有効量投与することを含むHIV感染の予防方法。
【請求項12】 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を、前記治療を必要とする非ヒト哺乳動物に有効量投与することを含むHIV感染の治療方法。
【請求項13】 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を、前記治療を必要とする非ヒト哺乳動物に有効量投与することを含むHIVプロテアーゼの抑制方法。