説明

NK型LDGLのような免疫増殖性障害を処置するための組成物および方法

本発明は、増殖性障害、とりわけNK型LDGLのような免疫増殖性障害を処置する方法、およびかかる障害を処置するための処置計画において使用するための抗体を生成する方法に関する。一般的に本方法は、障害の基礎となる増殖細胞の表面に存在する受容体に特異的に結合する抗体の使用を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増殖性障害、とりわけNK型LDGLのような免疫増殖性障害を処置する方法、およびかかる障害を処置するための処置計画において使用するための抗体を生成する方法に関する。一般的に、本方法は、障害の基礎となる増殖細胞の表面に存在する受容体に特異的に結合する抗体の使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、非従来的免疫に関与するリンパ球の亜集団である。NK細胞の特徴および生物学的特性には、CD16、CD56、および/またはCD57のような表面抗原の発現、および細胞表面に発現されるアルファ/ベータまたはガンマ/デルタTCR複合体の不在;特異的細胞溶解酵素の活性化により「自己」MHC/HLA抗原を発現することができない細胞に結合し、そして死滅させる能力;NK活性化受容体−リガンドを発現する腫瘍細胞またはその他の疾患細胞を死滅させる能力;ならびに免疫応答を刺激または阻止するサイトカインと称されるタンパク質分子を放出する能力が含まれる。
【0003】
NK細胞活性は、活性化および阻止シグナルの双方を包含する複合的なメカニズムにより調節される。NK細胞媒介のHLAクラスI欠損標的細胞の認識および死滅に重要な役割を果たすいくつかの異なるクラスのNK特異的受容体が同定されている。かかるクラスの受容体の1つである、NCR(ナチュラル細胞毒性受容体)にはNKp30、NKp46、およびNKp44が含まれ、これらはすべて免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。特異的モノクローナル抗体により誘起されるその架橋は、NK細胞を強く活性化して、細胞内Ca2+レベルの上昇、細胞毒性の誘発、およびリンホカイン放出を招く。
【0004】
2つの更なるNK細胞受容体のファミリーは、KIR受容体(Killer Cell Immunoglobulin-like Recepteors:キラー細胞免疫グロブリン様受容体)およびCD94/NKG2である。これらのファミリーの各々は、活性化および阻止受容体の双方を含有する。KIR遺伝子は、NK細胞に発現される免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーの多様な多型群を示し、そして2つまたは3つのいずれかの細胞外免疫グロブリン様ドメインを有している。KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、およびKIR3DL3を含むファミリーの阻止メンバーの細胞質ドメインは、ITIM配列を含有し、対照的にKIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、およびKIR3DS1のような活性化メンバーの細胞質ドメインは、通常荷電した残基を含有する。KIRファミリーの阻止メンバーは、HLAクラスI分子の阻止効果を媒介する。KIR受容体ファミリー内で認められる多型性は、インビボで特定のNK細胞の個体とクローンエクスパンション(expansion)間の遺伝的多様性を招く。概説に関しては例えばTrowsdaleおよびParham、Eur J Immunol 34(1): 7-17(2004); Yawataら、Crit Rev Immunol 22(5-6): 463-82(2002); Hsuら、Immunol Rev 190: 40-52(2002); Middletonら、Transpl Immunol 10(2-3): 147-64(2002); Vilchesら、Annu Rev Immunol 20: 217-51(2002)参照。
【0005】
CD94およびNKG2タンパク質は、C型レクチンスーパーファミリーのメンバーである。CD94は、NK細胞において優先的に発現され、そしてそれ自体少なくとも50%のNK細胞において発現されるNKG2AのようなNKG2ファミリーメンバーとヘテロ二量体を形成する。NKG2Aは、2ITIMドメインを含有し、そしてCD94と一緒に非古典的MHCクラスI分子HLA−E(ヒトにおいて;マウスではQa−1b)に結合するヘテロ二量体阻止受容体を形成する(例えばOMIM602894;BraudらNature 391: 795-799(1998); Changら、Europ.J.Immun 25: 2433-2437(1995); LazeticらImmun 157: 4741-4745(1996); Rodriguezら、Immunogenetics 47: 305-309(1998)参照)。
【0006】
NK−LDGL(顆粒性リンパ球のNK型リンパ増殖性疾患;代替的にNK−LGLとも称される)は、NK細胞またはNK様細胞、すなわち表面抗原発現の特徴的な組み合わせ(例えばCD3−、CD56+、CD16+等;例えばLoughran、Blood 82: 1(1993)参照)を示す大型顆粒性リンパ球のクローンエクスパンション(expansion)により引き起こされる増殖性障害のクラスを意味する。これらの障害の基礎となる細胞増殖は、ある患者で認められる穏やかな病徴からNK−LDGL白血病と称される攻撃的でしばしば致命的な形態にわたる様々な影響を有し得る。このクラスの障害の病徴は、発熱、穏やかな好中球減少症、血小板減少症、貧血、リンパ球増加症、脾腫、肝腫大、リンパ節症、骨髄浸潤他(例えばZambelloら、Blood 102: 1797(2003); Loughran Blood 82: 1(1993); Epling-Burnetteら、Blood-2003-02-400(2004)参照)を含み得る。化学療法剤を包含するNK−LDGL白血病のための処置はしばしば攻撃的であり、そして疾患は、しばしば致命的であり、凝血および多臓器不全に随伴され、そして多くの器官のLGL浸潤を包含する。
【0007】
モノクローナル抗体基盤の処置が今日利用可能であるか、または特定の疾患、とりわけ非ホジキンリンパ腫および乳癌のような癌のための臨床試験中である。かかる処置に用いられる抗体は、一般的にヒト以外の動物から誘導され、そして次にそれらをヒトにおいて使用するのに適切なものにするために「ヒト化」または「キメラ化」される。典型的には、癌またはその他の増殖性障害を処置するために、抗体は、悪性細胞の表面に特異的に存在する受容体に特異的である。リツキサン(非ホジキンリンパ腫の処置用)、ヘルセプチン(乳ガンの処置用)、キャンパス(B−CLLの処置用)のような単独で用いられるモノクローナル抗体もあり、それらは標的細胞の成長を緩徐化または停止のいずれか、その活性の阻止、アポトーシスの誘発、または免疫系による破壊のためのそれらのマーキングを行うことができる。対照的にその他の抗体を放射性同位元素のような毒性部分に結合させて、単に標的受容体に結合させることにより標的細胞を直接死滅させる。かかる抗体の実例には、ゼバリン、ベキサール、およびオンコリン(すべて非ホジキンリンパ腫の処置用)が含まれる。
【0008】
NK−LDGLおよびその他の免疫増殖性障害のための有効な処置の相対的な不足に鑑みて、これらの障害の基礎となるLGL増殖を制限および逆行させるための新しいおよび革新的な処置計画に関する大きな必要性が当技術分野に存在するのは明白である。本発明は、これらのおよびその他の必要性に対処する。
【0009】
発明の概要
本発明は、NK型LDGLのような増殖性障害、とりわけ免疫増殖性障害の処置に有用な抗体を生成するための方法を提供する。本方法を用いて生成される抗体は、NK型LDGLのエクスパンションした(expanded)NK細胞のようなかかる障害の基礎となるエクスパンションした(expanded)細胞を特異的に標的とすることができる。抗体は、例えば単独で結合することによりエクスパンションした(expanded)細胞の影響を中和することにより、免疫系による破壊のためにそれらを標的化することにより、または放射性同位元素、毒素、もしくは薬物のような細胞毒性薬剤とそれらを接触させることにより直接的に細胞を死滅させることにより、細胞増殖の病理学的影響を制限することができる。多くの増殖性障害のいずれか、好ましくは、NK型LDGLの処置のために抗体を使用する方法もまた提供され、本明細書に記載した抗体を含むキットおよびその使用のための指示書も同様に提供される。
【0010】
したがって、本発明は、NK受容体に特異的に結合する抗体を患者に投与することを含む、NK−LDGLを有する患者を処置する方法を提供する。本発明はまた、a)患者内のNK細胞のNK受容体の状態を決定すること、およびb)NK細胞において顕著に発現されるNK受容体に特異的に結合する抗体を患者に投与することを含む、NK−LDGLを有する患者を処置する方法をも提供する。
【0011】
本発明の方法の一実施態様では、NK受容体は活性化受容体である。別の実施態様では、受容体は、KIR2DL1(アクセッション番号NP_055033)、KIR2DS1(アクセッション番号X89892)、KIR2DL2(アクセッション番号NP_055034)、KIR2DL3(アクセッション番号NP_056952)、KIR2DS4(アクセッション番号L76671)、CD94、およびNKG2A(アクセッション番号AAB17133)から成る群より選択される。別の実施態様では、受容体は、NKp30(アクセッション番号NP_667341)、NKp44(アクセッション番号CAB39168)、またはNKp46(アクセッション番号NP_004820)のようなNCRである。先に述べたアクセッション番号に相当するGenbankファイルの開示は参照として本明細書に組み入れられる。別の実施態様では、抗体は、単一のNK受容体に特異的に結合する。別の実施態様では、NK受容体状態は、免疫学的アッセイを用いて決定される。別の実施態様では、NK受容体状態は、NK細胞に存在するNK受容体の活性を決定するための機能的アッセイを用いて決定される。別の実施態様では、NK受容体状態は遺伝子型決定アッセイを用いて決定される。別の実施態様では、NK受容体状態は、細胞においてNK受容体コード化mRNAを検出するアッセイを用いて決定される。別の実施態様では、受容体は、少なくとも50%のNK細胞に検出可能なように存在する。
【0012】
別の実施態様では、抗体は、抗体フラグメントである。別の実施態様では、抗体は、細胞毒性抗体である。別の実施態様では、抗体は、放射性同位元素、毒性ペプチド、および毒性小分子から成る群より選択されるエレメントを含む。別の実施態様では、抗体は、ヒト化されているかまたはキメラである。別の実施態様では、放射性同位元素、毒性ペプチド、または毒性小分子は、抗体に直接結合している。別の実施態様では、抗体は、上記NK受容体のマウスまたは霊長類相同体に結合する。別の実施態様では、抗体は、複数のKIR受容体に結合する。別の実施態様では、細胞毒性抗体は、免疫学的アッセイにおいて上記NK受容体状態を決定するために用いられた同一の抗体から誘導される。
【0013】
別の態様では、本発明は、i)1つ以上のNK細胞受容体に特異的に結合する複数の抗体を提供すること;ii)NK−LDGLを有する一人以上の患者から採取したNK細胞に結合する抗体の各々の能力を試験すること;iii)一人以上の患者から採取したNK細胞の少なくとも50%に結合する複数の抗体から1つを選択すること;およびiv)ヒト投与に適切な抗体を作成することを含む、NK−LDGLの処置において使用するのに適切な抗体を生成する方法を提供する。
【0014】
一実施態様では、抗体は、活性化NK細胞受容体に特異的に結合する。別の実施態様では、抗体は、KIR2DL1、KIR2DS1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DS4、CD94、およびNKG2Aから成る群より選択される受容体に特異的に結合する。別の実施態様では、抗体は、NKp30、NKp44、またはNKp46のようなNCRに特異的に結合する。別の実施態様では、抗体を、ヒト化またはキメラ化することによりヒト投与に適切なものにする。
【0015】
別の実施態様では、該方法は、更に細胞毒性薬剤を抗体に連結させる工程を含む。別の実施態様では、細胞毒性薬剤は放射性同位元素、毒性ポリペプチドまたは毒性小分子である。別の実施態様では、細胞毒性薬剤は、抗体に直接連結される。別の実施態様では、抗体は、抗体フラグメントである。別の実施態様では、抗体は、一人以上の患者から採取したNK細胞の少なくとも60%に結合する。別の実施態様では、抗体は、一人以上の患者から採取したNK細胞の少なくとも70%に結合する。別の実施態様では、抗体は、一人以上の患者から採取したNK細胞の少なくとも80%に結合する。
【0016】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載する方法のいずれかを用いて生成された抗体を提供する。本発明はまた、実質的に同一の抗原特異性および活性(例えばこれは親抗体と同一の抗原に結合できる)を有する抗体のフラグメントおよび誘導体を包含する。かかるフラグメントには、限定するものではないがFabフラグメント、Fab’2フラグメント、CDRおよびScFvが含まれる。
【0017】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載するいずれか1つ以上の抗体を含むキットを提供する。一実施態様では、キットは少なくとも1つの診断用抗体および少なくとも1つの処置用(例えば細胞毒性)抗体を含む。別の実施態様では、診断用抗体および処置用抗体は、同一のNK細胞受容体に特異的に結合する。別の実施態様では、キットはまた本発明の方法による抗体を用いるための指示書を含む。
【0018】
本発明はまた、1つ以上の本抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体および医薬的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0019】
発明の詳細な説明
序文
本発明は、顆粒性リンパ球のNK型リンパ増殖性疾患(NK−LDGL)のような増殖性、とりわけ免疫増殖性障害を処置するのに適切な抗体を生成および使用するための新規方法を提供する。本明細書に記載する方法を用いて生成される抗体、抗体誘導体、または抗体フラグメントが包含され、抗体を用いて患者を処置する方法もまた包含される。特に本発明は、1つ以上のNK細胞受容体が増殖細胞で顕著に提示されることを決定するために、これらの障害の基礎となる増殖性NKまたはNK様細胞を分類すること、および次いで同一の受容体または受容体群に特異的に結合する抗体を用いて患者を処置することを包含する。
【0020】
NK−LDGLおよびその他の免疫増殖性障害は、しばしば1つまたは少数のNKまたはNK様細胞のクローンエクスパンションを特徴とする。したがって個々のNK細胞は、一般的にNK細胞受容体のサブセットのみを発現するので、これらの障害の基礎となる過剰増殖細胞のかなりの部分は、少数のNK細胞受容体を発現する。したがって本発明は、既定の患者の増殖細胞において発現される特定の受容体または受容体群を同定し、そして次に細胞毒性抗体を用いて該受容体または受容体群を発現するこれらの細胞を特異的に標的化することによりこれらの障害を処置する方法を提供する。このように過剰増殖細胞の数が特異的に減少するが、その他の免疫および非免疫細胞を容認する。
【0021】
一般に、本方法は、KIR受容体、CD94、NKG2受容体の1つまたはNKp30、NKp44もしくはNKp46のようなNCRのような1つのまたは少数のNK細胞受容体に各々特異的であるモノクローナル抗体のパネルの使用を包含する。しばしば抗体の2つのセットを用いる。直接的または間接的に標識された抗体を含む1つのセットは、本来は診断用であり、そして特定のNK細胞受容体または受容体群が既定の患者のNK細胞において発現されることを決定するために用いられる。第2のセットは、処置に用いられ、一般にヒト以外の動物で産生されるが、これはヒトにおける使用に適切なものにされており、例えばヒト化またはキメラ化されているモノクローナル抗体に相当する。特定の実施態様では、抗体は、更に細胞毒性薬剤で直接的または間接的に誘導体化されて、受容体または受容体群を発現する細胞を死滅させるようになる。例えば抗体を放射性同位元素、細胞毒性ポリペプチド、または細胞毒性小分子に連結させることができる。
【0022】
定義
本明細書で用いる以下の用語は、特記しない場合それらが属する意味を有する。
本明細書で用いる「NK」細胞とは、非従来的免疫に関与するリンパ球の亜集団を意味する。CD16、CD56、および/またはCD57を含む特異的表面抗原の発現、細胞表面のアルファ/ベータまたはガンマ/デルタTCR複合体の不在、特異的細胞溶解酵素の活性化により「自己」MHC/HLA抗原を発現することができない細胞に結合し、そして死滅させる能力、NK活性化受容体のリガンドを発現する腫瘍細胞またはその他の疾患細胞を死滅させる能力、ならびに免疫応答を刺激または阻止するサイトカインと称されるタンパク質分子を放出する能力のような特定の特徴および生物学的特性によりNK細胞を同定することができる。これらの特徴および活性のいずれかを用いて、当技術分野において周知の方法を用いてNK細胞を同定することができる。
【0023】
「NK細胞受容体」なる用語は、NK細胞のすべてまたは一部で一貫して見出される任意の細胞表面分子を意味する。好ましくは、NK細胞受容体は、NK細胞(静止または活性化)において独占的に発現されるが、該用語はまた、その他の細胞型においても発現される受容体を包含する。NK細胞受容体の実例には、KIR受容体ファミリーのメンバー、CD94、NKG2受容体、NKp30、NKp44、およびNKp46のようなNCR受容体、LIR−1他が含まれる(例えばTrowsdaleおよびParham Eur J Immunol 34(1): 7-17(2004); Yawataら、Crit Rev Immunol 22(5-6): 463-82(2002); Hsuら、Immunol Rev 190: 40-52(2002); Middletonら、Transpl Immunol 10(2-3): 147-64(2002); Vilchesら、Annu Rev Immunol 20: 217-51(2002); OMIM 602894; Braudら、Nature 391: 795-799(1998); Changら、Europ.J.Immun 25: 2433-2437(1995); Lazeticら、Immun 157: 4741-4745(1996); Rodriguezら、Immunogenetics 47: 305-309(1998); OMIM 161555; Houchinsら、J.Exp.Med.173: 1017-1020(1991); Adamkiewiczら、Immunogenetics 39: 218(1994); Renedoら、Immunogenetics 46: 307-311(1997); Ravetchら、Science 290: 84-89(2000); PCT 国際公開公報第01/36630号; Vitaleら、J.Exp.Med.187: 2065-2072(1998); Sivoriら、J.Exp.Med.186: 1129-1136(1997); Pessinoら、J.Exp.Med.188: 953-960(1998)(その各々の開示は、参照として本明細書に組み入れられる)参照)。
【0024】
本明細書で用いる「NK受容体状態」とは、個体、例えばNK−LDGL患者から採取されたNKまたはその他の細胞で発現される種々のNK細胞受容体の同一性および顕著さを意味する。例えば患者から採取されたNK細胞の試験により、特定のNK細胞受容体、例えばKIR2DS2が細胞の70%で発現され、別の受容体、例えばKIR2DL1は、細胞の40%で発現され、別の受容体、例えばCD94は、細胞の80%で発現される等を見出すことができる。かかる情報は、どの細胞毒性抗体を本方法で用いるかを決定するのに有用である。複数のNK細胞受容体に関する発現情報を有することは明らかに有用であるが、NK受容体状態は、単一の受容体、例えばKIR2DS2または少数の受容体、例えばKIR2DL2/3、およびKIR2DS2の発現レベルまたは顕著さに言及することもできる。
【0025】
「LGL」すなわち「大型顆粒性リンパ球」とは、リンパ球様細胞の形態学的に異なる集団を意味し、これは末梢血単核細胞の10〜15%を占める。LGLは、NK細胞およびT細胞の双方を含むことができ(例えばLoughran、Blood 82: 1-14(1993)参照)、これは特定のマーカー、例えばCD3発現(NK細胞では、CD3そしてT細胞ではCD3である)により区別することができる。好ましくは、本発明の目的のために、LGL細胞は、CD3である。しかしながら、本発明の特定の実施態様では、PBLは、患者から採取され、そしていずれかの細胞型、好ましくは、LGL、特にCD3LGLがエクスパンションする(expanded)かどうかを知るために試験される。一般に任意のエクスパンションした(expanded)細胞型を試験して特定のNK細胞受容体がその表面に顕著に発現されるかどうかを決定することができる。
【0026】
「顕著に発現される」とは、既定の患者から採取された相当数のLGL(例えばNKまたはNK様)細胞で発現されるNK細胞受容体を意味する。「顕著に発現される」なる用語の定義は、正確なパーセンテージの値に縛られるものではなく、たいていの場合、患者から採取されたLGLまたはその他の過剰増殖細胞の少なくとも30%、40%、好ましくは、50%、60%、70%、80%、またはそれより多くで存在する受容体が「顕著に発現される」と称される。
【0027】
本明細書で用いる「抗体」なる用語は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を意味する。重鎖の定常ドメインの型に依存して、抗体は、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの1つに割り当てられる。これらのうちのいくつかは、更にIgG1、IgG2、IgG3、IgG4等のようなサブクラスまたはアイソタイプに分けられる。免疫グロブリン(抗体)構造単位の実例には四量体が含まれる。各々の四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖の対から成り、各対は、1つの「軽」(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50−70kDa)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に寄与する約100から110またはそれより多い可変領域を定義する。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)なる用語は、各々これらの軽および重鎖を意味する。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、各々「アルファ」、「デルタ」、「イプシロン」、「ガンマ」、および「ミュー」と称される。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は、周知である。IgGおよび/またはIgMは、生理学的な状況で最も通例的な抗体であり、そして実験室設定で最も容易に作成されるので、本発明で用いる抗体の好ましいクラスであり、IgGが特に好ましい。好ましくは、本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。特に好ましいのは、ヒト化、キメラ化、ヒト、またはそれ以外のヒトに適切な抗体である。「抗体」はまた、本明細書で記載される抗体のいずれかの任意のフラグメントまたは誘導体を含む。
【0028】
「特異的に結合する」なる用語は、単離されたNKまたは関連標的細胞の表面に存在するタンパク質の組換え形態、そのエピトープまたは元来のタンパク質のいずれかを用いて評価されるように、抗体が好ましくは、競合結合アッセイにおいて結合パートナー、例えば活性化KIR受容体のようなNK細胞受容体に結合することができることを意味する。競合結合アッセイおよび特異的結合を決定するためのその他の方法を更に以下で記載し、そして当技術分野において周知である。
【0029】
「ヒトに適切な」抗体とは、例えば本明細書に記載する処置方法のためにヒトにおいて安全に使用することができる任意の抗体、誘導体化抗体、または抗体フラグメントを意味する。ヒトに適切な抗体には、すべての型のヒト化、キメラ、または完全ヒト抗体、または抗体の少なくとも一部がヒトから誘導されるかもしくはそうでなければ一般に人以外の元来の抗体を用いた場合に誘発される免疫応答を回避するように修飾されている任意の抗体が含まれる。
【0030】
「毒性」または「細胞毒性」ペプチドまたは小分子は、細胞の増殖を遅延化、停止、もしくは逆行させる、任意の検出可能な方式でその活性(例えばNK細胞の細胞溶解活性)を低下させる、あるいは直接的または間接的にそれらを死滅させることができる任意の化合物を包含する。好ましくは、毒性または細胞毒性化合物は、細胞を直接死滅させることにより、アポトーシスの誘発他により作用する。本明細書で用いる毒性「ペプチド」とは、ペプチドもしくは非天然アミノ酸または修飾された連結を有するポリペプチド誘導体を含む任意のペプチド、ポリペプチド、またはそのような誘導体を含み得る。毒性「小分子」は、好ましくは、10kD未満、5kD、1kD、750D、600D、500D、400D、300Dまたはより小さい大きさの任意の毒性化合物もしくはエレメントを含み得る。
【0031】
「免疫原性フラグメント」とは、本明細書では、(i)膜結合受容体およびそこから誘導される変異体を含む上記フラグメントに結合する、および/または上記フラグメントを含む任意の形態の分子に結合する抗体の作成;(ii)任意のMHC分子および上記フラグメントから誘導されるペプチドを含む二分子複合体と反応するT細胞を包含するT細胞応答の刺激;(iii)哺乳動物免疫グロブリンをコードする遺伝子を発現するバクテリオファージまたは細菌のようなトランスフェクトされた媒体の結合;のような免疫応答を引き出すことができる任意のポリペプチドまたはペプチドフラグメントを意味する。あるいは、免疫原性フラグメントはまた、先に定義したような免疫応答を引き出すことができる、共有結合によりキャリヤタンパク質に抱合されたペプチドフラグメント、上記ペプチドフラグメントをそのアミノ酸配列内に含むキメラ組換えポリペプチド構築物のような任意の構築物を意味し、そして具体的には、配列が上記フラグメントをコードする一部を含むcDNAでトランスフェクトされた細胞を含む。
【0032】
本発明の目的のために、「ヒト化」抗体とは、1つ以上のヒト免疫グロブリンの定常および可変フレームワーク領域が動物免疫グロブリンの結合領域、例えばCDRと融合されている抗体を意味する。かかるヒト化抗体は、結合領域が誘導されたヒト以外の動物の結合特異性を維持するが、ヒト以外の抗体に対する免疫反応を回避するように設計されている。
【0033】
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なるかまたは変化したクラス、エフェクター機能、および/もしくは種の定常領域、またはキメラ抗体に新しい特性を付与する全く異なる分子、例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物等に連結されるように、定常領域またはその一部が変化、置換、または交換されている;または(b)可変領域またはその一部が異なるまたは変化した抗原特異性を有する可変領域で変化、置換、または交換されている;抗体分子である。
【0034】
「ヒト」抗体は、抗原誘発に応答して特異的ヒト抗体を生成するために「操作され」ているトランスジェニックマウスまたはその他の動物から得られた抗体である(例えばGreenら、Nature Genet 7: 13(1994); Lonbergら、Nature 368: 856(1994); Taylorら、Int Immun 6: 579(1994)(その全教示は参照として本明細書に組み入れられる)参照)。そのすべてが当技術分野において公知である遺伝子または染色体トランスフェクション法およびファージディスプレイテクノロジーにより完全ヒト抗体を構築することもできる(例えばMcCaffertyら、Nature 348: 552-553(1990)参照)。インビトロ活性化B細胞によりヒト抗体を作成することもできる(例えば米国特許第5567610号および第5229275号参照(その全体が参照として本明細書に組み入れられる))。
【0035】
本発明の局面で、「活性」または「活性化」NK細胞は、生物学的に活性なNK細胞、更にとりわけ標的細胞を溶解する能力を有するNK細胞を称する。例えば「活性」NK細胞は、NK活性化受容体−リガンドを発現し、そして「自己」MHC/HLA抗原を発現することができない(KIR−不適合細胞)細胞を死滅させることができる。再指向死滅アッセイ(redirected killing assay)で使用するのに適切な標的細胞の実例は、P815およびK562細胞であるが、多くの細胞型のいずれかを用いることができ、そして当技術分野において周知である(例えばSivoriら、J.Exp.Med.186: 1129-1136(1997); Vitaleら、J.Exp.Med.187: 2065-2072(1998); Pessinoら、J.Exp.Med.188: 953-960(1998); Neriら、Chin.Diag.Lab.Immun.8: 1131-1135(2001)参照)。「活性」または「活性化」細胞を、細胞内遊離カルシウムレベル上昇におけるサイトカイン(例えばIFN−γおよびTNF−α)生成のようなNK活性に随伴されるとして当技術分野において公知の任意のその他の特性または活性により、同定することもできる。
【0036】
本明細書で用いるNK−LDGLなる用語は、NK細胞またはNK様細胞、例えば特徴的な表面抗原のセット(例えばCD3−、CD56+、CD16+)を有する大型顆粒性リンパ球のクローンエクスパンション(例えばZambelloら、Blood 102: 1797(2003); Loughran、Blood 82: 1(1993); Epling-Burnetteら、Blood-2003-02-400(2004)参照)または本明細書で定義するような任意のNK細胞受容体の発現を特徴とする任意の増殖性障害を意味する。NK−LDGLの病徴には、とりわけ発熱、穏やかな好中球減少症、血小板減少症、貧血、リンパ球増加症、脾腫、肝腫大、リンパ節症、および骨髄浸潤(例えばZambelloら、Blood 102: 1797(2003); Loughran、Blood 82: 1(1993); Epling-Burnetteら、Blood-2003-02-400(2004)参照)が含まれ得る。
【0037】
「単離された」「精製された」または「生物学的に純粋」なる用語は、通常その元来の状態で見出されるように随伴される成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。純度および均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用いて決定される。調製物中に存在する優勢種であるタンパク質が、実質的に精製される。
【0038】
本明細書で用いる「生物学的試料」なる用語には、限定するものではないが、生物学的液体(例えば血清、リンパ、血液)、細胞試料または組織試料(例えば骨髄)が含まれる。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」なる用語は、本明細書で互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを意味する。用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然発生アミノ酸の人工的化学的擬似物質であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然発生アミノ酸ポリマーおよび非天然発生アミノ酸ポリマーに適用される。
【0039】
「組換え」なる用語は、例えば細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して用いられる場合、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが異種性核酸もしくはタンパク質の導入または元来の核酸もしくはタンパク質の変化により修飾されているかまたは細胞がそのように修飾された細胞から誘導されることを示している。したがって、例えば組換え細胞は、元来の(非組換え)形態の細胞内で見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ異常に発現されるか、発現不足であるか、または全く発現されない元来の遺伝子を発現する。
【0040】
NK細胞受容体に特異的なモノクローナル抗体の生成
本発明は、ヒトにおいて使用するの適切であり、そして1つまたは少数のNK細胞受容体を標的とする抗体、抗体フラグメント、または抗体誘導体の生成および使用を包含する。本発明の抗体をいずれかの種々の当技術分野において公知の技術により生成することができる。典型的にはヒト以外の動物、好ましくは、マウスをNK細胞の表面に存在する受容体を含む免疫原で免疫することによりこれらを生成する。受容体は、全NK細胞もしくは細胞膜、NK細胞受容体の全長配列、または任意のNK細胞受容体のフラグメントもしくは誘導体、典型的には、免疫原フラグメント、すなわち受容体を発現する細胞の表面に暴露されるエピトープを含むポリペプチドの一部を含むことができる。かかるフラグメントは、典型的には、成熟ポリペプチド配列の少なくとも7個の連続アミノ酸、なお更に好ましくは、それの少なくとも10個の連続アミノ酸を含有する。これらは本質的には、受容体の細胞外ドメインから誘導される。数人のまたはすべての患者のNK細胞のすべてまたは一部の表面にしばしばまたはいつも存在する任意の受容体、任意のその他の受容体を抗体の作成に用いることができることは理解される。好ましい実施態様では、抗体を作成するために用いられる活性化NK細胞は、ヒト受容体である。
【0041】
最も好ましい実施態様では、免疫原は、脂質膜において、典型的には細胞の表面に野生型ヒトNK受容体ポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、免疫原は、無傷のNK細胞、特に無傷のヒトNK細胞を含むが、場合により処理または溶解されている。NK細胞の表面に存在する任意のタンパク質または分子、好ましくは、NK細胞受容体、更に好ましくは、KIR受容体、LIR−1ようなLIR受容体、Ly49、CD94/NKG2Aの、NKp30、NKp44、およびNKp46のようなNCRからなる群から選択されるNK細胞受容体、ならびに最も好ましくは、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、およびKIR3DS1のような活性化NK細胞受容体に対して抗体を調製することができる(例えばTrowsdaleおよびParham、Eur J Immunol 34(1): 7-17(2004); Yawataら、Crit Rev Immunol 22(5-6): 463-82(2002); Hsuら、Immunol Rev 190: 40-52(2002); Middletonら、Transpl Immunol 10(2-3): 147-64(2002); Vilchesら、Annu Rev Immunol 20: 217-51(2002)(その各々の全開示は参照として本明細書に組み入れられる)参照)。
【0042】
一実施態様では、抗体は、1つ以上のNK細胞受容体を認識する1つ以上の既存のモノクローナル抗体、例えばEB6b(KIR2DL1、KIR2DS1を認識する)、GL183(KIR2DL2/3、KIR2DS2)、FES172(KIR2DS4)、Z27(KIR3DL1、KIR3DS1)、Q66(KIR3DL2)、XA185(CD94)、Z199およびZ270(NKG2A)、F278(LIR−1);)、BAB281(NKp46)、AZ20(NKp30)、またはZ231(NKp44)から誘導される。例えばZ199およびZ270に関してはZambelloら、Blood 102: 1797-1805(2003)およびMorettaら、J.Exp.Med.180: 545(1994)参照。Bab281は、Sivoriら、J.Exp.Med.186: 1129-1136(1997)に記載されており、; Z231はVitaleら、J.Exp.Med.187: 2065-2072(1998)に記載されており;Z25およびAZ20はまた、Pendeら、J Exp Med.190(10): 1505-1516(1999)に記載されており、そして2000年11月8日にI-2576の番号の下でC.N.C.M.(C.N.C.M.、パスツール研究所、25番地、ドクトル・ルー通り、F−75724、パリ、セデックス15、フランス)に寄託された。患者のNK受容体状態を決定するために本明細書で前記した分類工程のための診断用抗体として使用するために、かかる抗体を直接的または間接的に標識する(すなわち標識二次抗体と共に用いる)ことができる。加えて、抗体をヒト投与に適切なものにし、そして場合により本処置方法において細胞毒性抗体として使用するために本明細書に記載するように毒性にすることができる。
【0043】
本診断用または処置用(細胞毒性)抗体は、全長抗体または抗体フラグメントもしくは誘導体でよい。抗体フラグメントの実例には、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、およびFvフラグメント;ダイアボディー;一本鎖Fv(scFv)分子;会合する重鎖部分を含まない、1つの軽鎖可変ドメインのみを含有する一本鎖ポリペプチドまたは軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有するそのフラグメント;会合する軽鎖部分を含まない、1つの重鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチドまたは重鎖可変領域の3つのCDRを含有するそのフラグメント;および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が含まれる。かかるフラグメントおよび誘導体ならびにそれらを調製する方法は、当技術分野において周知である。例えば、ペプシンを用いてヒンジ領域のジスルフィドリンケージより下で抗体を消化して、それ自体ジスルフィド結合によりV−CH1に結合した軽鎖であるFabの二量体のF(ab’)を生成する。穏やかな条件下でF(ab’)を還元してヒンジ領域のジスルフィドリンケージを切断し、それによりF(ab’)二量体をFab’単量体に変換することができる。Fab’単量体は、本質的には、ヒンジ領域の部分を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul編、第3版、1993)参照)。種々の抗体フラグメントが無傷の抗体の消化に関して定義されているが、かかるフラグメントをデノボで化学的にか、または組換えDNA方法論を用いるかのいずれかで合成できることは当業者には理解される。
【0044】
モノクローナルまたはポリクローナル抗体の調製は、当技術分野において周知であり、そして多くの利用可能な技術のいずれかを用いることができる(例えばKohlerおよびMilstein、Nature 256: 495-497(1975); Kozborら、Immunology Today 4: 72(1983); Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy 77〜96頁(1985)参照)。一本鎖抗体の生成のための技術(米国特許第4946778号)を適合させて望ましいポリペプチド、例えばKIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5およびKIR3DS1のようなNK細胞受容体に対する抗体を生成することができる。また、トランスジェニックマウスまたはその他の哺乳動物のようなその他の生物を用いてヒト化、キメラ、または同様に修飾された抗体を発現させることができる。あるいは、ファージディスプレイテクノロジーを用いて選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマーFabフラグメントを同定することができる(例えばMcCaffertyら、Nature 348: 552-554(1990); Marksら、Biotechnology 10: 779-783(1992)参照)。一実施態様では、方法は、ライブラリーまたはレパートリーから、少なくとも1つのNK受容体と交差反応するモノクローナル抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体を選択することを含む。例えばレパートリーは、場合により任意の適切な構造(例えばファージ、細菌、合成複合体等)により提示される抗体またはそのフラグメントの任意の(組換え)レパートリーでよい。
【0045】
ヒト以外の哺乳動物を抗原で免疫する工程は、当技術分野において周知の任意の様式で実施することができる(例えばE.HarlowおよびD.Lane、Antibodies: A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Hobor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(1988)参照)。一般に免疫原を、場合により完全フロイントアジュバントのようなアジュバントを含むバッファーに懸濁または溶解させる。免疫原の量、バッファーの型、およびアジュバントの量を決定するための方法は、当業者に周知であり、そして本発明でいかなるようにも限定するものではない。
【0046】
同様に、抗体の生成を刺激するのに十分な免疫の場所および頻度は、当技術分野において周知である。典型的な免疫プロトコールでは、ヒト以外の動物を抗原で腹腔内注射し、そして約1週間後に再度注射する。これに続いておよそ20日に、場合により不完全フロイントアジュバントのようなアジュバントを伴って抗原のリコール注射を行う。リコール注射は、静脈内に実施し、そして数日間連続して繰り返すことができる。これに続いて40日に静脈内または腹腔内のいずれかで、典型的には、アジュバントを伴わずにブースター注射を行う。このプロトコールにより、結果的に約40日後に抗原特異的抗体生成B細胞が生成される。結果的に免疫に用いられた抗原に対して指向する抗体を発現するB細胞を生成する限り、その他のプロトコールを用いることもできる。
別の実施態様では、非免疫のヒト以外の動物からのリンパ球を単離し、インビトロで成長させ、そして次に細胞培養中に免疫原に暴露する。次いでリンパ球を回収し、そして以下に記載する融合工程を実施する。
【0047】
本発明の目的に好ましいモノクローナル抗体に関しては、次の工程は、免疫されたヒト以外の哺乳動物からの細胞、例えばリンパ球、脾細胞、またはB細胞の単離、および続く抗体生成ハイブリドーマを形成するためのこれらの脾細胞またはB細胞またはリンパ球の不死化細胞との融合である。したがって、本明細書で用いる「免疫動物からの抗体の調製」なる用語は、免疫動物からB細胞/脾細胞/リンパ球を得ること、およびこれらの細胞を用いて抗体を発現するハイブリドーマを生成すること、ならびに免疫動物の血清から直接抗体を得ることを含む。例えばヒト以外の哺乳動物からの脾細胞の単離は、当技術分野において周知であり、例えば麻酔されたヒト以外の哺乳動物から脾臓を取り出すこと、それを小片に切断すること、および脾臓莢膜からの脾細胞を圧搾し、そして細胞ストレーナーのナイロンメッシュを通して適切なバッファー中に入れて単一の細胞懸濁液を生成することを包含する。細胞を洗浄し、遠心し、そして任意の赤血球を溶解するバッファーに再懸濁する。溶液を再度遠心し、そしてペレットの残りのリンパ球を最終的に新鮮バッファーに再懸濁する。
【0048】
一度単離され、そして単一の細胞懸濁液に存在すると、抗体生成細胞を不死細胞系に融合させる。これは典型的には、マウス骨髄腫細胞系であるが、ハイブリドーマを創成するのに有用な多くのその他の不死細胞系が当技術分野において公知である。好ましいネズミ骨髄腫系には、限定するものではないが、サルク研究所細胞ディストリビューションセンター(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)から入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ロックビル、メリーランド州、米国)から入手可能なX63 Ag8653およびSP−2から誘導されるものが含まれる。ポリエチレングリコール等を用いて融合を行う。次いで得られたハイブリドーマを未融合の親骨髄腫細胞の成長または生存を阻止する1つ以上の物質を含有する選択培地で成長させる。例えば親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠如する場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質がHGPRT欠損細胞の成長を妨げる。
【0049】
ハイブリドーマをマクロファージのフィーダー層で成長させることができる。マクロファージは、好ましくは、脾細胞を単離するのに用いたヒト以外の哺乳動物の同腹仔に由来し、そして典型的には、不完全フロイントアジュバント等でプライミングされ(primed)、数日後にハイブリドーマをプレートする。融合方法は、例えば(Goding、「Monoclonal Antibodies: Principles and Practice」59〜103頁(アカデミックプレス、1986))に記載されており、その開示は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0050】
コロニー形成および抗体生成に十分な時間選択培地中で細胞を成長させる。これは、通常7日と14日の間である。次いでハイブリドーマコロニーを、望ましい基質例えばKIR2DS2のようなNK細胞受容体を特異的に認識する抗体の生成に関して検定する。アッセイは、典型的には、比色分析ELISA型アッセイであるが、ハイブリドーマがその中で成長するウェルに適合させることができる任意のアッセイを用いることができる。その他のアッセイには、免疫沈殿およびラジオイムノアッセイが含まれる。望ましい抗体生成に関して陽性であるウェルを試験して、1つ以上の異なるコロニーが存在するかどうかを決定する。1つ以上のコロニーが存在する場合、細胞を再クローン化し、そして成長させて、単一の細胞のみが望ましい抗体を生成するコロニーを生じさせたことを確認する。単一の明確なコロニーを有する陽性ウェルを典型的には、再クローン化し、そして再検定して、ただ1つのモノクローナル抗体が検出され、そして生成されていることを確認する。
【0051】
本発明のモノクローナル抗体を生成することが確認されたハイブリドーマを次いでDMEMまたはRPMI−1640のような適切な培地中で大量に成長させる。あるいは、ハイブリドーマ細胞をインビボで動物の腹水腫瘍として成長させることができる。
十分に成長させて望ましいモノクローナル抗体を生成させた後、モノクローナル抗体(または腹水)を含有する成長培地を細胞から分離し、そしてそこに存在するモノクローナル抗体を精製する。精製は、典型的には、ゲル電気泳動、透析、プロテインAもしくはプロテインGセファロースを用いるクロマトグラフィー、またはアガロースもしくはセファロースビーズのような固体支持体に結合させた抗マウス免疫グロブリンにより達成される(すべて、例えばAntibody Purification Handbook、アメルシャムバイオサイエンシズ(Amersham Biosciences)、出版番号18−1037−46、AC版に記載されており、その開示は参照として本明細書に組み入れられる)。結合抗体は、典型的には、低pHバッファーを用いることによりプロテインA/プロテインGカラムから溶出され(グリシンまたはアセテートバッファpH3.0以下)、即座に抗体含有分画を中和する。これらの分画をプールし、透析し、そして必要により濃縮する。
【0052】
好ましい実施態様では、NK細胞受容体に存在する決定基に結合する抗体をコードするDNAをハイブリドーマから単離し、適切な宿主にトランスフェクトするための適切な発現ベクターに入れる。次いで宿主を用いて抗体、その変種、その活性フラグメント、または抗体の抗原認識部分を含むヒト化もしくはキメラ抗体を組換え生成する。好ましくは、この実施態様で用いるDNAは、1つ以上のヒトNK受容体、とりわけNK−LDGLを有する患者のかなりの割合の分画からのLGL細胞で優勢に提示されるNK受容体に存在する決定基を認識する抗体をコードする。
【0053】
本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAを容易に単離し、そして従来の手順を用いて(例えばネズミ抗体の重および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)シークエンシングすることができる。一度単離されると、DNAを発現ベクターに入れることができ、次いで組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体を合成させるために、これを大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または他に免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞のような宿主細胞にトランスフェクトする。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現は、当技術分野において周知である(Skerraら、Curr.Op.Immunol.5: 256(1993); およびPluckthun、Immunol.Revs.130: 151(1992)参照)。また例えばWardら、Nature 341: 544(1989)に開示されるように、抗体を免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリーの選択により生成することもできる。
【0054】
具体的な実施態様では、抗体は、本質的には、モノクローナル抗体EB6b、GL183、FES172、Z27、Q66、XA185、Z199またはF278(例えばZambelloら、Blood 102: 1797(2003)(その全開示を参照として本明細書に組み入れられる)参照)の1つと同一のエピトープすなわち決定基に結合する。モノクローナル抗体Xと「実質的に同一のエピトープすなわち決定基に結合する」なる用語は、抗体がX(ここでXはEB6b等)と「競合することができる」ことを意味する。問題のモノクローナル抗体と実質的に同一のエピトープと結合する1つ以上の抗体の同定は、抗体競合を評価することができる種々の免疫学的スクリーニングアッセイのいずれか1つを用いて容易に決定することができる。かかるアッセイは、当技術分野においては日常的である(例えば米国特許第5660827号(これは参照として本明細書に組み入れられる)参照)。抗体が結合するエピトープの実際の決定は、問題のモノクローナル抗体と同一または実質的に同一のエピトープに結合する抗体を同定する必要は全くないことは理解される。
【0055】
例えば、試験される被験抗体が異なる供給源の動物から入手されるか、またはまさに異なる免疫グロブリンアイソタイプのものである場合、対照(例えばGL183)および被験抗体を混合し(または予め吸収させる)、そしてエピトープ含有タンパク質、例えばGL183の場合KIR2DS2を含有する試料に適用する単純な競合アッセイを用いることができる。ELISA、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング、およびビアコア(BIACORE)の使用(例えば実施例のセクションで記載するように)に基づくプロトコールはかかる単純な競合研究における使用に適切であり、そして当技術分野において周知である。
【0056】
特定の実施態様では、抗原(例えばKIR2DS2エピトープ)含有試料に適用する前に一定の時間、対照抗体(例えばGL183)を種々の量の被験抗体(例えば1:10または1:100)と予め混合する。その他の実施態様では、抗原に試料を暴露する間、対照および種々の量の被験抗体を単純に混合することができる。遊離抗体から結合を(例えば非結合抗体を排除するための分離または洗浄技術を用いることにより)、および被験抗体から対照抗体を(例えば種もしくはアイソタイプ特異的二次抗体を用いることにより、または対照抗体を検出可能な標識で特異的に標識することにより)区別できる限り、被験抗体が対照抗体の抗原に対する結合を低減させるかどうかを決定することができ、これは、被験抗体が対照と実質的に同一のエピトープを認識することを示している。全く無関係の抗体の不在下での(標識された)対照抗体の結合は、高値対照である。低値対照は、標識した対照抗体(例えばGL183)を正確に同一の型の未標識抗体(例えばGL183)と共にインキュベートすることにより得られ、ここで競合が生じ、そして標識抗体の結合は、低減される。試験アッセイでは、被験抗体の存在下での標識抗体反応性の有意な低下は、同一のエピトープを認識する被験抗体、すなわち標識対照抗体と「交差反応する」ものの指標である。約1:10と約1:100との間の対照:被験抗体の任意の比率で、標識対照の各抗原に対する結合を少なくとも50%まで、更に好ましくは、70%まで低下する任意の被験抗体は、対照と実質的に同一のエピトープまたは決定基と結合する抗体であると考えられる。好ましくは、かかる被験抗体は、対照の抗原に対する結合を少なくとも90%まで低下させる。
【0057】
一実施態様では、フローサイトメトリー試験により競合を評価することができる。既定の活性化受容体を担持する細胞を最初に受容体に特異的に結合することが解っている対照抗体と共に(例えばKIR2DL2を発現するNK細胞、およびGL183抗体)、そして次に例えば蛍光色素またはビオチンで標識した被験抗体と共にインキュベートする。飽和量の対照抗体とプレインキュベートして得られた結合(蛍光の平均)が、対照とプレインキュベートせずに抗体により得られた結合の80%、好ましくは、50、40またはそれより少ない場合、被験抗体は、対照と競合すると考えられる。あるいは、飽和量の被験抗体とプレインキュベートした細胞において標識対照(蛍光色素またはビオチンにより)で得られた結合が、抗体とプレインキュベートせずに得られた結合の80%、好ましくは、50%、40%、またはそれより少ない場合、被験抗体は、対照と競合すると考えられる。
【0058】
1つの好ましい実例では、被験抗体を予め吸収させ、そして抗体結合のための基質、例えばGL183が結合することが解っているKIR2DS2タンパク質またはそのエピトープ含有部分が固定されている表面に飽和濃度で適用する単純競合アッセイを用いることができる。表面は、好ましくは、ビアコアチップである。次いで対照抗体(例えばGL183)を基質飽和濃度で表面と接触させ、そして対照抗体の基質表面結合を測定する。この対照抗体の結合を、被験抗体不在下で基質含有表面に対する対照抗体の結合と比較する。試験アッセイでは、被験抗体の存在下での対照抗体による基質含有表面の結合の有意な低下は、同一エピトープを認識する被験抗体、すなわち対照抗体と「交差反応する」ものの指標である。対照抗体の抗原含有基質に対する結合を少なくとも30%まで、または更に好ましくは、40%まで低下させる任意の被験抗体は、対照抗体と実質的に同一のエピトープすなわち決定基に結合する抗体であると考えられる。好ましくは、かかる被験抗体は、基質に対する対照抗体の結合を少なくとも50%まで低下させる。対照および被験抗体の順序を逆にすることができる、すなわち対照抗体を最初に表面に結合させ、その後被験抗体を表面と接触させる。好ましくは、基質抗原に高い親和性を有する抗体を最初に基質含有表面に結合させるが、第2の抗体で認められる結合の低下(抗体は、交差反応していると仮定する)の幅が大きくなると予測されるためである。かかるアッセイの更なる実例は、実施例およびSaunalら、J.Immunol.Meth 183: 33-41(1995)(その開示は参照として本明細書に組み入れられる)で提供される。
【0059】
一実施態様では、特にその他の無関係なタンパク質と過剰な交差反応を示さないことが確実である場合、NK細胞表面の複数の受容体と相互作用することができる抗体、例えばKIR2DL1、KIR2DS1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DS2、KIR2DS4、KIR3DL1、KIR3DS1、もしくはKIR3DL2のような2つ以上NK細胞受容体の任意の組み合わせ、またはこれらの受容体および任意の更なるNK細胞受容体もしくは受容体群を包含する任意の組み合わせを得ることができる。好ましくは、NK細胞受容体からのエピトープ、例えばKIR2DL2エピトープを認識するモノクローナル抗体は、特にNK−LDGL患者の、かなりのパーセンテージのNK細胞に存在するエピトープと反応するが、CD3T細胞と、CD20B細胞と、またはその他の免疫もしくは非免疫細胞とは有意に反応しない。好ましい実施態様では、抗体は、単球、顆粒球、血小板、および赤血球とも非反応性である。好ましい実施態様では、抗体は、単一のNK細胞受容体のみを認識し、それにより処置用(例えば細胞毒性)抗体の、障害の基礎となる過剰増殖細胞への影響をできるだけ制限する。
【0060】
一度NK細胞、好ましくは、ヒトNK細胞の1つのまたは恐らく少数の受容体を特異的に認識する抗体を同定すると、NK−LDGLのような増殖性障害を有する患者から採取したLGL(好ましくは、NK)細胞に結合するその能力に関してそれを試験することができる。
【0061】
典型的には、抗体は、NK−LDGLを有する患者から採取したNK細胞に結合するその能力を試験するために免疫測定法で確認される。例えば多くの患者から採取した末梢血リンパ球(PBL)、およびNK細胞は、CD3のようなNK細胞に存在する受容体に対する抗体を用いてPBLから富化される(例えばZambelloら、Blood 102:1797(2003)参照)。次いで既定の抗体のNK細胞に結合する能力を当業者に周知の標準的な方法を用いて評価する。一実施態様では、細胞の各試料を、特定のNK細胞受容体に各々特異的である種々の抗体と共に個別にインキュベートする。有意なパーセンテージの(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはそれより多い)患者からのかなりの比率の(例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれより多い)NK細胞に結合することが見出された抗体は、本明細書で記載するNK受容体状態分類工程の間の診断目的のため、または本明細書に記載する処置方法での使用、例えばヒトに適切な細胞毒性抗体を形成する誘導体化のための双方で本発明で使用するのに適切である。抗体の細胞への結合を評価するために、抗体を直接的かまたは間接的のいずれかで標識することができる。間接的に標識する場合、典型的には、二次標識抗体を加える。次いで例えばサイトフローメーター分析(例えばファックスキャン)を用いて抗体の細胞への結合を検出することができる。例えばZanibelloら、Blood 102: 1797(2003)または任意のその他の標準的な方法を参照。
【0062】
少数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)の抗体が、NK−LDGLのような障害を有するほとんどの患者のほとんどの過剰増殖LGL(例えばNK)細胞を検出および標的化するのに十分であることが予測される。したがって本方法を用いて実際にすべての患者を分類および処置するのに一般に十分である診断用(直接的または間接的に標識された)および処置用(ヒトに適切な、場合により毒性)抗体の小型パネルを組み立てることが可能である。かかるパネルは、最終的には、キットとして利用可能になり、好ましくは、抗体を用いるための装置を伴って完成する。
【0063】
したがって、本発明に従って生成された抗体のパネルは、1つまたは少数のNK受容体型に特異的であるものを含む。加えて、いくつかの実施態様では、既定の受容体に対して複数の抗体を調製して、インビボで全患者における受容体発現細胞の最大標的化を確実にし、そしてまた最大数の患者において多型受容体が有効に標的化されることを確実にする。
【0064】
ヒトにおいて使用するのに適切な抗体の生成
一度、一般的にヒト以外の動物においてNK−LDGL患者のLGL(例えばNK)細胞に通例的に存在する1つ以上のNK受容体に特異的に結合することができるモノクローナル抗体が生成されると、抗体は、一般的にそれらをヒトにおける治療的使用に適切なものにするために修飾される。例えばそれらをヒト化、キメラ化、または当技術分野において周知の方法を用いてヒト抗体のライブラリーから選択することができる。かかるヒトに適切な抗体を本処置方法において直接使用するか、または該方法での使用のために前記したように更に細胞毒性抗体に誘導体化することができる。
【0065】
1つの好ましい実施態様では、本発明の抗体、例えばGL183様抗体を生成するハイブリドーマのDNAを、発現ベクターへの挿入の前に、例えばヒト以外の相同配列に代えてヒト重および軽鎖定常ドメインに関するコード化配列を代用することにより(例えばMorrisonら、PNAS 81: 6851(1984))、また免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列のすべてまたは部分を共有結合させることにより修飾することができる。その様式では、元来の抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を調製する。典型的には、本発明の抗体の定常ドメインに代えてかかる非免疫グロブリンポリペプチドを代用する。
【0066】
1つの特に好ましい実施態様では、本発明の抗体をヒト化する。本発明による抗体の「ヒト化」形態は、特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖または(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)あるいはその他の抗体の抗原結合部分配列のような)そのフラグメントであり、これらはネズミまたはその他のヒト以外の免疫グロブリンから誘導された最小配列を含有する。大部分でヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、ここでレシピエントの相補性決定領域(CDR)は、元来の抗体(ドナー抗体)のCDRからの残基により置換されているが、元来の抗体の望ましい特異性、親和性、および能力は、維持している。ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基を対応するヒト以外の残基により置換することができる場合もある。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含み得る。抗体の性能を更に精密化および最適化するためにこれらの修飾を行う。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、および典型的には、2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここで元来の抗体のものに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべて、およびFR領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。更に詳細な記載に関しては、Jonesら、Nature 321: 522(1986); Reichmannら、Nature 332: 323(1988); Verhoeyenら、(1988)Science 239: 1534(1988); Presta、Curr.Op.Struct.Biol.2: 593(1992)(その各々はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)参照。
【0067】
ヒト化抗体を作成するのに用いるための軽および重双方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低減させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法に従って、本発明の抗体の可変ドメインの配列を、公知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングする。次いでマウスの配列に最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(Simsら、J.Immun.151: 2296(1993); ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196: 901(1987))。別の方法は、軽または重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列からの特定のフレームワークを使用する。いくつかの異なるヒト化抗体に同一のフレームワークを用いることができる(Carterら、PNAS 89: 4285(1992); Prestaら、J.Immunol.51: 1993(1993))。
【0068】
抗体がヒト化されるが、1つ以上のNK細胞受容体、好ましくは、ヒト受容体に関する高い親和性、およびその他の有益な生物学的特性を保持していることは更に重要である。好ましい方法に従ってこの目標を達成するために、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いて、親配列および種々の理論的ヒト化生成物の分析方法によりヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは通例的に入手可能であり、そして当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の予想される三次元コンフォメーション構造を説明および提示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの提示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響する残基の分析が可能になる。このように、標的抗原に関する親和性の増加のような望ましい抗体の特徴が達成されるようにFR残基をコンセンサスおよび移入配列から選択し、そして組み合わせることができる。一般的に、CDR残基は、直接的におよび最も実質的に抗原結合への影響に関与する。
【0069】
また免疫化のためにヒト抗体レパートリーを発現するように操作されているその他のトランスジェニック動物を用いることによるような種々のその他の技術に従ってヒト抗体を生成することもできる。この技術では、ヒト重および軽鎖遺伝子座のエレメントを、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座が標的破壊されたマウスまたはその他の動物に導入する(例えばJakobovitzら、Nature 362: 255(1993); Greenら、Nature Genet.7: 13(1994); Lonbergら、Nature 368: 856(1994); Taylorら、Int.Immun.6: 579(1994)(そのすべての開示は参照として本明細書に組み入れられる)参照)。あるいは、遺伝子または染色体トランスフェクション方法により、またはファージディスプレイ方法を用いる抗体レパートリーの選択を介してヒト抗体を構築することができる。この技術では、抗体可変ドメイン遺伝子を繊維状バクテリオファージの大または小のいずれかのコートタンパク質遺伝子にフレーム内でクローン化し、そしてファージ粒子の表面に機能的抗体フラグメントとして提示させる。繊維状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択もまた結果的にこれらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択に至る。このように、ファージは、B細胞のいくつかの特性を擬似する(例えばJohnsonら、Curr Op Struct Biol 3: 5564-571(1993); McCaffertyら、Nature 348: 552-553(1990)(その全開示は参照として本明細書に組み入れられる)参照)。またヒト抗体をインビトロ活性化B細胞により作成することもできる(例えば米国特許第5567610号および第5229275号(その開示はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)参照)。
【0070】
一実施態様では、免疫化にXenoMouse(登録商標)(アブゲニックス、フレモント、カリフォルニア州)のような動物を用いて「ヒト化」モノクローナル抗体を作成する。XenoMouseは、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子により置換されたその免疫グロブリン遺伝子を有するネズミ宿主である。したがって、このマウスにより生成された、またはこのマウスのB細胞から作成されたハイブリドーマの抗体は、既にヒト化されている。XenoMouseは、米国特許第6162963号に記載されており、これはそのすべてが参照として本明細書に組み入れられる。HuMAb−Mouse(商標)(メダレックス(Medarex))を用いて類似の方法を達成することができる。
【0071】
本発明の抗体を「キメラ」抗体(免疫グロブリン)に誘導体化することもでき、ここで重および/または軽鎖の一部は、元来の抗体の対応する配列と同一であるかまたは相同であるが、鎖の残りは、望ましい生物学的活性を呈する限り、別の種から誘導された、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、およびかかる抗体のフラグメントの対応する配列と同一であるかまたは相同である(例えばMorrisonら、PNAS 81: 6851(1984);米国特許第4816567号参照)。
【0072】
とりわけIgG1またはIgG3型の、非誘導体化または非修飾形態の抗体は、過剰増殖NK細胞の増殖を阻止するか、またはNK−LDGL患者からのもののような過剰増殖NK細胞に対して細胞毒性であると予測されるが、それらを細胞毒性にするために誘導体化された抗体を調製することも可能である。一実施態様では、一度NK細胞受容体特異的抗体を単離し、そしてヒトにおける使用に適切なものにすると、それらを細胞に対して毒性になるように誘導体化する。このように、NK−LDGL患者への抗体の投与により抗体の過剰増殖NK細胞への相対的特異的結合に至り、それにより障害の基礎となる細胞を直接的に死滅させるかまたは阻止する。処置の特異性のために、ほとんどのその他のNK細胞および免疫系のその他の細胞を含む身体のその他の非過剰増殖細胞は、それほど処置の影響を受けない。
【0073】
多くの毒性部分または計画のいずれかを用いて、かかる抗体を生成することができる。特定の好ましい実施態様では、抗体を放射性同位元素またはその他の毒性化合物で直接的に誘導体化する。そのような場合、標識された単一特異的抗体を患者に注射することができ、ここでそれは次に標的抗原を発現する細胞に結合しそして死滅させ、非結合抗体は、簡単に身体から除去される。また「親和性増強系」(AES)(例えば米国特許第5256395号;Barbetら、Cancer Biother Radiopharm 14: 153-166(1999)(その全開示は、参照として本明細書に組み入れられる)参照)のような間接的計画を用いることもできる。この特定の研究法は、放射性標識されたハプテン、ならびにNK細胞受容体および放射活性ハプテンの双方を認識する抗体の使用を包含する。この場合、抗体は、最初に患者に注射され、そして標的細胞に結合することが可能になり、そして次に一度非結合抗体が血流から除去されることが可能になると、放射標識されたハプテンが投与される。ハプテンは、過剰増殖LGL(例えばNK)細胞で抗体−抗原複合体に結合し、それによりそれらを死滅させ、非結合抗体ハプテンは、身体から除去される。
【0074】
細胞毒性または細胞阻止効果を有する任意の型の部分を本抗体と組み合わせて用いて特異的NK受容体発現細胞を阻止または死滅させることができ、薬物、毒素、免疫モジュレーター、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、酵素、オリゴヌクレオチド、酵素阻害剤、処置用放射性核種、血管形成阻害剤、化学療法剤、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タクサン、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生物質、COX−2阻害剤、SN−38、抗分裂剤、抗血管形成およびアポトーシス剤、とりわけドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT−11、カンプトテカン、ナイトロジェンマスタード、ゲムシタビン、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、プラチナ配位錯体、シュードモナス外毒素、リシン、アブリン、5−フルオロウリジン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素他のような放射性同位元素、毒性タンパク質、毒性小分子を含む(例えばRemington's Pharmaceutical Sciences、第19版(マック出版社、1995); Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics(マックグロウヒル(McGraw Hill)、2001); Pastanら、Cell 47: 641(1986); Goldenberg、Cancer Journal for Clinicians 44: 43(1994);米国特許第6077499号(その全開示は参照として本明細書に組み入れられる)参照)。毒素は、動物、植物、菌類、または微生物起源でよいか、または化学合成によりデノボ創成できることは理解される。
【0075】
多くの利用可能な方法を用いて毒素またはその他の化合物を抗体に直接的かまたは間接的に連結させることができる。例えばN−サクシニル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)のような架橋剤を用いて、または抗体のFc領域の炭水化物部分を介して、薬剤を還元抗体成分のヒンジ領域でジスルフィド結合形成を介して結合させることができる(例えばYuら、Int.J.Cancer 56: 244(1994); Wong、Chemistry of Protein Conjugation and Cross-linking(シーアールシープレス(CRC Press)、1991); Upeslacisら、「Modification of Antibodies by chemical Methods」in Monoclonal antibodies: principles and applications、Birchら(編)187〜230頁(ワイリー・リス社(Wiley-Liss,Inc)、1995); Price、「Production and Charactorization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」in Monoclonal antibodies: Production,engineering and clinical application、Ritterら(編)、60〜84頁(ケンブリッジ大学プレス(Cambridge University Press)、1995); Cattelら、Chemistry today 7: 51-58(1989); Delprinoら、J.Pharm.Sci 82: 699-704(1993); Arpiccoら、Bioconjugate Chemistry 8: 3(1997); Reisfeldら、Antibody,Immunicon.Radiopharm.2: 217(1989)(その各々の全開示は参照として本明細書に組み入れられる)参照)。
【0076】
1つの好ましい実施態様では、抗体は、I−131のような放射性同位元素で誘導体化される。限定するものではないが、インジウム−111、ルテチウム−171、ビスマス−212、ビスマス−213、アスタチン−211、銅−62、銅−64、銅−67、イットリウム−90、ヨウ素−125、ヨウ素−131、リン−32、リン−33、スカンジウム−47、銀−111、ガリウム−67、プラセオジム−142、サマリウム−153、テルビウム−161、ジスプロシウム−166、ホルミウム−166、レニウム−186、レニウム−188、レニウム−189、鉛−212、ラジウム−223、アクチニウム−225、鉄−59、セレン−75、ヒ素−77、ストロンチウム−89、モリブデン−99、ロジウム−105、パラジウム−109、プラソジム−143、プロメチウム−149、エルビウム−169、イリジウム−194、金−198、金−199、および鉛−211を含むいずれかの多くの適切な放射性同位元素を用いることができる。一般的に放射性核種は、好ましくは、20から6000keVの範囲、オージェ放射体に関しては、好ましくは、60から200keVの範囲、ベータ放射体に関しては、100から2500keV、およびアルファ放射体に関しては、4000から6000keVの崩壊エネルギーを有している。また実質的にアルファ粒子の作成を伴って崩壊する放射性核種もまた好ましい。
【0077】
本方法に含まれる細胞毒性部分を選択する場合、該部分が、心臓、腎臓、脳、肝臓、骨髄、結腸、乳房、前立腺、胸腺、胆嚢、肺、副腎、筋肉、神経線維、膵臓、皮膚、またはヒト身体におけるその他の生命維持器官もしくは組織から選択される1つ以上の組織のような生命を維持する正常な組織に対して有意なインビボ副作用を呈さないことを確実にすることが望ましい。本明細書で用いる「有意な副作用」なる用語は、インビボで投与された場合、化学療法の間に通常的に遭遇するもののような、無視できるかまたは臨床的に管理できる副作用しか生じない抗体、リガンド、または抗体抱合体を意味する。
【0078】
結合および細胞毒性活性に関する細胞毒性抗体の試験
一度、NK−LDGLまたは関連する障害を有する患者からの細胞のNK細胞受容体に特異的に結合することが解っており、そしてヒトにおいて使用するのに適切なものになっており、そして場合により毒性部分を含むように誘導体化されている抗体が得られると、一般的にこれらは標的細胞と相互作用し、その活性に影響し、そして/または死滅させるその能力に関して評価される。一般的に、競合基盤のアッセイ、ELISA、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング、ビアコア基盤のアッセイ、およびフローサイトメトリーを含む、NK細胞またはNK細胞受容体に結合する抗体を検出するための先に記載したアッセイを同様に適用して、細胞毒性抗体のようなヒト化、キメラ、またはその他のヒトに適切なNK細胞抗体の、その標的細胞との相互作用を検出することができる。典型的には、標的細胞は、LGL細胞、好ましくは、NK−LDGLまたは別の免疫増殖性障害を有する患者から採取したNK細胞である。
【0079】
本アッセイでは、ヒト化またはヒトに適切な処置用(例えば細胞毒性)抗体の標的細胞またはヒトNK細胞受容体に結合する能力を、対照タンパク質、例えば構造的に無関係の抗原に対して産生された抗体、または非免疫グロブリンペプチドもしくはタンパク質の同一標的に結合する能力と比較する。任意の適切なアッセイを用いて、対照タンパク質に相対して25%、50%、100%、200%、1000%、またはそれより高い親和性の上昇を伴って標的細胞またはNK細胞受容体に結合する抗体またはフラグメントは、標的と「特異的に結合する」または「特異的に相互作用する」と考えられ、そして以下に記載する処置方法において使用するのが好ましい。
【0080】
結合に加えて、標的細胞の増殖を阻止する、または好ましくは、標的細胞を死滅させる抗体の能力を評価することができる。一実施態様では、1つ以上の関連受容体を発現するヒトNK細胞、例えばNK−LDGL患者から採取したLGLまたはNK細胞をプレート、例えば96ウェルプレートに導入し、そして種々の量の関連抗体に暴露する。アラマーブルー(バイオソースインターナショナル、カマリロ、カリフォルニア州)のような生体染色色素、すなわち無傷の細胞に取り込まれる色素を加え、そして洗浄して過剰の色素除去することにより、光学密度により生存細胞の数を測定することができる(抗体により死滅した細胞が多いほど、光学密度が低くなる)(例えばConnollyら、J Pharm Exp Ther 298: 25-33(2001)(その開示は、そのすべてが参照として本明細書に組み入れられる)参照)。任意のその他の適切なインビトロ細胞毒性アッセイ、細胞増殖もしくは生存を測定するアッセイ、またはNK細胞活性を検出するアッセイを同様に用いることができ、インビボアッセイ、例えば関連受容体を発現するヒトNK細胞を含有する動物モデル、例えばマウスに抗体を投与すること、およびヒトNK細胞の生存または活性に及ぼす抗体投与の影響を経時的に検出することもまた同様に用いることができる。また、抗体がヒト以外の受容体、例えば霊長類NK細胞受容体と交差反応する場合、処置用抗体をインビトロまたはインビボで用いて、抗体が関連受容体を発現する動物からのNK細胞に結合し、そして/またはそれを死滅させる能力を評価することができる。
【0081】
インビトロまたはインビボで過剰増殖NK細胞の増殖を検出可能なように遅延化、停止または逆行させることができる任意の抗体、好ましくは、ヒトに適切な抗体、例えば細胞毒性抗体を本方法において用いることができる。好ましくは、抗体は、増殖を停止させることが可能であり(例えばインビトロまたはインビボで標的NK細胞受容体を発現するNK細胞の数の増加を妨げる)、そして最も好ましくは、抗体は、増殖を逆行させてかかる細胞の全数の低下を導くことができる。特定の実施態様では、抗体は、標的受容体を発現するNK細胞の数において10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%減少を生じることが可能である。
【0082】
1つの好ましい実施態様では、したがって本発明は、以下の工程:a)NK細胞の表面に存在する受容体に特異的に結合する複数の抗体を提供すること;b)NK−LDGLを有する一人以上の患者から採取したNK細胞に結合する抗体の能力を試験すること;c)一人以上の上記患者から採取したNK細胞の相当数に結合する上記複数の抗体から1つを選択すること;およびd)上記抗体をヒト投与に適切なものにすること;を含む、NK−LDGLのような増殖性障害の処置において使用するのに適切な抗体を生成する方法を提供する。一実施態様では、該方法は、更に細胞毒性薬剤を上記抗体に連結させる工程を含む。かかる方法では、「相当数」とは、細胞の例えば30%、40%、50%、好ましくは、60%、70%、80%、90%、またはそれより高いパーセンテージを意味し得る。
【0083】
本発明はまた、以下の工程:a)NK−LDGLを有する一人以上の患者から採取したNK細胞に特異的に結合する抗体を提供すること;b)抗体のNK−LDGLを有する一人以上の患者から採取したNK細胞に結合する能力を試験すること;およびc)抗体が、一人以上の患者から採取したNK細胞の相当数に結合する場合、該抗体をヒト投与に適切なものにすること;を含む関連する方法を提供する。一実施態様では、該方法は、更に細胞毒性薬剤を該抗体に連結させる工程を含む。かかる方法および先行のパラグラフを含む本明細書で別に記載する方法を、NK細胞以外の細胞、例えばLGL細胞を用いて、そしてNK−LDGL以外の障害、例えばT細胞LDGLまたはその他の免疫増殖性障害の処置のために同様に実施することができることは理解される。
【0084】
均等の方法を用いて動物を処置する、または動物モデルにおいて試験するのに適切な抗体を生成することができる。その場合、抗体は、関連動物からの、およびNKまたはその他の細胞のクローンエクスパンションを包含する動物疾患においてよく見られるNK細胞受容体を特異的に認識することができることを確実にする。同様に、特定の動物への投与に適切であるように抗体を修飾する。
【0085】
処置方法のための抗体の投与
本方法を用いて生成された抗体は、増殖性障害、特に免疫増殖性障害、更にとりわけNK−LDGLの処置においてとりわけ有効である。一般的に本方法を用いて1つまたは少数のNK細胞受容体を発現する任意の細胞の存在または過剰により引き起こされる任意の障害を処置することができ、そしてしたがって特定のNK細胞受容体を発現する細胞を選択的に死滅させるかまたは阻止することによりそれを有効に処置することができる。その他の適切な疾患には、T細胞型LDGL、自己免疫障害、およびNKまたは関係する細胞を包含する任意のその他の免疫増殖性もしくは悪性障害が含まれる。
【0086】
本処置方法の重要な構成要素は、患者のエクスパンションした(expanded)NK細胞の優勢な受容体または受容体群を同定する分類工程である。一般的にこの工程では、NK細胞またはLGLを患者から採取し、そして例えば免疫測定法を用いて試験して細胞の種々NK細胞受容体の相対的な優勢を測定する。この方法に関しては、NK細胞が好ましいが、NK細胞受容体を発現する任意の細胞型を使用できることは理解される。理想的には、直接的かもしくは間接的のいずれかで標識された、最も通例的にNK−LDGLまたは関連障害における増殖NK細胞において見出される種々のNK細胞受容体を一緒に認識する抗体のパネルを含有するキットを用いてこの工程を実施する。しばしば1つのまたは少数の受容体が相当数の、例えば30%、40%、50%の細胞、好ましくは、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上に存在することが見出される。この場合、次いで単一のまたは少数の処置用(例えば細胞毒性)抗体または抗体群、すなわち検出される受容体または受容体群に対して特異的に指向するものを投与することができる。このように、過剰増殖細胞が特異的に標的化される。
【0087】
先に記載した免疫学的アッセイに加えて、またその他の方法を用いて患者から採取したLGLまたはNK細胞の種々のNK細胞受容体の同一性および相対的発現レベルを決定することもできる。例えばRNA基盤の方法、例えばRT−PCRまたはノーザンブロッティングを用いて患者から採取した細胞における種々のNK細胞受容体の相対転写レベルを試験することができる。多くの場合、単一または少数の受容体特異的転写物が優勢であり、それにより転写物によりコードされる特定の受容体群に特異的な細胞毒性抗体を用いる患者の処置が可能になる。
【0088】
別の実施態様では、患者の増殖LGL(例えばNK)細胞で発現されるNK細胞受容体の同一性への洞察は、遺伝子型決定により得ることができる。例えば20またはそれ以上の異なるKIRハロタイプおよび少なくとも40の異なる遺伝子型(例えばHsuら、Immunol Rev.190:40−52(2002)(これはそのすべてが参照として本明細書に組み入れられる)参照)が同定されている。これらのハロタイプおよび遺伝子型のいくつかはKIR受容体発現の活性化または阻止に随伴される。したがって、患者が特定のハロタイプまたは特定の遺伝子型を有していることの決定により、しばしばどの受容体が患者のNK細胞において発現される可能性が最も高いかを示すことができる。患者の特定のハロタイプまたは遺伝子型が確実に特定の発現パターンまたはNK受容体状態に随伴され得て、それにより本処置方法における使用のために特定の処置用(例えば細胞毒性)抗体の選択が可能になる場合もある。
【0089】
別の実施態様では、患者におけるLGL(好ましくは、NK)細胞の活性を評価するための機能的アッセイを単独で、またはその他の方法、例えば免疫学的、RNA基盤または遺伝子型決定方法と組み合わせて用いる。1つ以上の活性化NK細胞受容体が多くの患者で優勢であり得るので、特定の患者から採取した細胞がとりわけ活性である(任意の標準的なアッセイ、例えば細胞溶解アッセイ、サイトカイン生成、細胞内遊離カルシウム等を用いて決定されるように)という知見は、受容体が増殖細胞において発現され得るということについての重要な情報を提供する。かかる情報は、とりわけその他の結果と組み合わせた場合に、細胞毒性抗体または抗体群を用いてほとんどの特異的処置計画を達成することを決定するために用いることができる。例えば、特定のNK−LDGL患者からの大部分のNK細胞がGL183抗体(阻止KIR2DL2およびKIR2DL3受容体ならびに活性化KIR2DS2受容体の双方を認識する)により特異的に認識されるという知見は、ほとんどのNK細胞もまた活性であるという知見と組み合わせて用いて、理想的な処置は、NKR2DS2に特異的であるが、KIR2DL2またはKIR2DL3には特異的でない単一の細胞毒性抗体を包含すると結論づけることができる。理想的には、本処置方法は、最低数の処置抗体を用いて最大比率の過剰増殖NKまたはNK様細胞を標的とする。
【0090】
理想的には、本抗体、それを用いるための方法およびキットの開発において、異なるNK細胞に対して指向する多くの異なる抗体で多くの患者をスクリーニングする。そのように、ほとんどの患者のエクスパンションした(expanded)NK細胞の大部分を網羅する診断用および処置用(例えば細胞毒性)抗体のパネルを組み立てることができる。例えばKIR受容体の1つ(例えばKIR2DS2)がNK−LDGLを有するかなりのパーセンテージ(例えば25%、50%、またはそれより高い)の患者のエクスパンションした(expanded)細胞の少なくとも50%で発現されることが決定される場合、次いで本発明に従って生成されたキットは一般的にその受容体に対する少なくとも1つの診断用抗体、および受容体に対する1つ以上の処置用抗体を含む。受容体がNK細胞に特異的である、すなわち他のどの細胞型でも発現されない場合にこれはとりわけ真実であるが、その他の細胞型においても発現される受容体を含めることもできる。特に、それが患者のかなりのNK細胞を標的するための唯一の方式である場合、非NK細胞特異性である受容体に特異的に結合する処置用抗体を用いることができる。包含される非NK細胞の型に依存して、NK細胞とのその相互作用を最大にし、そして非NK細胞型との相互作用を最低にするために(例えば受容体が未成熟BまたはT細胞においても発現される場合、骨髄または胸腺とのその接触を最大にするように抗体を投与すること)処置用抗体の投与の形態または時期を具体的にあつらえることができる。
【0091】
本発明のキットは、任意の数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30の診断用および/もしくは処置用抗体または任意のその他の数の診断用および/もしくは処置用抗体を含有することができる。かかるキットでは、診断用抗体は、しばしば直接的かまたは間接的に(例えば二次抗体を用いて)標識される。処置用抗体は未修飾でよく、すなわち連結された細胞毒性またはその他の部分を何ら含まず、例えば標的細胞への単純な結合により作用し、そしてそれにより、それらを不活性化するか、細胞死を誘発するか、または免疫系によりそれらを破壊させる。その他の実施態様では、処置用抗体は、1つ以上の細胞毒性部分に連結される。キットの内容のこの記載はいかなるようにも制限するものではないことは理解される。例えば処置用抗体用には、キットは任意の組み合わせの未修飾または細胞毒性抗体を含有し得る。加えて、キットは化学療法剤または抗腫瘍薬のようなその他の型の処置用化合物を同様に含有できる。好ましくは、キットはまた抗体を使用する、例えば患者のNK受容体状態を分類するための本明細書に記載する方法を詳記し、そしてそれに従って処置用抗体を投与するための指示書を含む。
【0092】
処置用抗体の投与は、必要に応じて、特に前記した分類工程で決定されるようなNK受容体状態に鑑みて、単一または複数のNK細胞受容体に対して指向する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または任意の数の異なる抗体の投与を包含し得ることは理解される。例えば各々の抗体の相対的毒性、患者のNK受容体状態またはその他の因子に依存して、かかる抗体の組み合わせを一緒に、または別個に投与することができる。
【0093】
加えて、処置は、複数回の一連の処置用(例えば細胞毒性)抗体投与を包含し得る。例えば最初の一連の抗体投与の後、一般に患者のNKまたはLGL全数を再測定し、そして依然高い場合、更なる一連のNK受容体状態分類を実施し、続いて更なる一連の処置用抗体投与を実施することができる。この更なる一連の投与で投与される細胞毒性抗体は、最初の一巡で用いるものと同一である必要はないが、主に更なる分類工程の結果に依存する。このように、複数回の一連のNK受容体状態分類および処置用抗体投与を例えばLGLまたはNK細胞増殖が制御下に入るまで実施することができる。
【0094】
本発明はまた、例えばそのフラグメントおよびその誘導体を含むいずれかの本抗体を任意の適切なベヒクル中、患者における標的NK細胞受容体を発現する細胞の増殖もしくは活性を阻止するか、またはそれを死滅させるのに有効な量で含む組成物、例えば医薬組成物を提供する。一般に組成物は、更に医薬的に許容される担体を含む。抗体および組成物を患者に投与する本方法を用いて動物を処置するか、またはヒト疾患のための動物モデルにおいて本明細書に記載するいずれかの方法または組成物の有効性を試験することもできることは理解される。
【0095】
これらの組成物で用いることができる医薬的に許容される担体には、限定するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンのような塩または電解質、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース基盤物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0096】
本発明の組成物を経口的、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、経鼻的に、口腔内に、膣内に、または移植されたリザーバーを介して投与することができる。本明細書で用いる「非経口的」なる用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、包膜内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物を経口的、腹腔内または静脈内に投与する。
【0097】
本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性または油性懸濁液でよい。適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて当技術分野において公知の技術に従ってこれらの懸濁液を調製することができる。滅菌注射用調製物はまた、無毒の非経口用に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としてでもよい。許容されるベヒクルおよび溶媒のうち、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液を用いることができる。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁溶媒として都合良く用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の混合不揮発性油を用いることができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、注射用調製物に有用であり、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の医薬的に許容される油、特にそのポリオキシエチル化されたものも同様である。これらの油溶液または懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースまたは、エマルジョンおよび懸濁液を含む医薬的に許容される投与形態の処方で通例的に用いられる類似の分散剤のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有することもできる。その他の通例的に用いられる、トゥイーン、スパンのような界面活性剤、およびその他の乳化剤または医薬的に許容される固体、液体もしくはその他の投与形態の製造において通例的に用いられるバイオアベイラビリティー強化剤もまた処方の目的で使用することができる。
【0098】
本発明の組成物を、限定するものではないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液、または溶液を含む任意の経口用に許容される投与形態で経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、通例的に用いられる担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。典型的には、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤もまた加えられる。カプセル形態で経口投与するために、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。経口使用のために水性懸濁液が必要とされる場合、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。所望により、特定の甘味剤、着香剤、または着色剤を加えることもできる。
【0099】
あるいは、本発明の組成物を直腸投与のための坐剤の形態で投与することができる。薬剤を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、そしてしたがって直腸で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによりこれを調製することができる。かかる材料にはココアバター、ミツロウ、およびポリエチレングリコールが含まれる。また本発明の組成物を局所的に、眼科的に、鼻用エアロゾルまたは吸入により投与することもできる。医薬用処方の分野において周知の技術に従ってかかる組成物を調製する。
【0100】
一実施態様では、本発明の抗体を単独でまたは患者もしくは動物に標的分配するための別の物質と一緒にリポソーム(「免疫リポソーム」)に組み込むことができる。かかるその他の物質には、遺伝子処置のための遺伝子の分配のための、またはNK細胞の遺伝子を抑制するためのアンチセンスRNA、RNAi、もしくはsiRNAの分配のための核酸、またはその他の手段によるNK細胞の活性化のための毒素もしくは薬物、または本明細書に記載する、NK細胞の活性化または腫瘍もしくは感染細胞の標的化に有用であり得る任意のその他の薬剤が含まれ得る。
【0101】
別の実施態様では、本発明の抗体を修飾してそのバイオアベイラビリティー、インビボ半減期等を改善することができる。例えば多くの形態のポリエチレングリコールのいずれかおよび当技術分野において公知の結合の方法を用いて抗体をペグ化することができる(例えばLeeら、Bioconjug Chem.14(3): 546-53(2003); Harrisら、Nat Rev Drug Discoy.2(3): 214-21(2003); Deckertら、Int J Cancer.87(3): 382-90(2000)参照)。
【0102】
リツキサン(リツキシマブ)、ヘルセプチン(トラスツズマブ)、ゾレア(オマリズマブ)、ベキサール(トシツモマブ)、キャンパス(アレムツズマブ)、ゼバリン、オンコリムのようないくつかのモノクローナル抗体は、臨床症状において有効であることが示されており、そして類似の投与計画(すなわち処方および/または用量および/または投与プロトコール)を本発明の抗体で用いることができる。投与のためのスケジュールおよび用量をこれらの製品に関する公知の方法に従って、例えば製造者の指示書を用いて決定することができる。例えばモノクローナル抗体を100mg(10ml)または500mg(50ml)のいずれかの使い捨てバイアル中10mg/mlの濃度で供給することができる。静脈内投与用に9.0mg/ml塩化ナトリウム、7.35mg/mlクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mlポリソルベート80および注射用滅菌水中で製品を処方する。pHを6.5に調整する。本発明の抗体のための適切な用量範囲の実例は、約10mg/mと500mg/mの間でよい。しかしながら、これらのスケジュールは実例であり、そして臨床試験で決定されなければならない最適なスケジュールおよび投与計画は、抗体の親和性および抗体の耐用性を考慮に入れて適合させることができることは理解される。NK細胞を24時間、48時間、72時間、または1週間もしくは1か月間飽和させるNK細胞受容体に対する抗体の注射の量およびスケジュールは、抗体の親和性およびその薬物動態パラメーターを考慮して決定される。
【0103】
別の実施態様に従って、本発明の抗体組成物は、更に抗体が投与される特定の処置目的で通常利用される薬剤を含む、1つ以上の更なる処置剤を含み得る。通常更なる処置剤は、組成物で、典型的にはその薬剤が処置される特定の疾患または症状のための単剤療法で用いられる量で存在する。かかる処置剤には、限定するものではないが癌の処置で用いられる処置剤、感染疾患を処置するために用いられる処置剤、その他の免疫処置で用いられる処置剤、(IL−2またはIL−15のような)サイトカイン、その他の抗体およびその他の抗体のフラグメントが含まれる。特定の処置研究法がそれ自体患者の症状に有害であることが解っていない限り、そしてNK細胞受容体抗体基盤の処置に有意に対抗しない限り、本発明とのその組み合わせが企図される。
【0104】
充実性腫瘍の処置と関連して、本発明を外科的手術、放射線処置、化学療法等のような古典的研究法と組み合わせて用いることができる。したがって本発明は、NK細胞受容体に対するヒト化またはヒトに適切な抗体を外科的手術もしくは放射線処置と同時に、前にもしくは後に用いるか;または従来の化学療法、放射線処置もしくは抗血管形成剤または標的免疫毒素もしくはコアギュリガンド(coaguligands)と共に、前にもしくは後に投与する組み合わせ処置を提供する。NK細胞受容体抗体基盤の処置および抗癌剤を単一の組成物で、または異なる投与経路を用いる2つの別個の組成物としてのいずれかで患者に同時に投与することができる。
【0105】
1つ以上の薬剤(例えば抗癌またはその他の抗NK LDGL剤)を本抗体基盤処置と組み合わせて用いる場合、組み合わせの結果が、各々の処置が別個に行われたときに観察される効果に付加的であることは要求されない。一般的に少なくとも付加的な効果が望ましいが、単一の処置の1つを超えて上昇した任意の抗NK細胞増殖効果が有益である。また、組み合わせ処置が相乗効果を奏することを特に要求されるわけではないが、これは確かに可能であり、そして有利である。処置用NK受容体基盤の処置は、例えば数分から数週間および数ヶ月の範囲の間隔で、その他の抗NK−LDGL剤処置に先行または追随してよい。処置用NK細胞受容体抗体基盤の組成物またはその他の抗NK−LDGL剤のいずれかの1回以上の投与が利用されることも想定される。薬剤を交互に、隔日または隔週に投与することができるか;またはNK細胞受容体抗体基盤の処置の1サイクルを行い、続いてその他の抗NK−LDGL剤処置の1サイクルを行うことができる。いずれにしても、組み合わせ処置を用いてNK細胞過剰増殖の阻止を達成するために、必要なことは双方の薬剤を、投与回数に関わらず、抗増殖性効果を奏するのに有効な組み合わせた量で送達することである。
【0106】
別の態様では、免疫モデュレトリー化合物または投与計画を本発明と組み合わせて実行することができる。好ましい実例には、サイトカインとの処置が含まれる。種々のサイトカインをかかる組み合わせ研究法において用いることができる。サイトカインの実例には、IL−1アルファ、IL−1ベータ、IL−2、LL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−21、TGF−ベータ、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、TNF−アルファ、TNF−ベータ、LAF、TCGF、BCGF、TRF、BAF、BDG、MP、LIF、OSM、TMF、PDGF、IFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマが含まれる。患者の症状およびサイトカインの相対的毒性のような臨床適応に一致する標準的な投与計画に従ってサイトカインを投与する。
【0107】
本発明のものと組み合わせて実行できる化合物または投与計画のその他の好ましい実例には、NK細胞の活性をモデュレーションする組成物が含まれる。例えば、特定の好ましい実施態様では、本発明の抗体を、CD94/NKG2A受容体またはKIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、およびKIR3DL2のような阻止KIR受容体の活性を刺激することができる天然リガンド、抗体、または小分子のような阻止NK細胞受容体を刺激することができる化合物と併せて投与する(例えばYawataら、Crit Rev Immunol.22(5-6): 463-82(2002); Middletonら、Transpl Immunol.10(2-3): 147-64(2002); Vilchesら、Annu Rev Immunol.20: 217-51(2002); またはLongら、Immunol Rev.181: 223-33(2001)(その各々の開示は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)参照)。あるいは、NKp30、NKp44、またはNKp46のような活性化NK細胞受容体の阻害剤を用いることもできる。
【0108】
化学療法は、しばしばNK−LDGLのような増殖性障害、特にNK−LDGL白血病を処置するために用いられるので、本発明のNK細胞受容体抗体処置用組成物をその他の化学療法剤またはホルモン処置剤と組み合わせて投与することができる。種々のホルモン処置および化学療法剤を本明細書に開示する処置方法と組み合わせて用いることができる。企図される化学療法剤の実例としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞毒性抗体、ビンカアルカロイド、例えばアドリアマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、タモキシフェン、タキソール、タキソテレ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、エトポシド(VP−16)、5−フルオロウラシル(5FU)、サイトシンアラビノシド、シクロホスファミド、チオテパ、メトトレキセート、カンプトテシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、シスプラチン(CDDP)、アミノプテリン、コンブレタスタチン(類)ならびにその誘導体およびプロドラッグが含まれる。ホルモン様薬剤には、例えばロイプロレリン、ゴセレリン、トリプトレリン、およびブセレリンのようなLHRHアゴニスト;タモキシフェンおよびトレミフェンのような抗エストロゲン;フルタミド、ニルタミド、シプロテロン、およびビカルタミドのような抗アンドロゲン;アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、およびファドロゾールのようなアルマターゼ阻害剤;ならびにメドロキシ、クロルマジノン、およびメゲストロールのような黄体ホルモン剤が含まれる。
【0109】
当業者には理解されるように、化学療法剤の適切な用量は、一般的に、化学療法剤が単独でまたはその他の化学療法剤と組み合わせて投与される臨床処置において既に用いられている用量に近い。ただ実例としては、シスプラチンのような薬剤およびその他のDNAアルキル化剤を用いることができる。シスプラチンは、癌の処置に広く用いられており、臨床適用において用いられる有効用量は、20mg/m、3週毎に5日間で、全部で3コースである。シスプラチンは、経口では吸収されず、そしてしたがって注射により静脈内、皮下、腫瘍内または腹腔内に送達されなければならない。
【0110】
更に有用な薬剤には、DNA複製、有糸分裂、および染色体分離に干渉する化合物が含まれ、そしてポリヌクレオチド前駆体の合成および忠実度を崩壊させる薬剤を用いることもできる。組み合わせ処置のための化学療法剤の多くの実例が米国特許第6524583号の表Cに列挙されている(その薬剤および指示の開示は具体的に参照として本明細書に組み入れられる)。列挙された薬剤の各々は、実例であり、そして限定するものではない。別の有用な供給源は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第15版、33章、特に624〜652頁である。用量の変更は、処置される症状に依存して生じる可能性がある。処置を投与する医師は、個々の対象のために適切な用量を決定することができる。
【0111】
本抗体を任意の1つ以上の抗血管形成処置と組み合わせて用いることもできる。かかる薬剤の実例には、中和抗体アンチセンス計画、RNAアプタマーおよびVEGFまたはVEGF受容体に対するリボザイムが含まれる(米国特許第6524583号(その開示は参照として本明細書に組み入れられる))。国際公開公報第98/16551号(具体的に参照として本明細書に組み入れられる)に記載されるように抗血管形成特性を有するVEGFの変種もまた用いることができる。組み合わせ処置に関連して有用な抗血管形成剤の更なる実例は、米国特許第6524583号の表Dに列挙されている(その薬剤および指示の開示は具体的に参照として本明細書に組み入れられる)。
【0112】
またNK細胞受容体抗体を、アポトーシスを誘起する方法と有利に組み合わせることもできる。例えばアポトーシスまたはプログラム細胞死を阻止する多くの発癌遺伝子が同定されている。このカテゴリーの発癌遺伝子の実例には、限定するものではないがbcr−ab1、bcl−2(bcl−1、サイクリンD1とは区別される;Genbankアクセッション番号M14745、X06487;米国特許第5650491号;および第5539094号(各々は参照として本明細書に組み入れられる))およびBcl−x1、Mcl−1、Bak、A1、A20を含むファミリーのメンバーが含まれる。bcl−2の過剰増殖は最初にT細胞リンパ腫において見出された。bcl−2は、アポトーシス経路のタンパク質であるBaxに結合し、そして不活性化することにより発癌遺伝子として機能する。bcl−2機能の阻止は、Baxの不活性化を妨げ、そしてアポトーシス経路を進行させることを可能にする。例えばアンチセンスヌクレオチド配列または小分子化学的化合物を用いるこのクラスの発癌遺伝子の阻止がアポトーシスを強化するための本発明における使用のために企図される(米国特許第5650491号;第5539094号;および第5583034号(各々参照として本明細書に組み入れられる))。
【0113】
またNK細胞抗体を包含する処置を補助化合物と組み合わせて用いることもできる。補助化合物は、実例としては、セロトニンアンタゴニストのような制吐薬およびフェノチアジン、置換ベンズアミド、抗ヒスタミン、ブチロフェノン、コルチコステロイド、ベンゾジアゼピン、およびカンナビノイドのような処置;ゾレドロン酸およびパミドロン酸のようなビスホスホネート;ならびにエリトロポイエチンおよびG−CSFのような造血成長因子、例えばフィルグラスチム、レノグラスチム、およびダルベポエチンが含まれ得る。
本発明の更なる態様および利点を以下の実験のセクションで開示し、これは説明と見なされるべきであり、そして本出願の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0114】
NK細胞受容体に特異的なモノクローナル抗体の作成
例えばMorettaら、J Exp Med.172(6): 1589-98(1990)に記載されるように、5週齢Balb Cマウスを活性化ポリクローナルまたはモノクローナルNK細胞系で免疫することにより新規モノクローナル抗体を作成する。様々な細胞融合の後、最初にKIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1、CD94、NKG2A、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46等のような1つ以上のNK細胞受容体を特異的に認識するその能力に関してモノクローナル抗体を選択する。陽性モノクローナル抗体を更にNK−LDGLまたは類似する免疫増殖性障害を有する患者から採取したNK細胞に特異的に結合するその能力に関してスクリーニングする。
【実施例2】
【0115】
末梢血リンパ球(PBL)の精製およびポリクローナルまたはクローナルNK細胞集団の作成
フィコール・ハイパック濃度勾配およびプラスチック付着細胞の消耗により末梢血リンパ球(PBL)をNK−LDGL患者または健常ドナーから誘導する。富化されたNK細胞を得るために、PBLを抗CD3(JT3A)、抗CD4(HP2.6)、および抗HLA−DR(D1.12)モノクローナル抗体と共にインキュベートし(4℃で30分間)、続いてヤギ抗マウスでコートしたダイナビーズ(ダイナル、オスロ、ノルウェイ)共にインキュベートし(4℃で30分間)、そして免疫磁性による消耗を行う(Pendeら、Eur.J.Inmmunol.28: 2384-2394(1998); Sivoriら、J.Exp.Med.186: 1129-1136(1997); Vitaleら、J.Exp.Med.187: 2065-2072(1998))。CD3DR細胞を細胞溶解アッセイで用いるか、またはポリクローナルNK細胞集団、または限界希釈後にNK細クローン(Moretta、Eur.J.Immunol.151: 148-155(1985))を得るために、100U/ml rlL−2(プロリューキン、カイロン社、エメリービル、米国)および1.5ng/ml PHA(ギブコリミテッド、ペイズリー、スコットランド)の存在下、放射線照射したフィーダー細胞上で培養する。
【実施例3】
【0116】
フロー細胞蛍光分析
患者の細胞および対照細胞を、直接標識されているか、または続くPE−もしくはFITC−コンジュゲーションしたアイソタイプ特異的ヤギ抗マウス二次試薬(サザンバイオテクノロジーアソシエーテッド、バーミングハム、アラバマ州)のいずれかである種々のNK細胞受容体に特異的なモノクローナル抗体で染色する。1色または2色細胞蛍光分析(ファックスキャン(FACScan)、ベクトンディキンソン社(Becton Dickinson & Co.)、マウンテンビュー、カリフォルニア州)により試料を分析する(Morettaら、J.Exp.Med.171:695−714(1990))。
【実施例4】
【0117】
抗体−基質相互作用のビアコア分析
組換えタンパク質の生成および精製
大腸菌で組換えタンパク質を生成する。標準的な方法を用いてPCRによりNK細胞受容体の全細胞外ドメインをコードするcDNAを増幅する。核酸配列を、pML1発現ベクターにビオチン化シグナルをコードする配列と共にフレーム内でクローン化する(Saulquinら、2003)。BL21(DE3)細菌株(インビトローゲン)でタンパク質発現を実施する。トランスフェクトされた細菌を、アンピシリン(100μg/ml)を補充した培地中、37℃でOD600=0.6まで成長させ、そして1mM IPTGで発現を誘起する。変性条件下(8M尿素)で封入体からタンパク質を回収する。L−アルギニン(400mM、シグマ)およびβ−メルカプトエタノール(1mM)を含有する20mMトリス(pH7.8)、NaCl 150mMバッファー中室温で6工程透析(各々4、3、2、1、0.5、および0M尿素)で尿素濃度を低下させることにより組換えタンパク質のリフォールディングを行う。0.5および0M尿素透析工程の間で還元および酸化グルタチオン(各々5mMおよび0.5mM、シグマ)を加える。最後に、タンパク質を10mMトリス(pH7.5)、NaCl 150mMバッファーに対して十分に透析する。可溶性のリフォールディングされたタンパク質が濃縮され、そして次にスーパーデックス(Superdex)200サイズ排除カラム(ファルマシア(Pharmacia);AKTAシステム)で精製される。ビアコア装置(ビアコア)で表面プラスモン共鳴測定をで実施する。すべてのビアコア実験でランニングバッファーとして0.05%界面活性剤P20を補充したHBSバッファーを供給する。
【0118】
タンパク質固定
先に記載したように生成された組換え基質タンパク質をセンサーチップCM5(ビアコア)のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定する。センサーチップ表面は、EDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドデヒドロクロリドおよびN−ヒドロキシサクシンイミド、ビアコア)で活性化する。カップリングバッファー(10mM酢酸、pH4.5)中タンパク質を注射した。100mMエタノールアミン(pH8)(ビアコア)を用いて残りの活性化基を失活させた。
【0119】
親和性測定
動態学測定のために、種々の濃度の可溶性抗体(1×10−7〜4×10−10M)を固定基質アンプルに適用する。連続流速20μl/分で測定を実施する。各サイクルで、センサーチップの表面を10mM NaOH(pH11)の5μlの注射により再生する。データ分析にはビアログ動態評価プログラム(ビアエバリュエーション3.1、ビアコア)を用いる。HBSバッファー中可溶性分析物(種々濃度で40μl)を20μl/分の流速で、例えば500反射単位(RU)および1000RUの基質を含有するデキストラン層に注射する。
【0120】
本明細書に引用したすべての出版物および特許出願は、各個別の出版物または特許出願が、具体的におよび個別に、参照として本明細書に組み入れられると示されているかのように、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
上述の本発明は、理解を明確にする目的のために説明および実例によりいくらか詳細に記載してきたが、本発明の教示に鑑みて、当業者は、添付の請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、それに特定の変更および修飾を行うことができることは容易に明白になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NK−LDGLの処置において使用するのに適切な抗体を生成する方法であって、
a)NK細胞の表面に存在する1つ以上の受容体に特異的に結合する複数の抗体を提供すること;
b)NK−LDGLを有する一人以上の患者から採取したNK細胞に結合する上記抗体の能力を試験すること;
c)一人以上の上記患者から採取したNK細胞の少なくとも50%に結合する上記複数の抗体から1つを選択すること;および
d)上記抗体をヒト投与に適切なものにすること;
を含む、方法。
【請求項2】
前記抗体が、KIR2DL1、KIR2DS1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DS4、CD94、NKG2A、NKp30、NKp44、NKp46、NKp30、NKp44、およびNKp46から成る群より選択される単一の受容体に結合する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記抗体をヒト化またはキメラ化することによってヒト投与に適切なものにする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
更に細胞毒性薬剤を、上記抗体に連結する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記細胞毒性薬剤が、放射性同位元素、毒性ポリペプチド、または毒性小分子である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、一人以上の上記患者から採取されたNK細胞の少なくとも60%に結合する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、一人以上の上記患者から採取されたNK細胞の少なくとも70%に結合する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、一人以上の上記患者から採取されたNK細胞の少なくとも80%に結合する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法を用いて生成された抗体。
【請求項10】
請求項1〜8の一項記載の方法を用いて生成された抗体および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項1〜8の一項記載の方法を用いて生成された抗体およびNK−LDGLの処置において上記抗体を使用するための指示書を含むキット。
【請求項12】
NK−LDGLの処置のための医薬品の製造のためのNK−LDGLを有する患者からのNK細胞で優勢的に発現されるNK細胞受容体に特異的に結合する抗体の使用。
【請求項13】
NK−LDGLを有する患者内のNK細胞のNK受容体状態が決定される、請求項12記載の使用。
【請求項14】
NK−LDGLを有する患者内のNK細胞のNK受容体状態が、上記抗体での処置の前に決定される、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記NK受容体が、活性化受容体である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記受容体が、KIR2DL1、KIR2DS1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DS4、CD94、NKG2A、NKp30、NKp44、およびNKp46から成る群より選択される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記抗体が、単一のNK受容体を特異的に認識する、請求項12〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
前記NK受容体状態が、免疫学的アッセイを用いて決定される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記NK受容体状態が、上記NK細胞に存在する上記NK受容体の活性を決定するための機能的アッセイを用いて決定される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記NK受容体状態が、遺伝子型決定アッセイを用いて決定される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記NK受容体状態が、細胞におけるNK受容体コード化mRNAを検出するためのアッセイを用いて決定される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記受容体が、上記NK細胞の少なくとも50%で検出可能なように存在する、請求項12〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記抗体が、抗体フラグメントである、請求項12〜22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
前記抗体が、細胞毒性である、請求項12〜22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記細胞毒性抗体が、放射性同位元素、毒性ペプチド、および毒性小分子から成る群より選択されるエレメントを含む、請求項24記載の使用。
【請求項26】
前記抗体が、ヒト化されているか、またはキメラである、請求項12〜25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
前記抗体が、上記NK受容体のマウスまたは霊長類相同体に結合する、請求項12〜26のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
前記抗体が、複数のKIR受容体に結合する、請求項12〜27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
前記抗体が、上記免疫学的アッセイにおいて上記NK受容体状態を決定するために用いられる同一の抗体から誘導される、請求項18記載の使用。

【公表番号】特表2008−502597(P2008−502597A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510158(P2007−510158)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001494
【国際公開番号】WO2005/105849
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504022515)イネイト・ファーマ (5)
【氏名又は名称原語表記】INNATE PHARMA
【出願人】(502174302)ウニヴェルシタ ディ ジェノヴァ (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA DI GENOVA
【Fターム(参考)】