説明

OFDM波測定装置

【課題】信号電力が低レベルの場合であっても、OFDM信号を精度高く測定する。
【解決手段】OFDM波測定装置1の誤差検出部14は、直交復調されたベースバンド信号に対し、時間軸上で4シンボル単位の加算を行い、ガード相関処理によって、周波数誤差、シンボル先頭位置a0及びクロック誤差a1を検出する。シンボル加算部18−1は、シンボル先頭位置a0に基づいて切り出されたシンボルのFFT出力信号であるキャリアシンボルに対して同期加算し、SPパターン検出部19は、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出する。クロック誤差補正部22は、キャリアシンボルに対してクロック誤差a1を補正し、シンボル加算部18−3は、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、SP抽出部20−2は、この同期加算結果からSP信号を抽出する。このSP信号に基づいて、OFDM信号が測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル信号、地上デジタル音声放送、マルチメディア放送等の信号を検出及び測定する装置に関し、特に、パイロット信号を含むOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号の受信電力等を測定するOFDM波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル信号、地上デジタル音声放送、マルチメディア放送等の分野において、OFDM信号からパイロット信号を抽出し、受信電力、スペクトル、遅延プロファイル等を測定する装置が知られている。例えば、特許文献1には、受信したOFDM信号から伝送モード及びGI(Guard Interval:ガードインターバル)を検出し、ローカル周波数補正及びサンプリング周波数補正を行い、フレーム同期を捕捉することなくパイロット信号を抽出し、遅延プロファイルを算出するOFDM信号解析装置が記載されている。また、特許文献2には、受信したOFDM信号からSP(Scattered Pilot:スキャッタードパイロット)信号を抽出し、SP信号に基づいて従来よりも多数のFFT点数によって遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル測定装置が記載されている。
【0003】
一方、ホワイトスペースを活用したサービス及びシステムの制度化が進められ、そのビジネス展開を促進するための研究開発も積極的に行われている。ホワイトスペースは、特定の電波利用サービスを目的にして特定周波数帯の利用免許が与えられている周波数領域のうち、使用されていない周波数領域の電波をいう。このホワイトスペースを活用するサービス等において、ホワイトスペース利用局から放送波への干渉の許容レベルは、熱雑音以下である必要があり、例えば混信保護比がI(Interference)/N(Noise)=−10dBのように、熱雑音以下のレベルの信号を測定する技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−335226号公報
【特許文献2】特開2007−28367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1,2では、受信したOFDM信号からSP信号等のパイロット信号を抽出することができる状態を前提にしており、熱雑音以下のレベルの信号のように信号電力が低レベルの場合には、OFDM信号からパイロット信号を容易に抽出することができず、遅延プロファイル等を精度高く測定することができない。また、従来のスペクトルアナライザ、電界強度測定装置、相関演算の測定手法を用いた装置においても、同様である。
【0006】
このように、特許文献1のOFDM信号解析装置、特許文献2の遅延プロファイル測定装置、従来のスペクトルアナライザ及び電界強度測定装置等による測定手法では、信号電力が低レベルの場合、シンボル同期を正しく捕捉することができず、パイロット信号を抽出することができない。このため、受信したOFDM信号を精度高く測定することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、信号電力が低レベルの場合であっても、OFDM信号を精度高く測定可能なOFDM波測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明による請求項1のOFDM波測定装置は、パイロット信号を含むOFDM波を受信し、前記パイロット信号を抽出してOFDM信号を測定するOFDM波測定装置において、前記受信したOFDM波の信号を直交復調し、ベースバンド信号を生成する直交復調部と、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相関によりシンボル先頭位置を検出する第1の誤差検出部と、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記第1の誤差検出部により検出されたシンボル先頭位置に基づいて、GIを除去し有効シンボルを切り出すシンボル切出部と、前記シンボル切出部により切り出された有効シンボルをFFTし、キャリアシンボルを生成するFFT部と、前記FFT部により生成されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成する第1のシンボル加算部と、前記第1のシンボル加算部により生成された同期加算結果と、予め設定された複数のパターンとの間の相関値を算出し、前記相関値が最大のパターンを検出するパターン検出部と、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する第1のパイロット抽出部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明による請求項2のOFDM波測定装置は、請求項1に記載のOFDM波測定装置において、さらに、クロック誤差補正部及び第2のシンボル加算部を備え、前記第1の誤差検出部が、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、シンボル先頭位置及びクロック誤差を検出し、前記クロック誤差補正部が、前記キャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記第1の誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正し、前記第2のシンボル加算部が、前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成し、前記第1のパイロット抽出部が、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記第2のシンボル加算部により生成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項3のOFDM波測定装置は、請求項1に記載のOFDM波測定装置において、さらに、第2のパイロット抽出部、周波数誤差推定部及び周波数誤差補正部を備え、前記第2のパイロット抽出部が、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出し、前記周波数誤差推定部が、前記第2のパイロット抽出部により抽出されたパイロット信号と、前記第1のシンボル加算部において同期加算を行った計算シンボル数とを用いて、前記計算シンボル数に対するパイロット信号の電力がピークとなる位置を特定し、前記特定した位置の計算シンボル数に対応する周波数誤差を、予め設定されたテーブルまたは計算式から推定し、前記周波数誤差補正部が、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記周波数誤差推定部により推定された周波数誤差を補正し、前記第1のパイロット抽出部が、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記周波数誤差が補正されたベースバンド信号から有効シンボルが切り出されFFTされた同期加算結果について、前記同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項4のOFDM波測定装置は、請求項3に記載のOFDM波測定装置において、さらに、第2の誤差検出部、クロック誤差補正部及び第2のシンボル加算部を備え、前記第2の誤差検出部が、前記周波数誤差補正部により周波数誤差が補正されたベースバンド信号について、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相間を求め、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、クロック誤差を検出し、前記クロック誤差補正部が、前記キャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記第2の誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正し、前記第2のシンボル加算部が、前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成し、前記パイロット信号抽出部が、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記第2のシンボル加算部により形成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による請求項5のOFDM波測定装置は、パイロット信号を含むOFDM波を受信し、前記パイロット信号を抽出してOFDM信号を測定するOFDM波測定装置において、前記受信したOFDM波の信号を直交復調し、ベースバンド信号を生成する直交復調部と、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相関を求め、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、シンボル先頭位置及びクロック誤差を検出する誤差検出部と、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記誤差検出部により検出されたシンボル先頭位置に基づいて、GIを除去し有効シンボルを切り出すシンボル切出部と、前記シンボル切出部により切り出された有効シンボルをFFTし、キャリアシンボルを生成するFFT部と、前記FFT部により生成されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成する第1のシンボル加算部と、前記第1のシンボル加算部により生成された同期加算結果と、予め設定された複数のパターンとの間の相関値を算出し、前記相関値が最大のパターンを検出するパターン検出部と、前記キャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正するクロック誤差補正部と、前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成する第2のシンボル加算部と、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記第2のシンボル加算部により生成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出するパイロット抽出部と、前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号と、前記第2のシンボル加算部において同期加算を行った計算シンボル数とを用いて、前記計算シンボル数に対するパイロット信号の電力がピークとなる位置を特定し、前記特定した位置の計算シンボル数に対応する周波数誤差を、予め設定されたテーブルまたは計算式から推定する周波数誤差推定部と、前記周波数誤差推定部により推定された周波数誤差に基づいて、電力レベル差を求めるレベル補正部と、前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号に基づいて、受信電力を算出し、前記レベル補正部により求められた電力レベル差を用いて、前記受信電力を補正する受信電力算出部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項6のOFDM波測定装置は、パイロット信号を含むOFDM波を受信し、前記パイロット信号を抽出してOFDM信号を測定するOFDM波測定装置において、前記受信したOFDM波の信号を直交復調し、ベースバンド信号を生成する直交復調部と、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相関を求め、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、シンボル先頭位置及びクロック誤差を検出する誤差検出部と、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記誤差検出部により検出されたシンボル先頭位置に基づいて、GIを除去し有効シンボルを切り出すシンボル切出部と、前記シンボル切出部により切り出された有効シンボルをFFTし、キャリアシンボルを生成するFFT部と、前記FFT部により生成されたキャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正するクロック誤差補正部と、前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成するシンボル加算部と、前記シンボル加算部により生成された同期加算結果と、予め設定された複数のパターンとの間の相関値を算出し、前記相関値が最大のパターンを検出するパターン検出部と、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記シンボル加算部により生成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出するパイロット抽出部と、前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号と、前記シンボル加算部において同期加算を行った計算シンボル数とを用いて、前記計算シンボル数に対するパイロット信号の電力がピークとなる位置を特定し、前記特定した位置の計算シンボル数に対応する周波数誤差を、予め設定されたテーブルまたは計算式から推定する周波数誤差推定部と、前記周波数誤差推定部により推定された周波数誤差に基づいて、電力レベル差を求めるレベル補正部と、前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号に基づいて、受信電力を算出し、前記レベル補正部により求められた電力レベル差を用いて、前記受信電力を補正する受信電力算出部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項7のOFDM波測定装置は、請求項1から6までのいずれか一項に記載のOFDM波測定装置において、前記パイロット信号をSP信号とし、請求項1、4または5の誤差検出部における所定数のシンボル単位を、4シンボル単位とし、請求項1、2、4、5または6のシンボル加算部における所定番目のシンボル毎を、4n〜4n+3番目のシンボル毎(nは0以上の整数)とする、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項8のOFDM波測定装置は、請求項1から6までのいずれか一項に記載のOFDM波測定装置において、前記パイロット信号をTMCC信号またはAC信号とし、請求項1、4または5の誤差検出部における所定数のシンボル単位を、204シンボル単位とし、請求項1、2、4、5または6のシンボル加算部における所定番目のシンボル毎を、204n〜204n+203番目のシンボル毎(nは0以上の整数)とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、受信したOFDM信号に対し、シンボルの同期加算によりパイロット信号のパターンを検出し、そのパターンに基づいてパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいてOFDM信号を測定するようにした。これにより、熱雑音以下の信号のように、信号電力が低レベルの場合であっても、パイロット信号を精度高く抽出することができ、結果として、地上デジタル信号、地上デジタル音声放送、マルチメディア放送等の分野に用いられるOFDM信号を精度高く測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による第1(実施例1)のOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による第2(実施例2)のOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による第3(実施例3)のOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による第4(実施例4)のOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】誤差検出部の構成を示すブロック図である。
【図6】4シンボル単位加算部の処理を説明する図である。
【図7】(1)は、ループフィルタによる加算処理を行う4シンボル単位加算部の構成を示すブロック図である。(2)は、移動平均による加算処理を行う4シンボル単位加算部の構成を示すブロック図である。
【図8】ガード相関部の処理を説明する図である。
【図9】シンボル先頭位置等検出部の処理を示すフローチャートである。
【図10】シンボル番号とシンボル先頭クロック数との関係を示す図である。
【図11】シンボル加算部の処理を説明する図である。
【図12】SPパターン検出部の処理を示すフローチャートである。
【図13】SPパターン検出部の処理を説明する図である。
【図14】周波数誤差推定部の処理を示すフローチャートである。
【図15】SP信号の電力レベル差と計算シンボル数との関係を示す図である。
【図16】SP信号の総合電力におけるピーク位置の計算シンボル数と周波数誤差との関係を示す図である。
【図17】クロック誤差補正部の処理を示すフローチャートである。
【図18】(1)は、クロック誤差補正部が入力するFFT出力信号におけるサブキャリアの時間波形を示す図である。(2)は、サブキャリアの位相に対する逆回転処理を説明する図である。
【図19】クロック誤差補正部及びシンボル加算部の処理を説明する図である。
【図20】レベル補正部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、実施例1について説明する。実施例1は、受信したOFDM信号を直交復調したベースバンド信号に対し、時間軸上で4シンボル単位の加算を行い、ガード相関処理によって、周波数誤差、シンボル先頭位置a0及びクロック誤差a1を検出する。そして、この周波数誤差を補正したベースバンド信号に対し、シンボル先頭位置a0に基づいてシンボルを切り出し、FFT出力信号であるキャリアシンボルを同期加算し、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出してSP信号を抽出し、抽出したSP信号の電力がキャリアシンボルの同期加算に伴って時間軸上にてピーク値となる計算シンボル数を特定し、この計算シンボル数に基づいて周波数誤差を推定する。そして、この周波数誤差を補正したベースバンド信号に対し、シンボル先頭位置a0に基づいてシンボルを切り出し、FFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1に基づいてSP信号における現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差a1を補正する。そして、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、この同期加算結果及びSPパターンからSP信号を抽出し、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定する。
【0020】
〔OFDM波測定装置の構成/実施例1〕
実施例1によるOFDM波測定装置の構成について説明する。図1は、実施例1によるOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、太線の矢印はデータ信号の流れを示しており、細線の矢印は制御信号の流れを示している(図2〜図4も同様)。このOFDM波測定装置1は、周波数変換部11、A/D(Analog/Digital)変換部12、直交復調部13、誤差検出部14、周波数誤差補正部15−1,15−2、シンボル切出部16−1,16−2,16−3、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部17−1,17−2,17−3、シンボル加算部18−1,18−2,18−3、SPパターン検出部(パターン検出部)19、SP抽出部(パイロット抽出部)20−1,20−2、周波数誤差推定部21−1,21−2、クロック誤差補正部22、受信電力算出部23、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25を備えている。
【0021】
周波数変換部11は、受信アンテナにて受信したOFDM信号のRF(Radio Frequency:無線周波数)信号を入力し、周波数変換してIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号を生成し、A/D変換部12に出力する。A/D変換部12は、周波数変換部11からIF信号を入力し、アナログのIF信号をデジタルのIF信号に変換し、直交復調部13に出力する。直交復調部13は、A/D変換部12からデジタルのIF信号を入力し、直交復調してI(In-phase:同相),Q(Quadrature:直交位相)のベースバンド信号を生成し、誤差検出部14及び周波数誤差補正部15−1に出力する。
【0022】
誤差検出部14は、直交復調部13からIQのベースバンド信号を入力し、時間軸上の所定のデータ先頭位置を基準にして、4シンボル単位に加算を順次行い、加算結果にガード相間を施してガード相関値を算出し、ガード相関値に基づいてシンボル先頭位置a0、クロック誤差a1及び周波数誤差を検出する。ここで、所定のデータ先頭位置は、IQのベースバンド信号の時間軸上における任意の位置を示す。そして、誤差検出部14は、検出したシンボル先頭位置a0をシンボル切出部16−1,16−2,16−3に出力し、クロック誤差a1をクロック誤差補正部22に出力し、周波数誤差を周波数誤差補正部15−1に出力する。誤差検出部14の詳細については後述する。
【0023】
周波数誤差補正部15−1は、直交復調部13からIQのベースバンド信号を入力すると共に、誤差検出部14から周波数誤差を入力し、入力した周波数誤差に基づいて、ベースバンド信号における周波数の誤差を補正する。そして、周波数誤差補正部15−1は、周波数誤差(時間軸上のシンボル加算にて検出した周波数誤差)を補正したベースバンド信号を周波数誤差補正部15−2及びシンボル切出部16−1,16−2に出力する。
【0024】
シンボル切出部16−1は、周波数誤差補正部15−1から周波数誤差が補正されたベースバンド信号を入力すると共に、誤差検出部14からシンボル先頭位置a0を入力する。そして、シンボル切出部16−1は、誤差検出部14において4シンボル単位の加算の基準としたデータ先頭位置からシンボル先頭位置a0シフトした位置を基準にして、ベースバンド信号からGIを除去し有効シンボルの信号を切り出す。シンボル切出部16は、有効シンボルの信号をFFT部17−1に出力する。
【0025】
FFT部17−1は、シンボル切出部16−1から有効シンボルの信号を入力し、FFTしてキャリアシンボルを生成し、FFT出力信号をシンボル加算部18−1に出力する。この場合、FFT部17−1は、シンボル番号が4n番目のキャリアシンボル、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボル、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボル及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの4グループに分け、シンボル加算部18−1に出力する。nは、0以上の整数である。
【0026】
シンボル加算部18−1は、FFT部17−1からFFT出力信号である4グループのキャリアシンボル(シンボル番号が4n番目のキャリアシンボル、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボル、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボル及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボル)を入力し、グループ毎にキャリアシンボルの同期加算を行う。すなわち、シンボル加算部18−1は、各グループについて、サブキャリア毎にベクトル加算を行う。そして、シンボル加算部18−1は、グループ毎の同期加算結果であるシンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果をSPパターン検出部19に出力する。具体的には、シンボル加算部18−1は、同期加算の処理として、ループフィルタによる加算処理、または移動平均による加算処理を行う。シンボル加算部18−1の詳細については後述する。
【0027】
SPパターン検出部19は、シンボル加算部18−1から4グループの同期加算結果(シンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果)を入力する。そして、SPパターン検出部19は、これらの同期加算結果と、予め設定された4つのSPパターンとの間の相関値を算出し、4つの相関値に基づいて、SPの抽出が可能か否かを判定し、SP抽出可またはSP抽出不可の信号を生成し、SP抽出可のときの最大相関値を有するSPパターンを検出する。そして、SPパターン検出部19は、SP抽出不可能であると判定した場合、SP抽出不可の信号をSP抽出部20−1,20−2に出力し、SP抽出可能であると判定した場合、SP抽出可の信号及びSPパターンをSP抽出部20−1,20−2に出力する。SPパターン検出部19の詳細については後述する。
【0028】
ここで、SPパターン検出部19において、受信信号の電力が低レベルの場合、SPパターンの検出処理開始直後は、同期加算結果と4つのSPパターンとの間の相関値の差はさほど無い。これは、受信信号の電力が低レベルの場合には、1シンボル内にそれぞれ存在する異なる4種類のSP信号(振幅及び位相が異なるSP信号)を、明確に区別することができないからである。同期加算されるシンボル数が増加してSPパターンの検出処理が進むことで、4つの相関値のうちの1つの相関値が他の3つの相関値よりも大きくなる。すなわち、同期加算結果は、同期加算処理が進むに従って、4つのSPパターンのうちの1つのSPパターンに近くなる。これは、受信信号の電力が低レベルの場合であっても、同期加算処理が進むことで、1シンボル内に存在する異なる4種類のSP信号を明確に区別することができるからである。この相関値の違いに基づいて、SP抽出可能または不可能が判定される。
【0029】
シンボル切出部16−2、FFT部17−2及びシンボル加算部18−2は、前述のシンボル切出部16−1、FFT部17−1及びシンボル加算部18−1と同様の処理をそれぞれ行う。シンボル加算部18−2は、グループ毎の同期加算結果であるシンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果をSP抽出部20−1に出力する。また、シンボル加算部18−2は、同期加算の回数を計算シンボル数として周波数誤差推定部21−1に出力する。
【0030】
SP抽出部20−1は、シンボル加算部18−2から4グループの同期加算結果を入力すると共に、SPパターン検出部19からSP抽出不可、またはSP抽出可及びSPパターンを入力する。そして、SP抽出部20−1は、SP抽出不可を入力した場合、SP抽出処理を行わず、SP抽出可を入力した場合、SPパターンに基づいて4グループの同期加算結果からSP信号を抽出し、SP信号を周波数誤差推定部21−1に出力する。
【0031】
周波数誤差推定部21−1は、SP抽出部20−1からSP信号を入力すると共に、シンボル加算部18−2から計算シンボル数を入力し、時系列のSP信号(計算シンボル数に対するSP信号)について、その電力がピークとなる計算シンボル数を特定し、予め設定されたテーブルまたは計算式に従って、計算シンボル数に対応する周波数誤差を求め、周波数誤差補正部15−2に出力する。周波数誤差推定部21−1の詳細については後述する。
【0032】
周波数誤差補正部15−2は、周波数誤差補正部15−1から周波数誤差(時間軸上のシンボル加算にて検出した周波数誤差)が補正されたベースバンド信号を入力すると共に、周波数誤差推定部21−1から周波数誤差を入力し、周波数誤差補正部15−1と同様の処理を行い、入力した周波数誤差に基づいて、ベースバンド信号における周波数の誤差を補正する。そして、周波数誤差補正部15−2は、周波数誤差(周波数軸上のシンボル加算にて検出した周波数誤差)を補正したベースバンド信号をシンボル切出部16−3に出力する。シンボル切出部16−3及びFFT部17−3は、シンボル切出部16−1,16−2及びFFT部17−1,17−2と同様の処理を行う。FFT部17−3は、FFTして生成した4グループのFFT出力信号であるキャリアシンボルをクロック誤差補正部22に出力する。
【0033】
クロック誤差補正部22は、FFT部17−3からFFT出力信号である4グループのキャリアシンボルを入力すると共に、誤差検出部14からクロック誤差a1を入力し、キャリアシンボルのうちのSP信号について、クロック誤差a1に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差を補正し、クロック誤差補正後のキャリアシンボルをシンボル加算部18−3に出力する。ここで、fは、サブキャリア番号kにおけるSP信号の中心キャリア周波数を示す。クロック誤差補正部22の詳細については後述する。
【0034】
シンボル加算部18−3は、クロック誤差補正部22から4グループのクロック誤差補正後のキャリアシンボルを入力し、前述のシンボル加算部18−1,18−2と同様の処理を行う。SP抽出部20−2は、シンボル加算部18−3から4グループの同期加算結果を入力し、前述のSP抽出部20−1と同様の処理を行う。
【0035】
周波数誤差推定部21−2は、SP抽出部20−2からSP信号を入力し、前述の周波数誤差推定部21−1と同様の処理を行い、受信したOFDM信号の周波数誤差を推定する。受信電力算出部23、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25は、SP抽出部20−2からSP信号を入力し、OFDM信号の受信電力、スペクトル及び遅延プロファイルをそれぞれ算出する。尚、OFDM信号の受信電力、スペクトル及び遅延プロファイルの算出手法は既知であるから、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
〔誤差検出部〕
次に、図1に示した誤差検出部14について詳細に説明する。前述のとおり、誤差検出部14は、IQのベースバンド信号に対し、時間軸上の所定のデータ先頭位置を基準にして、4シンボル単位に加算を順次行い、加算結果にガード相間を施してガード相関値を算出し、ガード相関値に基づいてシンボル先頭位置a0、クロック誤差a1及び周波数誤差を検出する。
【0037】
図5は、誤差検出部14の構成を示すブロック図である。この誤差検出部14は、4シンボル単位加算部141、ガード相関部142及びシンボル先頭位置等検出部143を備えている。4シンボル単位加算部141は、IQのベースバンド信号を入力し、時間軸上の所定のデータ先頭位置を基準にして、4シンボル単位に加算を順次行い、加算結果をガード相関部142に出力する。
【0038】
図6は、4シンボル単位加算部141の処理を説明する図である。図6に示すように、GI+SP0、GI+SP1、GI+SP2、GI+SP3の信号がそれぞれ1シンボルに相当する。図6は、時間軸上のSP0〜SP3を示しているが、SP0〜SP3の違いは、1シンボルの周波数軸上におけるSP信号のキャリア配置の違いを示しており、そのキャリア配置には4種類ある。SP信号のキャリア配置は既知であるから、ここでは詳細な説明を省略する。また、(1)(2)(3)・・・は、それぞれ4シンボル単位の信号を示しており、(1)+(2)、(1)+(2)+(3)、・・・は、4シンボル単位の加算結果を示している。4シンボル単位の信号のデータ先頭位置は、任意の位置であるから、必ずしもシンボルの先頭位置になるとは限らず、図6に示すように、SP0の途中となる場合もあり得る。しかし、4シンボル単位の加算は、SP0〜SP3及びこれらに対するGIについて、同じ信号に対して処理が行われるから、同じSP0同士、SP1同士、・・・、SP0に対するGI同士、SP1に対するGI同士、・・・の処理となる。つまり、SP0〜SP3及びGIがそれぞれ加算され、後述するガード相関部142によりガード相関の処理が行われる。
【0039】
図7は、4シンボル単位加算部141の具体的な構成を示すブロック図であり、(1)はループフィルタにより加算処理を行う例であり、(2)は移動平均により加算処理を行う例である。図7(1)において、ループフィルタによる加算処理を行う4シンボル単位加算部141は、加算部144及び遅延部145−1〜145−4を備えている。加算部144は、直交復調部13からベースバンド信号を入力すると共に、遅延部145−4から4シンボル遅延したベースバンド信号を入力し、両ベースバンド信号のレベルを1−k:kの割合で加算し、4シンボル単位の加算結果をガード相関部142及び遅延部145−1に出力する。遅延部145−1〜145−4は、それぞれ入力したベースバンド信号を1シンボル遅延させる。つまり、遅延部145−1〜145−4により、4シンボル遅延したベースバンド信号が生成され、加算部144により、4シンボル単位の加算処理が順次行われる。尚、kは、0から1までの範囲内で所定の値に設定されており、加算処理を行う際の比重を示す。
【0040】
図7(2)において、移動平均による加算処理を行う4シンボル単位加算部141は、遅延部146−1,146−2〜146−n、加算部147及び除算部148を備えている。遅延部146−1,146−2〜146−nは、直交復調部13からベースバンド信号を入力し、4nシンボル遅延させる。例えば、遅延部146−1は、入力したベースバンド信号を1シンボル遅延させ、遅延部146−2は、入力したベースバンド信号を2シンボル遅延させる。加算部147は、直交復調部13、遅延部146−1,146−2〜146−nからベースバンド信号及びそれぞれ遅延したベースバンド信号を入力し、加算処理を行い、加算結果を除算部148に出力する。除算部148は、加算部147から加算結果を入力し、加算結果をnで除算し、除算結果を4シンボル単位の加算結果としてガード相関部142に出力する。尚、nは、4シンボル単位の加算数を示す。
【0041】
このように、誤差検出部14の4シンボル単位加算部141によれば、4シンボル単位の加算処理を任意の位置から順次行い、同じSP0〜SP3及びGI同士を加算することができる。これにより、SP信号のSN比を改善することができ、後段のガード相関部142においてガード相関の処理を行うことができる。
【0042】
図5に戻って、ガード相関部142は、4シンボル単位加算部141から加算結果を入力し、ガード相関を施してガード相関値を算出し、ガード相関値からガード相関の移動平均値を算出してシンボル先頭位置等検出部143に出力する。
【0043】
図8は、ガード相関部142の処理を説明する図である。ガード相関部142は、入力した加算結果を1有効シンボル期間シフトさせ、シフト後の信号(加算結果)を生成する。そして、ガード相関部142は、入力した加算結果と、シフト後の加算結果との間のガード相関値を算出する。GIは、SPの有効シンボルにおける後半部分の信号を、そのSPの有効シンボルの手前にコピーした信号である。したがって、図8に示すように、ガード相関値は、入力した加算結果におけるSPの後半部分と、シフト後の加算結果におけるそのSPの手前にコピーされたGIの部分とが重なる箇所において、大きな値となる。そして、ガード相関部142は、ガード相関値からガード相関の移動平均値を算出する。ガード相関の移動平均値は、図8に示すように、三角形状を繰り返す値となる。また、ガード相関の移動平均値の箇所に示したシンボル先頭位置a0は、後述のシンボル先頭位置等検出部143により検出される。
【0044】
図5に戻って、シンボル先頭位置等検出部143は、ガード相関部142からガード相関の移動平均値を入力し、ガード相関の移動平均値に基づいて、シンボル先頭位置a0、クロック誤差a1及び周波数誤差を検出し、シンボル先頭位置a0をシンボル切出部16−1,16−2,16−3に出力し、クロック誤差a1をクロック誤差補正部22に出力し、周波数誤差を周波数誤差補正部15−1に出力する。
【0045】
図9は、シンボル先頭位置等検出部の処理を示すフローチャートである。まず、シンボル先頭位置等検出部143は、ガード相関部142からガード相関の移動平均値を入力し(ステップS901)、ガード相関の移動平均値が極大値となる位置を特定し(ステップS902)、データ先頭位置から極大値となる位置(極大位置)までの間のクロック数(シンボル先頭クロック数)を求める(ステップS903)。尚、シンボル先頭クロック数は、シンボル毎のクロック数であってもよいし、4シンボル単位加算部141の加算単位である4シンボルにおけるそれぞれのクロック数の平均値であってもよい。
【0046】
シンボル先頭位置等検出部143は、シンボル番号xにおけるシンボル先頭クロック数yについて、最小二乗法により1次関数(y=Σ(an×x)=a1×x+a0)にて近似し(ステップS904)、シンボル先頭位置a0及びサンプリングクロックの誤差であるクロック誤差a1を求める(ステップS905)。ここで、yはシンボル先頭クロック数であり、xはシンボル番号である。
【0047】
図10は、シンボル番号とシンボル先頭クロック数との関係を示す図である。図10において、縦軸がシンボル先頭クロック数を示し、横軸がシンボル番号を示している。また、αは、図9のステップS903の処理により、シンボル毎または4シンボル毎に求めたシンボル先頭クロック数の遷移を示し、βは、ステップS904において最小二乗法の処理により求めた1次関数のグラフを示している。シンボル先頭位置等検出部143は、ステップS905において、1次関数のグラフβから、シンボル先頭位置a0=3.98789222e+03=3988(クロック数)及びクロック誤差a1=5.96e-5clk/symbol=0.05(Hz)を求める。
【0048】
図9に戻って、シンボル先頭位置等検出部143は、ガード相関の移動平均値に基づいて、周波数誤差を算出する(ステップS906)。尚、ガード相関の移動平均値に基づいて周波数誤差を算出する手法は既知であるから、ここでは説明を省略する。そして、シンボル先頭位置等検出部143は、シンボル先頭位置a0、クロック誤差a1及び周波数誤差を出力する(ステップS907)。
【0049】
このように、誤差検出部14によれば、4シンボル単位加算部141が、4シンボル単位の加算を行うようにしたから、SP信号のSN比を改善することができる。これにより、ガード相関によって、シンボル先頭位置a0、クロック誤差a1及び周波数誤差を検出することができる。そして、周波数誤差補正部15−1は、誤差検出部14から周波数誤差を入力することにより、ベースバンド信号の周波数誤差を補正することができる。また、シンボル切出部16−1,16−2,16−3は、誤差検出部14からシンボル先頭位置a0を入力することにより、シンボルを切り出すことができる。また、クロック誤差補正部22は、誤差検出部14からクロック誤差a1を入力することにより、クロック誤差に伴う周波数誤差を補正することができる。
【0050】
〔シンボル加算部〕
次に、図1に示したシンボル加算部18−1について詳細に説明する。前述のとおり、シンボル加算部18−1は、FFT出力信号である4グループのキャリアシンボル(シンボル番号が4n番目のキャリアシンボル、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボル、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボル及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボル)を入力し、グループ毎にキャリアシンボルの同期加算を、ループフィルタまたは移動平均の処理により行う。
【0051】
図11は、シンボル加算部18−1の処理を説明する図である。図11の上段に示す括弧書きの箇所は、シンボル切出部16−1によりベースバンド信号からシンボルが切り出され、FFT部17−1によりFFTされる処理を示している。図11に示すように、シンボル加算部18−1は、シンボル番号が4n番目のSP0を含むキャリアシンボルについて、各キャリアシンボルをキャリア毎に加算し、4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果を求め、シンボル番号が4n+1番目のSP1を含むキャリアシンボルについて、各キャリアシンボルをキャリア毎に加算し、4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果を求め、シンボル番号が4n+2番目のSP2を含むキャリアシンボルについて、各キャリアシンボルをキャリア毎に加算し、4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果を求め、シンボル番号が4n+3番目のSP3を含むキャリアシンボルについて、各キャリアシンボルをキャリア毎に加算し、4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果を求める。
【0052】
このように、シンボル加算部18−1によれば、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のシンボル毎に、キャリアシンボルの同期加算を行うようにしたから、SP信号のSN比を改善することができる。これにより、SPパターン検出部19は、シンボル加算部18−1からシンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果を入力し、予め設定された4つのSPパターンとの間の相関値を算出することにより、SPパターンを検出することができる。
【0053】
〔SPパターン検出部〕
次に、図1に示したSPパターン検出部19について詳細に説明する。前述のとおり、SPパターン検出部19は、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果と、予め設定された4つのSPパターンとの間の相関値をそれぞれ算出し、4つの相関値に基づいて、SPの抽出が可能か否かを判定し、SP抽出可またはSP抽出不可の信号を生成し、SP抽出可のときの最大相関値を有するSPパターンを検出する。尚、予め設定された4つのSPパターンを用いてSPパターンを検出する手法については既知であり、詳細については、例えば、前述した特許文献1の段落0084〜0087を参照されたい。
【0054】
図12は、SPパターン検出部19の処理を示すフローチャートであり、図13は、SPパターン検出部19の処理を説明する図である。まず、SPパターン検出部19は、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果を入力し(ステップS1201)、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果と、SPパターン1,2,3,4との間の相関値をそれぞれ計算する(ステップS1202、図13を参照)。図13に示すように、SPパターン1は、4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果に対応してSP0のSP信号が反映され、4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果に対応してSP1のSP信号が反映され、4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果に対応してSP2のSP信号が反映され、4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果に対応してSP3のSP信号が反映されたパターンである。SPパターン2,3,4は、図13に示すとおりのパターンである。
【0055】
ここで、相関値は、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果におけるSP0〜SP3の配置と、SPパターン1,2,3,4におけるSP0〜SP3の配置とが同じ場合に、大きい値となる。
【0056】
また、受信信号の電力が低レベルの場合、SPパターンの検出処理開始直後は、シンボル加算部18−1によるシンボル加算の数が少なく、1シンボル内のSP0〜SP3のSP信号(振幅及び位相が異なるSP信号)の差異がさほどないから、これらを明確に区別することができず、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果に大きな差異は生じない。したがって、SPパターンの検出処理開始直後は、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果と、SPパターン1,2,3,4との間のそれぞれの相関値の差は大きくない。そして、SPパターンの検出処理の時間が経過するに従って、シンボル加算部18−1によるシンボル加算の数が多くなり、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果に差異が生じ、SP0〜SP3のSP信号を明確に区別できるようになる。したがって、SPパターンの検出処理の時間が進むに従って、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果と、SPパターン1,2,3,4との間の4つの相関値のうち、1つの相関値が他の3つの相関値よりも大きくなる。
【0057】
図12に戻って、SPパターン検出部19は、シンボル番号が4n番目〜4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果と、SPパターン1,2,3,4との間の4つの相関値のうち、最大相関値を2番目に大きい相関値で除算し、除算結果が5以上であるか否かを判定する(ステップS1203)。SPパターン検出部19は、ステップS1203において、除算結果が5以上でないと判定した場合(ステップS1203:N)、SPパターンの検出処理の開始直後であり、シンボル加算数が少なく、SP0〜SP3を明確に区別することができないとして、SP抽出不可を出力する(ステップS1206)。
【0058】
SPパターン検出部19は、ステップS1203において、除算結果が5以上であると判定した場合(ステップS1203:Y)、SPパターンの検出処理の時間が経過し、シンボル加算数が多くなり、SP0〜SP3を明確に区別することができるとして、最大相関値を有するSPパターンを検出し(ステップS1204)、検出したSPパターン及びSP抽出可を出力する(ステップS1205)。
【0059】
これにより、SP抽出部20−1,20−2は、SPパターン検出部19からSP抽出不可を入力した場合、SP信号を抽出することができないことを判定することができ、SPパターン及びSP抽出可を入力した場合、SPパターンに基づいてSP信号を抽出することができる。
【0060】
尚、SPパターン検出部19は、シンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果と、予め設定された4つのSPパターンに含まれる、シンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果に対応するSP0〜SP3との間の相関値をそれぞれ算出し、4つの相関値に基づいて、SP抽出の可否を判定し、SPパターンを検出するようにしてもよい。また、ステップS1203において除算結果と比較される値(5)は例示であり、他の値であってもよい。
【0061】
〔周波数誤差推定部〕
次に、図1に示した周波数誤差推定部21−1について詳細に説明する。前述のとおり、周波数誤差推定部21−1は、SP信号及び計算シンボル数を入力し、時系列のSP信号(計算シンボル数に対するSP信号)について、その電力がピークとなる計算シンボル数を特定し、予め設定されたテーブルまたは計算式に従って、計算シンボル数に対応する周波数誤差を求める。
【0062】
図14は、周波数誤差推定部21−1の処理を示すフローチャートである。まず、周波数誤差推定部21−1は、抽出されたSP信号、及びSP信号抽出時のシンボル同期加算の回数を示す計算シンボル数を入力し(ステップS1401)、計算シンボル数に対するSP信号の総合電力を算出する(ステップS1402)。
【0063】
図15は、SP信号の電力レベル差と計算シンボル数との関係を示す図であり、シンボル加算部18−2がk=0.985のループフィルタによる同期加算処理を行った場合の特性を示している。図15において、縦軸がSP信号の電力レベル差(真値と計算値とのレベル差)を示し、横軸が計算シンボル数を示している。ここで、真値とは、周波数誤差が無い場合の電力レベル差を示す。図15から、計算シンボル数が1000以上になると、SP信号の電力レベル差が安定することがわかる。また、周波数誤差Δfが大きくなるほど、SP信号の電力レベル差が大きくなることがわかる。これは、周波数誤差Δfが大きくなるほど、シンボル加算部18−2において正確な同期加算処理を行うことができないからである。また、SP信号の電力レベル差と計算シンボル数との関係を示す特性は、周波数誤差Δfの大きさによって異なり、所定の計算シンボル数において、SP信号の電力レベル差がピークとなる(極大となる)ことがわかる。すなわち、SP信号の電力レベル差がピークとなる位置での計算シンボル数は、サンプル間隔、ループフィルタの係数k及び周波数誤差Δfによって一義的に決定される。このように、SP信号の電力レベル差におけるピーク位置の計算シンボル数と、周波数誤差Δfとは、一定の関係にあり、テーブルまたは計算式によって表すことができる。
【0064】
図16は、SP信号の総合電力におけるピーク位置の計算シンボル数と周波数誤差Δfとの関係を示す図であり、図15に示したSP信号の電力レベル差と計算シンボル数との関係から導いた特性である。図16において、ピーク位置の計算シンボル数の1/4をy、周波数誤差Δfをxとすると、以下の式で表される。
〔数式1〕
y=91.996×x-0.963 ・・・(1)
すなわち、周波数誤差Δfの推定式(近似式)は、以下のとおりとなる。
〔数式2〕
Δf=(ピーク位置の計算シンボル数/4)/91.996^(1/−0.963)
・・・(2)
【0065】
図14に戻って、周波数誤差推定部21−1は、ステップS1402にて算出した、計算シンボル数に対するSP信号の総合電力の遷移から、SP信号の総合電力におけるピーク位置を特定し(ステップS1403)、そのピーク位置の計算シンボル数を特定する(ステップS1404)。そして、周波数誤差推定部21−1は、図16に示したSP信号の総合電力におけるピーク位置の計算シンボル数と周波数誤差Δfとの関係が反映されたテーブル、または前記数式(2)から、周波数誤差Δfを推定する(ステップS1405)。そして、周波数誤差推定部21−1は、周波数誤差Δfを出力する(ステップS1406)。
【0066】
これにより、周波数誤差補正部15−2は、周波数誤差推定部21−1から周波数誤差Δfを入力し、ベースバンド信号の周波数誤差Δfを補正することができる。
【0067】
〔クロック誤差補正部〕
次に、図1に示したクロック誤差補正部22について詳細に説明する。前述のとおり、クロック誤差補正部22は、FFT出力信号である4グループのキャリアシンボル、及びクロック誤差a1を入力し、キャリアシンボルのうちのSP信号について、クロック誤差a1に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差を補正する。
【0068】
図17は、クロック誤差補正部22の処理を示すフローチャートである。まず、クロック誤差補正部22は、FFT出力信号である4グループのキャリアシンボル、及びクロック誤差a1を入力し(ステップS1701)、FFT出力信号におけるキャリアシンボルについて、シンボルあたりのクロック誤差a1及びクロック数から算出した経過時間に基づいて、以下の数式により、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分τを算出する(ステップS1702)。
〔数式3〕
τ=a1×クロック数から算出した経過時間/f ・・・(3)
ここで、NはFFTサイズに相当し、例えば8192である。
【0069】
クロック誤差補正部22は、SP信号の位相差2πfτを算出し(ステップS1703)、SP信号のサブキャリアの周波数位置に従い、その位相を2πfτ逆回転させ(ステップS1704)、逆回転後の信号をクロック誤差補正後の信号として出力する(ステップS1705)。
【0070】
図18は、クロック誤差補正部22の処理を説明する図であり、(1)は、クロック誤差補正部22が入力するFFT出力信号におけるサブキャリアの時間波形を示す図である。(2)は、サブキャリアの位相に対する逆回転処理を説明する図である。図18(1)に示すように、クロック誤差a1が存在する場合、シンボル切出部16−3によりシンボルが切り出され、FFT部17−3によりFFTされたサブキャリア番号kの時間波形は、シンボル番号が増えて時間が経過するに伴い、矢印のように初期位相がずれていく。サンプリングタイミングが差分τずれた場合、サブキャリアの位相は2πfτ回転する。ここで、tn,kは、シンボル番号n及びサブキャリア番号kのサブキャリアを示す。
【0071】
そこで、図18(2)に示すように、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分τを算出し、サブキャリアの周波数位置に従い、その位相を2πfτ逆回転させることにより、クロック誤差を補正することができる。
【0072】
図19は、クロック誤差補正部22及びシンボル加算部18−3の処理を説明する図である。クロック誤差補正部22は、位相差算出部221及び乗算部222を備えている。位相差算出部221は、誤差検出部14からクロック誤差a1を入力し、前記数式(3)にて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分τを算出し、位相差2πfτを算出して乗算部222に出力する。乗算部222は、FFT部17−3からFFT出力信号のキャリアシンボル(シンボル番号4nのOFDMサブキャリア)を入力すると共に、位相差算出部221から位相差2πfτを入力し、キャリアシンボルに位相差2πfτを乗算し、クロック誤差を補正したキャリアシンボルとしてシンボル加算部18−3に出力する。
【0073】
シンボル加算部18−3は、加算部181及び遅延部182を備えている。シンボル加算部18−3は、クロック誤差補正部22からクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを入力し、図7(1)のループフィルタによる加算処理と同様に、キャリアシンボルの同期加算を、ループフィルタにより行う。具体的には、加算部181は、クロック誤差補正部22からキャリアシンボルを入力すると共に、遅延部182から1シンボル遅延したキャリアシンボルを入力し、両キャリアシンボルのレベルを1−k:kの割合で加算し、1シンボル単位の加算結果を同期加算結果として出力する。尚、kは、0から1までの範囲内で所定の値に設定されており、同期加算処理を行う際の比重を示す。
【0074】
このように、クロック誤差補正部22において、クロック誤差a1に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分τが算出され、SP信号の位相が2πfτ逆回転することで、クロック誤差が補正される。これにより、クロック誤差を補正するための再サンプリングが不要になり、計算量を削減することができる。また、シンボル加算部18−3は、クロック誤差補正部22からクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを入力し、キャリアシンボルの同期加算を行い、その後段のSP抽出部20−2は、シンボル加算部18−3からクロック誤差が補正された信号の同期加算結果を入力するから、SP信号を精度高く抽出することができる。
【0075】
以上のように、実施例1のOFDM波測定装置1によれば、誤差検出部14が、直交復調されたベースバンド信号に対し、時間軸上で4シンボル単位の加算を行い、ガード相関処理によって、周波数誤差、シンボル先頭位置a0及びクロック誤差a1を検出するようにした。また、シンボル加算部18−1,18−2が、この周波数誤差が補正され、シンボル先頭位置a0に基づいて切り出されたシンボルのFFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、同期加算を行い、SPパターン検出部19が、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出し、SP抽出部20−1が、SPパターンによりSP信号を抽出し、周波数誤差推定部21−1が、抽出したSP信号の電力がキャリアシンボルの同期加算に伴って時間軸上にてピーク値となる計算シンボル数に基づいて、周波数誤差を推定するようにした。また、クロック誤差補正部22が、この周波数誤差が補正され、シンボル先頭位置a0に基づいて切り出されたシンボルのFFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1に基づいて、SP信号における現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差a1を補正するようにした。また、シンボル加算部18−3が、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、SP抽出部20−2が、この同期加算結果からSP信号を抽出し、周波数誤差推定部21−2、受信電力算出部23、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25が、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定するようにした。
【0076】
これにより、熱雑音以下の信号のように、信号電力が低レベルの場合であっても、SP信号の同期加算によってS/Nを改善することができる。したがって、SP信号を精度高く抽出することができ、結果として、受信したOFDM信号の周波数誤差、受信電力、スペクトル及び遅延プロファイルを精度高く測定することが可能となる。
【実施例2】
【0077】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、周波数誤差を含まないクロック誤差a1を検出する点で実施例1と異なり、具体的には、受信したOFDM信号を直交復調したベースバンド信号に対し、実施例1と同様に検出した周波数誤差及び推定した周波数誤差を補正し、補正後のベースバンド信号に対し、時間軸上で4シンボル単位の加算を行い、ガード相関処理によって、周波数誤差を含まないクロック誤差a1を検出する。そして、周波数誤差を補正したベースバンド信号に対し、シンボル先頭位置a0に基づいてシンボルを切り出し、FFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1を補正する。そして、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、この同期加算結果からSP信号を抽出し、抽出したSP信号に基づいて、OFDM信号を測定する。
【0078】
〔OFDM波測定装置の構成/実施例2〕
実施例2によるOFDM波測定装置の構成について説明する。図2は、実施例2によるOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。このOFDM波測定装置2は、周波数変換部11、A/D変換部12、直交復調部13、誤差検出部14−1,14−2、周波数誤差補正部15−1,15−2、シンボル切出部16−1,16−2,16−3、FFT部17−1,17−2,17−3、シンボル加算部18−1,18−2,18−3、SPパターン検出部19、SP抽出部20−1,20−2、周波数誤差推定部21−1,21−2、クロック誤差補正部22、受信電力算出部23、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25を備えている。
【0079】
実施例1のOFDM波測定装置1と実施例2のOFDM波測定装置2とを比較すると、実施例1では、誤差検出部14が、シンボル先頭位置a0、クロック誤差a1及び周波数誤差を検出しこれらを出力するが、実施例2では、誤差検出部14−1が、シンボル先頭位置a0及び周波数誤差を検出しこれらを出力し、周波数誤差補正部15−2とシンボル切出部16−3との間に設けられた誤差検出部14−2が、クロック誤差a1を検出し出力する点で相違する。
【0080】
具体的には、誤差検出部14−1は、直交復調部13からベースバンド信号を入力し、4シンボル単位に加算を順次行い、加算結果にガード相間を施し、ガード相関値に基づいてシンボル先頭位置a0及び周波数誤差を検出する。そして、誤差検出部14−1は、検出したシンボル先頭位置a0をシンボル切出部16−1,16−2,16−3に出力し、周波数誤差を周波数誤差補正部15−1に出力する。実施例2では、図5において、誤差検出部14−1のシンボル先頭位置等検出部143は、ガード相関部142から入力したガード相関の移動平均値に基づいて、シンボル先頭位置a0及び周波数誤差を検出する。
【0081】
また、誤差検出部14−2は、周波数誤差補正部15−2から周波数誤差が補正されたベースバンド信号を入力し、入力したベースバンド信号をシンボル切出部16−3に出力する。また、誤差検出部14−2は、誤差検出部14−1と同様に、4シンボル単位に加算を順次行い、加算結果にガード相間を施し、ガード相関値に基づいてクロック誤差a1を検出し、検出したクロック誤差a1をクロック誤差補正部22に出力する。実施例2では、図5において、誤差検出部14−1のシンボル先頭位置等検出部143は、ガード相関部142から入力したガード相関の移動平均値に基づいて、クロック誤差a1を検出する。
【0082】
以上のように、実施例2のOFDM波測定装置2によれば、誤差検出部14−2が、周波数誤差補正部15−1,15−2において周波数誤差が補正されたベースバンド信号に対し、時間軸上で4シンボル単位の加算を行い、ガード相関処理によって、クロック誤差a1を検出し、クロック誤差補正部22が、FFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1を補正するようにした。そして、実施例1と同様に、シンボル加算部18−3が、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、SP抽出部20−2が、この同期加算結果からSP信号を抽出し、周波数誤差推定部21−2、受信電力算出部23、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25が、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定するようにした。
【0083】
これにより、実施例1と同様に、熱雑音以下の信号のように、信号電力が低レベルの場合であっても、SP信号の同期加算によってS/Nを改善することができる。したがって、SP信号を精度高く抽出することができ、結果として、受信したOFDM信号の周波数誤差、受信電力、スペクトル及び遅延プロファイルを精度高く測定することが可能となる。
【0084】
また、クロック誤差a1は、誤差検出部14−2において、周波数誤差が補正されたベースバンド信号(周波数精度の高いベースバンド信号)に基づいて検出されるから、周波数誤差を含まないものとなる。すなわち、実施例1にて検出されるクロック誤差a1には周波数誤差が含まれるが、実施例2にて検出されるクロック誤差a1には周波数誤差が含まれない。したがって、実施例2では、OFDM信号を一層精度高く測定することが可能となる。
【実施例3】
【0085】
次に、実施例3について説明する。実施例3は、実施例1と同様に周波数誤差、シンボル先頭位置a0及びクロック誤差a1を検出し、この周波数誤差を補正したベースバンド信号に対し、シンボル先頭位置a0に基づいてシンボルを切り出し、FFT出力信号であるキャリアシンボルを同期加算し、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出する。そして、FFT出力信号であるキャリアシンボルを同期加算し、FFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1に基づいて、SP信号における現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差a1を補正する。そして、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、この同期加算結果及びSPパターンからSP信号を抽出し、抽出したSP信号に基づいて、OFDM信号を測定する。また、抽出したSP信号の電力が時間軸上にてピーク値となる計算シンボル数に基づいて周波数誤差を推定し、この周波数誤差に基づいてSP信号の電力レベル差を算出し、この電力レベル差を用いて、OFDM信号の受信電力を補正する。
【0086】
〔OFDM波測定装置の構成/実施例3〕
実施例3によるOFDM波測定装置の構成について説明する。図3は、実施例3によるOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。このOFDM波測定装置3は、周波数変換部11、A/D変換部12、直交復調部13、誤差検出部14、周波数誤差補正部15、シンボル切出部16−1,16−2、FFT部17−1,17−2、シンボル加算部18−1,18−2、SPパターン検出部19、SP抽出部20、周波数誤差推定部21、クロック誤差補正部22、スペクトル算出部24、遅延プロファイル算出部25、レベル補正部26及び受信電力算出部27を備えている。
【0087】
実施例1のOFDM波測定装置1及び実施例3のOFDM波測定装置3において、周波数変換部11、A/D変換部12、直交復調部13、誤差検出部14、周波数誤差補正部15−1,15、シンボル切出部16−1,16−2、FFT部17−1,17−2、シンボル加算部18−1,18−2、SPパターン検出部19、SP抽出部20−1,20、周波数誤差推定部21−2,21、クロック誤差補正部22、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25は同一の処理を行う。
【0088】
これに対し、実施例3のOFDM波測定装置3は、実施例1のOFDM波測定装置1における周波数誤差補正部15−2、シンボル切出部16−3、FFT部17−3、シンボル加算部18−3、SP抽出部20−2を備えていない点で相違する。また、実施例3のOFDM波測定装置3は、レベル補正部26を備えている点で相違する。実施例3において、周波数変換部11〜SP抽出部20、クロック誤差補正部22、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25のそれぞれの構成部の処理は、実施例1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0089】
周波数誤差推定部21は、実施例1の周波数誤差推定部21−1,21−2と同様の処理を行い、推定した周波数誤差をレベル補正部26に出力する。レベル補正部26は、周波数誤差推定部21から周波数誤差を入力し、周波数誤差に基づいて電力レベル差を求め、受信電力算出部27に出力する。レベル補正部26の詳細については後述する。受信電力算出部27は、SP抽出部20からSP信号を入力すると共に、レベル補正部26から電力レベル差を入力し、SP信号に基づいて電力を求め、この電力に電力レベル差を加算し、OFDM信号の受信電力を求める。
【0090】
〔レベル補正部〕
次に、図3に示したレベル補正部26について詳細に説明する。図20は、レベル補正部26の処理を示すフローチャートである。まず、レベル補正部26は、周波数誤差推定部21から周波数誤差を入力する(ステップS2001)。そして、レベル補正部26は、予め設定されたテーブルまたは計算式に従って、周波数誤差から電力レベル差を求め(ステップS2002)、電力レベル差をレベル補正部26に出力する(ステップS2003)。ここで、予め設定されたテーブルとは、図15に示したSP信号の電力レベル差と計算シンボル数との関係を、周波数誤差ΔfとSP信号の電力レベル差との関係に変換したテーブルを示し、予め設定された計算式とは、周波数誤差ΔfとSP信号の電力レベル差との関係を示すテーブルから得られた、周波数誤差ΔfとSP信号の電力レベル差との間の関係式である。
【0091】
以上のように、実施例3のOFDM波測定装置3によれば、誤差検出部14が、直交復調されたベースバンド信号に対し、時間軸上で4シンボル単位の加算を行い、ガード相関処理によって、周波数誤差、シンボル先頭位置a0及びクロック誤差a1を検出するようにした。また、シンボル加算部18−1が、この周波数誤差が補正され、シンボル先頭位置a0に基づいて切り出されたシンボルのFFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、同期加算を行い、SPパターン検出部19が、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出するようにした。また、クロック誤差補正部22が、この周波数誤差が補正され、シンボル先頭位置a0に基づいて切り出されたシンボルのFFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1に基づいて、SP信号における現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差a1を補正するようにした。また、シンボル加算部18−2が、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、SP抽出部20が、この同期加算結果及びSPパターンからSP信号を抽出するようにした。また、周波数誤差推定部21が、抽出したSP信号の電力が時間軸上にてピーク値となる計算シンボル数に基づいて周波数誤差を推定し、レベル補正部26が、この周波数誤差に基づいてSP信号の電力レベル差を算出し、受信電力算出部27が、この電力レベル差を用いて、OFDM信号の電力を補正すると共に、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25が、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定するようにした。
【0092】
これにより、実施例1,2と同様に、熱雑音以下の信号のように、信号電力が低レベルの場合であっても、SP信号の同期加算によってS/Nを改善することができる。したがって、SP信号を精度高く抽出することができ、結果として、受信したOFDM信号の周波数誤差、受信電力、スペクトル及び遅延プロファイルを精度高く測定することが可能となる。
【0093】
また、実施例1,2では、周波数誤差推定部21−1が、抽出したSP信号から周波数誤差を推定し、周波数誤差補正部15−2が、ベースバンド信号に対し、この周波数誤差を補正するが、実施例3では、ベースバンド信号に対し、推定した周波数誤差を補正することなく、受信電力算出部27において、レベル補正部26により算出された電力レベル差を用いて、算出する受信電力を直接補正するようにした。これにより、実施例3では、実施例1,2に備えた周波数誤差推定部21−1及び周波数誤差補正部15−2が不要になり、さらに、実施例1,2に備えたFFT部17−3、シンボル加算部18−3及びSP抽出部20−2も不要になるから、実施例1,2に比べ、処理時間を短くすることができ、回路規模を小さくすることができる。
【実施例4】
【0094】
次に、実施例4について説明する。実施例4は、実施例3の簡易形であり、具体的には、周波数誤差を補正したベースバンド信号に対し、シンボル先頭位置a0に基づいてシンボルを切り出し、FFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1に基づいて、SP信号における現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差a1を補正する。そして、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出してSP信号を抽出し、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定する。
【0095】
〔OFDM波測定装置の構成/実施例4〕
実施例4によるOFDM波測定装置の構成について説明する。図4は、実施例4によるOFDM波測定装置の構成を示すブロック図である。このOFDM波測定装置4は、周波数変換部11、A/D変換部12、直交復調部13、誤差検出部14、周波数誤差補正部15、シンボル切出部16、FFT部17、シンボル加算部18、SPパターン検出部19、SP抽出部20、周波数誤差推定部21、クロック誤差補正部22、スペクトル算出部24、遅延プロファイル算出部25、レベル補正部26及び受信電力算出部27を備えている。
【0096】
実施例3及び実施例4において、周波数変換部11、A/D変換部12、直交復調部13、誤差検出部14、周波数誤差補正部15、シンボル切出部16−1,16、FFT部17−1,17、シンボル加算部18−1,18、SPパターン検出部19、SP抽出部20、周波数誤差推定部21、クロック誤差補正部22、スペクトル算出部24、遅延プロファイル算出部25、レベル補正部26及び受信電力算出部27は同一の処理を行う。
【0097】
これに対し、実施例4は、実施例3の簡易形であり、実施例3におけるシンボル切出部16−2、FFT部17−2、シンボル加算部18−2を備えておらず、FFT部17とシンボル加算部18との間にクロック誤差補正部22が設けられ、SPパターン検出部19の後段にSP抽出部20が設けられている点で相違する。
【0098】
SP抽出部20は、SPパターン検出部19から、グループ毎の同期加算結果であるシンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果を入力すると共に、SP抽出不可、またはSP抽出可及びSPパターンを入力する。そして、SP抽出部20は、SP抽出不可を入力した場合、SP抽出処理を行わず、SP抽出可を入力した場合、SPパターンに基づいて4グループの同期加算結果からSP信号を抽出する。
【0099】
以上のように、実施例4のOFDM波測定装置4によれば、実施例3のシンボル切出部16−2、FFT部17−2及びシンボル加算部18−2を備えることなく、クロック誤差補正部22が、周波数誤差が補正され、シンボル先頭位置a0に基づいて切り出されたシンボルのFFT出力信号であるキャリアシンボルに対し、クロック誤差a1に基づいて、SP信号における現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の差分τを算出し、SP信号の位相を2πfτ逆回転させることで、クロック誤差a1を補正するようにした。また、シンボル加算部18が、クロック誤差a1補正後のキャリアシンボルにおけるSP信号を同期加算し、SPパターン検出部19が、この同期加算結果のSP相関処理にてSPパターンを検出し、SP抽出部20が、この同期加算結果及びSPパターンからSP信号を抽出するようにした。また、周波数誤差推定部21が、抽出されたSP信号の電力が時間軸上にてピーク値となる計算シンボル数に基づいて、周波数誤差を推定し、レベル補正部26が、この周波数誤差に基づいてSP信号の電力レベル差を算出し、受信電力算出部27が、この電力レベル差を用いてOFDM信号の電力を補正すると共に、スペクトル算出部24及び遅延プロファイル算出部25が、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定するようにした。
【0100】
これにより、実施例1〜3と同様に、熱雑音以下の信号のように、信号電力が低レベルの場合であっても、SP信号の同期加算によってS/Nを改善することができる。したがって、SP信号を精度高く抽出することができ、結果として、受信したOFDM信号の周波数誤差、受信電力、スペクトル及び遅延プロファイルを精度高く測定することが可能となる。
【0101】
また、実施例4は、実施例3よりも簡易な構成になっているから、実施例1〜3に比べ、処理時間を一層短くすることができ、回路規模を一層小さくすることができる。
【0102】
以上、実施例1〜4を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1〜4に限定されるものではなく、その構成は一例であり、構成の全てが本発明の必須要件であるとは限らず、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施例1〜4では、SP信号を抽出し、抽出したSP信号に基づいてOFDM信号を測定するようにしたが、本発明では、SP信号に限定するものではなく、SP信号以外のパイロット信号(例えばTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control:伝送制御多重)信号、AC(Auxiliary Channel:付加)信号)のように、1シンボル内の所定のキャリア位置に配置され、その配置が複数のシンボルに渡って周期的に繰り返される信号を抽出し、抽出した信号に基づいてOFDM信号を測定するようにしてもよい。TMCC信号またはAC信号を抽出する場合、誤差検出部14は4シンボル単位加算部141の代わりに204シンボル単位加算部を備え、204シンボル単位加算部は204シンボル単位の加算を行い、シンボル加算部18−1,18−2,18−3,18は、FFT部17−1,17−2,17−3,17からFFT出力信号である204グループのキャリアシンボル(シンボル番号が204n番目のキャリアシンボル、シンボル番号が204n+1番目のキャリアシンボル、・・・、シンボル番号が204n+203番目のキャリアシンボル)をそれぞれ入力し、グループ毎にキャリアシンボルの同期加算を行う。
【0103】
また、実施例1では、シンボル切出部16−1,16−2,16−3、FFT部17−1,17−2,17−3及びシンボル加算部18−1,18−2,18−3を3系統備えているが、実施例1の簡易形では、シンボル切出部16−1,16−3、FFT部17−1,17−3及びシンボル加算部18−1,18−3を2系統備え、SP抽出部20−1が、SPパターン検出部19から、グループ毎の同期加算結果であるシンボル番号が4n番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+1番目のキャリアシンボルの同期加算結果、シンボル番号が4n+2番目のキャリアシンボルの同期加算結果及びシンボル番号が4n+3番目のキャリアシンボルの同期加算結果を入力すると共に、SP抽出不可、またはSP抽出可及びSPパターンを入力する。そして、SP抽出部20−1は、SP抽出不可を入力した場合、SP抽出処理を行わず、SP抽出可を入力した場合、SPパターンに基づいて4グループの同期加算結果からSP信号を抽出する。
【符号の説明】
【0104】
1,2,3,4 OFDM波測定装置
11 周波数変換部
12 A/D変換部
13 直交復調部
14 誤差検出部
15 周波数誤差補正部
16 シンボル切出部
17 FFT部
18 シンボル加算部
19 SPパターン検出部
20 SP抽出部
21 周波数誤差推定部
22 クロック誤差補正部
23,27 受信電力算出部
24 スペクトル算出部
25 遅延プロファイル算出部
26 レベル補正部
141 4シンボル単位加算部
142 ガード相関部
143 シンボル先頭位置等検出部
144,147,181 加算部
145,146,182 遅延部
148 除算部
221 位相差算出部
222 乗算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイロット信号を含むOFDM波を受信し、前記パイロット信号を抽出してOFDM信号を測定するOFDM波測定装置において、
前記受信したOFDM波の信号を直交復調し、ベースバンド信号を生成する直交復調部と、
前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相関によりシンボル先頭位置を検出する第1の誤差検出部と、
前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記第1の誤差検出部により検出されたシンボル先頭位置に基づいて、GIを除去し有効シンボルを切り出すシンボル切出部と、
前記シンボル切出部により切り出された有効シンボルをFFTし、キャリアシンボルを生成するFFT部と、
前記FFT部により生成されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成する第1のシンボル加算部と、
前記第1のシンボル加算部により生成された同期加算結果と、予め設定された複数のパターンとの間の相関値を算出し、前記相関値が最大のパターンを検出するパターン検出部と、
前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する第1のパイロット抽出部と、
を備えたことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のOFDM波測定装置において、
さらに、クロック誤差補正部及び第2のシンボル加算部を備え、
前記第1の誤差検出部は、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、シンボル先頭位置及びクロック誤差を検出し、
前記クロック誤差補正部は、前記キャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記第1の誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正し、
前記第2のシンボル加算部は、前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成し、
前記第1のパイロット抽出部は、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記第2のシンボル加算部により生成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する、ことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のOFDM波測定装置において、
さらに、第2のパイロット抽出部、周波数誤差推定部及び周波数誤差補正部を備え、
前記第2のパイロット抽出部は、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出し、
前記周波数誤差推定部は、前記第2のパイロット抽出部により抽出されたパイロット信号と、前記第1のシンボル加算部において同期加算を行った計算シンボル数とを用いて、前記計算シンボル数に対するパイロット信号の電力がピークとなる位置を特定し、前記特定した位置の計算シンボル数に対応する周波数誤差を、予め設定されたテーブルまたは計算式から推定し、
前記周波数誤差補正部は、前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記周波数誤差推定部により推定された周波数誤差を補正し、
前記第1のパイロット抽出部は、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記周波数誤差が補正されたベースバンド信号から有効シンボルが切り出されFFTされた同期加算結果について、前記同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する、ことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載のOFDM波測定装置において、
さらに、第2の誤差検出部、クロック誤差補正部及び第2のシンボル加算部を備え、
前記第2の誤差検出部は、前記周波数誤差補正部により周波数誤差が補正されたベースバンド信号について、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相間を求め、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、クロック誤差を検出し、
前記クロック誤差補正部は、前記キャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記第2の誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正し、
前記第2のシンボル加算部は、前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成し、
前記パイロット信号抽出部は、前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記第2のシンボル加算部により形成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出する、ことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項5】
パイロット信号を含むOFDM波を受信し、前記パイロット信号を抽出してOFDM信号を測定するOFDM波測定装置において、
前記受信したOFDM波の信号を直交復調し、ベースバンド信号を生成する直交復調部と、
前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相関を求め、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、シンボル先頭位置及びクロック誤差を検出する誤差検出部と、
前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記誤差検出部により検出されたシンボル先頭位置に基づいて、GIを除去し有効シンボルを切り出すシンボル切出部と、
前記シンボル切出部により切り出された有効シンボルをFFTし、キャリアシンボルを生成するFFT部と、
前記FFT部により生成されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成する第1のシンボル加算部と、
前記第1のシンボル加算部により生成された同期加算結果と、予め設定された複数のパターンとの間の相関値を算出し、前記相関値が最大のパターンを検出するパターン検出部と、
前記キャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正するクロック誤差補正部と、
前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成する第2のシンボル加算部と、
前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記第2のシンボル加算部により生成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出するパイロット抽出部と、
前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号と、前記第2のシンボル加算部において同期加算を行った計算シンボル数とを用いて、前記計算シンボル数に対するパイロット信号の電力がピークとなる位置を特定し、前記特定した位置の計算シンボル数に対応する周波数誤差を、予め設定されたテーブルまたは計算式から推定する周波数誤差推定部と、
前記周波数誤差推定部により推定された周波数誤差に基づいて、電力レベル差を求めるレベル補正部と、
前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号に基づいて、受信電力を算出し、前記レベル補正部により求められた電力レベル差を用いて、前記受信電力を補正する受信電力算出部と、
を備えたことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項6】
パイロット信号を含むOFDM波を受信し、前記パイロット信号を抽出してOFDM信号を測定するOFDM波測定装置において、
前記受信したOFDM波の信号を直交復調し、ベースバンド信号を生成する直交復調部と、
前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、時間軸上にて所定数のシンボル単位でループフィルタまたは移動平均により加算を行い、ガード相関を求め、前記所定数のシンボル単位の加算に伴い、加算したシンボルの数と前記ガード相関の移動平均値が最大となる位置に対応するクロック数との関係を1次関数にて近似し、前記近似した1次関数に基づいて、シンボル先頭位置及びクロック誤差を検出する誤差検出部と、
前記直交復調部により生成されたベースバンド信号に対し、前記誤差検出部により検出されたシンボル先頭位置に基づいて、GIを除去し有効シンボルを切り出すシンボル切出部と、
前記シンボル切出部により切り出された有効シンボルをFFTし、キャリアシンボルを生成するFFT部と、
前記FFT部により生成されたキャリアシンボルのうちのパイロット信号について、前記誤差検出部により検出されたクロック誤差に基づいて、現在のシンボル位置と理想的なシンボル位置との間の時間差に対応するクロック数を示す差分を算出し、前記パイロット信号の位相を前記差分に基づいて逆回転させることで、クロック誤差を補正するクロック誤差補正部と、
前記クロック誤差補正部によりクロック誤差が補正されたキャリアシンボルを、所定番目のシンボル毎に同期加算し、同期加算結果を生成するシンボル加算部と、
前記シンボル加算部により生成された同期加算結果と、予め設定された複数のパターンとの間の相関値を算出し、前記相関値が最大のパターンを検出するパターン検出部と、
前記パターン検出部により検出されたパターンに基づいて、前記シンボル加算部により生成された同期加算結果のキャリアシンボルからパイロット信号を抽出するパイロット抽出部と、
前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号と、前記シンボル加算部において同期加算を行った計算シンボル数とを用いて、前記計算シンボル数に対するパイロット信号の電力がピークとなる位置を特定し、前記特定した位置の計算シンボル数に対応する周波数誤差を、予め設定されたテーブルまたは計算式から推定する周波数誤差推定部と、
前記周波数誤差推定部により推定された周波数誤差に基づいて、電力レベル差を求めるレベル補正部と、
前記パイロット抽出部により抽出されたパイロット信号に基づいて、受信電力を算出し、前記レベル補正部により求められた電力レベル差を用いて、前記受信電力を補正する受信電力算出部と、
を備えたことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のOFDM波測定装置において、
前記パイロット信号をSP信号とし、
請求項1、4または5の誤差検出部における所定数のシンボル単位を、4シンボル単位とし、
請求項1、2、4、5または6のシンボル加算部における所定番目のシンボル毎を、4n〜4n+3番目のシンボル毎(nは0以上の整数)とする、ことを特徴とするOFDM波測定装置。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のOFDM波測定装置において、
前記パイロット信号をTMCC信号またはAC信号とし、
請求項1、4または5の誤差検出部における所定数のシンボル単位を、204シンボル単位とし、
請求項1、2、4、5または6のシンボル加算部における所定番目のシンボル毎を、204n〜204n+203番目のシンボル毎(nは0以上の整数)とする、ことを特徴とするOFDM波測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−253553(P2012−253553A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124361(P2011−124361)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【Fターム(参考)】