説明

OTDRによる監視システム

【課題】 簡単な構成によって監視の信頼性を高める。
【解決手段】 OTDR1と、基幹の光ファイバ2を介して接続されている複数の2×2のカプラ3と、各カプラに接続されている2×1の3dBカプラ5と、各3dBカプラ5に接続されている反射型センサ4とから構成されており、OTDR1からの光パルスは2×2のカプラ3により分岐され、当該カプラ3の1側を通り上記2×1の3dBカプラ5を経由して反射型センサ4に到達することができ、上記光パルスはカプラ3の2側を通り上記2×1の3dBカプラ5を経由して反射型センサに到達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、河川や大型タンクなどを監視するためのOTDRによる監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3に示す従来のOTDRによる監視システムは、OTDR11に接続されている本線である基幹の光ファイバ12から1ポート入力、2ポート出力の光カプラ13を使って各センサ14(14a,14b,14c)側へ光を分岐させる構成である。OTDR11から光ファイバ12へ出射された光パルス(検査光又は試験光)は、光カプラ13を通して各センサ14a,14b,14cへ伝送される。光パルスはセンサ14の状態により強度変調を受け、往路と同様な復路を辿り、OTDR11へ戻る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来例によると、図3に示すA地点で光ファイバ12が切断されると、センサ14c及びこれに後続しているセンサの監視ができなくなる。換言すれば、基幹の光ファイバ12が断線した場合、断線地点以降のセンサ(図ではセンサ14c及びこれに後続しているセンサ)にはOTDR11からの光が届かず、監視できない課題があった。
また、監視システムに高い信頼性が求められる場合には、基幹の光ファイバとそれに接続するセンサを2重に配置している例があるが、二重の監視システムの機器を必要として構成が複雑になると共に監視費用が増す課題があった。
この発明の目的は、簡単な構成によって監視の信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明では、基幹の光ファイバが断線した場合は、断線地点以降のセンサは基幹の光ファイバの逆側から光を入れて監視可能とすることで、監視を継続することができ、監視システムの機器費用を節約できかつ監視の信頼性を高めるものである。
この発明の第1の特徴は、OTDRと、このOTDRに接続されかつループを形成している基幹の光ファイバと、この基幹の光ファイバを介して接続されている複数の第1の分岐部と、各第1の分岐部にそれぞれ接続されている第2の分岐部と、各第2の分岐部にそれぞれ接続されている反射型センサとから構成されており、上記OTDRからの光パルスは上記各第1の分岐部により分岐され、当該第1の分岐部の1側を通り上記第2の分岐部を経由して反射型センサに到達することができ、上記光パルスは上記第1の分岐部の2側を通り上記第2の分岐部を経由して反射型センサに到達することができることにある。
この発明の第2の特徴は、第1の特徴を前提としており、基幹の光ファイバにおけるループは左側ルートと右側ルートからなり、第1の分岐部が左側ルート又は右側ルートのいずれか一側のルートに配置されていることにある。
この発明の第3の特徴は、第1又は第2の特徴を前提としており、第1の分岐部が2×2のカプラであり、第2の分岐部が2×1の3dBカプラであることにある。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、基幹の光ファイバの断線時においても、センサを逆方向から監視することにより全てのセンサの監視を続けることができるから、簡単な構成によって監視システムの信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の実施の形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1に示す監視システムの構成は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)1と、このOTDRに接続されかつループを形成している基幹の光ファイバ2と、この基幹の光ファイバを介して接続されている複数の第1の分岐部3と、各第1の分岐部にそれぞれ接続されている第2の分岐部5と、各第2の分岐部5にそれぞれ接続されている複数の反射型センサ4a,4b,4cとから構成されている。
基幹の光ファイバ2におけるループは左側ルート2aと右側ルート2bとからなる。各第1の分岐部3は、光ファイバ2における左側ルート2aにそれぞれ配置されている。また各反射型センサ4a,4b,4cは監視対象である河川の岸、大型タンクなどに設置される。
なお、当該反射型センサ4a,4b,4cを総称する場合における符号については、必要に応じて「4」を使用する。
【0007】
反射型センサ4の接続基本構成を示す図2において、第1の分岐部3として分岐比1〜10%の2×2のカプラが用いられており、第2の分岐部5として2×1の3dBカプラが用いられており、反射型センサは第2の分岐部5の1本のポート側に接続されている。
図1において、反射型センサ4(4a,4b,4c)を基幹の光ファイバ2の左側ルート2aを通じて監視する時、OTDRからの光パルス(検査光又は試験光)は第1の分岐部3により所定の分岐比で分岐され、1側(図右側)を通り第2の分岐部5を経由して反射型センサ4に到達する。反対に、反射型センサ4を基幹の光ファイバ2の右側ルート2bから監視する時、光パルスは第1の分岐部3により分岐され、2側(図左側)を通り第2の分岐部5を経由して反射型センサ4に到達する。
図1において、6は光結合部である光スイッチである。
【0008】
図1に示すA地点で光ファイバ2が切断された場合、光スイッチ6を通じて基幹の光ファイバの逆側(右側ルート2b)から光を入れることにより、断線地点以降のセンサ(図ではセンサ4c及びこれに後続するセンサ)の監視を継続することができるから、結局、基幹の光ファイバの断線時においても、全てのセンサ4の監視を続けることができる。
したがって、OTDRによる監視システムにおいて、このような反射型センサ4の接続基本構成を採用することにより、各反射型センサ4a,4b,4cには基幹の光ファイバ2の左右どちらの経路(ルート)からも監視することができ、監視の信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明に係るOTDRによる監視システムを示す構成図である。
【図2】この発明に係るOTDRによる監視システムに使用するセンサの接続基本を拡大して示す構成図である。
【図3】従来のOTDRによる監視システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0010】
1 OTDR
2 基幹の光ファイバ
2a 左側ルート
2b 右側ルート
3 第1の分岐部(2×2のカプラ)
4,4a,4b,4c 反射型センサ
5 第2の分岐部(2×1の3dBカプラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OTDRと、このOTDRに接続されかつループを形成している基幹の光ファイバと、この基幹の光ファイバを介して接続されている複数の第1の分岐部と、各第1の分岐部にそれぞれ接続されている第2の分岐部と、各第2の分岐部にそれぞれ接続されている反射型センサとから構成されており、
上記OTDRからの光パルスは上記各第1の分岐部により分岐され、当該第1の分岐部の1側を通り上記第2の分岐部を経由して反射型センサに到達することができ、上記光パルスは上記第1の分岐部の2側を通り上記第2の分岐部を経由して反射型センサに到達することができる
ことを特徴とするOTDRによる監視システム。
【請求項2】
基幹の光ファイバにおけるループは左側ルートと右側ルートからなり、第1の分岐部が左側ルート又は右側ルートのいずれか一側のルートに配置されていることを特徴とする請求項1記載のOTDRによる監視システム。
【請求項3】
第1の分岐部は2×2のカプラであり、第2の分岐部は2×1の3dBカプラであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のOTDRによる監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−14698(P2008−14698A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184156(P2006−184156)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(391049530)株式会社信光社 (14)
【Fターム(参考)】