説明

PDMシステムおよびその制御方法

【課題】他のシステムに出力する製品構成情報のデータ量の増大を抑制する。
【解決手段】本発明のPDMシステムは、製品を構成する品目単位の階層構造で前記製品の構成を示す製品構成情報を他のシステムに出力するPDMシステムであって、前記他のシステムに出力した前記製品構成情報である第1の製品構成情報を記憶する記憶部と、前記製品の最新の前記製品構成情報である第2の製品構成情報と前記記憶部に記憶された前記第1の製品構成情報との差分を抽出する製品構成差分抽出部と、前記製品構成差分抽出部により抽出された前記差分を前記他のシステムに出力する製品構成情報出力部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品構成情報を他のシステムに出力するPDM(Product Data Management)システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の設計、生産等の管理のために、その製品を構成するユニットや、ユニットを構成する部品単位で、その製品の構成を階層構造で示す製品構成情報を管理するPDMシステムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
更に、製品の製品構成情報をPDMシステムから、その製品の生産を管理する生産管理システム等の他のシステムに出力することで、PDMシステムと他のシステムとの連携が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−331052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、PDMシステムでは、製品構成情報の出力履歴が管理されておらず、製品の設計変更等により製品構成情報に変更があった場合に、出力済みの製品構成情報からの変更箇所を特定することができなかった。
【0006】
そのため、製品の設計変更等があると、その製品の製品構成情報を全て出力する必要があり、他のシステムに出力するデータ量が増大し、他のシステムとの連携を取るのに要する時間の増大を招くという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決することができるPDMシステムおよびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のPDMシステムは、
製品を構成する品目単位の階層構造で前記製品の構成を示す製品構成情報を他のシステムに出力するPDMシステムであって、
前記他のシステムに出力した前記製品構成情報である第1の製品構成情報を記憶する記憶部と、
前記製品の最新の前記製品構成情報である第2の製品構成情報と前記記憶部に記憶された前記第1の製品構成情報との差分を抽出する製品構成差分抽出部と、
前記製品構成差分抽出部により抽出された前記差分を前記他のシステムに出力する製品構成情報出力部と、を有する。
【0009】
上記目的を達成するために本発明のPDMシステムの制御方法は、
製品を構成する品目単位の階層構造で前記製品の構成を示す製品構成情報を他のシステムに出力するPDMシステムの制御方法であって、
前記他のシステムに出力した前記製品構成情報である第1の製品構成情報を記憶し、
前記製品の最新の前記製品構成情報である第2の製品構成情報と前記記憶された第1の製品構成情報との差分を抽出し、
前記抽出された差分を前記他のシステムに出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、PDMシステムは、他のシステムに出力済みの製品の製品構成情報を記憶し、その製品の最新の製品構成情報とその記憶した製品構成情報との差分を抽出し、その抽出された製品構成情報の差分を他のシステムに出力する。
【0011】
このように、既に出力した製品構成情報との差分のみを出力することで、他のシステムに出力するデータ量の増大が抑制され、他のシステムとの連携を取るのに要する時間の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のPDMシステムが適用される管理システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す出力指示情報の構成を示す図である。
【図3】図1に示す製品構成情報(最新)の構成を示す図である。
【図4】図1に示すインターフェイス情報の構成を示す図である。
【図5】図1に示す管理システムおける新規の製品構成情報の出力時の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す管理システムにおける製品構成の変更後の製品構成情報の出力時の動作を説明するための図である。
【図7】図1に示す管理システムにおける属性情報の変更後の製品構成情報の出力時の動作を説明するための図である。
【図8】図1に示すPDMシステムにおける製品構成情報の出力履歴の管理動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態のPDMシステム10が適用される管理システム1の構成を示す図である。
【0015】
図1を参照すると、管理システム1は、PDMシステム10と、生産管理システム20と、を有する。
【0016】
PDMシステム10は、製品の製品構成情報を、その製品の生産を管理する生産管理システム20に出力する。
【0017】
なお、本実施形態のPDMシステム10が製品構成情報を出力するのは、生産管理システム20に限られるものではない。
【0018】
次に、PDMシステム10の構成について説明する。
【0019】
PDMシステム10は、製品構成情報出力指示部11と、製品構成情報抽出/出力部12と、データベースDB1〜DB3と、を有する。
【0020】
なお、DB3は、記憶部の一例である。
【0021】
製品構成情報出力指示部11は、生産管理システム20への製品の製品構成情報の出力指示が入力されると、その製品の製品構成情報の出力指示が入力された旨を示す出力指示情報を出力し、DB1に記憶させる。
【0022】
また、製品構成情報出力指示部11は、製品の製品構成情報の出力指示が入力されると、その出力指示が入力された時点での、その製品の最新の製品構成情報を出力し、DB2に記憶させる。以下では、DB2に記憶される最新の製品構成情報を、製品構成情報(最新)と称する。
【0023】
なお、製品の最新の製品構成情報は、設計変更等によりその製品の構成が変更された場合に、変更前のその製品の製品構成情報に、その設計変更の内容を反映させることで管理される。
【0024】
製品構成情報の管理は、不図示の管理部により行われてもよいし、製品構成情報出力指示部11が、製品の設計変更等の情報の入力を受け、自身で管理を行ってもよい。
【0025】
不図示の管理部で管理が行われる場合には、製品構成情報出力指示部11は、製品の製品構成情報の出力指示が入力された時点での、その製品の最新の製品構成情報を管理部から取得する。
【0026】
出力指示情報および製品構成情報(最新)の詳細については後述する。
【0027】
製品構成情報抽出/出力部12は、生産管理システム20に出力済みの製品構成情報をDB3に記憶させる。以下では、DB3に記憶される製品構成情報を、製品構成情報(履歴)と称する。
【0028】
また、製品構成情報抽出/出力部12は、DB1に記憶された出力指示情報が示す、製品構成情報の出力指示が入力された製品の製品構成情報(最新)をDB2から取得する。そして、製品構成情報抽出/出力部12は、取得した製品構成情報(最新)、または、その製品構成情報(最新)とDB3に記憶された前回出力されたその製品の製品構成情報(履歴)との差分を生産管理システム20に出力する。
【0029】
なお、上述した製品構成情報抽出/出力部12による処理は、バッチ処理として、一定時間毎に繰り返して行われる。
【0030】
次に、生産管理システム20の構成について説明する。
【0031】
生産管理システム20は、情報記憶処理部21と、手配構成作成処理部22と、手配オーダ作成処理部23と、データベースDB4〜DB6と、を有する。
【0032】
情報記憶処理部21は、PDMシステム10から出力された製品の製品構成情報に基づき、その製品を構成するユニットや部品等の情報であるインターフェイス情報をDB4に記憶させる。インターフェイス情報の詳細については後述する。
【0033】
手配構成作成処理部22は、DB4に記憶されたインターフェイス情報に基づき、製品の生産のために手配が必要なユニットや部品等の数量や塗装色などを示す手配構成情報を生成し、DB5に記憶させる。
【0034】
手配オーダ作成処理部23は、DB5に記憶された手配構成情報に基づき、ユニットや部品等の手配をオーダする手配オーダ情報を生成し、DB6に記憶させる。
【0035】
なお、手配構成作成処理部22および手配オーダ作成処理部23による処理は、既存技術を用いて行われるものであり、本発明とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0036】
次に、出力指示情報の構成について説明する。
【0037】
図2は、DB1に記憶される出力指示情報の構成を示す図である。
【0038】
図2を参照すると、出力指示情報は、手配IDと、製番と、処理区分と、連携方式と、を含む。
【0039】
手配IDは、製品構成情報の出力指示単位で採番される番号である。
【0040】
製番は、製品構成情報を出力する製品の製造番号である。なお、この製番は、生産指示単位毎に付され、製品構成情報の出力指示の入力時に指定される。
【0041】
処理区分は、製番が示す製品の製品構成情報が生産管理システム20に出力され、生産管理システム20との連携が済んだか否かを示す。生産管理システム20との連携が済んでいないと、“1(未連携)”が設定され、生産管理システム20との連携が済むと、“2(連携済)”が設定される。
【0042】
連携方式は、製番が示す製品の製品構成情報の生産管理システム20への出力方式を示し、“変更構成”または“全構成”が設定される。“変更構成”が設定された場合には、製番が示す製品の製品構成情報(最新)と、その製品の前回出力した製品構成情報(履歴)との差分が出力され、“全構成”が設定された場合には、その製品の製品構成情報(最新)の全てが出力される。連携方式は、通常は、“変更構成”が設定されるが、製品構成情報の出力指示の入力時に“全構成”が指定された場合には、“全構成”が設定される。
【0043】
次に、製品構成情報(最新)の構成について説明する。
【0044】
図3は、DB2に記憶される製品構成情報(最新)の構成を示す図である。
【0045】
図3を参照すると、製品構成情報(最新)は、手配IDと、製番と、図面番号と、品目番号と、品目名称と、数量と、手配区分と、塗装色と、キー情報と、を含む。
【0046】
なお、DB3に記憶される製品構成情報(履歴)も、製品構成情報(最新)と同様の項目を含む。
【0047】
手配IDは、製品構成情報の出力指示単位で採番される番号である。この手配IDは、その出力指示が入力された際に、製品構成情報と共に出力される出力指示情報の手配IDと同じである。
【0048】
製番は、製品構成情報を出力する製品の製造番号である。この製番は、製品構成情報の出力指示の入力時に指定される。
【0049】
図面番号は、製番が示す製品を構成するユニットや部品等の図面毎に付される番号である。以下では、製品を構成するユニットや部品等を品目と称する。
【0050】
なお、各品目の図面番号は、製番が示す製品の階層構造における各品目の位置に応じて階層的に示されている。
【0051】
品目番号は、製番が示す製品を構成する各品目を識別するための識別情報として付される番号である。なお、品目番号と図面番号とは、1対1で関連付けられる。
【0052】
品目名称は、製番が示す製品を構成する各品目の名称である。
【0053】
数量は、製番が示す製品を単位数量だけ生産するのに必要な各品目の数量である。
【0054】
手配区分は、製番が示す製品を構成する各品目の手配が可能であるか否かを示す。
【0055】
塗装色は、製番が示す製品を構成する各品目の塗装色を示す。
【0056】
なお、“数量”、“手配区分”、“塗装色”は、各品目の属性を示す属性情報であり、これらの情報に限られず、他の情報が追加されてもよい。
【0057】
属性情報として追加される情報としては、例えば、製番が示す製品を構成する各品目が、その製品の設計のどのバージョンで追加、変更がされたものであるかを示す“版数”がある。
【0058】
次に、インターフェイス情報の構成について説明する。
【0059】
図4は、DB4に記憶されるインターフェイス情報の構成を示す図である。
【0060】
図4を参照すると、インターフェイス情報は、手配IDと、製番と、親品目番号と、品目番号と、品目名称と、数量と、手配区分と、塗装色と、キー情報と、処理区分と、を含む。
【0061】
このうち、手配ID、製番、品目番号、品目名称、数量、手配区分、塗装色、およびキー情報はそれぞれ、製品構成情報(最新)の、手配ID、製番、品目番号、品目名称、数量、手配区分、塗装色、およびキー情報に対応しており、PDMシステム10から出力された製品構成情報の内容がそのまま設定される。
【0062】
親品目番号は、製番が示す製品を構成する各品目の1階層上位の親品目の品目番号である。
【0063】
処理区分には、製番が示す製品を構成する各品目が、インターフェイス情報に新たに記憶される品目であるか、インターフェイス情報から削除される品目であるか、属性情報の変更が記憶される品目であるか、に応じて、“登録”、“削除”、“更新”のいずれかが設定される。
【0064】
次に、製品構成情報抽出/出力部12の構成について説明する。
【0065】
再度図1を参照すると、製品構成情報抽出/出力部12は、処理対象確認部13と、製品構成差分抽出部14と、製品構成情報出力部15と、製品構成履歴更新部16と、を有する。
【0066】
処理対象確認部13は、DB1に記憶された、処理区分が“1(未連携)”である出力指示情報を処理対象として特定し、その特定した出力指示情報を製品構成差分抽出部14に出力する。
【0067】
製品構成差分抽出部14は、処理対象確認部13から出力された出力指示情報と同じ“手配ID”の製品構成情報(最新)をDB2から取得する。
【0068】
また、製品構成差分抽出部14は、処理対象確認部13から出力された出力指示情報の連携方式に“変更構成”が設定されている場合、その出力指示情報と同じ“製番"の製品の前回出力した製品構成情報(履歴)をDB3から取得し、DB2から取得した製品構成情報(最新)とDB3から取得した製品構成情報(履歴)との差分を抽出し、その差分を製品構成情報出力部15に出力する。
【0069】
また、製品構成差分抽出部14は、処理対象確認部13から出力された出力指示情報の連携方式に“全構成”が設定されている場合、取得した製品構成情報(最新)をそのまま製品構成情報出力部15に出力する。
【0070】
そして、製品構成差分抽出部14は、取得した製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示を製品構成履歴更新部16に出力する。
【0071】
製品構成情報出力部15は、製品構成差分抽出部14から出力された、製品構成情報(最新)と製品構成情報(履歴)との差分、または、製品構成情報(最新)を生産管理システム20に出力する。
【0072】
製品構成履歴更新部16は、製品構成差分抽出部14から製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示が出力されると、その製品構成情報(最新)を製品構成情報(履歴)としてDB3に記憶させる。また、製品構成履歴更新部16は、DB1に記憶されている処理対象として特定された出力指示情報の処理区分を“1(未連携)”から“2(連携済)”に変更する。
【0073】
次に、PDMシステム10から生産管理システム20への製品構成情報の出力時の動作について説明する。
【0074】
なお、以下では、出力指示の入力時に、“全構成”は指定されず、出力指示情報の連携方式には“変更構成”が設定されるものとして説明する。
【0075】
(A) 新規の製品構成情報の出力時の動作
まず、新規の製品構成情報の出力時の動作について説明する。
【0076】
“製番M”を指定した製品の製品構成情報の出力指示が入力されると、製品構成情報出力指示部11は、手配ID“K0001”を採番し、図5(a)に示すように、手配ID“K0001"、“製番M”、処理区分“1(未連携)”、連携方式“変更構成”の出力指示情報をDB1に記憶させる。なお、製品構成情報出力指示部11は、手配IDを、“K”を除いて、“0001”から順に1ずつ値を増加させて採番する。
【0077】
また、製品構成情報出力指示部11は、図5(b)に示すように、出力指示が入力された時点での“製番M”の製品の最新の製品構成情報に、採番した手配ID“K0001”を付加したものを、製品構成情報(最新)としてDB2に記憶させる。
【0078】
なお、製品構成情報出力指示部11は、DB1を監視しており、DB1に“製番M”、かつ、処理区分“1(未連携)"の出力指示情報が記憶されている間は、出力順番の整合性を維持するため、“製番M”を指定した出力指示の入力を不可とする。
【0079】
処理対象確認部13は、DB1に記憶された処理区分“1(未連携)"である手配ID“K0001”の出力指示情報を処理対象として特定し、その出力指示情報を製品構成差分抽出部14に出力する。
【0080】
ここで、“製番M”の製品の製品構成情報が過去に出力されていれば、DB1には、“製番M”の出力指示情報が処理区分“2(連携済)”として記憶されていることになる。逆に言えば、“製番M”の出力指示情報がDB1に全く記憶されていなければ、“製番M”の製品の製品構成情報は、初めて出力される新規の製品構成情報ということになる。
【0081】
図5(a)においては、“製番M”の出力指示情報が他に記憶されていないので、処理対象確認部13は、新規の製品構成情報の出力であると判定し、新規の製品構成情報の出力である旨を製品構成差分抽出部14に通知する。
【0082】
なお、処理区分“1(未連携)"、かつ、“製番”が異なる複数の出力指示情報がDB1に記憶されている場合には、処理対象確認部13は、その複数の出力指示情報の各々を処理対象として特定し、製品構成差分抽出部14に順次出力する。
【0083】
製品構成差分抽出部14は、処理対象確認部13から出力された出力指示情報と同じ手配ID“K0001”の製品構成情報(最新)をDB2から取得する。このとき、処理対象確認部13から新規の製品構成情報の出力である旨が通知されているので、製品構成差分抽出部14は、その取得した製品構成情報(最新)をそのまま、製品構成情報出力部15に出力する。
【0084】
また、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0001”の製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示を製品構成履歴更新部16に出力する。
【0085】
製品構成情報出力部15は、製品構成差分抽出部14から出力された製品構成情報(最新)を生産管理システム20に出力する。
【0086】
製品構成履歴更新部16は、手配ID“K0001”の製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示が製品構成差分抽出部14から出力されると、その製品構成情報(最新)を製品構成情報(履歴)としてDB3に記憶させると共に、DB1に記憶された手配ID“K0001”の出力指示情報の処理区分を“1(未連携)”から“2(連携済)”に変更する。
【0087】
情報記憶処理部21は、PDMシステム10から出力された“製番M”の製品の製品構成情報に基づき、インターフェイス情報をDB4に記憶させる。この時点のDB4の内容を図5(c)に示す。
【0088】
図5(c)に示すように、PDMシステム10から出力された製品構成情報の各項目の内容が、インターフェイス情報のそれぞれ対応する項目に設定される。また、各品目の親品目番号が設定されると共に、処理区分が“登録”に設定される。なお、各品目の親品目番号は、情報記憶処理部21から製品構成情報出力部15に問い合わせる等して特定することができる。
【0089】
(B) 製品構成の変更後の製品構成情報の出力時の動作
次に、上述した(A)の動作により生産管理システム20との連携が済んだ後に、“製番M”の製品の構成が変更され、その後、その製品の製品構成情報の出力指示が再び入力された場合の動作について説明する。
【0090】
“製番M”を指定した製品の製品構成情報の出力指示が再び入力されると、製品構成情報出力指示部11は、手配ID“K0002”を採番する。そして、製品構成情報出力指示部11は、図6(a)に示すように、手配ID“K0002"、“製番M”、処理区分“1(未連携)”、連携方式“変更構成”の出力指示情報をDB1に記憶させる。また、製品構成情報出力指示部11は、図6(b)に示すように、出力指示が入力された時点での“製番M”の製品の最新の製品構成情報に、採番した手配ID“K0002”を付加したものを、製品構成情報(最新)としてDB2に記憶させる。
【0091】
処理対象確認部13は、DB1に記憶された処理区分“1(未連携)"である手配ID“K0002”の出力指示情報を処理対象として特定し、その出力指示情報を製品構成差分抽出部14に出力する。
【0092】
製品構成差分抽出部14は、処理対象確認部13から出力された出力指示情報と同じ手配ID“K0002”の製品構成情報(最新)をDB2から取得する。
【0093】
また、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0002”の出力指示情報の連携方式に“変更構成”が設定されているので、前回出力した“製番M”の製品の製品構成情報(履歴)をDB3から取得する。
【0094】
ここで、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0002”を除いて手配IDが最大であり、かつ、“製番M”の製品の製品構成情報(履歴)をDB3から取得する。DB3には、図6(c)に示すように、手配ID“K0001”、かつ、“製番M”の製品の製品構成情報(履歴)が記憶されている。手配ID“K0002”を除くと、手配ID“K0001”が最大であり、かつ、“製番M”であるので、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0001”の製品構成情報(履歴)を取得する。
【0095】
そして、製品構成差分抽出部14は、DB2から取得した製品構成情報(最新)とDB3から取得した製品構成情報(履歴)とで、“キー情報”および“品目番号”の少なくとも一方が異なる品目を特定し、その特定した品目の製品構成情報の所定の項目の情報を、製品構成情報(最新)と製品構成情報(履歴)との差分として抽出する。
【0096】
なお、本実施形態では、製品構成差分抽出部14は、所定の項目として製品構成情報の複数の項目全ての情報を抽出する例を説明するが、複数の項目の中の一部の項目の情報だけを抽出するようにしてもよい。
【0097】
製品構成情報(最新)は、製品構成情報(履歴)と比較して、品目番号“20000A”の品目が品目番号“40000A”の品目に変更され、品目番号“00003A”の品目のキー情報が“M+1+00001+1+20000+1+”から“M+1+00001+1+40000+1+”に変更され、品目番号“00002A”の品目が削除され、品目番号“00004A”の品目が新規に追加されているので、製品構成差分抽出部14は、これらの品目の製品構成情報の所定の項目の情報を抽出し、製品構成情報出力部15に出力する。
【0098】
ここで、“品目番号”だけでなく“キー情報”も比較することで、各品目自体の変更だけでなく、製品の構成の変更に伴う全ての差分を抽出することができる。
【0099】
また、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0002”の製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示を製品構成履歴更新部16に出力する。
【0100】
製品構成情報出力部15は、製品構成差分抽出部14から出力された各品目の製品構成情報の所定の項目の情報を生産管理システム20に出力する。
【0101】
製品構成履歴更新部16は、手配ID“K0002”の製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示が製品構成差分抽出部14から出力されると、その製品構成情報(最新)を製品構成情報(履歴)としてDB3に記憶させると共に、DB1に記憶された手配ID“K0002”の出力指示情報の処理区分を“1(未連携)”から“2(連携済)”に変更する。
【0102】
情報記憶処理部21は、PDMシステム10から出力された各品目の製品構成情報の所定の項目の情報に基づき、インターフェイス情報をDB4に記憶させる。この時点のDB4の内容を図6(d)に示す。
【0103】
図6(d)に示すように、各品目の手配IDには、“K0002”が設定される。
【0104】
また、品目番号“20000A”、“00003A”(キー情報“M+1+00001+1+20000+1+”)、“00002A”の品目の処理区分が“登録”から“削除”に変更される。
【0105】
更に、PDMシステム10から出力された、品目番号“40000A”、“00003A”(キー情報“M+1+00001+1+40000+1+”)、“00004A”の品目の製品構成情報の各項目の情報が、それぞれ対応する項目に設定される。更に、これらの品目の親品目番号が設定され、処理区分には“登録”が設定される。
【0106】
(C) 属性情報の変更後の製品構成情報の出力動作
次に、上述した(B)の動作により生産管理システム20との連携が済んだ後に、“製番M”の製品を構成する品目の属性情報が変更され、その後、その製品の製品構成情報の出力指示が再び入力された場合の動作について説明する。
【0107】
“製番M”を指定した製品の製品構成情報の出力指示が再び入力されると、製品構成情報出力指示部11は、手配ID“K0003”を採番する。そして、製品構成情報出力指示部11は、図7(a)に示すように、手配ID“K0003"、“製番M”、処理区分“1(未連携)”、連携方式“変更構成”の出力指示情報をDB1に記憶させる。また、製品構成情報出力指示部11は、図7(b)に示すように、出力指示が入力された時点での“製番M”の製品の最新の製品構成情報に、採番した手配ID“K0003”を付加したものを、製品構成情報(最新)としてDB2に記憶させる。
【0108】
なお、図7(b)に示すように、製品構成情報(最新)には、属性情報として、“版数”が追加されている。
【0109】
処理対象確認部13は、DB1に記憶された処理区分“1(未連携)"である手配ID“K0003”の出力指示情報を処理対象として特定し、その出力指示情報を製品構成差分抽出部14に出力する。
【0110】
製品構成差分抽出部14は、処理対象確認部13から出力された出力指示情報と同じ手配ID“K0003”の製品構成情報(最新)をDB2から取得する。
【0111】
また、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0003”の出力指示情報の連携方式に“変更構成”が設定されているので、前回出力した“製番M”の製品構成情報(履歴)をDB3から取得する。
【0112】
ここで、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0003”を除いて手配IDが最大であり、かつ、“製番M”の製品構成情報(履歴)をDB3から取得する。DB3には、図7(c)に示すように、“製番M”、かつ、手配ID“K0001”および手配ID“K0002”の製品構成情報(履歴)が記憶されている。手配ID“K0003”を除くと、手配ID“K0002”が最大であり、かつ、“製番M”であるので、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0002"の製品構成情報(履歴)を取得する。
【0113】
そして、製品構成差分抽出部14は、DB2から取得した製品構成情報(最新)とDB3から取得した製品構成情報(履歴)とで、“キー情報”および“品目番号”の少なくとも一方が異なる品目を特定する。
【0114】
ここで、製品構成情報(最新)と製品構成情報(履歴)とでは、“キー情報”および“品目番号”には差分が無い。そこで、製品構成差分抽出部14は、次に、同じ“品目番号”で、属性情報(“数量”、“手配区分”、“塗装色”)が異なる品目を特定する。
【0115】
製品構成情報(最新)は、製品構成情報(履歴)と比較して、品目番号“40000A”の品目の手配区分が“0(手配不可)”から“2(手配可)”に、品目番号“00003A”の品目の数量が“1”から“2”に、塗装色が“ホワイト ツヤケシ”から“ホワイト”に、品目番号“00004A”の品目の数量が“2”から“4”に、塗装色が“ホワイト ツヤケシ”から“ホワイト”に、それぞれ変更されているので、製品構成差分抽出部14は、これらの品目を特定し、その特定した品目の製品構成情報の所定の項目の情報を抽出し、製品構成情報出力部15に出力する。
【0116】
また、製品構成差分抽出部14は、手配ID“K0003”の製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示を製品構成履歴更新部16に出力する。
【0117】
製品構成情報出力部15は、製品構成差分抽出部14から出力された、各品目の製品構成情報の所定の項目の情報を生産管理システム20に出力する。
【0118】
製品構成履歴更新部16は、手配ID“K0003”の製品構成情報(最新)をDB3に記憶させる旨の指示が製品構成差分抽出部14から出力されると、その製品構成情報(最新)を製品構成情報(履歴)としてDB3に記憶させると共に、DB1に記憶された手配ID“K0003”の出力指示情報の処理区分を“1(未連携)”から“2(連携済)”に変更する。
【0119】
情報記憶処理部21は、PDMシステム10から出力された各品目の製品構成情報の所定の項目の情報に基づき、インターフェイス情報をDB4に記憶させる。この時点のDB4の内容を図7(d)に示す。
【0120】
図7(d)に示すように、各品目の手配IDには“K0003”が設定される。
【0121】
また、品目番号“40000A”の品目の手配区分と、品目番号“00003A”の品目の数量および塗装色と、品目番号“00004A”の品目の数量および塗装色とが、PDMシステム10から出力された情報に基づき変更され、更に、これらの品目の処理区分には“更新”に設定される。
【0122】
(D) 製品構成情報の出力履歴の管理動作
次に、上述した(B)の動作により、生産管理システム20との連携が済んだ後に、新たに“製番M”および“製番P”の製品の製品構成情報の出力指示が入力された場合の動作について説明する。
【0123】
製品構成情報出力指示部11は、入力された“製番M”および“製番P”の製品の製品構成情報の出力指示毎に手配IDの採番を行う。以下では、“製番M”の製品の製品構成情報の出力指示に対しては、手配ID“K0003”が採番され、“製番P”の製品の製品構成情報の出力指示に対しては、手配ID“K0004”が採番されたとする。
【0124】
そして、製品構成情報出力指示部11は、図8(a)に示すように、手配ID“K0003"、“製番M”、処理区分“1(未連携)”、連携方式“変更構成”の出力指示情報と、手配ID“K0004"、“製番P”、処理区分“1(未連携)”、連携方式“変更構成”の出力指示情報と、をDB1に記憶させる。
【0125】
また、製品構成情報出力指示部11は、出力指示が入力された時点での、“製番M”の製品の最新の製品構成情報に、採番した手配ID“K0003”を付加したものと、“製番P”の製品の最新の製品構成情報に、採番した手配ID“K0004”を付加したものと、を製品構成情報(最新)としてDB2に記憶させる。この時点のDB4の内容を図8(b)に示す。なお、図8(b)においては、“製番M”の製品の製品構成情報(最新)のみを示している。
【0126】
処理対象確認部13は、DB1に記憶された処理区分“1(未連携)”である手配ID“K0003”および手配ID“K0004”の出力指示情報を処理対象として特定し、これらの出力指示情報を製品構成差分抽出部14に出力する。また、処理対象確認部13は、DB1には、手配ID“K0004”の出力指示情報を除いては、“製番P”の出力指示情報が記憶されていないので、“製番P”の製品の製品構成情報は、初めて出力される新規の製品構成情報であると判定する。
【0127】
手配ID“K0003”の出力指示情報に関しては、上述の(B)や(C)の動作のように、“製番M”の製品の、DB2から取得した製品構成情報(最新)とDB3から取得した前回出力した製品構成情報(履歴)との差分が抽出され、その抽出された差分が生産管理システム20に出力される。
【0128】
また、手配ID“K0004”の出力指示情報に関しては、上述の(A)の動作のように、“製番P”の製品の製品構成情報(最新)がDB2から取得され、処理対象確認部13により、新規の製品構成情報の出力であると判定されているので、その取得された製品構成情報(最新)が、そのまま生産管理システム20に出力される。
【0129】
そして、製品構成履歴更新部16は、図8(d)に示すように、手配ID“K0003”および手配ID“K0004”の出力指示情報の処理区分を“1(未連携)”から“2(連携済)”に変更する。また、製品構成履歴更新部16は、製品構成差分抽出部14により取得された手配ID“K0003”および手配ID“K0004”の製品構成情報(最新)を、製品構成情報(履歴)としてDB3に記憶させる。この時点のDB4の内容を図8(d)に示す。なお、図8(d)においては、手配ID“K0004”の製品構成情報(履歴)の詳細については記載を省略している。
【0130】
上述したように、本実施形態によれば、PDMシステム10は、他のシステムに出力した製品の製品構成情報(履歴)を記憶し、その製品の製品構成情報と製品構成情報(最新)と製品構成情報(履歴)との差分を抽出し、その抽出された製品構成情報の差分を他のシステムに出力する。
【0131】
このように、製品構成情報(履歴)との差分のみを出力することで、他のシステムに出力するデータ量の増大が抑制され、他のシステムとの連携を取るのに要する時間の増大を抑制することができる。
【符号の説明】
【0132】
10 PDMシステム
11 製品構成情報出力指示部
12 製品構成情報抽出/出力部
13 処理対象確認部
14 製品構成差分抽出部
15 製品構成情報出力部
16 製品構成履歴更新部
20 生産管理システム
21 情報記憶処理部
22 手配構成作成処理部
23 手配オーダ作成処理部
DB1〜DB6 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を構成する品目単位の階層構造で前記製品の構成を示す製品構成情報を他のシステムに出力するPDMシステムであって、
前記他のシステムに出力した前記製品構成情報である第1の製品構成情報を記憶する記憶部と、
前記製品の最新の前記製品構成情報である第2の製品構成情報と前記記憶部に記憶された前記第1の製品構成情報との差分を抽出する製品構成差分抽出部と、
前記製品構成差分抽出部により抽出された前記差分を前記他のシステムに出力する製品構成情報出力部と、を有するPDMシステム。
【請求項2】
請求項1記載のPDMシステムにおいて、
前記製品構成情報は、前記品目を識別する識別情報と、該品目の前記階層構造における位置を示すキー情報と、該品目の属性を示す属性情報と、を少なくとも含む複数の項目からなり、
前記製品構成差分抽出部は、前記第1の製品構成情報と前記第2の製品構成情報とで前記識別情報および前記キー情報の少なくとも一方が異なる品目を特定し、該特定した品目の前記複数の項目の中の所定の項目の情報を前記差分として抽出する、PDMシステム。
【請求項3】
請求項2記載のPDMシステムにおいて、
前記製品構成差分抽出部は、前記第1の製品構成情報と前記第2の製品構成情報とで、前記識別情報および前記キー情報が一致し、かつ、前記属性情報が異なる品目を特定し、該特定した品目の前記複数の項目の中の所定の項目の情報を前記差分として抽出する、PDMシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のPDMシステムにおいて、
前記製品構成差分抽出部による前記差分の抽出後、前記第1の製品構成情報との差分の抽出が行われた前記第2の製品構成情報を、前記第1の製品構成情報として前記記憶部に記憶させる製品構成履歴更新部を更に有するPDMシステム。
【請求項5】
製品を構成する品目単位の階層構造で前記製品の構成を示す製品構成情報を他のシステムに出力するPDMシステムの制御方法であって、
前記他のシステムに出力した前記製品構成情報である第1の製品構成情報を記憶し、
前記製品の最新の前記製品構成情報である第2の製品構成情報と前記記憶された第1の製品構成情報との差分を抽出し、
前記抽出された差分を前記他のシステムに出力する、PDMシステムの制御方法。
【請求項6】
請求項5記載のPDMシステムの制御方法において、
前記製品構成情報は、前記品目を識別する識別情報と、該品目の前記階層構造における位置を示すキー情報と、該品目の属性を示す属性情報と、を少なくとも含む複数の項目からなり、
前記第1の製品構成情報と前記第2の製品構成情報とで前記識別情報および前記キー情報の少なくとも一方が異なる品目を特定し、該特定した品目の前記複数の項目の中の所定の項目の情報を前記差分として抽出する、PDMシステムの制御方法。
【請求項7】
請求項6記載のPDMシステムの制御方法において、
前記第1の製品構成情報と前記第2の製品構成情報とで、前記識別情報および前記キー情報が一致し、かつ、前記属性情報が異なる品目を特定し、該特定した品目の前記複数の項目の中の所定の項目の情報を前記差分として抽出する、PDMシステムの制御方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載のPDMシステムの制御方法において、
前記差分の抽出後、前記第1の製品構成情報との差分の抽出が行われた前記第2の製品構成情報を、前記第1の製品構成情報として記憶する、PDMシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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