PET検出器モジュール、放射線検出器、PETスキャナシステム、信号処理方法、及び放射線検出器モジュールの製造方法
【課題】コスト低減、検出に有効な光の総量の増大、及び、高速計数において優れた性能を提供することが可能なPET検出器モジュール、放射線検出器、PETスキャナシステム、信号処理方法、及び放射線検出器モジュールの製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態のPET検出器モジュールは、シンチレーション結晶素子のアレイと、複数の光センサとを備える。前記アレイは、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含む。前記光センサは、前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信する。前記サブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子からの光が集められて、対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離される。第1のサブアレイの結晶素子からの光を受信する光センサは、第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子からの光も受信する。
【解決手段】実施形態のPET検出器モジュールは、シンチレーション結晶素子のアレイと、複数の光センサとを備える。前記アレイは、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含む。前記光センサは、前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信する。前記サブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子からの光が集められて、対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離される。第1のサブアレイの結晶素子からの光を受信する光センサは、第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子からの光も受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する実施形態は、全体として、ガンマ線検出及びポジトロン放出断層撮影用などの放射線検出器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガンマ線検出器、特にポジトロン放出断層撮影(Positron Emission Computerized Tomography:PET)の使用は、医用イメージングの分野で増大している。PETイメージングでは、注射、吸入、又は経口摂取によって、撮像される被検体に放射性薬剤が取り入れられる。放射性薬剤の投与後、その薬剤は、その物理的及び生体分子的な特性によって、人体内の特定部位に集中する。薬剤の実際の空間分布、薬剤の蓄積領域の濃度、及び投与されてから最終的に排出されるまでのプロセスの動態は、全て、臨床的な重要性を持ち得る因子である。このプロセスの間に、放射性薬剤に付着したポジトロン放射体は、半減期、分岐比などの同位元素の物理的性質に応じてポジトロンを放射する。
【0003】
放射性核種は、ポジトロンを放射する。そして、放射されたポジトロンが電子と衝突すると、消滅イベントが起こり、ポジトロン及び電子が消滅する。多くの場合、消滅イベントは、ほぼ180度方向に放出される511keVの2つのガンマ線を発生させる。
【0004】
2つのガンマ線を検出して、それらの検出位置間に直線、すなわち、応答線(Line Of Response:LOR)を引くことによって、本来消滅したであろう位置を割り出すことができる。このプロセスは、相互作用のあり得る線を識別するだけであるが、そのような線を多数蓄積して、断層撮影再構成プロセスを実行することによって、本来の分布を推定できる。2つのシンチレーションイベントの位置に加えて、正確なタイミング(数百ピコ秒以内の)が利用可能なら、飛行時間(Time Of Flight:TOF)の計算によって、応答線に沿ったイベントの推定位置に関する情報をさらに加えることができる。スキャナのタイミングの分解能の限界が、この線に沿った位置決めの精度を決定する。本来のシンチレーションイベントの位置を決定する際の限界が、スキャナの究極の空間分解能を決定する。一方で、同位元素の固有の特性(例えば、ポジトロンのエネルギー)もまた、(2つのガンマ線のポジトロン範囲及び共直線性によって)特定の薬剤の空間分解能の決定に寄与する。
【0005】
上述の検出プロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返さなければならない。イメージング症例ごとに解析して、イメージングタスクを支援するために何回カウント(すなわち、対になったイベント)が必要になるかを決定しなければならないが、現在の慣例では、典型的に100cm長のフルオロデオキシグルコース(Fluoro-Deoxyglucose:FDG)の研究では数億カウントを蓄積する必要があると規定している。この数のカウントを蓄積するのに要する時間は、薬剤の注入量、スキャナの感度及びカウント性能によって決まる。
【0006】
PETイメージングシステムは、被検体から放射されるガンマ線を検出するために、相互に対向して配設された検出器を使用する。典型的には、各角度から飛来するガンマ線を検出するために、環状に配置された検出器を使用する。したがって、PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形状を有している。PETスキャナの全体的な形状が分かれば、もう1つの課題は、できるだけ多くのシンチレーション材料をガンマ線経路内に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換することである。断層撮影再構成の原理によって放射性同位元素の時空間分布を再構成できるようにするために、検出された各イベントのエネルギー(すなわち、発生した光の量)、位置、及びタイミングを特徴付ける必要がある。ほとんどの最新PETスキャナは、数千個の個別の結晶で構成される。これらの結晶は、モジュール化して配列され、シンチレーションイベントの位置を特定するために用いられている。典型的には、結晶素子の断面は、概ね4mm×4mmである。これよりも小さい寸法や大きい寸法、又は正方形以外の断面の場合もある。結晶の長さや奥行きは、ガンマ線を捕捉する確率を決定することになるのであるが、典型的には、10〜30mmの範囲である。かかる検出器モジュールは、スキャナの主たる構成部品である。
【0007】
PETイメージングは、高速で明るいシンチレーション結晶によってガンマ線を光に変換することに依存する。シンチレータ内の相互作用位置と、個々のイベントを対にする時間を決定した後、消滅プロセスの位置を再生できる。これらの処理には、きわめて高速の構成部品(検出器や電子部品など)が必要であり、かつ、優れた信号対雑音比も必要である。信号対雑音比は、高品質の電子部品を用いて、検出プロセスに伴う固有のポアソン統計によって主に決定される。より多くの光子を検出することによって、信号対雑音比が改善され、ひいては空間及びタイミング分解能が向上する。検出器構造及び電子部品を改良しても、検出プロセス中の著しい光の損失は補償できない。収集された光の総量のうちのシンチレータ内で生成された量を超える部分は、構造の設計効率の適切な目安となる。つまり、収集される光量を最大にするためには、光センサをシンチレーション結晶にできるだけ近付けて配置し、反射などのエッジ効果を回避しようとする。このため、結晶とセンサとの間の距離が近い大きなアレイ検出器が必要とされる。
【0008】
上述のように、PETイメージングシステムは単なる計数器ではなく、シンチレーションイベントの存在を検出するほか、イベント位置を識別しなければならない。概念上では、各相互作用の位置を識別できるようにするおそらく最も直接的な構造は、各シンチレータ結晶に対して別個の光センサ及びデータ取得チャンネルを有することである。一般的な光センサの物理的サイズ、各データ取得チャンネルに要する電力、及びこれらの要素に関連するコストなどの制約条件により、光センサ及び電子部品のチャンネルの数を減らすために、通常は何らかの多重化形式を使用する。
【0009】
光が複数の光センサにどのように分配されるかを適切に実証することによって、任意のセンサ応答の組にイベント位置を割り当てることができる。従って、光を複数のセンサに分配する必要がある。適切な光分布を実現するためには(十分なセンサがわずかな光を検出するように)、結晶とセンサとの間のライトガイドの厚さ又は間隔を大きくすることが必要になる場合がある。しかし、高速計数では、同時に処理される複数のイベント、シンチレーションイベント間で有利に働く光学的分離、及び、より小さい検出器ブロックの形成が要求される。これら2つの要件によって、検出器の構造は、2つの異なる方向に推し進められている。
【0010】
現在利用可能なPETスキャナは、2つの主要な検出器モジュール構造を有する。第1のタイプは、円筒の軸方向範囲全体を覆う結晶アレイが形成された大面積検出器である。いくつかのモジュールは、円筒を形成するために一緒に配列される。各モジュールは、隣のモジュールと光学的に結合される。光センサ(例えば、光電子増倍管すなわち、PMT)のアレイは、モジュール上に配置され、モジュール間の接続部分に配置される。図1Aの構造を参照すると、結晶アレイ101とPMTアレイ102とを含むモジュールが示されている。結晶アレイ101は、複数の結晶103で構成され、PMTアレイ102は、複数のPMT104で構成される。この手法は、光学的な接続部分と境界の数を最小にし、優れた光収集を保証する。しかし、この構造は、多数のセンサが単一シンチレーションイベントの光にさらされてしまい、互いに近くで生じるイベントを処理する能力を制限してしまい、さらに全体の計数能力を制限してしまうという欠点がある。
【0011】
第2の構造は、結晶識別を単純化できるように、例えば4つのPMTセンサを有する光学的に分離されたブロックに基づく。図1Bの構造においては、ブロック要素105は、約50mm×50mmの結晶アセンブリ上の4つのPMTセンサからなる。この手法では、結晶は、アレイの最端部まで広がっている。従って、すべてのPMTからイベント位置を検出できる十分な光を収集するために、比較的厚いライトガイドを使用することが多い。検出器を構成するためには、まず、複数(例えば、3つか4つ)のブロックを配置することによって軸方向範囲を埋める。そして、このパターンを繰り返すことによって、円筒全体を形成する。図1B及び図1Cに示す構造を参照する。この手法の利点は、優れた融通性(検出器ブロックの機能が完全にスキャナの外部にあってもよい(すなわち、顧客サイトでの保守及びスキャナの製造に有利な完全なシステムの一部としてしか試験及び較正ができない大面積の連続検出器とは対照的に、検出器ブロックは個別に試験及び較正ができる))と、各モジュールの並列動作が可能な優れた計数能力とを有する。この構造の欠点は、多数の光学面を有すること、効率的な光収集を妨げ得ること、及びセンサ範囲のオプションの組み合わせがより制限されることである。
【0012】
図8の下部に示すように、従来技術の一構造では、部分的に重なりあったPMTのアレイが、小さな2D結晶アレイ全体に配列されている。この場合、4つのセンサの4つの四半分が各結晶アレイを覆っている。しかし、この構造の場合、縁端部を有効に使う手段はなく、この概念は、むしろ大きな表面を覆うために採用されているようである。さらに、TOF機能を備えた最近のPETシステムでは、主として、多数の極小アレイを意味する1インチ及び1−1/2インチのPMTが使用される。さらに、この構造は、細長い検出器内に同等の実装を備えない。図8の上部に示す1Dバージョンは、1つのセンサがその表面の半分を隣接する、2つのサブアレイとの間で単純に共有しているが、2D位置決めを実行するに十分な情報を保持していない。
【0013】
例えば、四方共有方式は、2つの方法で実行できる。
【0014】
個別モジュールの四方共有手法では、図10Aに示すモジュール1001などの隣接する個別のモジュールは、光学的に結合されず、かついずれのPMT1002も共有しない。図10Bに示すように、個別四方共有方式のモジュール1001の結晶アレイ(シンチレータアレイ)1003は、おおよそ1個の光センサ(PMT)の幅より近くには配置できない。個別四方共有手法における隣接するモジュール間の大きな間隙は、この手法の重要な欠点である。それに加えて、細長いアレイでの個別モジュール四方共有手法は、非常に効率が悪く、かつ、明らかに高集積化を阻害することになる。
【0015】
連続する四方共有手法では、図10Cに示すように、検出器は、実質的に、リングの周辺全体の周りに続いている。この手法では、四方共有方式のモジュール1004の結晶アレイ(シンチレータアレイ)1005は、PMTを共有する場合、より近接して配置でき、それによって、それらの独立性は失われる。この場合、モジュールは、実質的に、いくつかのPMT1006をモジュール間で共有する単一の連続検出器となる。連続する四方共有手法でモジュールの独立性が失われることは、一旦「すべての」検出器モジュールを設置すると、検出器は全面的に動作可能になるだけであって、設置前にモジュールの完全な試験及び較正を行うことはできないことになる。連続する四方共有手法では、スキャナにユニットを組み込む前に完全に動作可能な個別ユニットを製造及び試験することは不可能になり、さらに、一部の検出器が故障したとき、個別モジュールを交換することも不可能になる。これが、連続する四方共有手法の重大な実質的欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−41007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、コスト低減、検出に有効な光の総量の増大、及び、高速計数において連続検出器よりも優れた性能を提供することが可能なPET検出器モジュール、放射線検出器、PETスキャナシステム、信号処理方法、及び放射線検出器モジュールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態では、PET検出器モジュールは、シンチレーション結晶素子のアレイと、複数の光センサとを備える。シンチレーション結晶素子のアレイは、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含む。複数の光センサは、前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信するように構成される。前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子から放射される光が集められて、前記複数の光センサのうちの前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離される。前記複数の光センサのうち、第1のサブアレイの結晶素子から放射される光を受信する少なくとも1つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子から放射される光をさらに受信する。
【0019】
他の実施形態では、放射線検出器は、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを備える。各検出器セグメントは、シンチレーション結晶素子のアレイと、ライトガイドと、反射体とを含む。ライトガイドは、前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列される。反射体は、シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列される。各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される。
【0020】
別の実施形態では、PETスキャナシステムは、互いに隣接して配列されて円筒形の検出器リングを形成する複数の検出器モジュールを備える。各検出器モジュールは、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを含む。各検出器セグメントは、シンチレーション結晶素子のアレイと、ライトガイドと、反射体とを含む。ライトガイドは、前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列される。反射体は、シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列される。各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される。
【0021】
別の実施形態では、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含むシンチレーション結晶素子のアレイと、当該アレイを覆うように配列され、当該アレイから放射される光を受信するように構成された複数の光センサとを有するPET検出器モジュールを用いた信号処理方法は、前記複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイから第1のシンチレーションイベントを検出するステップと、前記複数のサブアレイのうち、少なくとも1つのサブアレイによって前記第1のサブアレイと分離された第2のサブアレイから第2のシンチレーションイベントを検出するステップと、前記第1のサブアレイと前記第2のサブアレイとが少なくとも1つのサブアレイによって分離されている場合に、前記第1のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第1の信号と、前記第2のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第2の信号とを同時に解析するステップとを含む。
【0022】
別の実施形態では、放射線検出器モジュールの製造方法は、2つの終端サブアレイおよび複数の中間サブアレイを含む複数のシンチレーション結晶サブアレイを製造するステップと、2つの終端部品および複数の中間部品を含む複数のライトガイド部品を製造するステップと、2つの終端セグメントを形成するために、前記終端部品のうちの対応する1つに各終端サブアレイを取り付けるステップと、複数の中間セグメントを形成するために、前記中間部品のうちの対応する1つに各中間サブアレイを取り付けるステップと、前記中間セグメントのうちの少なくとも1つの側面に反射材料を取り付けるステップと、シンチレーション層およびライトガイド層を有するモジュールベースを形成するために、前記終端セグメントおよび前記複数の中間セグメントを一緒に取り付けるステップとを含む。
【0023】
本発明とこれに付随する多くの利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】図1Aは、光センサがシンチレーションアレイを覆って配置されている従来のPET検出器モジュール構造を示す。
【図1B】図1Bは、光センサがシンチレーションアレイを覆って配置されている従来のPET検出器モジュール構造を示す。
【図1C】図1Cは、光センサがシンチレーションアレイを覆って配置されている従来のPET検出器モジュール構造を示す。
【図1D】図1Dは、複数の検出器モジュールを備えたPETスキャナリングを示す。
【図2】図2は、支持構造体、結晶アレイ(シンチレータアレイ)、ライトガイド、及びPMTの配置を含む検出器モジュールの一実施形態を示す。
【図3】図3は、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを含み、各セグメントが結晶アレイ及びライトガイドを含む放射線検出器を示す。
【図4】図4は、セグメント化及び非セグメント化の実施形態における2つのイベントに対するトリガゾーンと光分布の比較とを示す。
【図5】図5は、20cm FOV(Field Of View)の実施形態における結晶サブアレイ及び対応するライトガイド部品を示す。
【図6】図6は、32cm FOVの実施形態における結晶サブアレイ及び対応するライトガイド部品を示す。
【図7】図7は、別の実施形態によるセグメント化された検出器モジュールを示す。
【図8】図8は、従来の検出器モジュールを示す。
【図9】図9は、一実施形態による放射線検出器モジュールの製造方法の各ステップを示す。
【図10A】図10Aは、従来の四方共有構造を示す。
【図10B】図10Bは、従来の四方共有構造を示す。
【図10C】図10Cは、従来の四方共有構造を示す。
【図11A】図11Aは、個別モジュールの実施形態を示す。
【図11B】図11Bは、連続する四方共有方式の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図を参照すると、図1Dは、一実施形態によるPETスキャナ構造200を示す。図1Dに示すように、検出器リング210は、多数の矩形の検出器モジュール220を含む。一実施形態によれば、検出器リング210は、40個の検出器モジュール220を含む。別の実施形態では、スキャナとして大口径サイズを作るために48個のモジュールが使用される。
【0026】
PET検出器モジュールは、シンチレーション結晶素子のアレイと、複数の光センサとを備える。シンチレーション結晶素子のアレイは、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含む。複数の光センサは、前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信するように構成される。前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子から放射される光が集められて、前記複数の光センサのうちの前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離される。前記複数の光センサのうち、第1のサブアレイの結晶素子から放射される光を受信する少なくとも1つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子から放射される光をさらに受信する。
【0027】
図2は、例えば、支持構造体204と、個別の検出器結晶からなる2次元の結晶アレイ203とを含む検出器モジュール構造を示す。各検出器結晶は、ガンマ線を吸収し、シンチレーション光子を放射する。シンチレーション光子は、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)によって検出される。ライトガイド202は、検出器の結晶アレイとPMT201との間に配置されている。図2に示すように、各検出器モジュールは、さまざまなサイズの多数のPMT201を含み、各PMT201は、複数の検出器結晶を覆っている。各PMT201は、シンチレーションイベントが生じたとき、急激に立ち上がってから指数関数的に減少するアナログ信号を生成する。1つの検出器結晶から放射される光子は、複数のPMT201によって検出できる。しかし、イベントに対応する検出器結晶は、各PMT201で生成されたアナログ信号に基づいて決定できる。
【0028】
図2に示す検出器モジュールは細長い。一般に、長軸は、短軸より3〜4倍以上長い。この構造は、モジュール内部の結晶に対するモジュール端部の結晶の比を最小にし、それでも、適切な計数能力を保証するために十分な数の個別モジュールを作り出す。各モジュールは、光学的に分離され、光センサは、隣接するモジュール間で共有しないので、各モジュールは、個別に較正ができる。
【0029】
図2の検出器モジュールの配列は、計数速度を最大にするためにできるだけ多くの光学的に独立したモジュールを作ることと、光収集を最高にし、エッジ効果を最小にするために大きな連続する検出表面を作ることとの両立を図ったものである。
【0030】
図2の構造は、さらに、検出器の長軸に沿って相当量の光共有及び光混成作用を含む。それに加えて、図2に示す大きな構造体の構成は、詳細な光学的要件を伴い、いくつかの製造課題を提起する場合がある。
【0031】
例えば、本明細書に記載の一実施形態は、モジュール方式のセグメントを使用する図2に示す細長い検出器モジュールの製造方法を対象としている。図3に示すように、結晶アレイ203及びライトガイド202をセグメント化することによって、性能を高く、製造を容易にすることができる。一実施形態では、結晶アレイ203及びライトガイド202を、2つのPMTを連結する中央線にわたってセグメント化する。図3に示す実施形態では、3タイプのセグメントを使用し、各セグメントは、結晶サブアレイ及び対応するライトガイドサブ部品を含む。この実施形態における1つのタイプのセグメントは、図5及び図6に関して詳細に後述する終端タイプのセグメント301である。この実施形態における別のタイプのセグメントは、図5及び図6にも示す中間タイプのセグメント302及び303である。
【0032】
このように、検出器モジュールは、例えば、少なくとも5つのモジュール方式の検出器セグメントを備える。そして、例えば、各検出器セグメントは、第1のセグメントと、第2のセグメントと、第3のセグメントと、第4のセグメントと、第5のセグメントとを含む。第1のセグメントは、シンチレーション結晶素子の終端タイプのアレイ及び終端タイプのライトガイドを含む。第2のセグメントは、シンチレーション結晶素子の中間タイプのアレイ及び第1の中間タイプのライトガイドを含む。第3のセグメントは、シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び第2の中間タイプのライトガイドを含む。第4のセグメントは、シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び前記第1の中間タイプのライトガイドを含む。第5のセグメントは、シンチレーション結晶素子の前記終端タイプのアレイ及び前記終端タイプのライトガイドを含む。
【0033】
そして、検出器モジュールは、対応するサブアレイ内の個別の結晶素子から放射された光が、複数の光センサのうち、対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光を実質的に集めるように構成された反射体素子をさらに備える。
【0034】
また、結晶素子のアレイに含まれる複数のサブアレイそれぞれは、複数の光センサのうちの4つの光センサからなる対応するグループの各部分によって覆われている。また、複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子のいずれかからの光が集められて、4つの光センサからなる前記対応するグループの各部分によって主に受信されるように、光学的に分離される。また、複数の光センサのうち、第1のサブアレイ内の結晶素子から放射される光を受信する少なくとも2つの光センサは、第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイ内の結晶素子から放射される光をさらに受信する。
【0035】
検出器モジュールは、当該検出器モジュールに定義された部分的に重なる複数のトリガゾーンであって、それぞれが複数の光センサのうちの複数の光センサを含む複数のトリガゾーンのうち、少なくとも1つのトリガゾーンに含まれる光センサからの出力信号をシンチレーションイベントごとに集計するように構成された信号処理デバイスをさらに備える。そして、隣接するサブアレイからの光を受信する少なくとも1つの光センサは、2つのトリガゾーンに属する。
【0036】
本実施形態では、例えば、各サブアレイを、図3に示す各結晶サブアレイの周りに反射材料304を取り付けることによって、光学的に分離する。これによって、いくつかの利点がもたらされる。第1に、1つのサブアレイからの光は、同じアレイにとどまり、図4に関して後述するように、隣接するサブアレイとの部分的重複又は混成作用が減少する。第2に、各シンチレーションイベントは、常に4つのPMTのみに作用する。この実施形態では、4つのPMTからなる組のすべてのPMTからの信号は、トリガゾーンを形成するために結合される(すなわち、タイミングトリガ信号を生成するためにアナログ領域で総和されるPMT)。例えば、図4は、PMT1〜PMT4が第1のトリガゾーンを形成し、PMT3〜PMT6が第2のトリガゾーンを形成し、等々により、5つのトリガゾーンを示す。
【0037】
この実施形態のように、小さいトリガゾーンを有することは、タイミング分解能にとって有利である。例えば、各PMTチャンネルのプリアンプによって、信号にいくらかのノイズが加えられるので、トリガゾーン内のチャンネル総数を減らすことによって、ノイズ総量が減るようになる。4つのPMTからなる領域を越えて広がった光は、タイミング信号に影響を与えない。この実施形態では、実質的に、ガンマイベントからのシンチレーション光はすべて単一トリガゾーンに閉じ込められる。信号対雑音比が増大すると、タイミング分解能が向上する。部分的に重なるトリガゾーンの境界線は、光センサの中心と整合するので、セグメントの境界線(合わせ目)もまた、光センサの中心と整合し、この利点を完全に実現できることになる。
【0038】
さらに、2つのイベントは、これらのイベントがいずれのPMTをも共有していないという条件で、同時に処理することが可能である。この条件は、対象の2つのイベント間に1つ以上のサブアレイがあった場合に、ただちに成立する。これらのイベントは、各ガンマ線の到達時間、エネルギー、及び相互作用位置の推定値を生成するために、アナログ及びデジタルの電子部品の組み合わせを用いて処理される。ほとんどの従来型ガンマ線検出システムでは、タイミングは、PMTからの多数の信号のアナログ合計による複合タイミング信号の生成から導き出される。次に、リーディングエッジディスクリミネータ又はコンスタントフラクションディスクリミネータが複合信号に適用される。
【0039】
信号が合計されるPMTは、「トリガゾーン」と呼ばれることが多い。トリガゾーンは、部分的に重なっている場合や切り離されたままの場合がある。一実施形態では、トリガゾーンは部分的に重なっている。イベントの到達時間を導き出すために利用されるだけでなく、各トリガゾーンに対する合計信号は、通常、エネルギー及び位置の情報の取得又は処理を始動する。一般に、各PMTは、典型的に整形フィルタ及びアナログデジタル変換器を含む電子部品の個別チャンネルに接続される。取得がトリガされると、トリガゾーン内の各PMTに対するPMT信号が、所定の時間ウィンドウの間ずっと積算される。次に積算された積算信号は、デジタル方式で合計され、イベントのエネルギーの推定値が生成され、これらの信号を使う重心計算を用いて相互作用の位置が推定される。最新のシステムは、タイミング、エネルギー、及び位置の推定値を改善するために、多くの場合格納されたルックアップテーブルに基づく多重補正を含む。
【0040】
このように、検出器モジュールを用いた信号処理方法では、検出モジュールが、複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイから第1のシンチレーションイベントを検出する。また、検出モジュールが、複数のサブアレイのうち、少なくとも1つのサブアレイによって第1のサブアレイと分離された第2のサブアレイから第2のシンチレーションイベントを検出する。そして、信号処理デバイスが、第1のサブアレイと第2のサブアレイとが少なくとも1つのサブアレイによって分離されている場合に、第1のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第1の信号と、第2のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第2の信号とを同時に解析する。
【0041】
また、信号処理デバイスが、第1の信号と前記第2の信号とを解析する際に、第1のシンチレーションイベントに対する第1の位置、第1のエネルギー、及び第1の到達時間を決定し、第2のシンチレーションイベントに対する第2の位置、第2のエネルギー、及び第2の到達時間を決定する。
【0042】
さらに、図4の下部に示すように、1つのシンチレーションイベントからの光は、より少ないセンサに振り向けられ、検出の統計学的品質を高め、その結果高度なタイミング情報を生み出すことになる。図4の上部に示す非セグメント化構造では、2つのイベントからの光分布は、部分的に重なる(相互干渉又はパイルアップの)可能性があり、特に高速計数では、検出の品質が低下する。
【0043】
さらに、図3のセグメント化手法によって製造がより容易で経済的になる。結晶は、スキャナの中で際立って最も高価な構成要素なので、結晶アレイの製造歩留りをより高くすべきである。悪影響を及ぼす不良アレイが小さいサブアレイのみであるため、コスト面に与える影響を比較的小さく抑えながら不良など性能の低いアレイを排除できるので、その歩留り向上は実現される。
【0044】
さらに、異なるセグメントに対する結晶サブアレイ及びライトガイド部品は、光学的に連結でき(例えば、接着剤で結合される)、個別に検査が可能である。従って、1つのセグメントに対する問題は、検出器モジュール全体を再製造することなく修復できる。さらに、小さい結晶サブアレイは、製造及び取り扱いがより容易であり、コスト削減につながる。
【0045】
さらに、さまざまなサイズの検出器モジュールを作ることができ、かつ同一セットのサブアレイを使って容易に保守できる。例えば、図5に示すように、20cm長の検出器は、2タイプの結晶サブアレイ(2つの12×16終端アレイ及び3つの8×16中間アレイ)と3タイプのライトガイドサブ部品(1つの終端部品及び2タイプの中間部品)とを使って作ることができる。さらに、図6に示すように、32cm検出器モジュールは、同じサブアレイ(2つの12×16終端アレイ及び3つの8×16中間アレイ)と同じライトガイドサブ部品とを使って作ることができる。特に、32cm検出器モジュールには、2つの終端部品に加えて、第1タイプの中間部品4つと、第2タイプの中間部品3つとが使われている。別のサイズの結晶サブアレイ及び別の組み合わせ又はサイズのライトガイド部品も使用可能である。
【0046】
このように、例えば、検出器モジュールは、9つのモジュール方式の検出器セグメントを備える。また、例えば、検出器モジュールは、奇数の中間モジュール方式の検出器セグメントと、2つの終端モジュール方式の検出器セグメントとを含む。
【0047】
繰り返すが、結晶は、高価な構成要素であるので、製造過程において異なるタイプのスキャナ間で共用の構成要素を使用し、実際の市場の状況に応じて各タイプに必要な割合を作ると極めて効率的となる。
【0048】
図9は、一実施形態による放射線検出器モジュールを製造する方法の各ステップを示す。
【0049】
ステップ910では、2つの終端サブアレイ及び複数の中間サブアレイを含む複数のシンチレーション結晶サブアレイを作る。例えば、図5及び図6を参照のこと。
【0050】
ステップ920では、2つの終端部品及び複数の中間部品を含む複数のライトガイド部品を作る。例えば、各ライトガイド部品が、1つ以上のPMTの一部分を保持するための少なくとも1つのくぼんだ部分を含むことを示す図3を参照のこと。
【0051】
ステップ930では、2つの終端セグメントを形成するために、終端ライトガイド部品のうちの対応する1つに各終端サブアレイを取り付ける。
【0052】
ステップ940では、複数の中間セグメントを形成するために、中間部品のうちの対応する1つに各中間サブアレイを取り付ける。例えば、図3、図5、及び図6を参照のこと。
【0053】
ステップ950では、反射材料を終端及び中間のセグメントのそれぞれの側面に取り付ける。
【0054】
ステップ960では、シンチレーション層及びライトガイド層を有するモジュールベースを形成するために、終端セグメント及び複数の中間セグメントを、例えば、図5及び図6の一方に示す順序で一緒に取り付ける。
【0055】
ステップ970では、光センサを所定位置に保持するために、複数の光センサをモジュールベース上にくぼんだ部分を使って配列する。この場合、複数の光センサは、異なるサイズの光センサを含むことができる。
【0056】
ステップ980では、複数の光センサ及びモジュールベースを、図2に示す支持構造体204内に配置する。
【0057】
なお、例えば、ステップ920は、各ライトガイド部品内に、それぞれ異なるサイズの光センサを保持するための少なくとも2つのくぼんだ部分を形成するステップを含み、ステップ970は、異なるサイズの光センサを含む複数の光センサをモジュールベース上に配列するステップを含んでもよい。
【0058】
また、例えば、ステップ920は、少なくとも1つの第1のタイプの中間部品及び少なくとも1つの第2のタイプの中間部品を製造するステップを含んでもよい。
【0059】
別の実施形態では、上述の概念は、各サブアレイを位置決め計算の実行に必要な最小数のセンサに連結する必要があるという規則に従って、別の構造に適用できる。例えば、図7に示すように、必要な最小数のセンサは、最上部の構造では4つであるが、図7に示す下の2つの構造では、必要な最小数のセンサは3つである。なお、図7に示す点線は、モジュールをどのようにセグメント化するかを示しているが、セグメントのすべては示していない。
【0060】
図11A及び図11Bは、複数の個別モジュール(例えば図11Aに示すようなモジュール)をそれぞれの間隙が最小となるように近接して配置できるセグメント化された構造を示す。また、図11Bは、それらの独立性を保持するセグメント化された構造を示す。特に、図11Bのモジュール間の間隙は光センサの幅より極めて小さく、単一の結晶幅の同等以下となる、例えば4mm未満に相当する。
【0061】
このように、複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、前記光センサのうちの1つの幅より互いに近接して配列される。また、複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、互いの間を4mmより狭く配列される。
【0062】
このような配列を実現できる理由は、第1のサブアレイ内の結晶から放射される光を受信する(モジュール内の複数の光センサのうちの)少なくとも1つの光センサはまた、第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイ内の結晶から放射される光も受信するからである。単一の光センサが、3つ以上のサブアレイ間で共有される(すなわち、光センサが、2つの直交する方向にまたがるサブアレイ間で共有される)従来の四方共有手法とは異なり、本実施形態では、光センサは、2つ以下のサブアレイ間で、かつ一方向で共有されるだけである。
【0063】
図11Bに示す配列は、セグメント化されたモジュール手法の実用的な利点であり、それは、各モジュールを、スキャナ内に設置する前に、完全に試験及び較正できるからである。さらに、モジュールの交換が必要な時、交換が早くできるのは、交換モジュールを隣接するモジュールに光学的に連結する必要がなく、かつ、モジュールを設置前に予め較正できるからである。
【0064】
なお、一実施形態では、センサアレイは、実質的に結晶アレイと同じサイズであるため、組立サイズに制限が加えられる。また、一実施形態では、結晶アレイは、製造公差及び組立公差を考慮して実質的にセンサ直径のサイズと同じか少し小さくなる。
【0065】
上述のように、本明細書に記載した実施形態は、コスト低減、検出に有効な光の総量の増大、及び、高速計数において連続検出器よりも優れた性能を提供する。
【0066】
一定の実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示したのであって、本発明の範囲を限定するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法及びシステムは、さまざまな別の形式で具体化が可能である。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形式においてさまざまな省略、置換、及び変更は、本発明の精神を逸脱することなく行うことが可能である。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本発明の範囲及び精神の範囲内に収まるであろう形式又は改変を網羅するものである。
【符号の説明】
【0067】
220 検出器モジュール
201 光センサ
203 結晶アレイ
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する実施形態は、全体として、ガンマ線検出及びポジトロン放出断層撮影用などの放射線検出器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガンマ線検出器、特にポジトロン放出断層撮影(Positron Emission Computerized Tomography:PET)の使用は、医用イメージングの分野で増大している。PETイメージングでは、注射、吸入、又は経口摂取によって、撮像される被検体に放射性薬剤が取り入れられる。放射性薬剤の投与後、その薬剤は、その物理的及び生体分子的な特性によって、人体内の特定部位に集中する。薬剤の実際の空間分布、薬剤の蓄積領域の濃度、及び投与されてから最終的に排出されるまでのプロセスの動態は、全て、臨床的な重要性を持ち得る因子である。このプロセスの間に、放射性薬剤に付着したポジトロン放射体は、半減期、分岐比などの同位元素の物理的性質に応じてポジトロンを放射する。
【0003】
放射性核種は、ポジトロンを放射する。そして、放射されたポジトロンが電子と衝突すると、消滅イベントが起こり、ポジトロン及び電子が消滅する。多くの場合、消滅イベントは、ほぼ180度方向に放出される511keVの2つのガンマ線を発生させる。
【0004】
2つのガンマ線を検出して、それらの検出位置間に直線、すなわち、応答線(Line Of Response:LOR)を引くことによって、本来消滅したであろう位置を割り出すことができる。このプロセスは、相互作用のあり得る線を識別するだけであるが、そのような線を多数蓄積して、断層撮影再構成プロセスを実行することによって、本来の分布を推定できる。2つのシンチレーションイベントの位置に加えて、正確なタイミング(数百ピコ秒以内の)が利用可能なら、飛行時間(Time Of Flight:TOF)の計算によって、応答線に沿ったイベントの推定位置に関する情報をさらに加えることができる。スキャナのタイミングの分解能の限界が、この線に沿った位置決めの精度を決定する。本来のシンチレーションイベントの位置を決定する際の限界が、スキャナの究極の空間分解能を決定する。一方で、同位元素の固有の特性(例えば、ポジトロンのエネルギー)もまた、(2つのガンマ線のポジトロン範囲及び共直線性によって)特定の薬剤の空間分解能の決定に寄与する。
【0005】
上述の検出プロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返さなければならない。イメージング症例ごとに解析して、イメージングタスクを支援するために何回カウント(すなわち、対になったイベント)が必要になるかを決定しなければならないが、現在の慣例では、典型的に100cm長のフルオロデオキシグルコース(Fluoro-Deoxyglucose:FDG)の研究では数億カウントを蓄積する必要があると規定している。この数のカウントを蓄積するのに要する時間は、薬剤の注入量、スキャナの感度及びカウント性能によって決まる。
【0006】
PETイメージングシステムは、被検体から放射されるガンマ線を検出するために、相互に対向して配設された検出器を使用する。典型的には、各角度から飛来するガンマ線を検出するために、環状に配置された検出器を使用する。したがって、PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形状を有している。PETスキャナの全体的な形状が分かれば、もう1つの課題は、できるだけ多くのシンチレーション材料をガンマ線経路内に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換することである。断層撮影再構成の原理によって放射性同位元素の時空間分布を再構成できるようにするために、検出された各イベントのエネルギー(すなわち、発生した光の量)、位置、及びタイミングを特徴付ける必要がある。ほとんどの最新PETスキャナは、数千個の個別の結晶で構成される。これらの結晶は、モジュール化して配列され、シンチレーションイベントの位置を特定するために用いられている。典型的には、結晶素子の断面は、概ね4mm×4mmである。これよりも小さい寸法や大きい寸法、又は正方形以外の断面の場合もある。結晶の長さや奥行きは、ガンマ線を捕捉する確率を決定することになるのであるが、典型的には、10〜30mmの範囲である。かかる検出器モジュールは、スキャナの主たる構成部品である。
【0007】
PETイメージングは、高速で明るいシンチレーション結晶によってガンマ線を光に変換することに依存する。シンチレータ内の相互作用位置と、個々のイベントを対にする時間を決定した後、消滅プロセスの位置を再生できる。これらの処理には、きわめて高速の構成部品(検出器や電子部品など)が必要であり、かつ、優れた信号対雑音比も必要である。信号対雑音比は、高品質の電子部品を用いて、検出プロセスに伴う固有のポアソン統計によって主に決定される。より多くの光子を検出することによって、信号対雑音比が改善され、ひいては空間及びタイミング分解能が向上する。検出器構造及び電子部品を改良しても、検出プロセス中の著しい光の損失は補償できない。収集された光の総量のうちのシンチレータ内で生成された量を超える部分は、構造の設計効率の適切な目安となる。つまり、収集される光量を最大にするためには、光センサをシンチレーション結晶にできるだけ近付けて配置し、反射などのエッジ効果を回避しようとする。このため、結晶とセンサとの間の距離が近い大きなアレイ検出器が必要とされる。
【0008】
上述のように、PETイメージングシステムは単なる計数器ではなく、シンチレーションイベントの存在を検出するほか、イベント位置を識別しなければならない。概念上では、各相互作用の位置を識別できるようにするおそらく最も直接的な構造は、各シンチレータ結晶に対して別個の光センサ及びデータ取得チャンネルを有することである。一般的な光センサの物理的サイズ、各データ取得チャンネルに要する電力、及びこれらの要素に関連するコストなどの制約条件により、光センサ及び電子部品のチャンネルの数を減らすために、通常は何らかの多重化形式を使用する。
【0009】
光が複数の光センサにどのように分配されるかを適切に実証することによって、任意のセンサ応答の組にイベント位置を割り当てることができる。従って、光を複数のセンサに分配する必要がある。適切な光分布を実現するためには(十分なセンサがわずかな光を検出するように)、結晶とセンサとの間のライトガイドの厚さ又は間隔を大きくすることが必要になる場合がある。しかし、高速計数では、同時に処理される複数のイベント、シンチレーションイベント間で有利に働く光学的分離、及び、より小さい検出器ブロックの形成が要求される。これら2つの要件によって、検出器の構造は、2つの異なる方向に推し進められている。
【0010】
現在利用可能なPETスキャナは、2つの主要な検出器モジュール構造を有する。第1のタイプは、円筒の軸方向範囲全体を覆う結晶アレイが形成された大面積検出器である。いくつかのモジュールは、円筒を形成するために一緒に配列される。各モジュールは、隣のモジュールと光学的に結合される。光センサ(例えば、光電子増倍管すなわち、PMT)のアレイは、モジュール上に配置され、モジュール間の接続部分に配置される。図1Aの構造を参照すると、結晶アレイ101とPMTアレイ102とを含むモジュールが示されている。結晶アレイ101は、複数の結晶103で構成され、PMTアレイ102は、複数のPMT104で構成される。この手法は、光学的な接続部分と境界の数を最小にし、優れた光収集を保証する。しかし、この構造は、多数のセンサが単一シンチレーションイベントの光にさらされてしまい、互いに近くで生じるイベントを処理する能力を制限してしまい、さらに全体の計数能力を制限してしまうという欠点がある。
【0011】
第2の構造は、結晶識別を単純化できるように、例えば4つのPMTセンサを有する光学的に分離されたブロックに基づく。図1Bの構造においては、ブロック要素105は、約50mm×50mmの結晶アセンブリ上の4つのPMTセンサからなる。この手法では、結晶は、アレイの最端部まで広がっている。従って、すべてのPMTからイベント位置を検出できる十分な光を収集するために、比較的厚いライトガイドを使用することが多い。検出器を構成するためには、まず、複数(例えば、3つか4つ)のブロックを配置することによって軸方向範囲を埋める。そして、このパターンを繰り返すことによって、円筒全体を形成する。図1B及び図1Cに示す構造を参照する。この手法の利点は、優れた融通性(検出器ブロックの機能が完全にスキャナの外部にあってもよい(すなわち、顧客サイトでの保守及びスキャナの製造に有利な完全なシステムの一部としてしか試験及び較正ができない大面積の連続検出器とは対照的に、検出器ブロックは個別に試験及び較正ができる))と、各モジュールの並列動作が可能な優れた計数能力とを有する。この構造の欠点は、多数の光学面を有すること、効率的な光収集を妨げ得ること、及びセンサ範囲のオプションの組み合わせがより制限されることである。
【0012】
図8の下部に示すように、従来技術の一構造では、部分的に重なりあったPMTのアレイが、小さな2D結晶アレイ全体に配列されている。この場合、4つのセンサの4つの四半分が各結晶アレイを覆っている。しかし、この構造の場合、縁端部を有効に使う手段はなく、この概念は、むしろ大きな表面を覆うために採用されているようである。さらに、TOF機能を備えた最近のPETシステムでは、主として、多数の極小アレイを意味する1インチ及び1−1/2インチのPMTが使用される。さらに、この構造は、細長い検出器内に同等の実装を備えない。図8の上部に示す1Dバージョンは、1つのセンサがその表面の半分を隣接する、2つのサブアレイとの間で単純に共有しているが、2D位置決めを実行するに十分な情報を保持していない。
【0013】
例えば、四方共有方式は、2つの方法で実行できる。
【0014】
個別モジュールの四方共有手法では、図10Aに示すモジュール1001などの隣接する個別のモジュールは、光学的に結合されず、かついずれのPMT1002も共有しない。図10Bに示すように、個別四方共有方式のモジュール1001の結晶アレイ(シンチレータアレイ)1003は、おおよそ1個の光センサ(PMT)の幅より近くには配置できない。個別四方共有手法における隣接するモジュール間の大きな間隙は、この手法の重要な欠点である。それに加えて、細長いアレイでの個別モジュール四方共有手法は、非常に効率が悪く、かつ、明らかに高集積化を阻害することになる。
【0015】
連続する四方共有手法では、図10Cに示すように、検出器は、実質的に、リングの周辺全体の周りに続いている。この手法では、四方共有方式のモジュール1004の結晶アレイ(シンチレータアレイ)1005は、PMTを共有する場合、より近接して配置でき、それによって、それらの独立性は失われる。この場合、モジュールは、実質的に、いくつかのPMT1006をモジュール間で共有する単一の連続検出器となる。連続する四方共有手法でモジュールの独立性が失われることは、一旦「すべての」検出器モジュールを設置すると、検出器は全面的に動作可能になるだけであって、設置前にモジュールの完全な試験及び較正を行うことはできないことになる。連続する四方共有手法では、スキャナにユニットを組み込む前に完全に動作可能な個別ユニットを製造及び試験することは不可能になり、さらに、一部の検出器が故障したとき、個別モジュールを交換することも不可能になる。これが、連続する四方共有手法の重大な実質的欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−41007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、コスト低減、検出に有効な光の総量の増大、及び、高速計数において連続検出器よりも優れた性能を提供することが可能なPET検出器モジュール、放射線検出器、PETスキャナシステム、信号処理方法、及び放射線検出器モジュールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態では、PET検出器モジュールは、シンチレーション結晶素子のアレイと、複数の光センサとを備える。シンチレーション結晶素子のアレイは、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含む。複数の光センサは、前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信するように構成される。前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子から放射される光が集められて、前記複数の光センサのうちの前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離される。前記複数の光センサのうち、第1のサブアレイの結晶素子から放射される光を受信する少なくとも1つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子から放射される光をさらに受信する。
【0019】
他の実施形態では、放射線検出器は、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを備える。各検出器セグメントは、シンチレーション結晶素子のアレイと、ライトガイドと、反射体とを含む。ライトガイドは、前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列される。反射体は、シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列される。各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される。
【0020】
別の実施形態では、PETスキャナシステムは、互いに隣接して配列されて円筒形の検出器リングを形成する複数の検出器モジュールを備える。各検出器モジュールは、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを含む。各検出器セグメントは、シンチレーション結晶素子のアレイと、ライトガイドと、反射体とを含む。ライトガイドは、前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列される。反射体は、シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列される。各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される。
【0021】
別の実施形態では、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含むシンチレーション結晶素子のアレイと、当該アレイを覆うように配列され、当該アレイから放射される光を受信するように構成された複数の光センサとを有するPET検出器モジュールを用いた信号処理方法は、前記複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイから第1のシンチレーションイベントを検出するステップと、前記複数のサブアレイのうち、少なくとも1つのサブアレイによって前記第1のサブアレイと分離された第2のサブアレイから第2のシンチレーションイベントを検出するステップと、前記第1のサブアレイと前記第2のサブアレイとが少なくとも1つのサブアレイによって分離されている場合に、前記第1のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第1の信号と、前記第2のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第2の信号とを同時に解析するステップとを含む。
【0022】
別の実施形態では、放射線検出器モジュールの製造方法は、2つの終端サブアレイおよび複数の中間サブアレイを含む複数のシンチレーション結晶サブアレイを製造するステップと、2つの終端部品および複数の中間部品を含む複数のライトガイド部品を製造するステップと、2つの終端セグメントを形成するために、前記終端部品のうちの対応する1つに各終端サブアレイを取り付けるステップと、複数の中間セグメントを形成するために、前記中間部品のうちの対応する1つに各中間サブアレイを取り付けるステップと、前記中間セグメントのうちの少なくとも1つの側面に反射材料を取り付けるステップと、シンチレーション層およびライトガイド層を有するモジュールベースを形成するために、前記終端セグメントおよび前記複数の中間セグメントを一緒に取り付けるステップとを含む。
【0023】
本発明とこれに付随する多くの利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】図1Aは、光センサがシンチレーションアレイを覆って配置されている従来のPET検出器モジュール構造を示す。
【図1B】図1Bは、光センサがシンチレーションアレイを覆って配置されている従来のPET検出器モジュール構造を示す。
【図1C】図1Cは、光センサがシンチレーションアレイを覆って配置されている従来のPET検出器モジュール構造を示す。
【図1D】図1Dは、複数の検出器モジュールを備えたPETスキャナリングを示す。
【図2】図2は、支持構造体、結晶アレイ(シンチレータアレイ)、ライトガイド、及びPMTの配置を含む検出器モジュールの一実施形態を示す。
【図3】図3は、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを含み、各セグメントが結晶アレイ及びライトガイドを含む放射線検出器を示す。
【図4】図4は、セグメント化及び非セグメント化の実施形態における2つのイベントに対するトリガゾーンと光分布の比較とを示す。
【図5】図5は、20cm FOV(Field Of View)の実施形態における結晶サブアレイ及び対応するライトガイド部品を示す。
【図6】図6は、32cm FOVの実施形態における結晶サブアレイ及び対応するライトガイド部品を示す。
【図7】図7は、別の実施形態によるセグメント化された検出器モジュールを示す。
【図8】図8は、従来の検出器モジュールを示す。
【図9】図9は、一実施形態による放射線検出器モジュールの製造方法の各ステップを示す。
【図10A】図10Aは、従来の四方共有構造を示す。
【図10B】図10Bは、従来の四方共有構造を示す。
【図10C】図10Cは、従来の四方共有構造を示す。
【図11A】図11Aは、個別モジュールの実施形態を示す。
【図11B】図11Bは、連続する四方共有方式の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図を参照すると、図1Dは、一実施形態によるPETスキャナ構造200を示す。図1Dに示すように、検出器リング210は、多数の矩形の検出器モジュール220を含む。一実施形態によれば、検出器リング210は、40個の検出器モジュール220を含む。別の実施形態では、スキャナとして大口径サイズを作るために48個のモジュールが使用される。
【0026】
PET検出器モジュールは、シンチレーション結晶素子のアレイと、複数の光センサとを備える。シンチレーション結晶素子のアレイは、実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含む。複数の光センサは、前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信するように構成される。前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子から放射される光が集められて、前記複数の光センサのうちの前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離される。前記複数の光センサのうち、第1のサブアレイの結晶素子から放射される光を受信する少なくとも1つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子から放射される光をさらに受信する。
【0027】
図2は、例えば、支持構造体204と、個別の検出器結晶からなる2次元の結晶アレイ203とを含む検出器モジュール構造を示す。各検出器結晶は、ガンマ線を吸収し、シンチレーション光子を放射する。シンチレーション光子は、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)によって検出される。ライトガイド202は、検出器の結晶アレイとPMT201との間に配置されている。図2に示すように、各検出器モジュールは、さまざまなサイズの多数のPMT201を含み、各PMT201は、複数の検出器結晶を覆っている。各PMT201は、シンチレーションイベントが生じたとき、急激に立ち上がってから指数関数的に減少するアナログ信号を生成する。1つの検出器結晶から放射される光子は、複数のPMT201によって検出できる。しかし、イベントに対応する検出器結晶は、各PMT201で生成されたアナログ信号に基づいて決定できる。
【0028】
図2に示す検出器モジュールは細長い。一般に、長軸は、短軸より3〜4倍以上長い。この構造は、モジュール内部の結晶に対するモジュール端部の結晶の比を最小にし、それでも、適切な計数能力を保証するために十分な数の個別モジュールを作り出す。各モジュールは、光学的に分離され、光センサは、隣接するモジュール間で共有しないので、各モジュールは、個別に較正ができる。
【0029】
図2の検出器モジュールの配列は、計数速度を最大にするためにできるだけ多くの光学的に独立したモジュールを作ることと、光収集を最高にし、エッジ効果を最小にするために大きな連続する検出表面を作ることとの両立を図ったものである。
【0030】
図2の構造は、さらに、検出器の長軸に沿って相当量の光共有及び光混成作用を含む。それに加えて、図2に示す大きな構造体の構成は、詳細な光学的要件を伴い、いくつかの製造課題を提起する場合がある。
【0031】
例えば、本明細書に記載の一実施形態は、モジュール方式のセグメントを使用する図2に示す細長い検出器モジュールの製造方法を対象としている。図3に示すように、結晶アレイ203及びライトガイド202をセグメント化することによって、性能を高く、製造を容易にすることができる。一実施形態では、結晶アレイ203及びライトガイド202を、2つのPMTを連結する中央線にわたってセグメント化する。図3に示す実施形態では、3タイプのセグメントを使用し、各セグメントは、結晶サブアレイ及び対応するライトガイドサブ部品を含む。この実施形態における1つのタイプのセグメントは、図5及び図6に関して詳細に後述する終端タイプのセグメント301である。この実施形態における別のタイプのセグメントは、図5及び図6にも示す中間タイプのセグメント302及び303である。
【0032】
このように、検出器モジュールは、例えば、少なくとも5つのモジュール方式の検出器セグメントを備える。そして、例えば、各検出器セグメントは、第1のセグメントと、第2のセグメントと、第3のセグメントと、第4のセグメントと、第5のセグメントとを含む。第1のセグメントは、シンチレーション結晶素子の終端タイプのアレイ及び終端タイプのライトガイドを含む。第2のセグメントは、シンチレーション結晶素子の中間タイプのアレイ及び第1の中間タイプのライトガイドを含む。第3のセグメントは、シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び第2の中間タイプのライトガイドを含む。第4のセグメントは、シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び前記第1の中間タイプのライトガイドを含む。第5のセグメントは、シンチレーション結晶素子の前記終端タイプのアレイ及び前記終端タイプのライトガイドを含む。
【0033】
そして、検出器モジュールは、対応するサブアレイ内の個別の結晶素子から放射された光が、複数の光センサのうち、対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光を実質的に集めるように構成された反射体素子をさらに備える。
【0034】
また、結晶素子のアレイに含まれる複数のサブアレイそれぞれは、複数の光センサのうちの4つの光センサからなる対応するグループの各部分によって覆われている。また、複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子のいずれかからの光が集められて、4つの光センサからなる前記対応するグループの各部分によって主に受信されるように、光学的に分離される。また、複数の光センサのうち、第1のサブアレイ内の結晶素子から放射される光を受信する少なくとも2つの光センサは、第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイ内の結晶素子から放射される光をさらに受信する。
【0035】
検出器モジュールは、当該検出器モジュールに定義された部分的に重なる複数のトリガゾーンであって、それぞれが複数の光センサのうちの複数の光センサを含む複数のトリガゾーンのうち、少なくとも1つのトリガゾーンに含まれる光センサからの出力信号をシンチレーションイベントごとに集計するように構成された信号処理デバイスをさらに備える。そして、隣接するサブアレイからの光を受信する少なくとも1つの光センサは、2つのトリガゾーンに属する。
【0036】
本実施形態では、例えば、各サブアレイを、図3に示す各結晶サブアレイの周りに反射材料304を取り付けることによって、光学的に分離する。これによって、いくつかの利点がもたらされる。第1に、1つのサブアレイからの光は、同じアレイにとどまり、図4に関して後述するように、隣接するサブアレイとの部分的重複又は混成作用が減少する。第2に、各シンチレーションイベントは、常に4つのPMTのみに作用する。この実施形態では、4つのPMTからなる組のすべてのPMTからの信号は、トリガゾーンを形成するために結合される(すなわち、タイミングトリガ信号を生成するためにアナログ領域で総和されるPMT)。例えば、図4は、PMT1〜PMT4が第1のトリガゾーンを形成し、PMT3〜PMT6が第2のトリガゾーンを形成し、等々により、5つのトリガゾーンを示す。
【0037】
この実施形態のように、小さいトリガゾーンを有することは、タイミング分解能にとって有利である。例えば、各PMTチャンネルのプリアンプによって、信号にいくらかのノイズが加えられるので、トリガゾーン内のチャンネル総数を減らすことによって、ノイズ総量が減るようになる。4つのPMTからなる領域を越えて広がった光は、タイミング信号に影響を与えない。この実施形態では、実質的に、ガンマイベントからのシンチレーション光はすべて単一トリガゾーンに閉じ込められる。信号対雑音比が増大すると、タイミング分解能が向上する。部分的に重なるトリガゾーンの境界線は、光センサの中心と整合するので、セグメントの境界線(合わせ目)もまた、光センサの中心と整合し、この利点を完全に実現できることになる。
【0038】
さらに、2つのイベントは、これらのイベントがいずれのPMTをも共有していないという条件で、同時に処理することが可能である。この条件は、対象の2つのイベント間に1つ以上のサブアレイがあった場合に、ただちに成立する。これらのイベントは、各ガンマ線の到達時間、エネルギー、及び相互作用位置の推定値を生成するために、アナログ及びデジタルの電子部品の組み合わせを用いて処理される。ほとんどの従来型ガンマ線検出システムでは、タイミングは、PMTからの多数の信号のアナログ合計による複合タイミング信号の生成から導き出される。次に、リーディングエッジディスクリミネータ又はコンスタントフラクションディスクリミネータが複合信号に適用される。
【0039】
信号が合計されるPMTは、「トリガゾーン」と呼ばれることが多い。トリガゾーンは、部分的に重なっている場合や切り離されたままの場合がある。一実施形態では、トリガゾーンは部分的に重なっている。イベントの到達時間を導き出すために利用されるだけでなく、各トリガゾーンに対する合計信号は、通常、エネルギー及び位置の情報の取得又は処理を始動する。一般に、各PMTは、典型的に整形フィルタ及びアナログデジタル変換器を含む電子部品の個別チャンネルに接続される。取得がトリガされると、トリガゾーン内の各PMTに対するPMT信号が、所定の時間ウィンドウの間ずっと積算される。次に積算された積算信号は、デジタル方式で合計され、イベントのエネルギーの推定値が生成され、これらの信号を使う重心計算を用いて相互作用の位置が推定される。最新のシステムは、タイミング、エネルギー、及び位置の推定値を改善するために、多くの場合格納されたルックアップテーブルに基づく多重補正を含む。
【0040】
このように、検出器モジュールを用いた信号処理方法では、検出モジュールが、複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイから第1のシンチレーションイベントを検出する。また、検出モジュールが、複数のサブアレイのうち、少なくとも1つのサブアレイによって第1のサブアレイと分離された第2のサブアレイから第2のシンチレーションイベントを検出する。そして、信号処理デバイスが、第1のサブアレイと第2のサブアレイとが少なくとも1つのサブアレイによって分離されている場合に、第1のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第1の信号と、第2のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第2の信号とを同時に解析する。
【0041】
また、信号処理デバイスが、第1の信号と前記第2の信号とを解析する際に、第1のシンチレーションイベントに対する第1の位置、第1のエネルギー、及び第1の到達時間を決定し、第2のシンチレーションイベントに対する第2の位置、第2のエネルギー、及び第2の到達時間を決定する。
【0042】
さらに、図4の下部に示すように、1つのシンチレーションイベントからの光は、より少ないセンサに振り向けられ、検出の統計学的品質を高め、その結果高度なタイミング情報を生み出すことになる。図4の上部に示す非セグメント化構造では、2つのイベントからの光分布は、部分的に重なる(相互干渉又はパイルアップの)可能性があり、特に高速計数では、検出の品質が低下する。
【0043】
さらに、図3のセグメント化手法によって製造がより容易で経済的になる。結晶は、スキャナの中で際立って最も高価な構成要素なので、結晶アレイの製造歩留りをより高くすべきである。悪影響を及ぼす不良アレイが小さいサブアレイのみであるため、コスト面に与える影響を比較的小さく抑えながら不良など性能の低いアレイを排除できるので、その歩留り向上は実現される。
【0044】
さらに、異なるセグメントに対する結晶サブアレイ及びライトガイド部品は、光学的に連結でき(例えば、接着剤で結合される)、個別に検査が可能である。従って、1つのセグメントに対する問題は、検出器モジュール全体を再製造することなく修復できる。さらに、小さい結晶サブアレイは、製造及び取り扱いがより容易であり、コスト削減につながる。
【0045】
さらに、さまざまなサイズの検出器モジュールを作ることができ、かつ同一セットのサブアレイを使って容易に保守できる。例えば、図5に示すように、20cm長の検出器は、2タイプの結晶サブアレイ(2つの12×16終端アレイ及び3つの8×16中間アレイ)と3タイプのライトガイドサブ部品(1つの終端部品及び2タイプの中間部品)とを使って作ることができる。さらに、図6に示すように、32cm検出器モジュールは、同じサブアレイ(2つの12×16終端アレイ及び3つの8×16中間アレイ)と同じライトガイドサブ部品とを使って作ることができる。特に、32cm検出器モジュールには、2つの終端部品に加えて、第1タイプの中間部品4つと、第2タイプの中間部品3つとが使われている。別のサイズの結晶サブアレイ及び別の組み合わせ又はサイズのライトガイド部品も使用可能である。
【0046】
このように、例えば、検出器モジュールは、9つのモジュール方式の検出器セグメントを備える。また、例えば、検出器モジュールは、奇数の中間モジュール方式の検出器セグメントと、2つの終端モジュール方式の検出器セグメントとを含む。
【0047】
繰り返すが、結晶は、高価な構成要素であるので、製造過程において異なるタイプのスキャナ間で共用の構成要素を使用し、実際の市場の状況に応じて各タイプに必要な割合を作ると極めて効率的となる。
【0048】
図9は、一実施形態による放射線検出器モジュールを製造する方法の各ステップを示す。
【0049】
ステップ910では、2つの終端サブアレイ及び複数の中間サブアレイを含む複数のシンチレーション結晶サブアレイを作る。例えば、図5及び図6を参照のこと。
【0050】
ステップ920では、2つの終端部品及び複数の中間部品を含む複数のライトガイド部品を作る。例えば、各ライトガイド部品が、1つ以上のPMTの一部分を保持するための少なくとも1つのくぼんだ部分を含むことを示す図3を参照のこと。
【0051】
ステップ930では、2つの終端セグメントを形成するために、終端ライトガイド部品のうちの対応する1つに各終端サブアレイを取り付ける。
【0052】
ステップ940では、複数の中間セグメントを形成するために、中間部品のうちの対応する1つに各中間サブアレイを取り付ける。例えば、図3、図5、及び図6を参照のこと。
【0053】
ステップ950では、反射材料を終端及び中間のセグメントのそれぞれの側面に取り付ける。
【0054】
ステップ960では、シンチレーション層及びライトガイド層を有するモジュールベースを形成するために、終端セグメント及び複数の中間セグメントを、例えば、図5及び図6の一方に示す順序で一緒に取り付ける。
【0055】
ステップ970では、光センサを所定位置に保持するために、複数の光センサをモジュールベース上にくぼんだ部分を使って配列する。この場合、複数の光センサは、異なるサイズの光センサを含むことができる。
【0056】
ステップ980では、複数の光センサ及びモジュールベースを、図2に示す支持構造体204内に配置する。
【0057】
なお、例えば、ステップ920は、各ライトガイド部品内に、それぞれ異なるサイズの光センサを保持するための少なくとも2つのくぼんだ部分を形成するステップを含み、ステップ970は、異なるサイズの光センサを含む複数の光センサをモジュールベース上に配列するステップを含んでもよい。
【0058】
また、例えば、ステップ920は、少なくとも1つの第1のタイプの中間部品及び少なくとも1つの第2のタイプの中間部品を製造するステップを含んでもよい。
【0059】
別の実施形態では、上述の概念は、各サブアレイを位置決め計算の実行に必要な最小数のセンサに連結する必要があるという規則に従って、別の構造に適用できる。例えば、図7に示すように、必要な最小数のセンサは、最上部の構造では4つであるが、図7に示す下の2つの構造では、必要な最小数のセンサは3つである。なお、図7に示す点線は、モジュールをどのようにセグメント化するかを示しているが、セグメントのすべては示していない。
【0060】
図11A及び図11Bは、複数の個別モジュール(例えば図11Aに示すようなモジュール)をそれぞれの間隙が最小となるように近接して配置できるセグメント化された構造を示す。また、図11Bは、それらの独立性を保持するセグメント化された構造を示す。特に、図11Bのモジュール間の間隙は光センサの幅より極めて小さく、単一の結晶幅の同等以下となる、例えば4mm未満に相当する。
【0061】
このように、複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、前記光センサのうちの1つの幅より互いに近接して配列される。また、複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、互いの間を4mmより狭く配列される。
【0062】
このような配列を実現できる理由は、第1のサブアレイ内の結晶から放射される光を受信する(モジュール内の複数の光センサのうちの)少なくとも1つの光センサはまた、第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイ内の結晶から放射される光も受信するからである。単一の光センサが、3つ以上のサブアレイ間で共有される(すなわち、光センサが、2つの直交する方向にまたがるサブアレイ間で共有される)従来の四方共有手法とは異なり、本実施形態では、光センサは、2つ以下のサブアレイ間で、かつ一方向で共有されるだけである。
【0063】
図11Bに示す配列は、セグメント化されたモジュール手法の実用的な利点であり、それは、各モジュールを、スキャナ内に設置する前に、完全に試験及び較正できるからである。さらに、モジュールの交換が必要な時、交換が早くできるのは、交換モジュールを隣接するモジュールに光学的に連結する必要がなく、かつ、モジュールを設置前に予め較正できるからである。
【0064】
なお、一実施形態では、センサアレイは、実質的に結晶アレイと同じサイズであるため、組立サイズに制限が加えられる。また、一実施形態では、結晶アレイは、製造公差及び組立公差を考慮して実質的にセンサ直径のサイズと同じか少し小さくなる。
【0065】
上述のように、本明細書に記載した実施形態は、コスト低減、検出に有効な光の総量の増大、及び、高速計数において連続検出器よりも優れた性能を提供する。
【0066】
一定の実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示したのであって、本発明の範囲を限定するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法及びシステムは、さまざまな別の形式で具体化が可能である。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形式においてさまざまな省略、置換、及び変更は、本発明の精神を逸脱することなく行うことが可能である。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本発明の範囲及び精神の範囲内に収まるであろう形式又は改変を網羅するものである。
【符号の説明】
【0067】
220 検出器モジュール
201 光センサ
203 結晶アレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含むシンチレーション結晶素子のアレイと、
前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信するように構成された複数の光センサとを備え、
前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子から放射される光が集められて、前記複数の光センサのうちの前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離され、
前記複数の光センサのうち、第1のサブアレイの結晶素子から放射される光を受信する少なくとも1つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子から放射される光をさらに受信する
ことを特徴とするPET検出器モジュール。
【請求項2】
前記複数のサブアレイそれぞれは、前記複数の光センサのうちの4つの光センサからなる対応するグループの各部分によって覆われており、
前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子のいずれかからの光が集められて、4つの光センサからなる前記対応するグループの各部分によって主に受信されるように、光学的に分離され、
前記複数の光センサのうち、前記第1のサブアレイ内の結晶素子から放射される光を受信する少なくとも2つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイ内の結晶素子から放射される光をさらに受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項3】
当該PET検出器モジュールに定義された部分的に重なる複数のトリガゾーンであって、それぞれが前記複数の光センサのうちの複数の光センサを含む複数のトリガゾーンのうち、少なくとも1つのトリガゾーンに含まれる光センサからの出力信号をシンチレーションイベントごとに集計するように構成された信号処理デバイスをさらに備え、
隣接するサブアレイからの光を受信する少なくとも1つの光センサは、2つのトリガゾーンに属することを特徴とする請求項1又は2に記載のPET検出器モジュール。
【請求項4】
前記対応するサブアレイ内の前記個別の結晶素子から放射された光が、前記複数の光センサのうち、前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、前記光を実質的に集めるように構成された反射体素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項5】
複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを備え、
各検出器セグメントは、
シンチレーション結晶素子のアレイと、
前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列されたライトガイドと、
シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列された反射体とを含み、
各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される
ことを特徴とする放射線検出器。
【請求項6】
少なくとも5つのモジュール方式の検出器セグメントを備え、
各検出器セグメントは、
シンチレーション結晶素子の終端タイプのアレイ及び終端タイプのライトガイドを含む第1のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の中間タイプのアレイ及び第1の中間タイプのライトガイドを含む第2のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び第2の中間タイプのライトガイドを含む第3のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び前記第1の中間タイプのライトガイドを含む第4のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の前記終端タイプのアレイ及び前記終端タイプのライトガイドを含む第5のセグメントと
を含んだことを特徴とする請求項5に記載の放射線検出器。
【請求項7】
9つのモジュール方式の検出器セグメントを備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
奇数の中間モジュール方式の検出器セグメントと、2つの終端モジュール方式の検出器セグメントとを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の放射線検出器。
【請求項9】
互いに隣接して配列されて円筒形の検出器リングを形成する複数の検出器モジュールを備え、
各検出器モジュールは、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを含み、
各検出器セグメントは、
シンチレーション結晶素子のアレイと、
前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列されたライトガイドと、
シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列された反射体とを含み、
各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される
ことを特徴とするPETスキャナシステム。
【請求項10】
前記複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、前記光センサのうちの1つの幅より互いに近接して配列されることを特徴とする請求項9に記載のPETスキャナシステム。
【請求項11】
前記複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、互いの間を4mmより狭く配列されることを特徴とする請求項9又は10に記載のPETスキャナシステム。
【請求項12】
実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含むシンチレーション結晶素子のアレイと、当該アレイを覆うように配列され、当該アレイから放射される光を受信するように構成された複数の光センサとを有するPET検出器モジュールを用いた信号処理方法であって、
前記PET検出モジュールが、
前記複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイから第1のシンチレーションイベントを検出するステップと、
前記複数のサブアレイのうち、少なくとも1つのサブアレイによって前記第1のサブアレイと分離された第2のサブアレイから第2のシンチレーションイベントを検出するステップと、
信号処理デバイスが、
前記第1のサブアレイと前記第2のサブアレイとが少なくとも1つのサブアレイによって分離されている場合に、前記第1のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第1の信号と、前記第2のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第2の信号とを同時に解析するステップと
を含むことを特徴とする信号処理方法。
【請求項13】
前記第1の信号と前記第2の信号とを解析するステップは、
前記信号処理デバイスが、
前記第1のシンチレーションイベントに対する第1の位置、第1のエネルギー、及び第1の到達時間を決定するステップと、
前記第2のシンチレーションイベントに対する第2の位置、第2のエネルギー、及び第2の到達時間を決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項12に記載の信号処理方法。
【請求項14】
放射線検出器モジュールの製造方法であって、
2つの終端サブアレイおよび複数の中間サブアレイを含む複数のシンチレーション結晶サブアレイを製造するステップと、
2つの終端部品および複数の中間部品を含む複数のライトガイド部品を製造するステップと、
2つの終端セグメントを形成するために、前記終端部品のうちの対応する1つに各終端サブアレイを取り付けるステップと、
複数の中間セグメントを形成するために、前記中間部品のうちの対応する1つに各中間サブアレイを取り付けるステップと、
前記中間セグメントのうちの少なくとも1つの側面に反射材料を取り付けるステップと、
シンチレーション層およびライトガイド層を有するモジュールベースを形成するために、前記終端セグメントおよび前記複数の中間セグメントを一緒に取り付けるステップと
を含んだことを特徴とする製造方法。
【請求項15】
前記複数のライトガイド部品を製造するステップは、各ライトガイド部品内に、それぞれの光センサを保持するための少なくとも1つのくぼんだ部分を形成するステップを含み、
前記モジュールベース上に複数の光センサを配列するステップをさらに含んだことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記複数のライトガイド部品を製造するステップは、各ライトガイド部品内に、それぞれ異なるサイズの光センサを保持するための少なくとも2つのくぼんだ部分を形成するステップを含み、
異なるサイズの光センサを含む複数の光センサを前記モジュールベース上に配列するステップをさらに含んだことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記複数のライトガイド部品を製造するステップは、少なくとも1つの第1のタイプの中間部品及び少なくとも1つの第2のタイプの中間部品を製造するステップを含むことを特徴とする請求項14、15又は16に記載の製造方法。
【請求項1】
実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含むシンチレーション結晶素子のアレイと、
前記アレイを覆うように配列され、前記アレイから放射される光を受信するように構成された複数の光センサとを備え、
前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子から放射される光が集められて、前記複数の光センサのうちの前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、光学的に分離され、
前記複数の光センサのうち、第1のサブアレイの結晶素子から放射される光を受信する少なくとも1つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイの結晶素子から放射される光をさらに受信する
ことを特徴とするPET検出器モジュール。
【請求項2】
前記複数のサブアレイそれぞれは、前記複数の光センサのうちの4つの光センサからなる対応するグループの各部分によって覆われており、
前記複数のサブアレイは、対応するサブアレイ内に配置された個別の結晶素子のいずれかからの光が集められて、4つの光センサからなる前記対応するグループの各部分によって主に受信されるように、光学的に分離され、
前記複数の光センサのうち、前記第1のサブアレイ内の結晶素子から放射される光を受信する少なくとも2つの光センサは、前記第1のサブアレイに隣接する唯一のサブアレイ内の結晶素子から放射される光をさらに受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項3】
当該PET検出器モジュールに定義された部分的に重なる複数のトリガゾーンであって、それぞれが前記複数の光センサのうちの複数の光センサを含む複数のトリガゾーンのうち、少なくとも1つのトリガゾーンに含まれる光センサからの出力信号をシンチレーションイベントごとに集計するように構成された信号処理デバイスをさらに備え、
隣接するサブアレイからの光を受信する少なくとも1つの光センサは、2つのトリガゾーンに属することを特徴とする請求項1又は2に記載のPET検出器モジュール。
【請求項4】
前記対応するサブアレイ内の前記個別の結晶素子から放射された光が、前記複数の光センサのうち、前記対応するサブアレイを覆う光センサによって主に受信されるように、前記光を実質的に集めるように構成された反射体素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項5】
複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを備え、
各検出器セグメントは、
シンチレーション結晶素子のアレイと、
前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列されたライトガイドと、
シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列された反射体とを含み、
各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される
ことを特徴とする放射線検出器。
【請求項6】
少なくとも5つのモジュール方式の検出器セグメントを備え、
各検出器セグメントは、
シンチレーション結晶素子の終端タイプのアレイ及び終端タイプのライトガイドを含む第1のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の中間タイプのアレイ及び第1の中間タイプのライトガイドを含む第2のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び第2の中間タイプのライトガイドを含む第3のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の前記中間タイプのアレイ及び前記第1の中間タイプのライトガイドを含む第4のセグメントと、
シンチレーション結晶素子の前記終端タイプのアレイ及び前記終端タイプのライトガイドを含む第5のセグメントと
を含んだことを特徴とする請求項5に記載の放射線検出器。
【請求項7】
9つのモジュール方式の検出器セグメントを備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
奇数の中間モジュール方式の検出器セグメントと、2つの終端モジュール方式の検出器セグメントとを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の放射線検出器。
【請求項9】
互いに隣接して配列されて円筒形の検出器リングを形成する複数の検出器モジュールを備え、
各検出器モジュールは、複数の隣接するモジュール方式の検出器セグメントを含み、
各検出器セグメントは、
シンチレーション結晶素子のアレイと、
前記シンチレーション結晶素子のアレイに隣接して配列されたライトガイドと、
シンチレーションイベントによって前記検出器セグメント内で発生した光が実質的に当該検出器セグメントに閉じ込められるように、前記検出器セグメントの周辺に配列された反射体とを含み、
各検出器セグメントは、前記セグメントのうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された複数の光センサに連結される
ことを特徴とするPETスキャナシステム。
【請求項10】
前記複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、前記光センサのうちの1つの幅より互いに近接して配列されることを特徴とする請求項9に記載のPETスキャナシステム。
【請求項11】
前記複数の検出器モジュールは、それぞれ独立しており、前記円筒状の検出器リングを形成するように、互いの間を4mmより狭く配列されることを特徴とする請求項9又は10に記載のPETスキャナシステム。
【請求項12】
実質的に光学的に分離された複数のサブアレイを含むシンチレーション結晶素子のアレイと、当該アレイを覆うように配列され、当該アレイから放射される光を受信するように構成された複数の光センサとを有するPET検出器モジュールを用いた信号処理方法であって、
前記PET検出モジュールが、
前記複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイから第1のシンチレーションイベントを検出するステップと、
前記複数のサブアレイのうち、少なくとも1つのサブアレイによって前記第1のサブアレイと分離された第2のサブアレイから第2のシンチレーションイベントを検出するステップと、
信号処理デバイスが、
前記第1のサブアレイと前記第2のサブアレイとが少なくとも1つのサブアレイによって分離されている場合に、前記第1のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第1の信号と、前記第2のシンチレーションイベントに関係する各光センサからの第2の信号とを同時に解析するステップと
を含むことを特徴とする信号処理方法。
【請求項13】
前記第1の信号と前記第2の信号とを解析するステップは、
前記信号処理デバイスが、
前記第1のシンチレーションイベントに対する第1の位置、第1のエネルギー、及び第1の到達時間を決定するステップと、
前記第2のシンチレーションイベントに対する第2の位置、第2のエネルギー、及び第2の到達時間を決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項12に記載の信号処理方法。
【請求項14】
放射線検出器モジュールの製造方法であって、
2つの終端サブアレイおよび複数の中間サブアレイを含む複数のシンチレーション結晶サブアレイを製造するステップと、
2つの終端部品および複数の中間部品を含む複数のライトガイド部品を製造するステップと、
2つの終端セグメントを形成するために、前記終端部品のうちの対応する1つに各終端サブアレイを取り付けるステップと、
複数の中間セグメントを形成するために、前記中間部品のうちの対応する1つに各中間サブアレイを取り付けるステップと、
前記中間セグメントのうちの少なくとも1つの側面に反射材料を取り付けるステップと、
シンチレーション層およびライトガイド層を有するモジュールベースを形成するために、前記終端セグメントおよび前記複数の中間セグメントを一緒に取り付けるステップと
を含んだことを特徴とする製造方法。
【請求項15】
前記複数のライトガイド部品を製造するステップは、各ライトガイド部品内に、それぞれの光センサを保持するための少なくとも1つのくぼんだ部分を形成するステップを含み、
前記モジュールベース上に複数の光センサを配列するステップをさらに含んだことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記複数のライトガイド部品を製造するステップは、各ライトガイド部品内に、それぞれ異なるサイズの光センサを保持するための少なくとも2つのくぼんだ部分を形成するステップを含み、
異なるサイズの光センサを含む複数の光センサを前記モジュールベース上に配列するステップをさらに含んだことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記複数のライトガイド部品を製造するステップは、少なくとも1つの第1のタイプの中間部品及び少なくとも1つの第2のタイプの中間部品を製造するステップを含むことを特徴とする請求項14、15又は16に記載の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2012−88306(P2012−88306A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210687(P2011−210687)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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