POSシステムおよびPOSシステムの制御方法
【課題】既存のPOSシステムのアプリケーションプログラムを変更することなく、新たな機能を追加できるようにしたPOSシステムを提供すること。
【解決手段】既存のPOS端末装置30において、POS印刷装置34、入力装置32、表示装置33のいずれかが接続されていたPOS端末装置30の接続ポート21a〜23aの少なくとも一つと、対応する入出力制御装置12の接続ポート21b〜23bを接続する。POS端末装置の30の接続ポート21a〜23aに従来から接続されていた入力装置等32〜34を、対応する入出力制御装置12の接続ポートに接続する。入出力制御装置12には、さらに付加機能提供サーバ50を接続する。入出力制御装置12は、入力装置等32〜34とPOS端末装置30相互間のデータを中継する際に、受信データを監視し、所定の条件(検証条件)を満足する情報を検出したときに付加機能提供サーバ50に知らせ、付加機能の提供を受ける。
【解決手段】既存のPOS端末装置30において、POS印刷装置34、入力装置32、表示装置33のいずれかが接続されていたPOS端末装置30の接続ポート21a〜23aの少なくとも一つと、対応する入出力制御装置12の接続ポート21b〜23bを接続する。POS端末装置の30の接続ポート21a〜23aに従来から接続されていた入力装置等32〜34を、対応する入出力制御装置12の接続ポートに接続する。入出力制御装置12には、さらに付加機能提供サーバ50を接続する。入出力制御装置12は、入力装置等32〜34とPOS端末装置30相互間のデータを中継する際に、受信データを監視し、所定の条件(検証条件)を満足する情報を検出したときに付加機能提供サーバ50に知らせ、付加機能の提供を受ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSシステムにおいて、POSサーバ及びPOS端末装置のアプリケーションに変更を加えることなく、新たな付加価値の提供を可能にするPOSシステム、印刷装置、入出力制御装置、及び入出力制御装置のデータ中継処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーやコンビニエンス・ストア等の小売業において用いられるPOSシステム(販売時点情報管理システム)では、購入商品並びにその金額に関するいわゆる商品情報に、商品広告やイベント告知などの広告情報を付加したレシート印刷データを生成して、これを印刷装置に送信して、レシート上に情報を印刷させるPOSシステムが広く利用されている。また、最近は広告情報だけでなく、クーポン券や抽選券としての情報が付加される場合もあり、レシートは販売促進に有効な広告手段となっている。
【0003】
ところで、上記のような広告情報を付加し得る機能を有しない既存のPOSシステムに、広告情報を付加する機能を追加する場合、既存のPOSサーバやPOS端末装置の大幅な改造が必須となり、多額の投資が必要となってしまう。効果的な広告手段であるにも関わらず、その利用を断念せざるを得ない小売業が多かった。そのため、最小限の投資で広告情報を付加する機能を有するPOSシステムを構成するために、ホスト端末と印刷装置との間にアダプタ装置を設けて、既存のPOSシステムに大幅な改造を加えることなく、広告情報を提供するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献は、アダプタ装置を介して管理サーバに接続し、管理サーバにおいて、広告情報を提供する発明を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−13708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献に記載のアダプタ装置は、広告情報のレシート印刷を少ない投資で実現するという点で有効である。しかし、このアダプタ装置の機能は、管理サーバと印刷装置の間の印刷データを調整するものに限定されている。すなわち、ホスト装置からの印刷データに広告情報を付加した印刷データを生成して、印刷装置に印刷させようとするものであり、提供できるサービスは、管理サーバからの広告情報を追加する機能に限定される。そのため、特許文献に記載のアダプタ装置では、POSシステム側において複雑かつ多様な対応や、新たな機能を追加することはできない。
【0006】
一方、近時の傾向として、販売時点において、多様化したサービスの提供が求められるようになってきている。このようなサービスの要求は、競合店との差別化戦略上重要である。例えば、コーリングカードの発行サービス、公共料金の支払い、小切手等のデジタル処理等、小売販売時点において多様なサービスの提供を実現することにより、サービスの差別化、顧客サービスの質の向上を図ることが可能となり、これらの処理を実現するシステムの早期導入がビジネスの優位性に直結する。
【0007】
しかし、このような多様な付加価値サービスを提供するためには、POSサーバ、POS端末アプリケーションの大幅な改造と多額の投資が必要となる。特に、小規模な小売店舗では、新たなサービス提供のために、頻繁にアプリケーションの変更をすることが困難であり、付加価値サービスのタイムリーな提供が困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、複雑で多種多様な中間操作を必要とする新たな機能を、既存のPOSアプリケーションを変更することなく、自由に付加し得るPOSシステム、印刷装置、入出力制御装置、及び入出力制御装置のデータ中継処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様にかかるPOSシステムは、購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、少なくとも表示情報の一部及び印刷データの一部を生成して出力するPOS端末装置と、POS端末装置に新たな機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置と、入力装置、表示装置及び印刷装置の少なくとも一つと、POS端末装置と、付加機能提供装置とに接続されており、接続されている装置間のデータの送受信を中継する入出力制御装置と、を備えるPOSシステムであって、入出力制御装置は、接続されている一部又は全ての装置からの受信データについて、所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、受信データが検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、受信データが検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、検証部の検証結果に応じて、処理手順に従って受信データを処理し、受信データの一部又は全部を、接続された一部又は全ての装置に出力するデータ処理部とを備えることを特徴とする。この態様によると、入出力制御装置に対して、印刷装置のみならず入力装置及び表示装置を接続することが可能になる。さらに、追加する付加機能に固有の入力又は表示が必要である場合に、入力装置及び表示装置等を接続して、中間操作に必要な入力及び表示が可能となる。
【0010】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置が、さらに、各入力ポート毎に個別の検証条件もしくは複数の入力ポート共通の検証条件を記憶する検証条件記憶部と、入力ポートからの受信データを記憶するデータ記憶部とを備えることを特徴とする。この態様によると、各入力ポートに受信データを記憶しておき、必要に応じて加工処理して、所定の装置に送信することができる。また、受信データを他の装置に送信した後、その装置からの応答データと、記憶している受信データとを編集することが可能である。
【0011】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、さらに、付加機能提供装置が提供する機能に応じて、入出力制御装置に第2の印刷装置その他の装置を接続可能であることを特徴とする。この態様によると、既存のPOSシステムの装置をそのまま使用しつつ、必要な機能を有する装置を追加するのみで、新たな付加機能の提供が可能となる。単機能の印刷装置を使用している場合に、その装置を有効利用することができる。
【0012】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、データ処理部が、第2の処理手順の実行により、検証条件を変更可能であることを特徴とする。この態様によると、第2の処理手順中に、所定のデータを受信したときに、所定のポートの検証条件として新たな検証条件を付加し、又は所定の検証条件を変更するように設定しておくことができる。これにより、第2の処理手順に従って、複数の装置と複数回送受信する場合の処理を、処理の順番に従って効率的に実行させることが可能となる。また、検証部による検証負荷を軽減することが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置が、第2の処理手順に基づいて、付加機能提供装置からの受信データの種類に応じて、受信データの一部又は全部を接続されている装置に選択的に出力することができることを特徴とする。この態様によると、付加機能提供装置からの送信データ中に特別の識別符号(識別情報)を含ませることにより、入出力制御装置において受信データの種類を特定し、その種類に応じて、送信先を選択的に振り分けるようにすることができる。
【0014】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、付加機能提供装置が、前記入出力制御装置からの送信情報に対応した暗証番号、送信情報に基づき更新される更新情報、及び送信情報に基づき所定のデータベースから検索して抽出した抽出情報のうちの一部又は全てを含んでいる、発行情報を出力する付加情報発行装置からなり、入出力制御装置は、受信データ中に検証条件を満足する合致情報を検出したときに、第2の処理手順に従い、合致情報を送信情報として付加情報発行装置に送信し、付加情報発行装置から受信した情報を、POS印刷装置又は他の印刷装置に印刷データとして出力することを特徴とする。この態様によると、精算カウンタにおいて、POSシステムにコーリングカード発行機能を付加して、コーリングカードの発行が可能になる。顧客が精算カウンタに提示した購入カードそのものは、精算処理をしない限りコーリングカード機能を有しないため、たとえ購入カードが盗難されても損害が発生せず、セキュリティの観点から有用である。
【0015】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置に、POS印刷装置が接続されており、入出力制御装置を介してPOS端末装置からPOS印刷装置へ印刷データを出力するPOSシステムであって、入出力制御装置は、POS端末装置から受信した印刷データ中に合致情報を検出したときに、付加情報発行装置に対して、合致情報を送信情報として送信することを特徴とする。この態様によると、入出力制御装置が、コーリングカードの購入を検出したときに、コーリングカードを発行するものである。
【0016】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置に、POS印刷装置及び入力装置が接続されており、入出力制御装置を介してPOS端末装置とPOS印刷装置及び入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、入出力制御装置は、入力装置から受信した受信データ中に合致情報を検出したときに、付加情報発行装置に対して、合致情報を送信情報として送信することを特徴とする。この態様によると、例えば、入出力制御装置が、入力装置からの購入商品情報としてコーリングカードの購入を検出したときに、コーリングカードを発行するものである。
【0017】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置に、少なくとも顧客用表示器と、顧客によるデータ入力が可能な顧客入力装置が接続されており、付加情報発行装置は、検証条件に合致した情報を受信したときに、入出力制御装置に暗証番号の入力を要求し、入力された暗証番号が所定の条件を満たす場合に付加情報を発行する暗証番号処理部を備え、入出力制御装置は、付加情報発行装置からの暗証番号の入力要求を受信したときに、第2の処理手順に基づき、顧客用表示器に暗証番号の入力を促す表示を行うとともに、顧客入力装置から入力された暗証番号を付加情報発行装置に送信することを特徴とする。この態様によると、例えば、顧客の希望する暗証番号をコーリングカードの通話用の暗証番号とすることができる。固有の暗証番号であるので、顧客にとって通話サービスの利用が便利になる。
【0018】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、POS印刷装置又は第2の印刷装置により、付加情報発行装置から送信された発行情報を印刷することを特徴とする。この態様によると、例えば、購入カードの裏面に情報を印刷することができ、購入カードを有効に利用することが可能となる。また、顧客の希望により、暗証番号の印刷を行わないことも可能である。
【0019】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、POS印刷装置又は第2の印刷装置により、付加情報発行装置から送信された発行情報を複数の印刷装置に分けて印刷することを特徴とする。この態様によると、例えば、電話番号を購入カードに印刷し、暗証番号をレシートに印刷するようにすることができる。コーリングカード購入の際に、顧客が好みの暗証番号を入力する場合には、暗証番号は必ずしもコーリングカード上に印刷する必要が無い。また、紛失した場合を考慮すると、コーリングカード上に暗証番号を印刷することは好ましくない。このため、暗証番号だけは、レシートに印刷する方がより安全である。暗証番号をコーリングカード上に印刷するか、レシート上に印刷するか、印刷しないかを顧客の選択に応じて行うことも可能である。
【0020】
本発明の印刷装置は、上記のいずれかの態様のPOSシステムの入出力制御装置を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明の入出力制御装置は、少なくとも、購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、表示情報及び印刷データを生成して出力するPOS端末装置とを備えるPOSシステムにおいて、入力装置、表示装置及び印刷装置の少なくとも一つと、POS端末装置と、POS端末装置により提供されない機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置とに接続されており、接続されている全ての装置からの受信データが所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、受信データが検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、受信データが検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、検証部の検証結果に応じて、処理手順に従って受信データを処理し、受信データを接続された装置に出力するデータ処理部とを備え、接続されている装置間のデータの送受信を中継することを特徴とする。
【0022】
本発明の入出力制御装置のデータ中継方法は、入力装置、POS端末装置、表示装置及び印刷装置の各装置の一部又は全部、及び付加機能提供装置と接続されており、各装置間の入出力データを中継処理する入出力制御装置のデータ中継方法であって、(a)各装置からの受信データが、各入力ポート毎に規定されている所定の検証条件を満たすか否かを検証する工程と、(b)受信データが所定の検証条件を満たさないときには、第1の処理手順に従い、POS端末装置又は印刷装置に送信する工程と、(c)受信データが所定の検証条件を満たすときには、第1の処理手順による処理に加えて、又は第1の処理手順による処理と置き換えて、第2の処理手順に従い受信データを付加機能提供装置に送信する工程と、(d)付加機能提供装置から受信したデータを、第2の処理手順に従い処理する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のPOSシステムでは、入力装置及びPOS印刷装置等と、POS端末装置とのデータの送受信を中継可能な入出力制御装置を設けるとともに、該入出力制御装置に多様な装置を自由に接続し、該入出力制御装置を介して相互にアクセスすることにより、POS端末装置のアプリケーション及びPOSサーバのアプリケーションを変更することなく、POSシステムに付加機能を提供することが可能となる。これにより、新しい付加機能を低コストで実現することが可能となる。また、ネットワークを通じてコンテンツ提供業者が提供する新たなサービスを自社のPOSシステムに容易に組み込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかるPOSシステム及び入出力制御装置を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる入出力制御装置の機能ブロック図である。
【図3】POS端末装置とPOSサーバの基本構成示すブロック図である。
【図4】カード発行サーバ50−1の一実施形態のブロック図である。
【図5】POSシステムで一般的に使用されるPOS印刷装置の機能ブロック図である。
【図6】(a)は1000円のコーリングカードを購入する購入カードの一例を示し、(b)は購入カード70の裏面に電話番号及び暗証番号が印刷された例を示し、(c)はレシート印刷の例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示すブロック図である。
【図8】入出力制御装置及び付加機能提供サーバ(カード発行サーバ)の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】POS端末装置及びPOSサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態にかかるレシート印刷の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るPOSシステム、入出力制御装置、及びPOSプリンタ(印刷装置)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、購入商品の精算処理を行うPOS端末装置と、当該POS端末装置に購入商品データを入力する入力装置と、POS端末装置からの印刷データをレシートに印刷するPOS印刷装置とにより構成される既存のPOSシステム(販売時点情報管理システム)を用いて、容易に新たな機能を付加するものである。そのため、付加する機能に応じて、入力装置及びPOS印刷装置(既存の入力装置及び印刷装置を含む)の全部または一部を、入出力制御装置を介してPOS端末装置に接続する。入出力制御装置は、接続されたPOS端末装置と各装置間のデータ送信を相互に中継する。入出力制御装置は、受信データを中継する際に、受信データ中に所定の検証条件を満足するデータが存在するかどうかを検証する。存在する場合には、入出力制御装置は付加機能提供装置に受信データを送信し、付加機能の提供を促す。これにより、既存のPOSサーバアプリケーション、POS端末装置アプリケーションを変更することなく、新しい付加価値サービスを提供するPOSシステムを構築することができる。
【0026】
以下、スーパーやコンビニエンス・ストア等の店舗にて利用され、オペレータによって入力された商品販売に関する入力情報に基づいてレシートを発行するPOSシステムを例に挙げて説明する。
【0027】
(本発明の一実施形態にかかるPOSシステム)
図1に本発明の一実施形態にかかるPOSシステム10及び入出力制御装置12を示す。図中、既存のPOSシステムを破線の枠60で示している。既存のPOSシステム60においては、破線で示す入力装置32、表示装置33、及び実線で示すPOS印刷装置34が、POS端末装置30の入出力ポートに接続されている。本発明の実施形態では、これらの入力装置32、表示装置33、POS印刷装置34は入出力制御装置12を介して、POS端末装置30に接続される。
【0028】
さらに、既存のPOSシステム60に付加機能を追加するための付加機能提供装置が接続されている。図1の実施形態においては、付加機能提供装置として、インターネット等の外部ネットワーク61に接続された複数の付加機能提供サーバ50−1、50−2(以下「付加機能提供サーバ50」と称する)を示している。付加機能提供サーバ50は、通信装置35を介して入出力制御装置12に接続される。さらに、他のPOSシステム10−1、10−2が付加機能提供装置と同じネットワーク上に接続されている。POSシステム10−1、10−2においても、入出力制御装置を介して、入力装置、表示装置、POS印刷装置の一部又は全てが、POS端末装置に接続されている。
【0029】
(POSシステムの基本動作)
本発明の理解を容易にするため、まず、既存のPOSシステム60(破線で囲まれた部分)の動作を、簡単に説明する。店舗内の精算カウンタに設置されたPOSシステムには、通常、バーコードリーダやキーボード等の入力装置、及び、オペレータディスプレイ(操作用表示器)やカスタマディスプレイ(顧客用表示器)等の表示装置が設けられている。バーコードリーダにより、商品に付されたバーコード(商品コード等が記録されている)が読み取られ、キーボードにより購入個数等の必要な情報が入力される。入力された情報は、オペレータディスプレイ及びカスタマディスプレイ等の表示装置に表示される。図1では、バーコードリーダ及びキーボード等のPOS端末装置に接続される全ての入力装置を、単に入力装置32として示している。入力装置32により読み取られた商品コードやキーボードから入力された購入個数等のデータは、直接POS端末装置に送られる。
【0030】
POS端末装置30は、通常、ネットワークで接続されているPOSサーバ40にデータを送信する。POSサーバ40は、購入商品の商品コードから商品名、価格等、その商品に関する情報を検索して、その商品情報をPOS端末装置30に送信する。POS端末装置30は、操作用表示器、顧客用表示器等の表示装置に、その商品の商品名、数量、価格等の精算情報を表示する。全ての購入商品についての精算情報が入力されると、購入商品の合計額が計算されて、表示されるとともに、POSサーバ40に送信される。POSサーバ40では、POS端末装置30の精算処理に基づいて、在庫情報、売上情報等を更新する。
【0031】
さらに、POS端末装置30は、POSサーバ40からの情報に基づいて、商品名、精算情報等を電子ジャーナルに記録するとともに、印刷データをPOS印刷装置34に出力する。POS印刷装置34は、その印刷データからレシート印刷データを生成して、レシートへ印刷する。
【0032】
(接続形態について)
既存のPOSシステム60の接続形態に対して、本発明では、入力装置32、表示装置33、POS印刷装置34の一部又は全部を、入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続する。まず、本発明の一実施形態にかかるPOSシステムの各部の接続形態について説明する。以下では、本発明の特徴をわかり易くするため、入力装置32、表示装置33、POS印刷装置34の全てを、入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続した実施形態(図1に示すPOSシステム11)について説明する。なお、入力装置32のみ、POS印刷装置34のみ、又は入力装置とPOS印刷装置のみを入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続する等、任意の組み合わせが可能である。
【0033】
また、付加機能に応じて、入力装置32とは別に、顧客が暗証番号等を入力する顧客入力装置、及びクレジットカード等から磁気データを読み取るカードリーダ、画像読取装置等を、新たに接続することや、画像読取装置を組み込んだPOS印刷装置を接続することも可能である(詳細は図10の説明を参照)。
【0034】
このように、本発明にかかるPOSシステムでは、POSサーバを除き、入出力制御装置12を介してPOS端末装置とPOSシステムを構成する各装置を自由に接続することが可能である。入出力制御装置12は、各装置を接続する複数の通信ポートを備えている。通信ポートには、入力ボート、出力ポート、入出力ポートがあり、必要に応じてさらに自由に増設可能である。
【0035】
さらに、本発明のPOSシステムは、複数の入出力制御装置に、POS印刷装置又は入力装置又は表示装置の少なくとも一つが接続される形態も可能である。この場合は、入出力制御装置は他の入出力制御装置もしくは付加機能提供装置もしくはPOS端末装置と、接続されたPOS印刷装置又は入力装置又は表示装置との間でデータの送受信を行う。複数の入出力制御装置のうち、第1の入出力制御装置もしくは付加機能提供装置から送信される情報の全て又は一部が、第2の入出力制御装置もしくはその他の入出力制御装置の一部又は全てを受信先に送信される。これら入出力制御装置で受信した受信データのうち、所定の入出力制御装置の検証条件を満たす情報を、当該入出力制御装置に保存し、その情報をもとに印刷や表示の処理を行わせることができる。
【0036】
(入力装置の接続形態)
バーコードリーダ、バーコードスキャナ、キーボード、画像読取装置等の入力装置32は、入出力制御装置12の入力ポート21cに接続されている。入出力制御装置では、入力装置32から入力情報(主として購入商品情報)を受信すると、その情報を出力ポート21bから出力する。出力ポート21bは、POS端末装置30の入力ポート21aに接続されている。POS端末装置30の入力ポート21aは、既存のPOSシステムにおいて入力装置32が接続されていた入力ポートと同一である。従って、POS端末装置のアプリケーションを全く変更することなく、入力装置32からの入力情報を既存のPOSシステムと同じように扱うことが可能である。
【0037】
尚、入力装置32は、オペレータのキーボード、バーコードスキャナ、画像読取装置等の既存のPOS端末装置に接続されているあらゆる入力装置を含む。既存のPOS端末装置30において、入力装置がそれぞれの種類毎に異なるポートに接続されていた場合には、入出力制御装置12からの出力ポートを、POS端末装置30の対応するポートに接続する。
【0038】
(表示装置の接続形態)
図1では、表示装置33も入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続されている形態を示している。表示装置33は、入出力制御装置12の出力ポート22cに接続されている。表示装置33は、カスタマディスプレイ、オペレータディスプレイを含む。POS端末装置30がオペレータディスプレイ内蔵型である場合には、カスタマディスプレイのみを入出力制御装置12を介して接続する。表示装置33の表示情報は、POS端末装置の出力ポート22aから入出力制御装置12の入力ポート22bへ出力される精算情報のほか、付加機能提供サーバからの印刷情報を表示することも可能である(この点は後述する)。
【0039】
(印刷装置の接続形態)
POS印刷装置34も入出力制御装置12を介して接続されている。POS端末装置30の出力ポート23aは入出力制御装置12の入力ポート23bと接続されており、POS印刷装置34は、入出力制御装置12の出力ポート23cに接続されている。入出力制御装置12がPOS端末装置30から受信した印刷データは、出力ポート23cを介してPOS印刷装置34に出力される。また、付加機能提供サーバ50から受信した印刷情報をPOS印刷装置34に出力することも可能である。また、既存のPOS印刷装置34では、印刷機能が不足する場合には、第2の印刷装置36を付加することも可能である。例えば、既存のPOS印刷装置34では印刷できない特殊なスリップ(伝票)、又は特殊な印刷記録媒体への印刷を行う場合には、このような印刷に適した第2の印刷装置36を接続することが好ましい。
【0040】
(付加機能提供サーバの接続形態)
付加機能提供サーバ50は、入出力ポート25aに接続される。通信装置35は、VPN等のセキュリティ機能を有することが好ましい。尚、図1では、VPNルータの通信装置35及びインターネットその他の外部ネットワーク61を介して接続される構成を示しているが、社内LANにより接続される構成としてもよい。
【0041】
また、図1に示すように、入出力制御装置12に接続される付加機能提供サーバ50は一つに限定されることなく、異なる付加機能を提供する複数の付加機能提供サーバを接続する構成も可能である。特に、今後、各種サービスのコンテンツを提供するサービスが増えてくることが考えられる。このような場合に、本発明にかかる入出力制御装置を用いることで、自社のPOSシステムの基幹部分(POSサーバ、POSアプリケーション)を何ら変更することなく、外部リソースを利用して、多種多様な付加価値サービスを提供するシステムをタイムリーに導入することが容易となる。なお、付加機能提供装置は、例えば後述するコーリングカードの発行においてはカード発行サーバを用いるといった、付加機能に応じたサーバから構成される。このような個々のサーバを付加情報発行装置と称する。
【0042】
付加機能提供サーバ50は、入出力制御装置から受信した情報をデータベース55に保存する(図4参照)。そして、入出力制御装置を介したオペレータからの要求に応じて、付加機能提供サーバ50は、そのデータベース55に対して、検索、転送、バックアップ、集計、削除、圧縮、圧縮解凍、暗号化、非暗号化、印刷、表示等の処理を行う。
【0043】
(入出力制御装置)
次に、本発明の一実施形態にかかる入出力制御装置の基本構成を説明する。本発明にかかる入出力制御装置12は、複数の通信ポートに接続された各装置との通信を制御する送受信制御部13と、各通信ポートからの受信データを一時格納するデータ記憶部14と、受信データを解析する検証部15と、受信データを所定の検証条件に応じて処理するための処理手順及びその処理に必要なデータを記憶している処理手順記憶部18と、送信データの編集や送信データの送信先等の通信情報を生成するデータ処理部16とを備えている。
【0044】
データ記憶部14は、受信データを入力ポートごとに記憶する。記憶された受信データは、データ処理部16による送信データの編集の際に使用される。データ記憶部14に記憶されるデータは、受信データに限られない。入出力制御装置12は、受信データの一部又は全てと、入出力制御装置12を特定する情報、オペレータを特定する情報、日時を特定する情報、の一部又は全てを組み合わせて、これら情報を圧縮もしくは非圧縮の状態でデータ記憶部14に保存することが可能である。そして、定期的に、または付加機能提供サーバ50からこれら情報の要求があった場合に、またはデータ記憶部14の記憶残量が所定の容量に達した場合に、または、受信データが所定の検証条件を満たす場合に、データ記憶部14に保存されたこれら情報が、付加機能提供サーバ50送信される。この送信の際には、これら情報は、自動的に暗号化または非暗号化される。
【0045】
検証部15には、所定の検証条件が予め登録されている。例えば、付加機能としてコーリングカード発行サービスを提供する場合、検証条件としてコーリングカードの商品コード、又は名称の一部又は全部(例えば、「コーリング」)を登録しておき、受信データと比較する。データ処理部16は、この比較結果に応じて、処理手順記憶部18に記憶されている処理手順に従い、受信データを編集する。さらにデータ処理部16は、送信データを正しく送信するために、処理手順記憶部18のデータに従って、送信先に関する通信情報も生成する。これにより、送受信制御部13は、受信データを適切に仲介して目的の装置に送信データを送信することが可能となる。
【0046】
処理手順記憶部18には、入出力制御装置12が中継する受信データの処理手順及びその処理に必要なデータが、各受信データ及び付加機能に対応して記憶されている。これにより、入出力制御装置12は、接続される全ての装置に対して、受信データの中継処理を行うことが可能となる。
【0047】
図2を用いて、入出力制御装置12をより詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態にかかる入出力制御装置の機能ブロック図を示す。図中の通信ポートに付されている数字は、データを受信する入力ポート又は入出力ポート(以下、特に入出力ポートであることを特定する必要がない限り、単に「入力ポート」又は「出力ポート」と称する)を明確にするために便宜的に付した番号である。
【0048】
データ記憶部14には、入力ポート1〜4からの受信データが記憶される。入力ポート1の受信データは、入力装置32から入力される購入商品等の入力情報である。入力ポート2の受信データは、POS端末装置30から出力される表示装置33に表示すべき表示情報である。入力ポート4の受信データは、POS端末装置30から入力される印刷データであり、付加機能提供サーバ50からの各種受信データである。付加機能提供サーバ50からは、例えば、暗証番号の入力等の操作方法を案内する表示情報、付加機能の提供に伴う印刷情報、付加機能の提供に伴うPOS端末装置30への特殊な情報等が、入出力制御装置12に対して出力される。これらの情報には、その情報を判別できるコードまたは記号が付与されており、入出力制御装置12の検証部15において検証される。また、処理手順記憶部18には、これらの情報を受信した場合の処理手順が処理ルーチンとして記憶されている。処理手順記憶部18の記憶内容は、所定の検出された検証条件に応答して、付加機能提供サーバ50及び入力装置32から、追加又は更新できるような構成とすることが好ましい。
【0049】
検証部15は、受信データが所定の検証条件に合致するか否かを確認する。検証条件記憶部15−1に登録されている所定の検証条件と受信データを比較して、受信データを処理手順記憶部18に記憶された特別な処理ルーチンで処理するかどうかを判定する。すなわち、受信データが所定の検証条件に合致しない場合には、通常の処理(第1の処理)を行い、合致した場合には、通常の処理に加えて又は通常の処理に換えて、特別の処理(第2の処理)を行う。
【0050】
以下、付加機能提供装置として、購入代金に応じた通話サービスを提供するコーリングカードを発行する機能を付加する場合を説明する。この場合、所定の検証条件として、コーリングカードの商品コードを登録しておく。また、処理手順記憶部18には、コーリングカード処理ルーチン18−3が記憶される。コーリングカード処理ルーチン18−3には、各種処理19−1〜19−3のためのサブルーチンが設けられている。これらのサブルーチン19−1〜19−3は例示である。
【0051】
入力装置32から受信した受信データが、登録された商品コード(検証条件)を含んでいない場合には、通常の処理として、入力ポート1からの受信データをそのまま通信ポート21b(出力ポート)を介してPOS端末装置30の入力ポート21aに送信する(第1の処理)。
【0052】
受信データ中にコーリングカードの商品コードを検出した場合には、第1の処理に加えて、第2の処理が行われる。第2の処理では、入出力制御装置12から付加機能提供サーバ50にコーリングカードの購入情報(合致情報)を送信する。同時に、第2の処理手順の中で、付加機能提供サーバ50から送信されてくる所定のデータを適切に処理するために、入出力制御装置内に登録されている所定の検証条件の一部を、書き換えておくことも可能である(所定の識別符号を検証条件として一時的に追加する)。付加機能提供サーバ50では、コーリングカード発行のための登録処理を行うとともに、コーリングカード使用時の暗証番号の入力を促す表示を顧客用の表示装置33に表示するための表示情報を、所定の識別符号とともに入出力制御装置12に送信する。
【0053】
入出力制御装置12の検証部15は、付加機能提供サーバ50からの受信データ中に所定の識別符号を検出すると、処理手順記憶部18で指定された処理手順(コーリングカード処理ルーチン18−3)に従って、受信データを通信ポート22cを介して表示装置33へ送信する。顧客が入力装置から暗証番号を入力すると、入力装置からの受信データは入出力制御装置12の検証部15により検出される。この受信データは、所定の処理手順(第2の処理手順)に従い、付加機能提供サーバ50に送信される。
【0054】
付加機能提供サーバ50は、コーリングカードの発行をデータベース55に記憶し、所定の識別符号とともに、暗証番号と通話サービスを提供する電話番号情報とを入出力制御装置12に送信する。入出力制御装置12の検証部15は、所定の識別符号を検出すると、所定の処理手順に従って受信データをPOS印刷装置34又は第2の印刷装置36に送信する。尚、図2に示すような印刷データ編集のための処理サブルーチン19−2を設けることにより、入出力制御装置12において、受信データを所定の印刷形式に編集して印刷データを生成し、印刷装置に送信するような構成としてもよい。
【0055】
入出力制御装置12は、CPU、ROM、RAM、送受信制御回路等のハードウェア及び制御プログラムにより構成することができる。尚、図2では、各種制御処理手順をソフトウェアとして示したが、高速処理の観点から、これらの処理手順をASIC等によるハードウェア(ロジック回路)で構成することも可能である。また、これらのロジック回路を1チップに集積化することも可能である。
【0056】
なお、入力装置32、表示装置33及び印刷装置34,36用の通信インタフェースは、RS−232規格などのシリアルデータ転送、セントロニクス規格などのパラレルデータ転送、イーサネット(登録商標)の10Base−Tなどのネットワーク接続、若しくはUSBなどのデータ転送規格に対応したものを採用することができる。POS端末装置30との通信インタフェースも同様である。
【0057】
また、入出力制御装置12の内部TTL(Transistor Transistor Logic)と、POS端末装置30やPOS印刷装置34等の内部との駆動電圧レベルが異なる場合には、各通信インタフェースにレベル変換を行うドライバ回路を備えることが好ましい。
【0058】
また、複数の入出力制御装置が、付加機能提供装置に接続され、少なくとも一つの入出力制御装置は、POS端末装置と接続されないよう構成することもできる。
【0059】
(POS端末装置及びPOSサーバ)
図3はPOS端末装置とPOSサーバの基本構成示すブロック図である。POS端末装置30は、CPU、ROM、RAM及び制御プログラムからなる端末制御部38、入出力制御装置12とデータの送受信を行う入出力制御部37、POSサーバ40とのデータ通信を行う通信インタフェース39とを備えている。POS端末装置30は、入出力ポート21a〜23aに接続された入出力制御装置12を介して、入力装置32、表示装置33及びPOS印刷装置34と接続されている。
【0060】
端末制御部38は、入力装置32からの購入商品の入力情報を受け付ける商品入力処理部38−1、商品コード等の入力情報に基づいて、POSサーバ40に価格等の商品情報を問い合わせる商品情報問合部38−2、入力情報及びPOSサーバ40からの商品データに基づいて、購入商品の精算処理を行う精算処理部38−3、購入商品の入力情報及び精算情報を表示情報として生成し、表示装置へ出力する表示処理部38−4、同様に印刷データを出力する印刷処理部38−5、誤って入力した購入商品等の精算情報を取り消し、訂正する取消処理部38−6を備えている。
【0061】
POSサーバ40は、制御装置(CPU41)の他、ROM42やRAM43等のメモリを有し、ROM42内に記憶された制御プログラムにしたがって、RAM43内のバッファ43−6等に記憶された情報の処理を行う。RAM43内には、商品コードブロック43―1、商品名ブロック43−2、金額ブロック43−3、在庫ブロック43−4を有している。CPU41は、POS端末装置30より送信された商品情報に基づいて、商品コード、商品名、金額に関する情報を抽出し、レシートへの印刷およびPOS端末装置30の表示装置33の表示に用いる商品データを生成する。
【0062】
POS端末装置30は、入出力制御装置12に接続された入力装置32からの入力、すなわち、キーボードの入力またはバーコードリーダによるバーコードの読み取りによって商品に関する情報(商品情報)や顧客に関する情報(顧客情報)などの入力情報を、入出力制御装置12を介して取得する。また、入力装置32としてカードリーダを設けることにより、顧客のクレジットカードや会員カードを読み取り、クレジット清算に関する情報や会員番号等の会員に関する情報を取得することもできる。さらに、POSサーバ40から送信された商品データを元に生成した商品情報を、表示情報として入出力制御装置12を介して表示装置33(顧客用表示器)に送信することにより、顧客に購入商品の金額等を提示する。同様に、入出力制御装置12を介してPOS印刷装置34に印刷データが送信され、レシート印刷が実行される。
【0063】
POS端末装置30から入出力制御装置12へ送信された印刷データから取り出された、クレジット精算に関する情報、入力装置32としてカードリーダから読み取られたクレジットカード情報、POS端末装置を特定する情報、オペレータを特定する情報を組み合わせたデータは、入出力制御装置を介して付加機能提供装置へ送信される。付加機能提供装置は、そのデータに基づいて、クレジットカードの認証手続きを行う。認証の結果、クレジットカードが使用可能の場合に、付加機能提供装置は、入出力制御装置を介して印刷装置34や36へクレジットカード決済情報を印刷情報として送信し、顧客のサインを得るための印刷をさせる。これにより、クレジットカード決済機能を提供することができる。なお、POS端末装置に代えて、ECR装置を入出力制御装置に接続することにより、従来のPOSシステムのようにレシートの発行とクレジットカード決済の処理が別々で手間がかかっていた精算処理を、無駄な作業無く行うことが可能となる。
【0064】
(付加機能の提供例)
次に、既存のPOSシステムにコーリングカード発行機能を追加する例を、図1及び図4乃至図6を用いて説明する。
【0065】
図6(a)に購入カード70の一例を示す。店舗内に、コーリングカードという文字とバーコード(商品コード等)とを印刷した購入カード70を展示しておく。購入カードは、1000円、3000円、5000円等の複数種類のカードが用意されており、金額に応じて、印刷されているバーコードの内容が異なっている。顧客は、希望する金額の購入カード70を購入する。
【0066】
前述の通り、入力装置32からの入力情報(購入商品データ)は入出力制御装置12に送信され、入出力制御装置12からPOS端末装置30に送信されることにより、精算処理が行なわれる。一方、入出力制御装置12は、入力装置32からの受信データを検証しながら、POS端末装置30に入力情報を送信する。通常の商品は、所定の検証条件に合致しないので、入力情報はそのままPOS端末装置30に送信されて、既存のPOSシステムと同様の精算処理が行われる。
【0067】
コーリングカードが購入されると、バーコードリーダ(入力装置32)により、購入カード70のバーコード(商品コード)が読み取られる。読み取られた商品コードは、入力装置32から入出力制御装置12に送信される。入出力制御装置12には、検証条件として購入カード70の商品コードが登録されており、検証部15によって該商品コードが所定の検証条件に合致するかどうか検証される。なお、購入カード70の商品コードはPOS端末装置30に送信されると同時に、付加機能提供サーバ50の一つであるカード発行サーバ(カード発行装置)50−1にも送信される。
【0068】
カード発行サーバ50−1は、コーリングカードの商品コードを受信すると、所定のカード発行処理を実行する。図4に、カード発行サーバ50−1の一実施形態にかかる機能ブロック図を示す。カード発行サーバ50−1は、通信制御部51、認証部52、発行管理部53、登録部54を備えている。カード発行サーバ50−1は、入出力制御装置12から購入カード70の商品コードを受信すると、まず認証部52により、正当な発行要求であるかどうか(発行権限があるかどうか)を認証する。発行権限が認証されると、発行管理部53によりコーリングカードの発行手続きが行なわれる。
【0069】
発行処理では、まず、コード検証部53−1により、受信した商品コードを検証して、どの金額の購入カード70が購入されたかを確定する。次に、暗証番号処理部53−2により、顧客に希望する暗証番号を入力するように案内する表示情報を、入出力制御装置12に対して送信する。入出力制御装置12は、受信した表示情報を顧客用の表示装置33に送信する。顧客が顧客入力装置としての入力装置32から暗証番号を入力すると、入力された暗証番号は、入出力制御装置12を介して、カード発行サーバ50−1に送信される。カード発行サーバ50−1は、暗証番号を受信すると、コーリングカードの発行を受け付け、登録部54を介して、暗証番号及び提供するサービス内容をデータベース55に登録する。それとともに、購入されたコーリングカードの種類、金額、通話時間情報、POSシステム設置場所情報等に基づいて、通話サービスを受けるための電話番号と暗証番号とを、印刷情報として入出力制御装置12に送信する。
【0070】
尚、入出力制御装置に、POS印刷装置または入力装置の少なくとも一つが接続されており、入出力制御装置を介してPOS端末装置とPOS印刷装置又は入力装置とのデータの送受信を行う構成とした場合、カード発行サーバ50−1が、入力装置からの入力情報中もしくは印刷情報中に購入カードの購入情報および住所情報を検出したときに、データベース55から、住所情報に対応する電話番号を抽出情報として抽出して、購入カードの購入情報に応じたコーリングカードの通話用の暗証番号を入出力制御装置に送信し、コーリングカードにそれらの情報の一部又は全てを印刷することもできる。
【0071】
また、入出力制御装置に、POS印刷装置又は入力装置の少なくとも一つが接続されており、入出力制御装置を介して、POS端末装置とPOS印刷装置又は入力装置とのデータの送受信を行う構成とし、カード発行装置が、入力装置からの入力情報中又は、印刷情報中にコーリングカードの残り通話時間を取得する通話時間要求情報および、コーリングカードの識別情報を検出した時、該識別情報に応じた前記コーリングカードの残りの通話時間を計算し、残り通話時間を前記発行情報として入出力制御装置に送信し、コーリングカードに印刷するもしくは表示装置に表示することもできる。
【0072】
図5に、一般的に使用されるPOS印刷装置34の機能ブロック図を示す。入出力制御装置12は、カード発行サーバ50−1からの受信した印刷情報を図5に示すようなPOS印刷装置34に送信する。POS印刷装置34は、レシート印刷部34−3及びスリップ印刷部34―4を備えている。スリップ印刷部34−4は、比較的厚いカードに印刷可能である。オペレータが購入カード70をスリップ印刷部34−4にセットすると、インタフェース34−1を介して制御部34−2に送信された電話番号と暗証番号が、購入カード70の裏面71に印刷される。
【0073】
図6(b)に購入カード70の裏面に電場番号及び暗証番号が印刷された例を示す。図6(c)は、レシート印刷の例を示す図である。商品A、B、C、及びコーリングカードが購入された場合の印刷例である。このレシートに示すように、購入カード70の裏面71には暗証番号を印刷せずに、レシート上に印刷することも可能である。また、暗証番号は印刷せずそれに代えて、コーリングカードの使用時に暗証番号の入力を2回求めて暗証番号の確認を行うことも可能である。暗証番号をコーリングカード上に印刷しないことにより、不正使用を防止することができる。また、電話番号及び暗証番号をレシート上に印刷し、レシートをコーリングカードとして発行することも可能である。この場合、精算カウンタでの精算処理後に購入カード70を回収して、店舗にて再利用が可能である。
【0074】
また、購入カード70のようなカード(購入カード以外のカードも含む趣旨)に電話番号等を印刷して、コーリングカードを発行する場合において、POSプリンタ34にスリップ印刷機能がない場合には、スリップ印刷機能を有する印刷装置36を追加接続して印刷させることが可能である。
【0075】
尚、上述の例では、暗証番号を顧客に入力させる例を説明したが、暗証番号をカード発行サーバにより自動的に割り当て印刷させることも可能である。この形態では、顧客に暗証番号の入力を求めないので、カードの発行を迅速に行うことができる。
【0076】
顧客は、通信サービスの提供を希望する場合には、指定された電話番号に電話をかけ、そこからの要求に応じて暗証番号を入力する。その際に通話制御装置から図4に示すようなカード通話サーバ57を介してデータベース55に問い合わせがなされる。そこで残りの通話時間及び暗証番号が確認され、通話サービスが提供される。
【0077】
(その他の実施形態)
図7は、本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示す。図7のPOSシステムでは、POS印刷装置34が、入出力制御ボード78及び印刷部73を備えている。入出力制御ボード78は、コネクタ77を介して印刷部73に接続され、POS印刷装置34に内蔵されている。なお、入出力制御ボード78は着脱可能に構成してもよい。入出力制御ボード78は、POS印刷装置34との接続形態を除き、図2に示す入出力制御装置12と同様の構成である。入出力制御ボード78から印刷制御部74に送信された印刷データは、印刷制御部74で所定の印刷形式に応じてレシート印刷75またはスリップ印刷76に振り分けられて、印刷がなされる。図7のPOS印刷装置34にさらに他の印刷装置36を接続することも可能である。
【0078】
図10は、本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示す。図10のPOSシステムでは、POS印刷装置34が、入出力制御ボード78−1及び印刷・画像処理部73−1を備えている。入出力制御ボード78−1は、コネクタ77を介して印刷・画像処理部73−1に接続され、POS印刷装置34に内蔵されている。なお、入出力制御ボード78−1は着脱可能に構成してもよい。入出力制御ボード78−1は、POS印刷装置34との接続形態を除き、図2に示す入出力制御装置12と同様の構成である。図10のPOS印刷装置34にさらに他の印刷装置36を接続することも可能である。
【0079】
画像読取装置100を組み込まれたPOS印刷装置34の場合、入出力制御ボード78−1がPOS端末装置30から受信した印刷データは、印刷・画像制御部74−1に送信され、印刷・画像制御部74−1で所定の印刷形式に応じてレシート印刷75またはスリップ印刷76に振り分けられて、印刷がなされる。また、付加機能提供サーバ50から受信した印刷情報についても同様にをPOS印刷装置34で印刷がなされる。これにより、付加機能提供サーバ50からの付加機能提供に伴う印刷を、POS印刷装置34に実行させることが可能となる。又、画像読取装置100で読み取られた画像情報は入出力制御ボード78−1を介してPOS端末装置30もしくは付加機能提供サーバ50に出力することも可能である。画像情報は、例えばクレジットカード、小切手、運転免許証の読み取り画像である。これら画像情報と、小切手に印刷された口座番号情報、日付を特定する情報、入出力制御装置である入出力制御ボードを特定する情報、POS端末装置を特定する情報、オペレータを特定する情報、金額情報の一部又は全てとを組み合わせて、入出力制御ボード78−1のデータ記憶部14にこれらの情報を保存することが可能である。
【0080】
画像読取装置が入力装置32に接続された構成も可能である。この構成によると、画像読取装置が組み込まれたPOS印刷装置34の場合と同様に読み取られた画像情報は入出力制御ボード78−1を介してPOS端末装置30もしくは付加機能提供サーバ50に出力することが可能である。
【0081】
図11は、ジャーナルデータや税金データの処理に関わるレシート72−1の印刷例を示す。POS端末装置30から入出力制御装置に送信された印刷データのうち、ジャーナルの記録に必要な情報(ジャーナルデータ)は、ジャーナル情報110であり、その他の店舗のロゴ画像等の印刷された情報は必要ない。又、税金の徴収の際に必要な情報(税金データ)は、合計金額や税金金額が記載されている税金情報111である。このようにレシート72−1に印刷された情報は、使用目的に応じて取捨選択される。
【0082】
入出力制御ボード78−1は、受信データの一部又は全てと、入出力制御装置ボード78−1を特定する情報、オペレータを特定する情報、日時を特定する情報、の一部又は全てを組み合わせて、これら情報を圧縮もしくは非圧縮の状態でデータ記憶部14に保存する。そして、定期的に、または付加機能提供サーバ50からこれら情報の要求があった場合に、またはデータ記憶部14の記憶残量が所定の容量に達した場合に、または、受信データが所定の検証条件を満たす場合に、データ記憶部14に保存されたこれら情報が、付加機能提供サーバ50送信される。この送信の際には、これら情報は、自動的に暗号化または非暗号化される。付加機能提供サーバ50は、受信したこれら情報をデータベース55に保存する。そして、入出力制御装置を介したオペレータからの要求に応じて、付加機能提供サーバ50は、そのデータベース55に対して、検索、転送、バックアップ、集計、削除、圧縮、圧縮解凍、暗号化、非暗号化、印刷、表示等の処理を行う。これにより、POS端末装置になんらジャーナルデータ保存のための機能を付加することなく、印刷データを電子ジャーナル化したり、税金に関する情報を取得すること、が可能となる。この付加機能の提供により、印刷用紙の節約や作業の効率化を図ることができる。
【0083】
(精算処理及びコーリングカード発行の処理手順)
図8および図9を用いて、本発明のPOSシステムの処理手順を説明する。図8は、入出力制御装置12及び付加機能提供サーバ(カード発行サーバ)50−1の処理手順を示すフローチャートであり、図9は、POS端末装置30及びPOSサーバ40の処理手順を示すフローチャートである。
【0084】
精算時に、入力装置32から購入商品情報が入力されると、入力情報は入出力制御装置12に送信される。入出力制御装置12は、入力装置32から購入商品情報を受信すると(S101)、検証部により受信データが所定の検証条件を満足するかどうかを検証する(S102)。受信データが所定の検証条件を満たしているかどうかに応じて、第1の処理手順又は第2の処理手順に基づき、送信データが編集され(S103)、送信先(出力先)が決定されて(S104)、処理手順により定められた所定の装置に送信データが送信される(S105)。尚、この場合において、受信データを加工せずにそのまま送信する場合も、入出力制御装置12の「編集」の概念に含む。
【0085】
入力装置32からの受信データが所定の検証条件を満たさない場合には、第1の処理手順に基づき、受信データはそのままPOS端末装置30に送信される。入力装置32からコーリングカードの購入に伴う商品コードを受信した場合には、受信データの検証工程によりそれが検出される(S102)。この場合、第1の処理手順に従ってPOS端末装置30に受信データが送信されると同時に、第2の処理手順に従い、所定の処理を経て(S103、S104,S105)、カード発行サーバ50―1にも受信データが送信される(S105)。カード発行サーバ50−1が、コーリングカードの購入情報を受信すると(S201)、発行権限の認証が行われ(S202)、暗証番号の入力要求が出力される(S203)。
【0086】
暗証番号の入力要求では、暗証番号の入力を促す表示情報が入出力制御装置12に送信される。入出力制御装置12は、受信データを確認して(S101、S102)、所定の処理を行った後に表示装置33に入力要求を促す情報を表示情報として出力する(S103〜S105)。入出力制御装置12が入力装置32から暗証番号を受信すると(S101)、同様に所定の処理が行われ(S102からS103)、編集された送信データがカード発行サーバ50−1に送信される(S104,S105)。カード発行サーバは暗証番号を受信すると、コーリングカードが購入されたことを、暗証番号とともに顧客情報として登録する(S204)。次に、サービス提供のための電話番号及び暗証番号等の印刷情報を入出力制御装置12に送信する(S205)。
【0087】
入出力制御装置12は、カード発行サーバ50−1から印刷情報を受信すると(S101)、その情報を検証する(S102)。検証により、カード発行サーバからの印刷情報であることを認識すると(S102)、必要に応じて所定の編集を行い(S103)、印刷データを印刷装置34又は36に出力する(S104、S105)。尚、レシートに暗証番号を印刷する場合には、印刷データの編集工程において暗証番号を記憶しておき、印刷情報を受信した段階で、所定の位置に印刷するように編集する(S103)。これにより、コーリングカードに関する印刷情報を所定のカード又は、レシートに印刷することが可能となる。暗証番号をどこに印刷するか、印刷しないかについて、顧客の希望を確認し、印刷対象を確定する構成とすることも可能である。
【0088】
図9を用いて、POS端末装置30とPOSサーバ40の処理手順を説明する。POS端末装置30が、入出力制御装置12から送信された購入商品情報を受信すると(S301)、POSサーバ40に対して商品情報の問合せを行う(S301)。POSサーバ40は問合せを受けて(S401)、商品情報を生成し、POS端末装置30にその情報を送信する(S402)。
【0089】
POS端末装置30はPOSサーバ40から商品名、価格等の商品情報を取得すると(S302)、表示又は印刷すべき各種データを表示情報及びレシート印刷データとして生成し、入出力制御装置12に送信する(S303、S304)。さらに、全ての購入商品の入力が終わると、精算確定情報が入力装置32から送信される。POS端末装置30は、精算確定情報を受信すると(S305:YES)、合計金額、消費税等を算出し、これらの精算情報を表示情報及び印刷データとして出力し、同時にPOSサーバ40にも精算確定情報を送信する(S306)。POSサーバ40は受信した清算確定情報に基づいて商品の在庫データ、売上データを更新する(S403)。
【0090】
図8に戻り、入出力制御装置12は、POS端末装置30から、表示情報又は印刷データを受信すると、通常の処理手順に従って、表示装置33又はPOS印刷装置34にデータを出力する。これにより、オペレータの操作に応じて、表示装置33は、入力装置32から入力された購入商品の商品名や価格等の入力情報を順次表示装置に表示し、最後に精算情報を表示する。また、POS印刷装置34は、入出力制御装置12からの印刷データをレシートに印刷する。尚、POS印刷装置による印刷は、購入商品の商品データが入力されるたびにレシートに印刷するようにしても、最終の合計金額が確定した後にまとめてレシートに印刷するようにしてもよい。これらの印刷タイミングは、POS端末装置30から入出力制御装置12に対する印刷データの送信タイミングの調整、入出力制御装置12によるPOS印刷装置34に対する送信タイミングの調整、POS印刷装置34による印刷タイミングの調整等によっても達成可能である。
【0091】
(その他の付加機能提供例)
本発明の入出力制御装置で付加することができる機能を以下に例示する。
【0092】
(例1)入出力制御装置と、メーカの保守サーバとを接続することにより、インクリボン、インク等の付属部品を監視し、リモートメンテナンスを行ったり、ソフトウェアのリモートアップグレードを行う機能を付加することが可能である。
【0093】
又、インク使用量、インクの残量、印刷量、オートカット回数、紙送り量、電源on/off回数等のメンテナンス情報を入出力制御装置が印刷装置より読み出し、定期的にもしくは、付加機能提供装置からの要求によって、これらメンテナンス情報を付加機能提供装置へ送信することで、リモートでメンテナンスを行うことが可能である。また、店舗におけるインクカートリッジの在庫が不足すると、メーカが自動的にインクカートリッジを発送するサービスや、インクの使用量に応じた課金を行うもできるため、店舗にとって、無駄のないインクカートリッジの交換や、インク切れによるトラブルの未然防止が可能となる。
【0094】
(例2)入出力制御装置を介して、自動料金徴収サーバにPOSシステムを接続することにより、POSシステムで使用するソフトウェア等の使用料金等を自動的に徴収する機能を付加することができる。
【0095】
(例3)入出力制御装置へ、クレジットカード決済の際の認証端末であるCAT(Credit Authorization Terminal)を接続することにより、クレジットカードの決済機能を付加することが可能となる。
【0096】
(例4)メンバーカード等による付加価値の高いサービスを提供することが可能となる。
【0097】
(例5)小切手の決済機能、小切手画像のデジタルデータによる決済機能、更に信頼性の向上を付加することが可能となる。従来のシステムでは、小切手に印刷された口座番号情報を読み取り、その口座番号情報を元に、その口座番号の存在、不正使用の有無、残高金額、ブラックリストへの掲載の有無等の一部又は全ての情報を確認後、POS端末装置のソフトウェアは、その口座番号の受け入れ可否を判断する必要があった。本発明の入出力制御装置を使用することで、読み取られた口座番号情報が入出力制御装置を介して付加機能提供装置へ送信され、付加機能提供装置が、その口座番号の存在、不正使用の有無、残高金額、ブラックリストへの掲載の有無等の一部又は全ての情報を確認後、その口座番号の受け入れ可否を判断し、その判断結果を入出力制御装置へ送信して、決済の可否を判断することが可能となる。これにより、小切手の決済機能を実現するための新規アプリケーションの導入が不要でなり、容易に小切手の決済を行うことができる。
【0098】
また、小切手に印刷された口座番号情報の読み取りと同時に小切手の画像を読み取り、その画像情報を保存することにより、小切手の口座情報が誤読された場合や、小切手が不正に使用された場合の証拠として使用することがある。その際、従来のシステムではPOS端末装置のソフトウェアは、画像読取装置を内蔵した印刷装置から、もしくは独立した画像読取装置から、小切手の画像情報を受信してPOS端末装置に保存するか、小切手の決済行うサーバに画像情報を送信し保存する必要があった。本発明の入出力制御装置を使用することで、POS端末装置のソフトウェアを変更することなく、画像情報を保存し、所定のサーバに画像情報を送信して、容易に小切手の誤読や不正使用の証拠を残すことができ信頼性が向上する。
【0099】
(例6)所定金額までのおつり(端数金額)をデジタルチェンジとして所定の管理サーバに蓄積し、精算時点で端数金額が生じた場合には、端数金額の精算処理を、管理サーバの残金と顧客の支払いとの間で調整することにより、顧客が細かいコイン等の受け渡しを無くすようにする機能を追加することも可能である。これにより、店舗は精算処理のスピードを上げることができ、顧客は多数のコインを持ち運ぶ必要がなくなる。
【0100】
(例7)精算カウンタで支払いが行われた場合や注文が行われて注文伝票が発行された場合に、印刷データが入出力制御装置を介して印刷装置に送信されると、入出力制御装置はその印刷データ中から商品に関する情報を取り出し、第2の入出力制御装置に送信する。第2の入出力制御装置は、接続されている印刷装置に対して調理指示書もしくは出庫指示として印刷データを送信することで、自動的にキッチンへの指示や倉庫への指示を行うことが可能となる。
【0101】
(例8)付加機能提供装置から送られてくる印刷情報や入出力制御装置から送信される印刷情報には、通常のレシートに印刷されている精算情報に加えて、顧客識別情報、担当者識別情報、印刷シリアル番号、入出力制御装置識別情報の一部又は全てが付加されており、それらの情報はPOSシステム内に接続された複数の入出力制御装置に送信される。複数の入出力制御装置はその情報を保存し、入出力制御装置に接続された入力装置もしくは付加機能提供装置から送られてくる印刷指示と同時に、印刷すべき情報を特定する指示によって、印刷情報を選択して印刷データを印刷装置に送信する。これによってオペレータは最寄りの印刷装置もしくは入出力制御装置にて印刷を行うことができる。更に、接続された装置にトラブルが発生した場合の対策や印刷に要する作業時間の短縮も可能となる。
【符号の説明】
【0102】
10 本発明のPOSシステム、12 入出力制御装置、13 送受信制御部、14 データ記憶部、15 検証部、16 データ処理部、18 処理手順記憶部、30 POS端末装置、35,56 通信装置、40 POSサーバ、50 付加機能提供サーバ、60 既存のPOSシステム、61 外部ネットワーク、70 購入カード、71 コーリングカードの印刷例、72 レシート印刷例。
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSシステムにおいて、POSサーバ及びPOS端末装置のアプリケーションに変更を加えることなく、新たな付加価値の提供を可能にするPOSシステム、印刷装置、入出力制御装置、及び入出力制御装置のデータ中継処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーやコンビニエンス・ストア等の小売業において用いられるPOSシステム(販売時点情報管理システム)では、購入商品並びにその金額に関するいわゆる商品情報に、商品広告やイベント告知などの広告情報を付加したレシート印刷データを生成して、これを印刷装置に送信して、レシート上に情報を印刷させるPOSシステムが広く利用されている。また、最近は広告情報だけでなく、クーポン券や抽選券としての情報が付加される場合もあり、レシートは販売促進に有効な広告手段となっている。
【0003】
ところで、上記のような広告情報を付加し得る機能を有しない既存のPOSシステムに、広告情報を付加する機能を追加する場合、既存のPOSサーバやPOS端末装置の大幅な改造が必須となり、多額の投資が必要となってしまう。効果的な広告手段であるにも関わらず、その利用を断念せざるを得ない小売業が多かった。そのため、最小限の投資で広告情報を付加する機能を有するPOSシステムを構成するために、ホスト端末と印刷装置との間にアダプタ装置を設けて、既存のPOSシステムに大幅な改造を加えることなく、広告情報を提供するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献は、アダプタ装置を介して管理サーバに接続し、管理サーバにおいて、広告情報を提供する発明を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−13708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献に記載のアダプタ装置は、広告情報のレシート印刷を少ない投資で実現するという点で有効である。しかし、このアダプタ装置の機能は、管理サーバと印刷装置の間の印刷データを調整するものに限定されている。すなわち、ホスト装置からの印刷データに広告情報を付加した印刷データを生成して、印刷装置に印刷させようとするものであり、提供できるサービスは、管理サーバからの広告情報を追加する機能に限定される。そのため、特許文献に記載のアダプタ装置では、POSシステム側において複雑かつ多様な対応や、新たな機能を追加することはできない。
【0006】
一方、近時の傾向として、販売時点において、多様化したサービスの提供が求められるようになってきている。このようなサービスの要求は、競合店との差別化戦略上重要である。例えば、コーリングカードの発行サービス、公共料金の支払い、小切手等のデジタル処理等、小売販売時点において多様なサービスの提供を実現することにより、サービスの差別化、顧客サービスの質の向上を図ることが可能となり、これらの処理を実現するシステムの早期導入がビジネスの優位性に直結する。
【0007】
しかし、このような多様な付加価値サービスを提供するためには、POSサーバ、POS端末アプリケーションの大幅な改造と多額の投資が必要となる。特に、小規模な小売店舗では、新たなサービス提供のために、頻繁にアプリケーションの変更をすることが困難であり、付加価値サービスのタイムリーな提供が困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、複雑で多種多様な中間操作を必要とする新たな機能を、既存のPOSアプリケーションを変更することなく、自由に付加し得るPOSシステム、印刷装置、入出力制御装置、及び入出力制御装置のデータ中継処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様にかかるPOSシステムは、購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、少なくとも表示情報の一部及び印刷データの一部を生成して出力するPOS端末装置と、POS端末装置に新たな機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置と、入力装置、表示装置及び印刷装置の少なくとも一つと、POS端末装置と、付加機能提供装置とに接続されており、接続されている装置間のデータの送受信を中継する入出力制御装置と、を備えるPOSシステムであって、入出力制御装置は、接続されている一部又は全ての装置からの受信データについて、所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、受信データが検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、受信データが検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、検証部の検証結果に応じて、処理手順に従って受信データを処理し、受信データの一部又は全部を、接続された一部又は全ての装置に出力するデータ処理部とを備えることを特徴とする。この態様によると、入出力制御装置に対して、印刷装置のみならず入力装置及び表示装置を接続することが可能になる。さらに、追加する付加機能に固有の入力又は表示が必要である場合に、入力装置及び表示装置等を接続して、中間操作に必要な入力及び表示が可能となる。
【0010】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置が、さらに、各入力ポート毎に個別の検証条件もしくは複数の入力ポート共通の検証条件を記憶する検証条件記憶部と、入力ポートからの受信データを記憶するデータ記憶部とを備えることを特徴とする。この態様によると、各入力ポートに受信データを記憶しておき、必要に応じて加工処理して、所定の装置に送信することができる。また、受信データを他の装置に送信した後、その装置からの応答データと、記憶している受信データとを編集することが可能である。
【0011】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、さらに、付加機能提供装置が提供する機能に応じて、入出力制御装置に第2の印刷装置その他の装置を接続可能であることを特徴とする。この態様によると、既存のPOSシステムの装置をそのまま使用しつつ、必要な機能を有する装置を追加するのみで、新たな付加機能の提供が可能となる。単機能の印刷装置を使用している場合に、その装置を有効利用することができる。
【0012】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、データ処理部が、第2の処理手順の実行により、検証条件を変更可能であることを特徴とする。この態様によると、第2の処理手順中に、所定のデータを受信したときに、所定のポートの検証条件として新たな検証条件を付加し、又は所定の検証条件を変更するように設定しておくことができる。これにより、第2の処理手順に従って、複数の装置と複数回送受信する場合の処理を、処理の順番に従って効率的に実行させることが可能となる。また、検証部による検証負荷を軽減することが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置が、第2の処理手順に基づいて、付加機能提供装置からの受信データの種類に応じて、受信データの一部又は全部を接続されている装置に選択的に出力することができることを特徴とする。この態様によると、付加機能提供装置からの送信データ中に特別の識別符号(識別情報)を含ませることにより、入出力制御装置において受信データの種類を特定し、その種類に応じて、送信先を選択的に振り分けるようにすることができる。
【0014】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、付加機能提供装置が、前記入出力制御装置からの送信情報に対応した暗証番号、送信情報に基づき更新される更新情報、及び送信情報に基づき所定のデータベースから検索して抽出した抽出情報のうちの一部又は全てを含んでいる、発行情報を出力する付加情報発行装置からなり、入出力制御装置は、受信データ中に検証条件を満足する合致情報を検出したときに、第2の処理手順に従い、合致情報を送信情報として付加情報発行装置に送信し、付加情報発行装置から受信した情報を、POS印刷装置又は他の印刷装置に印刷データとして出力することを特徴とする。この態様によると、精算カウンタにおいて、POSシステムにコーリングカード発行機能を付加して、コーリングカードの発行が可能になる。顧客が精算カウンタに提示した購入カードそのものは、精算処理をしない限りコーリングカード機能を有しないため、たとえ購入カードが盗難されても損害が発生せず、セキュリティの観点から有用である。
【0015】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置に、POS印刷装置が接続されており、入出力制御装置を介してPOS端末装置からPOS印刷装置へ印刷データを出力するPOSシステムであって、入出力制御装置は、POS端末装置から受信した印刷データ中に合致情報を検出したときに、付加情報発行装置に対して、合致情報を送信情報として送信することを特徴とする。この態様によると、入出力制御装置が、コーリングカードの購入を検出したときに、コーリングカードを発行するものである。
【0016】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置に、POS印刷装置及び入力装置が接続されており、入出力制御装置を介してPOS端末装置とPOS印刷装置及び入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、入出力制御装置は、入力装置から受信した受信データ中に合致情報を検出したときに、付加情報発行装置に対して、合致情報を送信情報として送信することを特徴とする。この態様によると、例えば、入出力制御装置が、入力装置からの購入商品情報としてコーリングカードの購入を検出したときに、コーリングカードを発行するものである。
【0017】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、入出力制御装置に、少なくとも顧客用表示器と、顧客によるデータ入力が可能な顧客入力装置が接続されており、付加情報発行装置は、検証条件に合致した情報を受信したときに、入出力制御装置に暗証番号の入力を要求し、入力された暗証番号が所定の条件を満たす場合に付加情報を発行する暗証番号処理部を備え、入出力制御装置は、付加情報発行装置からの暗証番号の入力要求を受信したときに、第2の処理手順に基づき、顧客用表示器に暗証番号の入力を促す表示を行うとともに、顧客入力装置から入力された暗証番号を付加情報発行装置に送信することを特徴とする。この態様によると、例えば、顧客の希望する暗証番号をコーリングカードの通話用の暗証番号とすることができる。固有の暗証番号であるので、顧客にとって通話サービスの利用が便利になる。
【0018】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、POS印刷装置又は第2の印刷装置により、付加情報発行装置から送信された発行情報を印刷することを特徴とする。この態様によると、例えば、購入カードの裏面に情報を印刷することができ、購入カードを有効に利用することが可能となる。また、顧客の希望により、暗証番号の印刷を行わないことも可能である。
【0019】
本発明の他の態様にかかるPOSシステムは、POS印刷装置又は第2の印刷装置により、付加情報発行装置から送信された発行情報を複数の印刷装置に分けて印刷することを特徴とする。この態様によると、例えば、電話番号を購入カードに印刷し、暗証番号をレシートに印刷するようにすることができる。コーリングカード購入の際に、顧客が好みの暗証番号を入力する場合には、暗証番号は必ずしもコーリングカード上に印刷する必要が無い。また、紛失した場合を考慮すると、コーリングカード上に暗証番号を印刷することは好ましくない。このため、暗証番号だけは、レシートに印刷する方がより安全である。暗証番号をコーリングカード上に印刷するか、レシート上に印刷するか、印刷しないかを顧客の選択に応じて行うことも可能である。
【0020】
本発明の印刷装置は、上記のいずれかの態様のPOSシステムの入出力制御装置を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明の入出力制御装置は、少なくとも、購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、表示情報及び印刷データを生成して出力するPOS端末装置とを備えるPOSシステムにおいて、入力装置、表示装置及び印刷装置の少なくとも一つと、POS端末装置と、POS端末装置により提供されない機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置とに接続されており、接続されている全ての装置からの受信データが所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、受信データが検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、受信データが検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、検証部の検証結果に応じて、処理手順に従って受信データを処理し、受信データを接続された装置に出力するデータ処理部とを備え、接続されている装置間のデータの送受信を中継することを特徴とする。
【0022】
本発明の入出力制御装置のデータ中継方法は、入力装置、POS端末装置、表示装置及び印刷装置の各装置の一部又は全部、及び付加機能提供装置と接続されており、各装置間の入出力データを中継処理する入出力制御装置のデータ中継方法であって、(a)各装置からの受信データが、各入力ポート毎に規定されている所定の検証条件を満たすか否かを検証する工程と、(b)受信データが所定の検証条件を満たさないときには、第1の処理手順に従い、POS端末装置又は印刷装置に送信する工程と、(c)受信データが所定の検証条件を満たすときには、第1の処理手順による処理に加えて、又は第1の処理手順による処理と置き換えて、第2の処理手順に従い受信データを付加機能提供装置に送信する工程と、(d)付加機能提供装置から受信したデータを、第2の処理手順に従い処理する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のPOSシステムでは、入力装置及びPOS印刷装置等と、POS端末装置とのデータの送受信を中継可能な入出力制御装置を設けるとともに、該入出力制御装置に多様な装置を自由に接続し、該入出力制御装置を介して相互にアクセスすることにより、POS端末装置のアプリケーション及びPOSサーバのアプリケーションを変更することなく、POSシステムに付加機能を提供することが可能となる。これにより、新しい付加機能を低コストで実現することが可能となる。また、ネットワークを通じてコンテンツ提供業者が提供する新たなサービスを自社のPOSシステムに容易に組み込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかるPOSシステム及び入出力制御装置を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる入出力制御装置の機能ブロック図である。
【図3】POS端末装置とPOSサーバの基本構成示すブロック図である。
【図4】カード発行サーバ50−1の一実施形態のブロック図である。
【図5】POSシステムで一般的に使用されるPOS印刷装置の機能ブロック図である。
【図6】(a)は1000円のコーリングカードを購入する購入カードの一例を示し、(b)は購入カード70の裏面に電話番号及び暗証番号が印刷された例を示し、(c)はレシート印刷の例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示すブロック図である。
【図8】入出力制御装置及び付加機能提供サーバ(カード発行サーバ)の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】POS端末装置及びPOSサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態にかかるレシート印刷の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るPOSシステム、入出力制御装置、及びPOSプリンタ(印刷装置)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、購入商品の精算処理を行うPOS端末装置と、当該POS端末装置に購入商品データを入力する入力装置と、POS端末装置からの印刷データをレシートに印刷するPOS印刷装置とにより構成される既存のPOSシステム(販売時点情報管理システム)を用いて、容易に新たな機能を付加するものである。そのため、付加する機能に応じて、入力装置及びPOS印刷装置(既存の入力装置及び印刷装置を含む)の全部または一部を、入出力制御装置を介してPOS端末装置に接続する。入出力制御装置は、接続されたPOS端末装置と各装置間のデータ送信を相互に中継する。入出力制御装置は、受信データを中継する際に、受信データ中に所定の検証条件を満足するデータが存在するかどうかを検証する。存在する場合には、入出力制御装置は付加機能提供装置に受信データを送信し、付加機能の提供を促す。これにより、既存のPOSサーバアプリケーション、POS端末装置アプリケーションを変更することなく、新しい付加価値サービスを提供するPOSシステムを構築することができる。
【0026】
以下、スーパーやコンビニエンス・ストア等の店舗にて利用され、オペレータによって入力された商品販売に関する入力情報に基づいてレシートを発行するPOSシステムを例に挙げて説明する。
【0027】
(本発明の一実施形態にかかるPOSシステム)
図1に本発明の一実施形態にかかるPOSシステム10及び入出力制御装置12を示す。図中、既存のPOSシステムを破線の枠60で示している。既存のPOSシステム60においては、破線で示す入力装置32、表示装置33、及び実線で示すPOS印刷装置34が、POS端末装置30の入出力ポートに接続されている。本発明の実施形態では、これらの入力装置32、表示装置33、POS印刷装置34は入出力制御装置12を介して、POS端末装置30に接続される。
【0028】
さらに、既存のPOSシステム60に付加機能を追加するための付加機能提供装置が接続されている。図1の実施形態においては、付加機能提供装置として、インターネット等の外部ネットワーク61に接続された複数の付加機能提供サーバ50−1、50−2(以下「付加機能提供サーバ50」と称する)を示している。付加機能提供サーバ50は、通信装置35を介して入出力制御装置12に接続される。さらに、他のPOSシステム10−1、10−2が付加機能提供装置と同じネットワーク上に接続されている。POSシステム10−1、10−2においても、入出力制御装置を介して、入力装置、表示装置、POS印刷装置の一部又は全てが、POS端末装置に接続されている。
【0029】
(POSシステムの基本動作)
本発明の理解を容易にするため、まず、既存のPOSシステム60(破線で囲まれた部分)の動作を、簡単に説明する。店舗内の精算カウンタに設置されたPOSシステムには、通常、バーコードリーダやキーボード等の入力装置、及び、オペレータディスプレイ(操作用表示器)やカスタマディスプレイ(顧客用表示器)等の表示装置が設けられている。バーコードリーダにより、商品に付されたバーコード(商品コード等が記録されている)が読み取られ、キーボードにより購入個数等の必要な情報が入力される。入力された情報は、オペレータディスプレイ及びカスタマディスプレイ等の表示装置に表示される。図1では、バーコードリーダ及びキーボード等のPOS端末装置に接続される全ての入力装置を、単に入力装置32として示している。入力装置32により読み取られた商品コードやキーボードから入力された購入個数等のデータは、直接POS端末装置に送られる。
【0030】
POS端末装置30は、通常、ネットワークで接続されているPOSサーバ40にデータを送信する。POSサーバ40は、購入商品の商品コードから商品名、価格等、その商品に関する情報を検索して、その商品情報をPOS端末装置30に送信する。POS端末装置30は、操作用表示器、顧客用表示器等の表示装置に、その商品の商品名、数量、価格等の精算情報を表示する。全ての購入商品についての精算情報が入力されると、購入商品の合計額が計算されて、表示されるとともに、POSサーバ40に送信される。POSサーバ40では、POS端末装置30の精算処理に基づいて、在庫情報、売上情報等を更新する。
【0031】
さらに、POS端末装置30は、POSサーバ40からの情報に基づいて、商品名、精算情報等を電子ジャーナルに記録するとともに、印刷データをPOS印刷装置34に出力する。POS印刷装置34は、その印刷データからレシート印刷データを生成して、レシートへ印刷する。
【0032】
(接続形態について)
既存のPOSシステム60の接続形態に対して、本発明では、入力装置32、表示装置33、POS印刷装置34の一部又は全部を、入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続する。まず、本発明の一実施形態にかかるPOSシステムの各部の接続形態について説明する。以下では、本発明の特徴をわかり易くするため、入力装置32、表示装置33、POS印刷装置34の全てを、入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続した実施形態(図1に示すPOSシステム11)について説明する。なお、入力装置32のみ、POS印刷装置34のみ、又は入力装置とPOS印刷装置のみを入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続する等、任意の組み合わせが可能である。
【0033】
また、付加機能に応じて、入力装置32とは別に、顧客が暗証番号等を入力する顧客入力装置、及びクレジットカード等から磁気データを読み取るカードリーダ、画像読取装置等を、新たに接続することや、画像読取装置を組み込んだPOS印刷装置を接続することも可能である(詳細は図10の説明を参照)。
【0034】
このように、本発明にかかるPOSシステムでは、POSサーバを除き、入出力制御装置12を介してPOS端末装置とPOSシステムを構成する各装置を自由に接続することが可能である。入出力制御装置12は、各装置を接続する複数の通信ポートを備えている。通信ポートには、入力ボート、出力ポート、入出力ポートがあり、必要に応じてさらに自由に増設可能である。
【0035】
さらに、本発明のPOSシステムは、複数の入出力制御装置に、POS印刷装置又は入力装置又は表示装置の少なくとも一つが接続される形態も可能である。この場合は、入出力制御装置は他の入出力制御装置もしくは付加機能提供装置もしくはPOS端末装置と、接続されたPOS印刷装置又は入力装置又は表示装置との間でデータの送受信を行う。複数の入出力制御装置のうち、第1の入出力制御装置もしくは付加機能提供装置から送信される情報の全て又は一部が、第2の入出力制御装置もしくはその他の入出力制御装置の一部又は全てを受信先に送信される。これら入出力制御装置で受信した受信データのうち、所定の入出力制御装置の検証条件を満たす情報を、当該入出力制御装置に保存し、その情報をもとに印刷や表示の処理を行わせることができる。
【0036】
(入力装置の接続形態)
バーコードリーダ、バーコードスキャナ、キーボード、画像読取装置等の入力装置32は、入出力制御装置12の入力ポート21cに接続されている。入出力制御装置では、入力装置32から入力情報(主として購入商品情報)を受信すると、その情報を出力ポート21bから出力する。出力ポート21bは、POS端末装置30の入力ポート21aに接続されている。POS端末装置30の入力ポート21aは、既存のPOSシステムにおいて入力装置32が接続されていた入力ポートと同一である。従って、POS端末装置のアプリケーションを全く変更することなく、入力装置32からの入力情報を既存のPOSシステムと同じように扱うことが可能である。
【0037】
尚、入力装置32は、オペレータのキーボード、バーコードスキャナ、画像読取装置等の既存のPOS端末装置に接続されているあらゆる入力装置を含む。既存のPOS端末装置30において、入力装置がそれぞれの種類毎に異なるポートに接続されていた場合には、入出力制御装置12からの出力ポートを、POS端末装置30の対応するポートに接続する。
【0038】
(表示装置の接続形態)
図1では、表示装置33も入出力制御装置12を介してPOS端末装置30に接続されている形態を示している。表示装置33は、入出力制御装置12の出力ポート22cに接続されている。表示装置33は、カスタマディスプレイ、オペレータディスプレイを含む。POS端末装置30がオペレータディスプレイ内蔵型である場合には、カスタマディスプレイのみを入出力制御装置12を介して接続する。表示装置33の表示情報は、POS端末装置の出力ポート22aから入出力制御装置12の入力ポート22bへ出力される精算情報のほか、付加機能提供サーバからの印刷情報を表示することも可能である(この点は後述する)。
【0039】
(印刷装置の接続形態)
POS印刷装置34も入出力制御装置12を介して接続されている。POS端末装置30の出力ポート23aは入出力制御装置12の入力ポート23bと接続されており、POS印刷装置34は、入出力制御装置12の出力ポート23cに接続されている。入出力制御装置12がPOS端末装置30から受信した印刷データは、出力ポート23cを介してPOS印刷装置34に出力される。また、付加機能提供サーバ50から受信した印刷情報をPOS印刷装置34に出力することも可能である。また、既存のPOS印刷装置34では、印刷機能が不足する場合には、第2の印刷装置36を付加することも可能である。例えば、既存のPOS印刷装置34では印刷できない特殊なスリップ(伝票)、又は特殊な印刷記録媒体への印刷を行う場合には、このような印刷に適した第2の印刷装置36を接続することが好ましい。
【0040】
(付加機能提供サーバの接続形態)
付加機能提供サーバ50は、入出力ポート25aに接続される。通信装置35は、VPN等のセキュリティ機能を有することが好ましい。尚、図1では、VPNルータの通信装置35及びインターネットその他の外部ネットワーク61を介して接続される構成を示しているが、社内LANにより接続される構成としてもよい。
【0041】
また、図1に示すように、入出力制御装置12に接続される付加機能提供サーバ50は一つに限定されることなく、異なる付加機能を提供する複数の付加機能提供サーバを接続する構成も可能である。特に、今後、各種サービスのコンテンツを提供するサービスが増えてくることが考えられる。このような場合に、本発明にかかる入出力制御装置を用いることで、自社のPOSシステムの基幹部分(POSサーバ、POSアプリケーション)を何ら変更することなく、外部リソースを利用して、多種多様な付加価値サービスを提供するシステムをタイムリーに導入することが容易となる。なお、付加機能提供装置は、例えば後述するコーリングカードの発行においてはカード発行サーバを用いるといった、付加機能に応じたサーバから構成される。このような個々のサーバを付加情報発行装置と称する。
【0042】
付加機能提供サーバ50は、入出力制御装置から受信した情報をデータベース55に保存する(図4参照)。そして、入出力制御装置を介したオペレータからの要求に応じて、付加機能提供サーバ50は、そのデータベース55に対して、検索、転送、バックアップ、集計、削除、圧縮、圧縮解凍、暗号化、非暗号化、印刷、表示等の処理を行う。
【0043】
(入出力制御装置)
次に、本発明の一実施形態にかかる入出力制御装置の基本構成を説明する。本発明にかかる入出力制御装置12は、複数の通信ポートに接続された各装置との通信を制御する送受信制御部13と、各通信ポートからの受信データを一時格納するデータ記憶部14と、受信データを解析する検証部15と、受信データを所定の検証条件に応じて処理するための処理手順及びその処理に必要なデータを記憶している処理手順記憶部18と、送信データの編集や送信データの送信先等の通信情報を生成するデータ処理部16とを備えている。
【0044】
データ記憶部14は、受信データを入力ポートごとに記憶する。記憶された受信データは、データ処理部16による送信データの編集の際に使用される。データ記憶部14に記憶されるデータは、受信データに限られない。入出力制御装置12は、受信データの一部又は全てと、入出力制御装置12を特定する情報、オペレータを特定する情報、日時を特定する情報、の一部又は全てを組み合わせて、これら情報を圧縮もしくは非圧縮の状態でデータ記憶部14に保存することが可能である。そして、定期的に、または付加機能提供サーバ50からこれら情報の要求があった場合に、またはデータ記憶部14の記憶残量が所定の容量に達した場合に、または、受信データが所定の検証条件を満たす場合に、データ記憶部14に保存されたこれら情報が、付加機能提供サーバ50送信される。この送信の際には、これら情報は、自動的に暗号化または非暗号化される。
【0045】
検証部15には、所定の検証条件が予め登録されている。例えば、付加機能としてコーリングカード発行サービスを提供する場合、検証条件としてコーリングカードの商品コード、又は名称の一部又は全部(例えば、「コーリング」)を登録しておき、受信データと比較する。データ処理部16は、この比較結果に応じて、処理手順記憶部18に記憶されている処理手順に従い、受信データを編集する。さらにデータ処理部16は、送信データを正しく送信するために、処理手順記憶部18のデータに従って、送信先に関する通信情報も生成する。これにより、送受信制御部13は、受信データを適切に仲介して目的の装置に送信データを送信することが可能となる。
【0046】
処理手順記憶部18には、入出力制御装置12が中継する受信データの処理手順及びその処理に必要なデータが、各受信データ及び付加機能に対応して記憶されている。これにより、入出力制御装置12は、接続される全ての装置に対して、受信データの中継処理を行うことが可能となる。
【0047】
図2を用いて、入出力制御装置12をより詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態にかかる入出力制御装置の機能ブロック図を示す。図中の通信ポートに付されている数字は、データを受信する入力ポート又は入出力ポート(以下、特に入出力ポートであることを特定する必要がない限り、単に「入力ポート」又は「出力ポート」と称する)を明確にするために便宜的に付した番号である。
【0048】
データ記憶部14には、入力ポート1〜4からの受信データが記憶される。入力ポート1の受信データは、入力装置32から入力される購入商品等の入力情報である。入力ポート2の受信データは、POS端末装置30から出力される表示装置33に表示すべき表示情報である。入力ポート4の受信データは、POS端末装置30から入力される印刷データであり、付加機能提供サーバ50からの各種受信データである。付加機能提供サーバ50からは、例えば、暗証番号の入力等の操作方法を案内する表示情報、付加機能の提供に伴う印刷情報、付加機能の提供に伴うPOS端末装置30への特殊な情報等が、入出力制御装置12に対して出力される。これらの情報には、その情報を判別できるコードまたは記号が付与されており、入出力制御装置12の検証部15において検証される。また、処理手順記憶部18には、これらの情報を受信した場合の処理手順が処理ルーチンとして記憶されている。処理手順記憶部18の記憶内容は、所定の検出された検証条件に応答して、付加機能提供サーバ50及び入力装置32から、追加又は更新できるような構成とすることが好ましい。
【0049】
検証部15は、受信データが所定の検証条件に合致するか否かを確認する。検証条件記憶部15−1に登録されている所定の検証条件と受信データを比較して、受信データを処理手順記憶部18に記憶された特別な処理ルーチンで処理するかどうかを判定する。すなわち、受信データが所定の検証条件に合致しない場合には、通常の処理(第1の処理)を行い、合致した場合には、通常の処理に加えて又は通常の処理に換えて、特別の処理(第2の処理)を行う。
【0050】
以下、付加機能提供装置として、購入代金に応じた通話サービスを提供するコーリングカードを発行する機能を付加する場合を説明する。この場合、所定の検証条件として、コーリングカードの商品コードを登録しておく。また、処理手順記憶部18には、コーリングカード処理ルーチン18−3が記憶される。コーリングカード処理ルーチン18−3には、各種処理19−1〜19−3のためのサブルーチンが設けられている。これらのサブルーチン19−1〜19−3は例示である。
【0051】
入力装置32から受信した受信データが、登録された商品コード(検証条件)を含んでいない場合には、通常の処理として、入力ポート1からの受信データをそのまま通信ポート21b(出力ポート)を介してPOS端末装置30の入力ポート21aに送信する(第1の処理)。
【0052】
受信データ中にコーリングカードの商品コードを検出した場合には、第1の処理に加えて、第2の処理が行われる。第2の処理では、入出力制御装置12から付加機能提供サーバ50にコーリングカードの購入情報(合致情報)を送信する。同時に、第2の処理手順の中で、付加機能提供サーバ50から送信されてくる所定のデータを適切に処理するために、入出力制御装置内に登録されている所定の検証条件の一部を、書き換えておくことも可能である(所定の識別符号を検証条件として一時的に追加する)。付加機能提供サーバ50では、コーリングカード発行のための登録処理を行うとともに、コーリングカード使用時の暗証番号の入力を促す表示を顧客用の表示装置33に表示するための表示情報を、所定の識別符号とともに入出力制御装置12に送信する。
【0053】
入出力制御装置12の検証部15は、付加機能提供サーバ50からの受信データ中に所定の識別符号を検出すると、処理手順記憶部18で指定された処理手順(コーリングカード処理ルーチン18−3)に従って、受信データを通信ポート22cを介して表示装置33へ送信する。顧客が入力装置から暗証番号を入力すると、入力装置からの受信データは入出力制御装置12の検証部15により検出される。この受信データは、所定の処理手順(第2の処理手順)に従い、付加機能提供サーバ50に送信される。
【0054】
付加機能提供サーバ50は、コーリングカードの発行をデータベース55に記憶し、所定の識別符号とともに、暗証番号と通話サービスを提供する電話番号情報とを入出力制御装置12に送信する。入出力制御装置12の検証部15は、所定の識別符号を検出すると、所定の処理手順に従って受信データをPOS印刷装置34又は第2の印刷装置36に送信する。尚、図2に示すような印刷データ編集のための処理サブルーチン19−2を設けることにより、入出力制御装置12において、受信データを所定の印刷形式に編集して印刷データを生成し、印刷装置に送信するような構成としてもよい。
【0055】
入出力制御装置12は、CPU、ROM、RAM、送受信制御回路等のハードウェア及び制御プログラムにより構成することができる。尚、図2では、各種制御処理手順をソフトウェアとして示したが、高速処理の観点から、これらの処理手順をASIC等によるハードウェア(ロジック回路)で構成することも可能である。また、これらのロジック回路を1チップに集積化することも可能である。
【0056】
なお、入力装置32、表示装置33及び印刷装置34,36用の通信インタフェースは、RS−232規格などのシリアルデータ転送、セントロニクス規格などのパラレルデータ転送、イーサネット(登録商標)の10Base−Tなどのネットワーク接続、若しくはUSBなどのデータ転送規格に対応したものを採用することができる。POS端末装置30との通信インタフェースも同様である。
【0057】
また、入出力制御装置12の内部TTL(Transistor Transistor Logic)と、POS端末装置30やPOS印刷装置34等の内部との駆動電圧レベルが異なる場合には、各通信インタフェースにレベル変換を行うドライバ回路を備えることが好ましい。
【0058】
また、複数の入出力制御装置が、付加機能提供装置に接続され、少なくとも一つの入出力制御装置は、POS端末装置と接続されないよう構成することもできる。
【0059】
(POS端末装置及びPOSサーバ)
図3はPOS端末装置とPOSサーバの基本構成示すブロック図である。POS端末装置30は、CPU、ROM、RAM及び制御プログラムからなる端末制御部38、入出力制御装置12とデータの送受信を行う入出力制御部37、POSサーバ40とのデータ通信を行う通信インタフェース39とを備えている。POS端末装置30は、入出力ポート21a〜23aに接続された入出力制御装置12を介して、入力装置32、表示装置33及びPOS印刷装置34と接続されている。
【0060】
端末制御部38は、入力装置32からの購入商品の入力情報を受け付ける商品入力処理部38−1、商品コード等の入力情報に基づいて、POSサーバ40に価格等の商品情報を問い合わせる商品情報問合部38−2、入力情報及びPOSサーバ40からの商品データに基づいて、購入商品の精算処理を行う精算処理部38−3、購入商品の入力情報及び精算情報を表示情報として生成し、表示装置へ出力する表示処理部38−4、同様に印刷データを出力する印刷処理部38−5、誤って入力した購入商品等の精算情報を取り消し、訂正する取消処理部38−6を備えている。
【0061】
POSサーバ40は、制御装置(CPU41)の他、ROM42やRAM43等のメモリを有し、ROM42内に記憶された制御プログラムにしたがって、RAM43内のバッファ43−6等に記憶された情報の処理を行う。RAM43内には、商品コードブロック43―1、商品名ブロック43−2、金額ブロック43−3、在庫ブロック43−4を有している。CPU41は、POS端末装置30より送信された商品情報に基づいて、商品コード、商品名、金額に関する情報を抽出し、レシートへの印刷およびPOS端末装置30の表示装置33の表示に用いる商品データを生成する。
【0062】
POS端末装置30は、入出力制御装置12に接続された入力装置32からの入力、すなわち、キーボードの入力またはバーコードリーダによるバーコードの読み取りによって商品に関する情報(商品情報)や顧客に関する情報(顧客情報)などの入力情報を、入出力制御装置12を介して取得する。また、入力装置32としてカードリーダを設けることにより、顧客のクレジットカードや会員カードを読み取り、クレジット清算に関する情報や会員番号等の会員に関する情報を取得することもできる。さらに、POSサーバ40から送信された商品データを元に生成した商品情報を、表示情報として入出力制御装置12を介して表示装置33(顧客用表示器)に送信することにより、顧客に購入商品の金額等を提示する。同様に、入出力制御装置12を介してPOS印刷装置34に印刷データが送信され、レシート印刷が実行される。
【0063】
POS端末装置30から入出力制御装置12へ送信された印刷データから取り出された、クレジット精算に関する情報、入力装置32としてカードリーダから読み取られたクレジットカード情報、POS端末装置を特定する情報、オペレータを特定する情報を組み合わせたデータは、入出力制御装置を介して付加機能提供装置へ送信される。付加機能提供装置は、そのデータに基づいて、クレジットカードの認証手続きを行う。認証の結果、クレジットカードが使用可能の場合に、付加機能提供装置は、入出力制御装置を介して印刷装置34や36へクレジットカード決済情報を印刷情報として送信し、顧客のサインを得るための印刷をさせる。これにより、クレジットカード決済機能を提供することができる。なお、POS端末装置に代えて、ECR装置を入出力制御装置に接続することにより、従来のPOSシステムのようにレシートの発行とクレジットカード決済の処理が別々で手間がかかっていた精算処理を、無駄な作業無く行うことが可能となる。
【0064】
(付加機能の提供例)
次に、既存のPOSシステムにコーリングカード発行機能を追加する例を、図1及び図4乃至図6を用いて説明する。
【0065】
図6(a)に購入カード70の一例を示す。店舗内に、コーリングカードという文字とバーコード(商品コード等)とを印刷した購入カード70を展示しておく。購入カードは、1000円、3000円、5000円等の複数種類のカードが用意されており、金額に応じて、印刷されているバーコードの内容が異なっている。顧客は、希望する金額の購入カード70を購入する。
【0066】
前述の通り、入力装置32からの入力情報(購入商品データ)は入出力制御装置12に送信され、入出力制御装置12からPOS端末装置30に送信されることにより、精算処理が行なわれる。一方、入出力制御装置12は、入力装置32からの受信データを検証しながら、POS端末装置30に入力情報を送信する。通常の商品は、所定の検証条件に合致しないので、入力情報はそのままPOS端末装置30に送信されて、既存のPOSシステムと同様の精算処理が行われる。
【0067】
コーリングカードが購入されると、バーコードリーダ(入力装置32)により、購入カード70のバーコード(商品コード)が読み取られる。読み取られた商品コードは、入力装置32から入出力制御装置12に送信される。入出力制御装置12には、検証条件として購入カード70の商品コードが登録されており、検証部15によって該商品コードが所定の検証条件に合致するかどうか検証される。なお、購入カード70の商品コードはPOS端末装置30に送信されると同時に、付加機能提供サーバ50の一つであるカード発行サーバ(カード発行装置)50−1にも送信される。
【0068】
カード発行サーバ50−1は、コーリングカードの商品コードを受信すると、所定のカード発行処理を実行する。図4に、カード発行サーバ50−1の一実施形態にかかる機能ブロック図を示す。カード発行サーバ50−1は、通信制御部51、認証部52、発行管理部53、登録部54を備えている。カード発行サーバ50−1は、入出力制御装置12から購入カード70の商品コードを受信すると、まず認証部52により、正当な発行要求であるかどうか(発行権限があるかどうか)を認証する。発行権限が認証されると、発行管理部53によりコーリングカードの発行手続きが行なわれる。
【0069】
発行処理では、まず、コード検証部53−1により、受信した商品コードを検証して、どの金額の購入カード70が購入されたかを確定する。次に、暗証番号処理部53−2により、顧客に希望する暗証番号を入力するように案内する表示情報を、入出力制御装置12に対して送信する。入出力制御装置12は、受信した表示情報を顧客用の表示装置33に送信する。顧客が顧客入力装置としての入力装置32から暗証番号を入力すると、入力された暗証番号は、入出力制御装置12を介して、カード発行サーバ50−1に送信される。カード発行サーバ50−1は、暗証番号を受信すると、コーリングカードの発行を受け付け、登録部54を介して、暗証番号及び提供するサービス内容をデータベース55に登録する。それとともに、購入されたコーリングカードの種類、金額、通話時間情報、POSシステム設置場所情報等に基づいて、通話サービスを受けるための電話番号と暗証番号とを、印刷情報として入出力制御装置12に送信する。
【0070】
尚、入出力制御装置に、POS印刷装置または入力装置の少なくとも一つが接続されており、入出力制御装置を介してPOS端末装置とPOS印刷装置又は入力装置とのデータの送受信を行う構成とした場合、カード発行サーバ50−1が、入力装置からの入力情報中もしくは印刷情報中に購入カードの購入情報および住所情報を検出したときに、データベース55から、住所情報に対応する電話番号を抽出情報として抽出して、購入カードの購入情報に応じたコーリングカードの通話用の暗証番号を入出力制御装置に送信し、コーリングカードにそれらの情報の一部又は全てを印刷することもできる。
【0071】
また、入出力制御装置に、POS印刷装置又は入力装置の少なくとも一つが接続されており、入出力制御装置を介して、POS端末装置とPOS印刷装置又は入力装置とのデータの送受信を行う構成とし、カード発行装置が、入力装置からの入力情報中又は、印刷情報中にコーリングカードの残り通話時間を取得する通話時間要求情報および、コーリングカードの識別情報を検出した時、該識別情報に応じた前記コーリングカードの残りの通話時間を計算し、残り通話時間を前記発行情報として入出力制御装置に送信し、コーリングカードに印刷するもしくは表示装置に表示することもできる。
【0072】
図5に、一般的に使用されるPOS印刷装置34の機能ブロック図を示す。入出力制御装置12は、カード発行サーバ50−1からの受信した印刷情報を図5に示すようなPOS印刷装置34に送信する。POS印刷装置34は、レシート印刷部34−3及びスリップ印刷部34―4を備えている。スリップ印刷部34−4は、比較的厚いカードに印刷可能である。オペレータが購入カード70をスリップ印刷部34−4にセットすると、インタフェース34−1を介して制御部34−2に送信された電話番号と暗証番号が、購入カード70の裏面71に印刷される。
【0073】
図6(b)に購入カード70の裏面に電場番号及び暗証番号が印刷された例を示す。図6(c)は、レシート印刷の例を示す図である。商品A、B、C、及びコーリングカードが購入された場合の印刷例である。このレシートに示すように、購入カード70の裏面71には暗証番号を印刷せずに、レシート上に印刷することも可能である。また、暗証番号は印刷せずそれに代えて、コーリングカードの使用時に暗証番号の入力を2回求めて暗証番号の確認を行うことも可能である。暗証番号をコーリングカード上に印刷しないことにより、不正使用を防止することができる。また、電話番号及び暗証番号をレシート上に印刷し、レシートをコーリングカードとして発行することも可能である。この場合、精算カウンタでの精算処理後に購入カード70を回収して、店舗にて再利用が可能である。
【0074】
また、購入カード70のようなカード(購入カード以外のカードも含む趣旨)に電話番号等を印刷して、コーリングカードを発行する場合において、POSプリンタ34にスリップ印刷機能がない場合には、スリップ印刷機能を有する印刷装置36を追加接続して印刷させることが可能である。
【0075】
尚、上述の例では、暗証番号を顧客に入力させる例を説明したが、暗証番号をカード発行サーバにより自動的に割り当て印刷させることも可能である。この形態では、顧客に暗証番号の入力を求めないので、カードの発行を迅速に行うことができる。
【0076】
顧客は、通信サービスの提供を希望する場合には、指定された電話番号に電話をかけ、そこからの要求に応じて暗証番号を入力する。その際に通話制御装置から図4に示すようなカード通話サーバ57を介してデータベース55に問い合わせがなされる。そこで残りの通話時間及び暗証番号が確認され、通話サービスが提供される。
【0077】
(その他の実施形態)
図7は、本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示す。図7のPOSシステムでは、POS印刷装置34が、入出力制御ボード78及び印刷部73を備えている。入出力制御ボード78は、コネクタ77を介して印刷部73に接続され、POS印刷装置34に内蔵されている。なお、入出力制御ボード78は着脱可能に構成してもよい。入出力制御ボード78は、POS印刷装置34との接続形態を除き、図2に示す入出力制御装置12と同様の構成である。入出力制御ボード78から印刷制御部74に送信された印刷データは、印刷制御部74で所定の印刷形式に応じてレシート印刷75またはスリップ印刷76に振り分けられて、印刷がなされる。図7のPOS印刷装置34にさらに他の印刷装置36を接続することも可能である。
【0078】
図10は、本発明の他の実施形態にかかるPOSシステム及びPOS印刷装置を示す。図10のPOSシステムでは、POS印刷装置34が、入出力制御ボード78−1及び印刷・画像処理部73−1を備えている。入出力制御ボード78−1は、コネクタ77を介して印刷・画像処理部73−1に接続され、POS印刷装置34に内蔵されている。なお、入出力制御ボード78−1は着脱可能に構成してもよい。入出力制御ボード78−1は、POS印刷装置34との接続形態を除き、図2に示す入出力制御装置12と同様の構成である。図10のPOS印刷装置34にさらに他の印刷装置36を接続することも可能である。
【0079】
画像読取装置100を組み込まれたPOS印刷装置34の場合、入出力制御ボード78−1がPOS端末装置30から受信した印刷データは、印刷・画像制御部74−1に送信され、印刷・画像制御部74−1で所定の印刷形式に応じてレシート印刷75またはスリップ印刷76に振り分けられて、印刷がなされる。また、付加機能提供サーバ50から受信した印刷情報についても同様にをPOS印刷装置34で印刷がなされる。これにより、付加機能提供サーバ50からの付加機能提供に伴う印刷を、POS印刷装置34に実行させることが可能となる。又、画像読取装置100で読み取られた画像情報は入出力制御ボード78−1を介してPOS端末装置30もしくは付加機能提供サーバ50に出力することも可能である。画像情報は、例えばクレジットカード、小切手、運転免許証の読み取り画像である。これら画像情報と、小切手に印刷された口座番号情報、日付を特定する情報、入出力制御装置である入出力制御ボードを特定する情報、POS端末装置を特定する情報、オペレータを特定する情報、金額情報の一部又は全てとを組み合わせて、入出力制御ボード78−1のデータ記憶部14にこれらの情報を保存することが可能である。
【0080】
画像読取装置が入力装置32に接続された構成も可能である。この構成によると、画像読取装置が組み込まれたPOS印刷装置34の場合と同様に読み取られた画像情報は入出力制御ボード78−1を介してPOS端末装置30もしくは付加機能提供サーバ50に出力することが可能である。
【0081】
図11は、ジャーナルデータや税金データの処理に関わるレシート72−1の印刷例を示す。POS端末装置30から入出力制御装置に送信された印刷データのうち、ジャーナルの記録に必要な情報(ジャーナルデータ)は、ジャーナル情報110であり、その他の店舗のロゴ画像等の印刷された情報は必要ない。又、税金の徴収の際に必要な情報(税金データ)は、合計金額や税金金額が記載されている税金情報111である。このようにレシート72−1に印刷された情報は、使用目的に応じて取捨選択される。
【0082】
入出力制御ボード78−1は、受信データの一部又は全てと、入出力制御装置ボード78−1を特定する情報、オペレータを特定する情報、日時を特定する情報、の一部又は全てを組み合わせて、これら情報を圧縮もしくは非圧縮の状態でデータ記憶部14に保存する。そして、定期的に、または付加機能提供サーバ50からこれら情報の要求があった場合に、またはデータ記憶部14の記憶残量が所定の容量に達した場合に、または、受信データが所定の検証条件を満たす場合に、データ記憶部14に保存されたこれら情報が、付加機能提供サーバ50送信される。この送信の際には、これら情報は、自動的に暗号化または非暗号化される。付加機能提供サーバ50は、受信したこれら情報をデータベース55に保存する。そして、入出力制御装置を介したオペレータからの要求に応じて、付加機能提供サーバ50は、そのデータベース55に対して、検索、転送、バックアップ、集計、削除、圧縮、圧縮解凍、暗号化、非暗号化、印刷、表示等の処理を行う。これにより、POS端末装置になんらジャーナルデータ保存のための機能を付加することなく、印刷データを電子ジャーナル化したり、税金に関する情報を取得すること、が可能となる。この付加機能の提供により、印刷用紙の節約や作業の効率化を図ることができる。
【0083】
(精算処理及びコーリングカード発行の処理手順)
図8および図9を用いて、本発明のPOSシステムの処理手順を説明する。図8は、入出力制御装置12及び付加機能提供サーバ(カード発行サーバ)50−1の処理手順を示すフローチャートであり、図9は、POS端末装置30及びPOSサーバ40の処理手順を示すフローチャートである。
【0084】
精算時に、入力装置32から購入商品情報が入力されると、入力情報は入出力制御装置12に送信される。入出力制御装置12は、入力装置32から購入商品情報を受信すると(S101)、検証部により受信データが所定の検証条件を満足するかどうかを検証する(S102)。受信データが所定の検証条件を満たしているかどうかに応じて、第1の処理手順又は第2の処理手順に基づき、送信データが編集され(S103)、送信先(出力先)が決定されて(S104)、処理手順により定められた所定の装置に送信データが送信される(S105)。尚、この場合において、受信データを加工せずにそのまま送信する場合も、入出力制御装置12の「編集」の概念に含む。
【0085】
入力装置32からの受信データが所定の検証条件を満たさない場合には、第1の処理手順に基づき、受信データはそのままPOS端末装置30に送信される。入力装置32からコーリングカードの購入に伴う商品コードを受信した場合には、受信データの検証工程によりそれが検出される(S102)。この場合、第1の処理手順に従ってPOS端末装置30に受信データが送信されると同時に、第2の処理手順に従い、所定の処理を経て(S103、S104,S105)、カード発行サーバ50―1にも受信データが送信される(S105)。カード発行サーバ50−1が、コーリングカードの購入情報を受信すると(S201)、発行権限の認証が行われ(S202)、暗証番号の入力要求が出力される(S203)。
【0086】
暗証番号の入力要求では、暗証番号の入力を促す表示情報が入出力制御装置12に送信される。入出力制御装置12は、受信データを確認して(S101、S102)、所定の処理を行った後に表示装置33に入力要求を促す情報を表示情報として出力する(S103〜S105)。入出力制御装置12が入力装置32から暗証番号を受信すると(S101)、同様に所定の処理が行われ(S102からS103)、編集された送信データがカード発行サーバ50−1に送信される(S104,S105)。カード発行サーバは暗証番号を受信すると、コーリングカードが購入されたことを、暗証番号とともに顧客情報として登録する(S204)。次に、サービス提供のための電話番号及び暗証番号等の印刷情報を入出力制御装置12に送信する(S205)。
【0087】
入出力制御装置12は、カード発行サーバ50−1から印刷情報を受信すると(S101)、その情報を検証する(S102)。検証により、カード発行サーバからの印刷情報であることを認識すると(S102)、必要に応じて所定の編集を行い(S103)、印刷データを印刷装置34又は36に出力する(S104、S105)。尚、レシートに暗証番号を印刷する場合には、印刷データの編集工程において暗証番号を記憶しておき、印刷情報を受信した段階で、所定の位置に印刷するように編集する(S103)。これにより、コーリングカードに関する印刷情報を所定のカード又は、レシートに印刷することが可能となる。暗証番号をどこに印刷するか、印刷しないかについて、顧客の希望を確認し、印刷対象を確定する構成とすることも可能である。
【0088】
図9を用いて、POS端末装置30とPOSサーバ40の処理手順を説明する。POS端末装置30が、入出力制御装置12から送信された購入商品情報を受信すると(S301)、POSサーバ40に対して商品情報の問合せを行う(S301)。POSサーバ40は問合せを受けて(S401)、商品情報を生成し、POS端末装置30にその情報を送信する(S402)。
【0089】
POS端末装置30はPOSサーバ40から商品名、価格等の商品情報を取得すると(S302)、表示又は印刷すべき各種データを表示情報及びレシート印刷データとして生成し、入出力制御装置12に送信する(S303、S304)。さらに、全ての購入商品の入力が終わると、精算確定情報が入力装置32から送信される。POS端末装置30は、精算確定情報を受信すると(S305:YES)、合計金額、消費税等を算出し、これらの精算情報を表示情報及び印刷データとして出力し、同時にPOSサーバ40にも精算確定情報を送信する(S306)。POSサーバ40は受信した清算確定情報に基づいて商品の在庫データ、売上データを更新する(S403)。
【0090】
図8に戻り、入出力制御装置12は、POS端末装置30から、表示情報又は印刷データを受信すると、通常の処理手順に従って、表示装置33又はPOS印刷装置34にデータを出力する。これにより、オペレータの操作に応じて、表示装置33は、入力装置32から入力された購入商品の商品名や価格等の入力情報を順次表示装置に表示し、最後に精算情報を表示する。また、POS印刷装置34は、入出力制御装置12からの印刷データをレシートに印刷する。尚、POS印刷装置による印刷は、購入商品の商品データが入力されるたびにレシートに印刷するようにしても、最終の合計金額が確定した後にまとめてレシートに印刷するようにしてもよい。これらの印刷タイミングは、POS端末装置30から入出力制御装置12に対する印刷データの送信タイミングの調整、入出力制御装置12によるPOS印刷装置34に対する送信タイミングの調整、POS印刷装置34による印刷タイミングの調整等によっても達成可能である。
【0091】
(その他の付加機能提供例)
本発明の入出力制御装置で付加することができる機能を以下に例示する。
【0092】
(例1)入出力制御装置と、メーカの保守サーバとを接続することにより、インクリボン、インク等の付属部品を監視し、リモートメンテナンスを行ったり、ソフトウェアのリモートアップグレードを行う機能を付加することが可能である。
【0093】
又、インク使用量、インクの残量、印刷量、オートカット回数、紙送り量、電源on/off回数等のメンテナンス情報を入出力制御装置が印刷装置より読み出し、定期的にもしくは、付加機能提供装置からの要求によって、これらメンテナンス情報を付加機能提供装置へ送信することで、リモートでメンテナンスを行うことが可能である。また、店舗におけるインクカートリッジの在庫が不足すると、メーカが自動的にインクカートリッジを発送するサービスや、インクの使用量に応じた課金を行うもできるため、店舗にとって、無駄のないインクカートリッジの交換や、インク切れによるトラブルの未然防止が可能となる。
【0094】
(例2)入出力制御装置を介して、自動料金徴収サーバにPOSシステムを接続することにより、POSシステムで使用するソフトウェア等の使用料金等を自動的に徴収する機能を付加することができる。
【0095】
(例3)入出力制御装置へ、クレジットカード決済の際の認証端末であるCAT(Credit Authorization Terminal)を接続することにより、クレジットカードの決済機能を付加することが可能となる。
【0096】
(例4)メンバーカード等による付加価値の高いサービスを提供することが可能となる。
【0097】
(例5)小切手の決済機能、小切手画像のデジタルデータによる決済機能、更に信頼性の向上を付加することが可能となる。従来のシステムでは、小切手に印刷された口座番号情報を読み取り、その口座番号情報を元に、その口座番号の存在、不正使用の有無、残高金額、ブラックリストへの掲載の有無等の一部又は全ての情報を確認後、POS端末装置のソフトウェアは、その口座番号の受け入れ可否を判断する必要があった。本発明の入出力制御装置を使用することで、読み取られた口座番号情報が入出力制御装置を介して付加機能提供装置へ送信され、付加機能提供装置が、その口座番号の存在、不正使用の有無、残高金額、ブラックリストへの掲載の有無等の一部又は全ての情報を確認後、その口座番号の受け入れ可否を判断し、その判断結果を入出力制御装置へ送信して、決済の可否を判断することが可能となる。これにより、小切手の決済機能を実現するための新規アプリケーションの導入が不要でなり、容易に小切手の決済を行うことができる。
【0098】
また、小切手に印刷された口座番号情報の読み取りと同時に小切手の画像を読み取り、その画像情報を保存することにより、小切手の口座情報が誤読された場合や、小切手が不正に使用された場合の証拠として使用することがある。その際、従来のシステムではPOS端末装置のソフトウェアは、画像読取装置を内蔵した印刷装置から、もしくは独立した画像読取装置から、小切手の画像情報を受信してPOS端末装置に保存するか、小切手の決済行うサーバに画像情報を送信し保存する必要があった。本発明の入出力制御装置を使用することで、POS端末装置のソフトウェアを変更することなく、画像情報を保存し、所定のサーバに画像情報を送信して、容易に小切手の誤読や不正使用の証拠を残すことができ信頼性が向上する。
【0099】
(例6)所定金額までのおつり(端数金額)をデジタルチェンジとして所定の管理サーバに蓄積し、精算時点で端数金額が生じた場合には、端数金額の精算処理を、管理サーバの残金と顧客の支払いとの間で調整することにより、顧客が細かいコイン等の受け渡しを無くすようにする機能を追加することも可能である。これにより、店舗は精算処理のスピードを上げることができ、顧客は多数のコインを持ち運ぶ必要がなくなる。
【0100】
(例7)精算カウンタで支払いが行われた場合や注文が行われて注文伝票が発行された場合に、印刷データが入出力制御装置を介して印刷装置に送信されると、入出力制御装置はその印刷データ中から商品に関する情報を取り出し、第2の入出力制御装置に送信する。第2の入出力制御装置は、接続されている印刷装置に対して調理指示書もしくは出庫指示として印刷データを送信することで、自動的にキッチンへの指示や倉庫への指示を行うことが可能となる。
【0101】
(例8)付加機能提供装置から送られてくる印刷情報や入出力制御装置から送信される印刷情報には、通常のレシートに印刷されている精算情報に加えて、顧客識別情報、担当者識別情報、印刷シリアル番号、入出力制御装置識別情報の一部又は全てが付加されており、それらの情報はPOSシステム内に接続された複数の入出力制御装置に送信される。複数の入出力制御装置はその情報を保存し、入出力制御装置に接続された入力装置もしくは付加機能提供装置から送られてくる印刷指示と同時に、印刷すべき情報を特定する指示によって、印刷情報を選択して印刷データを印刷装置に送信する。これによってオペレータは最寄りの印刷装置もしくは入出力制御装置にて印刷を行うことができる。更に、接続された装置にトラブルが発生した場合の対策や印刷に要する作業時間の短縮も可能となる。
【符号の説明】
【0102】
10 本発明のPOSシステム、12 入出力制御装置、13 送受信制御部、14 データ記憶部、15 検証部、16 データ処理部、18 処理手順記憶部、30 POS端末装置、35,56 通信装置、40 POSサーバ、50 付加機能提供サーバ、60 既存のPOSシステム、61 外部ネットワーク、70 購入カード、71 コーリングカードの印刷例、72 レシート印刷例。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、
精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、
精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、
前記入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、少なくとも前記表示情報の一部及び前記印刷データの一部を生成して出力するPOS端末装置と、
前記POS端末装置に新たな機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置と、
前記入力装置、前記表示装置及び前記印刷装置の少なくとも一つと、前記POS端末装置と、前記付加機能提供装置とに接続されており、前記接続されている装置間のデータの送受信を中継する入出力制御装置と、
を備えるPOSシステムであって、
前記入出力制御装置は、
前記接続されている一部又は全ての装置からの受信データについて、所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、
前記受信データが前記検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、前記受信データが前記検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、前記検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、
前記検証部の検証結果に応じて、前記処理手順に従って前記受信データを処理し、前記受信データの一部又は全部を、接続された一部又は全ての装置に出力するデータ処理部と、を備えることを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
前記入出力制御装置は、さらに、各入力ポート毎に個別の検証条件又は複数の入力ポートに共通の前記検証条件を記憶する検証条件記憶部と、前記入力ポートからの受信データを記憶するデータ記憶部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項3】
さらに、前記付加機能提供装置から提供される機能に応じて、前記入出力制御装置に第2の印刷装置その他の装置を接続可能であることを特徴とする請求項2に記載のPOSシステム。
【請求項4】
前記データ処理部は、前記第2の処理手順の実行により、前記検証条件を変更可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項5】
前記入出力制御装置は、前記第2の処理手順に基づいて、前記付加機能提供装置からの受信データの種類に応じて、該受信データの一部又は全部を接続されている装置に選択的に出力することを特徴とする請求項4に記載のPOSシステム。
【請求項6】
前記付加機能提供装置は、前記入出力制御装置からの送信情報に対応した暗証番号、前記送信情報に基づき更新される更新情報、及び前記送信情報に基づき所定のデータベースから検索して抽出した抽出情報のうちの一部又は全てを含んでいる、発行情報を出力する付加情報発行装置からなり、
前記入出力制御装置は、前記受信データ中に前記検証条件を満足する合致情報を検出したときに、前記第2の処理手順に従い、前記合致情報を前記送信情報として前記付加情報発行装置に送信し、前記付加情報発行装置から受信した情報を、POS印刷装置又は他の印刷装置に印刷データとして出力することを特徴とする請求項5に記載のPOSシステム。
【請求項7】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置が接続されており、前記入出力制御装置を介して前記POS端末装置から前記POS印刷装置へ前記印刷データを出力するPOSシステムであって、
前記入出力制御装置は、前記POS端末装置から受信した前記印刷データ中に前記合致情報を検出したときに、前記付加情報発行装置に対して、前記合致情報を前記送信情報として送信することを特徴とする請求項6に記載のPOSシステム。
【請求項8】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置及び前記入力装置が接続されており、前記入出力制御装置を介して前記POS端末装置と前記POS印刷装置及び前記入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、
前記入出力制御装置は、前記入力装置から受信した受信データ中に前記合致情報を検出したときに、前記付加情報発行装置に対して、前記合致情報を前記送信情報として送信することを特徴とする請求項6に記載のPOSシステム。
【請求項9】
前記入出力制御装置に、少なくとも前記顧客用表示器と、顧客によるデータ入力が可能な顧客入力装置が接続されており、
前記付加情報発行装置は、前記検証条件に合致した情報を受信したときに、前記入出力制御装置に暗証番号の入力を要求し、入力された暗証番号が所定の条件を満たす場合に付加情報を発行する暗証番号処理部を備え、
前記入出力制御装置は、前記付加情報発行装置からの前記暗証番号の入力要求を受信したときに、前記第2の処理手順に基づき、前記顧客用表示器に暗証番号の入力を促す表示を行うとともに、前記顧客入力装置から入力された暗証番号を前記付加情報発行装置に送信することを特徴とする請求項7又は8に記載のPOSシステム。
【請求項10】
前記POS印刷装置又は前記第2の印刷装置により、前記付加情報発行装置から送信された前記発行情報を印刷することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項11】
前記POS印刷装置又は前記第2の印刷装置により、前記付加情報発行装置から送信された前記発行情報を複数の印刷装置に分けて印刷することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項12】
複数の前記入出力制御装置が前記付加機能提供装置に接続され、少なくとも一つの前記入出力制御装置は、POS端末装置と接続されないことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項13】
前記付加情報発行装置は購入カードに基づいてコーリングカードを発行するカード発行装置からなり、該カード発行装置は、購入するコーリングカードの種類、金額、通話時間情報、POSシステム設置場所情報に応じて、接続先の電話番号もしくは暗証番号もしくは通話残り時間の一部又は全てを印刷させる情報を発行することを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項14】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置または前記入力装置の少なくとも一つが接続されており、前記入出力制御装置を介して前記POS端末装置と前記POS印刷装置又は前記入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、前記カード発行装置は、前記入力装置からの入力情報中もしくは印刷情報中に購入カードの購入情報および住所情報を検出したときに、所定のデータベースから、前記住所情報に対応する電話番号を抽出して、前記購入カードの購入情報に応じたコーリングカードの通話用の暗証番号を入出力制御装置に送信し、コーリングカードにそれらの情報の一部又は全てを印刷させることを特徴とする請求項13に記載のPOSシステム。
【請求項15】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置又は前記入力装置の少なくとも一つが接続されており、前記入出力制御装置を介して、前記POS端末装置と前記POS印刷装置又は前記入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、前記カード発行装置は、前記入力装置からの入力情報中又は、印刷情報中に前記コーリングカードの残り通話時間を取得する通話時間要求情報および、前記コーリングカードの識別情報を検出した時に、該識別情報に応じた前記コーリングカードの残りの通話時間を計算し、残り通話時間を前記発行情報として前記入出力制御装置に送信し、前記コーリングカードに印刷もしくは表示装置に表示させることを特徴とする請求項13または14に記載のPOSシステム。
【請求項16】
前記入出力制御装置は、前記受信データの一部又は全てを組み合わせて、前記データ記憶部に保存し、定期的に、または前記付加機能提供装置からの要求があった場合に、または前記データ記憶部の記憶用メモリの残量が所定の容量に達した場合に、または前記受信データが所定の検証条件を満たす場合に、前記データ記憶部に保存された情報を暗号化または非暗号化して前記付加機能提供装置に送信することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項17】
前記付加機能提供装置は、前記入出力制御装置からの情報をデータベースに保存し、前記入出力制御装置からの要求に応じて、そのデータベースに対して、検索、転送、バックアップ、集計、削除、圧縮、圧縮解凍、暗号化、非暗号化、印刷、表示の一部又は全ての処理を行うことを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項18】
前記入出力制御装置は、前記受信データの一部又は全てと、前記入出力制御装置を特定する情報、オペレータを特定する情報、日時を特定する情報の一部又は全てを組み合わせて、前記データ記憶部に保存することを特徴とする請求項16または17に記載のPOSシステム。
【請求項19】
前記受信データは、前記POS端末装置から受信したジャーナルデータであることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項20】
前記受信データは、前記POS端末装置から受信した税金データであることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項21】
前記受信データが、画像情報であり、該画像情報と、口座番号情報、日付を特定する情報、入出力制御装置を特定する情報、POS端末装置を特定する情報、オペレータを特定する情報、金額情報の、一部又は全てとを組み合わせて、データ記憶部に保存されることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項22】
前記受信データが、インクの使用量、インクの残量、印刷量、オートカット回数、紙送り量、電源on/off回数の一部又は全てのメンテナンス情報であることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項23】
前記入出力制御装置を第1の入出力制御装置とし、該第1の入出力制御装置に第2もしくは複数の入出力制御装置を接続したPOSシステムにおいて、
前記第1の入出力制御装置から送信される情報の全て又は一部が、前記付加機能提供装置の変わりに又は前記付加機能提供装置に加えて、前記第2もしくは複数の入出力制御装置の一部又は全てを受信先として送信され、
前記第2もしくは複数の入出力制御装置にて受信した受信データのうち、所定の入出力制御装置の検証条件を満たす情報を保存することを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項24】
前記付加機能提供装置から送信される情報の全て又は一部が、前記第2もしくは複数の入出力制御装置の一部又は全てを受信先として送信され、
前記第2もしくは複数の入出力制御装置にて受信した受信データのうち、所定の入出力制御装置の検証条件を満たす情報を保存することを特徴とする請求項23に記載のPOSシステム。
【請求項25】
請求項1から24に記載のいずれか1項に記載の入出力制御装置を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項26】
少なくとも、購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、前記入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、前記表示情報及び前記印刷データを生成して出力するPOS端末装置とを備えるPOSシステムにおいて、
前記入力装置、前記表示装置及び前記印刷装置の少なくとも一つと、前記POS端末装置と、前記POS端末装置により提供されない機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置とに接続されており、
前記接続されている全ての装置からの受信データが所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、
前記受信データが前記検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、前記受信データが前記検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、前記検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、
前記検証部の検証結果に応じて、前記処理手順に従って前記受信データを処理し、前記受信データを接続された装置に出力するデータ処理部と、を備え、前記接続されている装置間のデータの送受信を中継することを特徴とする入出力制御装置。
【請求項27】
さらに、各入力ポート毎に受信データを記憶するデータ記憶部と、前記検証条件を前記入力ポート毎に記憶する検証条件記憶部とを備えることを特徴とする請求項26に記載の入出力制御装置。
【請求項28】
さらに、前記付加機能提供装置から提供される機能に応じて、前記入出力制御装置に第2の印刷装置その他の装置を接続可能であることを特徴とする請求項27に記載の入出力制御装置。
【請求項29】
前記データ処理部は、前記第2の処理手順の実行により、前記検証条件を変更可能であることを特徴とする請求項26から28のいずれか1項に記載の入出力制御装置。
【請求項30】
前記第2の処理手順に基づいて、前記付加機能提供装置からの受信データの種類に応じて、該受信データの一部又は全部を接続されている装置に選択的に出力することを特徴とする請求項29に記載の入出力制御装置。
【請求項31】
入力装置、POS端末装置、表示装置及び印刷装置の各装置の一部又は全部、及び付加機能提供装置と接続されており、前記各装置間の入出力データを中継処理する入出力制御装置のデータ中継処理方法であって、(a)前記各装置からの受信データが、各入力ポート毎に規定されている所定の検証条件を満たすか否かを検証する工程と、(b)前記受信データが前記所定の検証条件を満たさないときには、第1の処理手順に従い、前記POS端末装置又は前記印刷装置に送信する工程と、(c)前記受信データが前記所定の検証条件を満たすときには、前記第1の処理手順による処理に加えて、又は前記第1の処理手順による処理と置き換えて、第2の処理手順に従い前記受信データを前記付加機能提供装置に送信する工程と、(d)前記付加機能提供装置から受信したデータを、前記第2の処理手順に従い処理する工程と、を備えることを特徴とするデータ中継処理方法。
【請求項32】
前記工程(d)は、(d−1)前記入力装置から所定の入力を求める表示情報を、前記表示装置に出力する工程と、(d−2)前記表示装置による表示に従い前記入力装置から入力された入力情報を、前記付加機能提供装置に送信する工程と、(d−3)前記工程(d−2)に応答して、前記付加機能提供装置から受信した印刷情報を、前記印刷装置に送信する工程と、を備えることを特徴とする請求項31に記載のデータ中継処理方法。
【請求項33】
前記工程(b)は、前記受信データが前記所定の検証条件として登録された情報と一致するときに、付加機能提供装置に前記受信データを送信する工程からなり、
前記工程(d)は、付加機能提供装置から受信した暗証番号もしくは更新情報もしくは抽出情報の一部又は全てを含む印刷情報を、前記印刷装置に送信する工程からなることを特徴とする請求項31又は32に記載のデータ中継処理方法。
【請求項34】
前記工程(b)は、前記受信データが前記所定の検証条件として登録された情報と一致するときに、前記付加機能提供装置に前記受信データを送信する工程からなり、
前記工程(d−1)は、暗証番号の入力を促す表示情報を前記表示装置に送信する工程からなり、
前記工程(d−2)は、入力装置から受信した暗証番号を前記付加機能提供装置に送信する工程からなり、
前記工程(d−3)は、前記付加機能提供装置から受信した情報を前記印刷装置に送信する工程からなることを特徴とする請求項31から33のいずれか1項に記載のデータ中継方法。
【請求項35】
前記工程(a)は、前記入力装置から受信した購入商品情報が、前記所定の検証条件と一致するかどうかを検証する工程からなることを特徴とする請求項31から34のいずれか1項に記載のデータ中継処理方法。
【請求項36】
前記工程(a)は、前記付加機能提供装置から受信した印刷情報が、前記所定の検証条件と一致するかどうかを検証する工程からなることを特徴とする請求項31から35のいずれか1項に記載のデータ中継処理方法。
【請求項1】
購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、
精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、
精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、
前記入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、少なくとも前記表示情報の一部及び前記印刷データの一部を生成して出力するPOS端末装置と、
前記POS端末装置に新たな機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置と、
前記入力装置、前記表示装置及び前記印刷装置の少なくとも一つと、前記POS端末装置と、前記付加機能提供装置とに接続されており、前記接続されている装置間のデータの送受信を中継する入出力制御装置と、
を備えるPOSシステムであって、
前記入出力制御装置は、
前記接続されている一部又は全ての装置からの受信データについて、所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、
前記受信データが前記検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、前記受信データが前記検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、前記検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、
前記検証部の検証結果に応じて、前記処理手順に従って前記受信データを処理し、前記受信データの一部又は全部を、接続された一部又は全ての装置に出力するデータ処理部と、を備えることを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
前記入出力制御装置は、さらに、各入力ポート毎に個別の検証条件又は複数の入力ポートに共通の前記検証条件を記憶する検証条件記憶部と、前記入力ポートからの受信データを記憶するデータ記憶部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項3】
さらに、前記付加機能提供装置から提供される機能に応じて、前記入出力制御装置に第2の印刷装置その他の装置を接続可能であることを特徴とする請求項2に記載のPOSシステム。
【請求項4】
前記データ処理部は、前記第2の処理手順の実行により、前記検証条件を変更可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項5】
前記入出力制御装置は、前記第2の処理手順に基づいて、前記付加機能提供装置からの受信データの種類に応じて、該受信データの一部又は全部を接続されている装置に選択的に出力することを特徴とする請求項4に記載のPOSシステム。
【請求項6】
前記付加機能提供装置は、前記入出力制御装置からの送信情報に対応した暗証番号、前記送信情報に基づき更新される更新情報、及び前記送信情報に基づき所定のデータベースから検索して抽出した抽出情報のうちの一部又は全てを含んでいる、発行情報を出力する付加情報発行装置からなり、
前記入出力制御装置は、前記受信データ中に前記検証条件を満足する合致情報を検出したときに、前記第2の処理手順に従い、前記合致情報を前記送信情報として前記付加情報発行装置に送信し、前記付加情報発行装置から受信した情報を、POS印刷装置又は他の印刷装置に印刷データとして出力することを特徴とする請求項5に記載のPOSシステム。
【請求項7】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置が接続されており、前記入出力制御装置を介して前記POS端末装置から前記POS印刷装置へ前記印刷データを出力するPOSシステムであって、
前記入出力制御装置は、前記POS端末装置から受信した前記印刷データ中に前記合致情報を検出したときに、前記付加情報発行装置に対して、前記合致情報を前記送信情報として送信することを特徴とする請求項6に記載のPOSシステム。
【請求項8】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置及び前記入力装置が接続されており、前記入出力制御装置を介して前記POS端末装置と前記POS印刷装置及び前記入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、
前記入出力制御装置は、前記入力装置から受信した受信データ中に前記合致情報を検出したときに、前記付加情報発行装置に対して、前記合致情報を前記送信情報として送信することを特徴とする請求項6に記載のPOSシステム。
【請求項9】
前記入出力制御装置に、少なくとも前記顧客用表示器と、顧客によるデータ入力が可能な顧客入力装置が接続されており、
前記付加情報発行装置は、前記検証条件に合致した情報を受信したときに、前記入出力制御装置に暗証番号の入力を要求し、入力された暗証番号が所定の条件を満たす場合に付加情報を発行する暗証番号処理部を備え、
前記入出力制御装置は、前記付加情報発行装置からの前記暗証番号の入力要求を受信したときに、前記第2の処理手順に基づき、前記顧客用表示器に暗証番号の入力を促す表示を行うとともに、前記顧客入力装置から入力された暗証番号を前記付加情報発行装置に送信することを特徴とする請求項7又は8に記載のPOSシステム。
【請求項10】
前記POS印刷装置又は前記第2の印刷装置により、前記付加情報発行装置から送信された前記発行情報を印刷することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項11】
前記POS印刷装置又は前記第2の印刷装置により、前記付加情報発行装置から送信された前記発行情報を複数の印刷装置に分けて印刷することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項12】
複数の前記入出力制御装置が前記付加機能提供装置に接続され、少なくとも一つの前記入出力制御装置は、POS端末装置と接続されないことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項13】
前記付加情報発行装置は購入カードに基づいてコーリングカードを発行するカード発行装置からなり、該カード発行装置は、購入するコーリングカードの種類、金額、通話時間情報、POSシステム設置場所情報に応じて、接続先の電話番号もしくは暗証番号もしくは通話残り時間の一部又は全てを印刷させる情報を発行することを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項14】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置または前記入力装置の少なくとも一つが接続されており、前記入出力制御装置を介して前記POS端末装置と前記POS印刷装置又は前記入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、前記カード発行装置は、前記入力装置からの入力情報中もしくは印刷情報中に購入カードの購入情報および住所情報を検出したときに、所定のデータベースから、前記住所情報に対応する電話番号を抽出して、前記購入カードの購入情報に応じたコーリングカードの通話用の暗証番号を入出力制御装置に送信し、コーリングカードにそれらの情報の一部又は全てを印刷させることを特徴とする請求項13に記載のPOSシステム。
【請求項15】
前記入出力制御装置に、前記POS印刷装置又は前記入力装置の少なくとも一つが接続されており、前記入出力制御装置を介して、前記POS端末装置と前記POS印刷装置又は前記入力装置とのデータの送受信を行うPOSシステムであって、前記カード発行装置は、前記入力装置からの入力情報中又は、印刷情報中に前記コーリングカードの残り通話時間を取得する通話時間要求情報および、前記コーリングカードの識別情報を検出した時に、該識別情報に応じた前記コーリングカードの残りの通話時間を計算し、残り通話時間を前記発行情報として前記入出力制御装置に送信し、前記コーリングカードに印刷もしくは表示装置に表示させることを特徴とする請求項13または14に記載のPOSシステム。
【請求項16】
前記入出力制御装置は、前記受信データの一部又は全てを組み合わせて、前記データ記憶部に保存し、定期的に、または前記付加機能提供装置からの要求があった場合に、または前記データ記憶部の記憶用メモリの残量が所定の容量に達した場合に、または前記受信データが所定の検証条件を満たす場合に、前記データ記憶部に保存された情報を暗号化または非暗号化して前記付加機能提供装置に送信することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項17】
前記付加機能提供装置は、前記入出力制御装置からの情報をデータベースに保存し、前記入出力制御装置からの要求に応じて、そのデータベースに対して、検索、転送、バックアップ、集計、削除、圧縮、圧縮解凍、暗号化、非暗号化、印刷、表示の一部又は全ての処理を行うことを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項18】
前記入出力制御装置は、前記受信データの一部又は全てと、前記入出力制御装置を特定する情報、オペレータを特定する情報、日時を特定する情報の一部又は全てを組み合わせて、前記データ記憶部に保存することを特徴とする請求項16または17に記載のPOSシステム。
【請求項19】
前記受信データは、前記POS端末装置から受信したジャーナルデータであることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項20】
前記受信データは、前記POS端末装置から受信した税金データであることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項21】
前記受信データが、画像情報であり、該画像情報と、口座番号情報、日付を特定する情報、入出力制御装置を特定する情報、POS端末装置を特定する情報、オペレータを特定する情報、金額情報の、一部又は全てとを組み合わせて、データ記憶部に保存されることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項22】
前記受信データが、インクの使用量、インクの残量、印刷量、オートカット回数、紙送り量、電源on/off回数の一部又は全てのメンテナンス情報であることを特徴とする請求項16に記載のPOSシステム。
【請求項23】
前記入出力制御装置を第1の入出力制御装置とし、該第1の入出力制御装置に第2もしくは複数の入出力制御装置を接続したPOSシステムにおいて、
前記第1の入出力制御装置から送信される情報の全て又は一部が、前記付加機能提供装置の変わりに又は前記付加機能提供装置に加えて、前記第2もしくは複数の入出力制御装置の一部又は全てを受信先として送信され、
前記第2もしくは複数の入出力制御装置にて受信した受信データのうち、所定の入出力制御装置の検証条件を満たす情報を保存することを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載のPOSシステム。
【請求項24】
前記付加機能提供装置から送信される情報の全て又は一部が、前記第2もしくは複数の入出力制御装置の一部又は全てを受信先として送信され、
前記第2もしくは複数の入出力制御装置にて受信した受信データのうち、所定の入出力制御装置の検証条件を満たす情報を保存することを特徴とする請求項23に記載のPOSシステム。
【請求項25】
請求項1から24に記載のいずれか1項に記載の入出力制御装置を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項26】
少なくとも、購入商品情報を含む精算情報を入力する入力装置と、精算情報及びその他の表示情報を表示する顧客用表示器を含む表示装置と、精算情報及びその他の印刷データを印刷する印刷装置と、前記入力装置からの情報を取得して、購入金額の合計を算出し、前記表示情報及び前記印刷データを生成して出力するPOS端末装置とを備えるPOSシステムにおいて、
前記入力装置、前記表示装置及び前記印刷装置の少なくとも一つと、前記POS端末装置と、前記POS端末装置により提供されない機能を提供する少なくとも1つの付加機能提供装置とに接続されており、
前記接続されている全ての装置からの受信データが所定の検証条件を満たすか否かを検証する検証部と、
前記受信データが前記検証条件を満たさない場合の第1の処理手順と、前記受信データが前記検証条件を満たす場合の第2の処理手順を、前記検証条件毎に定めた処理手順を記憶する処理手順記憶部と、
前記検証部の検証結果に応じて、前記処理手順に従って前記受信データを処理し、前記受信データを接続された装置に出力するデータ処理部と、を備え、前記接続されている装置間のデータの送受信を中継することを特徴とする入出力制御装置。
【請求項27】
さらに、各入力ポート毎に受信データを記憶するデータ記憶部と、前記検証条件を前記入力ポート毎に記憶する検証条件記憶部とを備えることを特徴とする請求項26に記載の入出力制御装置。
【請求項28】
さらに、前記付加機能提供装置から提供される機能に応じて、前記入出力制御装置に第2の印刷装置その他の装置を接続可能であることを特徴とする請求項27に記載の入出力制御装置。
【請求項29】
前記データ処理部は、前記第2の処理手順の実行により、前記検証条件を変更可能であることを特徴とする請求項26から28のいずれか1項に記載の入出力制御装置。
【請求項30】
前記第2の処理手順に基づいて、前記付加機能提供装置からの受信データの種類に応じて、該受信データの一部又は全部を接続されている装置に選択的に出力することを特徴とする請求項29に記載の入出力制御装置。
【請求項31】
入力装置、POS端末装置、表示装置及び印刷装置の各装置の一部又は全部、及び付加機能提供装置と接続されており、前記各装置間の入出力データを中継処理する入出力制御装置のデータ中継処理方法であって、(a)前記各装置からの受信データが、各入力ポート毎に規定されている所定の検証条件を満たすか否かを検証する工程と、(b)前記受信データが前記所定の検証条件を満たさないときには、第1の処理手順に従い、前記POS端末装置又は前記印刷装置に送信する工程と、(c)前記受信データが前記所定の検証条件を満たすときには、前記第1の処理手順による処理に加えて、又は前記第1の処理手順による処理と置き換えて、第2の処理手順に従い前記受信データを前記付加機能提供装置に送信する工程と、(d)前記付加機能提供装置から受信したデータを、前記第2の処理手順に従い処理する工程と、を備えることを特徴とするデータ中継処理方法。
【請求項32】
前記工程(d)は、(d−1)前記入力装置から所定の入力を求める表示情報を、前記表示装置に出力する工程と、(d−2)前記表示装置による表示に従い前記入力装置から入力された入力情報を、前記付加機能提供装置に送信する工程と、(d−3)前記工程(d−2)に応答して、前記付加機能提供装置から受信した印刷情報を、前記印刷装置に送信する工程と、を備えることを特徴とする請求項31に記載のデータ中継処理方法。
【請求項33】
前記工程(b)は、前記受信データが前記所定の検証条件として登録された情報と一致するときに、付加機能提供装置に前記受信データを送信する工程からなり、
前記工程(d)は、付加機能提供装置から受信した暗証番号もしくは更新情報もしくは抽出情報の一部又は全てを含む印刷情報を、前記印刷装置に送信する工程からなることを特徴とする請求項31又は32に記載のデータ中継処理方法。
【請求項34】
前記工程(b)は、前記受信データが前記所定の検証条件として登録された情報と一致するときに、前記付加機能提供装置に前記受信データを送信する工程からなり、
前記工程(d−1)は、暗証番号の入力を促す表示情報を前記表示装置に送信する工程からなり、
前記工程(d−2)は、入力装置から受信した暗証番号を前記付加機能提供装置に送信する工程からなり、
前記工程(d−3)は、前記付加機能提供装置から受信した情報を前記印刷装置に送信する工程からなることを特徴とする請求項31から33のいずれか1項に記載のデータ中継方法。
【請求項35】
前記工程(a)は、前記入力装置から受信した購入商品情報が、前記所定の検証条件と一致するかどうかを検証する工程からなることを特徴とする請求項31から34のいずれか1項に記載のデータ中継処理方法。
【請求項36】
前記工程(a)は、前記付加機能提供装置から受信した印刷情報が、前記所定の検証条件と一致するかどうかを検証する工程からなることを特徴とする請求項31から35のいずれか1項に記載のデータ中継処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−61982(P2013−61982A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−275436(P2012−275436)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2010−204038(P2010−204038)の分割
【原出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2010−204038(P2010−204038)の分割
【原出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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