説明

POS端末装置

【課題】商品を購入した顧客の年齢に応じた見易いレシートを印刷する。
【解決手段】顧客が購入した商品の商品名、個数および価格を含む販売データを会計処理する会計処理部52と、前記顧客の年代に関する年代データを取得する年代取得部60と、前記年代取得部60で取得された前記年代データに応じてフォントサイズとレイアウトを設定する設定部62と、前記会計処理部52で会計処理された会計データに対して、前記設定部62で設定された前記フォントサイズと前記レイアウトを適用し、レシートに印刷するためのレシート印刷データを作成する印刷データ作成部56と、前記レシート印刷データをプリンター19に出力する印刷データ出力部58と、を備えたことを特徴とするPOS端末装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗のレジ等において商品販売データを処理するPOS端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗の会計レジにおいて商品の会計処理が終了すると、レシートが印刷されて顧客に発行される。このようなレシート発行において、レシートの内容を確認したくても文字が小さ過ぎて読み取ることが難しいという問題が起こり得る。特に高齢の顧客にとって、小さな文字を読み取り難くなるのが一般的である。そこで、顧客の年齢に応じてレシートのフォントサイズを変更し、レシートの印刷を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−46625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法によると、個々のフォントサイズは大きくなるが、単にサイズを変更するだけなので、レシートの読み取りは可能になっても、見易さの観点から不十分だった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、顧客の年齢に応じて文字の大きさとレイアウトを変更したレシートを印刷することが可能なPOS端末装置を提供することを目的とする。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るPOS端末装置は、顧客が購入した商品の商品名、個数および価格を含む販売データを会計処理する会計処理部と、前記顧客の年代に関する年代データを取得する年代取得部と、前記年代取得部で取得された前記年代データに応じてフォントサイズとレイアウトを設定する設定部と、前記会計処理部で会計処理された会計データに対して、前記設定部で設定された前記フォントサイズと前記レイアウトを適用し、レシートに印刷するためのレシート印刷データを作成する印刷データ作成部と、前記レシート印刷データをプリンターに出力する印刷データ出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、顧客の年代に応じた大きさの文字とレイアウトでレシートを印刷することができる。このため、例えば小さな文字の読み取りが困難な顧客に対して、見易いレシートを発行することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載のPOS端末装置は、前記設定部で設定された前記レイアウトは、前記会計データの「合計」文字を含む行を斜体にするものであることが好ましい。
【0009】
[適用例3]上記適用例に記載のPOS端末装置は、前記設定部で設定された前記レイアウトは、前記会計データの「合計」文字を含む行に下線を引くものであることが好ましい。
【0010】
[適用例4]上記適用例に記載のPOS端末装置は、前記設定部で設定された前記レイアウトは、前記会計データの「合計」文字を含む行を罫線で囲むものであることが好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、顧客の年代に応じた大きさの文字とレイアウトでレシートを印刷することができる。特に、顧客が注目する「合計」文字を含む行に対して、斜体、下線、罫線による囲み、という文字修飾を施すことにより、見易いレシートを発行することができる。
【0012】
[適用例5]上記適用例に記載のPOS端末装置は、前記年代取得部は、前記POS端末装置に設けられた年代キーであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、POS端末装置のオペレーターは、年代キーを押下するだけの簡単な操作により、顧客の年代データを入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態であるPOS端末装置の外観を示す図。
【図2】POS端末装置に設けられた年代キーを示す図。
【図3】本実施形態のPOS端末装置のブロック図。
【図4】年代別フォントサイズテーブルの一例を示す図。
【図5】本実施形態のPOS端末装置の機能ブロック図。
【図6】本実施形態の会計処理の内容を表すフローチャート。
【図7】本実施形態のレシート印刷処理の内容を表すフローチャート。
【図8】本実施形態によるレシートの印刷例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし構成を簡略化して表す場合がある。
【0016】
(POS端末装置の概略構成について)
本発明の一実施形態であるPOS端末装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるPOS端末装置の外観を示す図であり、図1(a)はPOS端末装置の正面側(オペレーターが操作する側)の斜視図を、また、図1(b)はPOS端末装置の背面側(顧客に向けられた側)の斜視図を、表している。図2は、POS端末装置に設けられた年代キーを示す図である。POS端末装置10は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗の会計レジに設置され、オペレーターの操作に応じて会計処理やレシート発行処理を行う。
【0017】
図1(a)、図1(b)に示すように、POS端末装置10は、キーボード12、オペレーター向けディスプレイ13、キャッシュドロワ15、顧客向けディスプレイ16、プリンター19、カードリーダー20を備えている。会計レジのオペレーターは、バーコードスキャナー14(図3)で商品のバーコードを読み取ることにより、または、キーボード12を操作することにより、商品の識別情報(以下、商品コードという)をPOS端末装置10へ入力する。また、複数の同一商品については、その個数をキーボード12から入力する。
【0018】
また、図2に示すように、POS端末装置10に設けられたキーボード12には、年代キー12Aが設けられており、オペレーターは、顧客の年齢に応じて、この年代キー12Aにより顧客の年代(「10代」、「20代〜30代」、「40代〜50代」、「60代以上」)を入力する。
【0019】
顧客向けディスプレイ16には、会計処理中にPOS端末装置10に入力された商品コードに該当する商品名、個数、価格、広告等が表示される。
【0020】
オペレーターは、顧客が購入した全商品について商品コードの入力を完了すると、キーボード12の「合計」キーを押下することにより会計操作を完了する。会計操作が完了すると、プリンター19によりレシート40が印刷される。
【0021】
(POS端末装置の詳細構成について)
ここで、上記POS端末装置の主要構成について、図3および図4を参照してより詳しく説明する。図3は、本実施形態のPOS端末装置のブロック図であり、図4は、年代別フォントサイズテーブルの一例を示す図である。
【0022】
図3に示すように、POS端末装置10は、CPU11を備えている。CPU11には、キーボード12、ディスプレイ13、バーコードスキャナー14、キャッシュドロワ15、顧客向けディスプレイ16、プリンター19、カードリーダー20が接続されている。CPU11は、メモリー22に格納されたプログラム24を実行することにより、上記各部12〜20を制御する。また、メモリー22には、各種サイズ(ポイント数)のフォントデータ26および年代別フォントサイズテーブル28が格納されている。
【0023】
図4に示すように、年代別フォントサイズテーブル28には、顧客の年代別にフォントサイズがポイント数単位で格納されている。
さらに、この年代別フォントサイズテーブル28には、各フォントサイズに関連付けてレイアウト情報が格納されている。例えば、20代〜30代の場合は「合計」文字を含む行を斜体にする、40代〜50代の場合は「合計」文字を含む行に下線を引く、60代以上の場合は「合計」文字を含む行を罫線で囲む、といったレイアウト情報である。
CPU11は、年代別フォントサイズテーブル28を参照して、年代キー12Aで入力された顧客の年代に応じたフォントサイズおよびレイアウトを設定する。
【0024】
再び、図3を参照する。POS端末装置10には、インターフェイス29を介して、店舗サーバー30が接続されている。店舗サーバー30が備えるデータベース32には、店舗が販売する各商品について商品コード、商品名、および、価格が格納された商品マスターテーブル34が記憶されている。店舗サーバー30は、CPU11から商品コードを指定されると、該当する商品名および価格をCPU11に通知する。こうして、商品名、個数、価格が確定すると、販売データとして後述の会計処理部に渡されて会計処理が行われる。
【0025】
このように商品マスターテーブル34を店舗サーバー30に設けることで、同一店舗内に設けられた複数のPOS端末装置10から商品マスターテーブル34を共有することが可能となる。なお、POS端末装置10内部に商品マスターテーブル34を設けてもよい。また、年代別フォントサイズテーブル28をデータベース32に設けてもよい。
【0026】
(POS端末装置の動作について)
次いで、POS端末装置の動作について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態のPOS端末装置の機能部を表す機能ブロック図である。
【0027】
図5に示すように、POS端末装置10は、商品コード取得部50、会計処理部52、商品データ取得部54、印刷データ作成部56、印刷データ出力部58、年代取得部60、および、設定部62の各機能部を備えている。これら機能部50〜62は、CPU11がプログラム24を実行することにより実現される。
【0028】
商品コード取得部50は、キーボード12あるいはバーコードスキャナー14から入力された商品コードを取得する。また、年代取得部60は、キーボード12の年代キー12Aで入力された顧客の年代を取得する。設定部62は、年代別フォントサイズテーブル28を参照して、顧客の年代に対応したフォントサイズおよび該フォントサイズに関連付けられたレイアウトを設定する。
【0029】
会計処理部52は、商品コード取得部50が取得した商品コードに対応する商品名および価格を、商品データ取得部54を介して店舗サーバー30から取得し、商品名、個数、価格を含む販売データに基づいて会計処理を行う。会計処理が終了すると、会計処理部52は、会計データを印刷データ作成部56に渡す。印刷データ作成部56は、会計データに対して、設定部62により設定されたフォントサイズとレイアウトを適用し、レシートを印刷するためのレシート印刷データを作成する。作成されたレシート印刷データは、印刷データ出力部58によりプリンター19へ出力される。
【0030】
(会計処理の流れについて)
POS端末装置による会計処理の流れについて、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態においてCPU11が実行する会計処理の内容を表すフローチャートである。
【0031】
図6に示すように、会計レジのオペレーターは、顧客から会計処理の要求を受けると、顧客の外見等から年代を判断し、キーボード12の年代キー12Aを操作して、その年代を入力する。CPU11は、年代キー12Aによる年代の入力を受け付けると(S100)、その年代を年代データとして記憶する(S102)。次に、オペレーターは、キーボード12またはバーコードスキャナー14により、顧客が購入する各商品の商品コードを入力し、さらに、複数の同一商品がある場合は、その個数をキーボード12から入力する。CPU11は、商品コードおよび個数の入力を受け付けると(S104)、該当する商品名および価格を店舗サーバー30から取得する(S106)。取得された商品名および価格は、商品の個数と共に顧客向けディスプレイ16に表示される(S108)。
【0032】
次に、商品コードの入力が終了したか否かが判別される(S110)。例えば、キーボード12の「合計」ボタンが押下された場合に、商品コードの入力が終了したと判別される。その結果、商品コードの入力が終了した場合には、商品価格の集計や消費税額の計算等が行われたうえで、レシート印刷処理へ移る。なお、各商品コードおよび年代データは、店舗サーバー30へ送られて販売データの分析等に供せられる。
一方、S110において、商品コードの入力が終了していない場合は、S104に戻って、次の商品コードの入力を受け付ける。
【0033】
(レシート印刷処理の流れについて)
POS端末装置によるレシート印刷処理の流れについて、図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施形態においてCPU11が実行するレシート印刷処理の内容を表すフローチャートである。図8は、顧客が20代および60代の場合に印刷されたレシートの印刷例を示す図である。
【0034】
会計レジのオペレーターは商品コードの入力を終了すると、顧客に対して、レシートの文字を大きくするかどうかを尋ねる。そして、顧客の回答にしたがって、その年代に応じたフォントサイズでレシート印刷させるかどうかの入力操作を行う。CPU11は、この入力操作に基づいて、フォントサイズの変更を行うかどうかを判別する(S120)。その結果、年代に応じたフォントサイズの変更を行うと判別された場合は、上記会計処理のS102で記憶しておいた年代データが取得され(S122)、この年代データから年代別フォントサイズテーブル28を参照して、年代に対応したフォントサイズおよび該フォントサイズに関連付けられたレイアウトが設定される(S124)。一方、上記S120で、年代に応じたフォントサイズの変更を行わないと判別された場合は、デフォルト値(例えば10ポイント)のフォントサイズが設定される(S126)。
【0035】
次に、各商品の商品名、個数、および価格に含まれる各文字について、設定されたフォントサイズのフォントデータ26がメモリー22から読み出され、それにレイアウトを適用して、レシート印刷データが作成される(S128)。なお、レシートに印刷すべき商品名以外の文字(例えば、「ご来店ありがとうございます」等の挨拶文)についても、顧客の年代に応じたサイズのフォントデータを用いてレシート印刷データを作成してもよい。こうして作成されたレシート印刷データがプリンター19へ出力される(S130)。プリンター19は、このレシート印刷データをレシートに印刷する。
【0036】
図8に示すように、20代の顧客に対しては、小さなフォントサイズ(10ポイント)の文字でレシートが印刷され、レシートは比較的コンパクトなサイズに収まっている。これに対して、60代の顧客に対しては大きなフォントサイズ(14ポイント)の文字で、さらに「合計」文字を含む行が罫線で囲まれたレシートが印刷されている。これにより、小さな文字を読み取り難い顧客であってもレシートが見易い。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のPOS端末装置10によれば、顧客の年代に応じた大きさの文字とレイアウトでレシートを印刷することができる。このため、小さな文字の読み取りが困難な顧客に対して、見易いレシートを発行することができる。
【0038】
また、本実施形態では、フォントデータ26をPOS端末装置10のメモリー22に記憶しているので、プリンター19がフォントデータを記憶する必要がない。したがって、プリンター19として汎用的なプリンターを用いることができる。また、例えば、新たなフォントサイズのフォントデータを追加する場合にも、プリンター19に変更を加えることが不要であり、POS端末装置10の柔軟性・拡張性を高めることが可能である。
【0039】
また、本実施形態では、会計処理の最初に顧客の年代を入力し、会計処理の最後に、年代に応じてフォントサイズを変更するかどうかを入力しているが、これに限らず、顧客の年代およびフォントサイズを変更するかどうかの入力を会計処理の最初または最後にまとめて行ってもよい。これにより、オペレーターの操作手順を単純にすることができる。
【符号の説明】
【0040】
10…POS端末装置、12A…年代キー、19…プリンター、52…会計処理部、60…年代取得部、56…印刷データ作成部、58…印刷データ出力部、62…設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が購入した商品の商品名、個数および価格を含む販売データを会計処理する会計処理部と、
前記顧客の年代に関する年代データを取得する年代取得部と、
前記年代取得部で取得された前記年代データに応じてフォントサイズとレイアウトを設定する設定部と、
前記会計処理部で会計処理された会計データに対して、前記設定部で設定された前記フォントサイズと前記レイアウトを適用し、レシートに印刷するためのレシート印刷データを作成する印刷データ作成部と、
前記レシート印刷データをプリンターに出力する印刷データ出力部と、
を備えたことを特徴とするPOS端末装置。
【請求項2】
前記設定部で設定された前記レイアウトは、前記会計データの「合計」文字を含む行を斜体にするものであることを特徴とする請求項1に記載のPOS端末装置。
【請求項3】
前記設定部で設定された前記レイアウトは、前記会計データの「合計」文字を含む行に下線を引くものであることを特徴とする請求項1に記載のPOS端末装置。
【請求項4】
前記設定部で設定された前記レイアウトは、前記会計データの「合計」文字を含む行を罫線で囲むものであることを特徴とする請求項1に記載のPOS端末装置。
【請求項5】
前記年代取得部は、前記POS端末装置に設けられた年代キーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のPOS端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−208888(P2012−208888A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75800(P2011−75800)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】