RFIDシステム並びに同システムにおける制御方法、装置及びプログラム
【課題】パッシブ型RFIDシステムにおいて、タグ又はリーダが高速で移動している場合に、システム全体としてのデータ読み取り率を向上させる。
【解決手段】パッシブ型RFIDタグ24との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10bと、リーダ10a、10b間で連携を取るための制御装置3とを有し、制御装置3によって、あるリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御を行うとともに、パッシブ型RFIDタグ24からの信号S2を受信したリーダの内の1つが当該パッシブ型RFIDタグ24に対する次の信号S3の送信を行う制御を行う。
【解決手段】パッシブ型RFIDタグ24との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10bと、リーダ10a、10b間で連携を取るための制御装置3とを有し、制御装置3によって、あるリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御を行うとともに、パッシブ型RFIDタグ24からの信号S2を受信したリーダの内の1つが当該パッシブ型RFIDタグ24に対する次の信号S3の送信を行う制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ型RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いるRFIDシステム並びに同システムにおける制御方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パッシブ型RFIDシステムは、近距離での通信を想定したシステムであり、通信距離は長いものでも数メートル程度である。また、静止状態又は歩行程度での移動速度での利用が一般的である。よって、リーダ又はパッシブ型RFIDタグ(以下、単にタグとも記載する)が高速で移動している場合(例えば時速数十キロメートル程度で移動している場合)、リーダとパッシブ型RFIDタグとが行う通信において、データ読み取り率が大幅に低下してしまうことがあり、正確な通信が困難になる。
【0003】
なお、パッシブ型RFIDタグは、単にパッシブタグなどとも呼ばれるが、電池を内蔵せず、リーダから送信される信号の送信電力を電源として動作し、リーダからの送信信号に応じて、各タグに割り当てられているID(識別子)などの情報を送信したり、情報を内部の記憶装置に記憶したりする装置である。
【0004】
従来、リーダのデータ読み取り率の向上方法として、データの送信間隔を短くする(例えば特許文献1参照)などの方法があり、これにより、リーダ単体としてのデータ読み取り率を向上させることは可能である。しかし、高速移動時(時速数十キロメートル程度での移動時)においては、そもそもリーダ及びタグが通信可能な距離以上に離れてしまう場合があり、リーダ単体のデータ読み取り率を向上させてもシステム全体としてのデータ読み取り率は向上せず、通信は困難である。
【0005】
また、単にリーダを複数設置しても、リーダとタグとの間の送受信回数を増やすことはできるが、あるリーダが送信した信号に対するタグからの応答の信号は、信号を送信したリーダのみしか受信できないため、該当のリーダが受信できなければデータ読み取り率は向上しない。
【0006】
図6〜図8は、本発明の背景技術を説明するための模式図であり、RFIDシステムにおける通信パターンの一例を示している。各図において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。図6及び図7は静止状態での通信例、図8は移動時の通信例を表す。
【0007】
従来、パッシブ型RFIDシステムは、静止状態での通信を想定しており、1つのリーダに対して1つ以上のタグが接続し通信を行う。図6は、1つのリーダに対し1つのタグが通信する場合、図7は、1つのリーダに対し2つのタグが通信する場合である。図6においては、リーダ11からの信号S1に対し1つのタグ21が応答の信号S2を返している。図7に示すとおり、タグが複数になった場合、基本的には図6の動作をタグ毎に繰り返すこととなる。図7では、リーダ11からタグA22に対して信号S1が送信され、タグA22からリーダ11に対して信号S2が送信されている。その後に、リーダ11からタグB23に対して信号S3が送信され、タグB23からリーダ11に対して信号S4が送信されている。静止状態においては通信環境の変化は少ないため、図6及び図7の動作が繰り返され、通信は安定して行われる。
【0008】
これに対し、図8に示すリーダ11又はタグ24が移動している場合においては、リーダ11からの信号S1を受信したタグ24がリーダ11に応答を返す際、タグ24及びリーダ11の位置によってはタグ24からの信号S2をリーダ11が受信できない可能性がある。通信可能距離が長いシステムであれば信号を受信できるエリアも広いためリーダ又はタグが移動していても信号を受信できる可能性がある。しかしながら、そもそもパッシブ型RFIDシステムは近距離での通信を想定したシステムであり、通信距離は長いものでも数メートル程度しかないため、移動速度が高くなるほど信号を受信できない確率は増える。そのため、タグ又はリーダが高速で移動(例えば時速数十キロメートルで移動)している場合はデータの読み取り率は大幅に低下してしまう。
【特許文献1】特開2007−272805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、例えば図9に示すように、リーダを複数用い(図9ではリーダ12及び13の2つを用い)、リーダとタグの送受信回数を増やすことでデータ読み取り率を向上させる方法も考えられる。図9において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。この図に示すシステムでは、2つのリーダを用いて、リーダA12から信号S1を送信してタグ24から信号S2を応答させ、リーダB13から信号S3を送信してタグ24から信号S4を応答させるようになっている。ただし、この図9に示すシーケンス図(b)では、リーダA12から送信された信号S1に対するタグ24からの応答信号S2はリーダA12で受信されず、通信が失敗している。また、リーダB13から送信された信号S3に対するタグ24からの応答信号S4はリーダB13で受信されず、通信が失敗している。このように、単にリーダの個数を増やすだけでは、あるリーダが送信した信号に対するタグからの応答の信号は、基本的には信号を送信したリーダのみしか受信できないため、該当のリーダが受信できなければデータ読み取り率は向上しない。
【0010】
また、図10に示すように、受信専用のリーダを設けることで受信可能なエリアを広げることも考えられる。図10において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。図10に示す例では、信号の送受信を行うリーダA14に加えて、受信専用のリーダB15を設けている。図10は、リーダA14からタグ24に対して信号S1と信号S3を送信し、タグ24から信号S1に対する応答S2と、信号S3に対する応答S4を送信させる場合を示している。また、この例では、タグ24からリーダA14へ送信された信号S2、S4を他のリーダB15でも受信可能としている。この構成では、タグ24又はリーダA14が移動したことによりリーダA14がタグ24からの信号を受信できなかった場合でも、他のリーダB15で信号S2、S4を受信可能とすることで、システム全体としてのデータ読み取り率を向上させることができる。しかし、この構成ではタグ24へ信号を送信できるリーダはリーダA14の1つであり、常に決まったリーダであるため、このリーダA14からの信号をタグ24が受信できない場合(図10の信号S3の場合)は、タグ24は応答の信号S4をリーダA14又はB15へ送信することができない。
【0011】
以上のとおり、パッシブ型RFIDシステムは、近距離での通信を想定したシステムであり通信可能なエリアが狭いため、タグ又はリーダが高速で移動している場合、データの読み取り率が大幅に低下してしまうという課題がある。本発明では、パッシブ型RFIDシステムにおいて、タグ又はリーダが高速で移動している場合(例えば時速数十キロメートル程度の場合)においても、複数のリーダを用いることによってシステム全体としてのデータ読み取り率を向上させ、高速移動時でも通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを有し、前記制御装置によって、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、前記制御装置によって、前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを用い、前記制御装置によって、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、前記制御装置によって、前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、複数のパッシブ型RFIDタグと、前記複数のパッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダとを用いるRFIDシステムにおいて、前記複数のリーダ間で連携を取るための制御装置であって、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが前記パッシブ型RFIDに信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、前記制御装置が、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記複数のリーダが受信した信号を合成することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、前記制御装置が、前記複数のあるパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信が行われる場合に、前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成することを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項7に記載の制御装置がコンピュータを用いて構成されたものであって、該コンピュータで、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、制御装置によって、あるリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御が行われるとともに、パッシブ型RFIDタグからの信号を受信したリーダの内の1つが当該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号の送信を行うよう制御が行われる。これによれば、信号の送信がいずれか1つのリーダから行われるように複数のリーダか連携して制御されるので、RFIDタグで、リーダからの送信信号を受信しやすくなり、また、次の信号の送信を行うリーダがRFIDタグからの信号を受信したリーダの内の1つから選択されるので、移動状態に応じたリーダの選択を行うことができる。リーダ又はRFIDタグが高速で移動している場合は通信環境の変化が大きく、通信状況の良いリーダとRFIDタグの組み合わせは常に変化するが、本発明によれば、その時々で最も通信状況の良いリーダとRFIDタグを選択することができるので、高速移動時のリーダ及びタグの読み取り率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明による実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
[実施形態1]
図1に本発明の実施形態1の構成例を示す。図1において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。図1に示すシステムは、複数のパッシブ型RFIDタグ24(ただし図1では1個のみ示している、以下、タグと記す。)を用いるRFIDシステムであって、タグ24との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10bと、リーダ10a、10b間で連携を取るための制御装置3とから構成されている。本実施形態のRFIDシステムでは、リーダ10aとリーダ10bが、有線あるいは無線の通信回線(あるいは制御線)によって制御装置3に接続されていて、制御装置3によって制御される。この構成では、リーダ10aとリーダ10bは、制御装置3からの指示に基づいて、1つのリーダが信号を送信し、他のリーダは受信のみを行うように制御される。すなわち、リーダ10aとリーダ10bのいずれか1つが、制御装置3からの指示に基づいて、タグ24に対して所定の信号を送信し、タグ24から送信された応答信号を受信する。他方、送信を指示されなかったリーダも、制御装置3からの指示あるいは予め決められている送信内容等についての情報に基づいて、異なるリーダから送信された信号に対するタグ24からの応答信号を受信する。
【0025】
さらに、制御装置3は、タグ24からの信号を受信したリーダの内の1つが当該タグ24に対する次の信号の送信を行う制御を行う。すなわち、リーダ10aとリーダ10bのいずれかが送信した信号に対してタグ24が応答信号を返した場合、さらにタグ24と信号を送受信するときには、制御装置3は、タグ24からの応答信号を受信することができたリーダの内のいずれかを選択して、次の信号を送信するリーダとして決定する制御を行う。
【0026】
図1に示す例では、制御装置3の指示に従い、リーダ10aが信号S1をタグ24に対して送信する。ここで、リーダ10aとリーダ10bは、信号S1に対するタグ24からの応答信号S2の受信待機状態となる。タグ24は、信号S1を受信すると、これに対して応答信号S2を送信する。この信号S2は、この例では、リーダ10bのみで受信されている。制御装置3は、次にタグ24に対して送信する信号S3の送信元としてリーダ10bを選択し、リーダ10bから信号S3が送信される。タグ24は、信号S3を受信すると、これに対する応答信号S4を送信する。ここで、リーダ10aとリーダ10bは、信号S3に対するタグ24からの応答信号S4の受信待機状態となる。そして、この例では、この信号S4がリーダ10aでのみ受信されている。
【0027】
このように、本実施形態では、リーダ10aからの信号S1に対するタグ24からの信号S2がリーダ10a及びリーダ10bで受信可能となり、タグ24からの送信信号のリーダでのデータ読み取り率を向上させることができる。さらにリーダ10a又は10bからタグ24へ送信する次の信号を、タグ24からの信号S2を受信したリーダ10bが送信する制御が制御装置3により行われる。これにより、タグ24からの信号S2を受信できなかったリーダ10a(つまりリーダ10aとタグ24は通信不可能なエリアにいる可能性が高い)が信号S3を送信するのに比べ、タグ24と通信可能なエリアにいる可能性が高いリーダ10bが信号S3を送信することができる。したがって、タグ24が信号S3を受信できる確率が向上する。よって、タグ24のデータ読み取り率向上も見込める。
【0028】
図2に、図1に示す制御装置3の構成を示す。制御装置3は、コンピュータ及びその周辺装置とそのコンピュータで実行されるプログラムとから構成することができ、そのハードウェア及びソフトウェアの組み合わせから構成されている受信部31、データ処理部32、受信状況記憶部33、送受信判定部34、及び送受信制御部35からなる。受信部31は、各リーダ10a、10bから、タグ24から受信した受信データやタグ24からの応答信号の受信結果を示す情報を受信する。データ処理部32は、受信部31で受信された情報に含まれるタグ24からの受信データなどに基づいてタグ24へ送信する信号の内容などを示す情報を生成し、送受信制御部35へ送る。一方、受信状況記憶部33は、受信部31で各リーダ10a、10bから受信された情報に基づき、タグ24からの受信信号の各リーダ10a、10bでの受信状況を記憶して、送受信判定部34へ出力する。送受信判定部34は、受信状況記憶部33で記憶された情報に基づいて、タグ24へ送信するリーダとしてリーダ10a、10bのいずれかを選択する。送受信制御部35は、データ処理部32の出力と送受信判定部34の出力とに基づいて、各リーダ10a、10bに対して制御信号を送信する。
【0029】
この実施形態1における制御装置3の動作を図3に示すフローチャートを参照して説明する。この例では、リーダ10bはタグ24から受信した信号S2のデータを制御装置3の受信部31に送り、これが受信部31によって受信される(ステップST101)。他方、リーダ10aはタグ24からの信号S2を受信できなかったことを制御装置3の受信部31に送り、これが受信部31によって受信される(ステップST101)。ここで、信号S2を受信できなかったことの判断方法として、例えば、リーダ10a、10bは、信号S1を送信してから予め定めた一定時間が経過しても信号S2を受信できないとき、信号S2を受信できなかったとする。
制御装置3の受信部31は、リーダ10bから受信したデータをデータ処理部32に送る(ステップST102)。データ処理部32は、受信部31から受信したデータを処理する(ステップST103)。ここで本構成例ではタグ24からの信号S2を受信したリーダはリーダ10bのみであるが、信号S2を複数リーダで受信した場合は、それぞれの信号がデータ処理部32に送られ、データ処理部32では同じデータは破棄するなどの処理を行う。
【0030】
また、受信部31は、リーダ10a及び10bの信号S2の受信結果を受信状況記憶部33に送る(ステップST104)。受信状況記憶部33では、制御装置3に接続されている各リーダ10a、10bのタグ24からの信号の受信状況を記憶するとともに(ステップST105)、受信状況を送受信判定部34へ送信する(ステップST106)。送受信判定部34では、受信状況記憶部33から送られた各リーダの受信状況をもとに次の信号を送信するリーダ及び信号の送信は行わず受信のみを行うリーダを決定する(ステップST107〜ST109)。このステップST107〜ST109の処理は、各リーダに対して繰り返し実行される処理であり、当該リーダがタグからの信号を受信した場合には次の信号を送信するリーダに決定し(ステップST107でYからステップST108)、タグからの信号を受信しなかった場合には次の信号は送信せず受信のみを行うリーダに決定する(ステップST107でNからステップST109)。ただし、ステップST108では、複数のリーダで信号が受信された場合にはその内の1つを選択する処理も行われる。
【0031】
送受信判定部34において次の信号を送信するリーダを決定する際には、タグ24からの信号を複数のリーダが受信した場合、複数のリーダが次の信号を送信する候補となりえるが、その中から1つのリーダを選択する方法は特に問わない(例えば、タグ24から受信した信号の信号強度が最も高いリーダを選択する、リーダ毎に優先度をつける、ランダムに選択するなど)。本構成例ではタグ24からの信号を受信したリーダはリーダ10bのみなので、次の信号S3を送信するリーダとしてリーダ10bが選ばれ、リーダ10aは受信のみを行うリーダと判定される。この送受信判定部34での判定結果は送受信制御部35に送られる。
【0032】
送受信制御部35は、送受信判定部34の結果をもとに各リーダに次の信号の送信及び受信の指示を送る。本構成例では、送受信制御部35は、リーダ10aにはタグ24からの信号S4の受信のみを行う指示し、リーダ10bには次の信号S3の送信とタグ24からの信号S4の受信をする指示を行う。その際、リーダ10bが送信する次の信号S3の内容はデータ処理部32から送受信制御部35に送られ(ステップST110)、各リーダ10a、10bに通知される(ステップS111)。よって信号S3を送信しないリーダ10aもタグ24から信号S4が送信されてくることが分かるため、タグ24からの信号S4を受信できる。
【0033】
このように制御装置3によってリーダ10a、10b間での送受信の制御を行うことにより、リーダ10a、10b及びタグ24の両方のデータ読み取り率を向上させることができる。したがって、システム全体としてのデータ読み取り率を向上させることが可能である。
【0034】
[実施形態2]
図4に本発明の実施形態2の構成例を示す。実施形態1ではリーダからの信号に対するタグからの応答の信号が1回のデータ受信で完了する構成例を示したが、本実施形態はタグからの応答信号が複数の連続したデータである場合に対応する構成例である。図4において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。本実施の形態のRFIDシステムは、タグ25との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10b及び10cと、リーダ10a、10b及び10c間で連携を取るための制御装置3aとから構成されている。本実施形態のRFIDシステムでは、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cが、有線あるいは無線の通信回線(あるいは制御線)によって制御装置3aに接続されていて、制御装置3aによって制御される。この構成では、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cは、制御装置3aからの指示に基づいて、1つのリーダが信号を送信し、他のリーダは受信のみを行うように制御される。また、制御装置3aは、タグ25からの信号を受信したリーダの内の1つが当該タグ25に対する次の信号の送信を行うよう制御を行う。
【0035】
図4においてリーダ10aがタグ25に信号S1を送信する。リーダ10b及びリーダ10cは、実施形態1と同様に、制御装置3aによって受信のみを行うように制御されている。リーダ10aからの信号S1に対し、タグ25は連続した信号S2、信号S3を送信する。信号S2は、リーダ10bが受信し、信号S3は、リーダ10cが受信できたとした場合、信号S2及び信号S3は制御装置3aに送られ、制御装置3aで合成されて1つのデータとなる。すなわち、本実施の形態のRFIDシステムでは、タグ25から送信された信号S2、S3が複数のリーダ10b、10cで分散して受信された場合に、制御装置3aによってその分散して受信された信号S2、S3が合成される。
【0036】
制御装置3aの構成及びフローチャートは、図2及び図3と同様であり、実施形態1との違いはデータ処理部でデータ処理を処理する際に、異なるリーダからの複数のデータを1つに合成する点である。これよりタグ25から連続で送信された信号をいずれかのリーダで受信することができればデータを合成可能なため、リーダのデータ読み取り率を向上させることができる。
【0037】
なお、1つのリーダに複数のアンテナを接続し、それぞれのアンテナで受信したデータを合成する方法も考えられるが、この場合はデータの合成処理を1つのリーダで行う必要があるため処理負荷が増大してしまう。これに対し本発明ではデータの合成処理はリーダに接続された制御装置3aで処理されるため、リーダでの処理負荷は増大しないというメリットがある。
【0038】
[実施形態3]
図5に本発明の実施形態3の構成例を示す。実施形態1では、リーダからの信号に対するタグからの応答の信号が1回のデータ受信で完了する構成例を示した。また、実施形態2ではリーダからの信号に対しタグが連続したデータを連続で送信する構成例を示した。本実施形態は、リーダからの信号に対するタグからの応答の信号が1回のデータ受信では完了せずに、リーダからの信号に対して応答の信号を送信することを複数回繰り返し、最終的にリーダが受信したデータを合成する場合に対応する構成である。
【0039】
図5において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。本実施の形態のRFIDシステムは、タグ26との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10b及び10cと、リーダ10a、10b及び10c間で連携を取るための制御装置3bとから構成されている。本実施形態のRFIDシステムでは、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cが、有線あるいは無線の通信回線(あるいは制御線)によって制御装置3bに接続されていて、制御装置3bによって制御される。この構成では、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cは、制御装置3bからの指示に基づいて、1つのリーダが信号を送信し、他のリーダは受信のみを行うように制御される。また、制御装置3bは、タグ26からの信号を受信したリーダの内の1つが当該タグ26に対する次の信号の送信を行う制御をする。
【0040】
図5においては、まずリーダ10aからの信号S1に対しタグ26は信号S2を送信する。リーダ10a及びリーダ10cは受信に失敗するが、リーダ10bは受信に成功した場合、実施形態1同様リーダ10bが次の信号S3をタグ26へ送信する。これに対しタグ26は信号S4を送信し、リーダ10a及びリーダ10bは受信に失敗し、リーダ10cは受信に成功したとする。ここで、リーダ10bが受信に成功した信号S2とリーダ10cが受信に成功した信号S4を制御装置3bで合成する。制御装置3bの構成及びフローチャートは図2及び図3と同様であり、実施形態1、2との違いはデータ処理部でデータを処理する際に、過去に受信したデータも含め複数のデータを合成する点である。すなわち、本実施形態では、タグ26との間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、制御装置3bによって、タグ26に対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数のリーダで複数回に分かれて受信された信号が合成される。
【0041】
これよりタグから複数回に分けて送信された信号をいずれかのリーダで受信することができればデータを合成可能なため、リーダの読み取り率を向上させることができる。また、実施形態2同様、データの合成処理は、リーダに接続された制御装置3bで処理されるため、リーダでの処理負荷が増大しないというメリットがある。
【0042】
以上のように、本発明によれば、複数のリーダを用い、あるリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御をするとともに、あるリーダが送信した信号に対するタグからの応答の信号を送信したリーダだけではなく、他のリーダでも受信する制御を行うことで、信号を送信したリーダがタグと通信できないエリアに移動してしまっていた場合でも他のリーダが信号を受信することでシステム全体としてのデータの読み取り率を向上させることができる。さらに、タグからの信号を受信したリーダに次の信号を送信させる制御をすることにより、タグのデータ読み取り率を向上させることができる。リーダ又はタグが高速で移動している場合は通信環境の変化が大きく、通信状況の良いリーダとタグの組み合わせは常に変化する。これに対し、本発明によれば、タグからの信号を受信したか否かにより、その時々で最も通信状況の良いリーダとタグを選択することができるので、高速移動時のリーダ及びタグの読み取り率を向上させることができる。
【0043】
このように、本発明のパッシブ型RFIDシステムを用いることで、タグ又はリーダが高速で移動している場合(例えば時速数十キロメートル程度の場合)においても、複数のリーダを用いることによりシステム全体としてのデータ読み取り率を向上させることができ、高速移動時でも通信を可能にできる。
【0044】
なお、本発明の実施の形態は、上記に限定されず、例えばリーダの個数を4以上の複数にしたり、制御装置の個数を2以上の複数としたり、制御装置を複数としてそれらの間を階層構造を有する接続形態としたり、あるいは図2に示す制御装置3内の構成をさらに複数の機能ブロックに分割したりもしくは統合したり、各機能ブロックを通信回線などを介して分散して配置したりする変更を行うことが可能である。また、本発明における制御装置はコンピュータとプログラムによって実現でき、そのプログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のRFIDシステムの実施形態1の構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図2】図1に示す制御装置3の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す制御装置3の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明のRFIDシステムの実施形態2の構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図5】本発明のRFIDシステムの実施形態3の構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図6】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図7】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図8】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図9】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図10】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【符号の説明】
【0046】
10a、10b、10c…リーダ
3、3a、3b…制御装置
24、25、26…タグ(パッシブ型RFIDタグ)
S1、S2、S3、S4…信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ型RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いるRFIDシステム並びに同システムにおける制御方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パッシブ型RFIDシステムは、近距離での通信を想定したシステムであり、通信距離は長いものでも数メートル程度である。また、静止状態又は歩行程度での移動速度での利用が一般的である。よって、リーダ又はパッシブ型RFIDタグ(以下、単にタグとも記載する)が高速で移動している場合(例えば時速数十キロメートル程度で移動している場合)、リーダとパッシブ型RFIDタグとが行う通信において、データ読み取り率が大幅に低下してしまうことがあり、正確な通信が困難になる。
【0003】
なお、パッシブ型RFIDタグは、単にパッシブタグなどとも呼ばれるが、電池を内蔵せず、リーダから送信される信号の送信電力を電源として動作し、リーダからの送信信号に応じて、各タグに割り当てられているID(識別子)などの情報を送信したり、情報を内部の記憶装置に記憶したりする装置である。
【0004】
従来、リーダのデータ読み取り率の向上方法として、データの送信間隔を短くする(例えば特許文献1参照)などの方法があり、これにより、リーダ単体としてのデータ読み取り率を向上させることは可能である。しかし、高速移動時(時速数十キロメートル程度での移動時)においては、そもそもリーダ及びタグが通信可能な距離以上に離れてしまう場合があり、リーダ単体のデータ読み取り率を向上させてもシステム全体としてのデータ読み取り率は向上せず、通信は困難である。
【0005】
また、単にリーダを複数設置しても、リーダとタグとの間の送受信回数を増やすことはできるが、あるリーダが送信した信号に対するタグからの応答の信号は、信号を送信したリーダのみしか受信できないため、該当のリーダが受信できなければデータ読み取り率は向上しない。
【0006】
図6〜図8は、本発明の背景技術を説明するための模式図であり、RFIDシステムにおける通信パターンの一例を示している。各図において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。図6及び図7は静止状態での通信例、図8は移動時の通信例を表す。
【0007】
従来、パッシブ型RFIDシステムは、静止状態での通信を想定しており、1つのリーダに対して1つ以上のタグが接続し通信を行う。図6は、1つのリーダに対し1つのタグが通信する場合、図7は、1つのリーダに対し2つのタグが通信する場合である。図6においては、リーダ11からの信号S1に対し1つのタグ21が応答の信号S2を返している。図7に示すとおり、タグが複数になった場合、基本的には図6の動作をタグ毎に繰り返すこととなる。図7では、リーダ11からタグA22に対して信号S1が送信され、タグA22からリーダ11に対して信号S2が送信されている。その後に、リーダ11からタグB23に対して信号S3が送信され、タグB23からリーダ11に対して信号S4が送信されている。静止状態においては通信環境の変化は少ないため、図6及び図7の動作が繰り返され、通信は安定して行われる。
【0008】
これに対し、図8に示すリーダ11又はタグ24が移動している場合においては、リーダ11からの信号S1を受信したタグ24がリーダ11に応答を返す際、タグ24及びリーダ11の位置によってはタグ24からの信号S2をリーダ11が受信できない可能性がある。通信可能距離が長いシステムであれば信号を受信できるエリアも広いためリーダ又はタグが移動していても信号を受信できる可能性がある。しかしながら、そもそもパッシブ型RFIDシステムは近距離での通信を想定したシステムであり、通信距離は長いものでも数メートル程度しかないため、移動速度が高くなるほど信号を受信できない確率は増える。そのため、タグ又はリーダが高速で移動(例えば時速数十キロメートルで移動)している場合はデータの読み取り率は大幅に低下してしまう。
【特許文献1】特開2007−272805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、例えば図9に示すように、リーダを複数用い(図9ではリーダ12及び13の2つを用い)、リーダとタグの送受信回数を増やすことでデータ読み取り率を向上させる方法も考えられる。図9において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。この図に示すシステムでは、2つのリーダを用いて、リーダA12から信号S1を送信してタグ24から信号S2を応答させ、リーダB13から信号S3を送信してタグ24から信号S4を応答させるようになっている。ただし、この図9に示すシーケンス図(b)では、リーダA12から送信された信号S1に対するタグ24からの応答信号S2はリーダA12で受信されず、通信が失敗している。また、リーダB13から送信された信号S3に対するタグ24からの応答信号S4はリーダB13で受信されず、通信が失敗している。このように、単にリーダの個数を増やすだけでは、あるリーダが送信した信号に対するタグからの応答の信号は、基本的には信号を送信したリーダのみしか受信できないため、該当のリーダが受信できなければデータ読み取り率は向上しない。
【0010】
また、図10に示すように、受信専用のリーダを設けることで受信可能なエリアを広げることも考えられる。図10において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。図10に示す例では、信号の送受信を行うリーダA14に加えて、受信専用のリーダB15を設けている。図10は、リーダA14からタグ24に対して信号S1と信号S3を送信し、タグ24から信号S1に対する応答S2と、信号S3に対する応答S4を送信させる場合を示している。また、この例では、タグ24からリーダA14へ送信された信号S2、S4を他のリーダB15でも受信可能としている。この構成では、タグ24又はリーダA14が移動したことによりリーダA14がタグ24からの信号を受信できなかった場合でも、他のリーダB15で信号S2、S4を受信可能とすることで、システム全体としてのデータ読み取り率を向上させることができる。しかし、この構成ではタグ24へ信号を送信できるリーダはリーダA14の1つであり、常に決まったリーダであるため、このリーダA14からの信号をタグ24が受信できない場合(図10の信号S3の場合)は、タグ24は応答の信号S4をリーダA14又はB15へ送信することができない。
【0011】
以上のとおり、パッシブ型RFIDシステムは、近距離での通信を想定したシステムであり通信可能なエリアが狭いため、タグ又はリーダが高速で移動している場合、データの読み取り率が大幅に低下してしまうという課題がある。本発明では、パッシブ型RFIDシステムにおいて、タグ又はリーダが高速で移動している場合(例えば時速数十キロメートル程度の場合)においても、複数のリーダを用いることによってシステム全体としてのデータ読み取り率を向上させ、高速移動時でも通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを有し、前記制御装置によって、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、前記制御装置によって、前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを用い、前記制御装置によって、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、前記制御装置によって、前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、複数のパッシブ型RFIDタグと、前記複数のパッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダとを用いるRFIDシステムにおいて、前記複数のリーダ間で連携を取るための制御装置であって、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが前記パッシブ型RFIDに信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、前記制御装置が、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記複数のリーダが受信した信号を合成することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、前記制御装置が、前記複数のあるパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信が行われる場合に、前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成することを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項7に記載の制御装置がコンピュータを用いて構成されたものであって、該コンピュータで、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、制御装置によって、あるリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御が行われるとともに、パッシブ型RFIDタグからの信号を受信したリーダの内の1つが当該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号の送信を行うよう制御が行われる。これによれば、信号の送信がいずれか1つのリーダから行われるように複数のリーダか連携して制御されるので、RFIDタグで、リーダからの送信信号を受信しやすくなり、また、次の信号の送信を行うリーダがRFIDタグからの信号を受信したリーダの内の1つから選択されるので、移動状態に応じたリーダの選択を行うことができる。リーダ又はRFIDタグが高速で移動している場合は通信環境の変化が大きく、通信状況の良いリーダとRFIDタグの組み合わせは常に変化するが、本発明によれば、その時々で最も通信状況の良いリーダとRFIDタグを選択することができるので、高速移動時のリーダ及びタグの読み取り率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明による実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
[実施形態1]
図1に本発明の実施形態1の構成例を示す。図1において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。図1に示すシステムは、複数のパッシブ型RFIDタグ24(ただし図1では1個のみ示している、以下、タグと記す。)を用いるRFIDシステムであって、タグ24との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10bと、リーダ10a、10b間で連携を取るための制御装置3とから構成されている。本実施形態のRFIDシステムでは、リーダ10aとリーダ10bが、有線あるいは無線の通信回線(あるいは制御線)によって制御装置3に接続されていて、制御装置3によって制御される。この構成では、リーダ10aとリーダ10bは、制御装置3からの指示に基づいて、1つのリーダが信号を送信し、他のリーダは受信のみを行うように制御される。すなわち、リーダ10aとリーダ10bのいずれか1つが、制御装置3からの指示に基づいて、タグ24に対して所定の信号を送信し、タグ24から送信された応答信号を受信する。他方、送信を指示されなかったリーダも、制御装置3からの指示あるいは予め決められている送信内容等についての情報に基づいて、異なるリーダから送信された信号に対するタグ24からの応答信号を受信する。
【0025】
さらに、制御装置3は、タグ24からの信号を受信したリーダの内の1つが当該タグ24に対する次の信号の送信を行う制御を行う。すなわち、リーダ10aとリーダ10bのいずれかが送信した信号に対してタグ24が応答信号を返した場合、さらにタグ24と信号を送受信するときには、制御装置3は、タグ24からの応答信号を受信することができたリーダの内のいずれかを選択して、次の信号を送信するリーダとして決定する制御を行う。
【0026】
図1に示す例では、制御装置3の指示に従い、リーダ10aが信号S1をタグ24に対して送信する。ここで、リーダ10aとリーダ10bは、信号S1に対するタグ24からの応答信号S2の受信待機状態となる。タグ24は、信号S1を受信すると、これに対して応答信号S2を送信する。この信号S2は、この例では、リーダ10bのみで受信されている。制御装置3は、次にタグ24に対して送信する信号S3の送信元としてリーダ10bを選択し、リーダ10bから信号S3が送信される。タグ24は、信号S3を受信すると、これに対する応答信号S4を送信する。ここで、リーダ10aとリーダ10bは、信号S3に対するタグ24からの応答信号S4の受信待機状態となる。そして、この例では、この信号S4がリーダ10aでのみ受信されている。
【0027】
このように、本実施形態では、リーダ10aからの信号S1に対するタグ24からの信号S2がリーダ10a及びリーダ10bで受信可能となり、タグ24からの送信信号のリーダでのデータ読み取り率を向上させることができる。さらにリーダ10a又は10bからタグ24へ送信する次の信号を、タグ24からの信号S2を受信したリーダ10bが送信する制御が制御装置3により行われる。これにより、タグ24からの信号S2を受信できなかったリーダ10a(つまりリーダ10aとタグ24は通信不可能なエリアにいる可能性が高い)が信号S3を送信するのに比べ、タグ24と通信可能なエリアにいる可能性が高いリーダ10bが信号S3を送信することができる。したがって、タグ24が信号S3を受信できる確率が向上する。よって、タグ24のデータ読み取り率向上も見込める。
【0028】
図2に、図1に示す制御装置3の構成を示す。制御装置3は、コンピュータ及びその周辺装置とそのコンピュータで実行されるプログラムとから構成することができ、そのハードウェア及びソフトウェアの組み合わせから構成されている受信部31、データ処理部32、受信状況記憶部33、送受信判定部34、及び送受信制御部35からなる。受信部31は、各リーダ10a、10bから、タグ24から受信した受信データやタグ24からの応答信号の受信結果を示す情報を受信する。データ処理部32は、受信部31で受信された情報に含まれるタグ24からの受信データなどに基づいてタグ24へ送信する信号の内容などを示す情報を生成し、送受信制御部35へ送る。一方、受信状況記憶部33は、受信部31で各リーダ10a、10bから受信された情報に基づき、タグ24からの受信信号の各リーダ10a、10bでの受信状況を記憶して、送受信判定部34へ出力する。送受信判定部34は、受信状況記憶部33で記憶された情報に基づいて、タグ24へ送信するリーダとしてリーダ10a、10bのいずれかを選択する。送受信制御部35は、データ処理部32の出力と送受信判定部34の出力とに基づいて、各リーダ10a、10bに対して制御信号を送信する。
【0029】
この実施形態1における制御装置3の動作を図3に示すフローチャートを参照して説明する。この例では、リーダ10bはタグ24から受信した信号S2のデータを制御装置3の受信部31に送り、これが受信部31によって受信される(ステップST101)。他方、リーダ10aはタグ24からの信号S2を受信できなかったことを制御装置3の受信部31に送り、これが受信部31によって受信される(ステップST101)。ここで、信号S2を受信できなかったことの判断方法として、例えば、リーダ10a、10bは、信号S1を送信してから予め定めた一定時間が経過しても信号S2を受信できないとき、信号S2を受信できなかったとする。
制御装置3の受信部31は、リーダ10bから受信したデータをデータ処理部32に送る(ステップST102)。データ処理部32は、受信部31から受信したデータを処理する(ステップST103)。ここで本構成例ではタグ24からの信号S2を受信したリーダはリーダ10bのみであるが、信号S2を複数リーダで受信した場合は、それぞれの信号がデータ処理部32に送られ、データ処理部32では同じデータは破棄するなどの処理を行う。
【0030】
また、受信部31は、リーダ10a及び10bの信号S2の受信結果を受信状況記憶部33に送る(ステップST104)。受信状況記憶部33では、制御装置3に接続されている各リーダ10a、10bのタグ24からの信号の受信状況を記憶するとともに(ステップST105)、受信状況を送受信判定部34へ送信する(ステップST106)。送受信判定部34では、受信状況記憶部33から送られた各リーダの受信状況をもとに次の信号を送信するリーダ及び信号の送信は行わず受信のみを行うリーダを決定する(ステップST107〜ST109)。このステップST107〜ST109の処理は、各リーダに対して繰り返し実行される処理であり、当該リーダがタグからの信号を受信した場合には次の信号を送信するリーダに決定し(ステップST107でYからステップST108)、タグからの信号を受信しなかった場合には次の信号は送信せず受信のみを行うリーダに決定する(ステップST107でNからステップST109)。ただし、ステップST108では、複数のリーダで信号が受信された場合にはその内の1つを選択する処理も行われる。
【0031】
送受信判定部34において次の信号を送信するリーダを決定する際には、タグ24からの信号を複数のリーダが受信した場合、複数のリーダが次の信号を送信する候補となりえるが、その中から1つのリーダを選択する方法は特に問わない(例えば、タグ24から受信した信号の信号強度が最も高いリーダを選択する、リーダ毎に優先度をつける、ランダムに選択するなど)。本構成例ではタグ24からの信号を受信したリーダはリーダ10bのみなので、次の信号S3を送信するリーダとしてリーダ10bが選ばれ、リーダ10aは受信のみを行うリーダと判定される。この送受信判定部34での判定結果は送受信制御部35に送られる。
【0032】
送受信制御部35は、送受信判定部34の結果をもとに各リーダに次の信号の送信及び受信の指示を送る。本構成例では、送受信制御部35は、リーダ10aにはタグ24からの信号S4の受信のみを行う指示し、リーダ10bには次の信号S3の送信とタグ24からの信号S4の受信をする指示を行う。その際、リーダ10bが送信する次の信号S3の内容はデータ処理部32から送受信制御部35に送られ(ステップST110)、各リーダ10a、10bに通知される(ステップS111)。よって信号S3を送信しないリーダ10aもタグ24から信号S4が送信されてくることが分かるため、タグ24からの信号S4を受信できる。
【0033】
このように制御装置3によってリーダ10a、10b間での送受信の制御を行うことにより、リーダ10a、10b及びタグ24の両方のデータ読み取り率を向上させることができる。したがって、システム全体としてのデータ読み取り率を向上させることが可能である。
【0034】
[実施形態2]
図4に本発明の実施形態2の構成例を示す。実施形態1ではリーダからの信号に対するタグからの応答の信号が1回のデータ受信で完了する構成例を示したが、本実施形態はタグからの応答信号が複数の連続したデータである場合に対応する構成例である。図4において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。本実施の形態のRFIDシステムは、タグ25との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10b及び10cと、リーダ10a、10b及び10c間で連携を取るための制御装置3aとから構成されている。本実施形態のRFIDシステムでは、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cが、有線あるいは無線の通信回線(あるいは制御線)によって制御装置3aに接続されていて、制御装置3aによって制御される。この構成では、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cは、制御装置3aからの指示に基づいて、1つのリーダが信号を送信し、他のリーダは受信のみを行うように制御される。また、制御装置3aは、タグ25からの信号を受信したリーダの内の1つが当該タグ25に対する次の信号の送信を行うよう制御を行う。
【0035】
図4においてリーダ10aがタグ25に信号S1を送信する。リーダ10b及びリーダ10cは、実施形態1と同様に、制御装置3aによって受信のみを行うように制御されている。リーダ10aからの信号S1に対し、タグ25は連続した信号S2、信号S3を送信する。信号S2は、リーダ10bが受信し、信号S3は、リーダ10cが受信できたとした場合、信号S2及び信号S3は制御装置3aに送られ、制御装置3aで合成されて1つのデータとなる。すなわち、本実施の形態のRFIDシステムでは、タグ25から送信された信号S2、S3が複数のリーダ10b、10cで分散して受信された場合に、制御装置3aによってその分散して受信された信号S2、S3が合成される。
【0036】
制御装置3aの構成及びフローチャートは、図2及び図3と同様であり、実施形態1との違いはデータ処理部でデータ処理を処理する際に、異なるリーダからの複数のデータを1つに合成する点である。これよりタグ25から連続で送信された信号をいずれかのリーダで受信することができればデータを合成可能なため、リーダのデータ読み取り率を向上させることができる。
【0037】
なお、1つのリーダに複数のアンテナを接続し、それぞれのアンテナで受信したデータを合成する方法も考えられるが、この場合はデータの合成処理を1つのリーダで行う必要があるため処理負荷が増大してしまう。これに対し本発明ではデータの合成処理はリーダに接続された制御装置3aで処理されるため、リーダでの処理負荷は増大しないというメリットがある。
【0038】
[実施形態3]
図5に本発明の実施形態3の構成例を示す。実施形態1では、リーダからの信号に対するタグからの応答の信号が1回のデータ受信で完了する構成例を示した。また、実施形態2ではリーダからの信号に対しタグが連続したデータを連続で送信する構成例を示した。本実施形態は、リーダからの信号に対するタグからの応答の信号が1回のデータ受信では完了せずに、リーダからの信号に対して応答の信号を送信することを複数回繰り返し、最終的にリーダが受信したデータを合成する場合に対応する構成である。
【0039】
図5において、(a)はシステムの構成図であり、(b)は通信動作のシーケンス図である。本実施の形態のRFIDシステムは、タグ26との間で信号の送受信が可能な複数のリーダ10a、10b及び10cと、リーダ10a、10b及び10c間で連携を取るための制御装置3bとから構成されている。本実施形態のRFIDシステムでは、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cが、有線あるいは無線の通信回線(あるいは制御線)によって制御装置3bに接続されていて、制御装置3bによって制御される。この構成では、リーダ10a、リーダ10b及びリーダ10cは、制御装置3bからの指示に基づいて、1つのリーダが信号を送信し、他のリーダは受信のみを行うように制御される。また、制御装置3bは、タグ26からの信号を受信したリーダの内の1つが当該タグ26に対する次の信号の送信を行う制御をする。
【0040】
図5においては、まずリーダ10aからの信号S1に対しタグ26は信号S2を送信する。リーダ10a及びリーダ10cは受信に失敗するが、リーダ10bは受信に成功した場合、実施形態1同様リーダ10bが次の信号S3をタグ26へ送信する。これに対しタグ26は信号S4を送信し、リーダ10a及びリーダ10bは受信に失敗し、リーダ10cは受信に成功したとする。ここで、リーダ10bが受信に成功した信号S2とリーダ10cが受信に成功した信号S4を制御装置3bで合成する。制御装置3bの構成及びフローチャートは図2及び図3と同様であり、実施形態1、2との違いはデータ処理部でデータを処理する際に、過去に受信したデータも含め複数のデータを合成する点である。すなわち、本実施形態では、タグ26との間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、制御装置3bによって、タグ26に対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、1又は複数のリーダで複数回に分かれて受信された信号が合成される。
【0041】
これよりタグから複数回に分けて送信された信号をいずれかのリーダで受信することができればデータを合成可能なため、リーダの読み取り率を向上させることができる。また、実施形態2同様、データの合成処理は、リーダに接続された制御装置3bで処理されるため、リーダでの処理負荷が増大しないというメリットがある。
【0042】
以上のように、本発明によれば、複数のリーダを用い、あるリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御をするとともに、あるリーダが送信した信号に対するタグからの応答の信号を送信したリーダだけではなく、他のリーダでも受信する制御を行うことで、信号を送信したリーダがタグと通信できないエリアに移動してしまっていた場合でも他のリーダが信号を受信することでシステム全体としてのデータの読み取り率を向上させることができる。さらに、タグからの信号を受信したリーダに次の信号を送信させる制御をすることにより、タグのデータ読み取り率を向上させることができる。リーダ又はタグが高速で移動している場合は通信環境の変化が大きく、通信状況の良いリーダとタグの組み合わせは常に変化する。これに対し、本発明によれば、タグからの信号を受信したか否かにより、その時々で最も通信状況の良いリーダとタグを選択することができるので、高速移動時のリーダ及びタグの読み取り率を向上させることができる。
【0043】
このように、本発明のパッシブ型RFIDシステムを用いることで、タグ又はリーダが高速で移動している場合(例えば時速数十キロメートル程度の場合)においても、複数のリーダを用いることによりシステム全体としてのデータ読み取り率を向上させることができ、高速移動時でも通信を可能にできる。
【0044】
なお、本発明の実施の形態は、上記に限定されず、例えばリーダの個数を4以上の複数にしたり、制御装置の個数を2以上の複数としたり、制御装置を複数としてそれらの間を階層構造を有する接続形態としたり、あるいは図2に示す制御装置3内の構成をさらに複数の機能ブロックに分割したりもしくは統合したり、各機能ブロックを通信回線などを介して分散して配置したりする変更を行うことが可能である。また、本発明における制御装置はコンピュータとプログラムによって実現でき、そのプログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のRFIDシステムの実施形態1の構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図2】図1に示す制御装置3の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す制御装置3の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明のRFIDシステムの実施形態2の構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図5】本発明のRFIDシステムの実施形態3の構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図6】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図7】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図8】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図9】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【図10】本発明の背景技術を説明するためのRFIDシステムの一例を示す他の図であり、RFIDシステムの構成及び信号の流れを示すシステム図(a)とシーケンス図(b)である。
【符号の説明】
【0046】
10a、10b、10c…リーダ
3、3a、3b…制御装置
24、25、26…タグ(パッシブ型RFIDタグ)
S1、S2、S3、S4…信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、
パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、
前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを有し、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、
前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするRFIDシステム。
【請求項2】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項3】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、
1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項4】
複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、
パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、
前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを用い、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御を行うとともに、
前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするRFIDシステムの制御方法。
【請求項5】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項4に記載のRFIDシステムの制御方法。
【請求項6】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、
1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項4に記載のRFIDシステムの制御方法。
【請求項7】
複数のパッシブ型RFIDタグと、前記複数のパッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダとを用いるRFIDシステムにおいて、
前記複数のリーダ間で連携を取るための制御装置であって、
前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが前記パッシブ型RFIDに信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、
前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするRFIDシステムにおける制御装置。
【請求項8】
前記制御装置が、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記複数のリーダが受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項7に記載のRFIDシステムにおける制御装置。
【請求項9】
前記制御装置が、前記複数のあるパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信が行われる場合に、
前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、
1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項7に記載のRFIDシステムにおける制御装置。
【請求項10】
請求項7に記載の制御装置がコンピュータを用いて構成されたものであって、該コンピュータで、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、
パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、
前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを有し、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、
前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするRFIDシステム。
【請求項2】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項3】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、
1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項4】
複数のパッシブ型RFIDタグを用いるRFIDシステムにおいて、
パッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダと、
前記リーダ間で連携を取るための制御装置とを用い、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行うよう制御を行うとともに、
前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするRFIDシステムの制御方法。
【請求項5】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記制御装置によって前記複数のリーダが受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項4に記載のRFIDシステムの制御方法。
【請求項6】
前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信を行う場合に、
前記制御装置によって、
前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、
1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項4に記載のRFIDシステムの制御方法。
【請求項7】
複数のパッシブ型RFIDタグと、前記複数のパッシブ型RFIDタグとの間で信号の送受信が可能な複数のリーダとを用いるRFIDシステムにおいて、
前記複数のリーダ間で連携を取るための制御装置であって、
前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが前記パッシブ型RFIDに信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、
前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするRFIDシステムにおける制御装置。
【請求項8】
前記制御装置が、前記複数のパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグから送信された信号を前記複数のリーダが受信した場合に、前記複数のリーダが受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項7に記載のRFIDシステムにおける制御装置。
【請求項9】
前記制御装置が、前記複数のあるパッシブ型RFIDタグのいずれか1つのパッシブ型RFIDタグと前記複数のリーダとの間で連続して複数回の信号の送受信が行われる場合に、
前記複数のリーダから該パッシブ型RFIDタグに対して信号を送信するリーダを複数回の送信の1回毎に選択するとともに、
1又は複数の前記リーダが複数回受信した信号を合成する
ことを特徴とする請求項7に記載のRFIDシステムにおける制御装置。
【請求項10】
請求項7に記載の制御装置がコンピュータを用いて構成されたものであって、該コンピュータで、前記複数のリーダのうちいずれか1つのリーダが信号を送信する場合には他のリーダは信号の受信のみを行う制御を行うとともに、前記パッシブ型RFIDタグからの信号を受信した前記複数のリーダのうちの1つが該パッシブ型RFIDタグに対する次の信号を送信する制御を行う
ことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−141606(P2010−141606A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316082(P2008−316082)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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