ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー
【課題】書籍類からの取り外しが簡単にでき、書籍類に取付けた状態において送受信障害を防止し得るＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーを提供する。
【解決手段】書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグ６が抜き差し可能に収納される収納ポケット５を備えたポケット保持片部２と、該ポケット保持片部２に連成されて、書籍類内に挿入される挿入片部４とを備えた構成とした。これにより、書籍類内へ挿入片部４を挿入することによって収納ポケット５に収納されたＲＦＩＤタグ６を書籍類に取付けると、ＲＦＩＤタグ６が書籍類の外部に保持されているため送受信障害が発生せず、また、挿入片部４を書籍類から抜き取ることにより、ＲＦＩＤタグ６を書籍類から簡単に取り外すことができる。また、ＲＦＩＤタグ６と書籍類用取付けホルダー１Ａの何れか一方に不具合が生じた場合にはそのものだけを交換することができる。
【解決手段】書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグ６が抜き差し可能に収納される収納ポケット５を備えたポケット保持片部２と、該ポケット保持片部２に連成されて、書籍類内に挿入される挿入片部４とを備えた構成とした。これにより、書籍類内へ挿入片部４を挿入することによって収納ポケット５に収納されたＲＦＩＤタグ６を書籍類に取付けると、ＲＦＩＤタグ６が書籍類の外部に保持されているため送受信障害が発生せず、また、挿入片部４を書籍類から抜き取ることにより、ＲＦＩＤタグ６を書籍類から簡単に取り外すことができる。また、ＲＦＩＤタグ６と書籍類用取付けホルダー１Ａの何れか一方に不具合が生じた場合にはそのものだけを交換することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ＲＦＩＤタグを書籍類に取付けるために使用するＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーに関する。
【背景技術】
【０００２】
ＲＦＩＤ（Radio Frequency Identification）システムで用いられる非接触型ＩＣタグ等のＲＦＩＤタグは、ＩＣチップとアンテナとを備えてなり、入出力装置（リーダ・ライタ）との間で電磁波を利用して非接触でコマンド，データ等の信号を送受信し得る機能がある。このＲＦＩＤタグは、入出力装置側のアンテナが放射する有効電磁波ゾーンに進入すると、ＲＦＩＤタグのアンテナが誘導起電力を生成し、該電力により動作状態となって入出力装置からのコマンド，データ等の信号を検出するとともに、そのコマンド信号に従ってデータの読み書きが可能なＩＣチップのメモリに受信データを格納したり、メモリに格納されているデータを入出力装置に送信するものであり、バーコードに比してデータの書き換えが可能，データ容量が大きい等の特長を有するため、近年、交通・レジャー分野，物流分野，セキュリティー分野，工場生産分野，環境分野，その他の幅広い分野で導入が進められている。
【０００３】
従来、このようなＲＦＩＤタグに書籍名や出版社名等の所要データを記憶させて書籍の管理に用いる場合、ＲＦＩＤタグを書籍の表紙や奥付け部分等に接着剤で貼付したり、埋設したりすることによって固定的に取り付けていた（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００４−１１８６００（段落 [００１５] 、図１、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、上記のようにＲＦＩＤタグを書籍に対して固定的に取り付けてしまうと、書籍の販売時に取り外すことができないため、ＲＦＩＤタグを再使用することができないという問題点があった。
【０００６】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、必要に応じて書籍類から簡単に取り外すことができるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、データを書き換え可能に格納するメモリを具備したＩＣチップと、該ＩＣチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたＲＦＩＤタグを書籍類に着脱可能に取付けるためのホルダーであって、書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグが抜き差し可能に収納される収納ポケットを備えたポケット保持片部と、該ポケット保持片部に連成されて、書籍類内に抜き差し可能に挿入される挿入片部とを備えてなることを特徴とするＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーである。
【０００８】
ここで、本発明でいう書籍類とは、むき出しの書籍や雑誌以外に、表表紙から背表紙を経て裏表紙を被覆し、その両端部が表表紙と背表紙の内側に折り込まれた表紙カバーを備えた書籍や、収納ケースに収納された記録済みＣＤ，ＤＶＤ，ブルーレイディスク等の光メディア、或いは包装箱に収納されたゲームソフト等の各種アプリケーションが記録されたメモリーカード等の記録メディア等からなる著作物を総称する概念である。また、ＲＦＩＤタグは、ＩＣチップとアンテナとを合成樹脂の支持シート上に配設し、その上下面に外装シートを積層して構成され得る。
【０００９】
前記ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーにあって、収納ポケットが、ＩＣチップとアンテナを内蔵する外装体の一面に可逆性記録層が設けられたカード状のＲＦＩＤタグを収納するものである構成が提案される。
【発明の効果】
【００１０】
本発明は、上述したように、書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグが抜き差し可能に収納される収納ポケットを備えたポケット保持片部と、該ポケット保持片部に連成されて、書籍類内に抜き差し可能に挿入される挿入片部とを備えてなるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーであるから、挿入片部を書籍類内に挿入することにより、ポケット保持片部の収納ポケットに収納されたＲＦＩＤタグを書籍類の外部に位置させて該書籍類に簡単に取付けることができる一方、挿入片部を書籍類から抜き取ることにより、ＲＦＩＤタグを書籍類から簡単に取り外すことができる。これにより、書籍類の販売時にＲＦＩＤタグを書籍類から取り外し、所要データを更改すれば、該ＲＦＩＤタグを新たな書籍類に取付けて再度使用することができる。また、収納ポケットに収納されたＲＦＩＤタグを書籍類の外部に位置させて該書籍類に取付け得るので、書籍類が重ねられている場合や、ＲＦＩＤタグが光メディアのディスク面に近接している場合に発生し易い送受信障害を防止することができる。さらに、従来のように接着剤を用いることなく、書籍類内への挿入片部の挿入によってＲＦＩＤタグを書籍類に取付け得るので、ＲＦＩＤタグの取り外しに際して書籍類を損傷させることがなく、しかもその取付け、取り外しを極めて容易に行うことができる。また、ＲＦＩＤタグを、ポケット保持片部の収納ポケットに抜き差し可能に収納するものであるため、ＲＦＩＤタグと書籍類用取付けホルダーの何れか一方に損傷，故障等の不具合が生じた場合には、その不具合が生じたものだけを交換すればよく、双方を破棄する必要がないため、メンテナンスコストが安価となる。
【００１１】
前記ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーにあって、収納ポケットが、ＩＣチップとアンテナを内蔵する外装体の一面に可逆性記録層が設けられたカード状のＲＦＩＤタグを収納するものである構成にあっては、収納ポケットにカード状のＲＦＩＤタグを収納することができる。ここで、該ＲＦＩＤタグが外装体の一面に可逆性記録層を備えていることにより、書籍類に関する所要データを該可逆性記録層に目視可能に表示させることができるとともに、表示されている所要データを光学読取り装置によって読み取ることにより、ＲＦＩＤタグのメモリに格納されている所要データのバックアップ用とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】第一実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａの外観斜視図である。
【図２】同上の書籍類用取付けホルダー１Ａの展開状態の正面図である。
【図３】（Ａ）はＲＦＩＤタグ６の一部切欠平面図、（Ｂ）は該ＲＦＩＤタグ６の縦断面図である。
【図４】（Ａ）はＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａを書籍１３の頁紙１４間に挿入した状態を示す外観斜視図、（Ｂ）はＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａを書籍１３の表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間に挿入した状態を示す外観斜視図である。
【図５】（Ａ）は第二実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ｂの外観斜視図、（Ｂ）はその展開状態の正面図である。
【図６】（Ａ）は第二実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ｂを書籍１３に取付けた状態を示す外観斜視図、（Ｂ）は該書籍類用取付けホルダー１Ｂの、化粧箱１６を備えた書籍１３への取付け状態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下に、本発明の第一実施例を、図１〜図４に基づいて説明する。
第一実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａは、図１に示すように、ＲＦＩＤタグ６が抜き差し可能に収納される収納ポケット５を備えたポケット保持片部２と、該ポケット保持片部２に連結片部３を介して連成された挿入片部４とを備えている。前記収納ポケット５はビニール，ポリエチレン等の透明な合成樹脂シートによって上部が開口された袋状に形成されており、その一側縁５’が接着または溶着を介してポケット保持片部２の前面に接合されている。
【００１４】
前記ポケット保持片部２と連結片部３及び挿入片部４は、図２に示すように、並列状に配置された上下方向に長尺な帯板状のポケット保持片部２と挿入片部４の上部側縁相互が連結片部３を介して連結されて、展開状態において略コ字形を呈するように合成樹脂の基材によって一体形成されており、ポケット保持片部２の側縁に沿った折り線ａで連結片部３及び挿入片部４が後方に向けて略直角に屈曲されている（図１参照）。
【００１５】
前記ポケット保持片部２と連結片部３及び挿入片部４を構成する基材としては、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ），ポリプロピレン（ＰＰ），ポリアセタール（ＰＯＭ），ポリカーボネート（ＰＣ），ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ），ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）等が適用され、これらの中でも硬質で引張り強さ，曲げ強さ，圧縮強さに優れ、かつ適宜の弾性を備えたポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）やポリプロピレン（ＰＰ）が好適に用いられ得る。また、これらの基材は、厚み２５０〜１０００μｍのものが好適に用いられ得る。
【００１６】
前記ＲＦＩＤタグ６は、図３に示すように、合成樹脂製の支持シート７ａ上にＩＣチップ８と、該ＩＣチップ８に接続されたアンテナ９とが配設され、その上面に合成樹脂製の保護シート７ｂが積層されるとともに、さらにその上面及び下面に合成樹脂製の外装シート１０ａ，１０ｂが積層されている。そして、この外装シート１０ａ，１０ｂによってＩＣチップ８とアンテナ９を内蔵する外装体１１が構成されており、該外装体１１の表面には可逆性記録層１２が積層されている。該可逆性記録層１２は、熱や磁気或いは電荷により目視情報を可逆的に書き換えて表示可能な各種の情報表示材層で構成され得る。このＲＦＩＤタグ６は厚み４００〜１０００μｍ程度のカード状に形成されており、前記収納ポケット５に抜き差し可能に収納される。該ＲＦＩＤタグ６は、図示しない入出力装置（リーダ・ライタ）との間で電磁波を利用してコマンド，データ等の信号を非接触で送受信し得る非接触型の電池レスタイプとなっており、前記ＩＣチップ８が具備するメモリ（図示省略）には、入出力装置との交信により、書籍類の識別コード，書籍類名，出版社名または製作社名，発行日，著者名または著作権者名，販売価格等の所要データが書き換え可能に格納される。また、外装体１１の表面に設けられた可逆性記録層１２には、所定の印字装置による印字によって前記所要データが目視可能に表示される。尚、ＲＦＩＤタグ６は、ＨＦ帯域（例えば13.56MHz），ＵＨＦ帯域（例えば953MHzや2.45GHz）等の何れの帯域で作動するものであってもよい。また、前記ＩＣチップ８とアンテナ９が配設された支持シート７ａ上に積層される保護シート７ｂは必ずしも必要なものではなく、これを除去することも可能である。
【００１７】
次に、ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａの使用態様について説明する。図４は、書籍類の一つとしての書籍１３にＲＦＩＤタグ６を取付ける場合の取付け例を示すものであって、図４（Ａ）に示すように、ＲＦＩＤタグ６が保持された挿入片部４を書籍１３の頁紙１４間に挿入したり、図４（Ｂ）に示すように、書籍１３の表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間内に挿入することにより、ＲＦＩＤタグ６を書籍１３に簡単に取付けることができる。この時、ポケット保持片部２と挿入片部４とを連結している連結片部３が書籍１３の背表紙１５ｂの上端や表紙カバー１３ａの上端を跨ぐ状態となることにより、挿入片部４が書籍１３の頁紙１４間内または表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間内へ没入することが防止される。また、収納ポケット５に収納されたＲＦＩＤタグ６を書籍類の外部に位置させて該書籍類に取付け得るので、書籍類が重ねられている場合や、ＲＦＩＤタグ６が光メディアのディスク面に近接している場合に発生し易い送受信障害を防止することができる。
【００１８】
一方、書籍１３の販売時には、挿入片部４を書籍１３から抜き取ることにより、書籍類用取付けホルダー１ＡとともにＲＦＩＤタグ６を書籍１３から簡単に取り外すことができる。そして、このように書籍１３から取り外したＲＦＩＤタグ６を、書籍類用取付けホルダー１Ａによって新たな書籍１３に取付けるとともにメモリ内の所要データを当該書籍１３に関するものに書き換えることにより、再度使用することができる。
【００１９】
また、外装体１１の一面に設けられた可逆性記録層１２（図３参照）に書籍類に関する所要データを印字しておくことにより、該所要データを目視可能に表示させることができる。また、可逆性記録層１２に表示されている所要データを光学読取り装置によって読み取ることにより、ＲＦＩＤタグ６のメモリに格納されている所要データのバックアップ用とすることができる。
【００２０】
特に、本発明にあっては、ＲＦＩＤタグ６を、ポケット保持片部２の収納ポケット５に抜き差し可能に収納するものであるため、ＲＦＩＤタグ６と書籍類用取付けホルダー１Ａの何れか一方に損傷，故障等の不具合が生じた場合には、その不具合が生じたものだけを交換すればよく、双方を破棄する必要がないため、メンテナンスコストが安価となる。
【００２１】
また、従来のように接着剤を用いることなく、書籍１３内への挿入片部４の挿入によってＲＦＩＤタグ６を書籍１３に取付け得るので、ＲＦＩＤタグ６の取り外しに際して書籍１３を損傷させることがなく、しかもその取付け、取り外しを極めて容易に行うことができる。また、挿入片部４の抜き取り時には、書籍１３の上方に突出した連結片部３を摘み部とすることにより、挿入片部４の抜き取りを容易に行うことができる。
【００２２】
尚、図４（Ａ），（Ｂ）には、挿入片部４を書籍１３の頁紙１４間や表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間内に挿入した例を示したが、これ以外に背表紙１５ｂの裏側に間隙が生じるように製本された書籍１３にあっては、該間隙内に挿入片部４を挿入することにより、ＲＦＩＤタグ６を書籍１３に着脱可能に取付けることが可能である。また、書籍１３以外の書籍類にあっても、記録済みＣＤ，ＤＶＤ，ブルーレイディスク等の光メディアを収納する収納ケースや、ゲームソフト等の各種アプリケーションが記録されたメモリーカード等の記録メディアを収納する包装箱を備えたものにあっては、これらの収納ケースや包装箱の筐体部と蓋部との間に生じている間隙内や、収納ケースとその表面に配設されているフィルムバインダーとの間に挿入片部４を挿入することにより、ＲＦＩＤタグ６を着脱可能に取付けることができる。
【００２３】
図５，図６は、本発明の第二実施例を示し、この第二実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ｂは、図５（Ｂ）に示すように、直交状に配置されたポケット保持片部２と挿入片部４の上端縁相互が連結片部３を介して連結されて、展開状態において略Ｌ字形を呈するように合成樹脂の基材によって一体形成されており、ポケット保持片部２と連結片部３を区画する境界線上の折り線ｂと、ポケット保持片部２の側縁に沿った折り線ｃで、連結片部３に対してポケット保持片部２と挿入片部４とが夫々下方向に略直角に屈曲されている（図５（Ａ）参照）。その他、第一実施例と共通する構成部分については、第一実施例と同一の符号を付して重複説明を省略する。
【００２４】
かかる構成にあっては、図６（Ａ）に示すように、挿入片部４を書籍１３の頁紙１４間（または、書籍１３の表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間（図４（Ｂ）参照））に挿入すると、挿入片部４とポケット保持片部２とを連結している連結片部３が、書籍１３の上端面に平行な状態で近接し、上方に突出しないため、書籍１３の上方に連結片部３の突出を許容するスペースを確保する必要がない。また、このように連結片部３が上方に突出しないため、図６（Ｂ）に示すように、化粧箱１６付きの書籍１３にも書籍類用取付けホルダー１ＢによってＲＦＩＤタグ６を取付けることができる。
【００２５】
尚、上記各実施例では、収納ポケット５を袋状としたが、該収納ポケット５はＲＦＩＤタグ６を抜き差し可能に収納し得る形状であればよく、袋状に限定されるものではない。即ち、例えばカード状のＲＦＩＤタグ６の三辺縁を挿入し得る溝部を備えたコ字形の枠体とすることも可能である。また、ＲＦＩＤタグ６は、外装体１１の一面に可逆性記録層１２が設けられていないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【００２６】
本発明にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａ，１Ｂは、書籍類に対する着脱が容易であるため、一般的な開架式の書店で使用すると消費者によって持ち去られたり、異なる書籍類間で差し替えられたりするいたずらを受ける可能性がある。従って、その運用態様としては、インターネットショップの書籍類倉庫や図書館の閉架における書籍類管理に有効である。例えば、インターネットショップでは、インターネットを通じて購入注文を受けると、その書籍類を倉庫内で探し出して配送しているのであるが、書籍類用取付けホルダー１Ａ，１ＢによってＲＦＩＤタグ６を書籍類に取り付けておけば、倉庫内での書籍類の探し出し作業が容易にでき、同時に在庫管理も可能となる。また、本発明にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａ，１Ｂを用いることにより、高価な古本も傷を付けることなく管理可能であり、書籍類の価値を損なうことがない。
【符号の説明】
【００２７】
１Ａ，１Ｂ 書籍類用取付けホルダー
２ ポケット保持片部
４ 挿入片部
５ 収納ポケット
６ ＲＦＩＤタグ
８ ＩＣチップ
９ アンテナ
１１ 外装体
１２ 可逆性記録層
１３ 書籍（書籍類）
１４ 頁紙
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ＲＦＩＤタグを書籍類に取付けるために使用するＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーに関する。
【背景技術】
【０００２】
ＲＦＩＤ（Radio Frequency Identification）システムで用いられる非接触型ＩＣタグ等のＲＦＩＤタグは、ＩＣチップとアンテナとを備えてなり、入出力装置（リーダ・ライタ）との間で電磁波を利用して非接触でコマンド，データ等の信号を送受信し得る機能がある。このＲＦＩＤタグは、入出力装置側のアンテナが放射する有効電磁波ゾーンに進入すると、ＲＦＩＤタグのアンテナが誘導起電力を生成し、該電力により動作状態となって入出力装置からのコマンド，データ等の信号を検出するとともに、そのコマンド信号に従ってデータの読み書きが可能なＩＣチップのメモリに受信データを格納したり、メモリに格納されているデータを入出力装置に送信するものであり、バーコードに比してデータの書き換えが可能，データ容量が大きい等の特長を有するため、近年、交通・レジャー分野，物流分野，セキュリティー分野，工場生産分野，環境分野，その他の幅広い分野で導入が進められている。
【０００３】
従来、このようなＲＦＩＤタグに書籍名や出版社名等の所要データを記憶させて書籍の管理に用いる場合、ＲＦＩＤタグを書籍の表紙や奥付け部分等に接着剤で貼付したり、埋設したりすることによって固定的に取り付けていた（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００４−１１８６００（段落 [００１５] 、図１、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、上記のようにＲＦＩＤタグを書籍に対して固定的に取り付けてしまうと、書籍の販売時に取り外すことができないため、ＲＦＩＤタグを再使用することができないという問題点があった。
【０００６】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、必要に応じて書籍類から簡単に取り外すことができるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、データを書き換え可能に格納するメモリを具備したＩＣチップと、該ＩＣチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたＲＦＩＤタグを書籍類に着脱可能に取付けるためのホルダーであって、書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグが抜き差し可能に収納される収納ポケットを備えたポケット保持片部と、該ポケット保持片部に連成されて、書籍類内に抜き差し可能に挿入される挿入片部とを備えてなることを特徴とするＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーである。
【０００８】
ここで、本発明でいう書籍類とは、むき出しの書籍や雑誌以外に、表表紙から背表紙を経て裏表紙を被覆し、その両端部が表表紙と背表紙の内側に折り込まれた表紙カバーを備えた書籍や、収納ケースに収納された記録済みＣＤ，ＤＶＤ，ブルーレイディスク等の光メディア、或いは包装箱に収納されたゲームソフト等の各種アプリケーションが記録されたメモリーカード等の記録メディア等からなる著作物を総称する概念である。また、ＲＦＩＤタグは、ＩＣチップとアンテナとを合成樹脂の支持シート上に配設し、その上下面に外装シートを積層して構成され得る。
【０００９】
前記ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーにあって、収納ポケットが、ＩＣチップとアンテナを内蔵する外装体の一面に可逆性記録層が設けられたカード状のＲＦＩＤタグを収納するものである構成が提案される。
【発明の効果】
【００１０】
本発明は、上述したように、書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグが抜き差し可能に収納される収納ポケットを備えたポケット保持片部と、該ポケット保持片部に連成されて、書籍類内に抜き差し可能に挿入される挿入片部とを備えてなるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーであるから、挿入片部を書籍類内に挿入することにより、ポケット保持片部の収納ポケットに収納されたＲＦＩＤタグを書籍類の外部に位置させて該書籍類に簡単に取付けることができる一方、挿入片部を書籍類から抜き取ることにより、ＲＦＩＤタグを書籍類から簡単に取り外すことができる。これにより、書籍類の販売時にＲＦＩＤタグを書籍類から取り外し、所要データを更改すれば、該ＲＦＩＤタグを新たな書籍類に取付けて再度使用することができる。また、収納ポケットに収納されたＲＦＩＤタグを書籍類の外部に位置させて該書籍類に取付け得るので、書籍類が重ねられている場合や、ＲＦＩＤタグが光メディアのディスク面に近接している場合に発生し易い送受信障害を防止することができる。さらに、従来のように接着剤を用いることなく、書籍類内への挿入片部の挿入によってＲＦＩＤタグを書籍類に取付け得るので、ＲＦＩＤタグの取り外しに際して書籍類を損傷させることがなく、しかもその取付け、取り外しを極めて容易に行うことができる。また、ＲＦＩＤタグを、ポケット保持片部の収納ポケットに抜き差し可能に収納するものであるため、ＲＦＩＤタグと書籍類用取付けホルダーの何れか一方に損傷，故障等の不具合が生じた場合には、その不具合が生じたものだけを交換すればよく、双方を破棄する必要がないため、メンテナンスコストが安価となる。
【００１１】
前記ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダーにあって、収納ポケットが、ＩＣチップとアンテナを内蔵する外装体の一面に可逆性記録層が設けられたカード状のＲＦＩＤタグを収納するものである構成にあっては、収納ポケットにカード状のＲＦＩＤタグを収納することができる。ここで、該ＲＦＩＤタグが外装体の一面に可逆性記録層を備えていることにより、書籍類に関する所要データを該可逆性記録層に目視可能に表示させることができるとともに、表示されている所要データを光学読取り装置によって読み取ることにより、ＲＦＩＤタグのメモリに格納されている所要データのバックアップ用とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】第一実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａの外観斜視図である。
【図２】同上の書籍類用取付けホルダー１Ａの展開状態の正面図である。
【図３】（Ａ）はＲＦＩＤタグ６の一部切欠平面図、（Ｂ）は該ＲＦＩＤタグ６の縦断面図である。
【図４】（Ａ）はＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａを書籍１３の頁紙１４間に挿入した状態を示す外観斜視図、（Ｂ）はＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａを書籍１３の表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間に挿入した状態を示す外観斜視図である。
【図５】（Ａ）は第二実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ｂの外観斜視図、（Ｂ）はその展開状態の正面図である。
【図６】（Ａ）は第二実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ｂを書籍１３に取付けた状態を示す外観斜視図、（Ｂ）は該書籍類用取付けホルダー１Ｂの、化粧箱１６を備えた書籍１３への取付け状態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下に、本発明の第一実施例を、図１〜図４に基づいて説明する。
第一実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａは、図１に示すように、ＲＦＩＤタグ６が抜き差し可能に収納される収納ポケット５を備えたポケット保持片部２と、該ポケット保持片部２に連結片部３を介して連成された挿入片部４とを備えている。前記収納ポケット５はビニール，ポリエチレン等の透明な合成樹脂シートによって上部が開口された袋状に形成されており、その一側縁５’が接着または溶着を介してポケット保持片部２の前面に接合されている。
【００１４】
前記ポケット保持片部２と連結片部３及び挿入片部４は、図２に示すように、並列状に配置された上下方向に長尺な帯板状のポケット保持片部２と挿入片部４の上部側縁相互が連結片部３を介して連結されて、展開状態において略コ字形を呈するように合成樹脂の基材によって一体形成されており、ポケット保持片部２の側縁に沿った折り線ａで連結片部３及び挿入片部４が後方に向けて略直角に屈曲されている（図１参照）。
【００１５】
前記ポケット保持片部２と連結片部３及び挿入片部４を構成する基材としては、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ），ポリプロピレン（ＰＰ），ポリアセタール（ＰＯＭ），ポリカーボネート（ＰＣ），ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ），ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）等が適用され、これらの中でも硬質で引張り強さ，曲げ強さ，圧縮強さに優れ、かつ適宜の弾性を備えたポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）やポリプロピレン（ＰＰ）が好適に用いられ得る。また、これらの基材は、厚み２５０〜１０００μｍのものが好適に用いられ得る。
【００１６】
前記ＲＦＩＤタグ６は、図３に示すように、合成樹脂製の支持シート７ａ上にＩＣチップ８と、該ＩＣチップ８に接続されたアンテナ９とが配設され、その上面に合成樹脂製の保護シート７ｂが積層されるとともに、さらにその上面及び下面に合成樹脂製の外装シート１０ａ，１０ｂが積層されている。そして、この外装シート１０ａ，１０ｂによってＩＣチップ８とアンテナ９を内蔵する外装体１１が構成されており、該外装体１１の表面には可逆性記録層１２が積層されている。該可逆性記録層１２は、熱や磁気或いは電荷により目視情報を可逆的に書き換えて表示可能な各種の情報表示材層で構成され得る。このＲＦＩＤタグ６は厚み４００〜１０００μｍ程度のカード状に形成されており、前記収納ポケット５に抜き差し可能に収納される。該ＲＦＩＤタグ６は、図示しない入出力装置（リーダ・ライタ）との間で電磁波を利用してコマンド，データ等の信号を非接触で送受信し得る非接触型の電池レスタイプとなっており、前記ＩＣチップ８が具備するメモリ（図示省略）には、入出力装置との交信により、書籍類の識別コード，書籍類名，出版社名または製作社名，発行日，著者名または著作権者名，販売価格等の所要データが書き換え可能に格納される。また、外装体１１の表面に設けられた可逆性記録層１２には、所定の印字装置による印字によって前記所要データが目視可能に表示される。尚、ＲＦＩＤタグ６は、ＨＦ帯域（例えば13.56MHz），ＵＨＦ帯域（例えば953MHzや2.45GHz）等の何れの帯域で作動するものであってもよい。また、前記ＩＣチップ８とアンテナ９が配設された支持シート７ａ上に積層される保護シート７ｂは必ずしも必要なものではなく、これを除去することも可能である。
【００１７】
次に、ＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａの使用態様について説明する。図４は、書籍類の一つとしての書籍１３にＲＦＩＤタグ６を取付ける場合の取付け例を示すものであって、図４（Ａ）に示すように、ＲＦＩＤタグ６が保持された挿入片部４を書籍１３の頁紙１４間に挿入したり、図４（Ｂ）に示すように、書籍１３の表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間内に挿入することにより、ＲＦＩＤタグ６を書籍１３に簡単に取付けることができる。この時、ポケット保持片部２と挿入片部４とを連結している連結片部３が書籍１３の背表紙１５ｂの上端や表紙カバー１３ａの上端を跨ぐ状態となることにより、挿入片部４が書籍１３の頁紙１４間内または表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間内へ没入することが防止される。また、収納ポケット５に収納されたＲＦＩＤタグ６を書籍類の外部に位置させて該書籍類に取付け得るので、書籍類が重ねられている場合や、ＲＦＩＤタグ６が光メディアのディスク面に近接している場合に発生し易い送受信障害を防止することができる。
【００１８】
一方、書籍１３の販売時には、挿入片部４を書籍１３から抜き取ることにより、書籍類用取付けホルダー１ＡとともにＲＦＩＤタグ６を書籍１３から簡単に取り外すことができる。そして、このように書籍１３から取り外したＲＦＩＤタグ６を、書籍類用取付けホルダー１Ａによって新たな書籍１３に取付けるとともにメモリ内の所要データを当該書籍１３に関するものに書き換えることにより、再度使用することができる。
【００１９】
また、外装体１１の一面に設けられた可逆性記録層１２（図３参照）に書籍類に関する所要データを印字しておくことにより、該所要データを目視可能に表示させることができる。また、可逆性記録層１２に表示されている所要データを光学読取り装置によって読み取ることにより、ＲＦＩＤタグ６のメモリに格納されている所要データのバックアップ用とすることができる。
【００２０】
特に、本発明にあっては、ＲＦＩＤタグ６を、ポケット保持片部２の収納ポケット５に抜き差し可能に収納するものであるため、ＲＦＩＤタグ６と書籍類用取付けホルダー１Ａの何れか一方に損傷，故障等の不具合が生じた場合には、その不具合が生じたものだけを交換すればよく、双方を破棄する必要がないため、メンテナンスコストが安価となる。
【００２１】
また、従来のように接着剤を用いることなく、書籍１３内への挿入片部４の挿入によってＲＦＩＤタグ６を書籍１３に取付け得るので、ＲＦＩＤタグ６の取り外しに際して書籍１３を損傷させることがなく、しかもその取付け、取り外しを極めて容易に行うことができる。また、挿入片部４の抜き取り時には、書籍１３の上方に突出した連結片部３を摘み部とすることにより、挿入片部４の抜き取りを容易に行うことができる。
【００２２】
尚、図４（Ａ），（Ｂ）には、挿入片部４を書籍１３の頁紙１４間や表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間内に挿入した例を示したが、これ以外に背表紙１５ｂの裏側に間隙が生じるように製本された書籍１３にあっては、該間隙内に挿入片部４を挿入することにより、ＲＦＩＤタグ６を書籍１３に着脱可能に取付けることが可能である。また、書籍１３以外の書籍類にあっても、記録済みＣＤ，ＤＶＤ，ブルーレイディスク等の光メディアを収納する収納ケースや、ゲームソフト等の各種アプリケーションが記録されたメモリーカード等の記録メディアを収納する包装箱を備えたものにあっては、これらの収納ケースや包装箱の筐体部と蓋部との間に生じている間隙内や、収納ケースとその表面に配設されているフィルムバインダーとの間に挿入片部４を挿入することにより、ＲＦＩＤタグ６を着脱可能に取付けることができる。
【００２３】
図５，図６は、本発明の第二実施例を示し、この第二実施例にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ｂは、図５（Ｂ）に示すように、直交状に配置されたポケット保持片部２と挿入片部４の上端縁相互が連結片部３を介して連結されて、展開状態において略Ｌ字形を呈するように合成樹脂の基材によって一体形成されており、ポケット保持片部２と連結片部３を区画する境界線上の折り線ｂと、ポケット保持片部２の側縁に沿った折り線ｃで、連結片部３に対してポケット保持片部２と挿入片部４とが夫々下方向に略直角に屈曲されている（図５（Ａ）参照）。その他、第一実施例と共通する構成部分については、第一実施例と同一の符号を付して重複説明を省略する。
【００２４】
かかる構成にあっては、図６（Ａ）に示すように、挿入片部４を書籍１３の頁紙１４間（または、書籍１３の表紙１５ａと表紙カバー１３ａ間（図４（Ｂ）参照））に挿入すると、挿入片部４とポケット保持片部２とを連結している連結片部３が、書籍１３の上端面に平行な状態で近接し、上方に突出しないため、書籍１３の上方に連結片部３の突出を許容するスペースを確保する必要がない。また、このように連結片部３が上方に突出しないため、図６（Ｂ）に示すように、化粧箱１６付きの書籍１３にも書籍類用取付けホルダー１ＢによってＲＦＩＤタグ６を取付けることができる。
【００２５】
尚、上記各実施例では、収納ポケット５を袋状としたが、該収納ポケット５はＲＦＩＤタグ６を抜き差し可能に収納し得る形状であればよく、袋状に限定されるものではない。即ち、例えばカード状のＲＦＩＤタグ６の三辺縁を挿入し得る溝部を備えたコ字形の枠体とすることも可能である。また、ＲＦＩＤタグ６は、外装体１１の一面に可逆性記録層１２が設けられていないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【００２６】
本発明にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａ，１Ｂは、書籍類に対する着脱が容易であるため、一般的な開架式の書店で使用すると消費者によって持ち去られたり、異なる書籍類間で差し替えられたりするいたずらを受ける可能性がある。従って、その運用態様としては、インターネットショップの書籍類倉庫や図書館の閉架における書籍類管理に有効である。例えば、インターネットショップでは、インターネットを通じて購入注文を受けると、その書籍類を倉庫内で探し出して配送しているのであるが、書籍類用取付けホルダー１Ａ，１ＢによってＲＦＩＤタグ６を書籍類に取り付けておけば、倉庫内での書籍類の探し出し作業が容易にでき、同時に在庫管理も可能となる。また、本発明にかかるＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー１Ａ，１Ｂを用いることにより、高価な古本も傷を付けることなく管理可能であり、書籍類の価値を損なうことがない。
【符号の説明】
【００２７】
１Ａ，１Ｂ 書籍類用取付けホルダー
２ ポケット保持片部
４ 挿入片部
５ 収納ポケット
６ ＲＦＩＤタグ
８ ＩＣチップ
９ アンテナ
１１ 外装体
１２ 可逆性記録層
１３ 書籍（書籍類）
１４ 頁紙
【特許請求の範囲】
【請求項１】
データを書き換え可能に格納するメモリを具備したＩＣチップと、該ＩＣチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたＲＦＩＤタグを書籍類に着脱可能に取付けるためのホルダーであって、
書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグが抜き差し可能に収納される収納ポケットを備えたポケット保持片部と、
該ポケット保持片部に連成されて、書籍類内に抜き差し可能に挿入される挿入片部と
を備えてなることを特徴とするＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー。
【請求項２】
収納ポケットが、ＩＣチップとアンテナを内蔵する外装体の一面に可逆性記録層が設けられたカード状のＲＦＩＤタグを収納するものであることを特徴とする請求項１に記載したＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー。
【請求項１】
データを書き換え可能に格納するメモリを具備したＩＣチップと、該ＩＣチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたＲＦＩＤタグを書籍類に着脱可能に取付けるためのホルダーであって、
書籍類の外部に配置され、ＲＦＩＤタグが抜き差し可能に収納される収納ポケットを備えたポケット保持片部と、
該ポケット保持片部に連成されて、書籍類内に抜き差し可能に挿入される挿入片部と
を備えてなることを特徴とするＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー。
【請求項２】
収納ポケットが、ＩＣチップとアンテナを内蔵する外装体の一面に可逆性記録層が設けられたカード状のＲＦＩＤタグを収納するものであることを特徴とする請求項１に記載したＲＦＩＤタグの書籍類用取付けホルダー。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−２０３１０（Ｐ２０１１−２０３１０Ａ）
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１６６０７５（Ｐ２００９−１６６０７５）
【出願日】平成２１年７月１４日（２００９．７．１４）
【出願人】（０００１８６５６６）小林クリエイト株式会社 (169)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年７月１４日（２００９．７．１４）
【出願人】（０００１８６５６６）小林クリエイト株式会社 (169)
【Ｆターム（参考）】
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