説明

RI化合物合成装置及びRI化合物合成方法

【課題】放射性同位元素標識化合物の収率を向上することができるRI化合物合成装置及びRI化合物合成方法を提供する。
【解決手段】RI化合物合成装置1は、輸送液で輸送される流路L11,12と、流路L11,12上の第1のポイントP1に[11C]ヨウ化メチルを注入する第1注入部と、第1ポイントP1で注入された[11C]ヨウ化メチルが、合流点P2に到達したときに、スピペロンを注入する流路L22と、を備えている。そして、シリンジポンプ13,23及び制御装置3により輸送液の流動が制御され、混合された[11C]ヨウ化メチルとスピペロンとは、合流点P2よりも下流の位置において一定時間停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素を反応させて、放射性同位元素標識化合物を得るRI化合物合成装置及びRI化合物合成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、図4に示すように、Y字形(又はT字形)のマイクロチャンネルを有するマイクロリアクタ101が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。このマイクロリアクタ101では、原料供給源103a,103bからそれぞれ供給され微小流路105a,105bを流動する原料A,Bの溶液が、基板107上に形成されたY字形の混合流路109で混合されて反応し、取り出し流路111から生成物溶液が取り出される。原料は、通常、シリンジポンプやHPLC用ポンプ等の送液装置によって供給源103a,103bから押し出されることで、微小流路105a,105bを流動する。
【0003】
この種のマイクロリアクタは、微小空間を反応の場とすることから、次のような特徴がある。(1)反応のスケールを小さくできるため、原料として消費する試薬の量を少なくすることができる。(2)拡散距離が小さいため、原料の混合が効率的かつ高速に起こる。(3)容器の単位体積当たりの表面積が大きいので、熱交換率が大きい。(4)原料溶液の単位体積当たりの表面積が大きいので、界面反応が効率よく起こる。これらの特徴は、試験管やフラスコといったマクロな反応容器を用いた反応にはないメリットである。
【特許文献1】特表2005−520827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種のマイクロリアクタでは、単位体積当たりの容器の表面積が大きいので、容器壁面に吸着され回収困難となる生成物の割合が大きくなるというデメリットがある。特に、上記のマイクロリアクタでは、溶液が一定の流速で流路を絶えず流れ続けている必要があり、その結果、溶液と容器壁面との接触面積が大きくなってしまう。そのため、生成物の壁面への吸着量も大きくなり、収率が低下してしまう。このようなRI化合物合成、特にPET薬剤の微少量合成(マイクロリットルスケール)において、原料の放射性核種はサイクロトロンから少量しか得られないため、生成物の壁面への吸着は大きな問題となる。
【0005】
そこで、本発明は、放射性同位元素標識化合物の収率を向上することができるRI化合物合成装置及びRI化合物合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のRI化合物合成装置は、放射性同位元素を反応させて、放射性同位元素標識化合物を得るRI化合物合成装置において、放射性元素標識化合物の原料を輸送する輸送流体が流動する輸送流路と、輸送流路上の第1のポイントにおいて放射性元素標識化合物の第1の原料を輸送流路に注入する第1の注入部と、第1の原料が、輸送流路上の第2のポイントに到達したときに、当該第2のポイントにおいて放射性元素標識化合物の第2の原料を輸送流路に注入する第2原料注入手段と、輸送流体の流動を調整して、第2のポイントよりも下流の位置における第1及び第2の原料の移動を制御する送液制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このRI化合物合成装置では、輸送流路で輸送流体が流動し、輸送流路上の第1のポイントにおいて第1の原料が注入される。その後、この第1の原料が輸送流体により輸送されて輸送流路上の第2のポイントに到達すると、その第2のポイントにおいて第2の原料が注入される。このため、第2のポイントでは、第1及び第2の原料が接触し混合される。さらに、この第1及び第2の原料が輸送流体に輸送されながら輸送流路を下流に移動すると、輸送流体の流動の調整により第1及び第2の原料の移動が制御される。このように、第1及び第2の原料が混合された状態で、輸送流路上での移動が制御されるので、混合された第1及び第2の原料が十分に反応して放射性同位元素標識化合物が生成されるまで輸送流路上に留まらせることができる。従って、輸送流路の長さを調整し、原料及び生成物と流路壁面との接触面積を小さくすることが可能になるので、流路壁面に吸着される生成物の量が少なくなり、その結果、放射性同位元素標識化合物の収率を向上させることができる。
【0008】
また、この場合、送液制御部は、輸送流路上の第2のポイントよりも下流の位置に到達した第1及び第2の原料を停止させるように輸送流体の流動を調整することが好ましい。この構成によれば、第1及び第2の原料が混合された状態で、輸送流路上で停止するので、混合された第1及び第2の原料が十分に反応して放射性同位元素標識化合物が生成される。すなわち、輸送流路上で停止状態で第1及び第2の原料の反応が進行するので、輸送流路の長さを短くすることができる。
【0009】
また、第2原料注入手段は、第2ポイントにおいて輸送流路に合流するように設けられ、第2の原料を輸送する輸送流体を第2のポイントに向けて流動させる支流流路と、支流流路上の第3のポイントにおいて第2の原料を支流流路に注入する第2の注入部と、を有する構成としてもよい。
【0010】
また、この場合、第2のポイントと第1のポイントとの間における輸送流路の容量と、第2のポイントと第3のポイントとの間における支流流路の容量と、を等しくすることが好ましい。このような構成によれば、第1の原料が第2ポイントに到達するタイミングに合わせて第2の原料を注入するためには、第1の注入部による輸送流路への第1の原料の注入と、第2の注入部による支流流路への第2の原料の注入と、のタイミングを同時にする制御を行い、なおかつ、輸送流路及び支流流路中を流動する輸送流体の流量を等しくすればよい。従って、第1及び第2の輸送流体の流動の制御や、第1及び第2の入部の制御が容易になる。
【0011】
また、本発明のRI化合物合成方法は、放射性同位元素を反応させて、放射性同位元素標識化合物を得るRI化合物合成方法において、放射性元素標識化合物の原料を輸送する輸送流体を輸送流路で流動させ、輸送流路上の第1のポイントにおいて放射性元素標識化合物の第1の原料を輸送流路に注入する第1の注入工程と、第1の原料が、輸送流路上の第2のポイントに到達したときに、当該第2のポイントにおいて放射性元素標識化合物の第2の原料を輸送流路に注入する第2の注入工程と、輸送流体の流動を調整して、第2のポイントよりも下流の位置に到達した第1及び第2の原料の移動を制御する送液制御工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このRI化合物合成方法では、輸送流路で第1の輸送流体が流動し、輸送流路上の第1のポイントにおいて第1の原料が注入される。その後、この第1の原料が輸送流体により輸送されて輸送流路上の第2のポイントに到達すると、その第2のポイントにおいて第2の原料が注入される。このため、第2のポイントでは、第1及び第2の原料が接触し混合される。さらに、この第1及び第2の原料が輸送流体に輸送されながら輸送流路を下流に移動すると、輸送流体の流動の調整により第1及び第2の原料の移動が制御される。このように、第1及び第2の原料が混合された状態で、輸送流路上での移動が制御されるので、混合された第1及び第2の原料が十分に反応して放射性同位元素標識化合物が生成されるまで合成装置の輸送流路上に留まらせることができる。従って、合成装置の輸送流路の長さを調整し、原料及び生成物と流路壁面との接触面積を小さくすることが可能になるので、合成装置の流路壁面に吸着される生成物の量が少なくなり、その結果、放射性同位元素標識化合物の収率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のRI化合物合成装置及びRI化合物合成方法によれば、放射性同位元素標識化合物の収率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るRI化合物合成装置及びRI化合物合成方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2に示すRI化合物合成装置1は、1mg/mLのスピペロンDMF溶液20μLとNaHのDMF溶液1μL(NaH0.1 mg程度を含む)との混合溶液(以下「第1反応液」という)と、[11C]ヨウ化メチルを捕集したDMF溶液20μL(以下「第2反応液」という)と、を混合し反応させ、ポジトロン放出断層撮影(PET)に用いられる放射性同位元素標識化合物(RI化合物)の[11C]メチルスピペロンを合成する装置である。
【0016】
この合成装置1は、上記第1及び第2反応液を溶解させないで輸送するための輸送液(輸送流体)をそれぞれ送出する2つのマイクロシリンジ11,21を備えている。マイクロシリンジ11,21の容量としては、50μLから500μLを採用するのが好適である。
【0017】
マイクロシリンジ11には、流路L11(輸送流路)に送出される輸送液の流量を調整するためのシリンジポンプ13が取り付けられている。シリンジ11から流路L11に送出された輸送液は、第1ポイントP1に設けられた後述の6方切替バルブV1を経て、流路L12(輸送流路)に移動する。
【0018】
上記第1ポイントP1においては、図3に示すように、2つの状態を取ることが可能な6方切替バルブV1が、流路L11と流路L12の間に接続されている。また、このバルブV1には、第1反応液の供給源である原料注入器14に接続された流路L14と、供給源14からの第1反応液が一時的に貯留されるループ流路L15と、第1の反応液が排出される流路L16とが接続されている。上記バルブV1が第1状態にあるときには、流路L11と流路L12とが直接連結され、供給源14とループ流路L15と流路L16が連結される(図3(a)参照)。一方、バルブV1が第2状態にあるときには、流路L11と流路L12とが上記ループ流路L15を介して連結される(図3(b)参照)。
【0019】
再び図1及び図2を参照すると、マイクロシリンジ11と同様に、マイクロシリンジ21には、流路L21(支流流路)に送出される輸送液の流量を調整するためのシリンジポンプ23が取り付けられている。シリンジ21から流路L21に送出された輸送液は、第3ポイントP3に設けられた後述の6方切替バルブV2を経て、流路L22(支流流路)に移動する。
【0020】
上記第3ポイントP3においては、図3に示すように、2つの状態を取ることが可能な6方切替バルブV2が、流路L21と流路L22の間に接続されている。また、このバルブV2には、第2反応液の供給源である原料注入器24に接続された流路L24と、供給源24からの第2反応液が一時的に貯留されるループ流路L25と、第2の反応液が排出される流路L26とが接続されている。上記バルブV2が第1状態にあるときには、流路L21と流路L22とが直接連結され、供給源24とループ流路L25と流路L26が連結される(図3(a)参照)。一方、バルブV2が第2状態にあるときには、流路L21と流路L22とが上記ループ流路L25を介して連結される(図3(b)参照)。
【0021】
このように、マイクロシリンジ11,第1ポイントP1のバルブV1及び流路L11,L12と、マイクロシリンジ21,第2ポイントP2のバルブV2及び流路L21,L22と、は、互いに同等の構成を有している。特に、流路L12と流路L22とは、容量が等しくなるように、流路長と流路径とが等しく形成されている。
【0022】
そして、流路L22と上記流路L12とは、合流点P2(第2のポイント)においてT字状(又はY字状)に合流しており、この合流点P2からは、更に下流側に流路L31(輸送流路)が延びている。この流路L31の一部は、ウォーターバス5に浸漬され、温度調整されている。なお、流路L31の温度調整を行うためには、ウォーターバス5に代えて、オイルバスやヒータ等の温度調整手段を用いてもよい。更に、合成装置1は、上記のシリンジポンプ13,23及びバルブV1,V2の動作を制御するための制御装置3を備えている。
【0023】
なお、上記各流路L11〜L16,L21〜L26,L31の好適な内径は、0.1〜0.5mmである。
【0024】
以上のような合成装置1を用いて、上記第1反応液と第2反応液とを反応させ、放射性同位元素標識化合物(RI化合物)の[11C]メチルスピペロンを合成する方法について説明する。なお、以下の合成装置1の動作は、制御装置3によりシリンジポンプ13,23の駆動とバルブV1,V2の切替え動作とを制御することにより行われる。また、このとき、ウォーターバス5の温度が[11C]メチルスピペロンの合成処理に適した温度である約50℃に加熱されている。
【0025】
まず、マイクロシリンジ11,21には、輸送液が充填される。この輸送液としては、原料溶液に無制限に溶解しない物質を選択することが好ましい。例えば、原料溶液が水溶液である場合であれば、輸送液としてジエチルエーテルを用いることが好ましい。また、例えば、原料溶液が水溶液である場合、輸送液としてエタノールを用いると、原料溶液と輸送液とが無制限に溶解するので好ましくない。このような選択に基づき、第1及び第2反応液にほとんど溶解しない液体であるヘプタンを輸送液として採用する。また、ここでは、ヘプタンに限定されず、イソオクタン、n−ヘキサンを輸送液として用いてもよい。
【0026】
そして、バルブV1,V2は、双方とも第1状態にセットされる。この状態で、反応に必要な微少量の第1反応液が原料供給器14から供給されると、第1反応液は、流路L14を通じてループ流路L15に充填される。また、反応に必要な微少量の第2反応液が原料供給器24から供給されると、第2反応液は、流路L24を通じてループ流路L25に充填される。更に、シリンジポンプ13,23の駆動によりマイクロシリンジ11,21のピストンが押下され、流路L11,L12,L31,L21,L22に輸送液が流動する。
【0027】
次に、バルブV1,V2が、双方とも同じタイミングで第2状態に切り替えられると、マイクロシリンジ11からの輸送液は、流路L11→ループ流路L15→流路L12の順に流れることになる。そして、ループ流路L15に充填されていた第1反応液は、輸送液にほとんど溶解せず、更に、流路L11,L15,L12が細いことも相俟って、前後を輸送液に挟まれて流路L12→流路L31に押し流されていく。また、同様にして、第2反応液は輸送液にほとんど溶解せず前後を輸送液に挟まれて流路L22→流路L31に押し流されていく。このように、原料供給器14及びバルブV1は、第1ポイントP1で輸送液に第1反応液を注入する第1の注入部として機能し、原料供給器24及びバルブV2は、第3ポイントP3で輸送液に第2反応液を注入する第2の注入部として機能する。
【0028】
そして、このとき、シリンジポンプ13,23は、2つのマイクロシリンジ11,21から送出される輸送液の流量が等しくなるように制御される。また、前述のとおり、流路L12と流路L22との容量は等しくなるように形成されている。このような条件により、それぞれ第1ポイントP1及び第2ポイントP2で同時に注入された上記第1反応液と第2反応液とは、ちょうど同じタイミングで合流点P2に到達する。そして、第1反応液と第2反応液は、合流点P2において接触し混合され、その後、輸送液に前後を挟まれた状態で、流路L31の下流側へ流れていく。このように、流路L21,L22及びバルブV2は、合流点P2において第2反応液を注入する第2原料注入手段を構成する。
【0029】
そして、第1反応液と第2反応液とが、ウォーターバス5の位置に到達したところで、シリンジポンプ13,23が停止され、第1反応液と第2反応液とは、流路L31のウォーターバス5に浸漬された位置で停止する。従って、混合された第1反応液と第2反応液とは、50℃の温度下で十分に反応し、[11C]メチルスピペロンが生成する。そして、停止の約1分後、再びシリンジポンプ13,23が駆動され輸送液を下流側に送出することで、生成した[11C]メチルスピペロンは、流路L31の下流端に設置された容器33に回収される。
【0030】
以上のように、RI化合物合成装置1及び上述の合成方法では、第1及び第2反応液がタイミングよく輸送されることにより合流点P2で混合され、混合された状態で流路L31上でウォーターバス5内で停止するので、十分な反応時間を確保することができる。従って、流路L31を短くしても、第1及び第2反応液が十分に反応して[11C]メチルスピペロンが生成する。その結果、流路L31を短くすることができ、生成物と流路壁面との接触面積を小さくすることができるので、流路壁面に吸着される生成物の量が少なくなり、その結果、生成物[11C]メチルスピペロンの収率を向上させることができる。
【0031】
特に、この例のPET薬剤のように、使用する試薬の量が少量の場合や、長い反応時間を必要とする合成にあっては、RI化合物合成装置1及び上述の合成方法が好適に使用できる。
【0032】
また、この装置1において、流路L12と流路L22とは、容量が等しくなるように形成されているので、マイクロシリンジ11,21からの流量を等しくし、バルブV1,V2の切替えのタイミングを合わせるといった簡単な制御により、第1反応液と第2反応液とが、ちょうど合流点P2において接触し混合される。このように、複雑な制御を要することなく、微小流路上における第1反応液と第2反応液との接触・混合を実現することができる。
【0033】
また、RI化合物合成装置1及び上述の合成方法によれば、反応時間が異なる合成を行う場合にも流路L31の長さを変える必要がなく、第1及び第2反応液の流路L31での停止時間を変えればよい。従って、反応時間が異なる他の化合物の合成にもシリンジポンプ13,23の制御を変更するだけで、同じ装置を用いることができる。
【0034】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記合成装置1では、各流路L11〜L16,L21〜L26,L31の輸送液を流動させ流速を調整する手段として、マイクロシリンジ11,21及びシリンジポンプ13,23を用いているが、これらに代えて、例えば、HPLC用ポンプといった他の送液手段を用いてもよい。また、流路L31のウォーターバス5に浸漬された位置で第1及び第2反応液を一旦停止させる制御を行っているが、当該位置における第1及び第2反応液の流速を低下させる制御を行ってもよい。また、輸送液に代えて、気体を用いて第1及び第2反応液を輸送してもよい。また、容器33を省略し、流路L31の下流側出口を、生成物の精製を行うための精製系に直接接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るRI化合物合成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の合成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、バルブの第1状態を示す図であり、(b)は、バルブの第2状態を示す図である。
【図4】従来の合成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…RI化合物合成装置、3…制御装置(送液制御部)、13,23…シリンジポンプ(送液制御部)、14…原料供給器(第1の注入部)、L11,L12,L31…流路(輸送流路)、L21,L22…流路(支流流路、第2原料注入手段)、P1…第1のポイント、P2…合流点(第2のポイント)、P3…第3のポイント、V1…バルブ(第1の注入部)、V2…バルブ(第2の注入部、第2原料注入手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位元素を反応させて、放射性同位元素標識化合物を得るRI化合物合成装置において、
前記放射性元素標識化合物の原料を輸送する輸送流体が流動する輸送流路と、
前記輸送流路上の第1のポイントにおいて前記放射性元素標識化合物の第1の原料を前記輸送流路に注入する第1の注入部と、
前記第1の原料が、前記輸送流路上の第2のポイントに到達したときに、当該第2のポイントにおいて前記放射性元素標識化合物の第2の原料を前記輸送流路に注入する第2原料注入手段と、
前記輸送流体の流動を調整して、前記第2のポイントよりも下流の位置における前記第1及び第2の原料の移動を制御する送液制御部と、を備えたことを特徴とするRI化合物合成装置。
【請求項2】
前記送液制御部は、
前記輸送流路上の前記第2のポイントよりも下流の位置に到達した前記第1及び第2の原料を停止させるように前記輸送流体の流動を調整することを特徴とする請求項1に記載のRI化合物合成装置。
【請求項3】
前記第2原料注入手段は、
前記第2ポイントにおいて前記輸送流路に合流するように設けられ、前記第2の原料を輸送する輸送流体を前記第2のポイントに向けて流動させる支流流路と、
前記支流流路上の第3のポイントにおいて前記第2の原料を前記支流流路に注入する第2の注入部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のRI合成装置。
【請求項4】
前記第2のポイントと前記第1のポイントとの間における前記輸送流路の容量と、
前記第2のポイントと前記第3のポイントとの間における前記支流流路の容量と、が等しいことを特徴とする請求項3に記載のRI化合物合成装置。
【請求項5】
放射性同位元素を反応させて、放射性同位元素標識化合物を得るRI化合物合成方法において、
前記放射性元素標識化合物の原料を輸送する輸送流体を輸送流路で流動させ、前記輸送流路上の第1のポイントにおいて前記放射性元素標識化合物の第1の原料を前記輸送流路に注入する第1の注入工程と、
前記第1の原料が、前記輸送流路上の第2のポイントに到達したときに、当該第2のポイントにおいて前記放射性元素標識化合物の第2の原料を前記輸送流路に注入する第2の注入工程と、
前記輸送流体の流動を調整して、前記第2のポイントよりも下流の位置に到達した前記第1及び第2の原料の移動を制御する送液制御工程と、を備えたことを特徴とするRI化合物合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−37767(P2008−37767A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211217(P2006−211217)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】