説明

Streptococcusagalactiaeのための免疫原性組成物

【課題】Streptococcus agalactiae(GBS)感染に対するワクチンの提供。
【解決手段】2種以上のStreptococcus agalactiae(GBS抗原)の組み合わせを含む組成物であって、ここで、該組み合わせが、GBS80またはそのフラグメントあるいはGBS80と50%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、組成物;ならびにGBS80抗原の一部分および少なくとも1種のGBS抗原の一部分を含む、融合タンパク質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年2月26日に出願された米国仮特許出願60/548,789の利益を主張し、この米国仮特許出願60/548,789の全体が参考として援用され、2003年9月15日に出願された国際特許出願番号PCT/US03/29167、代理人参照番号PP19766.002からの優先権を主張し、本明細書中にこのPCT/US03/29167の全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、Streptococcus agalactiae(「GBS」)由来の免疫原性抗原に関し、そして異なるGBS株の間でより広い適用範囲を提供するために他のGBS抗原と組み合わせてその免疫原性抗原を使用することに関連する。特に、本発明は、2種以上のGBS抗原の組み合わせを含む組成物に関連し、ここで、その組み合わせは、GBS80またはそのフラグメントを含む。その組み合わせは、GBS80および少なくとも1種の他のGBS抗原を含み得る。例えば、その組み合わせは、GBS80および13種までのGBS抗原を含み得る。好ましい実施形態において、その組み合わせは、GBS80および10種までのGBS抗原を含み得る。より好ましい実施形態において、その組み合わせは、GBS80および5種までのGBS抗原を含み得る。1つの実施形態において、その組み合わせは、GBS80、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691からなる抗原の群より選択される2種〜13種のGBS抗原からなり得る。好ましくは、その組み合わせは、GBS104およびGBS322の1種以上と組み合わせたGBS80が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
GBSは、ここ20年間で、1000人の生産児あたり0.5〜3人に罹患する新生児敗血症および髄膜炎の主要な原因として、および人口100,000人あたり5〜8人に罹患する高齢者群の間の罹患率の重要な原因として、現れている。現在の疾患の管理戦略は、分娩時の抗生物質および新生児の監視に頼り、それは、新生児の症例の死亡率を、1970年代の50%超から1990年代の10%未満まで減少させている。それにもかかわらず、まだ相当な罹患率および死亡率があり、その管理は費用がかかる。15〜35%の妊婦は、無症候性キャリアであり、彼女らの乳児にこの疾患を伝染させる危険性が高い。新生児感染の危険性は、低い血清型特異的母子抗体に関連し、高力価が防御性である。さらに、侵襲性のGBS疾患は、疾患(例えば、糖尿病および癌)が内在する高齢者においてますます認識されている。
【0004】
「GBS」の「B」とは、Lancefield分類をいい、それは、希酸中で可溶性でありかつC糖質と呼ばれる糖質の抗原性に基づいている。Lancefieldは、13種類のC糖質を同定して、血清学的区別され得るA〜Oと名付けた。最も一般にヒトに感染する生物は、A群、B群、D群およびG群に見出されている。B群内で、菌株は、それらの多糖類莢膜の構造に基づいて少なくとも9個の血清型(Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIII)に分けられ得る。過去において、血清型Ia、Ib、IIおよびIIIが、正常な膣の移動および新生児における早期発症性敗血症において一様に蔓延した。V型のGBSは、米国のGBS感染の重要な原因として現れているが、しかし、VI型およびVIII型の菌株は、日本の女性の間に蔓延している。
【0005】
血清型Vの菌株2603V/Rのゲノム配列は、公開されており(参考文献1)、そしてワクチン抗原として使用するための種々のポリペプチドが、同定されている(参考文献2)。しかし、現在、臨床試験中でワクチンは、多糖抗原に基づいている。これらは、血清型特異性および不十分な免疫原性に悩まされるので、S.agalactiae感染に対する有効なワクチンの必要性がある。
【0006】
本発明の目的は、GBS疾患および/またはGBS感染に対する免疫を提供するためのさらなる改良された組成物を提供することである。その組成物は、2種以上(例えば、3種以上)のGBS抗原の組み合わせに基づいている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本出願人は、免疫原性のGBS抗原、特にGBS80が、とりわけ他のGBS抗原と組み合わされて使用される場合、免疫処置の目的のために特に適切であることを発見している。その組み合わせは、GBS80と、少なくとも1種の他のGBS抗原または13種までの他のGBS抗原とを含み得る。好ましい実施形態において、その組み合わせは、GBS80および10種までのGBS抗原を含み得る。より好ましい実施形態において、その組み合わせは、GBS80および5種までのGBS抗原を含む。特に、本発明は、2種以上のGBS抗原の組み合わせを含む組成物に関連し、ここで、その組み合わせは、GBS80またはそのフラグメントを含む。1つの実施形態において、その組み合わせは、GBS80、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691からなる群より選択されるGBS抗原の2種〜13種からなり得る。好ましくは、その組み合わせは、GBS80、GBS104およびGBS322からなる。
【0008】
完全長の抗原の代わりに、その組み合わせは、選択されたGBS抗原の免疫原性フラグメントおよび/または選択された抗原に対する配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。
【0009】
好ましくは、GBS抗原の組み合わせは、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種のGBS抗原からなる。さらにより好ましくは、GBS抗原の組み合わせは、3種、4種または5種のGBS抗原からなる。
本発明は、以下をさらに提供する:
・(項目1)
2種以上のGBS抗原の組み合わせを含む組成物であって、ここで、上記組み合わせが、GBS80またはそのフラグメントあるいはGBS80と50%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、組成物。
・(項目2)
項目1に記載の組成物であって、上記GBS抗原の組み合わせが、能動母子免疫アッセイによって測定される場合に改良された免疫原性を示し、ここで、上記能動母子免疫アッセイは、免疫スケジュールの間の雌マウスの血清力価およびチャレンジ後の仔の生存率パーセントを測定する、組成物。
・(項目3)
項目2に記載の組成物であって、上記チャレンジした仔の生存率パーセントが、単一の非GBS80抗原で免疫した雌マウス由来のチャレンジした仔の生存率パーセントより、少なくとも2パーセントポイント高い、組成物。
・(項目4)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、2種のGBS抗原からなる、組成物。
・(項目5)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、3種のGBS抗原からなる、組成物。
・(項目6)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、4種のGBS抗原からなる、組成物。
・(項目7)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、5種のGBS抗原からなる、組成物。
・(項目8)
項目1に記載の組成物であって、GBS80が、配列番号2またはその免疫原性フラグメントのアミノ酸配列を含む、組成物。
・(項目9)
項目1に記載の組成物であって、上記GBS80のフラグメントが、配列番号3、4、5、6、7、8、および9からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、組成物。
・(項目10)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、GBS80、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690、およびGBS691からなる群より選択される、2〜13種のGBS抗原からなる、組成物。
・(項目11)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、GBS80、GBS104およびGBS322を含む、組成物。
・(項目12)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、GBS80、GBS104、GBS276およびGBS322を含む、組成物。
・(項目13)
項目1に記載の組成物であって、上記組み合わせが、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690またはGBS691のうちの少なくとも1種を含む、組成物。
・(項目14)
GBS80抗原の一部分および少なくとも1種のGBS抗原の一部分を含む、融合タンパク質。
・(項目15)
項目14に記載の融合タンパク質であって、上記少なくとも1種のGBS抗原が、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690またはGBS691からなる群より選択される、融合タンパク質。
・(項目16)
項目15に記載の融合タンパク質であって、上記少なくとも1種のGBS抗原が、GBS322である、融合タンパク質。
・(項目17)
項目16に記載の融合タンパク質であって、GBS80抗原およびGBS322抗原から本質的になる、融合タンパク質。
・(項目18)
GBS感染に感受性のある動物におけるGBS感染の治療的または予防的処置のための方法であって、上記方法が、治療的または予防的な量の項目1に記載の組成物を上記動物に投与する工程を包含する、方法。
・(項目19)
GBSに対する免疫応答を上昇させるための医薬の製造のための方法であって、上記方法が、少なくとも1種のGBSポリペプチド抗原とGBS80抗原またはそのフラグメントとを混合する工程を包含する、方法。
・(項目20)
項目19に記載の方法であって、上記少なくとも1種のGBSポリペプチド抗原が、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691からなる抗原の群から選択されるポリペプチドまたはそのフラグメントを含む、方法。
・(項目21)
GBS感染の処置のための医薬の調製における項目1〜17のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に記載されない限り、当業者の技術範囲内にある化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を使用する。そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.、第19版(1995);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan、編、Academic Press,Inc.);およびHandbook of Experimental Immunology、I巻〜IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell、編、1986、Blackwell Scientific Publications);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.編、CRC Press、1997);Short Protocols in Molecular Biology、第4版(Ausubelら、編、1999、John Wiley & Sons)
;Molecular Biology Techniques:An Intensive Laboratory Course,(Reamら、編、1998、Academic Press);PCR(Introduction to Biotechniques Series)、第2版(Newton & Graham編、1997、Springer Verlag);PetersおよびDalrymple,Fields Virology(第2版)、Fieldsら(編)、B.N.Raven Press,New York,NY.を参照のこと。
【0011】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【0012】
(GBS抗原)
上記に議論したように、本発明は、2種以上のGBS抗原の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供し、ここで、その組み合わせは、GBS80またはそのフラグメントを含む。
【0013】
GBS抗原の組み合わせは、同定したGBS抗原のポリペプチドフラグメントを含み得る。そのフラグメントの長さは、特定のGBS抗原のアミノ酸配列に依存して変化し得るが、そのフラグメントは、好ましくは、少なくとも7個連続するアミノ酸(例えば、8個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、25個、30個、35個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個、200個またはそれ以上)である。好ましくは、そのフラグメントは、上記の配列由来の1種以上のエピトープを含む。他の好ましいフラグメントは、(1)同定された各々のGBS抗原のN末端シグナルペプチド、(2)N末端シグナルペプチドを含まないその同定されたGBS抗原、および(3)同定された各々のGBS抗原(10個までのアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個またはそれ以上)が、N末端および/またはC末端から欠失している(例えば、N末端アミノ酸残基が欠失され得る))を含む。他のフラグメントは、上記タンパク質の1種以上のドメインを取り除いている(例えば、シグナルペプチド、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞外ドメインの除去)。
【0014】
GBS抗原の組み合わせは、同定されたGBS抗原に対する配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。その配列同一性の程度は、問題のアミノ酸配列(a)に依存して変化し得るが、しかし、好ましくは、50%より大きい(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%。99.5%またはそれ以上)。配列同一性を有するポリペプチドは、上記同定されたGBS抗原のホモログ、オルトログ、対立遺伝子改変体および機能性変異体を含む。代表的に、2種のタンパク質間の50%以上の同一性は、機能的に等価であることの指標であるとみなされる。タンパク質間の同一性は、好ましくは、ギャップ開始ペナルティー=12およびギャップ伸長ペナルティ=1といったパラメーターを用いる類似性のギャップ検索を使用して、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実行されるようなSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムによって決定される。
【0015】
上記ポリペプチドは、もちろん、種々の手段によって(例えば、組換え発現、GBSからの精製、化学合成など)種々の形態(例えば、ネイティブ形態、融合物、グリコシル化形態、非グリコシル化形態など)で調製され得る。それらは、好ましくは、実質的に純粋な形態(すなわち、他の連鎖球菌タンパク質または宿主細胞タンパク質を実質的には含まない)または実質的に単離された形態で調製される。
【0016】
(GBS80)
上記に議論したように、本発明は、他のGBS抗原との相乗的な組み合わせにおけるGBS80の使用に関連する。GBS80とは、推定細胞壁表面アンカーファミリータンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS80のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8779および配列番号8780として参考文献2に示されている。これらの配列をまた、配列番号1および配列番号2
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】


として上に示す。
【0019】
上記のように、本発明の組み合わせは、GBS抗原のフラグメントを含み得る。いくつかの場合において、1種以上のドメイン(例えば、リーダー配列領域またはシグナル配列領域、膜貫通領域、細胞質領域あるいは細胞壁アンカーモチーフ)の除去は、上記のGBSタンパク質の抗原および/または組換え発現をコードする遺伝子のクローニングを容易にし得る。さらに、上記の列挙したGBS抗原の免疫原性エピトープを含むフラグメントは、本発明の組成物において使用され得る。
【0020】
GBS80は、上記の配列番号2の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN
末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS80のリーダー配列領域またはシグナル配列領域由来の1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS80フラグメントの例を、配列番号3
【0021】
【表3】


として上に示す。
【0022】
GBS80は、上記の配列番号2の終わり近くにおける下線を引いた配列によって示されるC末端膜貫通領域を含有する。1つの実施形態において、その膜貫通領域および/または細胞質領域由来の1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS80フラグメントの例を、配列番号4
【0023】
【表4】


として上に示す。
【0024】
GBS80は、細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフ:配列番号5 I.PNTG(
上記の配列番号2においてイタリック体で示される)を含有する。いくつかの組換え宿主細胞系において、その宿主細胞由来の組換えGBS80タンパク質の分泌を促進するために、このモチーフを除去することが好まれ得る。従って、本発明における使用のためのGBS80の1つの好ましいフラグメントにおいて、上記の膜貫通領域および/または細胞質領域ならびに上記の細胞壁アンカーモチーフが、GBS80から除去される。そのようなGBS80フラグメントの例を、配列番号6
【0025】
【表5】


として上に示す。
【0026】
あるいは、いくつかの組換え宿主細胞系において、上記の組換え発現されたタンパク質をその細胞壁に固着させるために、上記の細胞壁アンカーモチーフを使用することが好まれ得る。その発現されたタンパク質の細胞外ドメインは、精製の間に切断され得るか、あるいはその組換えタンパク質は、その最終組成物中の不活性化された宿主細胞または細胞膜のいずれかに付着したままであり得る。
【0027】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域、上記の膜貫通領域および細胞質領域ならびに上記の細胞壁アンカーモチーフが、上記のGBS80の配列から除去される。そのようなGBS80フラグメントの例を、配列番号7
【0028】
【表6】


として上に示す。
【0029】
本出願人は、上記のGBS80タンパク質の特に免疫原性であるフラグメントを同定した。この免疫原性フラグメントは、そのタンパク質のN末端に向かって位置し、それには、以下のように上記のGBS80の配列番号2の配列において下線を引かれている。その下線を引いたフラグメントを、配列番号8
【0030】
【表7】


として上に示す。
【0031】
配列番号7によってコードされるタンパク質の免疫原性を、PBS、GBSの細胞全体、GBS80(全長)およびGBS80のペプチドのC末端に対してもっと近くに位置するGBS80の別のフラグメント(以下の配列番号9)
【0032】
【表8】


に対して比較した。
【0033】
能動母子免疫アッセイ(Active Maternal Immunization
Assay)および受動母子免疫アッセイ(Passive Maternal Immunization Assay)の両方を、このタンパク質集合に対して行った。
【0034】
本明細書中で使用される場合、能動母子免疫アッセイとは、雌マウスが上記の試験抗原組成物で免疫されるインビボでの防御アッセイをいう。次いでその雌マウスに、仔を産ませ、それらの仔を致死量のGBSでチャレンジする。上記の免疫スケジュールの間の雌マウスの血清力価ならびにチャレンジ後の仔の生存期間を測定する。
【0035】
具体的には、本明細書中で言及される能動母子免疫アッセイは、4匹のCD−1雌マウス(Charles River Laboratories,Calco Italy)の群を使用した。これらのマウスを、仔を産む前の1日目、21日目および35日目に、フロイントのアジュバント中にある選択されたタンパク質を用いて腹腔内免疫した。6〜8週齢のマウスに、単一の抗原を用いて免疫した場合には一投与量あたり20μgのタンパク質を与え、抗原の組み合わせを用いて免疫した場合には一投与量あたり30〜45μgのタンパク質(各々15μgの抗原)を与えた。その母親の免疫応答を、0日目および49日目に得た血清サンプルを使用することによってモニターした。その雌マウスは、最後の免疫処置の2〜7日間後に(およそt=36〜37にて)仔を産み、代表的に21日間の妊娠期間を有した。誕生の48時間以内に、免疫処置していない仔の70〜90%を殺すのに十分である量(PBSコントロール群から集めた実験に基づいた経験的データによって決定した場合)とほとんど等しい用量のGBSを用いてその仔を腹腔内チャレンジした。そのGBSチャレンジの用量を、好ましくは、50μlのTHB培地中で投与する。好ましくは、その仔のチャレンジを、最初の免疫処置の56〜61日後に行う。そのチャレンジ接種物を、使用する前にTHBで適切な濃度に希釈した凍結培養物から始めて調製した。仔の生存を、チャレンジ後の5日間モニターした。
【0036】
本明細書中で使用される場合、受動母子免疫アッセイとは、妊娠中のマウスが、出産のおよそ2日間前に、ウサギ免疫血清(またはコントロール血清)を注射することによって受動免疫される、インビボでの防御アッセイをいう。その仔を、次いで、致死量のGBSでチャレンジする。
【0037】
具体的には、本明細書中で言及される受動母子免疫アッセイには、出産の2日間前に、1mlのウサギ免疫血清またはコントロール血清を腹腔内注射することによって受動免疫された、妊娠中のCD1マウスの群を使用した。新生仔マウス(誕生後24時間〜48時間)に、70%〜90%の致死量のGBS血清型III COH1を用いて腹腔内チャレンジする。凍結した対数中期の培養物を希釈することによって得たチャレンジ用量を、50μlのTHB培地中で投与した。
【0038】
両方のアッセイについて、生存しているGBS感染の仔の数を、12時間ごとに4日間評価した。統計的有意性をフィッシャーの正確確率検定によって評価した。
【0039】
配列番号7、配列番号8、PBSおよびGBSの細胞全体を用いる免疫処置についての各アッセイの結果を、以下の表1および表2に示す。
【0040】
【表9】


表1および表2に示すように、上記の配列番号7のGBS80フラグメントを用いる免疫処置は、上記のチャレンジした仔について、比較対象である配列番号8のGBS80フラグメントより実質的に改良された生存率を提供した。これらの結果は、上記の配列番号7のGBS80フラグメントが、GBS80の重要な免疫原性エピトープを含み得ることを示す。
【0041】
(GBS80を含む組み合わせ)
本発明は、2種以上のGBS抗原の組み合わせを含み、ここで、その組み合わせは、GBS80またはそのフラグメントを含む。本出願人は、GBS80が、他のGBS抗原と組み合わせた免疫処置のために特に適切であり、これらの抗原の組み合わせが、種々のGBS株の間で、より広い適用範囲を提供することを発見した。
【0042】
好ましくは、そのGBS抗原の組み合わせは、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種のGBS抗原からなる。さらにより好ましくは、そのGBS抗原の組み合わせは、3種、4種または5種のGBS抗原からなる。
【0043】
好ましくは、本発明の組み合わせは、単独で投与される場合の上記の抗原の免疫原性よりも改良された免疫原性を提供する。改良された免疫原性は、例えば、能動母子免疫アッセイによって測定され得る。上記に議論したように、このアッセイは、上記の免疫処置スケジュールの間の雌マウスの血清力価、ならびにチャレンジ後の仔の生存期間を測定するために、使用され得る。好ましくは、本発明の免疫原性組成物を用いる免疫処置は、単独で投与される場合の上記の組成物の単一の抗原を用いる母子免疫からの生存パーセントと比較すると、上記のチャレンジした仔の生存パーセントにおいて少なくとも2パーセントポイント(好ましくは、少なくとも3パーセントポイント、4パーセントポイントまたは5パーセントポイント)の増加を生じる。好ましくは、その増加は、少なくとも6パーセントポイント、7パーセントポイント、8パーセントポイント、9パーセントポイント、10パーセントポイント、11パーセントポイント、12パーセントポイント、13パーセントポイント、14パーセントポイント、15パーセントポイント、16パーセントポイント、17パーセントポイント、18パーセントポイント、19パーセントポイント、20パーセントポイント、21パーセントポイント、22パーセントポイント、23パーセントポイント、24パーセントポイント、25パーセントポイント、26パーセントポイント、27パーセントポイント、28パーセントポイント、29パーセントポイントまたは30パーセントポイントである。好ましくは、GBS80を含む本発明のGBSの組み合わせは、GBS80でない抗原単独での免疫処置からの生存パーセントと比較すると、生存パーセントの増加を示す。
【0044】
本発明の1つの実施形態に従って、上記の抗原の一部もしくはいくつかの部分を含む抗原または融合タンパク質の組み合わせは、1種〜10種の抗原、好ましくは1種から10種以下の抗原と組み合わせた、GBS80またはその一部を含む。そのような他の抗原は、非限定的な例として、GBS67、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691が挙げられる。さらに他の抗原は、2003年4月28日に出願された米国出願番号10/415,182(本明細書中でその全体が援用される)において同定されている。
【0045】
例えば、組み合わせとしては、GBS80、GBS104、GBS322およびGBS276;GBS80、GBS338、GBS330;GBS80、GBS330、GBS104;GBS80、GBS104、GBS404;GBS80、GBS338、GBS104;GBS80、GBS338、GBS404;GBS338、GBS330、GBS104;GBS338、GBS104、GBS404;GBS80、GBS330、GBS404;GBS80、GBS322、GBS104;GBS80、GBS322、GBS276;GBS80、GBS322、GBS91;GBS80、GBS104、GBS276;GBS80、GSB104、GBS91;GBS80、GBS276、GBS91;GBS80、GBS322、GBS104;GBS80、GBS322、GBS276;GBS80、GBS322、GBS91;GBS80、GBS104、GBS276;GBS80、GBS104、GBS91;GBS80、GBS276、GBS91;GBS80、GBS690、GBS691;GBS80、GBS690、GBS338;GBS80、GBS690、GBS305;GBS80、GBS691、GBS305;GBS80、GBS338、GBS305;GBS80、GBS338、GBS361;GBS80、GBS305、GBS361;GBS80、GBS184、GBS691;GBS80、GBS691、GBS338;GBS80、GBS104、GBS276、GBS322;GBS80、GBS104、GBS67およびGBS322が挙げられ得る。改良された免疫原性を示す本発明の組み合わせの例を、以下に示す。これらの実験において言及される上記のGBS抗原のより詳細な説明を、以下の実施例に示す。
【実施例】
【0046】
(実施例1:GBS80単独に対するGBS80組み合わせの能動母子免疫アッセイ)
この実施例において、上記の能動母子免疫アッセイを、t=56日にて、GBSのIII型血清型(COH1単離体)でチャレンジした仔の生存パーセントを測定するために使用した。その母マウスを、以下の表3に示すように、GBS80単独、GBS抗原の組み合わせ(GBS80を含むGBS抗原、およびGBS80を含まないGBS抗原)、プラシーボ(PBS)または不活性化したGBS単離体の細胞全体を用いて、上記に議論した能動母子免疫アッセイ計画に従って、免疫した。これらの実験において、免疫処置していない仔の70〜90%を殺すのに十分なIII型GBSであるCOH1単離体についてのチャレンジ用量は、10×LD50%とほぼ等しい(ここで、LD50%は、統計的に導かれた半数致死量である)。
【0047】
【表10】


表3に示すように、GBS80を含むGBS抗原の組み合わせは、上記の抗原単独の使用よりも改良された免疫原性を示した。例えば、GBS80単独での免疫処置によって、上記のチャレンジした仔の間で70%の生存率を得た。GBS338、GBS330、GBS104、およびGBS404と、GBS80との組み合わせを用いる免疫処置によって、上記のチャレンジした仔の間で95〜100%の生存率を得た。これは、25〜30パーセントポイントの増加である。
【0048】
比較すると、GBS80を含まなかったこれらの抗原の組み合わせは、GBS80単独の生存%を達成できなかった。例えば、GBS338、GBS104およびGBS404を用いる免疫処置によって、65%の生存率を得た。これらの抗原のいずれか1つをGBS80で置換することによって、97%と100%との間にまで生存率パーセントが、劇的に増加した。これは、32〜35パーセントポイントの増加である。(GBS80、GBS338、GBS101の生存率パーセント(97%);GBS80、GBS338、GBS404の生存率パーセント(100%)およびGBS80、GBS104、GBS404の生存率パーセント(100%)を参照のこと。)同様に、GBS338、GBS330およびGBS104を用いる免疫処置によって、73%の生存率を得た。これらの抗原のいずれか1つをGBS80で置換することよって、95%と97%との間にまで生存率パーセントが増加した。
【0049】
これらの所見は、COH1単離体からの防御が、他のGBS抗原と組み合わせたGBS80の使用によって増加することを示す。
【0050】
(実施例2:GBS80、GBS322、GBS276、GBS104単独対組み合わせの能動母子免疫アッセイ)
この実施例において、上記の能動母子免疫アッセイを、t=56日にて、III型血清型のGBS(COH1単離体)でチャレンジした仔の生存パーセントを測定するために使用した。その母マウスを、以下の表4に示すように、単一のGBS抗原、GBS80とGBS抗原との組み合わせ、およびプラシーボ(PBS)を用いて、上記に議論した能動母子免疫アッセイ計画に従って、免疫処置した。
【0051】
【表11】


表4に示すように、GBS80と上記の抗原の組み合わせによって、その抗原単独の使用よりも改良された免疫原性を得た。例えば、GBS322単独での免疫処置によって、上記のチャレンジした仔の間で17%の生存率を得た。GBS322と、GBS80および別のGBS抗原との組み合わせを用いる免疫処置によって、92〜100%の生存率を得た。別の例において、GBS104単独での免疫処置によって、74%の生存率を得た。GBS104と、GBS80および別のGBS抗原との組み合わせを用いる免疫処置によって、90〜100%の生存率を得た。別の例として、GBS276単独での免疫処置によって、35%の生存率を得た。GBS276と、GBS80および別のGBS抗原との組み合わせを用いる免疫処置によって、82〜97%の生存率を得た。
【0052】
上記の組み合わせの免疫原性が示されたので、上記のマウスモデルにおける免疫応答期間をさらに分析した。上記の能動母子免疫アッセイにおいて使用した母マウスを再び、交配させて、t=91日にて、劇的に高い用量(300×LD50%)で、異なるGBS血清型(V型、CJB111単離体)を生じた仔を用いてチャレンジした。この2度目のより強いチャレンジのパラメーターは、上記の標準的な能動母子免疫アッセイのパラメーターの外側にあった。このことは、上記のマウスモデルにおける元の母親の免疫処置から生じる免疫記憶の限界を調べるようになっていた。これらの条件下でのこのモデルにおける免疫記憶の徴候は、有意であると考えられる。表5に示すように、これらの極端な条件下でさえ、特にGBS80を、GBS322とGBS104とを含む組み合わせについて、概ね、生存率の増加が達成された。GBS80と、GBS233とGBS104との組み合わせについての生存率パーセントが、上記の1度目および2度目のチャレンジの両方について100%であることに気付いたのは、驚くべきことであった。
【0053】
【表12】


(実施例3:GBS80と、GBS690、GBS691、GBS338、GBS305、GBS361およびGBS184との組み合わせの能動母子免疫アッセイ)
この実施例において、GBS抗原のさらなる組み合わせを、再びGBSIII型 COH1単離体のチャレンジを用いて上記の能動母子免疫アッセイにおいて使用した。上記の母マウスを、以下の表6に示すGBS抗原の組み合わせを用いて、上記の能動母子免疫アッセイ計画に従って免疫した。
【0054】
【表13】


このモデルにおける母マウスをまた、再び交配させて、t=84日にて、劇的に高い用量(100×LD50%)で、同じGBS単離体を生じた仔を用いてチャレンジした。上記の実施例のように、この2度目のより強いチャレンジのパラメーターは、上記の標準的な能動母子免疫アッセイのパラメーターの外側にあった。これは、上記のマウスモデルにおける元の母親の免疫から生じる免疫記憶の限界を調べるようになっていた。表7に示すように、これらの極端な条件下でさえ、生存率のいくつかは、70%のままであるか、または70%以上のままであった。驚いたことに、GBS80と、GBS184とGBS691との組み合わせについての生存率パーセントは、実際に増加した。
【0055】
【表14】


(実施例4:GBS80と、GBS690、GBS691、GBS338、GBS305およびGBS361との組み合わせを使用する能動母子免疫アッセイ)
この実施例において、GBS抗原のさらなる組み合わせを、今回は、GBSV型のCJB111単離体のチャレンジを用いて、上記の能動母子免疫アッセイにおいて使用した。これらの実験において、免疫処置していない仔の70〜90%を殺すのに十分なGBS V型のCJB111単離体についてのチャレンジ用量は、60×LD50%とほぼ等しい(ここで、LD50%は、統計的に導かれた半数致死量である)。上記の母マウスを、以下の表8に示すGBS抗原の組み合わせを用いて、上記の能動母子免疫アッセイ計画に従って免疫した。表8に示すように、この特定のV型単離体を用いるこの特定のチャレンジ研究において、上記の組み合わせすべてについての生存率は、少なくとも70%に達した。
【0056】
【表15】


このモデルにおける母マウスをまた、2度目に交配させ、生じた仔を、t=84日にて、劇的に高い用量(600×LD50%)で、上記の同じGBS単離体を用いてチャレンジした。上記の実施例のように、この2度目のより強いチャレンジのパラメーターは、上記の標準的な能動母子免疫アッセイのものの外側にあった。これは、上記のマウスモデルにおける元の母親の免疫処置から生じる免疫記憶の限界を調べるようになっていた。表9に示すように、これらの極端な条件下でさえ、生存率のいくつかは、70%より高いままであった。驚いたことに、上記抗原群のうちの2つ(GBS80、GBS690およびGBS338)ならびに(GBS80、GBS691およびGBS338)についての生存
パーセントは、実際に増加した。
【0057】
【表16】


(実施例5:GBS80と、GBS104、GBS276およびGBS322との組み合わせを使用する能動母子免疫アッセイ)
この実施例において、GBS抗原のさらなる組み合わせを、今回は異なるGBS菌株の単離体のチャレンジを用いて、上記の能動母子免疫アッセイにおいて使用した。これらの実験において、異なるGBS菌株についてのチャレンジ用量は、免疫処置していない仔の60〜90%を殺すのに十分であり、10×LD50%に等しい(ここで、LD50%は、統計的に導かれた半数致死量である)。上記の母マウスを、以下の表10に示すGBS菌株における、80抗原とGBS104抗原、GBS276抗原およびGBS322抗原とGBSの組み合わせを用いて、上記の能動母子免疫アッセイ計画に従って免疫した。生存%を、2個の異なるアジュバント(ミョウバンおよびフロイント)とともに上記のGBSの組み合わせを用いて測定した。表10および表11に示すように、この特定のチャレンジ研究において、上記のGBS菌株の全てにおける組み合わせについての生存率が、96%にまで達した。
【0058】
【表17】


従って、その結果、本発明は、2種以上のGBS抗原の組み合わせを含む組成物を包含し、ここで、その組み合わせは、GBS80またはそのフラグメントあるいはそれらに対する配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0059】
1つの実施形態において、その組み合わせは、GBS80を含む、2種〜13種のGBS抗原からなり得る。例として、その組み合わせは、GBS80と、GBS80、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691からなる群から選択される他のGBS抗原とを含み得る。好ましくは、その組み合わせは、GBS80をGBS104およびGBS322の1種以上と組み合わせて含む。例えば、その組み合わせは、GBS80、GBS104、GBS322およびGBS67を含み得る。
【0060】
完全長の抗原の代わりに、その組み合わせは、選択されたGBS抗原の免疫原性フラグメント、および/または選択された抗原に対する配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。
【0061】
好ましくは、GBS抗原の組み合わせは、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種のGBS抗原からなる。さらにより好ましくは、GBS抗原の組み合わせは、3種、4種または5種のGBS抗原からなる。
【0062】
GBS80と組み合わせて使用するためのGBS抗原の例の詳細を以下に示す。
【0063】
(GBS91)
GBS91とは、GBS C3結合ポリペプチドをいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS91のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、配列番号8937および配列番号8938として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号10および配列番号11
【0064】
【表18】


として上に示す。
【0065】
GBS91は、上記の配列番号11の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS91のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS91フラグメントの例を、配列番号12
【0066】
【表19】


として上に示す。
【0067】
GBS91は、上記の配列番号11の終わり近くにおける下線を引いた領域内に位置し得るC末端膜貫通領域を含有する。1つの実施形態において、その膜貫通領域および細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS91フラグメントの例を、配列番号13
【0068】
【表20】


として上に示す。
【0069】
GBS91は、細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフ:配列番号14 LTKTG(上記の配列番号11にイタリック体で示される)を含有する。1つの実施形態において、上記の膜貫通領域および上記の細胞壁アンカーモチーフの両方が、GBS91から除去される。そのようなGBS91フラグメントの例を、配列番号15
【0070】
【表21】


として上に示す。
【0071】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸ならびに上記の膜貫通領域および細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、上記のGBS91の配列から除去される。そのようなGBS91フラグメントの例を、配列番号16
【0072】
【表22】


として上に示す。
【0073】
別の実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域、上記の膜貫通領域および細胞質領域、ならびに上記の細胞壁アンカーモチーフが、上記のGBS91の配列から全て除去される。そのようなGBS91フラグメントの例を、配列番号17
【0074】
【表23】


として上に示す。
【0075】
GBS91に関するさらなる情報は、WO01/25440(C3結合ポリペプチド)、WO01/32882(ID−65)、WO02/31156(BVH)およびReinscheidら、Microbiology(2002)148:3245−3254(bsp遺伝子)において見出され得、それらの各々は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0076】
(GBS104)
GBS104とは、推定細胞壁表面アンカーファミリータンパク質をいう。それは、emaAタンパク質と呼ばれている。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS104のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8777および配列番号8778として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号18および19
【0077】
【表24】


として上に示す。
【0078】
GBS104は、上記の配列番号19の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS104のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミ
ノ酸配列が、除去される。そのようなGBS104フラグメントの例を、配列番号20
【0079】
【表25】


として上に示す。
【0080】
GBS104は、上記の配列番号19の終わり近くにおける下線を引いた領域によって示されるC末端膜貫通領域および/または細胞質領域を含有する。1つの実施形態において、その膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS104フラグメントの例を、配列番号21
【0081】
【表26】


として上に示す。
【0082】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸ならびに上記の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS104フラグメントの例を、配列番号22
【0083】
【表27】


として上に示す。
【0084】
他の実施形態において、GBS104のさらなるフラグメントは、GBS104のアミノ酸28〜858の830アミノ酸フラグメント、GBS104のアミノ酸28〜387の359アミノ酸フラグメント、GBS104のアミノ酸28〜609の581アミノ酸フラグメント、またはGBS104のアミノ酸28〜768の740アミノ酸フラグメントを含むことを提供される。
【0085】
(GBS184)
GBS184とは、推定リポタンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS184のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号1977および配列番号1978として参考文献2に示されている。これらの配列をまた、配列番号23および24
【0086】
【表28】


として上に示す。
【0087】
GBS184は、上記の配列番号24の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、上記のリーダー配列またはシグナル配列からの1個以上のアミノ酸が、GBS184から除去される。そのようなGBS184フラグメントの例を、配列番号25
【0088】
【表29】


として上に示す。
【0089】
(GBS276)
GBS276とは、C5aペプチダーゼをいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS276のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8941および配列番号8942として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号26および27
【0090】
【表30】

【0091】
【表31】


として上に示す。
【0092】
GBS276は、上記の配列番号27の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS276のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS276フラグメントの例を、配列番号28
【0093】
【表32】


として上に示す。
【0094】
GBS276は、上記の配列番号27の終わり近くにおける下線を引いた配列によって示されるC末端膜貫通領域および/またはC末端細胞質領域を含有する。1つの実施形態において、GBS276の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS276フラグメントの例を、配列番号29
【0095】
【表33】


として上に示す。
【0096】
1つの実施形態において、GBS276のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸、およびその膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS276フラグメントの例を、配列番号30
【0097】
【表34】


として上に示す。
【0098】
GBS276のさらなる詳細は、以下の参考文献:Qi Chenら、「Immunization with C5a Peptidase or Peptidase−Type III Polysaccharide conjugate Vaccines Enhances Clearance of Group B Streptococci from Lungs of Infected Mice」,Infection and Immunity(2002)70(11):6409〜6415;Beckmannら、「Identification of Novel Adhesions from Group B Streptococci by Use of Phage Display Reveals that C5a Peptidase
Mediates Fibronectin Binding」 Infection
and Immunity(2002)70(6):2869〜2876;Chengら、「The Group B Streptococcal C5a Peptida
se Is Both a Specific Protease and an Invasin」 Infection and Immunity(2002)70(5)2408〜2413;およびChengら、「Antibody against Surface−Bound C5a Peptidase Is Opsonic and
Initiates Macrophage Killing of Group B
Streptococci」 Infection and Immunity(2001)69(4):2302〜2308に見出され得る。
【0099】
(GBS305)
GBS305とは、UDP−N−アセチルムラモイルアラニン−D−グルタミン酸リガーゼをいい、これはまた、Mur Dとも呼ばれる。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS305のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、配列番号207および配列番号208として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号31および配列番号32
【0100】
【表35】


として上に示す。
【0101】
GBS305は、上記の配列番号32の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、そのリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、GBS305から除去される。そのようなGBS305フラグメントの例を、配列番号33
【0102】
【表36】


として上に示す。
【0103】
GBS305は、上記の配列番号32の終わり近くにおける下線を引いた配列によって示されるC末端膜貫通領域または細胞質領域を含有する。1つの実施形態において、その膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、GBS305から除去される。そのようなGBS305フラグメントの例を、配列番号34
【0104】
【表37】


として上に示す。
【0105】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸、および上記の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、GBS305から除去される。そのようなGBS305フラグメントの例を、配列番号35
【0106】
【表38】


として上に示す。
【0107】
(GBS322)
GBS322とは、表面免疫原性タンパク質をいい、また、「sip」とも呼ばれる。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS322のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8539および配列番号8540として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号36および配列番号37
【0108】
【表39】


として上に示す。
【0109】
GBS322は、配列番号37の初め近くにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはシグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS322のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS322フラグメントの例を、配列番号38
【0110】
【表40】


として上に示す。
【0111】
(GBS330)
GBS330とは、ピルビン酸キナーゼをいい、また、「pyk」とも呼ばれる。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS330のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8791および配列番号8792として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号39および配列番号40
【0112】
【表41】

【0113】
【表42】


として上に示す。
【0114】
(GBS338)
GBS338とは、Sat Dタンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS338のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8637および配列番号8638として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号41および42
【0115】
【表43】


として上に示す。
【0116】
GSB338は、上記の配列番号42の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有し得る。1つの実施形態において、そのリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、GBS338から除去される。そのようなGBS338フラグメントの例を、配列番号43
【0117】
【表44】


として上に示す。
【0118】
(GBS361)
GBS361とは、cylIタンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/R由来の配列決定されたGBS361のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8769および配列番号8770として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号44および45
【0119】
【表45】


として上に示す。
【0120】
GBS361は、上記の配列番号45の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有し得る。1つの実施形態において、そのリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、GBS361から除去される。そのようなGBS361フラグメントの例を、配列番号46
【0121】
【表46】


として上に示す。
【0122】
(GBS404)
血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS404のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8799および配列番号8800として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号47および48
【0123】
【表47】


として上に示す。
【0124】
(GBS690)
血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS690のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号9965および配列番号9966として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号49および50
【0125】
【表48】


として上に示す。
【0126】
GBS690は、上記の配列番号50の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS690のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS690フラグメントの例を、配列番号51
【0127】
【表49】


として上に示す。
【0128】
(GBS691)
GBS691とは、鉄化合物ABCトランスポーター、または基質結合タンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS691のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号3691および配列番号3692として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号52および53
【0129】
【表50】


として上に示す。
【0130】
GBS691は、上記の配列番号53の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、1個以上のアミノ酸が、GBS691のリーダー配列領域またはシグナル配列領域から除去される。そのようなGBS691フラグメントの例を、配列番号54
【0131】
【表51】


として上に示す。
【0132】
GBS691は、上記の配列番号53の終わりにおける下線を引いた配列によって示されるC末端膜貫通領域または細胞質領域を含有する。1つの実施形態において、1個以上のアミノ酸が、GBS691の膜貫通領域または細胞質領域から除去される。そのようなGBS691フラグメントの例を、配列番号55
【0133】
【表52】


として上に示す。
【0134】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸、および上記の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が
、GBS691から除去される。そのようなGBS691フラグメントの1つの例を、配列番号56
【0135】
【表53】


として上に示す。
【0136】
GBS80と組み合わせて使用され得るGBS抗原のさらなる例を、以下に示す。
【0137】
(GBS4)
GBS4とは、別の推定細胞壁表面アンカーファミリータンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS4のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号1および配列番号2として参考文献2に示されている。これらの配列をまた、配列番号57および58
【0138】
【表54】


として上に示す。
【0139】
GBS4は、上記の配列番号58の初めにおける下線を引いたN末端リーダー配列またはN末端シグナル配列を含有する。1つの実施形態において、GBS4のN末端リーダードメインまたはシグナルペプチドドメインからの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS4フラグメントの例を、配列番号59
【0140】
【表55】


として上に示す。
【0141】
GBS4のさらなるN末端部分が、組換え発現を容易にするために除去され得る。そのようなGBS4フラグメントの例を、配列番号60
【0142】
【表56】


として上に示す。
【0143】
GBS4は、上記の配列番号58の終わりにおける下線を引いたC末端膜貫通領域を含有する。1つの実施形態において、そのC末端膜貫通領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS4フラグメントの例を、配列番号61
【0144】
【表57】


として上に示す。
【0145】
1つの実施形態において、上記のN末端リーダードメインまたはN末端シグナルドメインおよび上記のC末端膜貫通領域ドメインの両方が、上記のGBS4の配列から除去される。そのようなGBS4フラグメントの例を、配列番号62
【0146】
【表58】


として上に示す。
【0147】
さらに別の実施形態において、上記のN末端リーダードメインまたはN末端シグナルドメイン、さらに上記のN末端領域およびC末端膜貫通ドメインが、GBS4の配列から除去される。そのようなGBS4フラグメントの例を、配列番号63
【0148】
【表59】


として上に示す。
【0149】
(GBS22)
GBS22とは、推定接着リポタンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS22のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8583および配列番号8584として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号64および65
【0150】
【表60】


として上に示す。
【0151】
(GBS85)
GBS85とは、推定細胞分裂タンパク質(DivIB)をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS85のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号215および配列番号216として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号66および67
【0152】
【表61】


として上に示す。
【0153】
(GBS147)
GBS147とは、推定プロテアーゼをいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS147のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、配列番号8525および配列番号8526として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号68および69
【0154】
【表62】

【0155】
【表63】


として上に示す。
【0156】
GBS147は、上記の配列番号69の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS147のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS147フラグメントの例を、配列番号70
【0157】
【表64】


として上に示す。
【0158】
GBS147はまた、上記の配列番号69の終わり近くにおける下線を引いた配列内に位置し得るC末端膜貫通領域および/または細胞質領域を含有する。1つの実施形態において、その膜貫通領域および/または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS147フラグメントの例を、配列番号71
【0159】
【表65】


として上に示す。
【0160】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸、および上記の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、上記のGBS147の配列から除去される。そのようなGBS147フラグメントの例を、配列番号72
【0161】
【表66】


として上に示す。
【0162】
(GBS173)
GBS173とは、アミダーゼファミリータンパク質をいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS173のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、配列番号8787および配列番号8788として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号73および74
【0163】
【表67】

【0164】
【表68】


として上に示す。
【0165】
GBS173は、上記の配列番号74の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有する。1つの実施形態において、GBS173のリーダー配列またはシグナル配列からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS173フラグメントの例を、配列番号75
【0166】
【表69】


として上に示す。
【0167】
GBS173はまた、上記の配列番号74の終わり近くにおける下線を引いた配列内に位置し得るC末端膜貫通領域および/または細胞質領域を含有し得る。1つの実施形態において、GBS173の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS173フラグメントの例を、配列番号76
【0168】
【表70】


として上に示す。
【0169】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸、および膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS173フラグメントの例を、配列番号77
【0170】
【表71】


として上に示す。
【0171】
(GBS313)
血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS313のヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、配列番号4089および配列番号4090として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号78および79
【0172】
【表72】


として上に示す。
【0173】
(GBS328)
GBS328は、5’−ヌクレオチダーゼファミリーに属する。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS328のヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、配列番号6015および配列番号6016として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号80および81
【0174】
【表73】


として上に示す。
【0175】
GBS328は、上記の配列番号81の初めにおける下線を引いた配列によって示されるN末端リーダー配列領域またはN末端シグナル配列領域を含有し得る。1つの実施形態において、GBS328のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS328フラグメントの例を、配列番号82
【0176】
【表74】


として上に示す。
【0177】
GBS328はまた、膜貫通領域および/または細胞質領域を含有し得る。1つの実施形態において、GBS328の膜貫通領域および/または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS328フラグメントの例を、配列番号83
【0178】
【表75】


として上に示す。
【0179】
1つの実施形態において、上記のリーダー配列領域またはシグナル配列領域からの1個以上のアミノ酸、ならびにGBS328の膜貫通領域または細胞質領域からの1個以上のアミノ酸が、除去される。そのようなGBS328フラグメントの例を、配列番号84
【0180】
【表76】


として上に示す。
【0181】
(GBS656)
GBS656とは、推定DNAエントリー(entry)ヌクレアーゼをいう。血清型Vの単離菌株2603V/Rから配列決定されたGBS656のヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、配列番号9323および配列番号9324として参考文献2に示されている。これらの配列を、配列番号85および85
【0182】
【表77】


として上に示す。
【0183】
(GBS67)
以下に、好ましいGBS67フラグメントの例を提示する。血清型Vの単離菌株2603由来のGBS67の配列のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を、配列番号87および88
【0184】
【表78】

【0185】
【表79】


として上に示す。
【0186】
GBS67は、上記の配列番号88のC末端近くにおける下線を引いた領域によって示
されるC末端膜貫通領域を含有する。1つの実施形態において、膜貫通領域からの1個以上のアミノ酸が、除去されるか、および/または、そのアミノ酸は、膜貫通領域の前で切断される。そのようなGBS67フラグメントの例を、配列番号89として以下に示す。
【0187】
【表80】


GBS67は、細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフ(LPXTGモチーフ):配列番号90 IPMTGを含む(上記の配列番号88にイタリック体で示した)。いくつかの組換え宿主細胞系において、宿主細胞由来の組換えGBS67タンパク質の分泌を促進するためにこのモチーフを除去することが好まれ得る。従って、本発明の使用のためのGBS67の1つの好ましいフラグメントにおいて、上記の膜貫通および細胞壁アンカーモチーフが、GBS67から除去される。そのようなGBS67フラグメントの例を、配列番号91
【0188】
【表81】


として上に示す。
【0189】
本発明の組成物はまた、GBS80と組み合わせる1種以上の公知のGBS抗原を含む、組み合わせを含み得る。
【0190】
本発明の組成物において存在するGBS抗原の数には上限がある。好ましくは、本発明の組成物中のGBS抗原の数は、20種未満、19種未満、18種未満、17種未満、16種未満、15種未満、14種未満、13種未満、12種未満、11種未満、10種未満、9種未満、8種未満、7種未満、6種未満、5種未満、4種未満または3種未満である。さらにより好ましくは、本発明の組成物におけるGBS抗原の数は、6種未満、5種未満または4種未満である。さらにより好ましくは、本発明の組成物におけるGBS抗原の
数は、3種である。
【0191】
本発明に使用されるGBS抗原は、好ましくは、生物体全体から単離(すなわち、分離(separate)および分離(discrete))され、その生物体全体は、天然に見出される分子を有するか、あるいは上記のポリヌクレオチドまたはポリペプチドが天然に見出されない場合、そのポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、上記の意図される目的のために使用され得るように他の生物学的高分子を実質的には含まない。
【0192】
(融合タンパク質)
本発明に使用されるGBS抗原は、個々の別々のポリペプチドとして組成物中に存在し得るが、少なくとも2種(すなわち、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種または18種)の抗原が、単一のポリペプチド鎖(「ハイブリッド」または「融合」ポリペプチド)として発現されることが好ましい。そのような融合ポリペプチドは、2つの主要な利点:第1は、単独で不安定または不完全に発現され得るポリペプチドが、その問題を克服する適切な融合相手を加えることによって補助され得る点;第2は、1つのみの発現および必要な精製が、両方の抗原性に有用である2種のポリペプチドを生成するために使用されるので、商業的な製造が、単純化される点を提供する。
【0193】
融合ポリペプチドは、GBS80、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691からなる群由来の2種以上のポリペプチド配列を含み得る。好ましくは、そのポリペプチド配列は、GBS80、GBS104およびGBS322からなる群より選択される。最も好ましくは、その融合ペプチドは、GBS80由来のポリペプチド配列を含む。従って、本発明は、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含む融合ペプチドを含み、ここで、その第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列は、上記の抗原の群のGBS抗原またはそのフラグメントから選択される。好ましくは、融合ポリペプチドにおける第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列は、異なるエピトープを含む。
【0194】
(実施例7:GBS104およびGBS322と、GBS80由来の融合タンパク質についてのフラグメントの例実施)
融合タンパク質についてのGBSフラグメントの実施例を、GBS322、GBS104およびGBS80から提供する。融合タンパク質におけるGBS322のフラグメントの1つの例は、上記のシグナルペプチドが除去された407個のアミノ酸フラグメントである。GBS104のフラグメントもまた、融合タンパク質に組み込まれ得る。GBS104フラグメントの例としては、830個のアミノ酸フラグメント、N末端近くから由来の359個のアミノ酸フラグメント、N末端近く由来の581個のアミノ酸フラグメント、およびN末端近く由来の740個のアミノ酸フラグメントが挙げられる。GBS80フラグメントの例としては、446個のアミノ酸フラグメントおよび235個のアミノ酸フラグメントが挙げられる。以下の表13に、全長のGBSタンパク質に相当する範囲内の融合タンパク質およびそれらの位置についてのフラグメントの例をまとめる。
【0195】
【表82】


2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種のGBS抗原由来のアミノ酸配列からなるハイブリッド(または融合物)が、好ましい。特に、2種、3種、4種または5種のGBS抗原に由来するアミノ酸配列からなるハイブリッドが、好ましい。
【0196】
異なるハイブリッドポリペプチドは、単一の処方物において一緒に混合され得る。そのような組み合わせ内で、GBS抗原は、1種より多いハイブリッドポリペプチドにおいて、および/またはハイブリッドでないポリペプチドとして存在し得る。しかし、抗原は、ハイブリッドまたはハイブリッドでない、のいずれかとして存在することが好ましく、両方として存在することは好ましくない。
【0197】
ハイブリッドポリペプチドは、式NH−A−{−X−L−}−B−COOHによって表され得、ここで:Xは、上記に示される抗原の群に由来するGBS抗原またはそのフラグメントのアミノ酸配列であり;Lは、任意のリンカーアミノ酸配列であり;Aは、任意のN末端アミノ酸配列であり;Bは、任意のC末端アミノ酸配列であり;そしてnは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15である。
【0198】
−X−の部分が、その野生型の形態においてリーダーペプチド配列を有する場合、それは、ハイブリッドタンパク質に含まれ得るか、または除去され得る。いくつかの実施形態において、上記リーダーペプチドは、上記ハイブリッドタンパク質のN末端に位置する−X−部分のものを除いて除去される(すなわち、Xのリーダーペプチドは、保持されるが、X...Xのリーダーペプチドは除去される)。これは、全てのリーダーペプチドを削除することおよび部分−A−としてXのリーダーペプチドを使用することに等しい。
【0199】
{−X−L−}の各nの場合について、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在し得るかまたは存在し得ない。例えば、n=2の場合、上記のハイブリッドは、NH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOH、などであり得る。リンカーアミノ酸配列−L−は、代表的に短い(例えば、20個以下のアミノ酸、すなわち、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)。実施例は、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリ−グリシンリンカー(すなわち、Glyを含み、ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)、およびヒスチヂンタグ(すなわち、His、ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)を含む。他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者に明らかである。有用なリンカーは、GSGGGGであり、BamHI制限酵素認識部位から形成されるGly−Serジペプチドを有し、それによって、クローニングおよび操作を助け、そしてその(Gly)テトラペプチドは、代表的なポリ−グリシンリンカーである。
【0200】
−A−は、任意のN末端アミノ酸配列である。これは、代表的に短い(例えば、40個またはそれ以下のアミノ酸、すなわち、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)。例としては、タンパク質を輸送するように方向づけるリーダー配列、またはクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、His、ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)が挙げられる。他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者に明白である。Xが、それ自体のN末端メチオニンを欠く場合、−A−は、好ましくは、N末端メチオニンを提供するオリゴペプチド(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個のアミノ酸を有する)である。
【0201】
−B−は、任意のC末端アミノ酸配列である。これは、代表的に短い(例えば、40個またはそれ以下のアミノ酸、すなわち、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)。例としては、タンパク質を輸送するように方向づける配列、クローニングまたは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、Hisを含む、ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上である)、またはタンパク質の安定性を増強させる配列が挙げられる。他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者に明白である。最も好ましくは、nは、2または3である。
【0202】
(実施例8:GBS80、GBS67、およびGBS322のフラグメントの融合タンパク質を使用する能動母子免疫アッセイ)
この実施例において、GBS抗原の融合タンパク質を、異なるGBS株の単離体チャレンジを用いて能動母子免疫アッセイにおいて使用した。これらの実験において、その異なるGBS株についての免疫チャレンジ用量は、約70〜90%の免疫処置していない仔を殺すのに十分であり、10×LD50%と等しい(ここで、LD50%は、統計的に導かれた半数致死量である)。母マウスを、以下の表14に示すGBS株におけるGBS322抗原とGBS80抗原との融合タンパク質を用いる上記の能動母子免疫アッセイ計画に従って、免疫処置した。生存%を、GBS融合タンパク質を用いて測定した。表14に示すように、この特定のチャレンジ研究において、上記のGBS株の全てにおける融合タンパク質について生存率は、79%までに達した。
【0203】
【表83】


(核酸)
本発明はまた、本発明のGBS抗原および/またはハイブリッド融合ポリペプチドをコードする核酸を提供する。さらに、本発明は、好ましくは、「高ストリンジェンシー」の条件下(例えば、0.1×SSC、0.5%SDS溶液中で65℃)で、これらの核酸にハイブリダイズし得る核酸を提供する。
【0204】
本発明のポリペプチドは、種々の手段によって(例えば、組換え発現、細胞培養液からの精製、化学合成など)種々の形態(例えば、ネイティブ形態、融合物、非グリコシル化形態、脂質化形態など)に調製され得る。それらは、好ましくは、実質的に純粋な形態(すなわち、他のGASタンパク質または宿主細胞タンパク質を実質的には含まない)で調製される。
【0205】
本発明に従う核酸は、多くの手段(例えば、化学合成によって、ゲノムライブラリーからまたはcDNAライブラリーから、その生物自体から、など)で調製され得、種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プローブ、など)をとり得る。それらは、好ましくは、実質的に純粋な形態(すなわち、他のGBS核酸または宿主細胞核酸を実質的には含まない)で調製される。
【0206】
用語「核酸」は、DNAおよびRNAを含み、そしてまた、これらのアナログ(例えば、改変骨格(例えば、ホスホロチオエート、など)を含むDNAおよびRNA)、およびまたペプチド核酸(PNA)なども含む。本発明は、上記の配列に対して相補的な配列(例えば、アンチセンスまたはプローブの目的物)を含む核酸を含む。
【0207】
本発明はまた、本発明のポリペプチドを生成するためのプロセスを提供し、そのプロセスは、ポリペプチド発現を誘導する条件下で本発明の核酸で形質転換された宿主細胞を培養する工程を包含する。
【0208】
本発明は、本発明のポリペプチドを生成するためのプロセスを提供し、そのプロセスは、化学的手段によってポリペプチドの少なくとも一部分を合成する工程を包含する。
【0209】
本発明は、本発明の核酸を生成するためのプロセスを提供し、そのプロセスは、プライマーベースの増幅方法(例えば、PCR)を使用して、核酸を増幅させる工程を包含する。
【0210】
本発明は、本発明の核酸を生成するためのプロセスを提供し、そのプロセスは、化学的手段によって核酸の少なくとも一部分を合成する工程を包含する。
【0211】
(精製および組換え発現)
本発明のGBS抗原は、Streptococcus agalactiaeから単離され得るか、あるいは、それらは、(例えば、異種の宿主において)組換え産生され得る。好ましくは、上記のGBS抗原は、異種の宿主を使用して調製される。異種の宿主は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物であり得る。好ましくは、E.coliであるが、しかし、他の適切な宿主としては、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、マイコバクテリウム属(例えば、M.tuberculosis)、酵母、などが挙げられる。
【0212】
ポリペプチドの組換え産生は、上記のGBS抗原にタグタンパク質を加えることによって容易にされ、そのタグタンパク質およびそのGBS抗原を含む融合タンパク質として発現される。そのようなタグタンパク質は、上記の発現されたタンパク質の精製、検出および安定を容易にし得る。本発明における使用のために適切なタグタンパク質としては、ポリアルギニンタグ(Arg−tag)、ポリヒスチジンタグ(His−tag)、FLAG−tag、Strep−tag、c−myc−tag、S−tag、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ドメイン、SBP−タグ、キチン結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼタグ(GST)、マルトース結合タンパク質、転写終結アンチターミネーション因子(NusA)、E.coliチオレドキシン(TrxA)およびタンパク質ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)が挙げられる。好ましいタグタンパク質としては、His−tagおよびGSTが挙げられる。タグタンパク質の使用に関する十分な議論は、参考文献3に見出され得る。
【0213】
精製後、上記タグタンパク質は、上記の発現された融合タンパク質から必要に応じて(すなわち、詳細には、当業者に公知の調整した酵素処理によって)除去され得る。一般に使用されるプロテアーゼとしては、エンテロキナーゼ、タバコエッチウイルス(TEV)、トロンビン、および因子Xが挙げられる。
【0214】
(GBS多糖類)
本発明の組成物は、GBS多糖類を含むことによって、さらに改良され得る。好ましくは、上記のGBS抗原および上記の糖類の各々は、レシピエントの免疫応答に寄与する。その組み合わせは特に、上記の糖類およびポリペプチドが、異なるGBS血清型から防御性を提供する利点がある。
【0215】
その組み合わせた抗原は、別々の糖類抗原およびポリペプチド抗原が、一緒に投与される単一の組み合わせとして存在し得るか、またはそれらは、その糖類抗原およびポリペプチド抗原が、互いに共有結合されて、結合された組み合わせとして存在し得る。
【0216】
このように、本発明は、(i)1種以上のGBSポリペプチド抗原および(ii)1種以上のGBS糖類抗原を含む免疫原性組成物を提供する。上記のポリペプチドおよび上記の糖類は、有利に、互いに共有結合され得、結合体を形成し得る。
【0217】
それらの間に、上記の組み合わせたポリペプチドおよび糖類抗原は、好ましくは、2種以上のGBS血清型(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種またはそれ以上の血清型)をカバーする(または2種以上のGBS血清型から防御性を提供する)。上
記のポリペプチド抗原および糖類抗原の血清型は、重なり合ってもよく、重なり合わなくてもよい。例えば、上記のポリペプチドは、血清型IIまたは血清型Vに対して防御し得るが、一方、上記の糖類は、血清型Ia、血清型Ibまたは血清型IIIのいずれかに対して防御し得る。好ましい組み合わせは、以下の群の血清型:(1)血清型Iaおよび血清型Ib、(2)血清型Iaおよび血清型II、(3)血清型Iaおよび血清型III、(4)血清型Iaおよび血清型IV、(5)血清型Iaおよび血清型V、(6)血清型Iaおよび血清型VI、(7)血清型Iaおよび血清型VII、(8)血清型Iaおよび血清型VIII、(9)血清型Ibおよび血清型II、(10)血清型Ibおよび血清型III、(11)血清型Ibおよび血清型IV、(12)血清型Ibおよび血清型V、(13)血清型Ibおよび血清型VI、(14)血清型Ibおよび血清型VII、(15)血清型Ibおよび血清型VIII、(16)血清型IIおよび血清型III、(17)血清型IIおよび血清型IV、(18)血清型IIおよび血清型V、(19)血清型IIおよび血清型VI、(20)血清型IIおよび血清型VII、(21)血清型IIおよび血清型VII、(22)血清型IIIおよび血清型IV、(23)血清型IIIおよび血清型V、(24)血清型IIIおよび血清型VI、(25)血清型IIIおよび血清型VII、(26)血清型IIIおよび血清型VIII、(27)血清型IVおよび血清型V、(28)血清型IVおよび血清型VI、(29)血清型IVおよび血清型VII、(30)血清型IVおよび血清型VIII、(31)血清型Vおよび血清型VI、(32)血清型Vおよび血清型VII、(33)血清型Vおよび血清型VIII、(34)血清型VIおよび血清型VII、(35)血清型VIおよび血清型VIII、ならびに(36)血清型VIIおよび血清型VIIIに対して防御する。
【0218】
さらにより好ましくは、上記の組み合わせは、以下の血清型の群:(1)血清型Iaおよび血清型II、(2)血清型Iaおよび血清型V、(3)血清型Ibおよび血清型II、(4)血清型Ibおよび血清型V、(5)血清型IIIおよび血清型II、ならびに(6)血清型IIIおよび血清型Vに対して防御する。最も好ましくは、上記の組み合わせは、血清型IIIおよび血清型Vに対して防御する。
【0219】
血清型IIおよび血清型Vに対する防御性は、好ましくは、ポリペプチド抗原によって提供される。血清型Ia、血清型Ibおよび/または血清型IIIに対する防御性は、ポリペプチド抗原であり得るか、または糖類抗原であり得る。
【0220】
1つの実施形態において、上記の免疫原性組成物は、GBS糖類抗原および少なくとも2種のGBSポリペプチド抗原またはそのフラグメントを含有し、ここで、上記のGBS糖類抗原は、GBS血清型Ia、GBS血清型IbおよびGBS血清型IIIから選択される糖類を含み、ここで、上記のGBSポリペプチド抗原は、GBS80、GBS91、GBS104、GBS184、GBS276、GBS305、GBS322、GBS330、GBS338、GBS361、GBS404、GBS690およびGBS691からなる抗原の群から選択される少なくとも2種のポリペプチドまたはそのフラグメントの組み合わせを含む。好ましくは、その組み合わせは、1種以上のGBS80、GBS104およびGBS322を含む。さらにより好ましくは、その組み合わせは、GBS80またはそのフラグメントを含む。
【0221】
特定の実施形態において、本発明の組み合わせは、GBS多糖類を含まない。特定の実施形態において、その組み合わせは、GBS4、GBS22、GBS85、GBS338およびGBS361からなる群より選択される1種以上のGBS抗原を含まない。
【0222】
(免疫原性組成物および医薬)
本発明の組成物は、好ましくは、免疫原性組成物であり、より好ましくは、ワクチン組成物である。上記の組成物のpHは、好ましくは、6と8との間であり、好ましくは、約
7である。そのpHは、緩衝液の使用によって維持され得る。上記の組成物は、滅菌され得、そして/または発熱物質を含まない。この組成物は、ヒトに関して等張性であり得る。
【0223】
本発明に従うワクチンは、予防薬(すなわち、感染を予防するため)または治療薬(すなわち、感染を処置するため)のいずれかであり得るが、しかし、代表的に予防薬である。従って、本発明は、連鎖球菌感染に感受性の動物におけるStreptococcus
agalactiae感染の治療的処置または予防的処置のための方法を包含し、その方法は、本発明の治療的または予防的な量の免疫原性組成物を、上記の動物に投与する工程を包含する。
【0224】
本発明はまた、医薬としての使用のための本発明の組成物を提供する。その医薬は、好ましくは、哺乳動物における免疫応答を上昇させ得(すなわち、それは免疫原性組成物である)、より好ましくはワクチンである。
【0225】
本発明はまた、哺乳動物における免疫応答を上昇させるための医薬の製造における本発明の組成物の使用を提供する。その医薬は好ましくは、ワクチンである。
【0226】
本発明はまた、GBS抗原の組み合わせを含む第1の成分を含むキットを提供する。
【0227】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物をあらかじめ充填した送達デバイスを提供する。
【0228】
本発明はまた、哺乳動物における免疫応答を上昇させるための方法を提供し、その方法は、本発明の有効な量の組成物を投与する工程を包含する。その免疫応答は、好ましくは、防御性であり、そして好ましくは、抗体および/または細胞媒介免疫に関連する。その方法は、ブースター反応を惹起し得る。
【0229】
上記哺乳動物は、好ましくはヒトである。上記ワクチンが、予防的な使用のためである場合、そのヒトは、好ましくは、女性(妊婦可能年齢または10代のいずれか)である。あるいは、そのヒトは、高齢者(例えば、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳または75歳以上)であり得、内在する疾患(例えば、糖尿病または癌)を有し得る。上記のワクチンが治療的な使用のためである場合、そのヒトは、好ましくは、妊婦または高齢者である。
【0230】
これらの使用および方法は、好ましくは、Streptococcus agalactiaeによって引き起こされる疾患の予防および/または処置のためである。上記の組成物はまた、他の連鎖球菌に対して有効であり得る。
【0231】
治療的処置の有効性を調べる1つの方法は、本発明の組成物の投与後に、GBS感染をモニタリングする工程を包含する。予防的処置の有効性を調べる1つの方法は、上記の組成物の投与後に、本発明の組成物における上記のGBS抗原に対する免疫応答をモニタリングする工程を包含する。
【0232】
本発明の組成物は、一般に、患者に直接的に投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、皮内、静脈内、筋肉内、または組織の間隙空間へ)によって、または直腸、経口(例えば、錠剤、噴霧)、膣、局所、経皮(transdermal){例えば、参考文献4を参照のこと}もしくは経皮(transcutaneous){例えば、参考文献5および6を参照のこと}、鼻腔内{例えば、参考文献7を参照のこと}、眼内、耳、肺または他の粘膜への投与によって、達成され得る。
【0233】
本発明は、全身性免疫および/または粘膜免疫を誘発するために使用され得る。
【0234】
投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであり得る。複数回用量は、初期の免疫スケジュールおよび/またはブースター免疫スケジュールに使用され得る。複数回用量スケジュールにおいて、種々の用量は、同じまたは異なる経路(例えば、初期の非経口および追加の粘膜、初期の粘膜および追加の非経口、など)によって与えられ得る。
【0235】
本発明の組成物は、種々の形態で調製され得る。例えば、その組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかとしての注射可能物として調製され得る。注射前に液体ビヒクル中の溶解または懸濁液に適した固体形態(例えば、凍結乾燥した組成物)もまた、調製され得る。その組成物は、局所投与のために(例えば、軟膏、クリーム剤、または散剤として)調製され得る。その組成物は、経口投与のために(例えば、錠剤もしくはカプセル剤、噴霧剤、またはシロップ剤(必要に応じて香味を付けられている)として)調製され得る。その組成物は、肺投与のために(例えば、微細な散剤または噴霧剤を用いる吸入器として)調製され得る。その組成物は、坐剤またはペッサリーとして調製され得る。その組成物は、鼻、耳または眼への投与のために(例えば、滴として)調製され得る。その組成物は、組み合わせた組成物が、患者への投与の直前に再形成されるように設計されたキットの形態であり得る。そのようなキットは、液体の形態で1種以上の抗原および1種以上の凍結乾燥された抗原を含み得る。
【0236】
ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の抗原、ならびに必要とされる場合、任意の他の成分を含有する。「免疫学的に有効な量」によっては、単回投与でか、または一連の一部としてのいずれかでの個体に対するその量の投与が、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康状態および身体的状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成するための個体の免疫系の能力、所望の防御性の程度、ワクチンの処方、処置する医師の医療状況の評価、および他の関連する要因に依存して変動する。その量は、日常的な試行によって決定され得る比較的広い範囲にわたると予測される。
【0237】
(さらなる組成物の成分)
本発明の組成物は、代表的に、上に述べた組成物に加えて、1種以上の「薬学的に受容可能なキャリア」を含有し、それは、それ自体、上記組成物を受容する個体に対して有害な抗体の産生を誘導しない任意のキャリアを含有する。適切なキャリアは、代表的に、大きく、徐々に代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム))である。そのようなキャリアは、当業者に周知である。上記のワクチンはまた、希釈剤(例えば、水、生理食塩水、グリセロールなど)を含み得る。さらに、補助的物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質など)が、存在し得る。薬学的に受容可能な賦形剤の徹底的な議論は、参考文献8において利用可能である。
【0238】
本発明のワクチンは、他の免疫調節性因子と併せて投与され得る。特に、組成物は通常、アジュバントを含有する。
【0239】
好ましいさらなるアジュバントとしては、以下に示す次の1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
(A.無機質含有組成物)
本発明のアジュバントとしての使用のために適切な無機質含有組成物としては、無機塩
(例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。本発明は、無機塩(例えば、水酸化物(例えば、酸水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩(hydroxyphoshpate)、オルトリン酸塩)、スルフェート、など{例えば、参考文献9の第8章および第9章を参照のこと})、または異なる無機化合物の混合物を含み、その化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、そして吸着性であることが好ましい。上記の無機物含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方され得る。参考文献10を参照のこと。
【0241】
(B.油乳濁液)
本発明のアジュバントとしての使用のために適切な油乳濁液組成物としては、スクアレン−水乳濁液(例えば、MF59(マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子へと処方される、5% スクアレン、0.5% Tween80、および0.5% Span 85))が挙げられる。WO90/14837を参照のこと。Freyら、「Comparison of the safety,tolerability,and immunogenicity of a MF59−adjuvanted influenza vaccine and a non−adjuvanted influenza vaccine in non−elderly adults」、Vaccine(2003)21:4234〜4237もまた参照のこと。
【0242】
特に、上記の組成物における使用のための好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油乳濁液である。本明細書中の使用のための好ましいサブミクロン水中油乳濁液は、必要に応じて、変動する量のMTP−PEを含むスクアレン/水乳濁液(例えば、4〜5%w/v スクアレン、0.25〜1.0%w/v Tween80TM(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および/または0.25〜1.0% Span85TM(ソルビタントリオレアート)、ならびに必要に応じて、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE))を含むサブミクロン水中油乳濁液である(例えば、「MF59」(国際公開番号WO90/14837;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号これらは本明細書中にその全体が参考として援用される;ならびにVaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.および Newman,M.J.編)Plenum Press,New York,1995,277〜296頁中のOttら、「MF59−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」として公知であるサブミクロン水中油乳濁液)である。MF59は、4〜5%w/v スクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5%w/v Tween80TM、および0.5%w/v Span85TMを含み、そして必要に応じて、マイクロフルイダイザー(microfluidizer)(例えば、Model 110Y マイクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton,MA))を用いてサブミクロン粒子へと処方される種々の量のMTP−PEを含む。例えば、MTP−PEは、一投与量あたり約0〜500μg、より好ましくは一投与量あたり0〜250μg、および最も好ましくは一投与量あたり0〜100μgの量で存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「MF59−0」とは、MTP−PEを欠く上記のサブミクロン水中油乳濁液をいうが、一方で、用語MF59−MTPとは、MTP−PEを含有する処方物を意味する。例えば、「MF59−100」は、一投与量あたり100μgのMTP−PEを含む、などである。本明細書中での使用のための別のサブミクロン水中油乳濁液であるMF69は、4.3%w/v スクアレン、0.25%w/v Tween80TM、および0.75%w/v Span85TM、ならびに必要に応じてMTP−PEを含む。さらに別のサブミクロン水中油乳濁液は、10%スクアレン、0.4% Tween80TM、5%プルロニック(pluronic)ブ
ロックポリマーL121、およびthr−MDP(それもまたサブミクロン乳濁液にマイクロフルイダイズされる)を含む、SAFとしてもまた公知であるMF75である。MF75−MTPは、MTP(例えば、一投与量あたり100〜400μgのMTP−PE)を含むMF75処方物を意味する。
【0243】
上記の組成物における使用のためのサブミクロン水中油乳濁液、そのサブミクロン水中油乳濁液を作製する方法および免疫刺激因子(例えば、ムラミルペプチド)は、国際公開番号WO90114837ならびに米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に、詳細に記載され、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0244】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。
【0245】
(C.サポニン処方物)
サポニン処方物もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、茎、根および花においてでさえ見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種の群である。Quillaia saponaria Molinaの木の樹皮由来のサポニンは、アジュバントとして広範に研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(brides veil)、およびSaponaria officianalis(soap root)から商業的に得られ得る。サポニンアジュバント処方物としては、精製した処方物(例えば、QS21)、ならびに脂質処方物(例えば、ISCOM)が挙げられる。
【0246】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−LC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いて精製されている。これらの技術を用いて精製された特定の画分は同定されており、それらは、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む。好ましくは、上記のサポニンは、QS21である。QS21を生成する方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール(例えば、コレステロール)を含有し得る(WO96/33739を参照のこと)。
【0247】
サポニンおよびコレステロールの組み合わせは、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる特有の粒子を形成するために使用され得る。代表的にISCOMもまた、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)を含む。任意の公知のサポニンは、ISCOMに使用され得る。好ましくは、そのISCOMは、1種以上のQuil A、QHAおよびQHCを含む。ISCOMはさらに、EP0109942、WO96/11711およびWO96/33739に記載されている。必要に応じて、そのISCOMは、さらなる界面活性剤(detergent)を欠き得る。参考文献11を参照のこと。
【0248】
サポニンに基づいたアジュバントの開発の総評は、参考文献12に見出され得る。
【0249】
(C.ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP))
ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。これらの構造は、一般に、必要に応じて組み合わされるか、またはリン脂質とともに処方されるウイルス由来の1種以上のタンパク質を含む。それらは、概して、非病原性で複製せず、そして概して、天然のウイルスゲノムを全く含まない。そのウイルスタンパク質は、組み換えて産生され得るか、またはウイルス全体から単離され得る。ビロゾームまたはVLPの使用のために適切なこれらのウイルスタンパク質としては、インフル
エンザウイルス(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えば、コアタンパク質またはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(例えば、コートタンパク質)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)由来のタンパク質が挙げられる。VLPはさらに、WO03/024480、WO03/024481、ならびに参考文献13、参考文献14、参考文献15および参考文献16に議論されている。ビロゾームはさらに、例えば、参考文献17に議論されている。
【0250】
(D.細菌誘導体または微生物誘導体)
本発明における使用のために適切なアジュバントとしては、以下のような細菌誘導体または微生物誘導体が挙げられる。
【0251】
(1)腸内細菌性リポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体
このような誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4本、5本または6本のアシル化された鎖を有する3 脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの混合物である。3 脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小さな粒子」形態は、EP0689454に開示されている。このような3dMPLの「小さな粒子」は、0.22ミクロンの膜を通って濾過滅菌されるのに十分小さい(EP0689454を参照のこと)。他の非毒性のLPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣物(例えば、アミノアルキルグリコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC−529))が挙げられる。例えば、参考文献18を参照のこと。
【0252】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体としては、Escherichia coli(例えば、OM−174)由来の脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば、参考文献19および参考文献20に記載されている。
【0253】
(3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明のアジュバントとしての使用のために適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフ(後にグアノシンが続き、リン酸結合によって結合されたメチル化されていないシトシンを含む配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む細菌の二本鎖RNAまたはオリゴヌクレオチドもまた、免疫刺激性であると示されている。
【0254】
上記のCpGとしては、ヌクレオチド改変物/アナログ(例えば、ホスホロチオエート改変物)が挙げられ得、それは、二本鎖または一本鎖であり得る。必要に応じて、上記のグアノシンは、アナログ(例えば、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン)で置換され得る。可能なアナログ置換の例については、参考文献21、WO02/26757およびWO99/62923を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献22、参考文献23、WO98/40100、米国特許第6,207,646号、同第6,239,116号および同第6,429,199号に、さらに議論されている。
【0255】
上記のCpG配列は、TLR9(例えば、モチーフGTCGTTまたはTTCGTT)に関連し得る。参考文献24を参照のこと。そのCpG配列は、Th1免疫応答(例えば、CpG−A ODN)を誘導するために特異的であり得るか、またはそれは、B細胞応答(例えば、CpG−B ODN)を誘導するために、より特異的であり得る。CpG−
A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献25および参考文献26ならびにWO01/95935に議論されている。好ましくは、上記のCpGは、CpG−A ODNである。
【0256】
好ましくは、上記のCpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が、レセプター認識のために接近できるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、「イムノマー(immunomer)」を形成するために、それらの3’末端で接合され得る。例えば、参考文献27、参考文献28、参考文献29およびWO03/035836を参照のこと。
【0257】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその無毒化された誘導体
細菌のADP−リボシル化毒素およびその無毒化された誘導体は、本発明のアジュバントとして使用され得る。好ましくは、そのタンパク質は、E.coli(すなわち、E.coli熱不安定性腸毒素「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)由来である。粘膜のアジュバントとしての無毒化されたADP−リボシル化毒素の使用は、WO95/17211に記載され、そしてWO98/42375に非経口のアジュバントとして記載されている。
【0258】
好ましくは、そのアジュバントは、無毒化されたLT変異体(例えば、LT−K63)である。
【0259】
(E.ヒト免疫調節剤)
本発明のアジュバントとしての使用のために適切なヒト免疫調節剤としては、サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ))、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0260】
(F.生物接着剤および粘膜接着剤)
生物接着剤および粘膜接着剤もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。適切な生物接着剤としては、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア(参考文献30)または粘膜接着剤(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体)が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。例えば、参考文献31。
【0261】
(G.微粒子)
微粒子もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。微粒子(すなわち、直径が約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径が約200nm〜約30μm、および最も好ましくは直径が約500nm〜約10μmの粒子)、生分解性かつ非毒性である物質(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、などと、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)から形成された)であり、それは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましく、必要に応じて、負電荷表面(例えば、SDSを有する)または正電荷表面(例えば、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB))を有するように処置される。
【0262】
(H.リポソーム)
アジュバントとしての使用のために適切なリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、同第5,916,588号、およびEP0626169に記載されている。
【0263】
(I.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明における使用のために適切なアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる(参考文献32)。このような処方物としては、オクトキシノール(参考文献33)と組み合わせるポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤ならびに少なくとも1種のさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノール(参考文献34))と組み合わせるポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤、がさらに挙げられる。
【0264】
好ましいポリオキシエチレンエステルは、以下の群:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテルから選択される。
【0265】
(J.ポリフォスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、参考文献35および参考文献36に記載されている。
【0266】
(K.ムラミルペプチド)
本発明のアジュバントとしての使用のために適切なムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0267】
(L.イミダゾキノロン化合物)
本発明のアジュバントとしての使用のために適切なイミダゾキノロン化合物の例としては、イミクアモド(imiquamod)およびそのホモログが挙げられ、それは、参考文献37および参考文献38に、さらに記載されている。
【0268】
本発明はまた、上記の同定した1種以上のアジュバントの組み合わせの局面を含み得る。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明に使用され得る。
【0269】
(1)サポニンおよび水中油型乳濁液(参考文献39);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)(参考文献40);
(5)例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンと3dMPLとの組み合わせ(参考文献41);
(6)10% スクアレン、0.4% Tween80、5% プルロニックブロックポリマーL121、およびサブミクロン乳濁液にマイクロフルイダイズされるか、またはより大きな粒子サイズの乳濁液を作製するようにボルテックスされるかのいずれかのthr−MDPを含む、SAF。
【0270】
(7)2% Squalene、0.2% Tween 80、および以下:モノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくはMPL+CWS(DetoxTM))からなる群、からの1種以上の
細菌細胞壁成分を含有する、RibiTMアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);および
(8)1種以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒素誘導体(例えば、3dPML)。
【0271】
アルミニウム塩およびMF59は、非経口免疫処置のための好ましいアジュバントである。変異細菌毒素は、好ましい粘膜のアジュバントである。
【0272】
上記組成物は、抗生物質を含有し得る。
【0273】
(さらなる抗原)
本発明の組成物は、さらなる細菌性抗原、ウイルス性抗原または寄生性抗原を含む1種以上のさらなる非GBS抗原を、さらに含有し得る。
【0274】
別の実施形態において、本発明のGBS抗原の組み合わせは、高齢者または免疫力のない個体を防御するように設計されたワクチンにおける使用のために適切な1種以上のさらなる非GBS抗原と組み合わせられる。例えば、そのGBS抗原の組み合わせは、Enterococcus faecalis、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermis、Pseudomonas aeruginosa、Legionella pneumophila、Listeria
monocytogenes、Neisseria meningitides、インフルエンザウイルス、およびパラインフルエンザウイルス(「PIV」)からなる群由来の抗原と組み合わせられ得る。
【0275】
糖類抗原または炭水化物抗原が使用される場合、好ましくは、免疫原性を増強するためにキャリアタンパク質に結合される{例えば、参考文献42〜51}。好ましいキャリアタンパク質は、細菌毒素または細菌トキソイド(例えば、ジフテリアトキソイドまたは破傷風トキソイド)である。CRM197ジフテリアトキソイドが、特に好ましい{52}。他のキャリアポリペプチドとしては、N.meningitidis外膜タンパク質{53}、合成ペプチド{54、55}、熱ショックタンパク質{56,57}、百日咳タンパク質{58、59}、H.influenzae由来のタンパク質D{60}、サイトカイン{61}、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、C.difficile由来の毒素Aまたは毒素B{62}、鉄取り込みタンパク質{63}、などが挙げられる。混合物が、血清型Aおよび血清型Cの両方由来の莢膜糖類を含む場合、MenA糖類:MenC糖類の比(w/w)は、1より大きい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはそれ以上)ことが好ましい。異なる糖類は、同じまたは異なるタイプのキャリアタンパク質に結合され得る。任意の適切な結合反応が使用され得、それは必要な場合、任意の適切なリンカーを有する。
【0276】
毒性タンパク質抗原は、必要な場合(例えば、百日咳毒の無毒化の場合)、化学的手段および/または遺伝的手段によって無毒化され得る。
【0277】
ジフテリア抗原が上記の組成物に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含むこともまた好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含むこともまた好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含むこともまた好ましい。
【0278】
上記の組成物中の抗原は、代表的に、それぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般に、任意の所定の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答を誘発するのに十分である。
【0279】
本発明の組成物中で、タンパク質抗原を使用する代わりとして、その抗原をコードする核酸が、使用され得る{例えば、参考文献64〜72}。従って、本発明の組成物のタンパク質成分は、そのタンパク質をコードする核酸(好ましくは、DNA(例えば、プラスミドの形態で))によって置換され得る。
【0280】
(定義)
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」ならびに「からなる(consisting)」を意味する(例えば、Xを「含む」組成物は、単にXからなり得るか、または追加されたものを含み得る(例えば、X+Y))。
【0281】
数値xに関する用語「約」とは、例えば、x±10%を意味する。
【0282】
2つのアミノ酸配列間の配列同一性のパーセンテージに対する基準は、並べた場合、アミノ酸のパーセンテージが、2つの配列を比較して同じであることを意味する。このアラインメントおよびホモロジーまたは配列同一性のパーセントは、当該分野において公知であるソフトウェアプログラム(例えば、参考文献73の節7.7.18に記載されているもの)を使用して決定され得る。好ましいアラインメントは、12のギャップ開始ペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスを用いて、類似性のギャップ検索を使用するSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムによって決定される。このSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムは、参考文献74に開示されている。
【表84】

【表85】

【表86】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載されるような、組成物。

【公開番号】特開2008−19262(P2008−19262A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207272(P2007−207272)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願2006−526405(P2006−526405)の分割
【原出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【Fターム(参考)】