Ｔシャツなどに印刷を行うためのロータリ式印刷装置
【課題】被印刷物毎に異なる情報や柄を刷り込む場合においても効率良く印刷を行うことのできる汎用性の高いロータリ式印刷装置を提案すること。
【解決手段】ロータリ式印刷装置１は、同一円上に等角度間隔で配置された６台の印刷ユニット９（１）〜９（６）の印刷位置を経由して、同一円上に等角度間隔で配置された６台の印刷台７（１）〜７（６）が旋回する。印刷ユニット９（１）〜９（５）はスクリーン印刷機であり、Ｔシャツに共通の絵柄などを各Ｔシャツに印刷し、印刷ユニット９（６）はインクジェットプリンタであり、各Ｔシャツ毎に異なる着用者名などの個別情報を各Ｔシャツに印刷する。名前などの個別情報が印刷されたＴシャツを効率良く印刷できる。
【解決手段】ロータリ式印刷装置１は、同一円上に等角度間隔で配置された６台の印刷ユニット９（１）〜９（６）の印刷位置を経由して、同一円上に等角度間隔で配置された６台の印刷台７（１）〜７（６）が旋回する。印刷ユニット９（１）〜９（５）はスクリーン印刷機であり、Ｔシャツに共通の絵柄などを各Ｔシャツに印刷し、印刷ユニット９（６）はインクジェットプリンタであり、各Ｔシャツ毎に異なる着用者名などの個別情報を各Ｔシャツに印刷する。名前などの個別情報が印刷されたＴシャツを効率良く印刷できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、Ｔシャツ、パンツなどの衣類に着用者の名前などの個別情報や模様を印刷するのに適したロータリ式印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、Ｔシャツ、パンツ、タオルなどの衣類や布製品の印刷においては、印刷色に対応する数のスクリーン版を制作し、印刷色毎に対応するスクリーン版を用いて被印刷物の表面に重ね刷りを行っている。
【０００３】
スクリーン印刷機を用いた多色刷りを効率良く行うために、スクリーンおよびスキージを備えたスクリーン印刷機を放射状に配置し、各スクリーン印刷機による印刷位置を経由する旋回軌跡に沿って複数の印刷台を間歇的に旋回させながら多色印刷を行うロータリ式のスクリーン印刷装置が提案されている。この構成のスクリーン印刷装置では、各スクリーン印刷機に各印刷色のスクリーンを取り付ければ、旋回する複数の印刷台に載せた被印刷物、例えばＴシャツに対して各スクリーン印刷機によって各色の絵柄などが印刷される。よって、印刷台を旋回軌跡に沿って一周させると多色刷りが仕上がり、連続してＴシャツを印刷できるので効率がよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ロータリ式のスクリーン印刷装置は、同一柄のＴシャツなどを大量に印刷するのに適している。しかしながら、絵柄は同一でも、例えば、着用者の名前、連続した番号などといった、Ｔシャツ一枚毎に異なる情報あるいは柄を刷り込む場合には、その都度、スクリーン版を付け替える作業が必要となり、スクリーン版の種類も多くなってしまう。よって、従来のロータリ式のスクリーン印刷装置は、同一の絵柄などの場合には効率的であるが、一枚毎に異なる情報、柄などを刷り込む場合には適しておらず、汎用性に欠け、コスト高となるという問題点がある。
【０００５】
本発明の課題は、この点に鑑みて、被印刷物毎に異なる情報や柄を刷り込む場合においても効率良く印刷を行うことのできる汎用性の高いロータリ式印刷装置を提案することにある。特に、本発明の課題は、Ｔシャツなどの衣類、タオルなどの布製品の印刷に用いるのに適したロータリ式印刷装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記の課題を解決するために、本発明のロータリ式印刷装置は、
共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷ユニットとを有し、
前記印刷ユニットの少なくとも一つはインクジェットプリンタであり、残りの前記印刷ユニットはスクリーン印刷機であり、
前記複数の印刷台および前記複数の印刷ユニットを相対回転して、各印刷台を各印刷ユニットによる印刷位置に順次に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴としている。
【０００７】
例えば、印刷ユニットを固定した位置に配置しておき、印刷台の側を間歇的に旋回させて、各印刷ユニットの印刷位置に順次に移動させる。印刷台に載せてあるＴシャツなどの被印刷物に対して、各印刷ユニットによって印刷が行われる。印刷台が全ての印刷ユニットを経由すると、被印刷物の印刷が完了する。
【０００８】
被印刷物に印刷される絵柄などのうち、被印刷物に共通のものは、スクリーン印刷機によって印刷することができる。被印刷物毎に異なる情報、絵柄などは、インクジェットプリンタによって印刷することができる。すなわち、スクリーン印刷機では、制作されたスクリーンが取り付けられており、印刷模様などを変更するためにはスクリーンを付け替える必要があるが、インクジェットプリンタでは、その上位の制御装置、例えばパソコンの側において印刷情報を簡単に変更あるいは修正できる。よって、名前や連続番号をＴシャツなどに印刷する場合、すなわち、被印刷物毎に印刷情報が異なる場合であっても、効率良く印刷動作を行うことが可能である。
【０００９】
ここで、インクジェットプリンタのみを異なる移動経路に沿って移動させるようにすることができる。この場合のロータリ式印刷装置は、
共通旋回軸線を中心とする円周上を旋回可能な複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数のスクリーン印刷ユニットと、
前記印刷台の旋回軌跡の上方位置に前進して当該印刷台に載せた被印刷物に対して印刷を行うことのできる印刷位置および当該印刷位置から退避した退避位置の間を移動可能な少なくとも一台のインクジェットプリンタとを有し、
前記複数の印刷台を間歇的に旋回して、各スクリーン印刷ユニットおよび前記インクジェットプリンタによる印刷位置に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴としている。
【００１０】
本発明のロータリ式印刷装置では、通常は、前記インクジェットプリンタによって、被印刷物毎に異なる印刷情報が印刷される。
【００１１】
次に、本発明のロータリ式印刷装置は、Ｔシャツ、パンツなどの衣類の印刷に用いるのに適している。
【発明の効果】
【００１２】
以上説明したように、本発明のロータリ式印刷装置では、被印刷物に共通の印刷情報をスクリーン印刷機により印刷し、被印刷物毎に異なる印刷情報をインクジェットプリンタにより印刷させることができる。よって、Ｔシャツなどの衣類に名前や連続番号などを印刷する場合においても、従来のロータリ式スクリーン印刷装置と同様な生産性能で印刷を行うことができる。よって、Ｔシャツなどの衣類、布製品などの印刷に適した汎用性の高い印刷装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下に、図面を参照して本発明を適用したロータリ式印刷装置を説明する。
【００１４】
図１（ａ）は本発明を適用したロータリ式印刷装置の全体構成を示す説明図である。ロータリ式印刷装置１は、装置架台２と、この装置架台２によって旋回中心軸３を中心として回転自在に支持されている下側回転輪４と、同じく旋回中心軸３を中心として回転自在に支持されている上側回転輪５とを備えている。下側回転輪４の外周面からは一定の角度間隔で水平方向に向けて放射状に支持腕６が延びている。本例では、６本の支持腕６が６０度の等角度間隔で放射状に延びている。これらの支持腕６の先端部には矩形の印刷台７（１）〜７（６）がそれぞれ水平に取り付けられている。各印刷台７（１）〜７（６）の水平な載置面（図において斜線で示してある面）に被印刷物、例えばＴシャツが移動しないように載置される。
【００１５】
上側回転輪５の外周面からも一定の角度間隔で水平方向に向けて放射状に支持腕８が延びている。本例では、６本の支持腕８が６０度の等角度間隔で放射状に延びている。これらの支持腕８の先端部には印刷ユニット９（１）〜９（６）が取り付けられている。印刷ユニット９（１）〜９（５）はスクリーン印刷機であり、残りの印刷ユニット９（６）がインクジェットプリンタである。勿論、複数の印刷ユニットをインクジェットプリンタとすることもできる。
【００１６】
各スクリーン印刷機９（１）〜９（５）は、図１（ｂ）に示すように、矩形状のスクリーン枠１１に張られたスクリーン１２からかるスクリーン版１３と、スキージ１４と、不図示のインク供給部およびスキージ駆動部とを備えている。インクジェットプリンタ９（６）は、例えば所定幅のラインインクジェットヘッド２１と、このラインインクジェットヘッド２１を往復移動させるためのヘッドキャリッジ２２とを備えている。
【００１７】
この構成のロータリ式印刷装置１では、不図示の駆動機構によって、印刷台７（１）〜７（６）および印刷ユニット９（１）〜９（６）を独立して旋回可能となっており、これらを相対的に旋回させることにより、印刷台７（１）〜７（６）を順次に、各印刷ユニット９（１）〜９（６）による印刷位置に移動させることが可能となっている。
【００１８】
次に、ロータリ式印刷装置１の印刷動作を説明する。以下の説明は、印刷ユニット９（１）〜９（６）を静止させ、印刷台７（１）〜７（６）を、印刷ユニット９（１）〜９（６）に対して３０度オフセットした角度位置を初期位置とした場合の印刷動作である。まず、不図示の供給機構によって、印刷台７（１）の載置面に被印刷物、例えばＴシャツ３０を供給して固定する。次に、各印刷台７（１）〜７（６）を３０度旋回させる。この結果、各印刷台７（１）〜７（６）が各印刷ユニット９（１）〜９（６）の印刷位置に至る。印刷ユニット９（１）により印刷台７（１）のＴシャツ３０にスクリーン印刷を行う。この後は、印刷台７（１）〜７（６）を３０度旋回させ、印刷台７（２）をＴシャツ供給位置に位置決めして、Ｔシャツ３０を供給する。
【００１９】
次に、印刷台７（１）〜７（６）を３０度旋回させて、各印刷台７（１）〜７（６）を各印刷ユニット９（２）、（３）・・・（６）、（１）の印刷位置に位置決めし、印刷台７（１）、７（２）に載っているＴシャツ３０に対して、それぞれ印刷ユニット９（２）および９（１）によってスクリーン印刷を行う。以後、印刷台（１）〜７（６）を３０度ずつ間歇的に旋回させて、Ｔシャツの供給および印刷動作を繰り返す。
【００２０】
各印刷ユニット９（１）〜９（５）では各Ｔシャツに対して共通の印刷情報を印刷する。これに対して、印刷台７（１）の載っているＴシャツ３０が最後の印刷ユニット９（６）の印刷位置に至ったときには、当該印刷ユニット９（６）はインクジェットプリンタであるので、各Ｔシャツ毎に異なった印刷情報を印刷可能である。例えば、本例では、着用者あるいは依頼者の名前などが印刷される。
【００２１】
印刷台７（１）が印刷ユニット９（６）において印刷された後に３０度旋回すると、再び、Ｔシャツ供給位置に戻る。この後は、印刷台から印刷済みのＴシャツを取り外して新しいＴシャツを供給する動作が各印刷台に対して行われる。
【００２２】
なお、印刷台７（１）〜７（６）を静止状態に保持し、印刷ユニット９（１）〜９（６）の側を旋回させて、印刷を行うこともできる。また、双方を反対方向に間歇的に旋回させながら印刷を行うことも可能である。さらに、印刷ユニットとして２台以上のインクジェットプリンタを含む構成を採用することも可能である。さらには、本例では、印刷台と印刷ユニットの個数を同一としてあるが、これらの個数を異なったものとすることもできる。
【００２３】
次に、図２は本発明を適用したロータリ式印刷装置の別の構成例を示す平面図および立面図である。本例のロータリ式印刷装置４０では、印刷台４７（１）〜４７（６）を同一円上に沿って旋回させ、スクリーン印刷機である印刷ユニット４９（１）〜４９（６）を静止させるようにしている。印刷台の旋回動作は上記の例の場合と同様である。また、インクジェトプリンタである印刷ユニット４９（７）をスライド機構４１に搭載し、各印刷ユニット４９（１）〜４９（６）から３０度オフセットした旋回位置にある一つの印刷台に載っているＴシャツに印刷を行うことのできる印刷位置Ａと、ここから後退した退避位置Ｂとの間をスライドできるようにしてある。
【００２４】
このロータリ式印刷装置４０では、各Ｔシャツ毎に異なる印刷情報を印刷する必要が無い場合には、印刷ユニット４９（７）を使用せずに、印刷台を３０度ずつ間歇的に旋回させて、各印刷ユニット４９（１）〜４９（６）によりスクリーン印刷を行う。Ｔシャツ毎に異なる印刷情報を印刷する場合には印刷ユニット４９（７）を駆動して、各印刷台のＴシャツに個別情報を印刷する。インクジェットプリンタによる印刷動作は、印刷の終わったＴシャツを印刷台から取り外し、新たなＴシャツを供給するための動作時間を利用して行うことができる。したがって、個別情報の印刷を行った場合においても、印刷工程全体のタクト時間を一定にできる。よって、生産性良く印刷動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明を適応したロータリ式印刷装置の説明図、スクリーン印刷機の説明図およびインクジェットプリンタの説明図である。
【図２】本発明を適用したロータリ式印刷装置の別の例を示す平面図および立面図である。
【符号の説明】
【００２６】
１、４０ ロータリ式印刷装置
２ 装置架台
３ 旋回中心軸
４ 上側回転輪
５ 下側回転輪
６、８ 支持腕
７（１）〜７（６）、４７（１）〜４７（６） 印刷台
９（１）〜９（５）、４９（１）〜４９（６） 印刷ユニット（スクリーン印刷機）
９（６）、４９（７） 印刷ユニット（インクジェットプリンタ）
１１ スクリーン枠
１２ スクリーン
１３ スクリーン版
１４ スキージ
２１ インクジェットヘッド
２２ ヘッドキャリッジ
４１ スライド機構
【技術分野】
【０００１】
本発明は、Ｔシャツ、パンツなどの衣類に着用者の名前などの個別情報や模様を印刷するのに適したロータリ式印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、Ｔシャツ、パンツ、タオルなどの衣類や布製品の印刷においては、印刷色に対応する数のスクリーン版を制作し、印刷色毎に対応するスクリーン版を用いて被印刷物の表面に重ね刷りを行っている。
【０００３】
スクリーン印刷機を用いた多色刷りを効率良く行うために、スクリーンおよびスキージを備えたスクリーン印刷機を放射状に配置し、各スクリーン印刷機による印刷位置を経由する旋回軌跡に沿って複数の印刷台を間歇的に旋回させながら多色印刷を行うロータリ式のスクリーン印刷装置が提案されている。この構成のスクリーン印刷装置では、各スクリーン印刷機に各印刷色のスクリーンを取り付ければ、旋回する複数の印刷台に載せた被印刷物、例えばＴシャツに対して各スクリーン印刷機によって各色の絵柄などが印刷される。よって、印刷台を旋回軌跡に沿って一周させると多色刷りが仕上がり、連続してＴシャツを印刷できるので効率がよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ロータリ式のスクリーン印刷装置は、同一柄のＴシャツなどを大量に印刷するのに適している。しかしながら、絵柄は同一でも、例えば、着用者の名前、連続した番号などといった、Ｔシャツ一枚毎に異なる情報あるいは柄を刷り込む場合には、その都度、スクリーン版を付け替える作業が必要となり、スクリーン版の種類も多くなってしまう。よって、従来のロータリ式のスクリーン印刷装置は、同一の絵柄などの場合には効率的であるが、一枚毎に異なる情報、柄などを刷り込む場合には適しておらず、汎用性に欠け、コスト高となるという問題点がある。
【０００５】
本発明の課題は、この点に鑑みて、被印刷物毎に異なる情報や柄を刷り込む場合においても効率良く印刷を行うことのできる汎用性の高いロータリ式印刷装置を提案することにある。特に、本発明の課題は、Ｔシャツなどの衣類、タオルなどの布製品の印刷に用いるのに適したロータリ式印刷装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記の課題を解決するために、本発明のロータリ式印刷装置は、
共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷ユニットとを有し、
前記印刷ユニットの少なくとも一つはインクジェットプリンタであり、残りの前記印刷ユニットはスクリーン印刷機であり、
前記複数の印刷台および前記複数の印刷ユニットを相対回転して、各印刷台を各印刷ユニットによる印刷位置に順次に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴としている。
【０００７】
例えば、印刷ユニットを固定した位置に配置しておき、印刷台の側を間歇的に旋回させて、各印刷ユニットの印刷位置に順次に移動させる。印刷台に載せてあるＴシャツなどの被印刷物に対して、各印刷ユニットによって印刷が行われる。印刷台が全ての印刷ユニットを経由すると、被印刷物の印刷が完了する。
【０００８】
被印刷物に印刷される絵柄などのうち、被印刷物に共通のものは、スクリーン印刷機によって印刷することができる。被印刷物毎に異なる情報、絵柄などは、インクジェットプリンタによって印刷することができる。すなわち、スクリーン印刷機では、制作されたスクリーンが取り付けられており、印刷模様などを変更するためにはスクリーンを付け替える必要があるが、インクジェットプリンタでは、その上位の制御装置、例えばパソコンの側において印刷情報を簡単に変更あるいは修正できる。よって、名前や連続番号をＴシャツなどに印刷する場合、すなわち、被印刷物毎に印刷情報が異なる場合であっても、効率良く印刷動作を行うことが可能である。
【０００９】
ここで、インクジェットプリンタのみを異なる移動経路に沿って移動させるようにすることができる。この場合のロータリ式印刷装置は、
共通旋回軸線を中心とする円周上を旋回可能な複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数のスクリーン印刷ユニットと、
前記印刷台の旋回軌跡の上方位置に前進して当該印刷台に載せた被印刷物に対して印刷を行うことのできる印刷位置および当該印刷位置から退避した退避位置の間を移動可能な少なくとも一台のインクジェットプリンタとを有し、
前記複数の印刷台を間歇的に旋回して、各スクリーン印刷ユニットおよび前記インクジェットプリンタによる印刷位置に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴としている。
【００１０】
本発明のロータリ式印刷装置では、通常は、前記インクジェットプリンタによって、被印刷物毎に異なる印刷情報が印刷される。
【００１１】
次に、本発明のロータリ式印刷装置は、Ｔシャツ、パンツなどの衣類の印刷に用いるのに適している。
【発明の効果】
【００１２】
以上説明したように、本発明のロータリ式印刷装置では、被印刷物に共通の印刷情報をスクリーン印刷機により印刷し、被印刷物毎に異なる印刷情報をインクジェットプリンタにより印刷させることができる。よって、Ｔシャツなどの衣類に名前や連続番号などを印刷する場合においても、従来のロータリ式スクリーン印刷装置と同様な生産性能で印刷を行うことができる。よって、Ｔシャツなどの衣類、布製品などの印刷に適した汎用性の高い印刷装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下に、図面を参照して本発明を適用したロータリ式印刷装置を説明する。
【００１４】
図１（ａ）は本発明を適用したロータリ式印刷装置の全体構成を示す説明図である。ロータリ式印刷装置１は、装置架台２と、この装置架台２によって旋回中心軸３を中心として回転自在に支持されている下側回転輪４と、同じく旋回中心軸３を中心として回転自在に支持されている上側回転輪５とを備えている。下側回転輪４の外周面からは一定の角度間隔で水平方向に向けて放射状に支持腕６が延びている。本例では、６本の支持腕６が６０度の等角度間隔で放射状に延びている。これらの支持腕６の先端部には矩形の印刷台７（１）〜７（６）がそれぞれ水平に取り付けられている。各印刷台７（１）〜７（６）の水平な載置面（図において斜線で示してある面）に被印刷物、例えばＴシャツが移動しないように載置される。
【００１５】
上側回転輪５の外周面からも一定の角度間隔で水平方向に向けて放射状に支持腕８が延びている。本例では、６本の支持腕８が６０度の等角度間隔で放射状に延びている。これらの支持腕８の先端部には印刷ユニット９（１）〜９（６）が取り付けられている。印刷ユニット９（１）〜９（５）はスクリーン印刷機であり、残りの印刷ユニット９（６）がインクジェットプリンタである。勿論、複数の印刷ユニットをインクジェットプリンタとすることもできる。
【００１６】
各スクリーン印刷機９（１）〜９（５）は、図１（ｂ）に示すように、矩形状のスクリーン枠１１に張られたスクリーン１２からかるスクリーン版１３と、スキージ１４と、不図示のインク供給部およびスキージ駆動部とを備えている。インクジェットプリンタ９（６）は、例えば所定幅のラインインクジェットヘッド２１と、このラインインクジェットヘッド２１を往復移動させるためのヘッドキャリッジ２２とを備えている。
【００１７】
この構成のロータリ式印刷装置１では、不図示の駆動機構によって、印刷台７（１）〜７（６）および印刷ユニット９（１）〜９（６）を独立して旋回可能となっており、これらを相対的に旋回させることにより、印刷台７（１）〜７（６）を順次に、各印刷ユニット９（１）〜９（６）による印刷位置に移動させることが可能となっている。
【００１８】
次に、ロータリ式印刷装置１の印刷動作を説明する。以下の説明は、印刷ユニット９（１）〜９（６）を静止させ、印刷台７（１）〜７（６）を、印刷ユニット９（１）〜９（６）に対して３０度オフセットした角度位置を初期位置とした場合の印刷動作である。まず、不図示の供給機構によって、印刷台７（１）の載置面に被印刷物、例えばＴシャツ３０を供給して固定する。次に、各印刷台７（１）〜７（６）を３０度旋回させる。この結果、各印刷台７（１）〜７（６）が各印刷ユニット９（１）〜９（６）の印刷位置に至る。印刷ユニット９（１）により印刷台７（１）のＴシャツ３０にスクリーン印刷を行う。この後は、印刷台７（１）〜７（６）を３０度旋回させ、印刷台７（２）をＴシャツ供給位置に位置決めして、Ｔシャツ３０を供給する。
【００１９】
次に、印刷台７（１）〜７（６）を３０度旋回させて、各印刷台７（１）〜７（６）を各印刷ユニット９（２）、（３）・・・（６）、（１）の印刷位置に位置決めし、印刷台７（１）、７（２）に載っているＴシャツ３０に対して、それぞれ印刷ユニット９（２）および９（１）によってスクリーン印刷を行う。以後、印刷台（１）〜７（６）を３０度ずつ間歇的に旋回させて、Ｔシャツの供給および印刷動作を繰り返す。
【００２０】
各印刷ユニット９（１）〜９（５）では各Ｔシャツに対して共通の印刷情報を印刷する。これに対して、印刷台７（１）の載っているＴシャツ３０が最後の印刷ユニット９（６）の印刷位置に至ったときには、当該印刷ユニット９（６）はインクジェットプリンタであるので、各Ｔシャツ毎に異なった印刷情報を印刷可能である。例えば、本例では、着用者あるいは依頼者の名前などが印刷される。
【００２１】
印刷台７（１）が印刷ユニット９（６）において印刷された後に３０度旋回すると、再び、Ｔシャツ供給位置に戻る。この後は、印刷台から印刷済みのＴシャツを取り外して新しいＴシャツを供給する動作が各印刷台に対して行われる。
【００２２】
なお、印刷台７（１）〜７（６）を静止状態に保持し、印刷ユニット９（１）〜９（６）の側を旋回させて、印刷を行うこともできる。また、双方を反対方向に間歇的に旋回させながら印刷を行うことも可能である。さらに、印刷ユニットとして２台以上のインクジェットプリンタを含む構成を採用することも可能である。さらには、本例では、印刷台と印刷ユニットの個数を同一としてあるが、これらの個数を異なったものとすることもできる。
【００２３】
次に、図２は本発明を適用したロータリ式印刷装置の別の構成例を示す平面図および立面図である。本例のロータリ式印刷装置４０では、印刷台４７（１）〜４７（６）を同一円上に沿って旋回させ、スクリーン印刷機である印刷ユニット４９（１）〜４９（６）を静止させるようにしている。印刷台の旋回動作は上記の例の場合と同様である。また、インクジェトプリンタである印刷ユニット４９（７）をスライド機構４１に搭載し、各印刷ユニット４９（１）〜４９（６）から３０度オフセットした旋回位置にある一つの印刷台に載っているＴシャツに印刷を行うことのできる印刷位置Ａと、ここから後退した退避位置Ｂとの間をスライドできるようにしてある。
【００２４】
このロータリ式印刷装置４０では、各Ｔシャツ毎に異なる印刷情報を印刷する必要が無い場合には、印刷ユニット４９（７）を使用せずに、印刷台を３０度ずつ間歇的に旋回させて、各印刷ユニット４９（１）〜４９（６）によりスクリーン印刷を行う。Ｔシャツ毎に異なる印刷情報を印刷する場合には印刷ユニット４９（７）を駆動して、各印刷台のＴシャツに個別情報を印刷する。インクジェットプリンタによる印刷動作は、印刷の終わったＴシャツを印刷台から取り外し、新たなＴシャツを供給するための動作時間を利用して行うことができる。したがって、個別情報の印刷を行った場合においても、印刷工程全体のタクト時間を一定にできる。よって、生産性良く印刷動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明を適応したロータリ式印刷装置の説明図、スクリーン印刷機の説明図およびインクジェットプリンタの説明図である。
【図２】本発明を適用したロータリ式印刷装置の別の例を示す平面図および立面図である。
【符号の説明】
【００２６】
１、４０ ロータリ式印刷装置
２ 装置架台
３ 旋回中心軸
４ 上側回転輪
５ 下側回転輪
６、８ 支持腕
７（１）〜７（６）、４７（１）〜４７（６） 印刷台
９（１）〜９（５）、４９（１）〜４９（６） 印刷ユニット（スクリーン印刷機）
９（６）、４９（７） 印刷ユニット（インクジェットプリンタ）
１１ スクリーン枠
１２ スクリーン
１３ スクリーン版
１４ スキージ
２１ インクジェットヘッド
２２ ヘッドキャリッジ
４１ スライド機構
【特許請求の範囲】
【請求項１】
共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷ユニットとを有し、
前記印刷ユニットの少なくとも一つはインクジェットプリンタであり、残りの前記印刷ユニットはスクリーン印刷機であり、
前記複数の印刷台および前記複数の印刷ユニットを相対回転させ、各印刷台を各印刷ユニットによる印刷位置に順次に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴とするロータリ式印刷装置。
【請求項２】
共通旋回軸線を中心とする円周上を旋回可能な複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数のスクリーン印刷ユニットと、
前記印刷台の旋回軌跡の上方位置に前進して当該印刷台に載せた被印刷物に対して印刷を行うことのできる印刷位置および当該印刷位置から退避した退避位置の間を移動可能な少なくとも一台のインクジェットプリンタとを有し、
前記複数の印刷台を間歇的に旋回して、各スクリーン印刷ユニットおよび前記インクジェットプリンタによる印刷位置に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴とするロータリ式印刷装置。
【請求項３】
請求項１または２において、
前記スクリーン印刷機は被印刷物に共通の印刷情報を印刷し、
前記インクジェットプリンタは、被印刷物毎に異なる印刷情報を印刷することを特徴とするロータリ式印刷装置。
【請求項４】
請求項１または２に記載のロータリ式印刷装置を用いて、Ｔシャツ、パンツなどの衣類に印刷を行うことを特徴とする衣類の印刷方法。
【請求項５】
請求項４において、
被印刷物に印刷される印刷情報のうち、被印刷物に共通のものは前記スクリーン印刷機によって印刷を行い、
被印刷物毎に異なる印刷情報は、前記インクジェットプリンタによって印刷することを特徴とする衣類の印刷方法。
【請求項１】
共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数の印刷ユニットとを有し、
前記印刷ユニットの少なくとも一つはインクジェットプリンタであり、残りの前記印刷ユニットはスクリーン印刷機であり、
前記複数の印刷台および前記複数の印刷ユニットを相対回転させ、各印刷台を各印刷ユニットによる印刷位置に順次に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴とするロータリ式印刷装置。
【請求項２】
共通旋回軸線を中心とする円周上を旋回可能な複数の印刷台と、
前記印刷台の上方位置において、前記共通旋回軸線を中心とする円周上に所定の角度間隔で配置されている複数のスクリーン印刷ユニットと、
前記印刷台の旋回軌跡の上方位置に前進して当該印刷台に載せた被印刷物に対して印刷を行うことのできる印刷位置および当該印刷位置から退避した退避位置の間を移動可能な少なくとも一台のインクジェットプリンタとを有し、
前記複数の印刷台を間歇的に旋回して、各スクリーン印刷ユニットおよび前記インクジェットプリンタによる印刷位置に位置決めし、各印刷台に載せた被印刷物に印刷を行うようになっていることを特徴とするロータリ式印刷装置。
【請求項３】
請求項１または２において、
前記スクリーン印刷機は被印刷物に共通の印刷情報を印刷し、
前記インクジェットプリンタは、被印刷物毎に異なる印刷情報を印刷することを特徴とするロータリ式印刷装置。
【請求項４】
請求項１または２に記載のロータリ式印刷装置を用いて、Ｔシャツ、パンツなどの衣類に印刷を行うことを特徴とする衣類の印刷方法。
【請求項５】
請求項４において、
被印刷物に印刷される印刷情報のうち、被印刷物に共通のものは前記スクリーン印刷機によって印刷を行い、
被印刷物毎に異なる印刷情報は、前記インクジェットプリンタによって印刷することを特徴とする衣類の印刷方法。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−２１２９７８（Ｐ２００６−２１２９７８Ａ）
【公開日】平成１８年８月１７日（２００６．８．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２９３４２（Ｐ２００５−２９３４２）
【出願日】平成１７年２月４日（２００５．２．４）
【出願人】（５９４１０６９１１）株式会社マスターマインド (12)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年８月１７日（２００６．８．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年２月４日（２００５．２．４）
【出願人】（５９４１０６９１１）株式会社マスターマインド (12)
【Ｆターム（参考）】
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