説明

T字型矯正枕

【課題】これまでの矯正枕では、頸椎の彎曲を維持、回復させる事のみに重点がおかれ、首、肩及び胸の筋肉を十分に伸ばす事に関しては、全く考慮されていなかった。しかし現代生活において、人は俯きかげんの姿勢で動作する事が多くなり、首、肩及び胸の筋肉が縮こまるようになってきている。この問題を解決するためには、首、肩及び胸の筋肉を大きく伸展させる手段が必要となっている。
【解決手段】後頚部に棒体の枕1をあてて後頭部を床につければ、顎がリフトアップし、首の前面部の筋肉が十分に伸びる。背骨に沿って背中中央部に棒体の枕2をあてると、肩峰が身体より低い位置となり、胸が十分拡がり胸筋が十分伸びることが出来るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一番リラックスした状態になる仰臥位で使用する。顎をリフトアップして、前頚部分を伸ばし、肩峰を身体より低い位置に下げて、肩を伸ばし、胸筋を十分伸張する事が出来る。猫背や前屈みぎみの人の首や肩の矯正と予防を無理なく自然体で出来るT字型矯正枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の矯正枕は、頸椎の生理的状態を維持するか、又は失われた湾曲を取り戻すための矯正・予防に重点を置き、首や肩、胸を十分に伸ばすことはしない。
【0003】
頸椎の生理的湾曲を維持するのは筋肉の作用が大きい。筋肉は動かさないと衰える。今までの矯正枕は生理的湾曲の維持、矯正のみに重点をおいていた。しかしこれでは、首全体、肩全体、胸全体の筋肉を動かすまでに至らないという問題がある。
【0004】
【特許文献1】実用新案出願平3−108447
【0005】
【特許文献2】特願平3−297553
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の矯正枕では、
(1)前頚面部の筋肉の十分な伸びが足りない。
(2)肩と胸の筋肉の十分な伸びが足りない。
(3)特に、首、肩、背中等に肉がついている人の場合、筋肉が全然伸びないし、動かな い。
【0007】
日常動作で、俯き姿勢での長時間の作業をする事が多い。どうしても首は重い頭部を支えようとして前方に傾きがちになる。頭部の重量と常にバランスを保とうとして、首の後方の筋肉にどうしても力が働くことになる。その上、前屈みの長時間の作業や動作、猫背等、首の負担が多くなると首に掛かる加重は一層大きくなる。
【0008】
かつて、日本人は着物をきて暮らしていた時代がある。手を後ろにまわして帯を締め、たすきをかけて掃除をする。子供をおんぶしながら炊事、洗濯をする。その時の動作は、胸を張る、肩を上げる、あごを上げる、背筋を伸ばす、腰に力をいれるという、不自然だったり、つらい動作ではあるが、正しい姿勢を保つための理にかなった動作である。
【0009】
現代では、楽を求めて便利な社会になり、つらい動作はしなくてもすむようになった。しかし楽した結果、使われない筋肉はがどんどん増えてきて、これらの使われない筋肉はどんどん細り、その結果筋肉の代謝が悪くなってくる。
【0010】
筋肉が身体に与える生理作用を簡単に説明する。
筋肉の収縮により、その付着する骨が移動し、関節運動を行う。筋肉の収縮によって熱を発生し、体温を上昇させる。筋肉の収縮は、近接している静脈やリンパ管を圧迫する。静脈やリンパ管には弁があり、圧迫された静脈血やリンパ液は、しごかれるように、一方向に流れる。このように、血液やリンパ液の還流は筋肉の収縮により促進される。筋肉は、循環系の環流を促進するポンプの働きをする。
参考文献;解剖学 社団法人東洋療法学校
【0011】
筋肉は、上述したように、一つ一つ、つながりをもって協調しながら働いている。例えば、俯いて長い作業を続けていると、正常な脊椎の湾曲が保てず、様々な症状がでてくる。正しい湾曲であれば、体重の支持に最小の力で無理なく楽な姿勢でいられる。悪い生活習慣や老化により、筋肉が劣えたりすると、働かない筋肉が増えて、バランスが崩れ、猫背になったり、正しい姿勢が保てなくなる。特に首は、神経や血管が集中しているところなので、使わない代謝の悪い筋肉が神経や血管を圧迫したり、心臓や脳に栄養を送る血管も首や鎖骨の下を通る重要な場所であるから、首の筋肉の衰えは、全身のバランスを崩し、様々な悪影響を及ぼすのは明白である。そしてこれらの課題を解決するために、前頚面部の筋を十分伸張し、肩を大きく伸展し、胸筋を十分伸張する事の出来るT字型矯正枕を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1の発明にかかるT字型矯正枕は、後頚部にあてる棒体の枕と、背骨に沿って背中の中央部にあてる背当てをT字に組み合わせて形成されている。請求項2にかかる発明は、仰臥位で後頭部が床に着くくらいの高さの棒体の枕を後頚部にあてることで、顎を十分にリフトアップ出来る。又、仰臥位で肩峰を身体より低い位置に下げることができる高さと身体が安定する形の棒体の背当てを背骨に沿って身体の中央部に当てる事により、胸筋が十分に伸び、肩や胸及び背中の筋肉が動くように構成されている。請求項3にかかる発明は、枕を単独で使用する事が出来る。背当てと切り離して使用する事も出来るし、それぞれ適当なサイズ、形状の背当てと組みあわせて使用する事も出来るように構成されている。請求項4にかかる発明は、背当てだけでも使用する事も出来る。枕と切り離して使用する事はもちろん、体格の違いにより、異なるサイズや形状の枕と組み合わせての使用も可能である。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明のT字型矯正枕は、次に列挙する効果が得られる。
(1)後頭部や背骨に沿って、枕と背当てを当て、顎をリフトアップし、背中央部を持ち 上げると、首、肩、背、胸の筋肉が動き、特に首や胸を十分伸ばす事が出来る。
(2)首は、特に神経、血管が束になって通っている部分である。首や肩を動かすことで 、筋肉の収縮、伸張を促し、圧迫されていた神経、血管を拡げ代謝を促進する事が 出来る。
(3)特に、首や背、肩に肉のついた人は、高めの枕や高めの背当てをあてることにより 、首だけでなく、肩や背、胸をも十分伸ばす事が出来る。自分の都合の良い時、場 所で体調にあわせて矯正することができる。
(4)T字型矯正枕は、枕と背当てを取り外す事が出来る構造を有しているので、それぞ れ単独で使用する事が可能である。
(5)体型又は使用目的によって、枕や背当てのサイズや形状の組み合わせを自由に変え て使用する事が可能である。
(6)自分の都合のよい時、場所で簡単に矯正する事が出来る。
(7)外部からの力が加わらないため、非常に安全である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のT字型矯正枕の斜視図とA−A線に沿った断面図を示す。図中、1が枕を、2が背当てを示す。
【0015】
図2は、本発明にかかるT字型矯正枕に人が仰臥した状態を示すものである。この図から、後頭部が床につき、顎が十分に伸ばされている様子がわかる。
【0016】
図3は、本発明にかかるT字型矯正枕に人が仰臥した状態を頭の方向から見た様子を示すものである。この図から、肩が下がり胸が大きくひらかれている様子がわかる。
【0017】
図4は、枕と背当てを取り外した状態を示すものである。それぞれの斜線部分が接合部分となっており、適当な接着手段がつけられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のT字型矯正枕の斜視図とA−A線に沿った断面図である。
【図2】本発明のT字型矯正枕に人が仰臥した時の縦断面図である。
【図3】本発明のT字型矯正枕に人が仰臥した時の頭方向から見た断面図である。
【図4】本発明のT字型矯正枕の枕と背当てを取り外した図である。
【符号の説明】
1.後頚部をのせる枕。 2.背中中央部をのせる背当て

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仰臥位で使用する、首の後ろ側(後頚部)にあてる棒体の枕と、背骨に沿って背中にあてる棒体の背当てを組み合わせて形成する事を特徴とするT字型矯正枕。
【請求項2】
後頚部に顎をリフトアップするための棒体の枕と、背骨に沿って背中央部に肩峰が身体より低い位置になるようにするための背当てがT字型に組みあわされている。その枕の上に仰臥して、首、肩、背、胸を十分伸ばすことが出来るように形成されているT字型矯正枕。
【請求項3】
後頚部にあてる棒体の枕は後頭部が床について、顎がリフトアップ出来る形状となっている。形状は、円筒形が最も適していると考えられるが、楕円筒形、半円筒形でも良いし、台形筒形、三角筒形等々でもかまわない。横幅は使用者の肩幅程度かそれより若干短い程度。ある程度の硬さがあれば材質は問わない。図1の枕(図中、1の部分)は、背当て(図中、2の部分)と切り離すことが出来る構造となっている。枕と背当てとの結合部分に、着脱可能な接着手段を有している(図4参照)。これにより、枕単独又は背当て単独でも使用でき、あるいは、枕と背当てのサイズ、形状等を使用者に合わせて適当なものを選んで組みあわせる事も可能となっている事を特徴とするT字型矯正枕。
【請求項4】
背骨に沿って背中の中央部分にあてる背当ては、仰臥位で肩峰が身体より低い位置になるような高さがある棒体のものである。又、肩胛骨の動きを妨げない幅であり、ウエスト部までの長さがあり、身体の安定を保つ形状となるように台形筒形が最も適している考えられるが、円筒形、楕円筒形、半円筒形等身体を乗せられる形状であればよい。ある程度の硬さがあれば材質は問わない。[請求項3]で述べたように、背当ては枕との結合部に着脱可能な接着手段を設けることにより、枕から切り離す事が出来る構造となっている。背当て単独でも使用可能な構造を持つT字型矯正枕。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−75641(P2010−75641A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272481(P2008−272481)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(506028694)
【Fターム(参考)】