説明

TAMRヘッドおよびその製造方法

【課題】光源と光導波路との正確な位置合わせに好適なTAMRヘッドを提供する。
【解決手段】本発明のTAMRヘッドは、光源、主導波路、AWVG構造を備える。主導波路は、ABSに露出した端面を有する矩形状の第1の部分と、平面形状が台形状の第2の部分と、第3の部分とをABSの側から順に有する。AWVG構造は、主導波路に沿って延在し、主導波路を挟んで対称に配置された第1および第2のAWVGを含む。第1および第2のAWVGは、それぞれ、ABSに近い位置から順にABSに露出して光を射出する端部第1のガイド領域部分と、第2のガイド領域部分と、第1の部分を通過する光の一部を受光する光結合部分とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録(TAMR:thermally assisted magnetic recording)に基づく磁気再生/記録ヘッド(以下、単にTAMRヘッドという。)に関し、特に、主導波路の両側にアラインメント導波路(alignment waveguide)を設けることによって、光源からの光を主導波路(main waveguide)の中央に向け、それによって、アラインメント方法をより簡単にするとともに、光源における電力を減少させるTAMRヘッド、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TAMRは、次世代を担う磁気記録技術の1つとして期待されており、これを用いれば、1平方センチメートルあたり最大1〜10テラビットのデータ密度での記録が可能となるであろう。TAMRにおいては、磁気記録媒体の小さな領域の温度を、キュリー温度近くまで上昇させる。キュリー温度においては、保磁力および磁気異方性の双方が大幅に低下し、高記録密度スキームの微小な記録ヘッドにおいて特徴的にみられる弱い記録磁界によってでも、磁気記録をより容易に実現することができる。TAMRでは、記録処理の際、光源からの光パワーを変換して、磁気記録媒体を局所的に加熱する。それにより、媒体粒子の磁化をスイッチングするのに必要となる記録磁界の強度を一時的に低下させる。このようにして、記録技術の現状を鑑みると、TAMR単独で作用する場合、または高磁界勾配とともに作用する場合における鋭い温度勾配によって、データ記録密度をより向上させることができる。
【0003】
TAMRヘッドは、従来の記録ヘッドの構成要素に加えて、通常、光導波路(WG:wave guide)と、プラズモンアンテナ(PA:plasmon antenna)またはプラズモンジェネレータ(PG:plasmon generator)とを備えている。WGは中間経路として機能し、光源からのレーザ光を、PAまたはPGへと導く。PAまたはPGにおいて、光学モードは、PAの局所的なプラズモンモード、またはPGの伝播プラズモンモードと結合する。光エネルギーがプラズモンエネルギーに変換されると、PAにおける局所的なプラズモン励起、またはPGに沿ったエネルギー変換によって、プラズモンエネルギーは磁気記録媒体において加熱が必要な箇所に集中する。最適なTAMR性能を実現するためには、記録ヘッドからの磁界によって、加熱スポットを正確に配向することが理想的である。
【0004】
特許文献1に開示されているTAMRヘッド構造では、例えば図1Aに示したように、光導波路と結合するエッジプラズモンモードを用いている。この従来の磁気記録構造の構成要素としては、主磁極101と、リターンポール103と、記録コイル105とが含まれ、これらは、エアベアリング面(ABS:air bearing surface)108に沿って形成されている。光導波路104は、入力された光波106をABS108へと導く。図1Aの左側の平面図に示したように、PG102は一端面がABS108に露出した三角柱状をなしている。また、図1Aの左側の断面図(ABSと直交する断面図)に示したように、PG102は、ABS108から一定の距離に亘って延在してWG104とY軸方向に重なり合う位置まで達する。光波106は、励起されたエッジプラズモン(EP:edge plasmon)モード107と結合する。EPモード107は励起され、WG104に隣接するPG102の鋭利なエッジ109に沿って伝播する。EPモード107は、さらに、ABS108へと光パワーを移動させ、PG102の下方(Z軸方向の延長上)に配置された磁気記録媒体(図示せず)を局所的に加熱する。PG102は、通常、Ag(銀)およびAu(金)などの貴金属からなる。これらの貴金属は、光学的に駆動される表面プラズモンモードを生じさせるのに優れているとされている。EPモード107の局所的な閉じ込めは、PG102の三角形の尖端部(頂点)の角度および丸みの大きさによって決定される。図1Bに、傾斜10を備える磁界プロファイル(上方の図)と、傾斜13を備える加熱プロファイル(下方の図)とを示す。この磁界プロファイルと加熱プロファイルとは、破線で表す垂線14−14の位置において、わずかにオーバーラップしている。
【0005】
TAMR記録においては、光源からの光を最大の光強度でPGへ送る必要がある。光源は、導波路に直接接続するレーザダイオード(LD:laser diode)であってもよいし、あるいは、レンズを用いて導波路の入り口に合焦される自由空間光線(free space light beam)であってもよい。クロストラック方向(トラック幅方向)における導波路の大きさは1μmよりも小さいため、アラインメント精度は重要であり、アラインメントは動的な様式で行われることが好ましい。アラインメントを最適化すれば、ABSにおける一定のプラズモン波エネルギーを送るために必要な光源パワーは減少し、導波路における正確なモード励起が確実となる。よって、位置精度の最適化は重要である。LDにおいては、使用する電力が少なければ、寿命が伸びるとともに、劣化を引き起こすおそれのある局所的加熱を減少させることができるという利点がある。また、低電力方式であれば、その分、使用するLDも小さいものでよく、LDが小さければ、スライダの後端部の限られた空間にも簡単に収めることができる。
【0006】
アラインメントは、通常、ヘッドの製造工程の非記録状態において、主導波路が近接場素子に光を送るために使用されていないときに行われる。注意しなければならないことは、TAMRヘッド内に設けられたアラインメント部品は後続の記録工程において残っているであろうが、中央導波路における主伝送モードを妨げるものであってはならない。アラインメントはLDを導波路に物理的に取り付ける前に行うことが好ましく、1度の処理動作であるとされる。しかしながら、レンズまたは鏡を用いて送られ、合焦した光線においては、例えば、TAMRヘッドの製造完了後の期間を含め、2度以上アラインメントを繰り返すことも考えられる。
【0007】
従来技術に関して、所定の調査を行った結果、下記のような先行技術文献を得た。
【0008】
特許文献2には、アラインメントのために、中央の導波路の両側に他の導波路が形成されている。他の導波路は、ABSからスライダの後端部へと延在し、中央の導波路全体に沿って、中央の導波路に対して平行となっている。他の導波路は、中央の導波路と比べて、ABSにおける断面積が大きく、実質的により高い光密度の光を送るものと考えられる。
【0009】
特許文献3には、導波路のクラッドを通して射出された光の光路を、光シールドを用いて遮断することにより、導波路のコア内の光強度を測定する方法が示されている。
【0010】
特許文献4には、光強度の測定に使用できる調節可能な強誘電体フォトニック素子を用いて光を操作する方法が開示されている。
【0011】
特許文献5には、二重導波路構成が開示されており、この構造では、第1の導波路が、第2の導波路との界面にある焦点領域に光を伝える。第1の導波路はTa25などからなり、第2の導波路は、金属層と、焦点領域に隣接する傾斜した開口からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開2010/0103553号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開2009/0052077号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開2009/0165285号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開2008/0019648号明細書
【特許文献5】米国特許第7706654号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
最近では、光導波路と、それに対して光を入射する光源との相対位置が、より正確であることが要求されるようになっている。また、そのような相対位置の精度を向上させることができるような簡便な方法が望まれている。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、TAMRにおける導波路構造のアラインメント方式を改善し、それにより、光源に必要な電力を減少させるとともに、プラズモンジェネレータなどの近接場素子に光を送る主導波路における励起モードを妨げないようにすることにある。
【0015】
本発明の第2の目的は、第1の目的に係るアラインメント方式を、強度およびパターンの複雑な比較測定を含まない、単純な測定技術によるものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的は本発明のTAMRヘッドおよびその製造方法によって達成される。
【0017】
本発明の第1のTAMRヘッドは、(a)光を発する光源と、(b)ABSと直交する方向へ延在し、光源からの入射光をABSに露出した近接場素子へ送る主導波路と、(c)AWVG構造とを備える。ここで、主導波路は、(1)ダウントラック方向から眺めた平面形状が矩形状であり、ABSに露出した第1の前方端面と、ABSから第1の距離に位置する第1の後方端面と、第1の前方端面と第1の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第1の部分と、(2)ダウントラック方向から眺めた平面形状が台形状であり、第1の後方端面と接する第2の前方端面と、第2の前方端面よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2の後方端面とを含む第2の部分と、(3)第2の後方端面と接する第3の前方端面と、光源と対向する第3の後方端面と、第3の前方端面と第3の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第3の部分とを有する。AWVG構造は、主導波路に沿って延在し、主導波路を挟んで対称に配置された第1および第2のAWVGを含み、第1および第2のAWVGは、それぞれ、ABSに近い位置から順に(1)主導波路と実質的に平行に延在し、ABSに露出して光を射出する第1の前方端部と、ABSと反対側の第1の後方端部とを含む第1のガイド領域部分と、(2)第1の後方端部と接続された第2の前方端部と、ABSと反対側に位置すると共に第2の前方端部よりも主導波路の近くに位置する第2の後方端部とを含む第2のガイド領域部分と、(3)主導波路と実質的に平行に延在し、主導波路の側面から第1の部分を通過する光の一部を受光する光結合部分とを有する。
【0018】
本発明の第1のTAMRヘッドに対応した第1の形態としてのTAMRヘッドは、例えば以下のようなものである。すなわち、このTAMRヘッドは、光源から光を受光したのち、入力された光エネルギーの大部分をエッジプラズモンジェネレータ(EPG:edge plasmon generator)などの近接場素子へと送る主導波路を備える。EPGは、光をプラズモン波へと変換し、ABSおよび記録媒体において近接場を生成する。主導波路は、ABSからスライダの後端部へと延在する縦方向の大きさを有し、第1の軸がクロストラック方向を表し、第2の軸がABSに対して垂直であるとともに素子の後端部に向かう方向を表す上面から見ると、3つの部分(セクション)によって構成されている。第1の部分は、矩形状をなし、ABSに露出した端部と、第1の平面に沿ってABSから第1の距離をもって形成された反対側の端部とを有する。また、クロストラック方向に幅を有する。2つの側面に沿った第1の距離は、実質的に幅よりも大きい。第2の部分は、台形状をなし、第1の平面において第1の部分の端部に隣接する第1の端部と、第1セクションの幅よりも実質的に大きい幅を有する第2の端部と、第2の部分の第1端部と第2端部とを接続する2つの側面とを有する。第3の部分は、第2の部分の第2の端部に隣接するとともに、スライダの後端部に向かって縦方向へ延在している。第3の部分の幅は、例えば、第2の部分の第2の端部の幅と等しい。EPGは、三角柱状をなし、頂点(先端部)において収束するプラズモン層によって構成された2つの側面を有してもよい。頂点(先端部)は、基本的に、主導波路の第1の部分上面または下面に面するエッジであるとともに、主導波路の第1の部分の上面または下面から所定の間隔を有するように離間している。EPGは、ABSから1μm以上2μm以下の距離をもって延在し、主導波路からダウントラック方向に位置していてもよい。
【0019】
本発明の第2のTAMRヘッドは、(a)光を発する光源と、(b)ABSと直交する方向へ延在し、光源からの入射光をABSに露出した近接場素子へ送る主導波路と、(c)AWVG構造とを備える。主導波路は、(1)ダウントラック方向から眺めた平面形状が矩形状であり、ABSに露出した第1の前方端面と、ABSから第1の距離に位置する第1の後方端面と、第1の前方端面と第1の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第1の部分と、(2)ダウントラック方向から眺めた平面形状が台形状であり、第1の後方端面と接する第2の前方端面と、第2の前方端面よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2の後方端面とを含む第2の部分と、(3)第2の後方端面と接する第3の前方端面と、光源と対向する第3の後方端面と、第3の前方端面と第3の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第3の部分とを有する。AWVG構造は、主導波路に沿って延在し、主導波路を挟んで対称に配置された第1および第2のAWVGを含み、第1および第2のAWVGは、それぞれ、(1)主導波路と実質的に平行に延在し、主導波路の側面から主導波路を通過する光の一部を受光する光結合部分と、(2)光結合部分と接続された第1の端面と、ABSもしくはABSと異なる面に露出する第2の端面とを含み、第2の端面から外部の光測定素子へ向けて光を射出することにより光源と主導波路とのアライメントを行うガイド領域部分とを有する。
【0020】
本発明の第2のTAMRヘッドに対応した第2の形態としてのTAMRヘッドは、例えば以下のようなものである。すなわち、このTAMRヘッドは、2つのAWVGが、主導波路の第2または第3の部分の側面に対して平行に形成された光結合部分と、その光結合部分の端部と接続され、ABS、またはスライダの側面もしくは後端面に露出した端面を有するガイド領域部分とによって構成されてもよい。例えば、2つのAWVGは、おおよそ直線形状の構造を有し、ABSから主導波路の第3の部分の側面に近接するとともにスライダの後方端面に向けて延在してもよい。本発明の第2のTAMRヘッドにおいて、光結合部分の後方端部とスライダの後方端面との間に光ブロック(light block)材料を形成することが好ましい。任意で、ガイド領域部分を湾曲させ、スライダの表面のうち最も近い側面において終了するようにしてもよい。あるいは、ガイド領域部分は、180度以上湾曲し、スライダの後方端部において終了してもよい。光結合部分の幅と、ガイド領域部分の幅とは等しいことが好ましい。
【0021】
本発明における導波路構造の重要な特徴は、主導波路の両側にアラインメント導波路(AWVG:alignment waveguide)を追加する点である。本発明の第1の形態によれば、2つのAWVGは、上面から見ると、主導波路の中央に対して対称的な設計をなし、ABSから第1の距離をもって延在している。各AWVGは、3つの部分によって構成され、そのうちの第1の部分は、矩形状をなし、ABSに露出した端部と、主導波路の第1の部分の側面に対して平行に形成された2つの側面とを有する。第1のガイド領域部分の側面は、主導波路に面し、主導波路から第2の距離をもって離間している。ABSとは反対側の第1のガイド領域部分の後方端部は、第2のガイド領域部分の前方端部に隣接している。第2のガイド領域部分は、主導波路の第1の部分に近づくように傾斜している。このため、主導波路から第2のガイド領域部分の後方端部までの距離(結合間隙距離(coupling gap distance))が第2の距離よりも短くなるようになっている。2つのAWVGにおける光結合部分は、矩形状をなし、第2のガイド領域部分の後方端部から所定の結合長距離(coupling length distance)を隔てて主導波路に対して平行に延在している。各ガイド領域部分のクロストラック方向における大きさ(幅)は同じ値であるとともに、主導波路の第1の部分の幅よりも小さいことが好ましい。任意で、AWVGは、ABSと第1の部分の後方端面との間で終了してもよいし、あるいは、第1の部分の後方端面を越えて延在してもよい。その場合、光結合部分は、主導波路の第2の部分に対して平行に形成される。
【0022】
本発明では、ABSに向かって主導波路を伝播する光の一部が、光結合部分の2つのAWVGに進路変更する(divert)ので、アラインメント性能が向上する。各AWVGの出口(outlet)はABSに露出しており、それにより、各AWVGによって受光された光線は、光検出器、または、CCDカメラへと導かれる。光検出器では光強度が測定される。また、CCDカメラでは画像が撮影され、その画像データがコンピュータへと送られ、2つのAWVGの各出口の光強度が計算される。光結合部分の結合長および幅、ならびに結合間隙距離を変化させることによって、各AWVGによって受光される光強度を調整してもよい。ダウントラック方向における最適なアラインメントは、両方のAWVGの光強度の和が光源の所与のLDパワーにおいて最大となるときに実現する。また、クロストラック方向における最適なアラインメントは、2つのAWVGから射出される光強度の差|IAWVG1−IAWVG2|が最小となるときに達成される。したがって、従来のアラインメント方式とは異なり、主導波路からの光出力を観察しなくてもよい。ある態様においては、光結合セクションの幅を隣接する主導波路の第1セクションの幅よりも小さくすることによって、感度を上げ、アラインメント測定の精度を改善することができる。これは、通常、TAMR製造の際、LD光源を主導波路の端部に最終的に固定する前に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】従来のTAMRヘッドの構成を表す平面図および断面図である。
【図1B】従来のTAMRヘッドにおける磁界プロファイルおよび加熱プロファイルを表す特性図である。
【図2】本発明のTAMRヘッドと関連するEPG構造を説明するための断面図である。
【図3A】第1の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。
【図3B】図3Aに示した導波路構造の要部を拡大して表す平面図である。
【図3C】図3Aに示したTAMRヘッドの、ABSに露出した端面の構成を表す平面図である。
【図3D】図3Aに示したTAMRヘッドの作用を説明するための概念図である。
【図3E】図3Aに示したTAMRヘッドの作用を説明するための他の概念図である。
【図4】第2の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。
【図5A】第3の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。
【図5B】図5Aに示した導波路構造の要部を拡大して表す平面図である。
【図5C】図5Aに示したTAMRヘッドの、ABSに露出した端面の構成を表す平面図である。
【図5D】図5Aに示したTAMRヘッドの作用を説明するための概念図である。
【図5E】図5Aに示したTAMRヘッドの作用を説明するための他の概念図である。
【図6】第4の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。
【図7】第5の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。
【図8】第6の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。
【図9】本発明の実施例としてのTAMRヘッドにおいて、2つのAWVGおよび主導波路から射出された光を観察したものである。
【図10】本発明の実施例としてのTAMRヘッドにおける、CWGおよびAWVGの光強度を表した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の対象、特徴および長所は、以下に述べる実施の形態の記載により理解できる。
【0025】
本発明は、エッジプラズモンジェネレータ(EPG:edge plasmon gnenerator)などの近接場素子とともに用いる導波路構造を備えたTAMRヘッドであり、主として2つのアラインメント導波路によって、光源からの光を主導波路に向けるものである。主導波路は、また、中央導波路とも呼ばれ、通常、クラッド層に囲まれたコアを含む。アラインメント導波路(alignment waveguide)は以下ではAWVGと記す。なお、このTAMRヘッドは、再生/記録複合ヘッドの一部を構成するものであってもよい。さらに本発明は、主導波路の中央近くの光強度を最適化する方法に関するものであり、光源によって発せられたのち主導波路を透過する光の一部が、ABS、または、スライダーの側面もしくは端部に出口(outlet)を有する2つの隣接するAWVGへと進路変更する方式を含む。また、光の一部が主導波路からAWVGへと移動(進路変更)することを、結合という。主導波路およびAWVGを含むTAMR構成要素の上面および下面は、ダウントラック方向、またはダウントラック方向とは反対の方向のいずれかを向いている。
【0026】
図2に、本出願人が以前出願したEPG構造を表す。このEPG構造は、その断面が三角形状をなすことによって、先端部24tに集中されるエッジプラズモンモード27と導波路23からの入力光26とを結合させる。導波路23はABSからリセスしていてもよい。それまでのTAMRヘッドとは異なり、EPG22は磁性コア21と、厚さcを有し、導波路23に面する先端部24tにおいて収束する2つの側面を含むプラズモン層24を有する。磁性コア21および主磁極層(図示せず)は、Co,Fe,Ni,およびBのうちの1以上の物質、またはこれらの合金によって構成されてもよい。ある態様において、主磁極と、磁性コア21とは同じ構成であってもよい。プラズモン層24は、厚さcが約10nm以上100nm以下であるAu、Ag、またはAuおよびAgからなることが好ましく、ABSに対して垂直であるz軸(縦)方向に延在する。ある実施の形態において、プラズモン層24は、2つの側面を含み、それら2つの側面は、頂点または先端部24tにおいて収束して「V」字型を形成し、EPG22の第3の側面を形成する磁性コア21の上を覆う。なお、第3の側面21sは、主磁極に隣接することが好ましく、主磁極層のリーディングサイドの一部としてもよい。当然ながら、記録処理の際、主磁極(およびTAMRヘッド)は、Y方向、すなわちダウントラック方向とは反対方向に動く。X軸はクロストラック方向を表し、Z軸は素子の後端部に向かう方向(ABSと直交する方向)を示している。なお、変形例として、側面21sと主磁極との間に、分離層を含んでもよい。
【0027】
プラズモンモードは、光レーザなどによって生成される光周波数の電磁放射との放射結合によって生成され、プラズモン層24の内部をABSへ向かって送られる。一方、磁性コア21は、磁束をEPGの加熱点近くに集中させ、記録の際に、磁気媒体の加熱箇所における磁界(図示せず)を増強する。このようにして、EPG22は、効果的に磁極の延長となり、最大勾配が、プラズモン層24内で生成されたエッジプラズモンによって加熱された磁気媒体領域にオーバーラップする磁界を生成する。接近したオーバーラップによって、記録磁極からの磁界は、より効果的に磁気媒体の局所的磁化を変化させることができるようになる。それにより、磁気記録は大幅に増強され、微小な表面領域に磁気記録を限定することができる。先端部24tと導波路23との間隙の距離vは、例えば20nm以上50nm以下とする。また、その間隙を、酸化ケイ素、アルミナ、酸窒化ケイ素、またはMgF2によって埋めることによって、導波路23とEPG22との間の光移動を最適化することが好ましい。
【0028】
[第1の実施の形態]
図3Aは、本発明の第1の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。ここでは、本発明の特徴部分である導波路構造を表し、TAMRヘッドを構成する他の構成要素(例えば主磁極やその周囲の層など)については図示しない。当然ながら、本実施の形態の導波路構造は、主磁極、近接場素子、または主導波路の詳細構造に関わらず、いかなるTAMRヘッドにも適用可能である。例えば、このTAMRヘッドは、書込対象とする磁気記録媒体上の所定領域を、主磁極、EPG、導波路構造の順に通過するものでもよいし、あるいは、逆の順番で通過するものでもよい。また、このTAMRヘッドは、光源30と共にスライダ(図示せず)に搭載されたものである。
【0029】
図3Aに示したように、本実施の形態のTAMRヘッドにおける主導波路41は、第1から第3の部分41a〜41cを有している。図3Bに、第1の部分41aの近傍を拡大して表す。第1の部分41aは、ダウントラック方向(Y軸方向)から眺めたときに、ABS40から+Z方向(後方という。)へ延在する矩形の平面形状を有している。なお、以下では、ある基準位置よりもABS40に近い位置、もしくはその基準位置からABS40に近づく方向(−Z方向)を前方といい、ある基準位置よりもABS40から遠い位置、もしくはその基準位置からABS40から遠ざかる方向(+Z方向)を後方という。第1の部分41aは、ABS40に露出した前方端面41eと、それと反対側に位置する後方端面と、それら前方端面41eと後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含むものである。第1の部分41aの後方端面は、ABS40と平行である境界面48において第2の部分41bの前方端面と接続されている。また、第2の部分41bの後方端面は、ABS40と平行である境界面49において第3の部分41cの前方端面と接続されている。第2の部分41bは、台形の平面形状を有しており、互いに平行な前方端面および後方端面と、それらを繋ぐ一対の側面41r1,41r2とを含んでいる。第2の部分41bでは、前方端面から後方端面へ+Z方向へ進むほど第2の部分41bのトラック幅方向の寸法が拡大している。第3の部分41cは、基本的に矩形の平面形状を有している。第3の部分41cは、ABS40と反対側の端面が、スライダの一表面に設けられた光源30と対向するようになっている。光源30は、第3の部分41cの後方端面に固定されてもよいし、あるいは、第3の部分41cの後方端面から一定距離だけ離間していてもよい。
【0030】
図3Cは、このTAMRヘッドの、ABS40に露出した端面の構成を表している。TAMR記録処理の際、主導波路41によって受光された光の大部分は、第1の部分41aの前方端面41e近傍の近接場素子(図3C)に結合し、プラズモン波31c(図3B)に変換される。プラズモン波31cは、ABS40へと送られ、ABS40およびABS40に近接する磁気記録媒体(図示せず)において近接場を生成する。好適な実施の形態において、本発明は、図2において既に説明したように、プラズモン層を備えた近接場素子としてEPG22を用いる。EPG22は、ABS40に露出した一の端面を有し、例えば1μm以上2μm以下の長さを有するようにZ軸方向へ延在している。
【0031】
本実施の形態の重要な特徴は、2つのAWVGを含み、それを利用することで非記録状態時にアラインメント処理を行うことが可能である点にある。アラインメント処理は、主導波路41の後方端部に光源30を固定する直前に行われることが好ましい。光源30は、一旦固定されると、その適切なアラインメント位置から動かしてはならない。よって、通常、アラインメント処理は一度だけ行う。本実施の形態によれば、図3A,3Bに示したように、主導波路41(第1の部分41a)に沿って延在し、主導波路41(第1の部分41a)を挟んで対称に配置された一対のアラインメント導波路(以下、AWVG42およびAWVG43とする)が設けられている。AWVG42およびAWVG43は、Z軸方向に沿って主導波路41を2等分する仮想の平面44に対して対称的に形成され、互いに鏡像の関係にあることが好ましい。このような対称的な構成により、光31a(図3Aおよび図3D)が最適に主導波路41の第3の部分41cの中央に向かっているとき、AWVG42およびAWVG43において基本的に同一の光強度を測定するようなアラインメント方法を実現することができるという利点がある。
【0032】
AWVG42,43は、それぞれ、ABS40の側からガイド領域部分42a,43aと、ガイド領域部分42b,43bと、光結合部分42c,43cとを含んでなるものである。ガイド領域部分42a,43a、ガイド領域部分42b,43b、および光結合部分42c,43cは、トラック幅方向において全て同じ幅w1を有している。幅w1は、例えば0.4μm以上0.8μm以下である。
【0033】
ガイド領域部分42a,43aは、それぞれABS40に露出した端部42e,43eを有し、ABS40から後方へ1μm以上50μm以下の距離d3に亘って延在している。ガイド領域部分42a,43aは、第1の部分41a(図3B)の側面41s1,41s2に対してそれぞれ平行に延在している。ガイド領域部分42a,43aと第1の部分41aとは離間しており、トラック幅方向(X軸方向)におけるその距離w3は、2μm以上20μm以下である。ガイド領域部分42a,43aはそれぞれ、ABS40と反対側の、ABS40に平行な平面46に沿った後方端部を有している。この後方端部において、ガイド領域部分42b,43bの前方端部と接合している。
【0034】
ガイド領域部分42b,43bは、ガイド領域部分42a,43aの後方端部と接続された前方端部よりも、平面46と反対側の平面47に位置する後方端部のほうが主導波路41の近くに位置している。すなわち、ガイド領域部分42b,43bは、ABS40から遠ざかるほど(平面46から平面47に近づくほど)主導波路41に近づくように延在している。したがって、ガイド領域部分42b,43bの側面42s,43sは、第1の部分41aの側面41s1,41s2に対して傾斜した状態となっている。平面46と平面47との距離d2は、距離w3、およびガイド領域部分42a,42bとガイド領域部分43a,43bとによってそれぞれ形成される角度αによって決まる。角度αは、0度以上30度以下であることが好ましい。変形例として、製造工程の性質によって、側面42s,43sが一定量湾曲していてもよい。実際のところ、ガイド領域部分42a,43a、ガイド領域部分42b,43b、および、ガイド領域部分42b,43bと光結合部分42c,43cとの接合点は、湾曲したエッジの一部であるほうがよい可能性がある。そのような形状により、光損失を抑えることが可能な場合があるからである。例えば接合点が尖ったエッジ、「キンク」と呼ばれる形状を有する場合、光損失はより大きくなるおそれがある。
【0035】
光結合部分42c,43cの前方端部は、平面47の位置においてガイド領域部分42b,43bの後方端部と接続されている。光結合部分42c,43cの後方端部42f,43fは、平面48に位置する。光結合部分42c,43cは、主導波路41の第1の部分41aと実質的に平行をなすように、距離d1(結合長d1ともいう。)に亘って延在している。距離d1は、例えば1μm以上20μm以下である。また、光結合部分42c,43cと、主導波路41の第1の部分41aとの間隔である距離w2は、例えば0.1μm以上0.4μm以下である。光結合部分42c,43cは、主導波路41の側面41s1,41s2から第1の部分41aを通過する光の一部を受光する部分である。
【0036】
図3Cに示したように、EPG22は、主導波路41の第1の部分41aの上面41Tに面する頂点24tを有する。EPG22の上面21sは、主磁極(図示せず)の表面に隣接していてもよい。頂点24tは、ABSからZ軸方向に延在するエッジであり、第1の部分41aから離間している。頂点24tと第1の部分41aの上面41Tとの距離vは、例えば20nm以上50nm以下である。また、AWVG42,43におけるガイド領域部分42a,43aの厚さtは、350nm以上600nm以下であることが好ましく、第1の部分41aの厚さと基本的に同じである。第1の部分41aおよびガイド領域部分42a,43aの全てを同じ平面60上に形成することによって、主導波路41からAWVG42,43への光結合効率が向上する。一方、ガイド領域部分42a,43aの幅w1を、第1の部分41aの幅m(図3C)よりも小さくすることによって、光強度の測定感度を向上させ、それによりそのアラインメント精度を向上させるという利点が得られる。距離w3を、2μm以上とすることにより、主導波路41からの回折光の強度が、後述する光強度IAWVG1および光強度IAWVG2の両方の測定に含まれないようにする必要がある。幅w3は、例えば20μmよりも小さくし、CCDカメラの標準的視野に収まるようにすることが好ましい。
【0037】
次に、図3Dを参照する。図3Dは、本実施の形態のTAMRヘッドの作用を説明するための概念図である。AWVG42およびAWVG43は、本発明の重要な特徴であり、光源30と主導波路41との高精度のアラインメントを行うための重要な構成要素である。本実施の形態のTAMRヘッドでは、光源30から発せられた光は、主導波路41の第3の部分41cに入射されたのち、ABS40へ向かう光31aとなる。この光31aの一部は、例えば光31aの0.5%以上10%以下の強度の光31bとしてAWVG42,43へ流入する。AWVG42,43へと進路を変更された光31bは、主導波路41の内部をABS40へと伝播する光31aのうちの僅かな一部分である。そのため、熱アシスト磁気記録処理の際、主導波路41における単一伝播モードの妨げとはならない。具体的には、結合長d1、結合間隙の幅w2、およびAWVG42,43の幅w1を調整することにより、AWVG42,43によって、光結合部分42c,43cに沿ってそれぞれ受光された光31bの強度を修正してもよい。当然ながら、下記の変更のうち1つまたは複数の変更を行うことによって、AWVG42,43に進路を変えた光強度を増加させることができる。ここでいう変更とは、(1)長さd1を増加させる、(2)幅w1を増加させる、(3)幅w2を減少させることである。さらに、上記のパラメータ(1)、(2)、および(3)は互いに独立しているわけではない。すなわち、長さd1,幅w2および幅w1のうちのいずれか1つのパラメータを調整すれば、他の2つのパラメータにも影響が及ぶということである。さらに、マルチモードビーティング(multimode beating)によるエネルギー転送によって、振動運動もまた結合効果に影響を与えることも考慮すべきである。
【0038】
本実施の形態では、アライメント処理を行う際に、光31bは、光結合部分42c,43cによって受光されたのち、ABS40に位置する端部42e,43eから射出され、光検出器(PD:photo detector)33,34へとそれぞれ送られる。この場合、最適なアラインメントを達成するために、光強度をPD33,34から直接読み取ることができる。例えば、端部42eにおいてPD33により検出された光強度をIAWVG1とし、端部43eにおいてPD34により検出された光強度をIAWVG2とする。ここで、|IAWVG1−IAWVG2|が最小値となるとき、クロストラック方向におけるアラインメントが達成される。また、(IAWVG1+IAWVG2)が最大値となるとき、ダウントラック方向においてアラインメントが実現される。それゆえ、アラインメント処理においては、光源30を、主導波路41のABS40とは反対側の端部においてX軸方向に沿って、|IAWVG1−IAWVG2|が最小値となるような一定の位置Xi(図示せず)まで移動させる。そののち、光源30を、座標Xi(図示せず)においてY軸方向に沿って、(IAWVG1+IAWVG2)が最大値に達するまで移動させる。あるいはその逆の順序で操作を行ってもよい。また、X軸方向の位置合わせと、Y軸方向の位置合わせとを同時に並行して実施してもよい。なお、光31aのうち、AWVG42,43へと進路変更しない成分は、そのまま主導波路41(第1の部分41a)を通ってABS40へと伝播するが、アラインメント処理の際に測定はされない。
【0039】
なお、PD33,34を用いる替わりに、視野が図3Dに示した幅k以上であるCCDカメラを用いてもよい。すなわち、そのようなCCDカメラを用いて、端部42e,43eの双方から射出される光31bの光強度スポットを同一の画像内に収めるようにしてもよい。そのCCDカメラはコンピュータに接続され、コンピュータでは、アルゴリズムを用いて、AWVG42,43それぞれからの光強度値を計算し、比較する。さらに、前述した、クロストラック方向(X軸方向)およびダウントラック方向(Y軸方向)の両方における光源位置のアライメントに関する処理を行ってもよい。
【0040】
当然ながら、アラインメント処理によって最適なアラインメントのための適切な(X,Y)座標が特定された後、光源30を、その座標において主導波路の端部に固定し、TAMRヘッドの製造を完了に向けて継続する。
【0041】
熱アシスト磁気記録処理を行う際には、図3Eに示したように、主導波路41の端部41e付近に送られた光31aの大部分は、EPG(図示せず)に結合され、プラズモン波31cに変換される。プラズモン波31cは、その後、磁気記録媒体36の局所的なスポット(図示せず)へと送られる。そのスポットには、プラズモン波31cが到達するタイミングで主磁極(図示せず)からの記録磁界も到達する。その際、AWVG42,43が主導波路41を伝播する光の伝送モードの妨げとならないことが重要である。そのためには長さd1,幅w1,および幅w2を適切に選択することにより、AWVG42,43へと進路変更した光31bの強度を維持する必要がある。加えて、平面47における光結合部分42c,43cを、最も近いEPGの端部(図示せず)から1μm以上離す必要がある。こうすることにより、主導波路41の第1の部分41aでの伝送モードが、AWVG42,43と結合したのちEPGと結合する前に回復するための時間が生じる。阻害されたコアモードは回復しないが、励起したクラッドモードは低減する。すなわち、平面47とEPGとの間で、光31aを複数の波長に分離する必要がある。それにより、主導波路41を伝播する光31aの一部が進路変更しても、プラズモン波生成効果はそれほど低下しなくなる。
【0042】
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図であり、上記第1の実施の形態における図3Aに対応するものである。図3Aでは、特徴部分である導波路構造を表し、TAMRヘッドを構成する他の構成要素(例えば主磁極、EPGおよびその周囲の絶縁層など)については図示しない。本実施の形態の導波路構造では、上記第1の実施の形態における導波路構造と比較すると、Z軸方向におけるAWVG42,43の長さが短くなっている。すなわち、光結合部分42c,43cの後方端部42f,43fが、ABS40から平面48に至る途中で終了している。このような構成は、例えば長さd3、幅w2、および幅w1は上記第1の実施の形態と同様としつつ、幅w3,長さd2,および長さd1のうち1つまたは複数を第1の実施の形態よりも減少させることによって実現可能である。
【0043】
[第3の実施の形態]
図5Aは、本発明の第3の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図であり、上記第1の実施の形態における図3Aに対応するものである。図5Aでは、特徴部分である導波路構造を表し、TAMRヘッドを構成する他の構成要素(例えば主磁極、EPGおよびその周囲の絶縁層など)については図示しない。第1〜第3の部分41a,41b,41cを含む主導波路41の構造は第1の実施の形態と同様である。第3の部分41cの端部は、光源30から発せられた光31を受光し、そのうちの一部の光31aをABS50へ向けて伝播させる。後述するように、第2の部分41bを通過する光31aの一部は、2つのAWVG52,53へと進路変更される(結合される)。光31aの大部分は、そのまま主導波路41の内部をABS50へと向かい、前述のようにEPGと結合することによって、ABS50に近接する磁気記録媒体上の局所的なスポットにおいて近接場光を生成する。本実施の形態においては、主導波路41の端部41e(図5B)がABS50に位置する場合を例示するが、端部41eがABS50から後方へ後退した位置となっていてもよい。
【0044】
図5Bは、図5Aに破線で示した領域Bにおける導波路構造の拡大図である。具体的には、AWVG52,53が、第1および第2の部分41a,41bの側面41s1,41s2に沿ってそれぞれ形成されている。AWVG52とAWVG53とは、主導波路41をX軸方向において2等分するZ軸に平行な平面44に対して対称的に、互いに鏡像となるように形成されていることが望ましい。このような対称的な構造は、図5Dに示したように光31aが主導波路41の第3の部分41cの中央に適切に向けられるとき、AWVG52,53において基本的に同一の光強度を測定するアラインメント方法を実現するのに有利である。
【0045】
AWVG52,53は、それぞれ、ABS50の側からガイド領域部分52a,53aと、ガイド領域部分52b,53bと、光結合部分52c,53cとを含んでなるものである。ガイド領域部分52a,53a、ガイド領域部分52b,53b、および光結合部分52c,53cは、トラック幅方向において全て同じ幅w1を有している。幅w1は、例えば0.4μm以上0.8μm以下である。
【0046】
ガイド領域部分52a,53aは、それぞれABS50に露出した端部52e,53eを有し、ABS50から後方へ例えば1μm以上50μm以下の長さh1に亘って延在している。ガイド領域部分52a,53aは、第1の部分41aの側面41s1,41s2に対してそれぞれ平行に延在している。ガイド領域部分52a,53aと第1の部分41aとは離間しており、トラック幅方向(X軸方向)におけるその距離w3は、2μm以上20μm以下である。ガイド領域部分52a,53aはそれぞれ、ABS50と反対側の、ABS50に平行な平面56に沿った後方端部を有している。この後方端部において、ガイド領域部分52b,53bの前方端部と接合している。
【0047】
ガイド領域部分52b,53bは、ガイド領域部分52a,53aの後方端部と接続された前方端部よりも、平面56と反対側の平面48に位置する後方端部のほうが主導波路41の近くに位置している。すなわち、ガイド領域部分52b,53bは、ABS50から遠ざかるほど(平面56から平面48に近づくほど)主導波路41に近づくように延在している。したがって、ガイド領域部分52b,53bの側面52s,53sは、第1の部分41aの側面41s1,41s2に対して傾斜した状態となっている。なお、平面48は、主導波路41における第1の部分41aと第2の部分41bとの境界位置でもある。平面48において、側面41s1とガイド領域部分52bとは、距離w4を隔てている。平面56と平面48との距離d2は、距離w3、およびガイド領域部分52a,52bとガイド領域部分53a,53bとによってそれぞれ形成される角度αによって決まる。角度αは、0度以上30度以下であることが好ましい。変形例として、製造工程の性質によって、側面52s,53sが一定量湾曲していてもよい。実際のところ、ガイド領域部分52a,53a、ガイド領域部分52b,53b、および、ガイド領域部分52b,53bと光結合部分52c,53cとの接合点は、湾曲したエッジの一部であるほうがよい可能性がある。そのような形状により、光損失を抑えることが可能な場合があるからである。例えば接合点が尖ったエッジ、「キンク」と呼ばれる形状を有する場合、光損失はより大きくなるおそれがある。
【0048】
光結合部分52c,53cの前方端部は、平面48の位置においてガイド領域部分52b,53bの後方端部と接続されている。光結合部分52c,53cの後方端部は、平面58に位置する。光結合部分52c,53cは、主導波路41の第2の部分41bの側面と実質的に平行をなすように、距離h3に亘って延在している。また、光結合部分52c,53cと、主導波路41の第2の部分41aとの間隔である距離w4は、例えば0.1μm以上0.4μm以下である。このように、光結合部分52c,53cは、ABS50から遠ざかるほど、互いの間隔が拡大するように形成されている。
【0049】
図5Cは、このTAMRヘッドの、ABS50に露出した端面の構成を表している。図5Cに示したように、EPG22は、主導波路41の第1の部分41aの上面41Tに面する頂点24tを有する。EPG22の上面21sは、主磁極(図示せず)の表面に隣接していてもよい。頂点24tは、ABSからZ軸方向に延在するエッジであり、第1の部分41aから離間している。頂点24tと第1の部分41aの上面41Tとの距離vは、例えば20nm以上50nm以下である。また、AWVG52,53におけるガイド領域部分52a,53aの厚さtは、第1の部分41aの厚さと基本的に同じであることが望ましい。第1の部分41aおよびガイド領域部分52a,53aの全てを同じ平面61上に形成することによって、主導波路41からAWVG52,53への光結合効率が向上する。すなわち、第1の部分41aおよびガイド領域部分52a,53aの全ての上面同士および下面同士が同一平面に位置することが望ましい。一方、ガイド領域部分52a,53aの幅w1を、第1の部分41aの幅mよりも小さくすることによって、光強度の測定感度を向上させ、それによりそのアラインメント精度を向上させるという利点が得られる。
【0050】
本実施の形態が、第1の実施の形態よりも優れていると考えられる点は、主導波路41の第1の部分41aよりも第2の部分41bからのほうが自然に生じる光漏れの量が多いという点である。これは、すなわち、アラインメントに十分な強い信号をPD33,34に生じさせるために、AWVG52,53へと意図的に進路変更させる追加の光の量が、第1の実施の形態のAWVG42,43へと進路変更させる光の量よりも少ないということである。したがって、熱アシスト磁気記録処理の際、第1の実施の形態において第1の部分41aからAWVG42,43へと進路変更する光31bよりも、本実施の形態においてAWVG52,53へと進路変更する光31bのほうが、ABSに向かう光31aの主伝送モードをより妨げないと考えられる。
【0051】
次に、図5Dを参照する。図5Dは、本実施の形態のTAMRヘッドの作用を説明するための概念図である。第1の実施の形態におけるAWVG42,43と同様に、AWVG52,53は本実施の形態における重要な特徴であり、それを利用することで非記録状態時にアラインメント処理を行うことが可能である点にある。本実施の形態のTAMRヘッドでは、光源30から発せられた光は、主導波路41の第3の部分41cに入射されたのち、ABS40へ向かう光31aとなる。この光31aの一部は、例えば光31aの0.5%以上10%以下の強度の光31bとしてAWVG52,53へ流入する。AWVG52,53へと進路を変更された光31bは、主導波路41の内部をABS50へと伝播する光31aのうちの僅かな一部分である。そのため、熱アシスト磁気記録処理の際、主導波路41における単一伝播モードの妨げとはならない。具体的には、結合長h3、結合間隙の幅w4、およびAWVG52,53の幅w1を調整することにより、AWVG52,53によって、光結合部分52c,53cに沿ってそれぞれ受光された光31bの強度を修正してもよい。下記の変更のうち1つまたは複数の変更を行うことによって、AWVG52,53に進路を変えた光強度を増加させることができる可能性がある。ここでいう変更とは、(1)長さh3を増加させる、(2)幅w1を増加させる、(3)幅w4を減少させることである。さらに、上記のパラメータ(1)、(2)、および(3)は互いに独立しているわけではない。すなわち、長さh1,幅w1および幅w4のうちのいずれか1つのパラメータを調整すれば、他の2つのパラメータにも影響が及ぶということである。さらに、主導波路41の内部での光31aの振動運動も、結合効果に影響を与える可能性がある。
【0052】
本実施の形態では、アライメント処理を行う際に、光31bは、光結合部分52c,53cによって受光されたのち、ABS50に位置する端部52e,43eから射出され、光検出器33,34へとそれぞれ到達し、検出される。例えば、端部52eにおいてPD33により検出された光強度をIAWVG1とし、端部53eにおいてPD34により検出された光強度をIAWVG2とする。すると、光源30の最適なアラインメントは、前述のように、|IAWCG1−IAWVG2|が一定のクロストラック位置において最小値に至り、かつ(IAWCG1+IAWVG2)が、一定のダウントラック位置において最大値に至るときに実現される。なお、光31aのうち、AWVG52,53へと進路変更しない成分は、そのまま主導波路41(第1の部分41a)を通ってABS50へと伝播するが、アラインメント処理の際に測定はされない。しかしながら、図5Eに示したように、熱アシスト磁気記録処理の際には、光31aはEPG(図示せず)と結合し、プラズモン波31cに変換される。プラズモン波31cは、端部41eから出て、その後、磁気記録媒体36の局所的なスポットに送られる。同時に、記録処理の際、磁気記録媒体36に対して主磁極から記録磁界が向けられる。
【0053】
[第4の実施の形態]
図6は、本発明の第4の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図である。図6では、特徴部分である導波路構造を表し、TAMRヘッドを構成する他の構成要素(例えば主磁極、EPGおよびその周囲の絶縁層など)については図示しない。
【0054】
図6に示したように、本実施の形態では、AWVG52,53それぞれがABSとは反対側のスライダ90の後端面90bに端面52e,53eを有する。この場合、光結合部分52c、53cは、第3の実施の形態と同様であるが、AWVG52,53それぞれのガイド領域部分は、湾曲した部分を含むガイド領域部分52d,53dによってそれぞれ置き換えられている。湾曲したガイド領域部分52d,53dは、平面63において光結合部分52c、53cの一端と接続され、その接続された箇所から180°以上湾曲し、スライダ90の後端面90bにおける端面52e,53eに至るまで延在している。ガイド領域部分52d,53dの幅はそれぞれ、光結合部分52c,53cの幅と同じであることが好ましい。端面52e,53eは、光31bを、それぞれPD33,34に、または、一のCCDカメラに向ける。また、図6には、スライダ90の側面90sを示す。なお、光結合部分52c(または53c)の端部は、必ずしも、第3の実施の形態のように平面48に隣接しなくてもよい。このように、光31aの一部は主導波路41の第2の部分41bから光結合部分52c,53cへと進路を変更し、光31bの光強度が、アラインメント処理において、PD33,34によって測定される。熱アシスト磁気記録処理の際には、前述したように、光31aの大部分はプラズモン波31cに変換され、進路を変更した光31bはいずれの目的のためにも使用されない。
【0055】
なお、上記実施の形態においては、湾曲したガイド領域部分52d,53dは複数の直線的なセグメントからなるようにしたが、平面63と端面52e,53eとの間のガイド領域部分52d,53dが連続的に湾曲するものであってもよい。
【0056】
<変形例1>
本実施の形態では、以下のような変形例も考えられる。その変形例とは、光結合部分52c,53cが平面48に端部を有し、ガイド領域部分52d,53dの一部がスライダ90の後端面90bに至る手前で途切れるようにしたものである。
【0057】
<変形例2>
本実施の形態の他の変形例として、光結合部分52c,53cは、湾曲したガイド領域部分52d,53dとそれぞれ接続する前に、主導波路41の第3の部分41cの側面に対して平行に形成され、後端面90bにおいて終了するようにしてもよい。アラインメント処理の際には、光31aの一部は主導波路41の第3の部分から進路を変更する。
【0058】
[第5の実施の形態]
図7は、本発明の第5の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す平面図であり、上記第4の実施の形態における図6に対応するものである。本実施の形態は、第4の実施の形態と比較してAWVG52,53の構成が異なっている。すなわち、本実施の形態では、AWVG52,53は、スライダ90の側面90sに端面52e,53eを有する。この場合、光結合部分52c,53cは上記第4の実施の形態と同様であるが、平面63に位置する光結合部分52c,53cの端部とそれぞれ接続された湾曲したガイド領域部分52d,53dは、180°未満の角度で湾曲し、最も近いスライダ90の側面90sに至るまで延在している。本実施の形態では、光結合部分52c,53cの端部は、ABS50に対して平行である平面63に位置し、湾曲したガイド領域部分52d,53dの端部にそれぞれ隣接する。あるいは、光結合部分52c,53cは、主導波路41の第2の部分41bに対して平行に延在してもよい。このような構造において、アラインメント処理の際、光31aの一部は、主導波路41の第2の部分41bからAWVG52,53へと進路を変更する。
【0059】
なお、変形例として、光結合部分52c,53cは、それぞれ、ガイド領域部分52d,53dと接続する前に、主導波路41の第3の部分41cの側面に対して平行に形成されていてもよい。その場合、光31aの一部は、主導波路41の第2の部分41bからではなく、第3の部分41cから進路を変更する。当然ながら、湾曲したガイド領域部分52d,53dは、平面63と側面90sとの間の領域において、複数の直線的なセグメント、または連続的な湾曲によって構成されてもよい。
【0060】
図8に、本発明の第6の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部構成を表す。本実施の形態では、AWVG52,53はそれぞれ直線形の構造をしており、ABS50からZ軸方向に沿って、平面49を越えて、端面52f,53fに至るまでそれぞれ延在している。平面49は、主導波路41の第2の部分41bと、第3の部分41cとが接合される位置である。具体的には、AWVG52,53は、ガイド領域部分52a,53aと、光結合部分52c,53cとをそれぞれ備える。光結合部分52c,53cはそれぞれ、平面49に沿った端部を有し、主導波路41の第3の部分41cに対して平行に延在し、第3の部分41cから結合間隙距離w2だけ離間している。結合間隙長はd4である。光結合部分52c,53cは、それぞれ端面52f,53fを有する。端面52f,53fは、それぞれ光ブロック65,66にそれぞれ隣接する。光ブロック65,66は、光源30からの光を、直接、光結合部分52c,53cへ入射させるのではなく、まず、主導波路41の第3の部分41cを通過させるようにするために用いるものである。光ブロック65,66は、Au,Ag,Cu,Ru,またはTaなどの不透明材料からなり、その幅は、AWVG52,53の幅w1よりもクロストラック方向において大きいことが好ましい。各AWVGは全体にわたって、幅が均一であることが好ましい。
【0061】
図9は、アラインメント処理の際、2つのAWVGおよび主導波路(CWG:center waveguide)から射出された光を観察したものであり、ABSに配置された、100倍の対物レンズを備えたCCDカメラから撮ったサンプル画像である。この例において、w3は15μm、結合間隙距離w2は0.2μm、結合長d1は8μm、AWVGの幅w1は600μm、CWGの幅は600μmである。
【0062】
図10は、本発明の実施の形態に係る、CWGおよびAWVGにおける光強度を、モデリングデータを用いて表したグラフである。Z座標=60μmは、グラフにおけるABSの位置を表し、X軸はクロストラック方向である。この場合、結合間隙距離は0.25μm、結合長は5μm、AWVGとCWGとの間の距離w3は6μmである。ABSにおいてPDまたはCCDカメラによって測定した光強度については、ピーク81,82がAWVGのものであり、ピーク83がCWGのものである。この構成では、2%の光だけが各AWVGへと進路を変更し、96%はCWGにとどまる。
【0063】
このように、全ての実施の形態において、中央導波路(主導波路)の両側に対称的に形成された2つのAWVGを備える。各AWVGは、主導波路から送られる光の0.5%以上10%以下を、ABS、またはスライダの側面もしくは後端部における出口へと進路変更する。2つの出口における光強度は、主導波路の後端部の複数の光源位置において、IAWCG1およびIAWVG2として測定される。アラインメントは、光源の(X,Y)座標が、|IAWCG1−IAWVG2|が最小値となること、および(IAWCG1+IAWVG2)が最大値となること、を同時に満たす場合に達成される。アラインメントは、通常、TAMRヘッドの製造において、最終的に光源を導波路に取り付ける直前に行われる。しかしながら、TAMR製造工程完了後に自由空間光線が1度または複数回向けられる際にも本技術を用いることができると考えられる。このように、本発明は、光源が、レンズまたは他の光学素子を介してTAMRヘッドの主導波路に合焦される自由空間光線である実施の形態において、ここに説明したアラインメント処理を複数回施すことも含む。
【0064】
本発明が従来技術よりも優れている点は、本発明によれば、2つのAWVGの出口から正確に光強度を読み取り、2つの測定値の和と差を容易に求め、計算することによって、従来のアラインメント方法のようなより複雑な強度およびパターン測定をすることなく、最適なアラインメントを求めることができる点である。より正確にアラインメントを行うことにより、光源に設けられる所要電力が減少し、光源の寿命が延びる。さらに、TAMR設計においては、通常、スライダの後端部において使用可能な空間が限られているため、電源が大きいことは好ましくないが、本発明によれば、そのような電源を用いる必要がなくなる。AWVGは、主導波路の製造と同じ処理工程において形成してもよい。特に、実施の形態例に示したように、AWVGの下面と主導波路の下面とが同一平面上に形成され、その厚さが基本的に等しい実施の形態においてそのようにしてもよい。したがって、本発明のアラインメント構造の製造にあたり、道具や処理ステップを追加する必要はない。
【0065】
本発明を、その好適な実施の形態を挙げて具体的に示し、説明したが、当業者によって理解されるように、本発明においては、その精神と範囲とを外れない限りにおいて、様式や細部について種々の変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0066】
30…光源、41…主導波路、41a〜41c…第1〜第3の部分、42,43,52,53…AWVG。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光を発する光源と、
(b)ABSと直交する方向へ延在し、前記光源からの入射光を前記ABSに露出した近接場素子へ送る主導波路と、
(c)AWVG構造と
を備え、
前記主導波路は、
(1)ダウントラック方向から眺めた平面形状が矩形状であり、前記ABSに露出した第1の前方端面と、前記ABSから第1の距離に位置する第1の後方端面と、前記第1の前方端面と前記第1の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第1の部分と、
(2)ダウントラック方向から眺めた平面形状が台形状であり、前記第1の後方端面と接する第2の前方端面と、前記第2の前方端面よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2の後方端面とを含む第2の部分と、
(3)前記第2の後方端面と接する第3の前方端面と、前記光源と対向する第3の後方端面と、前記第3の前方端面と前記第3の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第3の部分と
を有し、
前記AWVG構造は、
前記主導波路に沿って延在し、前記主導波路を挟んで対称に配置された第1および第2のAWVGを含み、
前記第1および第2のAWVGは、それぞれ、前記ABSに近い位置から順に
(1)前記主導波路と実質的に平行に延在し、前記ABSに露出して光を射出する第1の前方端部と、前記ABSと反対側の第1の後方端部とを含む第1のガイド領域部分と、
(2)前記第1の後方端部と接続された第2の前方端部と、前記ABSと反対側に位置すると共に前記第2の前方端部よりも前記主導波路の近くに位置する第2の後方端部とを含む第2のガイド領域部分と、
(3)前記主導波路と実質的に平行に延在し、前記主導波路の側面から前記第1の部分を通過する光の一部を受光する光結合部分と
を有する
TAMRヘッド。
【請求項2】
前記光結合部分は、前記第1の部分と実質的に平行に延在している
請求項1記載のTAMRヘッド。
【請求項3】
前記光結合部分は、前記第2の部分と実質的に平行に延在している
請求項1記載のTAMRヘッド。
【請求項4】
前記第1および第2のAWVGの前記光結合部分において受光される光は、前記主導波路を通過する光の0.5%以上10%以下であり、
前記受光される光の強度は、前記光結合部分と前記主導波路との距離、前記光結合部分と前記主導波路との結合長、および前記光結合部分の幅のうちの少なくとも1つに依存する
請求項1記載のTAMRヘッド。
【請求項5】
前記AWVG構造において、
前記第1のガイド領域部分、第2のガイド領域部分および光結合部分は、0.4μm以上0.8μm以下の範囲で互いに等しい幅を有する
請求項1記載のTAMRヘッド。
【請求項6】
前記光結合部分の端部は、前記ABSと前記第1の後方端面との間、もしくは前記第1の後方端面に位置する
請求項2記載のTAMRヘッド。
【請求項7】
前記ABSにおいて、前記第1のガイド領域部分と前記主導波路との距離は2μm以上20μm以下である
請求項1記載のTAMRヘッド。
【請求項8】
前記光結合部分と前記主導波路との距離は0.1μm以上0.4μm以下であり、
前記光結合部分と前記主導波路とが並走する長さは1μm以上20μm以下である
請求項1記載のTAMRヘッド。
【請求項9】
(a)光を発する光源と、
(b)ABSと直交する方向へ延在し、前記光源からの入射光を前記ABSに露出した近接場素子へ送る主導波路と、
(c)AWVG構造と
を備え、
前記主導波路は、
(1)ダウントラック方向から眺めた平面形状が矩形状であり、前記ABSに露出した第1の前方端面と、前記ABSから第1の距離に位置する第1の後方端面と、前記第1の前方端面と前記第1の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第1の部分と、
(2)ダウントラック方向から眺めた平面形状が台形状であり、前記第1の後方端面と接する第2の前方端面と、前記第2の前方端面よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2の後方端面とを含む第2の部分と、
(3)前記第2の後方端面と接する第3の前方端面と、前記光源と対向する第3の後方端面と、前記第3の前方端面と前記第3の後方端面とをそれぞれ繋ぐ一対の平行な側面とを含む第3の部分と
を有し、
前記AWVG構造は、
前記主導波路に沿って延在し、前記主導波路を挟んで対称に配置された第1および第2のAWVGを含み、
前記第1および第2のAWVGは、それぞれ、
(1)前記主導波路と実質的に平行に延在し、前記主導波路の側面から前記主導波路を通過する光の一部を受光する光結合部分と、
(2)前記光結合部分と接続された第1の端面と、前記ABSもしくは前記ABSと異なる面に露出する第2の端面とを含み、前記第2の端面から外部の光測定素子へ向けて光を射出することにより前記光源と前記主導波路とのアライメントを行うガイド領域部分と
を有する
TAMRヘッド。
【請求項10】
前記ABSにおいて、前記ガイド領域部分と前記主導波路との距離は2μm以上20μm以下である
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項11】
前記主導波路およびAWVG構造はスライダに設けられており、
前記第1および第2のAWVGの前記第2の端面は、前記スライダにおける、前記ABSと交差する側面もしくは前記スライダの後方端面に位置する
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項12】
前記第1および第2のAWVGの前記光結合部分において受光される光は、前記主導波路を通過する光の0.5%以上10%以下であり、
前記受光される光の強度は、前記光結合部分と前記主導波路との距離、前記光結合部分と前記主導波路との結合長、および前記光結合部分の幅のうちの少なくとも1つに依存する
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項13】
前記光結合部分は、前記第2の部分の側面に沿って延在している
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項14】
前記光結合部分は、前記第3の部分の側面に沿って延在している
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項15】
前記光結合部分と前記光源との間に、光ブロックが設けられている
請求項14記載のTAMRヘッド。
【請求項16】
前記第1および第2のAWVGは、それぞれ、前記ABSと直交する方向へ伸びる直線状をなしている
請求項15記載のTAMRヘッド。
【請求項17】
前記光結合部分と前記主導波路との距離は0.1μm以上0.4μm以下であり、
前記光結合部分と前記主導波路とが並走する長さは1μm以上20μm以下である
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項18】
前記ガイド領域部分および光結合部分は、0.4μm以上0.8μm以下の範囲で互いに等しい幅を有する
請求項9記載のTAMRヘッド。
【請求項19】
(a)スライダを用意したのち、そのスライダにTAMRヘッド部を設けるステップと、
(b)光源から前記スライダの後方端面に位置する主導波路の後方端面へ光を入射し、光強度を測定しながら、前記光源と前記TAMRヘッド部との位置合わせを行うステップと、
(c)位置合わせをした状態を維持しつつ、前記スライダに前記光源を固定するステップと
を含み、
前記TAMRヘッド部として、
(1)ABSと直交する方向へ延在し、前記光源からの入射光を前記ABSに露出した近接場素子へ送る主導波路と、
(2)前記主導波路に沿って延在し、前記主導波路を挟んで対称に配置された第1および第2のAWVGを含むAWVG構造と
を備えたものを設け、
前記第1および第2のAWVGとして、それぞれ、
前記主導波路と実質的に平行に延在し、前記主導波路の側面から前記主導波路を通過する光の一部を受光する光結合部分と、
前記光結合部分と接続された第1の端面と、前記ABSもしくは前記ABSと異なる面に露出する第2の端面とを含み、前記第2の端面から外部の光測定素子へ向けて光を射出することにより前記光源と前記主導波路とのアライメントを行うガイド領域部分と
を有するものを設け、
前記スライダと前記光源との固定を、
前記第1のAWVGのガイド領域部分における前記第2の端面からの第1の光強度と、前記第2のAWVGのガイド領域部分における前記第2の端面からの第2の光強度とを測定し、前記第1および第2の光強度の和が最大値となり、かつ、前記第1および第2の光強度の差が最小値となる位置で行う
TAMRヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記光測定素子は、光検出器、または画像を光強度値に変換するコンピュータに接続された電荷結合素子を搭載したカメラであり、
前記カメラは、
前記第1および第2のAWVGの双方における前記第2の端面から射出される光を同時に検出するものである
請求項19に記載のTAMRヘッドの製造方法。
【請求項21】
前記光結合部分を、前記主導波路を通過する光のうちの0.5%以上10%以下の光を受光するように形成する
請求項19に記載のTAMRヘッドの製造方法。
【請求項22】
前記ABSにおいて、前記ガイド領域部分と前記主導波路との距離を2μm以上20μm以下とする
請求項19に記載のTAMRヘッドの製造方法。
【請求項23】
前記第1および第2のAWVGを、その前記第2の端面が、前記スライダにおける前記ABSと交差する側面もしくは前記スライダの後方端面に位置するように形成する
請求項19に記載のTAMRヘッドの製造方法。
【請求項24】
前記光結合部分と前記主導波路との距離を0.1μm以上0.4μm以下とし、
前記光結合部分と前記主導波路とが並走する長さを1μm以上20μm以下とする
請求項19に記載のTAMRヘッドの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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