説明

UV反射性組成物

【課題】UV光の損傷効果から基体を保護するのに特に有用なUV反射膜を形成するポリマー粒子を提供する。
【解決手段】ポリマー粒子を含む組成物であり、このポリマー粒子は30〜300nmの平均粒子直径、および100〜700Kgf/mmのビッカーズスケール硬度を有する。この組成物は80℃以下のTを有する膜形成性ポリマーも含む。前記ポリマー粒子と前記膜形成性ポリマーとの間の屈折率差は少なくとも0.04である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己会合して、UV光の損傷効果から基体を保護するのに特に有用なUV反射膜を形成するポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
UV光の反射のためにコロイド結晶が開示されてきた。例えば、米国特許出願公開第2006/0182968号はこの目的のための粒子の液体分散物を開示する。しかし、この方法は透析によるこの分散物からのイオン性成分の除去、並びに染料の使用を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0182968号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって取り組まれる課題はUV反射膜を形成するポリマー粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は(a)30〜300nmの平均粒子直径、および(b)100〜700Kgf/mmのビッカーズスケール硬度を有するポリマー粒子と、80℃以下のTを有する膜形成性ポリマーとを含む組成物であって、前記ポリマー粒子と前記膜形成性ポリマーとの間の屈折率差が少なくとも0.04である組成物を提供する。
本発明は(a)30〜300nmの平均粒子直径、(b)100〜700Kgf/mmのビッカーズスケール硬度を有するポリマー粒子と、80℃以下のTを有する連続ポリマー相とを含む膜であって、前記ポリマー粒子と前記連続ポリマー相との間の屈折率差が少なくとも0.04であり、並びに前記ポリマー粒子間の平均距離が35〜400nmである膜にさらに関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
他に特定されない限りは、パーセンテージは重量パーセンテージ(重量%)であり、温度は℃単位である。屈折率(RI)値はナトリウムD線、λ=589.29nm、20℃で決定される。ポリマー粒子は有機ポリマー、好ましくは付加ポリマーを含み、並びに好ましくは実質的に球状である。平均粒子直径は算術平均粒子直径として決定される。T値はフォックス(Fox)式を用いてホモポリマーT値から計算される;Bulletin of the American Physical Society1,3,ページ123(1956)を参照。モノマーの重量パーセンテージは、多段ポリマーの各段階について、その段階における重合混合物に添加されるモノマーの全重量を基準にして計算される。本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリル」とはアクリルもしくはメタクリルをいい、「(メタ)アクリラート」とはアクリラートもしくはメタクリラートをいう。用語「(メタ)アクリルアミド」とはアクリルアミド(AM)もしくはメタクリルアミド(MAM)をいう。「アクリルモノマー」には、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、AAおよびMAAのエステル、イタコン酸(IA)、クロトン酸(CA)、アクリルアミド(AM)、メタクリルアミド(MAM)、並びにAMおよびMAMの誘導体、例えば、アルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。AAおよびMAAのエステルには、これに限定されないが、アルキル、ヒドロキシアルキル、ホスホアルキルおよびスルホアルキルエステル、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸ブチル(BMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)およびメタクリル酸ホスホアルキル(例えば、PEM)が挙げられる。「スチレン系モノマー」には、スチレン、α−メチルスチレン;2−、3−もしくは4−アルキルスチレン、例えば、メチル−スチレンおよびエチル−スチレン;ジビニルベンゼンおよびジビニルトルエンが挙げられる。
【0007】
用語「ビニルモノマー」とは、窒素もしくは酸素のようなヘテロ原子に連結された炭素−炭素二重結合を含むモノマーをいう。ビニルモノマーの例には、これに限定されないが、酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、並びにネオデカン酸ビニルおよびステアリン酸ビニルのような長鎖アルカン酸ビニルが挙げられる。
【0008】
好ましくはポリマー粒子は150〜600Kgf/mm、好ましくは200〜500Kgf/mm、好ましくは240〜400Kgf/mmのビッカーズ(Vicker’s)スケール硬度を有する。ビッカーズ硬度はダイアモンドチップを備えた標準硬度試験機を用いて測定される。硬度はH=1.85444(P/d)(Pはkg単位での荷重であり、およびdはmm単位での圧入の面積である)から決定される。本発明のサイズ範囲の粒子については、硬度は同じ組成を有する、より大きな粒子から測定される。本発明の粒子についての硬度は島津微小圧縮試験機MCT500を用いて決定された。
【0009】
好ましくは、ポリマー粒子は(a)75〜150℃のTを有する粒子;(b)架橋剤の重合残基を少なくとも0.5%有する粒子;またはこれらの組み合わせのいずれかである。この粒子が−50〜75℃のTを有する場合には、好ましくはこの粒子は架橋剤の残基を少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも0.75%、好ましくは少なくとも1%、好ましくは少なくとも1.25%、好ましくは少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%有する。75〜150℃のTを有する粒子は上記量の架橋剤残基を含むことができ、またはかなり少ない量の架橋剤残基を有することができる。ポリマー粒子は高度に架橋されていてよくかつ高いTを有していてもよく、例えば、ジビニル芳香族モノマー(例えば、ジビニルベンゼン)の重合により形成される粒子であってよく、または多量の、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%のジビニル芳香族モノマーを他のモノマー、好ましくはスチレン系モノマーもしくはアクリルモノマーと一緒に有するモノマー混合物の重合により形成される粒子であってよい。
【0010】
好ましくは、ポリマー粒子は少なくとも50nm、好ましくは少なくとも70nm、好ましくは少なくとも80nmの平均粒子直径を有する。好ましくは、ポリマー粒子は260nm以下、好ましくは230nm以下、好ましくは200nm以下、好ましくは170nm以下、好ましくは140nm以下の平均粒子直径を有する。好ましくは、ポリマー粒子は単一モードを示す粒子サイズ分布を有し、好ましくは、半高さ(half−height)での粒子サイズ分布の幅は5〜70nm、好ましくは10〜30nmである。組成物もしくは膜は異なる平均直径を有する粒子を含むことができるが、ただしそれぞれの平均直径の粒子はすぐ上に記載されるような粒子サイズ分布を有する。粒子サイズ分布は粒子サイズ分析機を用いて決定される。好ましくは、ポリマー粒子および膜形成性ポリマーは、少なくとも50nm、好ましくは少なくとも70nm、好ましくは少なくとも90nm、好ましくは少なくとも110nm、好ましくは少なくとも140nmの平均粒子直径を有する多段ポリマー粒子の形態に一体化される。好ましくは、多段ポリマー粒子は450nm以下、好ましくは400nm以下、好ましくは350nm以下、好ましくは300nm以下、好ましくは260nm以下、好ましくは240nm以下、好ましくは220nm以下、好ましくは200nm以下の平均粒子直径を有する。好ましくは、多段ポリマー粒子は2段階粒子であり、すなわち、当該粒子の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は本明細書においてポリマー粒子および膜形成性ポリマーについて示される特性を有する。多段ポリマー粒子はコアとして上記ポリマー粒子を有し、シェルとして膜形成性ポリマーを有するコアシェル粒子であってよく、または膜形成性ポリマーはポリマー粒子の表面上に不連続的に分布していてもよい。
【0011】
好ましくは、ポリマー粒子は75〜150℃のTを有する。好ましくは、ポリマー粒子は少なくとも80℃、好ましくは少なくとも85℃、好ましくは少なくとも90℃、好ましくは少なくとも95℃のTを有する。好ましくは、ポリマー粒子は140℃以下、好ましくは130℃以下、好ましくは120℃以下のTを有する。好ましくは、膜形成性ポリマーもしくは連続ポリマー相は60℃以下、好ましくは50℃以下、好ましくは40℃以下、好ましくは30℃以下、好ましくは20℃以下、好ましくは10℃以下、好ましくは0℃以下、好ましくは−10℃以下のTを有する。好ましくは、膜形成性ポリマーもしくは連続ポリマー相は少なくとも−50℃、好ましくは少なくとも−40℃、好ましくは少なくとも−30℃のTを有する。
【0012】
本明細書において示される屈折率差は絶対値である。好ましくは、ポリマー粒子と膜形成性ポリマーとの間、またはポリマー粒子と連続ポリマー相との間の屈折率差(すなわち、その差の絶対値)は少なくとも0.06、好ましくは少なくとも0.08、好ましくは少なくとも0.09、好ましくは少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.105である。好ましくは、ポリマー粒子と膜形成性ポリマーとの間、またはポリマー粒子と連続ポリマー相との間の屈折率差は0.2以下、好ましくは0.17以下、好ましくは0.15以下である。好ましくは、ポリマー粒子の屈折率は1.45〜1.75、好ましくは1.5〜1.67、好ましくは1.53〜1.65である。好ましくは、膜形成性ポリマーまたは連続ポリマー相の屈折率は1.4〜1.6、好ましくは1.4〜1.55、好ましくは1.42〜1.52である。好ましくは、ポリマー粒子の屈折率は膜形成性ポリマーまたは連続ポリマー相の屈折率よりも大きい。
【0013】
本発明の組成物において、膜形成性ポリマー:ポリマー粒子の重量比は好ましくは、0.8:1〜15:1、好ましくは1:1〜10:1、好ましくは1.2:1〜8:1である。膜中の連続相においては、ポリマー粒子間の平均距離、すなわち、これら粒子の中心間距離は40〜300nm、好ましくは50〜200nm、好ましくは70〜130nmである。
【0014】
好ましくは、膜形成性ポリマーもしくは連続ポリマー相はアクリルモノマーの重合残基を少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%含む。好ましくは、膜形成性ポリマーもしくは連続ポリマー相は(メタ)アクリル酸C−C12アルキルの重合残基を35〜70%、好ましくは40〜65%、好ましくは45〜65%含む。好ましくは、(メタ)アクリル酸C−C12アルキルはアクリル酸C−C12アルキル、好ましくはアクリル酸C−C10アルキル、好ましくはBAおよび/またはEHAである。好ましくは、膜形成性ポリマーもしくは連続ポリマー相は(メタ)アクリル酸C−Cアルキルの重合残基を30〜65%、好ましくは35〜60%、好ましくは35〜55%、および酸モノマー(例えば、AA、MAA、IA、CA)の重合残基も0〜5%含み、並びに少量のビニルモノマーの残基も含むことができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸C−Cアルキルは(メタ)アクリル酸C−Cアルキル、好ましくはMMAおよび/またはEMAである。好ましくは、ポリマー粒子はスチレン系モノマーの重合残基を少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%含む。好ましくは、ポリマー粒子は酸モノマー(例えば、AA、MAA、IA、CA)の重合残基も0〜5%、好ましくはAAおよび/またはMAAも0.5〜4%含み、並びに少量のビニルモノマーの残基も含むことができる。
【0015】
架橋剤は2以上のエチレン性不飽和基もしくは結合性基(例えば、シラン)を有するモノマーであるか、またはイオン性架橋剤(例えば、金属酸化物)である。2以上のエチレン性不飽和基を有する架橋剤には、例えば、ジビニル芳香族化合物、ジ−、トリ−およびテトラ−(メタ)アクリラートエステル、ジ−、トリ−およびテトラ−アリルエーテルもしくはエステル化合物、並びに(メタ)アクリル酸アリルが挙げられうる。このようなモノマーの好ましい例には、ジビニルベンゼン(DVB)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、テトラアリルペンタエリスリトール、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、ビスフェノールAジアリルエーテル、アリルスクロース、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリラート、メタクリル酸アリル(ALMA)、エチレングリコールジメタクリラート(EGDMA)、ヘキサン−1,6−ジオールジアクリラート(HDDA)、およびブチレングリコールジメタクリラート(BGDMA)が挙げられる。好ましくは、膜形成性ポリマーもしくは連続ポリマー相において重合される架橋剤残基の量は0.2%以下、好ましくは0.1%以下、好ましくは0.05%以下、好ましくは0.02%以下、好ましくは0.01%以下である。好ましくは、75〜150℃のTを有するポリマー粒子において重合される架橋剤残基の量は0.5%以下、好ましくは0.3%以下、好ましくは0.2%以下、好ましくは0.1%以下、好ましくは0.05%以下である。好ましくは、架橋剤が存在する場合には、架橋剤は100〜250、好ましくは110〜230、好ましくは110〜200、好ましくは115〜160の分子量を有する。好ましくは、架橋剤は2官能性もしくは3官能性であり、すなわち、架橋剤はそれぞれジエチレン性もしくはトリエチレン性不飽和であり、好ましくは2官能性である。
【0016】
好ましくは、本発明の組成物は本発明のポリマー粒子の水性エマルションであり、好ましくは35〜65%、好ましくは40〜60%の固形分量である。ポリマー粒子および膜形成性ポリマーが多段粒子において一緒にされている場合には、好ましくは、組成物は多段乳化重合によって好適なモノマーから製造される。好ましくは、異なるモノマー組成物が重合に導入される2つの重合段階が存在するが、その粒子はより多くの段階で製造されることができ、ただし全体的な組成は本明細書に示される通りである。好ましくは、組成物および膜は実質的に顔料もしくは固体無機粒子を含まず、すなわち、組成物および膜は0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満しか有さない。
【0017】
好ましくは、本発明のポリマー粒子を含む膜は、本発明の多段ポリマー粒子の水性エマルションを固体の基体上にコーティングし、そしてこのコーティングを乾燥させることにより製造される。好ましくは、基体はガラス、木材、メーソンリー、乾燥壁、皮革、紙、織物、金属、プラスチック、前記基体のいずれかの上の塗料の膜もしくは他のポリマー塗膜、または光学的に透明なプラスチック、例えば、ポリ(エチレンテレフタラート);好ましくは、ガラスもしくは光学的に透明なプラスチックである。好ましくは、ウェット塗膜は0.25〜30mil(0.0064〜0.76mm)、好ましくは2〜30mil(0.05〜0.76mm)、好ましくは4〜20mil(0.1〜50mm)、好ましくは6〜12mil(0.15〜0.3mm)の厚みを有する。ポリマー粒子は会合して、実質的に面心立方もしくは六方最密充填配置でコアのマトリックスを生じさせ、連続ポリマー相を形成している外側層を伴っていると考えられる。
【実施例】
【0018】
例1
スチレン、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸(1(97スチレン/3MAA)/1.5(58BA/41MMA/1MAA))から構成される多段ポリマー粒子の例が以下のプロセス工程によって製造された:
5リットルの丸底フラスコにパドルスターラー、温度計、窒素入口および還流凝縮器を備え付けた。このフラスコ中で窒素雰囲気下で、攪拌しつつ、89℃に加熱された733.8gのDI水に3.01gのSIPONATE DS−4(22.5%固形分)を添加し、次いで、377.31gのDI水、10.88gのSIPONATE DS−4(22.5%固形分)、581.82gのスチレンおよび17.99gのMAAから製造された50.83gのモノマーエマルションを添加した。13.89gの水に溶解した0.65gの過硫酸アンモニウムをこのフラスコに添加した。温度がピークに達した後、残りのモノマーエマルションをこのケトルに120分間にわたって85℃で、最初の5分間は残りの115分間の半分の速度で添加した。供給時間中、55.56gの水に溶解した0.28gの過硫酸アンモニウムもこのケトルに添加した。モノマー添加の5分後、60.19gの水に溶解した0.23gの過硫酸アンモニウムを15分間にわたってこのケトルに添加し、次いで416.67gのDI水を添加した。このケトルを20℃まで冷却した後で、20gの水中の1.8gの1.0%FeSO・7HOおよび1.8gの1.0%VERSENEが添加され、45.0gのDI水に溶解した3.5gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)および45.0gのDI水に溶解した2.40gのイソアスコルビン酸からなる溶液がこのケトルに90分間にわたって添加された。最初の添加の2分後に、226gのDI水、14.60gのSIPONATE DS−4(22.5%固形分)、522gのBA、369gのMMAおよび9gのMAAから製造された第2のモノマーエマルションも7g/分で添加された。30分後、この速度を14g/分に増大させ、さらに30分後に17g/分にさらに増大させた。この添加後、15.0gのDI水に溶解した1.6gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)および15.0gのDI水に溶解した0.90gのイソアスコルビン酸を15分間にわたってこのケトルに添加した。エマルションポリマーは、次いで、14%のアンモニア20gで、45℃未満の温度で中和された。
【0019】
実施例2〜4
これらの実施例は0.16mmポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上での薄膜コーティングの製造を説明する。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学特性を示す。組成は表Iに示される。膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられ、その後でモデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって評価された。
【0020】
実施例5〜8
表1に示されるこれら実施例は、ポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上での0.16mm塗膜として同様に製造された。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率(%T)が測定された。
【0021】
実施例9〜13
表1に示される以下の実施例は、ポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上での0.16mm塗膜として同様に製造されたポリマー膜を説明する。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0022】
実施例14〜16
表1に示される膜組成および光学特性は、0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上で分散物から調製された。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0023】
実施例17
表1に示される膜組成および光学特性は、0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上で分散物から調製された。ラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。この実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。この膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0024】
実施例18〜19
表1に示される膜組成および光学特性は、0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上でコロイドラテックス分散物から調製された。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0025】
実施例20〜22
表1に示される膜組成および光学特性は、0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)基体(MYLAR)上でコロイドラテックス分散物から調製された。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0026】
実施例23〜25
表1に示されるこのポリマー組成物はコロイドラテックス分散物の形態であった。0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)膜(MYLAR)上にこの分散物がコーティングされた。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0027】
実施例26〜28
表1に示されるこのポリマー組成物はコロイドラテックス分散物の形態であった。0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)膜(MYLAR)上にこの分散物がコーティングされた。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0028】
実施例29〜37
これらの例は、コロイドラテックスの粘度を増大させる増粘剤であるACRYSOL ASE−60増粘剤の使用を示す。表Iに示されるように、ASE−60増粘剤を含むか含まないこれらラテックス組成物は0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)膜(MYLAR)上にコーティングされた。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は以下の表Iに示される。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。
【0029】
実施例38〜45
表1に示されるポリマー組成物はコロイドラテックス分散物の形態であった。0.16mmPET、ポリ(エチレンテレフタラート)膜(MYLAR)上にこの分散物がコーティングされた。それぞれのラテックスの粒子サイズはブルックハーベンインスツルメンツ粒子サイズ分析装置BI−90によって測定され、その値は全体の多段粒子についての値である。これら実施例は自己会合性粒子の光学的特徴を示す。全ての膜はバードアプリケーター(3milウェット)もしくはDOWバー(20milウェット)を用いてドローされた。コーティングされたサンプルのほとんどはオーブン内で120℃の温度で、3分間乾燥させられた。モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計によって、UV/Vis透過率が測定された。コアについての屈折率はポリスチレンについての屈折率に非常に近いであろうと、そしてアクリル外側層の屈折率はアクリルエステルポリマーの屈折率に非常に近いであろうと、すなわち、それぞれ、1.59および1.46〜1.49と予想された。
【0030】
【表1】

【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
実施例46〜57
この一連の実施例においては、自己会合性粒子の分散物が3mil(0.076mm)ウェットで、55%相対湿度での紫外線への照射のためのガラス基体上にコーティングされた。この試験プレートは表面積で以下の寸法のものであった:83mm×76mm。これらのプレートは、ASTM D10003−00(透明プラスチックの光透過率およびヘイズについての標準試験方法)およびASTM E313−00(機器で測定された色座標から黄変および白色度を計算するための標準的実施)によって評価された。
【0033】
【表4】

【0034】
実施例58〜67
これらの実施例はすでに表1に記載された自己会合性粒子、および増粘剤A(ACRYSOL ASE−60増粘剤)のブレンドを記載する。それぞれの増粘されたラテックス組成物がマイラー膜上にコーティングされる。試験片は表面積で以下の寸法である:77mm×56mm。全ての膜コーティングはオーブン内で120℃で3分間乾燥させられた。サンプルは、モデルU−2000ダブルビームUV/Vis分光光度計でのUV/Vis透過率によって評価された。
【0035】
「例80」とラベルされた組成物は1部(スチレン/MAA=99/1)//9部(BA/MMA/MAA=58/41/01)である。
【0036】
【表5】

【0037】
実施例68〜73
これらの実施例においては、182nmの自己会合性粒子(実施例2)が98nmの自己会合性粒子(実施例5)および増粘剤ASE−60と一緒にされて、コーティング組成物を形成する。表IVに示されるこれら組成物はガラス基体上にコーティングされる。3milバードアプリケーターを用いてガラス基体上にドローされるこのサンプルはQUVウエザロメーター(weatherometer)における1000時間のUV照射にかけられる。試験プレートは表面積で以下の寸法のものである:83mm×76mm。これらのプレートは、ASTM D10003−00(透明プラスチックの光透過率およびヘイズについての標準試験方法)およびASTM E313−00(機器で測定された色座標から黄変および白色度を計算するための標準的実施)によって評価された。
【0038】
実施例74〜79
これらの実施例においては、182nmの自己会合性粒子(実施例2)が40nmの自己会合性粒子(実施例17)およびASE−60増粘剤と一緒にされて、コーティング組成物を形成する。表IVに示されるこれら組成物はガラス基体上にコーティングされる。83mm×76mmの表面積のガラス基体上に3milバードアプリケーターを用いてドローされるこのサンプルはQUVウエザロメーターにおける1000時間のUV照射にかけられる。L、a、b値、ヘイズデータ、YIおよび透過率パーセンテージ値は、ASTM D10003−00(透明プラスチックの光透過率およびヘイズについての標準試験方法)およびASTM E313−00(機器で測定された色座標から黄変および白色度を計算するための標準的実施)によって評価される。
【0039】
【表6】

【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)30〜300nmの平均粒子直径、および(b)100〜700Kgf/mmのビッカーズスケール硬度を有するポリマー粒子と、80℃以下のTを有する膜形成性ポリマーとを含む組成物であって、前記ポリマー粒子と前記膜形成性ポリマーとの間の屈折率差が少なくとも0.04である組成物。
【請求項2】
前記ポリマー粒子と前記膜形成性ポリマーとの間の屈折率差が少なくとも0.08である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記平均粒子直径が70〜260nmである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー粒子がスチレン系モノマーの重合残基を少なくとも70重量%含み、および前記膜形成性ポリマーがアクリルモノマーの重合残基を少なくとも70重量%含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマー粒子と前記膜形成性ポリマーとの間の屈折率差が少なくとも0.105である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
(a)30〜300nmの平均粒子直径、(b)100〜700Kgf/mmのビッカーズスケール硬度を有するポリマー粒子と、80℃以下のTを有する連続ポリマー相とを含む膜であって、前記ポリマー粒子と前記連続ポリマー相との間の屈折率差が少なくとも0.04であり、並びに前記ポリマー粒子間の平均距離が35〜400nmである膜。
【請求項7】
前記ポリマー粒子と前記連続ポリマー相との間の屈折率差が少なくとも0.08であり、並びに前記平均粒子直径が70〜200nmである、請求項6に記載の膜。
【請求項8】
前記ポリマー粒子間の平均距離が50〜200nmである、請求項7に記載の膜。
【請求項9】
ポリマー粒子がスチレン系モノマーの重合残基を少なくとも70重量%含み、および前記連続ポリマー相がアクリルモノマーの重合残基を少なくとも70重量%含む、請求項8に記載の膜。
【請求項10】
前記ポリマー粒子と前記連続ポリマー相との間の屈折率差が少なくとも0.11である、請求項9に記載の膜。

【公開番号】特開2012−67296(P2012−67296A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−183193(P2011−183193)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】