説明

X線管

【課題】X線管の経時劣化を低減する。
【解決手段】陰極3と陽極4との間の中間の電圧に維持される中間電位電極5を備え、中間電位電極5と陰極3との間に陰極用抵抗体6と中間電位電極用抵抗体7とを対向させて挿入する。中間電位電極5は、陰極3を保持するステムガラス8の外周を囲む外囲器ガラス2の縁部に取り付けられ、陽極4に対して陰極3の裏面側に配設される。陰極用抵抗体6と中間電位電極用抵抗体7とは、陰極3と陽極4との間に印加される印加電圧を暗電流から絶縁破壊電流に至る閾値電流で除した値以上の抵抗値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空内で電圧が印加され、対向する電極を備えるX線管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線管は、電界集中を緩和するように円筒状に丸めた金属板を直流の高電圧となる金属電極の周囲に設けたシールド電極を備えている。このシールド電極により、電極表面付近の電界分布が放電開始条件以下にされている。例えば、特許文献1には、湾曲したコロナシールドを陽極側に設けている。また、特許文献2には、陽極側の金属電極からガラスの筒が延長されており、陰極側から放出される電子が外容器のガラス面に付着して耐電圧性能が低下することを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特表2005−516367号公報
【特許文献2】特開昭57−90856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
X線管は、製作当初に十分な耐電圧性能を有していても、使用することによって徐々に直流の耐電圧性能が低下する経時劣化を伴うものである。すなわち、X線管は、陰極から陽極(ターゲット金属)に向かって放出される大量の電子以外に、他の金属部材(例えば、シールド電極)に衝突する電子群が陰極から発生することがある。この電子群が衝突したときの発生熱によって、金属部材を構成する固体金属材料の一部が溶融し、溶融した固体金属材料の一部が逆極性の電極に飛散する。そして、飛散した固体金属材料の一部が他の固体材料の表面に付着し、その固体材料の表面に微小な突起が形成され、この突起による電界集中によって、耐電圧性能が劣化する。これにより、X線管は、各部分が経時劣化し、寿命が短くなる。
【0004】
そこで、本発明は、経時劣化を低減することができるX線管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明のX線管は、真空内で電圧が印加され、対向する金属電極を備えるX線管であって、前記金属電極は、抵抗材料からなる抵抗体を有し、前記抵抗体は、対向するように配置されたことを特徴とする。また、前記金属電極は、一方が抵抗材料からなる抵抗体を有し、前記抵抗体は、他方の金属電極に対向してもよい。言い換えれば、前記金属電極は、抵抗材料からなる抵抗体を少なくとも何れか一方の金属電極に有し、前記抵抗体は、他方の金属電極に対向させたことを特徴とする。
【0006】
X線管は、金属電極間に流れる放電電流が所定値以上になると絶縁破壊を生じる性質を備え、熱電子の衝突熱により対向する金属電極が溶融し、溶融した金属が管面に付着することによって経時劣化が生じる。
ここで、X線管は、抵抗体を金属電極に設けることにより、放電電流が制限され、絶縁破壊が生じにくくなる。このため、対向する金属電極の溶融が少なくなり、X線管の経時劣化が低減される。また、前記対向する金属電極は、陽極と陰極との間の中間電位に維持される中間電位電極と、これに対向する前記陰極とを備えている場合は、中間電位電極と陰極との間で対向しており、その間に抵抗体を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、X線管の経時劣化を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態であるX線管の構成図である。
X線管1は、ガラス製の外囲器ガラス2と、外囲器ガラス2の内部に格納された電子線源である陰極3と、その電子線が照射されるとX線を発生する円盤状の陽極4とを真空容器内に備え、金属電極である陰極3と金属電極である陽極4との間に直流高電圧が印加されるようになっている。陰極3には、円環状のフィラメント3aが内蔵され、フィラメント3aから放出された熱電子が直流高電圧により加速されて、陽極4の表面に埋め込まれているターゲットに衝突し、X線が発生するようになっている。なお、通常、陽極4は、熱伝導率が大きい銅が用いられ、これに埋め込まれるターゲットには、仕事関数が大きく、高融点のタングステンやタングステンとモリブデンの張り合わせが使用される。また、フィラメント3aもタングステンが使用されるが、熱電子を放出しやすいように、例えば、酸化金属やトリウムの単原子層が表面に形成されている。
【0009】
また、X線管1は、陰極3と陽極4との間の中間の電位に維持されたL字状の中間電位電極5が備えられ、金属電極である中間電位電極5が陰極3の裏面側(外囲器ガラス2とセンタバルブとの境界部)に配設され、陰極近傍の電界分布を緩和している。すなわち、陰極3は、陽極4と中間電位電極5との間に配設されている。外囲器ガラス2は、底面を有した円筒状のものであり、縁部に中間電位電極5を設けている。また、ステムガラス8は、外囲器ガラス2と一体形成された回転体であり、外囲器ガラス2の内面と共に陰極3と中間電位電極5との間の沿面放電を回避するために設けられている。なお、外囲器ガラス2とセンタバルブとは、中間電位電極5を介して連結されている。
【0010】
また、X線管1は、本実施形態の特徴構成である陰極用抵抗体6と中間電位電極用抵抗体7とを同心状に対向させている。陰極用抵抗体6は陰極3に電気的に接続されており、中間電位電極用抵抗体7は中間電位電極5に電気的に接続されている。陰極3と中間電位電極5とは真空によって直接的に絶縁され、また、陰極3と中間電位電極5とはステムガラス8の沿面及び外囲器ガラス2の内面を介して絶縁されている。すなわち、陰極用抵抗体6と中間電位電極用抵抗体7とは、真空中を対向しており、矢印Aのように対向方向に電位分布が形成され、また矢印Bのように、ステムガラス8の沿面に沿って電位分布が形成されている。
【0011】
図2は、金属電極を対向させて電圧をかける比較例の対向電極の概念図である。図2では、円環状の中間電位電極10の先端に円環状の中間電位金属製シールド11を配置し、円環状の陰極側金属電極12の先端に円環状の陰極側金属製シールド13を配置している。この中間電位金属製シールド11及び陰極側金属製シールド13は、陰極側金属電極12と中間電位電極10との近傍の電界を緩和し、それぞれの電界分布を放電開始条件以下に制限している。なお、図2は概念図であり、中間電位金属製シールド11と陰極側金属製シールド13とは軸方向に対向しているように記載されているが、実際には同心円状に径方向に対向している。
【0012】
図3は、図2の比較例の構成で電圧を印加した場合の電界強度―放電電流特性である。図3において、横軸は電界強度(kV/mm)であり、縦軸は放電電流(A)である。X線管1は、電界強度の増加と共に放電電流も増加し、その途中経過及び絶縁破壊電圧が若干のバラツキを有していても、電流値が2μAの一定値(放電開始電流、放電開始条件)を超えると放電電流は急増する。なお、電界強度15kV/mmのとき、電極間距離5mmとすると、絶縁破壊電圧は、約75kVである。
【0013】
すなわち、低電界では、電界放出により陰極3から放出された電子が電極間の電界強度に比例した速度で中間電位電極10まで移動する。そして、陰極3から放出された電子が中間電位電極10に到達すると、中間電位電極10からガスが発生し、衝突熱により金属が溶融する。ガスがイオン化したガスイオン、あるいは溶融した金属イオンが電界強度に比例した速度で陰極3まで移動する。これらにより、低電界では、電子及びイオンの移動による、極めて微弱な暗電流が流れる。一方、放電電流が一定値(放電開始条件)を超える高電界では、イオンが陰極3で衝突して、二次電子が放出され、電流が増倍する全路フラッシュオーバとなり、絶縁破壊に至る。
【0014】
したがって、X線管1は、放電電流の増加を防ぐことができれば、絶縁破壊に至る電界強度を上げることができる。また、X線管1は、溶融した陽極金属が電界によって飛散することによっても、放電電流が増加するので、陽極側材料の融点を高くすることによっても絶縁破壊に至る電界強度を上げることができる。
【0015】
図4は、本実施形態のX線管1の電極構成の概念図である。陰極3の先端に円環状の陰極用抵抗体6が設けられ、円環状の中間電位電極5の先端に円環状の中間電位電極用抵抗体7が設けられ、陰極用抵抗体6と中間電位電極用抵抗体7とは互いに対向している。また、中間電位側リード線16が中間電位電極5と中間電位電極用抵抗体7とを接続し、陰極側リード線17が陰極3と陰極用抵抗体6とを接続している。すなわち、図4は、図2の金属シールド(中間電位金属製シールド11,陰極側金属製シールド13)に代えて抵抗体(陰極用抵抗体6,中間電位電極用抵抗体7)を配置したものである。
【0016】
図5は、図1のX線管1の対向電極とこの印加電源との等価回路である。陰極3と陽極4との間には、(E1+E2)の直流高電圧が印加されており、中間電位電極5と陰極3との間には、電圧E1が印加されている。また、X線管1は、陰極用抵抗体6と中間電位電極用抵抗体7とが中間電位電極5と陰極3との間に対向するように設けられ、中間電位電極5と陰極3とには電圧E1が印加されている。なお、中間電位電極5は接地されている。
【0017】
金属電極(中間電位電極5,陰極3)の先端では抵抗体(陰極用抵抗体6,中間電位電極用抵抗体7)が対向している。この状態で電圧E1を上げていっても、抵抗体中の電子は金属の表面準位(0.5〜2.0eV)よりも高い表面準位(5〜10eV)が必要であるので、表面電界が相当に上昇しないと電子放出しない。また、陰極用抵抗体6から電子が放出されるようになっても、中間電位電極用抵抗体7は、セラミックを用いることにより、融点を金属に比して高くすることができるので、溶融に至るまでさらに余裕がある。
【0018】
すなわち、陰極用抵抗体6は電子放出が始まる表面電界が金属に比して高く、また、中間電位電極用抵抗体7は電子の衝突により温度が上がっても、融点が高いので溶融物が飛散し難い。これらの作用によって、この構成の電極構成は絶縁破壊に至る表面電界が高いので、図2の比較例に比べて絶縁破壊を起こすことが少なくなる。
【0019】
本実施形態の中間電位電極用抵抗体7及び陰極用抵抗体6は、図4に示すように中間電位電極5あるいは陰極3よりも幅(軸方向長さ)が広く、中間電位電極5及び陰極3の表面が直接対向しないようにしている。言い換えれば、中間電位電極用抵抗体7及び陰極用抵抗体6は、中間電位電極5あるいは陰極3よりも面積が大きく、全面が抵抗体で形成されている。このため、中間電位電極5と外囲器ガラス2との境界、あるいは陰極3とステムガラス8との境界から発生する放電が回避される。中間電位電極5及び陰極3は、それぞれの中間電位電極用抵抗体7及び陰極用抵抗体6と中間電位側リード線16及び陰極側リード線17を用いて電気的に接続される。
【0020】
また、図6は、図4の中間電位電極用抵抗体7及び陰極用抵抗体6を、円環状の中間電位電極5及び陰極3を覆うように断面を円弧状(半円状)に形成し、外周面を互いに対向するように配置したものである。図において、中間電位電極用抵抗体7a及び陰極用抵抗体6aは、中間電位電極5及び陰極3と中間電位側リード線16や陰極側リード線17のように各々電気的に接続されている。この電気的な接続は、電極と抵抗体(絶縁物)とをねじ留めする方法、電極と抵抗体とをリード線で繋ぐ方法、接着剤で接着した後に導電塗料で電気的に接続する方法など種々な方法が可能である。
【0021】
抵抗体(陰極用抵抗体6,中間電位電極用抵抗体7)は、放電電流を制限することを目的としており、抵抗値が1MΩ台では放電電流低減効果が低い。図7は、電極と抵抗体とを対向させた図5の抵抗体間を5mmとした場合の抵抗体の電気抵抗値と絶縁破壊電圧との関係の実測例である。ここで、抵抗体の電気抵抗値は、抵抗体の電極との接続位置と抵抗体間が対向する先端とで測定した抵抗値である。電気抵抗値が10MΩを境とし、絶縁破壊電圧が1.3倍以上の70kVから90kVまで変化し、絶縁破壊電圧増大効果が認められる。
【0022】
また、抵抗体で電力が消費されるので、絶縁破壊に至る放電開始電流値(例えば、2μA)における金属導体間電圧(すなわち、絶縁破壊電圧)が高くなり、絶縁破壊が生じにくくなる。
【0023】
一方、抵抗体は、十分な耐熱性を有することが必要であり、具体的には、ガラス、セラミックスなどが使用される。一般のガラス材料は、抵抗値が1012から1014Ωまでであり、金属、金属塩などを混合することで10Ω程度の抵抗値を得ることができる。また、セラミックスは、アルミナの抵抗値が1014Ω程度であるが、金属、金属酸化物を混合して焼成することにより、10Ω程度まで抵抗値を下げることができる。
【0024】
図6に示す抵抗体をX線管に適用した例を図8に示す。陰極3の先端に陰極用抵抗体6aが配置され、中間電位電極5の先端に中間電位電極用抵抗体7aが配置してある。このように、X線管は、陰極用抵抗体6aと、中間電位電極用抵抗体7aとが対向するようにすることで、絶縁破壊電圧が比較的低い陰極3と中間電位電極5との間の絶縁破壊が発生することなく、長期間の安定寿命が得られる。
【0025】
以上説明したように本実施形態によれば、X線管1は、陰極3のフィラメント3aから熱電子が放出され、この熱電子が陽極4の表面に埋め込まれているターゲットに照射され、X線が放射される。また、X線管1は、陰極3と陽極4との間の中間の電位に維持されている中間電位電極5が陰極3の裏面側に設けられており、陰極3の近傍の電界分布を緩和して、絶縁破壊電圧を向上させている。これにより、中間電位電極5への熱電子の衝突による金属電極の溶融を回避し、管内への金属の付着を回避している。
【0026】
さらに、X線管1は、陰極3と中間電位電極5との間に、本実施形態の特徴構成である陰極用抵抗体6及び中間電位電極用抵抗体7を対向するように配設することによって、絶縁破壊電圧をさらに向上させている。直流で負極性の高電圧となる陰極3では、陰極用抵抗体6を配設することによって、放電電流を制限し、陰極側からの電子放出が起こる閾値電圧を高くすることができ、これによって耐電圧性能が向上している。また、中間電位電極5側の中間電位電極用抵抗体7は、セラミックを用いることにより、熱電子が衝突しても容易に溶融しないので、やはり耐電圧性能を向上することができる。これらによって、金属が管内に付着しないので、X線管の経時劣化を防止し、何時までも優れた直流の耐電圧性能を有するX線管を提供することができる。X線管1の長期絶縁安定寿命を達成することができる。
【0027】
言い換えれば、特許文献2に記載の技術は、金属電極が対向している側に筒状のシールド電極を挿入して、対向面の電界を緩和していたが、本実施形態は、この金属製のシールドを抵抗体に変更し、抵抗体を対向させることで、電子群の放出を防止し、電極の金属が溶融しないようにした。
【0028】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形が可能である。
(1)前記実施形態は、中間電位電極5と陰極3との間に対向させた抵抗体を設けたが、陰極3と陽極4との間に抵抗体を設けることもできる。この場合は、放電電流が低下することにより絶縁破壊電圧が高くなる一方、陰極3が放射し陽極4に到達する電子の運動エネルギが低下することになる。また、抵抗体により、絶縁破壊電流が制限される。
【0029】
(2)前記実施形態では、中間電位電極5と中間電位電極用抵抗体7との間を中間電位側リード線16で接続し、陰極3と陰極用抵抗体6との間を陰極側リード線17で接続したが、放電電流を抵抗体で制限すればよいので、中間電位側リード線16及び陰極側リード線17は必ずしも必要ではない。
【0030】
(3)前記実施形態は、中間電位電極5と陰極3との間に中間電位電極用抵抗体7及び陰極用抵抗体6を対向するように設けたが、中間電位電極用抵抗体7及び陰極用抵抗体6の何れか一方の抵抗体を設けてもよい。図9は、中間電位電極用抵抗体7のみ設けたX線管の断面図であり、図10は、陰極用抵抗体6のみ設けたX線管の断面図である。
抵抗体を片側の金属電極に設置した場合にも1.2倍に近い絶縁破壊電圧を得ることができる。これも、本実施形態の陰極電極側の特徴である電子を放出し難いことと、中間電位電極用抵抗体7が溶融し難いこととによって生じる。したがって、中間電位電極5の側に抵抗体を設置しても陰極3の側に抵抗体を設置しても、本発明の目的を達成することができる。
【0031】
(4)前記実施形態では、中間電位電極5は、陽極4に対して陰極3の裏面側に配設したが、陽極側に中間電位電極を円環状に設けることもできる。
(5)前記実施形態の説明では、所定値以上の放電電流(例えば、2μA以上)が流れると絶縁破壊するので、所定値(例えば、10MΩ)より大きな抵抗値の抵抗体を電極間に挿入して、絶縁破壊を回避したが、この所定値よりも小さな抵抗値の抵抗体を用いることができる。この場合には、放電電流が十分に制限されないので、絶縁破壊することがあるが、絶縁破壊電流を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態であるX線管の断面図である。
【図2】比較例のX線管の対向電極の概念図である。
【図3】比較例のX線管の対向電極を用いて計測した電界強度と放電電流との関係を示す特性図である。
【図4】本実施形態のX線管の対向電極の概念図である。
【図5】本実施形態のX線管の対向電極の等価回路図である。
【図6】変形例のX線管の対向電極の概念図である。
【図7】本実施形態のX線管の抵抗体の電気抵抗値と絶縁破壊電圧との関係を示す特性図である。
【図8】変形例のX線管の断面図である。
【図9】中間電位電極用抵抗体のみ設けたX線管の断面図である。
【図10】陰極用抵抗体のみ設けたX線管の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 X線管
2 外囲器ガラス
3 陰極(金属電極)
3a フィラメント
4 陽極(金属電極)
5 中間電位電極(金属電極)
6,6a 陰極用抵抗体
7,7a 中間電位電極用抵抗体
8 ステムガラス
10 中間電位電極
11 中間電位金属製シールド
12 陰極側金属電極
13 陰極側金属製シールド
16 中間電位側リード線
17 陰極側リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空内で電圧が印加され、対向する金属電極を備えるX線管であって、
前記金属電極は、抵抗材料からなる抵抗体を有し、
前記抵抗体は、対向するように配置されたことを特徴とするX線管。
【請求項2】
真空内で電圧が印加され、対向する金属電極を備えるX線管であって、
前記金属電極は、一方が抵抗材料からなる抵抗体を有し、
前記抵抗体は、他方の金属電極の全面に対向していることを特徴とするX線管。
【請求項3】
前記対向する金属電極は、陽極と陰極との間の中間電位に維持される中間電位電極と、これに対向する前記陰極とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線管。
【請求項4】
前記中間電位電極は、前記陽極に対して前記陰極の裏面側に配設されていることを特徴とする請求項3に記載のX線管。
【請求項5】
前記中間電位電極は、前記陰極を保持するステムガラスの外周を囲む外囲器ガラスの縁部に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のX線管。
【請求項6】
前記抵抗体は、前記印加される印加電圧を暗電流から絶縁破壊電流に至る放電開始電流で除した値以上の抵抗値を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線管。
【請求項7】
前記放電開始電流が2μAであるとき、前記抵抗値は、10Ω以上であることを特徴とする請求項6に記載のX線管。
【請求項8】
前記抵抗体は、断面が円弧状の円環形状をなしていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線管。
【請求項9】
前記抵抗体は、金属、金属酸化物あるいは金属塩が混入されたガラス、又はセラミックであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線管。
【請求項10】
前記抵抗体は、前記金属電極よりも広く、全面が抵抗体で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−81108(P2009−81108A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251040(P2007−251040)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)