説明

cDNAライブラリー調製

自動配列決定システムと適合するアダプター配列による、mRNAサンプルからcDNAライブラリーを作製するための高速処理用新規生化学プロトコールが提供される。提供される方法は、従来のcDNAライブラリー産生法に伴う3’バイアスを持たないcDNAライブラリーを産生する。DNAからDNAライブラリーを産生するための新規方法も提供される。5’および3’末端に既知のアダプター配列を含む、得られる1本鎖cDNAは、方向性情報を保持するので、ベクターまたは宿主細胞にクローンすることを要せずに、自動配列決定システムを用いて自動配列決定するのに好適である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に分子生物学に関し、詳細には、cDNAライブラリーおよびDNAライブラリーの作製に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
配列決定による従来の転写物プロファイリング法は、全長cDNAクローンのSanger式配列決定法、および/または各mRNAの5’末端または3’末端の小「タグ」の配列決定に限定される。これらの配列決定法は、手間がかかり、その広範な適用は、技術的制限によって阻まれている。
【0003】
一般に、mRNAの配列決定法は、cDNAライブラリーの作製、およびcDNAライブラリーの挿入体の配列決定を含む。高速配列決定に好適な形でcDNAライブラリーを作製することは、いくつかの技術的に困難な工程を伴う、長い、退屈なプロセスである。要約すれば、細胞からmRNAを単離するための通常手順は、(1)細胞の破壊による細胞内容物の放出、(2)細胞からの全体RNAの単離、(3)抽出されたRNAにオリゴ(dT)セルロースカラムを通過させることによるmRNA集団の選択と、(4)RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)を用いてcDNA第1鎖を合成することによるRNAからのcDNAの合成、(5)cDNAからの第2鎖の合成、すなわち、DNA依存性DNAポリメラーゼ、例えばE.coli(大腸菌)pol Iクレノウ断片による2本鎖cDNAの生成、(6)2本鎖cDNAのベクターへのクローニング、および(7)宿主(例えば、細菌)に対するベクターのトランスフェクション、を必要とする。RNAが存在する全ての段階において、調製標本が、RNAを破壊する可能性のある、活性リボヌクレアーゼ酵素と接触することがないよう十分な注意が必要とされる。リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)酵素はきわめて安定であるので、mRNA調製標本の中にごく少量でも活性酵素が存在するならば、それは、RNA分解のような問題を引き起こすことになる。cDNAクローニング過程の目的は、遺伝子の全コード配列を含む「全長」cDNAクローンを獲得することにあるのであるから、mRNAの完全性を維持する手順を用いることはきわめて重要である。
【0004】
cDNAライブラリーの5’末端の低い抽出度は、従来技術に内在する限界であるが、いくつかの要因によってもたらされる。もっとも重要な要因の一つは、逆転写酵素による伸長過程におけるランダムな中断である。逆転写酵素が、mRNAの3’から5’末端に向かって移動するにつれて、逆転写酵素の一定のパーセンテージがRNA鋳型から解離し、これが、cDNA合成の早すぎる停止を招く。もう一つの寄与要因は、逆転写酵素の、mRNA二次構造の複数の領域における休止、減速、または停止である。さらに、3’末端バイアスは、mRNAの5’末端を分解によって除去する夾雑するRNアーゼによっても導入される。これらの要因の累積結果は、従来のcDNAライブラリーでは、mRNAの3’末端の方が、5’末端に近い配列よりも、統計的により多く抽出される可能性が高いということになる。この3’バイアスは、長い転写物ではさらに強調される。なぜならば、転写物が長ければ長いほど、3’バイアス要因のそれぞれに対する感受性がより高くなるからである。
【0005】
従来のcDNAライブラリー産生技術の、さらに別の欠点として、ライブラリーを増幅するためにクローニングベクターおよび宿主細胞を使用することが挙げられる。宿主ベクターの複製、および/または宿主細胞/ウィルスの増殖は、cDNA挿入体によって影響されることがあり、細菌またはウィルス性のcDNAライブラリーではある種の配列の抽出度が低くなる可能性がある。例えば、cDNAが宿主細胞で複製される場合、長いcDNA、および、多くの反復列または二次構造の可能性を持つcDNAは、再編成されたり、またはその抽出度が低くなることがある。さらに、cDNAが致死性遺伝子をコードしている場合、宿主におけるその増殖が危うくなる可能性がある。さらに、cDNAライブラリーが、大腸菌cDNAライブラリーのような、一般的宿主細胞由来ものである場合、宿主細胞のRNAが結果を汚染する可能性がある。全く宿主細胞を用いない方法は、この問題を回避することが可能である。
【0006】
一般に、例えば、ウィルス、または小組織または細胞サンプルを用いる作業では、開始DNAまたはRNAの利用可能な量はきわめて限定される(例えば、ナノグラムの桁である)。このような限定量の開始材料からDNAまたはcDNAライブラリーを調製することはきわめて困難であり、現在用いられている方法では不可能ですらある場合がある。したがって、少量の開始核酸から高品質のDNAまたはcDNAライブラリーを調製することを可能とする方法が従来技術において求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、開始RNA(または、開始RNA集団)を断片化すること、断片化された開始RNAにプライマーを付着させ、該RNAから1本鎖cDNAを合成すること、および、この1本鎖cDNAの両端にアダプター配列を連結することによって1本鎖cDNAライブラリーを形成する新規方法を提供する。5’および3’末端に既知のアダプター配列を含む、得られる1本鎖cDNAは、方向性情報を保持するので、ベクターまたは宿主細胞にクローンすることを要せずに、何らかの自動配列決定システム、例えば、454 Life Sciences,Branford,コネチカット州によって開発された配列決定システムを用いて自動配列決定するのに好適である。
【0008】
本発明の一実施態様は、開始RNAから1本鎖DNAライブラリー(例えば、cDNAライブラリー)を生成するための方法を主題とする。この方法は、RNAを断片化して断片化RNAを産生する第1工程を含む。この断片化は、サイズが100塩基と1000塩基の間、例えば、150塩基から500塩基の間のサイズを持つRNA断片を産生するように最適化されてもよい。ある最適工程では、公知の技術、例えば、ゲル電気泳動、またはクロマトグラフィーを用いて、RNA断片をサイズ分画してもよい。このサイズ分画によって、100から1000塩基の間、または150から500塩基の間のRNAが産生されてもよい。
【0009】
断片化後、断片化RNAは、該断片化RNAに対し複数部位において付着し、そこから伸長することが可能な複数のプライマーにハイブリダイズさせられる。このことは、第1プライマーが、そのハイブリダイゼーション領域にランダム配列を含み、かつ、そのようなプライマーの集団が、任意の配列にハイブリダイズすることが可能なメンバーを含むように選ばれている場合、可能となる。このハイブリダイズしたプライマーは、逆転写酵素によって伸長され、1本鎖cDNAを形成する。1本鎖cDNA(sscDNA)の合成後、このRNAは、変性条件、NaOH加水分解、熱処理、またはRNアーゼ処理によって除去されてもよい。RNAの除去後、第1DNAアダプターを、cDNAの5’末端に連結させてもよい。好ましい実施態様では、第1アダプターは、2本鎖部分の外に、sscDNAの5’末端に対して相補的な、オーバーハングした(1本鎖の)5’末端領域を有する。さらに、1本鎖cDNAの3’末端に対し相補的な、オーバーハングした3’末端領域を含む第2アダプターを、cDNAの3’末端に連結させてもよい。
【0010】
【化1】

なお、注意すべきことは、cDNAの5’末端における第1アダプターの連結が不要であることである。さらに、第1鎖cDNA合成プライマーは、非ランダム5’部分を組み込むように設計することも可能である。この非ランダム5’部分は、第1アダプターの配列を有してもよい(サンプルアダプターの配列については図2を参照)。結果として得られるいずれのcDNAも、既に5’末端に所望の配列を有すると考えられるので、5’末端に対する第1アダプターの追加の連結は不要である。
【0011】
第1および第2アダプターは、cDNAに対し同時に連結させてもよいし、あるいは、任意の時間順序で連結させてもよい。さらに、第1アダプター、第2アダプター、または両方とも、精製用として、結合ペアのメンバーを含んでもよい。結合ペアは、互いに特異的結合性を示す任意の二つの分子、例えば、FLAG/FLAG抗体、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、受容体/リガンド、抗原/抗体、受容体/リガンド、ポリHIS/ニッケル、タンパクA/抗体およびその誘導体であってもよい。結合ペアは、第1または第2アダプターのどちらか一方の鎖に付着させてもよい。さらにアダプターの両方の鎖が、結合ペアの同じメンバー(例えば、二つのビオチン)によって標識されてもよい。次に、第1および第2アダプターに連結される、1本鎖cDNAが精製されてcDNAライブラリーを形成する。
【0012】
sscDNAの精製は、cDNAの方がアダプターまたはプライマーよりも長いので、サイズ分画によって実行してもよい。cDNAが、結合ペアの一方のメンバー(例えば、後述のようにビオチン)に付着している場合、固相支持体に付着する結合ペアの第2メンバー(例えば、ストレプトアビジン、アビジンなど)を用いることによって精製することが可能である。
【0013】
複数のプライマーは、既知の配列内容を持つ一つ以上の非ランダムプライマー塩基を含むセミランダムプライマーであってもよい。例えば、プライマーは10塩基長であって、その内、第1塩基(5’末端から数えて)および第4塩基は既知の配列を持ち(すなわち、A、G、C、T、またはU)、その他の塩基(塩基2、3、および5〜10)は、未知の配列を持ってもよい。好ましい一実施態様では、第1アダプターは、前記複数のプライマーの非ランダム塩基に対し相補的な1本鎖領域を含む(図1、アダプターAを参照)。
【0014】
複数のプライマーはさらに、セミランダムであって、非ランダム塩基が、あるサブセットの発現配列のメンバー、例えば、対象とする遺伝子ファミリーのメンバーに対して優先的に、または特異的にアニールするように設計されていてもよい。複数のプライマーはさらに、非ランダムであってもよい、すなわち、配列特異的であってもよい。プライマーが、特異的で、非ランダムな配列を有する場合、それらのプライマーは、得られるDNAまたはcDNAを、特定の発現配列またはゲノム領域に、あるいは、関連発現配列またはゲノム領域の二つ以上のメンバーに偏向させる可能性がある。本発明の方法のいずれにおいても、オリゴヌクレオチドにおける任意のランダム塩基位置(A、G、C、T、またはU)は、イノシン(I)、すなわち、一般塩基A、G、C、T、またはUのいずれともペアを形成することが可能な塩基によって占められてもよい。
【0015】
ここに特許を請求する本発明の一利点は、cDNAまたはDNAライブラリーが、DNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、クレノウ、pol I)を用いることなく作製することが可能であるということである。すなわち、本法は、一つのポリメラーゼ、すなわち、逆転写酵素を用いるだけで実行が可能である。本発明のもう一つの利点は、DNAまたはcDNAライブラリーが、核酸の増幅工程なしに作製可能であるということである。
【0016】
本発明はさらに、開示の方法によって産生される、増幅されない1本鎖cDNAライブラリーを含む。さらに、本発明のライブラリーは、サブトラクション・ライブラリー、例えば、cDNAサブトラクション・ライブラリーを産生するために使用してもよい。
【0017】
必要であれば、sscDNAは、アダプターの連結後、DNA依存性DNAポリメラーゼ、例えば、Pol Iまたはクレノウポリメラーゼを加えることによって2本鎖としてもよい。本法ではこの工程は不要であるが、この工程を用いて、クローニング、またはその他の目的のために2本鎖cDNAライブラリーを作製してもよい。
【0018】
これらおよびその他の実施態様は、下記の詳細な説明において開示されるか、または下記の詳細な説明から明白であり、詳細な説明の中に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
別様に定義しない限り、本明細書に使用される技術および科学用語は全て、本発明の関係する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実行には、本明細書に記載されるものと類似の、または等価的な、いくつかの方法および材料の使用が可能であるが、本明細書では、好ましい材料および方法が記載される。
【0020】
本発明の方法は、既存のcDNAライブラリー産生法に優るいくつかの利益および利点を提供する。そのような利点として、(1)初期のmRNA必要量の少ないこと(すなわち、5ngから500ng、典型的初回量は10ngから200ng)、(2)従来のcDNAライブラリー産生法および配列決定法に比べ3’バイアスが排除されること、(4)調製の全体手間がより少なく処理過程が高速であること、(5)配列決定する材料のクローニングおよび増幅が除かれること、および、(6)cDNA産生プロセスの全体を通じて方向性情報(センスまたはアンチセンス方向)が保持されること、が挙げられる。
概観
本発明の方法は、得られるcDNAライブラリーが、全ての転写物のタイプについて含まれる3’バイアスが顕著に低減されるという点で、従来のcDNA配列決定プロトコールに優る顕著な改良点を提供する。ここに提供される方法は、開始RNAを均一なサイズ範囲(150から500ヌクレオチド)に断片化し、そうすることによって、逆転写酵素による早すぎる終結を招くことなく逆転写することを可能とし、それによって逆転写酵素の処理能力に関する内在的問題を解決する。開始RNAがmRNAである場合、断片は、サンプルに抽出される転写物それぞれの長さをランダムに持つと考えられる。次に、この断片化RNAプールに対し、セミランダムプライマー(5’−P−TNNTN−3’)(配列番号1)によって駆動される逆転写酵素反応を実行する。
【0021】
このセミランダムプライマーを用いることによって、様々なmRNA断片の全てについて均一なランダム逆転写が行われるが、そして、これが重要であるが、この技術は、RNA(例えば、転写物)の5’末端に対し3’末端を優先することをしない。プライマーは、二つの理由でセミランダムとなるように設計される。第1に、ランダム性によって、RNAプール内の全ての断片に対しプライマー付着させることができるので、各転写物を完全にカバーすることが可能となる。第2に、プライマーのTNNT部分(図1)を、その後の連結反応において方向性アンカー部位として使用することが可能である。
【0022】
本法の一利点は、従来行われる、2本鎖cDNA作製のための第2鎖合成が実行されないということである。これは時間を節約し、さらに、インビトロ核酸合成によるアーチファクトを回避する。その代わりに、sscDNAに対し順行アダプター(またはA−アダプター)または逆行アダプター(またはB−アダプター)を付着させるために、連結反応が実行される。このAおよびBアダプターは、任意の下流配列決定プロトコールに対し方向性情報を提供する(図1)。
【0023】
このアダプターセット(すなわち、AおよびBアダプター)は、順行および逆行アダプターの方向性連結を可能とし、順行アダプターが、sscDNA分子の5’末端に、逆行アダプターが、同DNA分子の3’末端に付着されるように設計される。連結に用いられる各アダプターセットは、相補的な二つのプライマーから構成されるが、ただし、プライマーの内の一方は他方よりも長く、そのためオーバーハング・セグメントを生じる。連結反応に用いられるアダプターユニットの模式図を図1に示す。長い方のプライマーの非相補的部分は、sscDNA分子にアニールするアンカー(固着)ユニットとして使用される。一旦この固着が実行されると、短い方のプライマーも、sscDNAの5’または3’末端に連結することが可能になる。sscDNAに対するアダプターユニットの方向性アニーリング、および連結の行われる場所を示す模式図を図1に示す。
【0024】
非連結材料から連結sscDNAを単離するには、多くの方法の利用が可能である。好ましい一方法では、アダプターの一方または両方が、長鎖(非連結鎖)においてビオチン標識されてもよい。市販のストレプトアビジン磁気ビーズ、例えば、MyOne(Dynal)を用いて、連結反応から連結分子を単離する。磁気ビーズから非連結材料を洗い流した後、sscDNA分子を融解して切り離す。このことは、アダプターの非連結鎖のみがビオチン化されているために可能となる。この融解によって、cDNAに連結した連結鎖が分離され、連結鎖−cDNA構造が溶液に放出される。このsscDNAを溶液から単離し、ただちに配列決定される最終的sscDNAライブラリーを生成するようにしてもよい。溶液からsscDNAを精製するには多くの方法が知られる。ある実施態様では、Sephacryl S−400カラムが精製のために使用される。ある好ましい実施態様では、sscDNAは、RNAclean(Agecourt)によって精製される。これは、アダプターの非連結プライマーだけでなく、大部分のごく微小な断片を除去するのにも役立つ。
【0025】
一実施態様では、Bアダプターがビオチン標識される。これによって、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズを用いることによって、非連結sscDNAからばかりでなく、非連結アダプターからも、連結cDNA分子を単離することが可能になる。sscDNAはビーズから融解され、クリーンアップ工程を経て最終的sscDNAライブラリーを生成する。次に、このライブラリーは定量され、直接的配列決定に適切な濃度に希釈される。直接的配列決定は、例えば、454 Life Sciencesの配列決定プロトコールおよび装置を用いて実行してもよい。454 Life Sciencesの技法を用いて配列決定することが好ましいが、この配列決定は、任意の技術、例えば、クローニングおよび手動による配列決定から成る従来技術を含む技術を用いて実行することが可能である。このような手動による配列決定法としては、マクサムギルバート配列決定法、サンガー配列決定法、合成配列決定法、例えば、ピロ配列決定法が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。もう一つの配列決定法は、sscDNAのどちらか一端の既知配列に対してハイブリダイズするように設計されたプライマー(すなわち、AアダプターおよびBアダプター領域)を用いて個別のsscDNAのPCR増幅を行い、次いで配列決定することを含む。
【0026】
RNAライブラリー生成の方策に関する概観を呈示したので、次に本発明の方法の個別の工程をさらに詳しく説明する。
開始RNA
本発明の方法は、少なくともメッセンジャーRNA、リボソームRNA、転移RNA、ウィルスRNA、およびmicro RNAを含む、任意の天然または合成RNAの配列決定のために使用してよい。一つの好ましいRNA供給源は細胞RNAである。細胞RNAは、既知の方法、例えば、8MグアニジニウムHCl、またはTrizol試薬使用の単離法によって単離してよい。当業者であれば、RNA処理のために一般的に使用される技術、例えば、対象とするRNAに接触する全ての溶液にジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水を使用することなどに精通する。RNAは、ポリ(A)濃縮されていてもよいが、そうである必要はない。ポリ(A)濃縮RNAが所望であるなら、ポリ(A)RNAを生成する任意の方法を用いて獲得することが可能である。そのような方法として、例えば、オリゴ(dT)セルロース基質の上にポリ(A)RNAの溶液を流して、結合させ、基質から未結合RNAを洗い流し、低イオン強度バッファー(低塩濃度バッファー)を用いて基質からポリ(A)RNAを放出する方法が挙げられる。ポリ(A)RNAを単離する、その他の方法としては、オリゴ(dT)結合磁気媒体、例えば、オリゴ(dT)をプライマー付着させた磁気ビーズ(Dynal)の使用が挙げられる。
RNAの断片化
開始RNAは、従来技術で公知の任意の方法、例えば、機械的せん断、超音波処理、および噴霧処理を含む方法によって断片化してよい。
【0027】
なお、断片化は、任意に選択される工程である。本発明の方法は、RNAを断片化することなく実行してもよい。
【0028】
さらに、本発明の方法は、断片化されたものであれ、断片化無しで産生されたものであれ、10塩基、20塩基のRNAから始め、1kb、10kb以上のRNAに至るまで、任意のサイズのRNAに適用することが可能である。RNAサイズの上限は、RNA逆転写酵素の処理能力に依存する。この上限は、新規RNA逆転写酵素の発見、または、さらに高い処理能力を持つ遺伝子工学的に加工された逆転写酵素の出現によって上昇することが期待される。比較的低いサイズ範囲に入るRNAの例としては、micro−RNA、および断片化または分解されたRNAが挙げられる。
【0029】
開始RNAを断片化するための好ましい一つの方法は、カリウムおよびカルシウムイオン存在下におけるmRNAの熱誘発性断片化である。簡単に言うと、RNAを、40mM Tris−アセテート、100mM酢酸カルシウム、および31.5mM酢酸マグネシウムの溶液に移し、82℃で、所望量の断片化が得られるまでインキュベートする。我々の知見では、上に参照したTris/酢酸カリウム/酢酸マグネシウム溶液では、RNAを約150から500塩基のサイズに短縮するのに2分のインキュベーションで十分であった。断片化は、例えば、ゲル電気泳動、またはBioanalyzer(Agilent)によってモニタリングしてもよい。もちろん、様々な環境に断片化技術を適応させるためには、イオン濃度、インキュベーション温度、および時間調節も必要となる場合がある。
【0030】
断片化後、RNAは、公知の技術を用いて精製してよい。RNA精製の一方法は、RNAサンプルを脱塩することである。脱塩は、市場の供給業者、例えば、Qiagenから販売されるキット(例えば、スピンカラム)を用いて実現してもよい。
1本鎖cDNA(sscDNA)の合成
断片化後、逆転写酵素を用いてRNAをcDNAに逆転写する。好ましい一実施態様では、第1鎖cDNA合成は、配列5’−P−TNNTNNNNNN−3’(配列番号1)を有するセミランダムプライマーを用いて実行する。上の配列において、Nはランダム配列(A、G、C、またはT)を表し、Pは5’リン酸塩である。プライマーは、3’NNNNNN領域(配列番号17)を用い断片化mRNAに対しランダムに付着するように設計される。このポリ(N)領域は、6塩基長であることが好ましいが、7塩基、8塩基、9塩基、または10塩基のポリ(N)領域も考えられる。プライマーはさらに、その後の、順行アダプターの方向性連結のために使用されてもよいアダプター配列(5’−TNNT−3’)を含む。本明細書に開示されるプライマーの配列は、例示のために用いられるものであること、プライマー配列TNNTNNNNNN(配列番号1)の二つのTは、既知の任意の二つの塩基によって置換されてもよいことが理解される。例えば、本発明の実施に当たり、下記のプライマーも同様に作動する。すなわち、ANNANNNNNN(配列番号2)、GNNGNNNNNN(配列番号3)、CNNCNNNNNN(配列番号4)、ANNGNNNNNN(配列番号5)、ANNCNNNNNN(配列番号6)、ANNTNNNNNN(配列番号7)、GNNANNNNNN(配列番号8)、GNNCNNNNNN(配列番号9)、GNNTNNNNNN(配列番号10)、CNNANNNNNN(配列番号11)、CNNGNNNNNN(配列番号12)、CNNTNNNNNN(配列番号13)、TNNANNNNNN(配列番号14)、TNNGNNNNNN(配列番号15)、およびTNNCNNNNNN(配列番号16)である。
【0031】
本発明のプライマー、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ヌクレオシド、および核酸塩基のいずれも、従来技術で公知の一つ以上の化学的修飾および置換、例えば、ホスホロチオエート置換、修飾糖成分、例えば、2’−O−メチル、または2’−O−エチル置換糖、化学発光または蛍光標識、例えば、ただしこれらに限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ローダミン、フルオレセイン、および、Molecular Probesから市販されるAlexaタグ、質量タグ、ブロッキングまたは保護基、ビオチンなどのハプテンを含んでもよい。
【0032】
前述のように、(アダプターA)−NNNNNN(配列番号17)から成る特異的な配列領域を有する5’プライマーの使用も考慮の対象となる。その5’末端にアダプター配列を有するこのようなプライマーは、その後の、第1アダプターの連結を不要にすると考えられる(すなわち、一連結工程を省く)。このようなプライマーによるcDNA合成の後では、3’アダプターの連結だけが必要とされる。プライマーおよび逆転写酵素を用いて、断片化された開始RNAからsscDNAを合成してもよい。アダプターの配列は、例えば、図2に見出される。
アダプターの連結
第1鎖の合成後、sscDNAを精製し、連結反応に移行して、その5’および3’末端にアダプター配列を付加する。アダプターは、ある一定の方向性でsscDNAにハイブリダイズし、連結するように(例えば、アダプターAはsscDNAの5’末端に、アダプターBは3’末端に連結するように、図1参照)設計された、部分的1本鎖領域を有する短い核酸である。サンプルアダプターの構造を図6に示す。
【0033】
アダプターAは、オーバーハングした5’1本鎖領域を有する2本鎖DNAであってもよい。例えば、部分的1本鎖と、部分的2本鎖であるアダプターAは、下記の配列を含んでもよい。
【0034】
【化2】

3’ジデオキシは、この鎖が、別の核酸に連結するのを阻止する。
【0035】
この配列は、配列5’−P−nnnnnnnn−3’(配列番号1)のプライマーから伸長して作製されたsscDNAの5’領域に特異的にハイブリダイズする(図1参照)。前述したように、アダプターAの下線塩基は、プライマー配列の下線塩基に対し相補的となるように設計される。さらに別の具体例として、プライマー配列が5’−nnnnnnnn−3’(配列番号3)である場合は、アダプターAは下記の配列を持たなければならない。
【0036】
【化3】

アダプターBは、オーバーハングした3’領域を有する任意の2本鎖DNAであってもよい。例えば、アダプターBは、下記の配列を持ってもよい。
【0037】
【化4】

このアダプターは、任意の1本鎖DNAの3’末端にハイブリダイズすることが可能であり、アダプターBの短い方の鎖は、1本鎖DNAに連結することが可能である。
【0038】
なお、図、および本開示の本文に示すジデオキシは、核酸の連結を阻止するためのブロッキング基を表す。これらのジデオキシ基は、機能的に等価な、任意のブロッキング基(すなわち、核酸鎖の連結を阻止することが可能なブロッキング基)と置換してもよい。それとは別に、ブロッキング基は使用しなくともよい。
【0039】
アダプターAおよびアダプターBの2本鎖領域は、ランダム配列を含む任意の配列を含んでよい。好ましい実施態様では、アダプターBは、その2本鎖領域の中に、制限酵素切断部位、配列既知のプライマー部位、またはその両方を含んでもよい。
【0040】
より好ましい実施態様では、アダプターAおよびアダプターBの2本鎖領域は、プライマーのその後の精製のために、結合ペア−結合性成分の一方のメンバーを含んでもよい。アダプターAおよびアダプターBのそれぞれが、2本鎖において、1本鎖核酸と連結することが可能な鎖、および、連結するが可能ではない鎖(本明細書では、「連結鎖」および「非連結鎖」と呼ばれる2本鎖)を含む。好ましい実施態様では、アダプターAまたはアダプターBの非連結鎖は、結合ペアの一方のメンバー、例えば、ビオチンを含む。有用な結合ペアとしては、例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ポリHIS領域/NTA、FLAG/抗FLAG抗体、抗原/抗体または抗体断片などが挙げられる。精製は、コンカテマーの形成、例えば、プライマー・ダイマーの形成を顕著に低減する。
【0041】
アダプターの連結後、1本鎖cDNAライブラリーの生成は完了する。このcDNAライブラリーは、cDNAライブラリーを必要とする、任意の分子生物学的手法のために使用することが可能である。
【0042】
一実施態様では、cDNAは、単一組織のRNAから産生される。別の実施態様では、cDNAは、複数の組織、1種以上の細胞、体液、1種以上の生物体、環境サンプル、バイオフィルム、1種以上の細菌、1種以上の古細菌、1種以上の真菌、1種以上の植物、1種以上の動物、一人以上のヒト、ウィルス、レトロウィルス、ファージ、寄生虫、腫瘍または腫瘍サンプル、および/または生物標本のRNAから産生されてもよい。全体cDNAライブラリーの配列を決定することにより、研究者は、単一細胞、または単一組織における各遺伝子の発現レベルを定量すること(すなわち、転写プロファイリング)が可能になる。好ましい実施態様では、配列決定は、454 Life Sciencesから市販される方法および装置を用いて実行される。核酸の直接的配列決定法は、同時係属中の、2004年1月28日出願の米国特許出願第10/767,779号;2003年6月6日出願の米国特許仮出願第60/476,602号;2003年6月6日出願の米国特許仮出願第60/476,504号;2003年1月29日出願の米国特許仮出願第60/443,471号;2003年6月6日出願の米国特許仮出願第60/476,313号;2003年6月6日出願の米国特許出願仮第60/476,592号;2003年4月23日出願の米国特許出願仮第60/465,071号、および、2003年8月25日出願の米国特許仮出願第60/497,985号に記載されている。
生成されたcDNAライブラリーの精製
sscDNAは、任意の選択工程において精製されてもよい。一精製法はサイズ選択による。開始RNAから生成されるRNA断片は、サイズが100塩基から1000塩基、好ましくはサイズが150塩基から500塩基であり、このRNA断片から生成されるsscDNAは、同様のサイズを持つことが予想される。このサイズは、アダプターおよびプライマーのサイズよりも大きい。したがって、cDNAは、サイズ分画によって精製してもよい。サイズ分画は、カラムクロマトグラフィー(スピンカラムを含む)、または、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、または、SPRIビーズ(RNAclean、Agencourt)の使用によって実行してもよい。
【0043】
結合成分が、連結鎖に組み込まれている場合、アフィニティー結合によってsscDNAを回収してもよい。例えば、未連結のアダプター、および、アダプターの未連結鎖を、熱処理またはアルカリ処理などの変性条件によって除去してもよい。変性処理後、結合ペアの一方のメンバー(例えば、ビオチン)を含む連結sscDNAを、結合ペアの他方のメンバー(例えば、アビジン被覆磁気ビーズ)を含む固相支持体に結合させてもよい。洗浄して未結合核酸を除去した後、固相支持体から精製sscDNAを分離してもよい。
【0044】
結合成分が、非連結鎖に組み込まれている場合、結合ペアの一メンバー(例えば、ビオチン)を含む非連結鎖を、結合ペアの他方メンバー(例えば、アビジン被覆磁気ビーズ)を含む固相支持体に結合させて、sscDNAを回収してもよい。洗浄後、sscDNAを変性条件によって収集してもよい。変性条件下では、非連結鎖にハイブリダイズしたsscDNAは溶液中に放出されるが、一方、非連結鎖は、固相支持体に結合したままである。したがって、精製sscDNAと共に溶液を収集してもよい。
【0045】
本発明の方法は、種々の用途、例えば、ただしこれらに限定されないが、サブトラクションcDNAライブラリーの構築、および転写プロファイリング(Shimkets et al.(1999).“Gene expression analysis by transcript profiling coupled to a gene database query.”Nat Biotechnol 17(8):798−803)を含む用途に使用してよい。
【0046】
第二の実施態様では、本発明の方法は、転写物計数を主題としてもよい。転写物計数では、第1プライマーは、メッセンジャーRNAのポリA尾部にハイブリダイズするように設計される。産生されるcDNAライブラリーは、ポリA尾部付近のcDNA配列について濃縮されることが予想される。この方法では、前述の転写物配列決定(TSEQ)プロトコールと同様にして断片化される。しかしながら、この場合、ポリA単離RNAを使用することがきわめて好ましい。cDNAの第1の(そして、ほとんどの場合唯一の)鎖合成用プライマーは二つの領域を持つ。第1領域は、ポリA領域にハイブリダイズするように設計される5’領域である。これは、オリゴdT領域であってもよい。第2領域は、図4ではVNで表されるアダプター配列を含む。
【0047】
さらに別の任意の選択肢として、プライマーは、アダプター配列を含む、さらに別の5’領域を含んでもよい。したがって、プライマーの配列は下記:
5’−(アダプターA)−ttttttttv−3’(配列番号19)
であってもよい。
【0048】
より好ましい実施態様では、プライマー配列は下記:
5’−(アダプターA)−ttttttttvn−3’(配列番号20)
であってもよい。
【0049】
本明細書を通じて、“v”は、a、g、またはcである、DNAまたはRNA塩基を表すのに用いられる。言い換えると、vは、tまたはu以外の任意の塩基である。
【0050】
それとは別に、プライマーは、ライブラリー構築を、ある遺伝子サブセットに偏向させるために、遺伝子特異的、または遺伝子ファミリー特異的配列を含んでもよい。
【0051】
プライマーがアダプター配列を含まない場合(すなわち、プライマーが、前掲の配列番号19または配列番号20で示した構造を持つが、「アダプターA」配列を欠く場合)、このアダプター配列を、cDNA合成後連結させてもよい。
【0052】
cDNA合成後、アダプターBおよびアダプターB’が相補的配列となる下記:
【0053】
【化5】

のアダプター構造を使用してもよい。このアダプター構造を、cDNAの3’末端に連結させてもよい(図5参照)。連結後、一方の鎖はビオチン結合されるので、連結cDNAは、ストレプトアビジンカラム、またはストレプトアビジンビーズによって精製が可能であることに注意されたい。
【0054】
得られたcDNAは、前述のTseq配列決定と同様の方法で配列決定するために使用してもよい。
【0055】
さらに別の実施態様では、開始RNAの断片化に次いで、その断片化RNAに対し、1本鎖オリゴヌクレオチドアダプター(DNAまたはRNAであってもよい)を連結させてもよい(例えば、T4 RNAリガーゼを用いて)。図15に示すように、RNAの3’末端に連結されるアダプターはアダプターAであってもよいし、RNAの5’末端に連結されるアダプターはアダプターB’であってもよい。続く逆転写は、アダプターAに対して相補的なRTプライマーから開始されてもよい。逆転写後、本明細書に開示される方法の内のいずれか、例えば、加水分解、RNアーゼH処理を用いてRNA鎖を除去してもよい。このようにして得られる最終的アダプター付着sscDNAは、5’末端にA’アダプター配列を、3’末端にBアダプター配列を含む。
【0056】
もう一つの実施態様では(図16)、開始RNAの断片化後に、1本鎖オリゴヌクレオチドアダプター(これはDNAでも、RNAであってもよい)を、断片化RNAの3’末端に(例えば、T4 RNAリガーゼを用いて)連結してもよい。続いて、アダプターAに対して相補的なRTプライマーから逆転写を開始してもよい。逆転写後、本明細書で開示される方法の内のいずれか、例えば、加水分解またはRNアーゼH処理を含む方法を用いてRNA鎖を除去してもよい。得られたA’アダプター付着sscDNAは、図16に示すように、部分的に2本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットBに連結させてもよい。1本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットBは、その3’末端に、ランダムまたはセミランダムな配列から成る1本鎖部分を、その5’末端に、ビオチンまたは同様のアフィニティーラベルを含む。次に、アビジン、またはストレプトアビジンによってこの連結産物を捕捉し、さらに、本明細書の別の箇所で述べるように、最終的なA’−Bアダプター付着sscDNAを融解分離させてもよい(図16)。
【0057】
さらに別の実施態様では(図17)、図17に示すように、開始RNAの断片化後、部分的に2本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットAが、RNAの3’末端に連結される。オリゴヌクレオチドアダプターセットAの1本鎖は、その3’末端にランダムまたはセミランダム配列から成る1本鎖部分、および、その5’末端にビオチン(または、他の適正なアフィニティーラベル)を含む。次に、アビジン、またはストレプトアビジン(または、他の適正な結合パートナー)によってこの連結産物を捕捉し、この連結DNAを融解分離してもよい。次いで、アダプターA配列に対し少なくとも部分的に相補的なRTプライマーから逆転写を開始させてもよい。逆転写後、本明細書で開示される方法の内のいずれか、例えば、加水分解またはRNアーゼH処理を含む方法を用いてRNA鎖を除去してもよい。その後、Aアダプター付着sscDNAは精製される。このAアダプター付着sscDNAの3’末端に、部分的に2本鎖のDNAオリゴヌクレオチドアダプターセットBが連結される(例えば、T4 DNAリガーゼによって)。図17に示すように、1本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットBは、その3’末端に、ランダムまたはセミランダムな配列から成る1本鎖部分を、その5’末端に、ビオチン(または、他の同様なアフィニティーラベル)を含む。次に、アビジン、またはストレプトアビジン(または、その他の適正な結合パートナー)によってこの連結産物を捕捉し、さらに、本明細書の別の箇所で述べるように、最終的なA’−Bアダプター付着sscDNAを融解分離させてもよい(図17)。
【0058】
本実施態様、および、本明細書に記載する他の実施態様において、当業者であれば、アダプター−アダプター連結事象は、不要で回避すべきものであるが、これは、オリゴヌクレオチドの3’末端および/または5’末端に、適宜、適切な化学的構造を配すること(例えば、リン酸基、またはジデオキシ基の有無)によって阻止することが可能であることが了解されるであろう。
【0059】
本発明のある実施態様では、cDNAライブラリーの調製法は、開始RNAの断片化を必要としない(例えば、図18AおよびB)。これらの実施態様では、ランダムまたはセミランダム逆転写プライマーが、断片化されない開始RNAにアニールされて、逆転写が実行される。例えば、逆転写プライマーは、ランダムまたはセミランダムな5’部分、および定常な3’部分から構成されていてもよい。使用される逆転写酵素が、非鎖移動性である場合、逆転写は、各アニールしたプライマーから、次のアニールプライマーまで、または、RNAの5’末端に達するまで続けられる可能性がある。当業者であれば、得られるsscDNA断片の平均長は、何よりも、開始RNAに対するプライマーの比に依存することが了解されるであろう。逆転写後、本明細書で開示される方法の内のいずれか、例えば、加水分解またはRNアーゼH処理を含む方法を用いてRNA鎖を除去してもよい。その後、それぞれその5’末端に逆転写プライマーを含むsscDNAが精製される。次に、このsscDNAの5’末端を、部分的に2本鎖のDNAオリゴヌクレオチドアダプターセットA’に(例えば、T4 DNAリガーゼの使用によって)連結する。アダプターセットA’は、その5’末端に、ランダムまたはセミランダム配列から成る1本鎖部分を有する1つの鎖を含む。sscDNAの3’末端は、部分的に2本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットBに(例えば、T4 DNAリガーゼの使用によって)連結させてもよい。アダプターセットBは、その3’末端に、ランダムまたはセミランダムな配列から成る1本鎖部分を、その5’末端に、ビオチン(または、他の適正なアフィニティーラベル)を含む(図18A)。次に、アビジン、またはストレプトアビジン(または、その他の適正な結合パートナー)によってこの連結産物を捕捉し、さらに、本明細書の別の箇所で述べるように、最終的なA’−Bアダプター付着sscDNAを融解分離させてもよい(図18B)。アダプターセットA’の「最下段」鎖(図18による)も融解分離し、当技術分野において公知で、かつ、本明細書に開示されるいくつかのサイズ選択手法の内のいずれか、例えば、SPRIビーズによって、所望の最終的A’−Bアダプター付着sscDNAから分離が可能である。
【0060】
本発明のある実施態様は、cDNAライブラリーではなく、DNAライブラリーの生成を主題とする。これらの実施態様では、開始材料は、1本鎖DNAまたは2本鎖DNAのいずれかである。開始DNAは、いずれの生物(細胞またはウィルス)供給源、または合成供給源から得られたものであってもよい。開始DNAが1本鎖である場合、それは、例えば、変性2本鎖DNAから得られたものである可能性もあるし、あるいは、1本鎖DNAウィルスから単離された可能性もある。開始DNA断片の長さが、所望のDNAライブラリーに必要な長さを超えている場合には、酵素的であれ(例えば、制限酵素)、化学的であれ、または機械的であれ(例えば、せん断力)、その断片を、当技術分野で公知の任意の方法で断片化してよい。開始DNAが2本鎖である場合、例えば、熱処理によってその断片を変性し、ssDNA断片を産生する。次に、このssDNAの5’末端を、部分的に2本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットA’に(例えば、T4 DNAリガーゼを用いて)連結してもよい。アダプターセットA’は、その5’末端にランダムまたはセミランダム配列の1本鎖部分を有する1つの鎖を含む。ssDNAの3’末端を、部分的に2本鎖のオリゴヌクレオチドアダプターセットBに(例えば、T4 DNAリガーゼを用いて)連結してもよい。アダプターセットBは、その3’末端にランダムまたはセミランダム配列の1本鎖部分、およびその5’末端にビオチン(または、その他の適正なアフィニティーラベル)を有する1つの鎖を含む(図19)。次に、アビジン、またはストレプトアビジン(または、その他の適正な結合パートナー)によってこの連結産物を捕捉し、さらに、本明細書の別の箇所で述べるように、最終的なA’−Bアダプター付着sscDNAを融解分離させてもよい。アダプターセットA’の「最下段」鎖(図19による)も融解分離し、当技術分野で公知で、かつ、本明細書に開示されるいくつかのサイズ選択手法の内のいずれか、例えば、SPRIビーズによって、所望の最終的A’−Bアダプター付着sscDNAから分離される。
【0061】
本開示を通じて、「ビオチン」、「アビジン」、または「ストレプトアビジン」という用語は、結合ペアのメンバーを記述するために用いられている。これらの用語は、単に、結合ペアを用いる一つの方法を例示するためのものであることを理解しなければならない。したがって、用語ビオチン、アビジン、またはストレプトアビジンは、結合ペアの任意の一員によって置換されてよい。結合ペアは、互いに特異的に結合する任意の二つの分子であってよく、少なくとも、FLAG/FLAG抗体、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、受容体/リガンド、抗原/抗体、受容体/リガンド、ポリHIS/ニッケル、タンパクA/抗体およびその誘導体のような結合ペアを含んでもよい。他の結合ペアも公知であり、文献に発表されている。
【0062】
本開示に引用される特許、特許出願、および文献は、どこで引用されたものであれ全て参照によってその全体が本開示に含まれる。本発明の他の実施態様および利点も、一部は下記の説明に記載され、一部はその説明から明白であり、かつ、本発明を実施することによって教示されてもよい。
【0063】
以下に、非限定的実施例を通じて本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0064】
実施例1:材料および方法
200ngのmRNA材料から作業を開始するようにプロトコールを開発した。このプロトコールの模式図を図2に示す。
【0065】
プロセスのための開始容量は10μlである。サンプルを氷上に置き、2.5μlの5X断片化バッファー(0.2M Trisアセテート、0.5M 酢酸カリウム、および157.5mM 酢酸マグネシウム)をサンプルに加え、よく混ぜ合わせた。サンプルをサーマルサイクラーに入れ、82℃に加熱し、82℃で2分インキュベートさせた。82℃におけるインキュベーションの直後、サンプルを氷に戻した。
【0066】
脱塩工程でサンプルから塩を除去した。サンプルの脱塩法は周知である。本実施例で用いるプロトコールは、Autoseq G−50カラム(Amersham Biosciences)中に、メーカーの指示に従ってサンプルを通過させることを含む。約20μl容量の回収材料を、スピードバック(Savant Speed Vac Concentrator Systems)において真空(2Torr)中45℃で遠心することによって乾燥させ10μlまで下げた。
【0067】
mRNA鋳型に対する逆転写酵素プライマーのアニーリングは、断片化mRNAに2μlの逆転写プライマー(200μMの5’−P−TNNTNNNNNN−3’で、Pはリン酸塩である、配列番号1)を加えることによって実行した。次に、サーマルサイクラーにおいてサンプルを70℃で10分加熱して、氷上で冷却した。
【0068】
反応チューブに、8.5マイクロリットルの逆転写混合物(4.0μlの、5X Superscript II第1鎖バッファー、2.0μlの0.1M DTT、1.0μlのdNTPミックス(それぞれ10mM)、1.0μlのSuperscript II酵素、50単位/μl(Invitrogen)、および0.5μlのRNase Out、125単位/μl(Invitrogen))を加えた。この反応チューブをよく混ぜ合わせ、45℃で1時間インキュベートした。この反応後、15μlの変性溶液(0.5M NaOH、0.25M EDTA、pH8.0)を加え、混ぜ合わせ、65℃で20分インキュベートすることによってsscDNA分子を単離した。20μlの中和バッファーを加えて反応を停止させた。次に、溶出容量を除いてはメーカーの指示に従って、Qiagen MinElute DNA精製カラムを用いて反応物を精製した。反応物は、12μlの10mM Tris−Cl、pH7.5によって溶出した。
【0069】
サンプルに、6.5μlのライゲーションミックス(1.0μlの25μM アダプターA、1.0μlの50μM アダプターB、1.8μlの10X T4リガーゼバッファー、2.2μlの水、および0.5μlの高濃度T4 DNAリガーゼ、2000単位/μl(New England Biolabs))を加えて、アダプターAおよびアダプターBの連結を設定した。サンプルを混ぜ合わせ、22℃で12時間インキュベートした。
【0070】
連結した産物は、下記の手順に従って、MyOneストレプトアビジン磁気ビーズ(Dynal)に結合するビオチン標識Bアダプターを通じて単離した。ストレプトアビジンビーズのように、対応する結合ペアに結合するものであれば、いずれの形の磁気ビーズであっても有効であることが理解される。1X TE pH7.5を加えることによって連結反応容量を100μlに増す。次に、洗浄した磁気ビーズ100μlを含むスラリーをこのサンプルに加える。サンプルを、室温で10から15分混ぜ合わせ、次にビーズを洗浄し、未結合の材料を全て除去する。
【0071】
sscDNAを融解し、100μlの溶出バッファー(25mM NaOH、1mM EDTA、0.1%Tween−20)にてビーズから溶出した。溶出材料を新しいチューブに移し、10μlの中和バッファー(250mM HCl、250mM Tris−CL、pH8.0)で中和した。中和バッファーの添加後、Sephacryl S−400クロマトグラフィーカラムの上にサンプルを通過させ、sscDNAサンプルから小断片を除去した。次に、メーカーのプロトコールに従って、Quiagen MinEluteカラムでサンプルを精製した。最終的に、18μlの10mM Tris−HCl pH7.5によってsscDNAをカラムから溶出し、ライブラリーのQCには小分液を用いた。
【0072】
マウス肝臓mRNAサンプルにこのプロトコールを実行して調べたところ、あらゆるサイズの転写物をカバーする大量の配列データが得られた。比較的長い転写物の配列抽出度を定量するために、5000ヌクレオチドを超える転写物の全てについて、領域当たりのヒット数をプロットした。これらの転写物の全長に渡って配列抽出度において均一な分布が見られた。これは、長さが5000ヌクレオチドを超える転写物においても、3’バイアスがほとんど見られないことを示唆する(図3を参照)。
実施例2:cDNAライブラリーの調製およびインフルエンザウィルスゲノムの配列決定
インフルエンザウィルスA/Puerto Rico/8/34株を、Charles River Laboratories(Wilmington,マサチューセッツ州)から購入した。このインフルエンザゲノムは、8セグメントの1本鎖陰性センスRNAを含むことが知られる。全てのセグメントの全長は13500ntである。開始RNA材料は、ウィルスRNAセグメントに対応する明瞭なサイズ分画として存在することが判明した(図7)。cDNAライブラリーの調製には、様々な量の(10ng、20ng、50ng、または200ng)RNAが用いられた。
【0073】
RNA断片化のために、10μl容量とした開始量のRNAを、2.5μlの5x断片化バッファー(200mM Tris−アセテート、500mM酢酸カリウム、157.5mM酢酸マグネシウム、pH8.1)に加え、短時間ボルテックスし、82℃で2分インキュベートし、次いで氷上で急冷した。断片化RNAのクリーンアップのために、サンプル容量を、10mM Tris−HCl、pH7.5で50μlに調整した。100μlのRNACleanビーズミックス(Agencourt,Bevery,マサチューセッツ州)を加え、混ぜ合わせ、室温で10分インキュベートした。次に、ビーズを、磁気粒子収集ユニットの上に収集した。上清を捨て、ビーズを、70%エタノールで2回洗浄した。ビーズを空気乾燥し、次いで11μlの10mM Tris−HCl、pH7.5で溶出したところ、約9.5μlの溶出物が得られた。この断片化によって、約500ヌクレオチドにピークを持つ広範なサイズ範囲を有するRNAが得られた(図8)。
【0074】
次に、1本鎖cDNA(sscDNA)を調製するために、全溶出物を、2μlの、200μMプライマーP−TNNTNNNNNN(配列番号1)と混ぜ合わせ、70℃で10分加熱し、次いで氷上で急冷した。その後、8.5μlの氷冷逆転写ミックス(4μlの5X SSII第1鎖バッファー[Invitrogen,Carlsbad,カリフォルニア州]、2μlの0.1M DTT、1μlのdNTPミックス[各dNTPについて10mM]、1μlのSuperscript II逆転写酵素[Invitrogen]、および0.5μlのRNase Out[Invitrogen])を加え、次いで混ぜ合わせた。この混合物を45℃で1時間インキュベートし、次いで氷上に移した。20μlの変性液(0.5M NaOH、0.25M EDTA)を加え、混ぜ合わせ、65℃で20分インキュベートした。cDNA中和液(0.5M HCl、0.5M Tris−Cl)を加えて(10〜40μl)、7〜8.5のpHを実現した。1.5容量のRNACleanミックスを加えてサンプルを精製し、室温で10〜15分インキュベートした。次に、ビーズを、磁気粒子収集ユニットの上に収集した。上清を捨て、ビーズを、70%エタノールで2回洗浄した。ビーズを空気乾燥し、次いで25μlの10mM Tris−HCl、pH7.5でsscDNAを溶出した。このようにして得られたsscDNAのサイズ分布は、約500ヌクレオチドのピークの周囲に広がっていた(図9)。
【0075】
アダプターの連結のために、SAD1Fオリゴヌクレオチドを、sscDNAの5’末端に連結し、SAD1Rオリゴヌクレオチドを、sscDNAの3’末端に連結した。このために、6μlのアダプター/バッファーミックス(3μlの10X T4 DNAリガーゼバッファー[New England Biolabs,Ipswich、マサチューセッツ州]、1μlの50μM SAD1F/SAD1Fプライム(1.2:1)、1μlの200μM Bio−SAD1R/SAD1Rプライム(1.2:1)、および1μlのクイックリガーゼ、またはT4 DNAリガーゼ高濃度[New England Biolabs])を、このsscDNAサンプルに加え、22℃で12時間インキュベートした。このインキュベーション後、IX TE(pH8.0)を加え、最終容量100μlを有する連結ミックスを得た。前記オリゴヌクレオチドの配列を表1に示す。
表1
【0076】
【化6】

部分的2本鎖オリゴヌクレオチドSAD1F/SAD1Fプライムは、SAD1FおおびSAD1Fプライム1本鎖オリゴヌクレオチドを、1:1.2モル比で混ぜ合わせ、下記の加熱プログラムを用いてアニールすることによって調製した。80℃5分、65℃7分、60℃7分、55℃7分、50℃7分、45℃7分、40℃7分、35℃7分、30℃7分、25℃7分、4℃不定時間。同様にして、SAD1RおよびSAD1Rプライムから、部分的2本鎖オリゴヌクレオチドSAD1R/SAD1Rプライムを調製した。
【0077】
アダプター連結後sscDNAライブラリーを単離するために、先ず、サンプル当たり20μlのストレプトアビジン磁気ビーズ(Dynal Biotech)を、B&W バッファー+Tween(10mM Tris−Cl pH7.5、1mM EDTA pH8.0、2M NaCl、0.1%Tween−20)において下記のように平衡させた。ビーズを、磁気粒子捕捉ユニットで液体から分離し、上清を捨てた。ビーズを、1mlのB&Wバッファー+Tweenで洗浄し、磁気粒子捕捉ユニットで液体から分離し、上清を捨てた。次に、20μlの開始ビーズ当たり、100μlのB&Wバッファー+Tweenに再縣濁し、100μlの連結体ミックス(上記参照)に加え、15分攪拌した。磁気粒子捕捉ユニットでビーズを液体から分離し、上清を捨てた。ビーズを、200μlの、0.5X B&Wバッファー+Tweenにて洗浄し、磁気粒子捕捉ユニットで液体から分離し、上清を捨てた。ビーズを、200μlのビーズ洗浄バッファー(10mM Tris−Cl pH7.5、1mM EDTA pH8.0、30mM NaCl、0.1%Tween−20)で2度洗浄し、その度毎に、磁気粒子捕捉ユニットにて液体からビーズを分離し、上清を捨てた。100μlのビーズ溶出バッファー(25mM NaOH、1mM EDTA、0.1%Tween−20)を加え、サンプルを室温で10分攪拌した。磁気粒子捕捉ユニットにてビーズを液体から分離し、上清(sscDNAライブラリーを含む)を新しいPCRチューブに移した。
【0078】
sscDNAライブラリーの精製のために、ビーズ溶出バッファーに溶解したsscDNAに、140μlのRNACleanミックスを加え、混ぜ合わせ、室温で10分インキュベートした。磁気粒子捕捉ユニットにて液体からビーズを分離し、上清を捨てた。ビーズを70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気乾燥した。このsscDNAを、30μlの10mM Tris−Cl pH7.5で溶出した。42μlのRNACleanミックスで開始したことを除き、上記と同様のRNAClean工程を繰り返し、最後に、sscDNAを、12μlの10mM Tris−Cl pH7.5で溶出した。
【0079】
このようにして得られたsscDNAをPCR増幅した。5μlの、10X Advantage2 PCRバッファー(Clontech,Mountain View,カリフォルニア州)、1.0μlのSAD1Fプライマー(200μM)、1.0μlのSAD1Rプライマー(200μM)、2.0μlの、各10mM dNTP、1μlのAdvantage 2ポリメラーゼミックス(Clontech)、および水に、上記のようにして得た最終的sscDNA溶出液2から3μlを、合計容量50μlとなるように加えた。次に、この反応混合物を、下記の熱サイクル処方で処理した。工程1:90℃4分;工程2:94℃30秒;工程3:64℃30秒;工程4:工程2に戻る、18回または25回;工程5:68℃2分;工程6:14℃不定。増幅後、反応物を、AMPureビーズ(Agencourt)によって精製した。PCR反応物に80μlのAMPureビーズミックスを加え、磁気粒子捕捉ユニットにて液体からビーズを分離し、上清を捨てた。ビーズを70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気乾燥した。増幅した2本鎖cDNA(dscDNA)ライブラリーを、12μlの10mM Tris−Cl pH7.5で溶出した。
【0080】
25サイクルの増幅よりも、18サイクルの増幅の方が好適であることが判明した。なぜならば、25サイクル後には、増幅プライマーの重大な逸失のみならず、不要な産物が観察されたからである(18サイクルではそういうことはない)(図10Aおよび10B参照)。
【0081】
10、20、50、または200ngの開始ウィルスRNAから得られたdscDNAライブラリーのサイズ分布は、きわめて近似していることが観察された(図13)。これは、本発明の方法が、微小量のRNAからcDNAライブラリーを調製する点で驚くべき産生能力を有することを実証する。
【0082】
このようにして得られたcDNAライブラリーに対し、次に、454 Life Sciences(Branford、コネチカット州)によって開発された配列決定技術によるヌクレオチド配列決定を行った。核酸の直接的配列決定のためのこれらの技術は、全て2004年1月28出願の、同時係属中の米国特許出願第10/767,779;10/767,899;10/768729;および10/767,779号、および、2005年8月1日出願の米国特許出願第11/195,254号に開示される。約13600個の高品質読み取りデータが得られた。これらの内、12820個(94.26%)において、既知のインフルエンザウィルスA株ゲノムにおいて少なくとも35ntのBLASTヒットが見られた。12820個のBLASTヒットの、8セグメントにおける、すなわち、インフルエンザウィルスA株のRNAゲノムにおける分布を、表2に示す。
表2:BLASTヒットを持つ、高品質読み取りデータの数を、インフルエンザウィルスA株のゲノムセグメント毎に掲げたもの。
【0083】
【化7】

インフルエンザウィルス株の8個のセグメントにおける網羅範囲の深度を図11および12に示す。これから、本発明の方法は、8個のセグメントのそれぞれから抽出を行うことが示される。
【0084】
種々の開始RNA量における本発明の方法の性能を評価するために、高品質読み取りデータ、BLAST陽性読み取りデータ、およびBLAST陽性高品質読み取りデータのパーセンテージを比較した。これらのデータから、配列決定方向によらず、10、20、50、または200ngの開始材料において、類似の結果が得られることが示された(表3および図14)。
【0085】
【化8】

【0086】
【化9】

表3:10、20、50、または200ngの開始RNAから得られた配列決定結果。配列決定は、5’から3’方向(A;上段4列)、および3’から5’方向(B;下段4列)に行った。HQ:高品質読み取りデータ;Blast>35nt:既知のインフルエンザウィルスA株配列に対し、35ヌクレオチドを超える、陽性BLASTヒットを有する高品質読み取りデータ。%HQ BLAST>35nt:既知のインフルエンザウィルスA株配列に対し、35ヌクレオチドを超える、陽性BLASTヒットを有する高品質読み取りデータのパーセンテージ。このデータの一部は、図14にグラフとして表される。
【0087】
本発明の他の実施態様および用途も、ここに開示される本発明の明細書および実施例を考察することによって当業者には明白となろう。その理由が何であれ、本明細書で注記した特許、特許出願、および他の参考文献はすべて、参照することにより特に本明細書に含められる。本明細書および実施例は、単に例示のためであり、本発明の真の範囲および精神は、下記の特許請求項によってのみ示されるものと考えなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
下記の詳細な説明は、例示のために示されるものであって、説明される特定の実施態様に本発明を限定することを意図するものではないが、その説明は付属の図面と組み合わせることによって理解が促進されよう。なお、参照することにより図面を本説明に含める。
【図1】図1は、アダプター(AおよびB)の、1本鎖cDNA(sscDNA)に対する方向性連結の一実施態様を示す。各アダプターは、sscDNAにアニールするように設計された1本鎖部分を持つ比較的長いオリゴヌクレオチドと、sscDNAの3’および5’末端に連結される比較的短いオリゴヌクレオチドから成る。
【図2】図2は、Tseq(転写物配列決定用)ライブラリー調製の一実施態様を示す。
【図3】図3は、肝臓cDNAライブラリーの配列読み取りの5’から3’分布の一実施態様を示す。図は、長さが5000ヌクレオチドを超える転写物においても、Tseq読み取りの均一な分布が得られることを示す。
【図4】図4は、一つの可能なプライマー配列を示す。“N”は任意の塩基を表し、“V”は、T以外の任意の塩基(すなわち、“V”は、a、g、またはcを表す)を表す。
【図5】図5は、図4のプライマーによって生成されるcDNAに対する3’アダプターのアニーリングを示す。
【図6】図6は、Tseqアダプター構造のいくつかの実施態様を示す。
【図7】図7は、インフルエンザA/Puerto Rico/8/34株から得られたウィルスRNAのAgilent Bioanalyzerの記録トレースを示す。ピークの上の数は、ヌクレオチド数で表した近似サイズを表す。25bpのピークは、サイズの内部標準を表す。
【図8】図8は、インフルエンザA/Puerto Rico/8/34株由来ウィルスRNAの、断片化前(青色トレース)および断片化後(緑色トレース)における、Agilent Bioanalyzerの記録トレースを示す。赤色トレースは標準サイズマーカーを表す。25bpのピークは、サイズの内部標準を表す。
【図9】図9は、インフルエンザA/Puerto Rico/8/34株由来ウィルスRNAから得られたsscRNAの、特異的3’および5’アダプターに対する連結前における、Agilent Bioanalyzerの記録トレース(赤色)を示す。赤色トレースは標準サイズマーカーを表す。25bpのピークは、サイズの内部標準を表す。
【図10】図10は、インフルエンザA/Puerto Rico/8/34株由来ウィルスRNAから得られたdscDNAの、18サイクルの増幅後(図10A)、および25サイクルの増幅後(図10B)における、Agilent Bioanalyzerの記録トレースを示す。25bpのピークは、サイズの内部標準を表す。
【図11A】図11は、インフルエンザウィルスRNAのセグメント1〜4について得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図11B】図11は、インフルエンザウィルスRNAのセグメント1〜4について得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図11C】図11は、インフルエンザウィルスRNAのセグメント1〜4について得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図11D】図11は、インフルエンザウィルスRNAのセグメント1〜4について得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図12A】図12は、インフルエンザウィルスRNAの、三つの異なるセグメントについて得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図12B】図12は、インフルエンザウィルスRNAの、三つの異なるセグメントについて得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図12C】図12は、インフルエンザウィルスRNAの、三つの異なるセグメントについて得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図12D】図12は、インフルエンザウィルスRNAの、三つの異なるセグメントについて得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。
【図13】図13は、それぞれ、開始インフルエンザウィルスRNA10、20、50、または200ngから構築されるdscDNAライブラリーのサイズ分布および相対的核酸量を示す、Agilent Bioanalyzerの記録トレースを示す。25bpのピークは、サイズの内部標準を表す。
【図14A】図14は、10ng(青色)または200ng(赤色)の開始RNAから得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。データは、それぞれ、Aセット(上段:開始RNAの5’から3’に向かって配列決定)およびBセット(下段:3’から5’に向かって配列決定)の両方についてプロットされる。このデータを、表3にも示す。このプロットから、低いインプット(10ng)の開始RNAからも、高いインプット(200ng)の開始RNAからも、ほぼ等しい抽出パターンが得られることが明らかになった。
【図14B】図14は、10ng(青色)または200ng(赤色)の開始RNAから得られた配列網羅範囲の深度のプロットを示す。データは、それぞれ、Aセット(上段:開始RNAの5’から3’に向かって配列決定)およびBセット(下段:3’から5’に向かって配列決定)の両方についてプロットされる。このデータを、表3にも示す。このプロットから、低いインプット(10ng)の開始RNAからも、高いインプット(200ng)の開始RNAからも、ほぼ等しい抽出パターンが得られることが明らかになった。
【図15】図15は、1本鎖アダプターが、開始断片化RNAの5’および3’末端に連結される、本発明のcDNAライブラリー調製法の一実施態様を示す。
【図16】図16は、本発明のcDNAライブラリー調製法の一実施態様を示す。この実施態様では、1本鎖アダプターが、開始断片化RNAの3’末端に連結され、逆転写後、1本鎖5’末端アダプター(B)が付加される。
【図17】図17は、本発明のcDNAライブラリー調製法の一実施態様を示す。この実施態様では、部分的に2本鎖のアダプターが、開始断片化RNAの3’末端に連結され、逆転写後、部分的に2本鎖の5’末端アダプター(B)が付加される。
【図18A】図18(AおよびB)は、本発明のcDNAライブラリー調製法の一実施態様を示す。この実施態様では、開始RNAは、逆転写前に断片化する必要がない。ランダムまたはセミランダムプライマーを用いてRNAを逆転写し、得られたsscDNAに対し、連結によってA’およびBを付加する。
【図18B】図18(AおよびB)は、本発明のcDNAライブラリー調製法の一実施態様を示す。この実施態様では、開始RNAは、逆転写前に断片化する必要がない。ランダムまたはセミランダムプライマーを用いてRNAを逆転写し、得られたsscDNAに対し、連結によってA’およびBを付加する。
【図19】図19は、本発明のDNAライブラリー調製法の一実施態様を示す。この実施態様では、アダプター付着DNAライブラリーが、開始DNAから得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNAからライブラリーを生成するための方法であって、
(a)前記RNAを断片化して断片化RNAを産生する工程;
(b)前記断片化RNAに対し複数のプライマーをハイブリダイズさせ、ハイブリダイズ・プライマーを形成する工程;
(c)逆転写酵素によって前記ハイブリダイズ・プライマーを伸長させて、前記RNAから、5’末端に前記複数のプライマーを含む複数の、1本鎖cDNAを形成する工程;
(d)前記cDNAの前記5’末端に、前記1本鎖cDNAの5’末端に対して相補的な、オーバーハングした5’末端領域を含む、第1アダプターを連結し、前記cDNAの3’末端に対して相補的な、オーバーハングした3’末端領域を含む第2アダプターを連結し、5’末端に第1アダプター、および3’末端に第2アダプターを含む1本鎖cDNAを形成する工程;
(e)前記1本鎖cDNAを精製して、前記cDNAライブラリーを形成する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記断片化工程が、サイズが20塩基から10kb塩基の間である断片化RNAを産生する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記断片化工程が、サイズが100塩基から1000塩基の間である断片化RNAを産生する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記断片化工程が、サイズが150bpから500bpの断片化RNAを産生する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記断片化工程の後、前記断片化RNAをサイズ選択する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サイズ選択工程が、150bpから500bpの間のサイズのRNAに関して濃縮することである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記伸長工程と前記連結工程との間に、RNアーゼによって断片化RNAを消化する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のプライマーが、既知の配列内容を有する一つ以上の非ランダムプライマー塩基を含むセミランダムプライマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1アダプターが、1本鎖領域と、2本鎖領域とを含み、前記1本鎖領域が、ランダムな配列の中に既知の配列内容を有する一つ以上の非ランダムアダプター塩基を含むセミランダム1本鎖領域であり、前記非ランダムプライマー塩基が、前記非ランダムアダプター塩基に対し相補的である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のプライマーがxnnxの配列を含み、前記第1アダプターの前記セミランダム1本鎖領域がynnyの配列を含み、xとyは相補的塩基であり、nがランダム塩基である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
xnnxがtnntであり、ynnyがannaである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プライマーが、tnntnnnnnn(配列番号1)の配列を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1アダプター、または第2アダプターが、結合ペアの1メンバーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記結合ペアが、FLAG/FLAG抗体、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、受容体/リガンド、抗原/抗体、受容体/リガンド、ポリHIS/ニッケル、タンパクA/抗体、およびその誘導体から成る群から選ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記精製工程が、前記結合ペアの1メンバーによって前記1本鎖cDNAを精製することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記精製工程が、サイズ分画工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、DNA依存性DNAポリメラーゼの非存在下で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記結合ペアの1メンバーがビオチンであり、前記精製工程が、ストレプトアビジン被覆固相支持体に、前記1本鎖cDNAを結合させることによって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1アダプターが、2本鎖の核酸を含み、前記結合ペアの1メンバーが、前記鎖の一方に付着する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第2アダプターが、2本鎖の核酸を含み、前記結合ペアの1メンバーが、前記鎖の一方に付着する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記精製工程が、前記cDNAを変性して、前記cDNAにハイブリダイズされている任意の核酸を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記変性工程が、前記cDNAの5’および3’末端の第1および第2アダプターを変性する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記1本鎖cDNAの、少なくとも部分的核酸配列を決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記cDNAライブラリーに対しcDNAサブトラクションを実行する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記RNAが単一組織由来のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記RNAが、多数の組織、単一細胞、複数細胞、体液、単一生物体、複数生物体、環境サンプル、バイオフィルム、細菌、古細菌、真菌、植物、動物、ヒト、ウィルス、レトロウィルス、ファージ、寄生虫、腫瘍、腫瘍サンプル、または生物標本から成る群から選ばれる供給源由来のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記RNAが、同じ細胞周期の細胞由来のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
請求項1の方法によって産生される、増幅されない1本鎖cDNAライブラリー。
【請求項29】
請求項28の方法によって産生される、サブトラクトされたcDNAライブラリー。
【請求項30】
RNAからライブラリーを生成するための方法であって、
(a)前記RNAを断片化して断片化RNAを産生する工程;
(b)アダプター配列を有する5’領域、および、前記断片化RNAに対してハイブリダイズさせる3’領域を含む複数のプライマーを、前記断片化RNAにハイブリダイズさせ、ハイブリダイズ・プライマーを形成する工程;
(c)逆転写酵素によって前記ハイブリダイズ・プライマーを伸長させて、前記RNAから、5’末端に前記複数のプライマーを含む、複数の1本鎖cDNAを形成する工程;
(d)前記cDNAの3’末端に対して相補的な、オーバーハングした3’末端領域を含む第2アダプターを連結し、3’末端にアダプターを含む1本鎖cDNAを形成する工程;
(e)前記1本鎖cDNAを精製して、前記cDNAライブラリーを生成する工程、
を含む、方法。
【請求項31】
前記プライマーの前記3’領域が配列nnnnnnを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記プライマーの前記3’領域が配列nnnnnnvを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記プライマーの前記3’領域が配列ttttttvを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記断片化工程が、サイズが20塩基から10kb塩基の間の断片化RNAを産生する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記断片化工程が、サイズが100塩基から1000塩基の間の断片化RNAを産生する、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記断片化工程が、サイズが150bpから500bpの間の断片化RNAを産生する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記断片化工程の後、前記断片化RNAをサイズ選択する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記サイズ選択工程が、150bpから500bpの間のサイズのRNAに関して濃縮する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記RNAが、ポリA RNAに関して濃縮されているRNA集団である、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記伸長工程と前記連結工程との間に、RNアーゼによって断片化RNAを消化する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記プライマーまたは前記アダプターが、結合ペアの1メンバーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記結合ペアが、FLAG/FLAG抗体、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、受容体/リガンド、抗原/抗体、受容体/リガンド、ポリHIS/ニッケル、タンパクA/抗体、およびその誘導体から成る群から選ばれる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記精製工程が、前記結合ペアの1メンバーによって前記1本鎖cDNAを精製することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記精製工程が、サイズ分画工程である、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、DNA依存性DNAポリメラーゼの非存在下で実行される、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
前記結合ペアの1メンバーがビオチンであり、前記精製工程が、前記1本鎖cDNAをストレプトアビジン被覆固相支持体に結合させることによって実行される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記アダプターが、2本鎖の核酸を含み、前記結合ペアの1メンバーが、前記鎖の一方に付着する、請求項30に記載の方法。
【請求項48】
前記精製工程が、前記cDNAを変性して、前記cDNAにハイブリダイズされている任意の核酸を除去することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項49】
前記変性工程が、前記cDNAの3’末端においてアダプターを変性する、請求項30に記載の方法。
【請求項50】
前記1本鎖cDNAの、少なくとも部分的核酸配列を決定する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項51】
前記cDNAライブラリーに対しcDNAサブトラクションを実行する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項52】
前記RNAが単一組織由来のものである、請求項30に記載の方法。
【請求項53】
前記RNAが、多数の組織、単一細胞、複数細胞、体液、単一生物体、複数生物体、環境サンプル、バイオフィルム、細菌、古細菌、真菌、植物、動物、ヒト、ウィルス、レトロウィルス、ファージ、寄生虫、腫瘍、腫瘍サンプル、または生物標本から成る群から選ばれる供給源由来のものである、請求項30に記載の方法。
【請求項54】
前記RNAが、同じ細胞周期の細胞由来のものである、請求項30に記載の方法。
【請求項55】
請求項30に記載の方法によって産生される、増幅されない1本鎖cDNAライブラリー。
【請求項56】
請求項55に記載の方法によって産生される、サブトラクトされたcDNAライブラリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−508495(P2009−508495A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531440(P2008−531440)
【出願日】平成18年9月18日(2006.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/036500
【国際公開番号】WO2007/035742
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507331232)454 ライフ サイエンシーズ コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】