説明

p−ニトロベンジルブロミドの製造の改良法

p−ニトロトルエンからp−ニトロベンジルブロミドを製造するための改良した方法を開示する。この方法では、四塩化炭素中の過剰な反応物を2:1の臭化物−臭素酸塩試薬で処理し、その後のバッチで、いずれのさらなる後処理も伴うことなく母液を再利用することを可能にするように、選択的冷結晶化により反応物から生成物を効率的に高純度で単離する。所望量の生成物が適切な収率で得られる限り、このサイクルを続ける。その後、溶媒及びp−ニトロトルエンを母液から回収し、残渣を水素化ホウ素ナトリウムで処理して、不純物を反応物又は生成物に再び変換し、その後、プロセス中で再利用することにより、廃棄物処理の問題が回避されると同時に、所望の生成物がp−ニトロトルエンに対して95%を超える収率及び88%を超える臭素原子効率で得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p−ニトロベンジルブロミドを製造する改良方法に関する。この化合物は、カルボン酸のエステル化に広範に使用され、特に、β−ラクタム系抗生物質類縁体、セファロスポリン類縁体、ペニシリンエステル類縁体、フンジン酸類縁体及びチエナマイシン類縁体の合成等において脱保護が必要とされる場合に使用される。この化合物は、薬剤安息香酸リザトリプタンの製造における出発材料にも使用される。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1を参照すると、この反応は、昇温(ホットプレート上)で太陽光に曝しながら四塩化炭素中、p−ニトロトルエンを液体臭素と反応させることによって行われた。p−ニトロベンジルブロミドは総収率71%で得られた。臭素原子効率は40%であると算出された。
【0003】
p−ニトロトルエンの気相臭素化を開示している非特許文献2により報告される手法を参照することができる。反応は、液体臭素の存在下145℃〜150℃で行われた。単離生成物の収率は53%〜59%であった。HBrは副生成物として得られ、生成物の構成を基準とする総原子効率は28%であると算出された。
【0004】
上記で参照した非特許文献1の手法は便宜的に、太陽光の代わりに人工光を使用することによって適応させることができ、2つの300ワットのタングステンランプからの光が300gのp−ニトロトルエンの臭素化に十分であると述べている上記と同一論文を参照してもよい。p−ニトロベンジルブロミドの単離収率は理論量の60%〜70%である。また、p−ニトロベンジルブロミドは通常p−ニトロトルエンを臭素化することによって製造されるが、p−ニトロベンジルアルコールを臭化水素酸で処理することによって、かつ臭化ベンジルを硝化することによっても製造することができると報告している、上記と同一の論文を参照してもよい。
【0005】
また、液体臭素及び三臭化アンチモンの存在下におけるp−ニトロトルエンの臭素化は、単離収率76%でp−ニトロベンジルブロミドを得ることを報告している非特許文献3を参照することができる。反応は120℃〜130℃で9時間〜10時間行われる。臭素原子効率は38%であると算出される。
【0006】
原子効率の良い臭素化剤としての2:1の臭素化ナトリウム−臭素酸ナトリウムの使用を開示している特許文献1を参照することができる。試薬は、「冷間プロセス」により海水(sea)のにがりから液体臭素を製造する方法において得られる5:1の臭素化ナトリウム−臭素酸ナトリウム中間体から、高い対費用効果で製造することができる。対費用効果の高い試薬であることに加えて、液体臭素の使用を回避して、より高い臭素原子効率を実現する。上記の臭素化剤は、p−ニトロトルエンからのp−ニトロベンジルブロミドの製造に関して開示されている(非特許文献4)。この方法は、液体臭素を用いた上記の従来技術を超える幾つかの利点を有するがそれでも、p−ニトロトルエンを基準にすると変換はわずか78%であり、Brを基準にすると66%である。その上、反応の後処理(work up)及び生成物の精製には時間がかかり、ジブロモ不純物を多く含有する有機廃棄物の管理の問題が存在している。大過剰のp−ニトロトルエンを利用することによって不純物の形成を減らすことができると述べている同一論文を参照してもよい。しかしながら、提示されるデータは粗反応混合物のものであり、論文に記載されている操作に従うとすると、反応の後処理については何も述べられておらず、明らかに重大な問題点を有すると考えられる。
【0007】
本発明は、従来技術の臭化物/臭素酸塩の組み合わせを使用してp−ニトロトルエンからp−ニトロベンジルブロミドを製造する方法の上記の欠点を克服しようとするものである。本発明は詳細には、簡便に遂行でき、かつp−ニトロトルエン及び臭化物/臭素酸塩試薬の両方を基準として所望の生成物の高い収率を示すような改良方法を開示する。
【0008】
また、ジメトキシエタン/水溶媒中におけるNaBHを用いた各種臭化ベンジルから置換トルエン誘導体への変換に関する手法を開示している、Bell他による論文(非特許文献5)を参照してもよい。これは、過剰に臭素化された有機廃棄物残渣を再利用することを目的の一つとする本発明に照らし重要な従来技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6740253号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“Bromination of p-nitrotoluene” by J. F. Brewster (J. Am. Chem. Soc.; 1918; 40(2); 406-407)
【非特許文献2】G. H. Coleman et. al. in Organic Syntheses, Coll. Vol. 2, p.443 (1943); Vol. 16, p.54 (1936)
【非特許文献3】“A note on Bromination of p-nitrotoluene” by G. W. K. Cavill (J. of the Soc. Of Chem. Industry, 1946, 40, 124)
【非特許文献4】S. Adimurthy et al. Green Chem., 2008, 10, 232
【非特許文献5】Bell, H. M.; Brown, H. C. J. Am. Chem. Soc. 1966, 88, 1473 pg
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の主な目的は、2:1の臭化物−臭素酸塩試薬を用いてp−ニトロトルエンからp−ニトロベンジルブロミドを製造する改良方法を提供し、これにより従来技術の欠点が取り除かれることである。
【0012】
本発明の別の目的は、反応、生成物の単離及び精製に単一の溶媒を使用することで、溶媒に別の溶媒が混入するという問題を解決する方法を提供し、また、この方法を簡便なものとすることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、冷却プロセスにより反応物からp−ニトロベンジルブロミドを選択的に晶出する方法を提供し、これにより、過剰なp−ニトロトルエンを含有する母液及び溶媒の全てを直接再利用することを可能にすることである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、再結晶化によらずに98%以上の純度を有する生成物を得ることである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、不純物の形成を最小限に抑える方法を提供し、その結果、より高い臭素原子効率をもたらすことである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、蒸留後に残る残渣を水素化ホウ素ナトリウム/ジメトキシエタン(DME)で処理して、ジブロモ不純物をp−ニトロトルエン/p−ニトロベンジルブロミドに再び変換し、塊をもう一度再利用することにより、廃棄物を生成物に変換し、それにより、有機廃棄物処理の問題を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、p−ニトロトルエンからp−ニトロベンジルブロミドを製造する改良方法を提供し、この方法では、四塩化炭素中の大過剰の反応物を2:1の臭化物−臭素酸塩試薬で処理し、その後のバッチで、いずれのさらなる後処理も伴うことなく母液を再利用することを可能にするように、選択的冷結晶化により反応物から生成物を効率的に高純度で単離する。所望の品質の生成物が適切な収率で得られる限り、このサイクルを続ける。その後、溶媒及びp−ニトロトルエンを母液から回収し、残渣を水素化ホウ素ナトリウムで処理して、不純物を反応物又は生成物に再び変換し、その後、プロセス中で再利用することにより、廃棄物処理の問題が回避されると同時に、所望の生成物がp−ニトロトルエンを基準にして95%を超える収率及び88%を超える臭素原子効率で得られる。
【0018】
本発明の主な特徴は、
(i)反応が容易に還流条件下で進行することを可能にし、また反応物の冷却により所望の生成物の容易な回収を促す、単一の有機溶媒としての四塩化炭素の選択、
(ii)2倍の過剰なp−ニトロトルエンを利用して、生成物の過剰な臭素化を最小限に抑えること、
(iii)同じ合計p−ニトロトルエン等量(即ち、未処理のp−ニトロトルエン及びp−ニトロトルエンに基づく生成物/副生成物)を維持するように、先のバッチからの母液及び洗液を、その後のバッチにおいて再利用すること、
(iv)バッチ間の化学量論量比の一貫性を維持するように、先行するバッチにおいてp−ニトロベンジルブロミド生成物が単離したのと同程度で、その後のバッチにおいて臭素化剤を利用すること、
(v)面倒な後処理を回避し、代わりに、過剰なp−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとを含有する母液を−15℃〜−20℃の温度で冷却して、p−ニトロベンジルブロミドを選択的に晶出させた後、その塊が−4℃の温度に達するようにし、続いて、連続遠心分離機において母液を急速に分離し、その後、この遠心分離機内で固体生成物を、反応の終わり頃に収集される冷却した(−4℃)四塩化炭素(2:1 v/w)で洗浄し、98%を超える純度を達成すること、
(vi)冷却条件下で連続的な遠心分離を行いながら後処理を行うことによって、四塩化炭素損失を最小限に抑えること、
(vii)通常の蒸留により四塩化炭素、及び減圧蒸留によりp−ニトロトルエンを、最後(8回目の)バッチの母液から回収すると共に、廃棄物残渣をNaBHで処理して、ジブロモ不純物をp−ニトロトルエン及びp−ニトロベンジルブロミドに変換し、ジブロモ不純物を再利用して、廃棄物の問題を回避することができる一方、p−ニトロトルエン及び試薬を基準とする総収率を増大させること、
を伴う。
【0019】
したがって、本発明は、以下の工程を含むp−ニトロベンジルブロミドを製造する改良方法を提供する。
(i)1.09mol〜2.18molの固体臭素化試薬を水に溶解して反応ベッセルに入れること、
(ii)p−ニトロトルエンの四塩化炭素溶液を、工程(i)の反応ベッセル内に添加し反応物を得ること、
(iii)連続照明の下で80℃〜90℃へと工程(ii)の反応物の温度を段階的に上げ、攪拌すること、
(iv)化学量論における所要量に従い、無機酸を工程(iii)の反応物に徐々に添加すること、
(v)さらに1.0時間〜2.0時間、還流状態で撹拌を続け、最終的に反応物をほぼ無色とすること、
(vi)工程(v)の還流モードを蒸留モードに切り替え、四塩化炭素の一部を留去し、その後、以下の工程(xi)で述べるように遠心分離した生成物の洗浄のために、−5℃〜−20℃の範囲の温度に冷却すること、
(vii)工程(vi)の加熱を止め、反応物を35℃〜40℃の温度範囲に冷やすこと、
(viii)工程(vii)の冷却した反応物から有機相と水相を分離すること、
(ix)工程(viii)で得られる有機相を冷凍装置で冷却そ、選択的にp−ニトロベンジルブロミドを晶出すること、
(x)工程(ix)の結晶化させたp−ニトロベンジルブロミドを0℃〜10℃の範囲の温度に温めた後に、遠心分離によって、この結晶を母液から分離すること、
(xi)工程(x)で得られる結晶を、工程(vi)で得られる前記冷却した四塩化炭素で洗浄することであって、精製されたp−ニトロベンジルブロミド(97℃〜100℃のmp及び約98%のGC純度を有する)を得ること、
(xii)工程(x)で得られる母液及び工程(xi)で得られる洗液を、次のサイクルのために反応ベッセル内に戻し、必要量のp−ニトロトルエン、臭素化試薬及び四塩化炭素を補給すること、
(xiii)工程(iii)から工程(xii)のプロセスを数サイクルにわたって繰り返すこと、
(xiv)母液から四塩化炭素及びp−ニトロトルエンを首尾よく回収し、残渣物を得ること、
(xv)ジメトキシエタン中に工程(xiv)で得られる残渣物を溶解させ、水素化ホウ素ナトリウムと周囲条件下で反応させ、過剰に臭素化された生成物を、p−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとの混合物へと変換すること、及び
(xvi)工程(xv)で得られるp−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとの混合物を、工程(viii)の有機相中に添加すること。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目標は、2:1のモル比のBr:BrO臭素化試薬を利用して、p−ニトロトルエンからのp−ニトロベンジルブロミドの合成を改善することである。このような臭素化試薬は、臭素の製造の冷間プロセスにおける中間体として得られる5:1のモル比のBr:BrOから高い対費用効果で製造されると従来技術に開示されており、さらに、p−ニトロベンジルブロミドを含む多数の有機臭素化合物の合成に有用であると従来技術に開示されている(式1)。より詳細には、強調される有用性は操作し易さ及びより高い臭素原子効率である。しかしながら、臭素化剤を基準にして1.2等量のp−ニトロトルエンによるp−ニトロベンジルブロミドの製造の場合、試薬を使用して報告される臭素原子効率はわずか66%であり、廃棄が難しい有機廃棄物の発生を伴う。その上、この方法は、溶媒(塩化メチレン/二塩化メチレン)を揮散させた後に、時間のかかるヘキサンによる再結晶化を伴う。同じ従来技術には、臭素化剤を基準とするp−ニトロトルエンの比率が高いほど不純物の形成は減少すると示されているものの、後処理方法は開示されていない。
3CNO+2NaBr+NaBrO+3/2HSO
→3CNOBr+3/2NaSO+3HO(式1)
【0021】
本発明は、p−ニトロベンジルブロミドを合成する改良方法を開示しており、この方法では:
(a)大過剰のp−ニトロトルエンによって反応を行い、所望の生成物の高い収率及び臭素原子効率が達成され、
(b)この方法を通して単一の溶媒を使用し、
(c)再結晶化によらずに、高純度で所望の生成物を単離し、
(d)過剰なp−ニトロトルエンを回収及び再使用し、
(e)有機廃棄物を排除する。
【0022】
上述の改良方法は、以下の主な工程を含む。
(i)固体の臭素化試薬を適切な量の水に溶解し、これを反応ベッセル内に入れる工程、
(ii)p−ニトロトルエンの四塩化炭素溶液を必要量、反応ベッセルに添加する工程、
(iii)反応物の温度を段階的に上げると共に、照明の下で反応を行う工程、
(iv)式1の化学量論に従って無機酸を段階的な量で添加する工程、
(v)還流状態でさらに1.0時間〜2.0時間撹拌を続け、最終的に反応物をほぼ無色にする工程、
(vi)還流モードから蒸留モードに切り替え、以下の工程(xi)で述べるように遠心分離した生成物を洗浄するために、四塩化炭素の一部を収集する工程、
(vii)加熱を止め、反応物が室温に達するようにする工程、
(viii)室温に冷却した後に有機相及び水相を分離する工程、
(ix)冷凍装置で有機相を冷却して、p−ニトロベンジルブロミドを選択的に晶出させ、また回収した四塩化炭素を冷却する工程、
(x)冷凍装置から取り出し、冷凍物を温めた後に、遠心分離して結晶を母液から分離する工程、
(xi)冷却した四塩化炭素で結晶を洗浄して、精製された生成物(97℃〜100℃のmp及び約98%のGC純度を有する)を得る工程、
(xii)母液及び洗液を、次のサイクルのために反応ベッセル内に戻し、必要量のp−ニトロトルエン、臭素化試薬及び四塩化炭素を補給する工程、
(xiii)工程(iii)から工程(xii)のプロセスを繰り返し、計7回の再利用、即ち、全部で8回のバッチを続ける工程、
(xiv)通常の蒸留により母液から四塩化炭素を回収する工程、
(xv)減圧蒸留により残渣中のp−ニトロトルエンを回収する工程、
(xvi)残渣物をジメトキシエタンに溶解すると共に、水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、過剰に臭素化された生成物を、p−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとの混合物に変換する工程、
(xvii)(xv)で得られる、p−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとの混合物を、工程(viii)の有機相中に添加する工程、
(xviii)蒸留によりDMEを回収した後に、水溶性不純物を残渣から取り出し、得られた生成物を再利用工程において利用する工程。
【0023】
本発明の実施形態において、上記の工程(i)において使用される固体臭素化試薬(2:1のモル比のBr/BrO)中の活性臭素含量は42.0%(w/w)であるのに対し、水溶液中の活性Br濃度は2.4Mである。
【0024】
本発明の別の実施形態では、商用グレードのp−ニトロトルエンを使用し、四塩化炭素中のその初期濃度は0.15kg/L〜0.35kg/Lの範囲である。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態では、2.189molの活性Brを含有する0.388kgの臭素化試薬を0.9Lの水に溶解し、上記の工程(i)において水性臭素化試薬の形態で使用する。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態では、活性臭素のモルを基準とするp−ニトロトルエンのモル等量が1.0〜5.0の範囲である。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(i)において使用される反応ベッセルが、底部排出部を有し、還流アセンブリ兼蒸留アセンブリと、機械攪拌機と、枝付き液体添加機構と、外部に取り付けられた3つの100Wタングステン電球とを備えるジャケット付き10L容の3つ口丸底フラスコガラスリアクタである。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態では、6.57molの商用グレードのp−ニトロトルエンを上記の工程(ii)において使用する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、使用される臭素化試薬が、1.8:1〜2.1:1の範囲の臭化物イオン対臭素酸イオンモル比を有し、その濃度(総Br)が水中で2mol〜3molの範囲である。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態では、4.8Lの商用グレードの四塩化炭素を上記の工程(ii)において使用する。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態では、40W〜250Wの電力定格の1つ〜4つの電球を照明に使用する。
【0032】
本発明のさらなる実施形態では、リアクタの内容物を、水コンデンサを伴って徐々に加熱し、上記の工程(iii)において90±1℃の温度を維持する。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態では、1.04等量の15%(w/v)硫酸(利用したBr等量を基準として)を、上記の工程(iv)において連続撹拌しながら熱い反応混合物に添加する。
【0034】
本発明の別の実施形態では、0.5mol〜2.5molの硫酸を、工程(iv)において0.5時間〜3時間かけて添加する。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(v)における還流条件を、絶えず撹拌しながらさらに2時間維持する。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態では、反応が上記の工程(vi)において無色になった後に、還流を蒸留モードに切り替え、上記の工程(xi)で述べるように遠心分離した生成物を洗浄するために、0.6Lの四塩化炭素を収集する。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態では、工程(vi)において留去される四塩化炭素の量が、利用される総量の10%〜20%の範囲であり、これを−5℃〜−20℃、好ましくは−10℃の温度に冷却する。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(vii)における加熱を中止し、反応混合物が室温に達するようにする。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(viii)において、水相及び有機相を分離する。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(ix)における有機相を−20℃〜−15℃で12.0時間冷却するように維持する。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(vi)において蒸留される四塩化炭素も冷却するように維持する。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(x)における冷却物が室温に達するようにした後、生成物を、連続遠心分離機において−4℃で遠心分離することにより単離する。
【0043】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(xi)における遠心分離した結晶物を、上記の工程(vi)における蒸留により収集した冷却した0.6Lの四塩化炭素で二度洗浄する。
【0044】
本発明の別の実施形態では、97℃〜100℃の範囲の融点及び約98%のGC純度を有する結晶を工程(xi)において収集する。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(x)において得られる母液及び上記の工程(xi)において得られる洗液を、上記の工程(xii)における次のサイクルのために反応ベッセル内に戻す。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(xii)における反応ベッセルに、1.68molの商用グレードのp−ニトロトルエンと、1.872molの活性Brを含有する0.332kgの臭素化試薬と、6.17molの四塩化炭素とを補給する。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態では、工程(iii)〜工程(xii)のプロセスを繰返し、計7回の再利用、即ち、全部で8回のバッチを続け、平均して98.2%純度を有する2.947kgのp−ニトロベンジルブロミドがもたらされる。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態では、累積するサイクル全てにわたる生成物の平均純度が98%以上である限り、工程(xiii)で述べたサイクルの反復を計7回のサイクルについて行うことが好ましい。
【0049】
本発明のさらなる実施形態では、上記の工程(xiv)における四塩化炭素を通常の蒸留により母液から回収する。
【0050】
本発明の別の実施形態では、四塩化炭素を蒸留により、p−ニトロトルエンを10mmHg〜40mmHg及び130℃〜155℃の範囲の蒸留温度における減圧蒸留により、使用済みの母液から回収する。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態では、3.75molのp−ニトロトルエンを、上記の工程(xv)において減圧蒸留により残渣から回収する。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態では、工程(xvi)におけるジメトキシエタンを基準にして残渣物の比率が、1:2w/v〜1:5w/vの範囲である。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態では、ジブロモ不純物を多く含む0.323kgの黒色残渣が上記の工程(xv)において得られ、これを工程(xvi)において使用する。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態では、溶媒中、残渣物と一緒に0.5モル等量〜4.0モル等量の水素化ホウ素ナトリウムを利用した後に、ジメトキシエタン:水の2.5:1(v/v)溶液を撹拌しながら工程(xvi)において段階的に添加する。
【0055】
本発明の別の実施形態では、上記の工程(xvi)において、ジブロモ不純物を多く含む0.052kgの黒色残渣を0.012LのDMEに溶解し、これに0.027kgのNaBHを室温で添加した後、0.012LのDME+0.005LのHOの混合物を滴下し、2時間撹拌させる。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の工程(xvii)におけるDMEを蒸留し、水溶性不純物を取り出す。さらに、得られた生成物を再利用工程に利用する。
【0057】
本発明の別の実施形態では、工程(xvii)において、p−ニトロベンジルブロミドを基準とするp−ニトロトルエンのモル比が2:1〜1:3である。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態では、p−ニトロベンジルブロミドの収率が、p−ニトロトルエンに対して90%〜98%であり、臭素原子効率が88%〜92%である。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態では、p−ニトロベンジルブロミドの平均純度が98%(GC面積%)以上である。
【0060】
本発明のさらに別の実施形態では、プロセスが有機廃棄物を含まない。
【0061】
以下の実施例は例示の目的で示されるため、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
p−ニトロトルエン60g(437.9mmol)を四塩化炭素324mLに溶解し、これを滴下漏斗及び還流冷却器/蒸留アセンブリを取り付けた容積1.0Lのガラスリアクタに入れた。p−ニトロトルエン対p−ニトロベンジルブロミドの比率が反応全体を通じて2:1以上となるように、145.9mmolの活性Brを含有する90mLの臭素化剤を添加した。この内容物を還流温度にまで加熱し、100Wのタングステン電球で外部から照らした。水30mLに98%HSO(72.5mmol)7.3gを加え、これを滴下漏斗に入れて、この酸を2時間かけて添加した(注意:反応物(reaction mass)が褐色を呈したら、添加を停止し、色が消えてから酸の添加を続けるようにする)。還流状態をさらに1時間維持した。反応物を室温にまで冷やすと、有機相と水相に分離した。有機相をビーカーに注ぎ、冷却装置の冷凍室内に一晩放置した。結晶の形成が観測された。その塊を0℃〜4℃まで温め、真空下で濾過した。漏斗内で収集した結晶を、冷却した四塩化炭素で洗浄した。収集したp−ニトロベンジルブロミドを結晶化のために4.8w/vの四塩化炭素中に放置した。収集したp−ニトロベンジルブロミドの収率は、15.00g(69.44mmol)であった。洗液と共に母液をガラスリアクタに戻した。新たに18.8g(137.2)mmolのp−ニトロトルエンを添加し、臭素化試薬を、この新たに添加したp−ニトロトルエンに対して1.1〜1.2のモル比で使用した。追加量のp−ニトロベンジルブロミドを得るように反応を繰り返す一方で、母液及び洗液をもう一度再利用した。4つのこのような再利用バッチを、以下の表1に示すように行った。四塩化炭素(密度=1.5842g/cm)は、再使用のために母液から回収した。
【0063】
【表1】

【0064】
上記の実施例は、p−ニトロベンジルブロミドが、大過剰のp−ニトロトルエンの存在下であっても、氷点下温度で反応溶媒自体中において選択的に晶出し得ることを教示している。これにより、母液の容易な再利用が可能となり、およそ83%の臭素原子効率が実現される。消費されるp−ニトロトルエンを基準にした生成物の収率もおおよそ定量的なものであるが、最終的な母液中に失われるp−ニトロトルエンの回収がなければわずか45%である。
【0065】
(実施例2)
p−ニトロトルエン0.9kg(6.57mol)を四塩化炭素4.8Lに溶解し、これを滴下漏斗及び還流冷却器/蒸留アセンブリを取り付けた容積10Lのガラスリアクタに入れた。p−ニトロトルエン対p−ニトロベンジルブロミドの比率が反応全体を通じて2:1以上となるように、2.18molの活性Brを含有する1.09Lの臭素化剤を添加した。内容物を還流温度にまで加熱し、3個の100Wのタングステン電球で外部から照らした。水0.6Lに98%HSO(1.12mol)112gを加え、これを滴下漏斗に入れ、この酸を2時間かけて添加した(注意:反応物が褐色を呈したら、添加を停止し、色が消えてから酸の添加を続けるようにする)。還流状態をさらに1時間維持した。反応物を約40℃の温度に冷やし、内容物を分離カラムに排出した。有機相を好適な広口ガラスベッセルに注ぎ、結晶化を促進する3つの棒(broomsticks)を挿入した後、結晶化のために超低温槽内に放置した。有機相は−17.5±2.5℃の温度に達し、12時間後に取り出した。結晶形成が観察された。内容物を5±2.5℃に温め、p−ニトロトルエンを再溶解させると、これにより生成物との共結晶化が起こった。結晶の塊を分解し、内容物を連続遠心分離機において遠心分離したが、この操作は数分を要すのみだった(留意すべきは、母液が遠心分離中に約7.5±2.5℃に温められることである)。収集されたp−ニトロベンジルブロミドの重さは0.264kg(1.22mol)であり、95%(GC面積%)純度を示した。母液をガラスリアクタに戻した。晶出するp−ニトロベンジルブロミドの量と等量の新たな0.167kg(1.22mol)のp−ニトロトルエンを添加し、臭素化試薬を以下の表2に示すようなモル比で使用した。反応は上記と同様に繰り返したが、反応の終わり頃に、還流モードから蒸留モードに切り替えることにより0.6Lの四塩化炭素を収集して冷却を維持した。冷結晶化を繰り返して、反応物からp−ニトロベンジルブロミドを得た。粗製p−ニトロベンジルブロミドを遠心分離機において、冷却した四塩化炭素で洗浄し、遠心分離した。母液及び洗液をもう一度再利用した。7つのこのような再利用バッチを実行し、各サイクルに関するp−ニトロベンジルブロミドの収率及び純度、また総収率及び平均純度のデータを以下の表2に示す。四塩化炭素は再使用のために最終的な母液から回収した。
【0066】
【表2】

【0067】
本実施例は、実験室でのプロセスが容易にスケールアップに適応できることを教示しており、より効率的に操作を実行すると共に、4回だけでなく7回母液を再利用することによって、p−ニトロトルエンを基準にするとp−ニトロベンジルブロミドの収率は68.2%に増大し、臭素原子効率は84.8%であった。本実施例はさらに、高純度の生成物を得るには、冷却した四塩化炭素による結晶の洗浄のみで十分であることを教示している。
【0068】
(実施例3)
実施例2の実験を繰り返し、生成物の収率及び純度とともに、各サイクルに関する試薬の化学量論組成を以下の表3に示す。8回目のサイクル後に、それまでと同様に母液から四塩化炭素を回収し、その後、残渣を減圧蒸留にかけた。この目的のために、初めに残渣を溶融し、窒素パージを行ってもよい。その後、温度を上げると共に、真空をかけると、p−ニトロトルエンが減圧下(温度:140℃(初期)〜155℃(後期)、圧力:40mmHg(初期)〜10mmHg(後期))で蒸留により得られた。回収されたp−ニトロトルエンの量は、0.514kg(3.75mol)であった。
【0069】
注記:少量のp−ニトロベンジルブロミドも蒸留により得られることが見出された。p−ニトロトルエンを基準とする変換を算出するために、回収されたp−ニトロトルエンの量を充填したp−ニトロトルエンの総量から減じた。以下の表3のデータに基づき算出した場合、p−ニトロベンジルブロミドの収率は、消費されるp−ニトロトルエンに対して91.7%であり、臭素原子効率は87.3%であった。
【0070】
【表3】

【0071】
実施例3は、最終サイクルの残渣からp−ニトロトルエンを回収することが簡単であり、これによって、大過剰のp−ニトロトルエンとの反応を実行することが可能になり、不純物の形成がより少ないという利点を実現することを教示している。
【0072】
(実施例4)
p−ニトロトルエンの減圧蒸留後に実施例3において回収される323gの重量の暗色の残渣は、GC−MS及びNMRによって分析し、71.1%のジブロモ(NO−Ar−CHBr)不純物及び26.9%のp−ニトロベンジルブロミドを主な構成成分として含むことが分かった。この残渣の5.23gを12.5mlのジメトキシエタン(DME)に溶解した。次に2.69gのNaBHを添加した。その後、12.5mlのDME及び5mlの水からなる溶液を、室温で撹拌しながら1時間かけて段階的に添加した。その後、DMEを減圧下で蒸留すると、固体が得られ、これを水で洗浄すると、2.1gの淡黄色の固体が得られた。このGCは、残渣中のジブロモ不純物がp−ニトロトルエン及びp−ニトロベンジルブロミドに変換され、GC面積%に基づき60.5%のp−ニトロトルエン及び39.5%のp−ニトロベンジルブロミドを含む組成物が得られたことを示した。およそ2:1の比率のp−ニトロトルエン:p−ニトロベンジルブロミドを有する変換された残渣を再利用し得ることは明らかであろう。こうして、変換は、消費されるp−ニトロトルエンに対して96%に増大し、臭素原子効率は90%に増大した。
【0073】
(実施例5)
実施例3の8回目のバッチからの水性廃水を収集して分析した。データを以下の表4に示す。水性廃水が低レベルの有機物及び未反応の臭化物を有することが分かる。
【0074】
【表4】

【0075】
本発明の主な利点は以下の通りである。
1.反応、生成物の単離及び精製に単一の溶媒を使用することによって、溶媒に別の溶媒が混入するという問題が解決され、プロセスが簡便なものとなる。
2.p−ニトロベンジルブロミドを冷却プロセスにより反応物から選択的に晶出し、これにより、過剰なp−ニトロトルエンを含有する母液及び溶媒の全てを直接再利用することが可能である。
3.98%を超える純度を有するp−ニトロベンジルブロミドが、冷却した四塩化炭素で生成物を洗浄するだけで得られる。
4.本プロセスは溶媒損失を最小限に抑える。
5.本プロセスは不純物の形成を最小限に抑え、その結果、より高い臭素原子効率をもたらす。
6.不純物の形成を最小限に抑えるのに必要とされる過剰なp−ニトロトルエンを容易に回収する。
7.ジブロモ不純物を多く含む有機残渣廃棄物をp−ニトロトルエン/p−ニトロベンジルブロミドに再び変換し、p−ニトロトルエンを基準とする収率を増大させるだけでなく、有機廃棄物処理の問題も回避する。
8.水性廃水は最小限の有機物(organic load)しか含有しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p−ニトロベンジルブロミドを製造するための改良された方法であって、
(i) p−ニトロトルエンを0.15kg/L〜0.35kg/Lの範囲の濃度で有する四塩化炭素溶液を、反応ベッセル内に入れる工程と、
(ii) 2:1でアルカリ臭化物/アルカリ臭素酸塩固体臭素化試薬を水に溶解して2M〜3Mの活性Br濃度にし、前記工程(i)の反応ベッセルにこれを添加して、基質対活性臭素(試薬中)の比率を1:1〜5:1の範囲に維持する工程と、
(iii) 連続照明の下で周囲温度から50℃〜60℃へと前記工程(ii)の反応物の温度を徐々に上げる工程と、
(iv) 連続撹拌しながら、化学量論量が0.5M〜2.5Mの硫酸及び塩酸等の無機酸を前記工程(iii)の反応物に1〜3時間かけて添加する工程と、
(v) さらに1.0〜2.0時間にわたり還流状態で前記撹拌を続け、最終的に前記反応物をほぼ無色にする工程と、
(vi) 前記工程(v)の還流モードから蒸留モードに切り替え、前記使用した四塩化炭素の10%〜15%を留去し、この留去した四塩化炭素を、以下の工程(xi)において遠心分離した生成物の洗浄のために、−5℃〜−20℃の範囲の温度にまで冷却する工程と、
(vii) 前記工程(vi)の蒸留後、前記加熱を止めて、前記反応物を35℃〜40℃にまで冷やす工程と、
(viii) 前記工程(vii)の冷却した反応物から、有機相と水相を分離する工程と、
(ix) 前記工程(viii)で得られる有機相を冷凍装置で冷却し、−5℃〜−20℃の温度範囲で選択的にp−ニトロベンジルブロミドを晶出する工程と、
(x) 前記工程(ix)で結晶化したp−ニトロベンジルブロミドを0℃〜10℃の範囲の温度に温めた後、遠心分離により、この結晶を母液から分離する工程と、
(xi) 前記工程(x)で得られる結晶を、前記工程(vi)で得られる冷却した四塩化炭素で洗浄し、97℃〜100℃のmp及び約98%のGC純度を有する精製されたp−ニトロベンジルブロミドを得る工程と、
(xii) 前記工程(x)の母液及び前記工程(xi)の洗液を、次のサイクルのために前記反応ベッセル内に戻し、必要量のp−ニトロトルエン、臭素化試薬及び四塩化炭素を補給する工程と、
(xiii) 前記工程(iii)から前記工程(xii)までのプロセスを複数サイクルにわたって繰り返す工程と、
(xiv) 前記再利用を終えた使用済みの有機相から、大気圧下で四塩化炭素を留去した後に、10mmHg〜40mmHgの減圧下、130℃〜155℃の温度下でp−ニトロトルエンを留去する工程と、
(xv) 前記工程(xiv)の残渣物(RM)をジメトキシエタン(DME)中に、RM:DMEの比率が1:2〜1:5(w/v)で溶解させた後に、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を用いて3:1〜1.5:1のRM:NaBH重量比で室温において撹拌しながら前記残渣物を処理し、過剰に臭素化された生成物を、p−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとの混合物へと変換する工程と、
(xvi) 前記工程(ix)から前記工程(xv)の操作を続ける前に、前記工程(xv)で得られるp−ニトロトルエンとp−ニトロベンジルブロミドとの混合物を、前記工程(viii)の有機相中に添加し、有機廃棄物を排除する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記工程(iii)の反応温度を好ましくは50℃に上げる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスリアクタのベッセルサイズが1L〜10Lである場合、40W〜250Wの電力定格を有する1つ〜4つの電球を前記工程(iii)における照明に使用する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(x)における前記有機相を好ましくは−2℃〜5℃の範囲の温度に温める請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記使用済みの母液を、前記工程(xiii)から前記工程(xvi)の操作にかける前に、母液の再利用を7回〜10回行う請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ジメトキシエタンを蒸留により回収し、この生成物を、前記工程(xv)の操作の一環として水で洗浄する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(xvi)において、前記有機相の混合後のp−ニトロベンジルブロミドに対するp−ニトロトルエンのモル比が2:1〜1:3である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
p−ニトロベンジルブロミドの収率がp−ニトロトルエンに対して90%〜98%であり、臭素原子効率が88%〜92%である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
p−ニトロベンジルブロミドの平均純度が98%(GC面積%)以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−507575(P2012−507575A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535172(P2011−535172)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007264
【国際公開番号】WO2010/052536
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511110762)カウンシル・オヴ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ (7)
【Fターム(参考)】