説明

xy色度図を用いたドラム缶内面汚れ自動検出装置

【課題】 カラー画像よりドラム缶内の汚れを自動的に検出できるようにしたxy色度図を用いたドラム缶内面汚れ自動検出装置を提供する。
【解決手段】 ドラム缶内部を撮影するカラーCCDカメラと、このカラーCCDカメラの撮影した画像を複数領域に分割し、各領域毎にR,G,Bについて構成画素の輝度の和を求め、この和を構成画素数で割り平均輝度Rm,Gm,Bmを求め、この平均輝度を下記(1)式に代入してX,Y,Zを求め、このX,Y,Zを下記(2)式に代入してx,yを求め、各領域のx,yデータをxy色度図に表示し、この分布状態より汚れを検出する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記x,yデータのx,y色度図上で分布している重心を求め、この重心より所定半径内に前記x,yデータが収まったとき汚れは許容値内と判定する。
X=2.7689Rm+1.7517Gm+1.1302BmY=Rm+4.5907Gm+0.0601Bm …(1)
Z=0.0565Gm+5.5943Bmx=X/(X+Y+Z) …(2)
y=Y/(X+Y+Z)

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドラム缶の内部の汚れをカラー画像で表し汚れを検出するxy色度図を用いたドラム缶内面汚れ自動検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼製ドラム缶は液体・固体を問わず、さまざまな製品が詰められて輸送・貯蔵に使用されている。使用済ドラム缶は残渣物を適切に除去し、洗浄、整形、塗装および必要に応じ部品等の取り替えを行い、再び製品の輸送・貯蔵用容器として市場に出される。
【0003】洗浄後、残水の吸い取り、水切り乾燥を行い内部検査をして、さび、油、水、付着物など(これらを以降汚れと称する)が残っているかを検査する。この検査はドラム缶の直径50mm程度の口金から照明を中にいれて目視により行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし目視による検査は個人差があること、および長時間続けるとかなり精神的に負担となるため自動検査の開発が進められている。この自動化の一つとしてカラーCCDカメラをドラム缶内部に入れて撮影された画像より汚れを検出する方法が研究されている。しかしカラー画像から目視では汚れを判別できても機械で自動的に行なうことはできなかった。
【0005】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、カラー画像よりドラム缶内の汚れを自動的に検出できるようにしたxy色度図を用いたドラム缶内面汚れ自動検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明では、ドラム缶内部を撮影するカラーCCDカメラと、このカラーCCDカメラの撮影した画像を複数領域に分割し、各領域毎にR,G,Bについて構成画素の輝度の和を求め、この和を構成画素数で割り平均輝度Rm,Gm,Bmを求め、この平均輝度を下記(1)式に代入してX,Y,Zを求め、このX,Y,Zを下記(2)式に代入してx,yを求め、各領域のx,yデータをxy色度図に表示し、この分布状態より汚れを検出する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記x,yデータのx,y色度図上で分布している重心を求め、この重心より所定半径内に前記x,yデータが収まったとき汚れは許容値内と判定する。
【0007】
記X=2.7689Rm+1.7517Gm+1.1302BmY= Rm+4.5907Gm+0.0601Bm …(1)
Z= 0.0565Gm+5.5943Bmx=X/(X+Y+Z) …(2)
y=Y/(X+Y+Z)
【0008】上述のようにして求められた各領域の色度を表す座標x,y(x,yデータ)をxy色度図に表示すると、汚れのない領域の色度はほぼ同じ範囲にまとまり、汚れのある領域の色度はこれらより離れて存在する。このx,yデータのxy色度図上での重心を求め、この重心からrの半径の円を描くと、汚れのない場合(薄い汚れで許容内の場合)は重心近くに分布するが、汚れがあると分布範囲が広がる。そこで汚れが許容できる範囲の半径rを予め定めておくことにより汚れの判定を自動的に行なうことができる。
【0009】請求項2の発明では、前記画像処理装置は、前記カラーCCDカメラの輝度信号から濃淡画像を生成し、この各画素につきその画素を含む窓を形成しその窓内で所定レベルより暗い濃度の範囲を探し、この暗い濃度の画素数が全画面で所定数となったとき汚れがあると判定する。
【0010】画像の全画素について、各画素についてその画素を含む窓を形成しその窓内で所定レベルより暗い濃度の範囲を探し、全画素探索する処理はホモロジー処理といわれ画像処理としてよく用いられる。ドラム缶の濃淡画像にこの処理をすると、全体的に暗い所にある汚れも判別できる。汚れの判断基準としては、各窓(通常4〜6画素×4〜6画素)で所定レベルより暗い濃度の画素を見つけ、この画素が所定数(全画面の画素は通常約500×500)以上のとき汚れと判断する。この方法を請求項1の発明と併用することにより無彩色の汚れの検出に効果的である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本実施の形態のxy色度図を用いたドラム缶内面汚れ検出装置全体の構成を示す図である。ドラム缶1は胴2に上板3と底板4とが取付けられ構成される。ドラム缶1の上板3には口金が設けられており、この口金より小型のカラーCCDカメラ5と照明用蛍光灯6を支持材7で一体に構成した撮影装置が挿入される。カラーCCDカメラ5には広角レンズが設けられており、底板4のみならず胴2の一部も視野に入れて撮影することができる。図1は底板4を撮影する図を示すが、カラーCCDカメラ5を上向きにすることにより上板3と胴2も撮影できる。カラーCCDカメラ5で撮影された画像は画像処理装置8で処理され、汚れが検出される。モニタ9は画像処理の経過や結果を画面に表示する。
【0012】図2は撮影エリアを複数の領域に分け各領域ごとのxy色度を算出する方法を説明する図で、底板4と胴2の一部を含むエリアを示す。底板4の周囲に胴2の一部がリング状に表れている。底板4には汚れ10があり、この汚れ10は画像に表れている。この汚れ10を目視で確認することはできるが、機械で確認するのは難しく、以下に述べる本発明により認識する。まず画像を複数の領域に分割する。なお、実際はこの分割よりも遙かに多い分割とするが、説明を容易にするため8分割の場合を示す。この場合、底板4の中心を中心として扇状に8等分した場合を示すが、等分に分割する必要はない。この領域をw1〜w8とする。w1とw2にまたがって汚れ10が存在している。各領域のR,G,B輝度信号より色度を求め、xy色度図にプロットし、その分布状態を調べるが、まずxy色度図について説明する。
【0013】図3はxy色度図を示す。本xy色度図はJIS Z8110に示されているもので、色度座標上に色彩をプロットしたものである。三角形を斜めにしたような曲線内で色を表し、曲線周囲の数値は色の波長をnm(ナノメータ)で表している。中心は白(無彩色)を示し、有彩色はこの回りに存在し白から遠ざかる程鮮やかさの増した色となる。中心の白から周囲の曲線に引いた線上の色は全て同じ波長の色となる。曲線は単色光の波長変化軌跡を表しているため、白を中心に図上を移動すると色相が変化する。
【0014】図2で示した各領域w1〜w8毎にその画像のR,G,Bについて構成画素の輝度の和を求め、この和を構成画素数で割り平均輝度Rm,Gm,Bmを求める。この平均輝度をxy色度図にプロットするため、下記(1)式に代入してX,Y,Zを求め、さらにこのX,Y,Zを下記(2)式に代入してx,yを求める。このようにして得られた各領域のx,yデータを図3で示したxy色度図にプロットする。
【0015】
X=2.7689Rm+1.7517Gm+1.1302BmY= Rm+4.5907Gm+0.0601Bm …(1)
Z= 0.0565Gm+5.5943Bmx=X/(X+Y+Z) …(2)
y=Y/(X+Y+Z)
【0016】図4は各領域のx,yデータをxy色度図にプロットした状態を示す。汚れ10のない領域w3〜w8のデータは1つの塊となって存在し、汚れ10のある領域w1〜w2のデータは別の塊となって存在する。汚れ10のない領域のデータは図3の曲線の中心近くの無彩色の領域近傍に存在し、汚れ10のある領域のデータはこれより離れた場所に存在する。このように各領域の画像のR,G,Bからx,yを求めxy色度図にプロットすることにより汚れのある領域のx,yデータは汚れのないx,yデータより離れて分布するので、この分布より汚れを判定することができる。
【0017】図5は汚れのない底板4を撮影し、多数の領域に分割してそのxyデータを求めxy色度図にプロットした図である。xyデータはよくまとまっており、この重心を中心にして描いた半径rの円内に収まっている。
【0018】図6は汚れのある底板4を撮影し、多数の領域に分割してそのxyデータを求めxy色度図にプロットした図である。xyデータはかなり分散しており、この重心を中心にして描いた半径rの円をはみ出しているものも多い。
【0019】このように撮影エリアのxyデータの重心を求め、この重心を中心に半径rの円を描きこの円内に入るか否かにより汚れを自動的に判定することができる。なおこの半径rは許容できる汚れとその分布から予め定めておく。
【0020】次に濃淡画像による汚れ検出について説明する。カラーCCDカメラの輝度信号から濃淡画像を生成し、画像の全画素について、各画素についてその画素を含む窓を形成し、その窓内で所定レベルより暗い濃度の範囲を探し、全画素探索する処理はホモロジー処理といわれる。ドラム缶の濃淡画像にこの処理をすると、全体的に暗い所にある汚れも判別できる。汚れの判断基準としては、各窓(通常4〜6画素×4〜6画素)で所定レベルより暗い濃度の画素を見つけ(例えば、濃度の0〜255段階にしたとき100以下の画素)、この画素が所定数(全画面の画素は通常約500×500であり、例えば500個)以上のとき汚れと判断する。この方法は上述したxy色度図を用いる方法では検出が困難な無彩色の汚れの検出に有効である。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明は、ドラム缶内部の画像を複数の領域に分け、各領域の画像のR,G,Bからその領域のx,y色度図上の座標(x,y)を求め、これをx,y色度図上にプロットし、その分布の重心を求め、その重心を中心に所定の半径で円を描き、この円内にxyデータが分布しているか否かを調べることにより、汚れを自動的に検出することができる。また、輝度信号を濃淡画像としホモロジー処理して所定の濃度以下の画素を検出することによりxy色度図を用いる方法では検出が困難な無彩色の汚れの検出に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の装置全体の構成を示す図である。
【図2】ドラム缶内部の画像とこれを扇状の複数の領域に分割した状態を示す図である。
【図3】x,y色度図である。
【図4】図2に示す各領域のxyデータをx,y色度図にプロットした図である。
【図5】汚れのない各領域のxyデータをx,y色度図にプロットし、判定用の円を描いた図である。
【図6】汚れのある各領域のxyデータをx,y色度図にプロットし、判定用の円を描いた図である。
【符号の説明】
1 ドラム缶
2 胴
3 上板
4 底板
5 カラーCCDカメラ
6 蛍光灯
7 支持材
8 画像処理装置
9 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ドラム缶内部を撮影するカラーCCDカメラと、このカラーCCDカメラの撮影した画像を複数領域に分割し、各領域毎にR,G,Bについて構成画素の輝度の和を求め、この和を構成画素数で割り平均輝度Rm,Gm,Bmを求め、この平均輝度を下記(1)式に代入してX,Y,Zを求め、このX,Y,Zを下記(2)式に代入してx,yを求め、各領域のx,yデータをxy色度図に表示し、この分布状態より汚れを検出する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記x,yデータのx,y色度図上で分布している重心を求め、この重心より所定半径内に前記x,yデータが収まったとき汚れは許容値内と判定することを特徴とするxy色度図を用いたドラム缶内面汚れ自動検出装置。
記X=2.7689Rm+1.7517Gm+1.1302BmY= Rm+4.5907Gm+0.0601Bm …(1)
Z= 0.0565Gm+5.5943Bmx=X/(X+Y+Z) …(2)
y=Y/(X+Y+Z)
【請求項2】 前記画像処理装置は、前記カラーCCDカメラの輝度信号から濃淡画像を生成し、この各画素につきその画素を含む窓を形成しその窓内で所定レベルより暗い濃度の範囲を探し、この暗い濃度の画素数が全画面で所定数となったとき汚れがあると判定することを特徴とする請求項1記載のxy色度図を用いたドラム缶内面汚れ自動検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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