説明

自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示方法および判定表示装置

【課題】 自動電圧調整器(SVR)の絶縁油の汚損によるタップ位置表示確認の困難性を解決するべく、現在タップ位置の簡便な判定表示方法および判定表示装置を提供すること。
【解決手段】 自動電圧調整器(SVR)に備えられている上限タップ位置および下限タップ位置までの駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、現在タップ位置に対応して逆送時の駆動軸の回転動作を規定する第3のスイッチの作動状態を取り込むための作動状態入力部と、取り込まれた前記スイッチの作動状態を、論理演算手段を用いて解析してタップ位置を判定する判定部と、判定部での解析結果を表示する表示部とを有する自動電圧調整器(SVR)の現在タップ位置判定表示装置を用いて、現在タップ位置を判定し表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動電圧調整器の現在タップ位置を判定し、その判定結果を表示する方法およびその判定表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動電圧調整器(Step−Voltage−Regulator,以下SVRという。)は、高圧配電線路の電圧降下を補償する変圧器として用いられている。具体的には、SVRは高圧配電線路の途中に施設され、SVR施設位置の送出電圧を検出し、検出した前記送出電圧と設定した基準電圧に基づいて、SVRに内蔵されている変圧器タップ群のタップ切換を行うためのタップ切換指令を発生させ、前記タップ切換指令により、モーターで回転駆動される駆動軸が所定量回転することでタップ切換を行い、相応の電圧分を昇圧または降圧させることで、施設位置以降の高圧配電線路の電圧を基準電圧の設定範囲内に収まるように調整する。
【0003】
SVRには、複数個のタップを有する単巻変圧器が内蔵されている。SVRが線路電圧を昇圧および降圧もしない場合は、タップ位置は素通しタップであるが、自動で昇圧または降圧する際は、SVRの構成機器である電圧調整継電器が作動して、タップ位置が素通しタップから昇圧タップまたは降圧タップへ自動的に切り換えられる。
【0004】
SVRの操作時や点検時において、SVR本体の正面部に設けられているタップ位置のぞき窓を通じて、絶縁油が充填されたSVRに内蔵されているタップ位置表示板を見て現在タップ位置を確認する。タップ位置表示板は、内部のタップ位置切換機構の駆動軸と機械的に連動しており、タップ位置が変更するのと同時に、タップ位置表示板が回転する構造となっている。しかしながら、SVRのタップ切換は、油中切換式が採用されていて、タップ切換の際に発生するアークや切換接点の摩耗により、絶縁油中にカーボンやスラッジが発生するため、絶縁油が汚損する。したがって、SVRを現場の高圧配電線路に設置した後、時間が経つにつれて、徐々にSVR本体内部に充填されている絶縁油が汚損するため、タップ位置のぞき窓をのぞいても、現在タップ位置の確認ができなくなるという問題があった。また、万が一、絶縁油の汚損により現在タップ位置がタップ位置表示板から確認できない状態でSVRを線路に挿入または切り離しの操作を行うと、SVR本体の故障や配電線故障につながるおそれがある。このため、絶縁油の絶縁特性には問題がないのに関わらず、タップ位置のぞき窓を通じてタップ位置表示板の確認ができない程度にまで絶縁油が汚損しているという理由だけで、SVR本体を正常なものと取り換える必要があり、さらに、取り換えられたSVRは、絶縁油等の交換やSVR本体内部の清掃を行うなどの修理が必要であるため、莫大なコストがかかる。
【0005】
タップ切換に伴う絶縁油汚損の問題を解消するものとして、非特許文献1において、絶縁油中でのタップ切換を伴わない真空バルブ式負荷時タップ切換装置(On−Load−Tap−Changers;LTC)が提案され、該装置は絶縁油の劣化が無く、タップ切換時の接点摩耗もほとんど発生しないため、点検周期が現状の2倍以上に延伸化できることが記載されている。
【0006】
また、タップ位置検出装置としては、負荷時タップ切換変圧器(以下、LRTという。)において、タップ切換動作と連動する多岐切換式ダイヤルスイッチからその出力を逐次読み込むことにより、LRTのタップ位置を検出するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】佐々木、長谷川、「新型SVR(高機能型)の開発」、電気現場技術、電気情報社発行、2004年8月,VOL.43,NO.507,P45−50
【特許文献1】特公平7−58654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、SVRの絶縁油の汚損によるタップ位置表示確認の困難性を解決するべく、現在タップ位置の簡便な判定表示方法および判定表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者等は、SVRに備えられている上限タップ位置および下限タップ位置までの駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、現在タップ位置に対応して逆送時における駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチの作動状態に基づいて、現在タップ位置を判定できることが可能であることを見出し、本発明に想到した。
【0009】
本発明の第1の発明は、制御部と負荷時タップ切換器部と電圧調整変圧器部とを有し、前記制御部は、順送時の送出電圧を検出し、検出した前記送出電圧と設定した基準電圧に基づき、内蔵されている変圧器タップ群のタップ切換を行うためのタップ切換指令を発生し、前記負荷時タップ切換器部は、前記タップ切換指令によりモーターで所定量回転駆動される駆動軸を有し、前記駆動軸が所定量回転することでタップ切換を行うタップ切換機構と、前記駆動軸の回転と連動して現在タップ位置を機械的に表示する表示手段と、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し現在タップ位置に対応して逆送時における前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチとを備え、前記電圧調整変圧器部は、タップ切換されて電圧調整を行う変圧器から成り、前記負荷時タップ切換器部および前記電圧調整変圧器部が絶縁油中に備えられた自動電圧調整器において、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態に基づき、論理演算手段を用いて現在タップ位置を判定し表示することを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示方法である。
【0010】
本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態を、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチとを構成要素とする前記駆動軸の回転動作範囲を規定する前記自動電圧調整器に備えられる切換回路の作動状態から取り出すことを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示方法である。
【0011】
本発明の第3の発明は、制御部と負荷時タップ切換器部と電圧調整変圧器部とを有し、前記制御部は、順送時の送出電圧を検出し、検出した前記送出電圧と設定した基準電圧に基づき、内蔵されている変圧器タップ群のタップ切換を行うためのタップ切換指令を発生し、前記負荷時タップ切換器部は、前記タップ切換指令によりモーターで所定量回転駆動される駆動軸を有し、前記駆動軸が所定量回転することでタップ切換を行うタップ切換機構と、前記駆動軸の回転と連動して現在タップ位置を機械的に表示する表示手段と、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し現在タップ位置に対応して逆送時における前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチとを備え、前記電圧調整変圧器部は、タップ切換されて電圧調整を行う変圧器から成り、前記負荷時タップ切換器部および前記電圧調整変圧器部が絶縁油中に備えられた自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置であって、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態を取り込むための作動状態入力部と、前記作動状態入力部で取り込まれた前記作動状態を、論理演算手段を用いて解析してタップ位置を判定する判定部と、前記判定部での判定結果を表示する表示部とを有することを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置である。
【0012】
本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記作動状態入力部で取り込まれた前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態を、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチとをそれぞれ構成要素とする前記駆動軸の回転動作範囲を規定する前記自動電圧調整器に備えられる切換回路の作動状態から抽出することを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置である。
【0013】
本発明の第5の発明は、第3または第4の発明において、前記作動状態入力部が、前記作動状態に応じて発光する発光ダイオードと、その光を受光し、出力信号を出力するフォトトランジスタとから構成される光結合素子を含み、前記出力信号を前記判定部で解析することを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の現在タップ位置判定表示方法によれば、既設のSVRの絶縁油が汚損し、タップ位置のぞき窓をのぞいてタップ位置表示板から現在タップ位置の確認ができなくても、SVRに備えられている上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、現在タップ位置に対応して逆送時の駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチの作動状態に基づいて、現在タップ位置を容易に判定、確認することができる。
【0015】
また、本発明に係る現在タップ位置判定表示装置を用いれば、タップ位置のぞき窓をのぞいてタップ位置表示板から現在タップ位置を確認する必要がなくなる。したがって、SVR内部の絶縁油が汚損してタップ位置が確認できないという理由で、絶縁油の絶縁特性が正常でありながらSVR本体を交換する必要がなくなることから、大幅なコスト低減を図ることができる。
さらに、SVRの現在タップ位置判定表示装置は、論理回路素子や光結合素子、発光素子などから構成される構造であるため、小型で持ち運びが可能であり、かつ安価に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
配電設備として使用され、本発明の判定表示方法が適用されるSVRの構造について説明する。SVRの外観図を図14に、SVRの概要図を図15に示す。SVR38は配電線路の電圧調整を行う変圧器から成る電圧調整変圧器部46、負荷時に該変圧器のタップ切換を行う負荷時タップ切換器部47、タップ切換の制御を行う制御部48から構成され、図14において、39はSVR本体ケース、40は制御箱、41はタップ位置のぞき窓、42はブッシング、43はブッシング絶縁カバー、44は吸湿呼吸器、45は排油弁である。なお、電圧調整変圧器部46と負荷時タップ切換器部47は、絶縁油で充填されているSVR本体ケース39に内蔵されており、制御部48は、制御箱40内に配置されている。
【0018】
電圧調整変圧器部46は、電圧を調整するための数個のタップ50を有する単巻変圧器51から成る(図15参照)。なお、タップ切換は油中切換式となっているため、絶縁油中でタップ切換動作が行われる。
【0019】
制御部48は、順送時の送出電圧を検出し、検出した送出電圧と設定した基準電圧に基づき、内蔵されている変圧器タップ群のタップ切換を行うためのタップ切換指令52を発生する。具体的には、線路電圧降下補償器(以下LDCという。)53や電圧調整継電器54等から構成されている。制御部48を含む制御回路の等価回路(1相分)を図16に示す。なお、図16に示す制御回路には、順送時における線路電圧補償を行なうための構成要素のみを示しているが、これらの他にも、逆送時に所定のタップ位置(素通しタップ)に自動的に切換えるための切換指令を出力する逆送継電器(図示せず)や、電圧調整継電器54または逆送継電器からのタップ切換指令を受けてモーターを所定の回転方向へ回転駆動させる回転駆動励磁部、回転駆動範囲を規定するスイッチなども備えられている。
【0020】
制御部48には、SVRの施設位置と離隔して負荷側の場所における電圧調整を行なう場合に、離隔に相当する線路インピーダンスと等価なインピーダンス要素を模擬設定して、電圧降下を補償するLDC53が含まれている。制御部48には、SVRの負荷電流をLDC53に流すための変流器(CT)55や、SVRの送出電圧を変圧した電圧を電圧調整継電器54に印加するための変圧器(PT)56が設けられている。LDC53を用いて離隔に相当する線路インピーダンスと等価なインピーダンス要素を模擬設定した場合には、LDC53による電圧降下の補償を加味した電圧が、電圧調整継電器54に印加される。電圧調整継電器54に印加される電圧は、本発明でいう順送時に検出される送出電圧に相当する。電圧調整継電器54では、印加される電圧と、あらかじめ設定された基準電圧との偏差を検出し、その偏差が一定値を超えた場合に、電圧調整継電器54が作動し、モーター57の回転駆動信号(タップ切換信号52)を出力する仕組みとなっているが、偏差が一定値以下であれば、電圧調整継電器54が作動しないよう、不感帯幅も合わせて設定されている。
電圧調整継電器54への印加電圧と設定された基準電圧との偏差が一定値を超えた場合、つまり偏差が基準電圧の不感帯幅を超えた場合には、電圧調整継電器54から、負荷時タップ切換部に設けられた、タップ切換を機械的に行なう駆動手段であるモーター57へ、タップ切換指令52が出力され、モーター57を駆動させる。
【0021】
負荷時タップ切換器部47は、タップ切換指令52によりモーター57で回転駆動される駆動軸62を有し、駆動軸62が所定量回転することでタップ切換を行うタップ切換機構63と、駆動軸62の回転と連動して現在タップ位置を機械的に表示する表示手段(タップ位置表示板)64と、駆動軸62の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの駆動軸62の回転動作範囲を規定する第1のスイッチ65および第2のスイッチ66と、現在タップ位置に対応して逆送時における駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチ67とからなる。負荷時タップ切換器部47の具体的な構造を図17に示す。
タップ切換は、可動接触子68と、電圧調整変圧器部46のタップ50と連結している固定接触子69との接続変更により行われる。すなわち、絶縁板70に配置されタップ数に応じて設けられた固定接触子69に可動接触子68が接続した状態から、前記可動接触子68が、切換板71の回転駆動に伴って回動し、隣接する固定接触子69に接続変更することで、タップ切換が行われる。
【0022】
切換板71は以下のような動作機構により回転動作する。まず、タップ切換指令52を受けたモーター57の駆動に連動して、チェーン72が動いて鎖車73が回転し、同時に駆動軸62が回転する。このとき、鎖車73は切換板71の引張ばね74を十分延ばしきった位置まで回転すると、溝車75にかみ合っているレバー76が持ち上げられて溝より外れて、引張ばね74の力により急速に次の溝まで回転し、駆動軸62と同軸に取り付けられている切換板71が回転する。これにより、可動接触子68が回転してタップ切換を完了する。タップ切換により、SVRの送出電圧と基準電圧との偏差が所定の範囲に収まれば、電圧調整継電器54からモータ−57へタップ切換指令52は出力されなくなり、モーター57の回転駆動は停止する(図17)。
また、タップ位置表示板77は、切換板71と駆動軸62を介して同軸に取り付けられているため、タップ切換と同時にタップ位置を示し、タップ位置のぞき窓78から確認することができる。
【0023】
SVRには、タップ切換に係る駆動軸62の回転動作範囲の上限タップ位置または下限タップ位置にまで達すると、駆動軸62がそれ以上回転しないように、モーター57の回転を阻止するために前記モーター57の制御回路(図示せず)を開く上限タップ位置を規定する上限リミットスイッチ79および下限タップ位置を規定する下限リミットスイッチ80が負荷時タップ切換器部47に設けられている(図17参照)。さらに、極限リミットスイッチ81,82が設けられているSVRもある。極限リミットスイッチ81,82は、万が一リミットスイッチが不動作の場合に動作するスイッチである。さらに、極限リミットスイッチ81,82が動作すると同時に、機械的に動作するストッパー83が駆動軸62に取り付いている。
なお、上限タップ位置を規定する上限リミットスイッチおよび下限タップ位置を規定する下限リミットスイッチは、本発明の第1および第2のスイッチにそれぞれ対応している。
【0024】
また、SVRを通過する電流の方向が逆になるとき(逆送時)に、該SVRが適正な電圧を送出可能となるように、制御部には逆送継電器(図示せず)が、負荷時タップ切換器部47には素通しスイッチ84がそれぞれ設けられている(図17)。SVRのタップ位置が、順送時に電圧を昇圧させるタップ位置のままであれば、逆送時に該SVRが送出電圧を降圧させるため、該SVRの送出電圧が基準電圧よりも低くなる不都合が生じる。そこでSVRを含む配電線路において、SVRを通過する電流方向が逆になると(逆送時)、まず逆送継電器が作動して、電圧調整継電器をロック(停止)させ、これと並行して素通しタップへ強制的に切換えるためのモーター回転駆動指令が逆送継電器から出力される。このとき、素通しタップに切換わるまでの間は、駆動軸62が回転動作するよう、素通しスイッチ84が作動してモーター57を回転駆動させ、回転が継続する。素通しタップ位置に切換わると素通しスイッチ84の作動により、モーター57の回転駆動を停止させる。これにより、SVR送出電圧の不必要な降圧を防ぐ仕組みとなっている。
【0025】
具体的には、SVRのタップが1から4まであって、素通しタップが2である場合、順送時のタップ位置が昇圧タップ3(または4)のときに、当該SVRを含む配電線路が逆送状態となると、昇圧タップ3(または4)から素通しタップ2にタップ位置を強制的に切換えるよう、まず逆送継電器(図示せず)が作動して、電圧調整継電器をロック(停止)させ、これと並行して素通しタップ2へ強制的に切換えるためのモーター回転駆動指令が逆送継電器から出力される。このとき、モーター回転駆動指令により閉状態である素通しスイッチ84を通じて、モータ−57を回転駆動させて駆動軸を回転動作させ、素通しタップ2へと切換える。タップ位置が素通しタップ2に切換わったときに、素通しスイッチ84が開状態となることで、モーター57の駆動が止まり、駆動軸の回転動作が停止する。これにより、タップ位置が強制的に素通しタップ2に切換えられる。
なお、素通しスイッチは、本発明の第3のスイッチに対応している。
【0026】
駆動軸の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、駆動軸の回転動作に対応して作動し現在タップ位置に対応して逆送時の回転動作範囲を規定する第3のスイッチの作動状態は、SVRのタップ位置と関連した動作(開閉状態)を有しており、SVRの機種によるが、これらスイッチの作動状態に基づいて、現在タップ位置を判定し、表示することが可能である。
【0027】
本発明に係る現在タップ位置判定表示方法ならびに判定表示装置について以下に説明する。図1に、本発明者の現在タップ位置判定表示装置(タップ数が4のSVR用)の概要図を示す。現在タップ位置判定表示装置1は、作動状態入力部2と、判定部6と、表示部7とから構成される。
【0028】
作動状態入力部2は、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し現在タップ位置に対応して逆送時の回転動作範囲を規定する第3のスイッチの作動状態を示す接点信号を取り込む入力信号端子群3と、入力信号端子群3と後段の判定部6とを電気的に切り離すための信号変換部4とからなる。詳細については後述するが、例えば、容量3000kVAのSVRの現在タップ位置を実際に判定するときは、該SVRに備えられている上限リミットスイッチ、下限リミットスイッチ、素通しスイッチの3種類の作動状態を取り込む必要がある。そのため、入力信号端子群3は、3対6端子の端子群から構成されている。
【0029】
信号変換部の構成とその周辺を示す回路図(1対2端子分)を図2に示す。信号変換部4は、ダイオード11,12、抵抗13,14、直流電源15,16および発光ダイオード9とフォトトランジスタ10とから構成される光結合素子5からなる。図2において、入力端子17,18間にスイッチの接点信号があるとき、つまり入力端子17,18間に接続されたSVRのスイッチが導通状態にあるときは、直流電源16を含む回路が閉状態となり、発光ダイオード9に電流が流れて発光して、発光した光をフォトトランジスタ10が受光し、直流電源15から抵抗14を通じてフォトトランジスタ10のコレクタからエミッタへ電流が流れる。したがって、出力端子19,20間には、出力電圧が生じないことになる。一方、入力端子17,18間が導通状態にないときは、直流電源16を含む回路が開状態となり、発光ダイオード9には電流は流れないため発光はしない。このため、フォトトランジスタ10のコレクタからエミッタへ電流が流れないため、出力端子19,20間には、出力電圧が生じる。
つまり、エミッタ接地方式のトランジスタからの入力信号を入力すると、コレクタの出力信号が反転することから、光結合素子自体が、NOT回路の役目を果たしているためである。
【0030】
信号変換部4は、解析するのに必要な接点信号の数だけ設ける。
信号変換部に光結合素子を用いたが、これに限定されることなく、判定部へ接点信号を入力できるように変換する方法であれば特に限定しない。
【0031】
判定部6は、論理回路素子群から構成される論理演算手段を用いて解析して、現在タップ位置の判定を行う。前記作動状態入力部2に取り込む接点信号は、導通の有無である複数の二値信号群であり、論理演算手段を用いることで、判定が容易に行なえる。
【0032】
表示部7は、例えば発光素子で構成され、前記判定部6の解析結果を表示する。表示部7は、現在タップ位置を示すために複数個の発光ダイオード8が設けられており、現在タップ位置を判定したときに、前記複数個の発光ダイオード8の内、いずれか1個が点灯して現在タップ位置の判定ができる仕組みとなっている。発光ダイオードの数は、判定表示が可能なタップ数だけ設けており、例えば、容量3000kVAのSVR用のタップ位置判定表示装置には、タップ数が4でいずれも判定表示が可能であるため、発光ダイオードを4個設けている。
【0033】
以上説明したように、本発明は、SVRのタップ位置を変更するための駆動軸の回転動作範囲および逆送時回転動作範囲を規定する第1、第2、第3のスイッチの作動状態に基づいて、現在タップ位置を判定し、表示する方法および判定表示装置である。これらスイッチの作動状態は、SVRの機種により異なり、以下の実施例で本発明を説明する。
【実施例1】
【0034】
実施例1で使用したSVRは、A社製、容量3000kVA,タップ数4である。該SVRの電圧調整継電器や逆送継電器からの指令を受けて、モーターの回転駆動を行なうよう、上限リミットスイッチや下限リミットスイッチ、素通しスイッチがそれぞれ設けられている。タップ位置に対応して前記上限リミットスイッチや下限リミットスイッチ、素通しスイッチの作動状態が変化し、これを元に現在タップ位置を以下のように判定する。実施例1で使用したSVRにおいては、タップ位置に対応して図3に示すように導通状態が変化する以下の3つの接点信号、下限リミットスイッチの接点信号A、上限リミットスイッチの接点信号B、素通しスイッチの接点信号Cがある。接点信号Aは、タップ位置が1であるときは非導通(開)状態で、タップ位置が2以降であるときは導通(閉)状態である。同様に接点信号Bは、タップ位置が4であるときは非導通状態で、タップ位置が3以下であるときは導通状態である。また、前記接点信号Cは、タップ位置3以降であるときは導通状態であるが、2以下であるときは非導通状態である。したがって、例えばタップ位置が1にあるときは、接点信号AおよびCは非導通状態で、接点信号Bは導通状態である。
【0035】
現在タップ位置を判定するためには、前記接点信号A,B,Cを入力して、現在タップ位置を判定するように設計された論理回路から構成される判定部を有する現在タップ位置判定表示装置を用いる。論理回路図の一例を図4に、論理回路の出力結果を図5にそれぞれ示す。また、図4において、論理回路の入力端子のすぐ後ろに、NOT回路が設けられているのは、発光ダイオードとエミッタ接地方式のフォトトランジスタとからなる光結合素子を用いているためである。
【0036】
次に図4に示す論理回路の入出力状態を説明する。まず、タップ位置が1であるときの接点信号A,B,Cの出力状態はそれぞれ、L(非導通),H(導通),Lである。これを図4の論理回路に入力すると、4つの出力端子の出力は、図5に示すように、1の出力端子のみがHで、その他の出力端子の出力は全てLとなる。同様に、タップ位置が2,3または4であるときの接点信号A,B,Cを入力端子へ入力すると、4つの出力端子の出力はそれぞれ2,3または4の出力端子のみがHで、その他の出力端子の出力は全てLとなる。このように、それぞれのタップ位置での接点信号を入力して、タップ位置に応じた出力結果が得られるように論理回路を設定することで、4個の発光ダイオードから構成される表示部において、1個の発光ダイオードが点灯して、現在タップ位置が判定できる仕組みとなっている。
【実施例2】
【0037】
実施例2で使用したSVRは、B社製、容量3000kVA,タップ数4である。該SVRの電圧調整継電器や逆送継電器からの指令を受けて、モーターの回転駆動を行なうよう、上限リミットスイッチや下限リミットスイッチ、素通しスイッチとを構成要素とする駆動軸の回転動作範囲を規定する切換回路21が、該SVRの制御部に設けられている。本実施例では、SVRの制御部に備えられている切換回路21の作動状態を抽出し、これを元に現在タップ位置の判定を行なう。切換回路21の回路構成を図6に示し、動作原理を以下に説明する。
切換回路21には、各スイッチの接点22,23,24が図6のように接続されており、22は上限リミットスイッチ、23は下限リミットスイッチ、24は素通しスイッチの各接点である。切換回路21は、順送時では電圧調整継電器(図示せず)からのタップ切換(昇圧・降圧)指令や、逆送時では逆送継電器(図示せず)からのモーター回転駆動指令の出力を受けて、モーター(図示せず)の回転駆動制御を行なう。順送時では上限リミットスイッチと下限リミットスイッチとの各接点22,23の作動状態を基に、昇圧方向回転駆動励磁部25または降圧方向回転駆動励磁部26が励磁され、モーターを所定の回転方向へと回転駆動させる。該SVRの下限リミットスイッチ23は、タップ位置が1であるときは非導通(開)状態で、タップ位置が2以降であるときは導通(閉)状態である。同様に、上限リミットスイッチ22は、タップ位置が4であるときは非導通状態で、タップ位置が3以下であるときは導通状態である。
【0038】
電圧調整継電器(図示せず)からタップの昇圧指令が出されたとき、切換回路21の昇圧方向回転駆動励磁部25が励磁され、モーターが昇圧方向に回転駆動することとなる。このとき、降圧方向回転駆動励磁部26は励磁しないよう、各回転駆動励磁部に隣接して常時閉状態の連動スイッチの内、降圧方向回転駆動励磁部26に隣接している連動スイッチ28が昇圧方向回転駆動励磁部25の励磁と連動して開く。すなわち、一方の回転駆動励磁部が励磁すると、他方の回転駆動励磁部に隣接する連動スイッチが開き、他方の回転駆動励磁部の励磁を防ぐ仕組みとなっている。モーターの回転により昇圧タップ切換が終わると、電圧調整継電器からの切換指令が出力されなくなり、昇圧方向回転駆動励磁部25は励磁されることがなく、モーターの回転駆動も停止する。また、連動スイッチ28は閉状態に戻る。
【0039】
一方逆送時では、逆送継電器(図示せず)が作動して、電圧調整継電器をロック(停止)させ、これと並行して素通しタップへ強制的に切換えるためのモーター回転駆動指令が逆送継電器から出力される。このモーター回転駆動指令は、素通しスイッチ24を通じて、昇圧方向回転駆動励磁部25または降圧方向回転駆動励磁部26を励磁させ、モーターを所定の回転方向へと回転駆動させる。また、切換回路21には逆送時にタップ位置を強制的に切り換えるために、素通しタップをあらかじめ選択するための逆送タップスイッチ29が設けられている。実施例2で使用したSVRの切換回路には、逆送タップ「1」または「2」を選択する構造となっている。実施例2において本発明に係る現在タップ位置判定表示装置を用いて現在タップ位置を判定する場合には、あらかじめ逆送タップ「2」を選択してから行なう。また、素通しスイッチ24はタップ切換に連動しており、タップ位置が1であるときはA〜T1間に接続する。同様にタップ位置が2,3または4であるときはA〜T2間、A〜T3間、A〜T4間に接続するというように接点の接続が順次変更する仕組みとなっている。
【0040】
例えば、逆送タップスイッチ29において逆送タップ「2」を選択した状態で、順送時のタップ位置が3であるときに、素通しスイッチ24はA〜T3間に接続されている。このとき、当該SVRを含む配電線路が逆送状態になった場合に、逆送継電器(図示せず)からモーター回転駆動指令が出され、素通しスイッチ24のA〜T3間および逆送タップスイッチ29を通じて、降圧方向回転駆動励磁部26が励磁される。このとき、連動スイッチ27が降圧方向回転駆動励磁部26の励磁と連動して開く。タップ位置が素通しタップ位置2に切換わったときは、素通しスイッチ24はA〜T2間が導通状態となるが、逆送タップスイッチ29において開状態となるため、昇圧方向および降圧方向回転駆動励磁部25,26とも励磁されなくなり、タップ切換は終了し、タップ位置が素通しタップ2におさまる。
【0041】
実施例2において、素通しスイッチ24のA〜T1間、A〜T2間、A〜T3間の導通状態を示す接点信号D,E,Fの導通状態は、切換回路21の上限リミットスイッチ(第1のスイッチ)の接点22や下限リミットスイッチ(第2のスイッチ)の接点23の導通(開閉)状態および素通しスイッチ(第3のスイッチ)の接点24の接続状態に依存している。なお、A〜T4間の導通状態は電気的に導通しているため、A〜T3間の導通状態と同じ接点信号Fである。したがって、第1、第2、第3のスイッチの作動状態は、切換回路の作動状態、すなわち接点信号D,E,Fとして取り出すことができる。
例えばタップ位置が1であるときは、A〜T1間が接続状態となるため導通状態となるが、下限リミットスイッチの接点23が開状態となるため、A〜T3間は非導通状態となる。また、逆送タップスイッチ29において逆送タップ「2」を選択している限り、電気的に開状態であるため、A〜T2間は非導通状態となる。タップ位置が2であるときは、A〜T2間が接続状態となるため導通状態となるが、この場合逆送タップスイッチ29において逆送タップ「2」を選択しているため電気的に開状態となり、A〜T1間とA〜T3間はともに非導通状態となる。タップ位置が3であるときは、A〜T3間が接続状態となるため導通状態となるが、上限リミットスイッチの接点22と下限リミットスイッチの接点23はともに閉状態となるため、A〜T1間も導通状態となる。また、タップ位置1のときと同様に、A〜T2間は非導通状態となる。タップ位置が4であるときは、A〜T3間が接続状態となるため導通状態となるが、上限リミットスイッチの接点22が開状態となるため、A〜T1間は非導通状態となる。また、タップ位置1のときと同様に、A〜T2間は非導通状態となる。それぞれのタップ位置における接点信号D,E,Fの導通状態を図7に示す。
【0042】
現在タップ位置を判定するためには、前記接点信号D,E,Fを入力して、現在タップ位置に対応する出力結果が得られるように設計された論理回路から構成される判定部を有する現在タップ位置判定表示装置を用いる。論理回路図の一例を図8に、論理回路の出力結果を図9にそれぞれ示す。図8において、論理回路の入力端子のすぐ後に設けられたNOT回路は、光結合素子である。
【0043】
次に図9に示す論理回路の入出力状態を説明する。まず、タップ位置が1であるときの接点信号D,E,Fの導通状態はそれぞれH(導通)、L(非導通)、Lである。このとき、下限リミットスイッチが開状態であるため、これを図8の論理回路に入力すると、4つの出力端子の出力は、図9に示すように、1の出力端子のみがHで、その他の出力端子の出力は全てLとなる。同様に、タップ位置が2,3または4であるときの接点信号D,E,Fを入力端子へ入力すると、4つの出力端子の出力はそれぞれ2,3または4の出力端子のみがHで、その他の出力端子の出力は全てLとなる。このように、それぞれのタップ位置での接点信号を入力して、タップ位置に応じた出力結果が得られるように論理回路を設定することで、4個の発光ダイオードから構成される表示部において、1個の発光ダイオードが点灯して、現在タップ位置が判定できる仕組みとなっている。
実施例2で使用したSVRにおいて、取り込む接点信号が、図6における下限リミットスイッチの接点24と上限リミットスイッチの接点25との導通状態を示す接点信号と、素通しスイッチ26のA〜T3間の導通状態を接点信号として取り込んで現在タップ位置を判定しても良い。このとき、実施例1と同様の接点における導通状態が得られるため、実施例1で使用した現在タップ位置判定表示装置を用いて判定することもできる。
【実施例3】
【0044】
実施例3で使用したSVRは、A社製、容量5000kVA、タップ数6である。該SVRの電圧調整継電器や逆送継電器からの指令を受けて、モーターの回転駆動を行なうよう、上限リミットスイッチや下限リミットスイッチ、素通しスイッチがそれぞれ設けられている。それぞれのタップ位置に対応して前記上限リミットスイッチや下限リミットスイッチ、素通しスイッチの作動(導通)状態が変化し、これを元に現在タップ位置を以下のように判定する。実施例3で使用したSVRにおいては、タップ位置に対応して図10に示すように導通状態が変化する4つの接点信号、下限リミットスイッチの接点信号G、上限リミットスイッチの接点信号H、素通しスイッチの接点信号IおよびJがある。前記接点信号Gは、タップ位置が1であるときは非導通(開)状態で、タップ位置2以降のときは導通(閉)状態にある。接点信号Hは、タップ位置が6であるときは非導通状態で、タップ位置が5以下のときは導通状態にある。接点信号Iは、タップ位置が2であるときは、導通状態であるが、それ以外のタップであるときは非導通状態にあり、接点信号Jは、タップ位置が3であるときは、導通状態であるが、それ以外のタップであるときは非導通状態にある。したがって、例えばタップ位置が1であるときは、接点信号Jは導通状態で、接点信号G,H,Iは非導通状態であり、タップ位置が2であるときは、接点信号G,H,Iは導通状態で、接点信号Jは非導通状態である。
【0045】
図10からタップ位置が4であるときと、5であるときの各接点信号の導通状態が同じであることがわかる。したがって、判定部の論理回路に接点信号を入力しても、タップ位置4と5の判定ができないこととなるが、手動切換操作と合わせて、本発明における判定表示方法および判定表示装置を活用することで判定が可能となる。この場合のタップ位置4と5の判定を行う方法としては、例えば、手動でタップ位置を1タップ分降圧のタップ位置に切換操作し、そのときの接点信号を判定表示装置に入力して、表示部がタップ位置3である出力結果に表示が変化すると、手動によるタップ位置を降圧のタップ位置に切換操作する前のタップ位置が4であると判定することができる。一方、表示部の出力結果に変化がなければ、手動によるタップ位置を降圧のタップ位置に切換操作する前のタップ位置が5であると判定することができる。
【0046】
本実施例で使用するSVRの現在タップ位置を判定するために、図13に示す現在タップ位置判定表示装置(タップ数が6のSVR用)30を用いる。現在タップ位置を判定するには4つの接点信号G,H,I,Jの入力が必要であるため、作動状態入力部31の入力信号端子群32は、4対8端子の端子群から構成され、光結合素子34を含む信号変換部33は4対設けられている。
また、現在タップ位置判定表示装置(タップ数が6のSVR用)30には、前記接点信号G,H,I,Jを入力して、現在タップ位置を判定するように設計された論理回路から構成される判定部35が用いられている。論理回路図の一例を図11に、論理回路の出力結果を図12にそれぞれ示す。また、図11において、論理回路の入力端子のすぐ後ろに、NOT回路が設けられているのは、発光ダイオードとエミッタ接地方式のフォトトランジスタとからなる光結合素子を用いているためである。また、表示部36には5個の発光ダイオード37が設けられている。
【0047】
次に、図11に示す論理回路の入出力状態を説明する。まずタップ位置が1であるときの接点信号G,H,I,Jの出力状態はそれぞれ、L(非導通),H(導通),L,Lである。これを図11の論理回路に入力すると、4つの出力端子の出力は、図12に示すように、1の出力端子のみがHで、その他の出力端子の出力は全てLとなる。同様に、タップ位置が2,3,4,5または6であるときの接点信号G,H,I,Jを入力端子へ入力すると、5つの出力端子の出力はそれぞれ2,3,4・5または6の出力端子の出力のみがHで、その他の出力端子の出力は全てLとなる。このように、それぞれのタップ位置での接点信号を入力して、タップ位置に応じた出力結果が得られるように論理回路を設定することで、5個の発光ダイオードから構成される表示部36において、1個の発光ダイオードが点灯して、現在タップ位置が判定できる仕組みとなっている。ただし、タップ位置4および5の場合については、上述の方法で判定する。
【0048】
以上説明した実施例にみるように、第1,第2,第3のスイッチの作動状態は、SVRの機種によって異なる場合があるので、その作動状態からタップ位置を判定が可能かをあらかじめ検討しておく必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る(タップ数が4の)SVR用の現在タップ位置判定装置の概要図
【図2】本発明に係るSVRの現在タップ位置判定装置の作動状態入力部の回路図を示す図
【図3】実施例1で使用したSVRのそれぞれのタップ位置での各スイッチの導通状態を示す図
【図4】実施例1で使用した現在タップ位置判定装置における判定部を構成する論理回路図の一例を示す図
【図5】実施例1で使用した現在タップ位置判定装置における判定部からの出力結果を示す図
【図6】実施例2で使用したSVRの接点信号を取り込むための切換回路の概略図
【図7】実施例2で使用したSVRのそれぞれのタップ位置での各スイッチの導通状態を示す図
【図8】実施例2で使用した現在タップ位置判定装置における判定部を構成する論理回路図の一例を示す図
【図9】実施例2で使用した現在タップ位置判定装置における判定部からの出力結果を示す図
【図10】実施例3で使用したSVRのそれぞれのタップ位置での各スイッチの接点の導通状態を示す図
【図11】実施例3で使用した現在タップ位置判定装置における判定部を構成する論理回路図の一例を示す図
【図12】実施例3で使用した現在タップ位置判定装置における判定部からの出力結果を示す図
【図13】本発明に係る(タップ数が6の)SVRの現在タップ位置判定装置の概要図
【図14】本発明に係る判定表示方法が適用されるSVRの外観図
【図15】本発明に係る判定表示方法が適用されるSVRの概要図
【図16】制御部を構成する制御回路の等価回路(1相分)を示す図
【図17】本発明に係る判定表示方法が適用されるSVRの負荷時タップ切換器部の構造を示す概要図
【符号の説明】
【0050】
1 現在タップ位置判定表示装置(タップ数4のSVR用)
2,31 作動状態入力部
3 入力端子群(3対6端子)
4,33 信号変換部
5,34 光結合素子
6,35 判定部
7,36 表示部
8 発光ダイオード(4個)
9 発光ダイオード
10 フォトトランジスタ
11,12 ダイオード
13,14 抵抗
15,16 直流電源
17,18 入力端子
19,20 出力端子
21 切換回路
22 上限リミットスイッチ(接点)
23 下限リミットスイッチ(接点)
24 素通しスイッチの(接点)
25 昇圧方向回転駆動励磁部
26 降圧方向回転駆動励磁部
27,28 連動スイッチ
29 逆送タップスイッチ
30 現在タップ位置判定表示装置(タップ数6のSVR用)
32 入力端子群(4対8端子)
37 発光ダイオード(5個)
38 自動電圧調整器(SVR)
39 SVR本体ケース
40 制御箱
41,78 タップ位置のぞき窓
42 ブッシング
43 ブッシング絶縁カバー
44 吸湿呼吸器
45 排油弁
46 電圧調整変圧器部
47 負荷時タップ切換器部
48 制御部
50 タップ
51 単巻変圧器
52 タップ切換指令
53 電圧降下補償器(LDC)
54 電圧調整継電器
55 変流器(CT)
56 変圧器(PT)
57 モーター
58 SVRと負荷中心点間の線路インピーダンス
59 負荷
60,61 高圧配電線路
62 チェーン
63 タップ切換機構
64,77 表示手段(タップ切換表示板)
65 第1のスイッチ
66 第2のスイッチ
67 第3のスイッチ
68 可動接触子
69 固定接触子
70,70A 絶縁板
71 切換板
72 チェーン
73 鎖車
74 引張ばね
75 溝車
76 レバー
79 上限リミットスイッチ
80 下限リミットスイッチ
81,82 極限リミットスイッチ
83 ストッパー
85 素通しスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と負荷時タップ切換器部と電圧調整変圧器部とを有し、前記制御部は、順送時の送出電圧を検出し、検出した前記送出電圧と設定した基準電圧に基づき、内蔵されている変圧器タップ群のタップ切換を行うためのタップ切換指令を発生し、前記負荷時タップ切換器部は、前記タップ切換指令によりモーターで所定量回転駆動される駆動軸を有し、前記駆動軸が所定量回転することでタップ切換を行うタップ切換機構と、前記駆動軸の回転と連動して現在タップ位置を機械的に表示する表示手段と、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し現在タップ位置に対応して逆送時における前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチとを備え、前記電圧調整変圧器部は、タップ切換されて電圧調整を行う変圧器から成り、前記負荷時タップ切換器部および前記電圧調整変圧器部が絶縁油中に備えられた自動電圧調整器において、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態に基づき、論理演算手段を用いて現在タップ位置を判定し表示することを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示方法。
【請求項2】
前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態を、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチとを構成要素とする前記駆動軸の回転動作範囲を規定する前記自動電圧調整器に備えられる切換回路の作動状態から取り出すことを特徴とする請求項1記載の自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示方法。
【請求項3】
制御部と負荷時タップ切換器部と電圧調整変圧器部とを有し、前記制御部は、順送時の送出電圧を検出し、検出した前記送出電圧と設定した基準電圧に基づき、内蔵されている変圧器タップ群のタップ切換を行うためのタップ切換指令を発生し、前記負荷時タップ切換器部は、前記タップ切換指令によりモーターで所定量回転駆動される駆動軸を有し、前記駆動軸が所定量回転することでタップ切換を行うタップ切換機構と、前記駆動軸の回転と連動して現在タップ位置を機械的に表示する表示手段と、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し上限タップ位置および下限タップ位置までの前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第1および第2のスイッチと、前記駆動軸の回転動作に対応して作動し現在タップ位置に対応して逆送時における前記駆動軸の回転動作範囲を規定する第3のスイッチとを備え、前記電圧調整変圧器部は、タップ切換されて電圧調整を行う変圧器から成り、前記負荷時タップ切換器部および前記電圧調整変圧器部が絶縁油中に備えられた自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置であって、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態を取り込むための作動状態入力部と、前記作動状態入力部で取り込まれた前記作動状態を、論理演算手段を用いて解析してタップ位置を判定する判定部と、前記判定部での判定結果を表示する表示部とを有することを特徴とする自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置。
【請求項4】
前記作動状態入力部で取り込まれた前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチの作動状態を、前記第1および第2のスイッチと、前記第3のスイッチとを構成要素とする前記駆動軸の回転動作範囲を規定する前記自動電圧調整器に備えられる切換回路の作動状態から抽出することを特徴とする請求項3記載の自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置。
【請求項5】
前記作動状態入力部が、前記作動状態に応じて発光する発光ダイオードと、その光を受光し、出力信号を出力するフォトトランジスタとから構成される光結合素子を含み、前記出力信号を前記判定部で解析することを特徴とする請求項3または4記載の自動電圧調整器の現在タップ位置判定表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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