説明

ガスコンロ用点火機構

【課題】複数のコンロバーナの夫々に放電ユニットを配置し、高圧ケーブルをコンロ筐体内に配線する必要のないガスコンロ用点火機構を提供すること。
【解決手段】高圧電流を発生するイグナイタユニットと、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流を放電するスパーク電極と、前記イグナイタユニットを制御するCDI回路と、前記CDI回路を制御する制御ユニットと、前記イグナイタユニットとCDI回路とを接続する接続コードとを備えたガスコンロ用点火機構であって、複数のコンロバーナの夫々にイグナイタユニットを配置し、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流をスパーク電極で放電することでガスに着火するので、高圧ケーブルをコンロ筐体内に引き回す必要がなく、高圧ケーブルから点火時に発生するノイズに制御ユニットを曝す虞れがない。したがって、制御ユニットの誤動作を未然に防止できる。また、制御ユニットに対するノイズ対策部品や配線処理、搭載位置や器具設計の検討が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用のガスコンロに使用されるコンロバーナ或いはグリルバーナを点火するためのガスコンロ用点火機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のガスコンロ用点火機構の一例を示す説明図である。ここで、ガスコンロ用点火機構は、上面に3個の調理用のコンロバーナ1〜3を備え、下部のグリル庫内に1個のグリルバーナ4を備えたガスコンロに使用されるものであって、各バーナにはバーナのガス放出部にスパーク電極5〜10が取り付けられている。また、放電用の高電圧を発生させる昇圧用のイグナイタユニット11から高圧ケーブル13〜18が各スパーク電極5〜10までコンロ筐体内を配線されている。イグナイタユニット11は、通常ガスコンロに1個が搭載されており、多数の出力端子により複数のバーナの点火を担っている。また、イグナイタユニット11は、CDI(Capacitor Discharge Ignition)回路を備えており、コンロユニット全体を制御するCPUを備えた制御ユニット12と低圧ケーブル19で接続されている。
【0003】
標準的な3ヶ口調理バーナでグリルバーナを有するコンロの場合、上面のコンロバーナ1〜3には、それぞれ1個のスパーク電極が備えられ、グリルバーナ4には3個のスパーク電極が備えられ、イグナイタユニット11から各スパーク電極へは、コンロ筐体内を高圧ケーブルを引き回すことによって接続されている。
また、特許文献1等にもイグナイター7で昇圧した高電圧をリード線(高圧ケーブル)で点火プラグまで導く構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−58544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成の従来のガスコンロ用点火機構においては、イグナイタからスパーク電極まで接続する高圧ケーブルをコンロ筐体内を引き回す(配線)するため、バーナ点火時に高圧ケーブルから発生する放電ノイズがCPUを搭載し、器機全体の制御を行う制御ユニットに悪影響を与え、誤動作を招く虞れが存在した。これを回避するべく、制御ユニットの誤動作防止対策のために対策部品を余計に設置したり、高圧ケーブルの配線処理、制御ユニットの搭載位置の検討、器具設計の検討等の余分な手数がかかって、煩雑であった。
【0006】
この発明は、上記に鑑み提案されたもので、複数のコンロバーナの夫々に放電ユニットを配置し、高圧ケーブルをコンロ筐体内に配線する必要のないガスコンロ用点火機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に、高圧電流を発生するイグナイタユニットと、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流を放電するスパーク電極と、前記イグナイタユニットを制御するCDI回路と、前記CDI回路を制御する制御ユニットと、前記イグナイタユニットとCDI回路とを接続する接続コードとを備えたガスコンロ用点火機構であって、複数のコンロバーナの夫々にイグナイタユニットを配置し、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流をスパーク電極で放電することでガスに着火することを特徴としている。
【0008】
また、本発明において、前記イグナイタユニットをグリルバーナにも配置したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記イグナイタユニットは、内部に昇圧用コイルを備えたスティック状構造であり、放電電極と絶縁碍子から構成されたスパーク電極を一体的に組み付け可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0011】
本発明では、高圧電流を発生するイグナイタユニットと、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流を放電するスパーク電極と、前記イグナイタユニットを制御するCDI回路と、前記CDI回路を制御する制御ユニットと、前記イグナイタユニットとCDI回路とを接続する接続コードとを備えたガスコンロ用点火機構であって、複数のコンロバーナの夫々にイグナイタユニットを配置し、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流をスパーク電極で放電することでガスに着火するので、高圧ケーブルをコンロ筐体内に引き回す必要がなく、高圧ケーブルから点火時に発生するノイズに制御ユニットを曝す虞れがない。したがって、制御ユニットの誤動作を未然に防止できる。また、制御ユニットに対するノイズ対策部品や配線処理、搭載位置や器具設計の検討が不要となる。更に、高圧ケーブルを安価な低圧ケーブルに替えることができとともに、ノイズが制御ユニットへ与える影響が低減でき、器具設計の自由度を増すことができる。
【0012】
また、本発明において前記イグナイタユニットをグリルバーナにも配置したので、高圧ケーブルの引き回し及び点火ノイズの影響を低減することができる。
【0013】
また、本発明において前記イグナイタユニットは、内部に昇圧用コイルを備えたスティック状構造であり、放電電極と絶縁碍子から構成されたスパーク電極を一体的に組み付け可能であるので、イグナイタユニットとスパーク電極をコンパクトにすることができ、器具設計の自由度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に係るガスコンロ用点火機構を示す説明図である。
【図2】図2は、同ガスコンロ用点火機構に使用されるイグナイタユニット及びスパーク電極を示す説明図である。
【図3】図3は、従来のガスコンロ用点火機構の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ガスコンロ用点火機構において、複数のコンロバーナの夫々にイグナイタユニット及びスパーク電極を配置し、イグナイタユニットで発生した高圧電流をスパーク電極で放電することでガスに着火するので、高圧ケーブルをコンロ筐体内に引き回す必要がない。
【実施例】
【0016】
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係るガスコンロ用点火機構を示す説明図、図2は本発明のガスコンロ用点火機構に使用されるイグナイタユニット及びスパーク電極を示す説明図である。ここで、ガスコンロ用点火機構20は、複数のコンロバーナ21〜23とグリルバーナ24を備えたガスコンロに使用されるものであって、高圧電流を発生するイグナイタユニット25〜27と、前記イグナイタユニット25〜27で発生した高圧電流を放電するスパーク電極28〜30と、前記イグナイタユニット25〜27を制御するCDI回路31と、前記CDI回路31を制御する制御ユニット32と、前記イグナイタユニット25〜27とCDI回路31とを接続する接続コード(低圧コード)33〜35とを備えている。
【0017】
また、グリルバーナ24には、3個のイグナイタユニット36〜38が配置されており、それぞれイグナイタユニット36〜38は、CDI回路31と接続コード(低圧コード)39〜41で接続されている。また、イグナイタユニット36〜38には、スパーク電極48〜50が取り付けられており、スパークすることによりグリルバーナ24を点火する。更に、CDI回路31とこれを制御する制御ユニット32とは、接続コード(低圧コード)42〜47で接続されている。
【0018】
CDI(Capacitor Discharge Ignition)回路31は、サイリスタを利用した電子制御点火回路であり、高容量コンデンサ(キャパシタ)による放電を使用するものである。また、制御ユニット32は、CPUを含みガスコンロ全体の動作を制御する。
【0019】
図2(a)は、イグナイタユニット25とスパーク電極28の関係を示す分解図である。イグナイタユニット25は、内部に昇圧用コイル25aを備えるとともに、全体が横長のスティック状に形成されている。また、イグナイタユニット25の一端には、昇圧用コイル25aに接続された接続端子25bが配設されるとともに、他端には、スパーク電極28を挿着可能な挿着凹部25cが形成されている。スパーク電極28は、導電性の電極28aと電極の一部周囲を覆う絶縁材である碍子28bとから成り、碍子28bの外周が前記イグナイタユニット25に形成された挿着凹部25cに挿着可能な寸法に設定されている。碍子28bは、電極28aの基端近傍に例えば、円筒状に形成されており、挿着凹部25c内に装着される。電極28aの先端は、鉤形に折曲形成されており、基端部は碍子28bから突出している。
【0020】
図2(b)は、イグナイタユニット25とスパーク電極28を一体的に組立てた状態を示す説明図である。スパーク電極28の碍子部分を挿着凹部25cに挿着することにより、一体化することができ、昇圧用コイル25aと電極28aとの導通が取られる。
【0021】
次に、以上のように構成されたガスコンロ用点火機構10について説明すると、複数のコンロバーナ21〜23の夫々にイグナイタユニット25〜27を配置し、イグナイタユニットで発生した高圧電流をスパーク電極28〜30、48〜50で放電することでガスに着火することができる。また、制御ユニット32から各イグナイタユニットまでの配線を高価な高圧ケーブルから安価な低圧ケーブルに替えることができ、製造コストの低減を図ることができる。更に、高圧ケーブルを器具内に配線する必要がないので、バーナ点火時に発生するノイズを低減することができ、制御ユニットへの影響を低減できるとともに、機器設計上の自由度を増加することができる。
【符号の説明】
【0022】
20 ガスコンロ用点火機構
21〜23 コンロバーナ
24 グリルバーナ
25〜27 イグナイタユニット
25a 昇圧用コイル
25b 接続端子
25c 挿着凹部
28〜30 スパーク電極
28a 電極
28b 碍子
31 CDI回路
32 制御ユニット
33〜35 接続コード(低圧コード)
36〜38 イグナイタユニット
39〜41 接続コード(低圧コード)
42〜47 接続コード(低圧コード)
48〜50 スパーク電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧電流を発生するイグナイタユニットと、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流を放電するスパーク電極と、前記イグナイタユニットを制御するCDI回路と、前記CDI回路を制御する制御ユニットと、前記イグナイタユニットとCDI回路とを接続する接続コードとを備えたガスコンロ用点火機構であって、
複数のコンロバーナの夫々にイグナイタユニットを配置し、前記イグナイタユニットで発生した高圧電流をスパーク電極で放電することでガスに着火することを特徴とするガスコンロ用点火機構。
【請求項2】
前記イグナイタユニットをグリルバーナにも配置したことを特徴とする請求項1に記載のガスコンロ用点火機構。
【請求項3】
前記イグナイタユニットは、内部に昇圧用コイルを備えたスティック状構造であり、放電電極と絶縁碍子から構成されたスパーク電極を一体的に組み付け可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスコンロ用点火機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−80631(P2011−80631A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231603(P2009−231603)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)