説明

ベルトコンベアのベルト入替装置およびベルト入替方法

【課題】ベルトコンベアのベルトの入替作業を効率的かつ安全に実施できる新規なベルトコンベアのベルト入替装置およびベルト入替方法の提供。
【解決手段】ベルトコンベアのベルトを入れ替えるためのベルト入替装置100であって、前記ベルトコンベア上の任意の位置に可搬自在なベース10上に、既設の古ベルトを巻き取るためのベルト巻取機20と、ロール状に巻かれた入替用の新ベルトV−1を回転自在に載置するためのベルト載台30とを備える。この結果、このベース10を支持するだけで原則として1台のクレーンのみによって安全にベルトの入れ替え作業を行うことができる。これによって、ベルトコンベアのベルトの入替作業を効率的かつ安全に実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製鉄所の高炉に原料となる鉄鉱石やコークスなどのバラ物を搬送するためのベルトコンベアに係り、特にそのベルトを入れ替えるためのベルト入替装置およびベルト入替方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、製鉄所の高炉などに設置される原料搬送用のベルトコンベアは、そのベルトの長さが数100m、重量が数t(トン)にも達することから、既設の古くなったベルト(以下、適宜「古ベルト」と称す)を新しいベルト(以下、適宜「新ベルト」と称す)に入れ替える作業には多くの時間と労力を要しているのが現状である。
従来、このベルトコンベアのベルト入替作業方法としては、例えば図8(1)に示すように、先ずロール状に巻いた入替用の新ベルトV−1を吊具Sなどを用いてクレーン(図示しない)によって吊り上げてコンベアフレームC上に位置させる。その後、そのコンベアフレームCに無端状に架け渡されている既設の古ベルトV−2を所定の位置で切り離し、その古ベルトV−2の一端部に新ベルトV−1の端部を連結すると共に、その古ベルトV−2の他端部に他のクレーン(図示せず)に吊下されたフックFを引っ掛ける(玉掛け)。
【0003】
次に、同図(2)に示すようにこのような状態から、そのフックFをそのまま十数m〜数十m程度垂直上方に引き上げることで古ベルトV−2を所定量引き出してからフックFを降下させて引き出した古ベルトV−2を所定の位置で幾重かに折り畳むようにして纏めた後、フックFを付け替え(玉掛け)てから再びそのままフックFを垂直上方に引き上げるといった動作(高巻き)を繰り返すことでコンベアフレームCの本体から古ベルトV−2を順にすべて抜き取ると共に、新ベルトV−1を繰り出してそのコンベアフレームCのベルト循環路に沿って引き廻すようにする。
【0004】
そして、同図(3)に示すように、最後にその古ベルトV−2を新ベルトV−1の端部から取り外し、その新ベルトV−1の両端同士を図示しない連結金具によって無端状に連結することで新旧ベルトの入れ替えを行うようにしている。
ところで、このような従来のベルトの入替作業方法の場合、フックFをクレーンによって上空高く持ち上げるようにして古ベルトを引き出すようにしていることから、安全性の面から風が強いときには作業ができないといった不都合がある。
【0005】
また、玉掛け作業や高巻き作業および古ベルトを折り畳んで纏めるなどの作業を行う際には、その都度多くの作業員がその場所への移動や退避を繰り返さなければならないため、多くの労力を有する上に作業時間も長くなるといった問題がある。
そのため、例えば以下の特許文献1では、ロール状に巻かれた交換ベルトと、ベルトコンベアの被交換ベルトを巻き取るベルト巻取機とをそれぞれクレーンで吊り上げてこのベルトンベアの上方または下方に位置させた後、このベルトコンベアの被交換ベルトの一端部と前記ロール状に巻かれた交換ベルトの端部とを連結し、その後、前記ベルト巻取機で前記ベルトコンベアの被交換ベルトを巻き取ることで新旧のベルトを入れ替える方法を提案している。
【0006】
また、以下の特許文献2では、一方にロール状に巻かれた交換用ベルトベルトコンベア両側に設けた可搬式固定支持架台に載置して交換用ベルトをベルトコンベアに送給し、他方に被交換用ベルトを巻き取る駆動機構を内蔵したベルト巻取機をベルトコンベア直上にレッカーで吊下して被交換用ベルトを巻き取り、前記交換用ベルトの端部を被交換用ベルトの端部に連結して被交換用ベルトの巻き取り速度と交換用ベルトの敷設速度を同期させて交換用ベルトを敷設することで新旧のベルトを入れ替える方法を提案している。
【特許文献1】特開平7−172531号公報
【特許文献2】特開2000−272728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1に示すようなベルト入替方法では、交換ベルトとベルト巻取機とをそれぞれ独立して吊り下げるために同時に2台以上のクレーンを要するといった不都合がある。
また、この交換ベルトとベルト巻取機は、それぞれクレーンに直接吊り下げられた状態でベルトの入れ替えが行われるようになっていることから、不安定な状態で作業が実行されると共に、ベルト巻取時や繰出時の反力などを抑えるためにチェーンブロックなどでこれらを固定しなければならないといった煩わしさがある。
【0008】
一方、前記特許文献2に示すようなベルト入替方法では、これらの不都合に加え、ベルト交換の都度、そのベルトコンベアに交換用ベルトを載置するための可搬式固定支持架台を設置しなければならず、その搬送作業や設置作業だけでも多くの時間と手間を要する。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その主な目的は、ベルトコンベアのベルトの入替作業を効率的かつ安全に実施することができる新規なベルトコンベアのベルト入替装置およびベルト入替方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1の発明は、
ベルトコンベアのベルトを入れ替えるためのベルト入替装置であって、前記ベルトコンベア上の任意の位置に吊り下げ自在なベース上に、前記ベルトコンベアに既設のベルトを巻き取るためのベルト巻取機と、ロール状に巻かれた入替用のベルトを回転自在に載置するためのベルト載台とを備えたことを特徴とするベルト入替装置である。
【0010】
また、請求項2の発明は、
請求項1に記載のベルト入替装置において、前記ベルト巻取機は、前記ベース上に立設された支持架台と、当該支持架台上に着脱自在に軸支された巻取ドラムと、当該巻取ドラムを回転駆動する駆動モータとを備えたことを特徴とするベルト入替装置である。
また、請求項3の発明は、
請求項2に記載のベルト入替装置において、前記巻取ドラムは、巻取軸の両端側にそれぞれ鍔部を設けると共に、当該鍔部をほぼ短冊形状に形成したことを特徴とするベルト入替装置である。
【0011】
一方、請求項4の発明は、
コンベアフレームにベルトを無端状に架け渡したベルトコンベアのベルト入替方法であって、前記ベルト入替装置のベルト載台に、ロール状に巻かれた入替用のベルトを回転自在に載置した後、当該ベルト入替装置を吊り上げて前記コンベアフレーム上に位置させてから、当該ベルトコンベアに既設のベルトの一部を切り離して当該ベルトの一端部を前記ベルト入替装置のベルト巻取機に巻き付けると共に、当該ベルトの他端部を前記ベルト入替装置のベルト載台に載置された入替用のベルトの端部に連結し、その後、前記ベルト巻取機を駆動させて前記前記コンベアフレームに架け渡された既設のベルトを巻き取ると共に前記ベルト載台に載置された入替用のベルトを繰り出し、前記既設のベルトをすべて巻き取ったならば、その入替用のベルトの端部同士を無端状に連結して前記コンベアフレームに既設のベルトを入替用のベルトに入れ替えることを特徴とするベルトコンベアのベルト入替方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のベルト巻取装置によれば、ベルトコンベア上の任意の位置に吊り下げ自在なベース上に、ベルト巻取機と、入替用のベルトを回転自在に載置するためのベルト載台とを備えたことから、このベースを支持するだけで原則として1台のクレーン(起重機)によってベルトの入れ替え作業を安全に行うことができる。
また、ベルト巻取機による古ベルトの巻き取り時の反力と入替用の新ベルトの繰出し時の反力がベースを介して相殺されるため、このベルト巻取機をコンベアフレームなどに固定する必要がなく、クレーンなどによってそのまま吊り下げた状態で効率的にベルト入替作業を実施することができる。
【0013】
これによって、ベルトコンベアのベルトの入替作業を効率的かつ安全に実施することができる。
また、請求項2のベルト巻取装置によれば、前記ベルト巻取機は、前記ベース上に立設された支持架台と、当該支持架台上に着脱自在に軸支された巻取ドラムと、当該巻取ドラムを回転駆動する駆動モータとを備えたことから、この駆動モータによって巻取ドラムを回転させることでベルトコンベアに既設の古ベルトを短時間で効率的に巻き取ることができる。
【0014】
また、請求項3のベルト巻取装置によれば、この巻取ドラムは、その巻取軸の両端側にそれぞれ鍔部を設けると共に、当該鍔部をほぼ短冊形状に形成したことから、この巻取ドラムによる古ベルトの巻取量を犠牲にすることなく、その全体の高さを低く抑えることができる。
一方、請求項4のベルト巻取方法によれば、前記ベルト入替装置を用いてコンベアフレームに既設のベルトを入替用のベルトに入れ替えるようにしたことから、請求項1などと同様にベルトコンベアのベルトの入替作業を短時間かつ容易に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1および図2は、本発明に係るベルト入替装置100の実施の一形態を示した全体図であり、図1はその側面図、図2はそのA−A線断面図である。
図示するようにこのベルト入替装置100は、H鋼などの鉄骨を梯子状に組み立てたベース10に、ベルト巻取機20と、ベルト載台30とを一体的に備えると共に、吊具40と複数の吊りワイヤW1〜W3によって吊り下げ自在に構成されている。
【0016】
このベルト巻取機20は、ベース10の一端部(図1中左側)に固定されており、図3および図4に示すように このベース10の両側に立設された一対の支持架台11,11と、この支持架台11,11上に着脱自在に軸支される巻取ドラム12と、この巻取ドラム12を回転駆動する駆動モータ13とから主に構成されている。
先ず、この支持架台11,11は、ベース10に組み付けられた取付台11a上に設けられており、その頂部には、それぞれ前記巻取ドラム12の両端を支持するための取付軸11b、11bがそれぞれ設けられている。
【0017】
この取付軸11b、11bは、それぞれ支持架台11,11の頂部に設けられた一対の軸受11c、11dによって回転自在に軸支されていると共に、これら各軸受11c、11dの間には、この取付軸11b、11bを回転させるための従動用スプロケットホイール11e、11eが、この取付軸11b、11bと一体的に設けられている。
また、この取付軸11b、11bの一端には、後述する巻取ドラム12の回転軸12aの端部をそれぞれ着脱自在に軸支するための支持部11f、11fが設けられている。
【0018】
この支持部11f、11fは、断面矩形状をした巻取ドラム12の回転軸12aの端部を嵌入する嵌合部11gと、この嵌合部11g上をその軸方向に移動する抑えリング11hとから構成されており、図示矢印に示すように、巻取ドラム12の回転軸12aの端部を嵌合部11gに嵌入した後、この抑えリング11hを巻取ドラム12側にスライド移動させることで、巻取ドラム12の回転軸12aと取付軸11b、11bとを同軸上に着脱自在に連結・固定できるようになっている。
【0019】
また、図1に示すようにこの支持架台11,11には、それぞれ吊りピース11j、11jが設けられており、吊具40から延びる一方の吊りワイヤW2の端部が連結されるようになっている。
次に、この巻取ドラム12は、その中心に断面矩形状をした回転軸12aが設けられていると共に、その周囲には、ベルトコンベアの既設の古ベルトを巻き付けるための円柱状をした芯部12bが挿脱自在に設けられている。
【0020】
また、この回転軸12aの両端部側には、それぞれ短冊形状をした鍔部12c、12cが設けられており、この回転軸12aと共に回転するようになっている。なお、これら各鍔部12c、12cは、回転軸12aに対して固定ボルト12hによってそれぞれ着脱自在になっている。
また、これら各鍔部12c、12cの中心付近であってそれぞれ互いに対向する面には、突起12d、12dが設けられており、これら各突起12d、12dが前記芯部12bの端面側に形成された嵌合穴12f、12fにそれぞれ嵌合するようになっている。
【0021】
そして、これら各鍔部12c、12cの中央部には、吊ピース12g、12gが設けられており、それぞれ吊りワイヤW4、W4などを連結することで巻取ドラム12全体を吊り移動自在となっている。
次に、駆動モータ13は、取付台11a上に固定されたロータとステータからなるモータ本体13aと、このモータ本体13aの両端から前記支持架台11,11側に延びる駆動軸13bとから構成されており、さらに、この駆動軸13bの両端には、それぞれ駆動用スプロケットホイール13c、13cが設けられている。
【0022】
そして、この駆動用スプロケットホイール13c、13cと、前記取付軸11b、11b側の従動用スプロケットホイール11e、11eとがそれぞれ駆動用チェーン13d、13dによって連結されており、この駆動モータ13の駆動力がこの駆動用チェーン13d、13dおよび前記取付軸11b、11bを介して前記巻取ドラム12の回転軸12aに伝達することによって巻取ドラム12全体を任意の方向に回転するようになっている。
なお、これら駆動用スプロケットホイール13c、13cと従動用スプロケットホイール11e、11eおよび駆動用チェーン13d、13dは、それぞれチェーンカバー13e、13eによって覆われている。
【0023】
また、この駆動モータ13の近傍には、前記巻取ドラム12の回転軸12aとそれぞれ並行になるように上下一対の案内ローラ14、15が設けられており、ベルトコンベア(図示せず)側の既設の古ベルトV−2を、図3に示すようにこの巻取ドラム12側に案内するようになっている。
案内ローラ14、15は、図5に示すように両端が前記支持架台11,11側に軸支されるローラ軸14aに一対の鍔部14b、14bを備えたものであり、この鍔部14b、14b間に既設の古ベルトV−2を挟んで巻取ドラム12側に案内するようになっている。なお、この鍔部14b、14bはそのローラ軸14aに対してその軸方向にスライド自在となっており、案内する既設の古ベルトV−2の幅に合わせてその間隔を調整できるようになっている。
【0024】
一方、図1に示すように、このベルト巻取機20と対峙するようにそのベースの他端側に設けられたベルト載台30は、ベース10の両隅部に立設された一対の支柱31,31と、これら支柱31,31を支持する支持脚32,32とから構成されている。
そして、これら各支柱31,31の頂部には軸受33,33がそれぞれ設けられており、図示するように入替用の新ベルトV−1がロール状に巻き付けられた繰出ドラム34であって、その中心軸35の端部をそれぞれ回転自在に軸支するようになっている。
【0025】
また、図示するように、このベルト載台30には、吊具40から延びる他方の吊りワイヤW3がチェーンブロック50を介して連結されるようになっている。
この吊具40は、図1および図2に示すように、ベース10の幅方向に延びる吊りロッド41の両端部にそれぞれ板状の吊りピース42,42を固定したものであり、この吊りピース42,42を介して吊りワイヤW1、W2、W3が連結されている。
【0026】
なお、この吊りワイヤW1の上端は、図示しないクレーンのフックなどに係合するようになっている。また、吊りロッド41の長さは、ベース10の幅方向の長さとほぼ同じになっており、吊りピース42,42から延びる吊りワイヤW2、W3が巻取ドラム12の鍔部12c、12cなどと干渉しないようになっている。
また、図1中符号16は、オペレータがこのベルト入替装置100を操作するための操作盤、17は、各種の制御機器が収容された制御盤である。
【0027】
次に、このような構成をした本発明に係るベルト入替装置100を用いたベルトコンベアのベルト入替方法について説明する。
先ず、図6(1)〜(3)に示すように、巻取ドラム12の回転軸12aから鍔部12c、12cの一方を取り外した後、架台K上に載置してある芯部12bの中心孔にその回転軸12aを挿入してから、その一方の鍔部12cをその回転軸12aの端部に嵌め込む。その後、その鍔部12c、12cの突起12d、12dを芯部12bの端面側に形成された嵌合穴12f、12fにそれぞれ嵌合した状態でその一方の鍔部12cをその回転軸12aに取り付ける。
【0028】
そして、同図(4)に示すようにしてこの巻取ドラム12を図示しないクレーン側に連結された吊りワイヤW4、W4によって、その姿勢を保持したまま吊り上げて支持架台11,11上に移動してから図4に示すようにその支持架台11,11頂部の取付軸11b、11bに取り付けてベルト巻取機20を形成する。
次に、このようにしてベルト巻取機20を形成したならば、図1に示すようにベルト載台30側に入替用の新ベルトV−1がロール状に巻き付けられた繰出ドラム34を取り付けた後、このベルト入替装置100全体を図示しないクレーンによって吊り上げてベルト入れ替えの対象となるベルトコンベア上に位置させる。なお、このとき可能であれば、コンベアフレーム上にそのままこのベルト入替装置100全体を載置しておくことが好ましいが、そのコンベアフレーム自体がその荷重に耐えるような十分な強度がない場合やそのスペースがない場合には、そのままこのベルト入替装置100全体をクレーンで吊り下げたままの状態でその位置に保持しておく。
【0029】
次に、図7(1)に示すように、そのコンベアフレームCに既設の古ベルトV−2の一部を切り離してその古ベルトV−2の一端部をこのベルト入替装置100のベルト巻取機20に巻き付けると共に、その切り離した古ベルトV−2の他端部を前記ベルト入替装置のベルト載台30に載置された入替用の新ベルトV−1の端部に連結する。
その後、同図(2)に示すように、このベルト巻取機20を駆動させてそのコンベアフレームCに架け渡された既設の古ベルトV−2を巻き取ると、前記ベルト載台30に載置された入替用の新ベルトV−1が引き出されてそのコンベアフレームCのベルト循環路に沿って繰り出されることになる。
【0030】
そして、このようにして既設の古ベルトV−2をすべて巻き取ったならば、その入替用の新ベルトV−1の端部同士を図示しない連結金具などによって無端状に連結した後、このベルト入替装置100をそのままクレーンによってその位置から撤去することで既設の古ベルトV−2を入替用の新ベルトV−1に入れ替える作業が完了する。なお、このようにして巻き取られた古ベルトV−2は、図4に示すように、その巻取ドラム12と共に支持架台11,11から取り外された後、さらに芯部12bと共にその巻取ドラム12から取り外されてから所定の場所に搬送されて処分されることになる。
【0031】
このように本発明のベルト入替装置100は、吊り下げ自在なベース10上にベルト巻取機20と入替用のベルトV−1を回転自在に載置するためのベルト載台30とを備えたことから、このベース10をベルトコンベア上に支持するだけで原則として1台のクレーン(起重機)のみによってベルトの入れ替え作業を安全に実施することができる。
また、このベルトの入れ替え作業においては、ベルト巻取機20による古ベルトV−2の巻き取り時の反力と入替用の新ベルトV−1の繰出し時の反力がベース10を介して相殺されるため、このベルト巻取機20をコンベアフレームCや地面側などに固定する必要がなく、クレーンなどによってそのまま吊り下げた状態で実施することが可能となる。
【0032】
また、このベルト巻取機20は、ベース10上に立設された支持架台11と、この支持架台11上に着脱自在に軸支された巻取ドラム12と、この巻取ドラム12を回転駆動する駆動モータ13とを備えたことから、この駆動モータ13によって巻取ドラム12を回転させることで既設の古ベルトV−2を短時間で効率的に巻き取ることができる。
これによって、ベルトコンベアのベルトの入替作業を効率的かつ安全に実施することができる。
【0033】
また、このベルト巻取機の巻取ドラム12の鍔部12cは、ほぼ短冊形状に形成されているため、この巻取ドラム12による古ベルトV−2の巻取量を犠牲にすることなく、その全体の高さを低く抑えることができる。
これによって、例えばこのベルト入替装置100をトラックなどの荷台に載置して他のベルトコンベア(地域)に移動させる場合には、図3などに示すように、その鍔部12cを水平状態にすればこのベルト入替装置100の高さを低くできるため、巻取ドラム12を取り付けた状態でも安定して搬送できると共に、高さ制限などによって車両による搬送が規制されるような不都合も回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るベルト入替装置100の実施の一形態を示す側面図である。
【図2】図1中A−A線断面図である。
【図3】ベルト入替装置100のベルト巻取機20を示す側面図である。
【図4】図1中A−A線断面図である。
【図5】案内ローラ14、15の構成を示す図である。
【図6】巻取ドラム12の組み立て例を示す説明図である。
【図7】本発明に係るベルト入替装置100によるベルト入替工程を示す概念図である。
【図8】従来のベルト入替工程の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0035】
100…ベルト入替装置
10…ベース
11…支持架台
11a…取付台
11b…取付軸
11c、11d…軸受
11e…従動用スプロケットホイール
11f…支持部
12…巻取ドラム
12a…巻取軸
12b…芯部
12c…鍔部
13…電動モータ
13c…駆動用スプロケットホイール
13d…駆動用チェーン
14,15…案内ローラ
20…ベルト巻取機
30…ベルト載台
40…吊具
V−1…入替用の新ベルト
V−2…既設の古ベルト
W…吊りワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアのベルトを入れ替えるためのベルト入替装置であって、
前記ベルトコンベア上の所定の位置に吊り下げ自在なベース上に、前記ベルトコンベアに既設のベルトを巻き取るためのベルト巻取機と、ロール状に巻かれた入替用のベルトを回転自在に載置するためのベルト載台とを備えたことを特徴とするベルト入替装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト入替装置において、
前記ベルト巻取機は、前記ベース上に立設された支持架台と、当該支持架台上に着脱自在に軸支された巻取ドラムと、当該巻取ドラムを回転駆動する駆動モータとを備えたことを特徴とするベルト入替装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルト入替装置において、
前記巻取ドラムは、巻取軸の両端側にそれぞれ鍔部を設けると共に、当該鍔部をほぼ短冊形状に形成したことを特徴とするベルト入替装置。
【請求項4】
コンベアフレームにベルトを無端状に架け渡したベルトコンベアのベルト入替方法であって、
前記請求項1〜4のいずれかに記載のベルト入替装置のベルト載台に、ロール状に巻かれた入替用のベルトを回転自在に載置した後、当該ベルト入替装置を吊り上げて前記コンベアフレーム上に位置させてから、当該ベルトコンベアに既設のベルトの一部を切り離して当該ベルトの一端部を前記ベルト入替装置のベルト巻取機に巻き付けると共に、当該ベルトの他端部を前記ベルト入替装置のベルト載台に載置された入替用のベルトの端部に連結し、その後、前記ベルト巻取機を駆動させて前記前記コンベアフレームに架け渡された既設のベルトを巻き取ると共に前記ベルト載台に載置された入替用のベルトを繰り出し、前記既設のベルトをすべて巻き取ったならば、その入替用のベルトの端部同士を無端状に連結して前記コンベアフレームに既設のベルトを入替用のベルトに入れ替えることを特徴とするベルトコンベアのベルト入替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−227422(P2009−227422A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76357(P2008−76357)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000200334)JFEメカニカル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】