小型移動農機の収容体
【課題】歩行型管理機等の小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際、小型移動農機の車輪や耕耘装置から落下する土塊により車両の荷室が汚れるといった不具合や、小型移動農機を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着するといった問題点を解消する。
【解決手段】小型移動農機1を車両26等の荷室26aに積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機1の収容体25の全体形状をトレー状に形成し、その底部25aに、少なくとも小型移動農機1の走行車輪4や耕耘装置5を保持し得る保持部F,Gを設けると共に、当該収容体25に小型移動農機1を収容した状態で、該小型移動農機1の上方を覆うカバー体31を装着できるように構成した。
【解決手段】小型移動農機1を車両26等の荷室26aに積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機1の収容体25の全体形状をトレー状に形成し、その底部25aに、少なくとも小型移動農機1の走行車輪4や耕耘装置5を保持し得る保持部F,Gを設けると共に、当該収容体25に小型移動農機1を収容した状態で、該小型移動農機1の上方を覆うカバー体31を装着できるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型移動農機を車両等の荷室に積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機等の小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際は、この小型移動農機の基体部を構成する車輪や耕耘装置を段ボールからなる収容底材を用いて被包した状態で運搬作業が行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−202960号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した段ボールからなる収容底材は、小型移動農機の搬送が終了して開梱されると全てがゴミとなり廃棄しなければならなかった。一方、圃場において小型移動農機による耕耘作業を行なった後、この小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際は、当該小型移動農機の車輪や耕耘装置から落下する土塊により車両の荷室が汚れるといった不具合が起きていた。また、小型移動農機を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着すると共に、収容底材が湿潤して変形するといった問題点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであり、小型移動農機を車両等の荷室に積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機の収容体であって、該収容体の全体形状をトレー状に形成し、その底部に、少なくとも小型移動農機の走行車輪や耕耘装置を保持し得る保持部を設けると共に、当該収容体に小型移動農機を収容した状態で、該小型移動農機の上方を覆うカバー体を装着できるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収容体の全体形状をトレー状に形成し、その底部に、少なくとも小型移動農機の走行車輪や耕耘装置を保持し得る保持部を設けると共に、当該収容体に小型移動農機を収容した状態で、該小型移動農機の上方を覆うカバー体を装着できるように構成したことによって、小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際は、当該小型移動農機の走行車輪や耕耘装置等から落下する土塊が車両の荷室に直接落下することなく収容体の底部に溜まるので、車両の荷室が汚れるといった従来の不具合を解消することができる。そして、前記運搬時に小型移動農機の走行車輪や耕耘装置等が収容体の底部に設けた保持部に確実に保持されるので、運搬時における不要な機体振動の発生を抑制することができる。また、収容体に歩行型管理機を収容した状態で歩行型管理機の上方をカバー体で覆うことができるので、歩行型管理機を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着することを防止できるようになる。更に、前記収容体とカバー体を例えば熱可塑性樹脂で成形すれば、従来の段ボールからなる収容底材のように湿潤による変形が起こらず、倉庫等において段積み保管することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歩行型管理機の側面図。
【図2】歩行型管理機の平面図。
【図3】カバー体の取り付け状態を示す平断面図。
【図4】カバー体の取り付け状態を示す側面図。
【図5】収容体を用いて歩行型管理機を車両の荷室に積み込んだ状態を示す概要図。
【図6】(a)〜(c)収容体の正面図、平面図、及び側面図。
【図7】図6(b)におけるBB断面図。
【図8】図6(b)におけるCC断面図。
【図9】図6(b)におけるDD断面図。
【図10】図6(b)におけるEE断面図。
【図11】歩行型管理機を収容した収容体にカバー体を装着した状態を示す断面図。
【図12】(a)、(b)収容体の長さ方向の断面図と幅方向の断面図。
【図13】(a)、(b)カバー体の長さ方向の側面図と幅方向の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び図2は、小型移動農機の一例である歩行型管理機1の側面図と平面図であって、歩行型管理機1は、その機体を構成する側面視で逆へ字状のミッションケース2を中央に配設してあり、該ミッションケース2の後側下部に車軸3を軸架して走行車輪4を取り付ける一方、ミッションケース2の前側下部には、ロータリ耕耘装置5を構成する複数の耕耘爪6を植設した耕耘軸7を横架している。
【0010】
そして、ミッションケース2の上部に取付けたエンジンフレーム8にエンジン9を載置すると共に、このエンジン9の左側に配設した箱蓋状のカバー体11によって、図3及び図4に示す如くエンジン9の動力を出力する出力プーリ12、ミッションケース2の入力プーリ13、及び両プーリ12,13に巻き掛けたVベルト14からなるベルト伝動装置15が露出しないように安全に覆われている。
【0011】
尚、前記両プーリ12,13間には、揺動自在なテンションプーリ16を備えたテンションクラッチ機構17が設けてあり、このテンションプーリ16の揺動によりVベルト14のテンションを緊緩することによって、エンジン9とミッションケース2間の動力の断接がなされる。そして、ミッションケース2内に入力された動力は、当該ミッションケース2内の図示しない変速機構を介して変速された後、走行車輪4やロータリ耕耘装置5に伝達されるようになっている。
【0012】
また、ミッションケース2の上部には、後方に向けて操縦ハンドル18が延設してあって、この操縦ハンドル18をオペレータが把持した状態で歩行型管理機1を走行させながら、ロータリ耕耘装置5の耕耘爪6を回転駆動させることによって耕耘作業が行えるようになっている。
【0013】
また、エンジン9の上部に燃料タンク19を配設すると共に、この燃料タンク19の周囲を覆うプラスチック製のエンジンカバー(ボンネット)21を取付けている。そして、ロータリ耕耘装置5の耕耘爪6の上方には、該耕耘爪6を覆うプラスチック製のロータリカバー22を設けている。尚、ロータリ耕耘装置5の中央前方には、高さ調節可能なゲージ輪23が配設してあり、このゲージ輪23の高さ位置を調節することによって、ロータリ耕耘装置5の耕深調節を行なうと共に、路上走行等の移動時においては、当該ゲージ輪23を走行補助輪として使用できるように構成している。
【0014】
ところで、図5は、全体形状をトレー状に形成した収容体25に歩行型管理機1を収容し、しかる後に歩行型管理機1を車両(軽自動車)26の荷室26aに積み込んだ状態を示す概要図であって、この時、操縦ハンドル18を、その基端部に備えるノブ付ボルト27を緩めて前倒し方向に回動させることにより折り畳んだ状態にすると共に、ミッションケース2から後方斜め上方に向かって突設されている主変速レバー28を、その中途部Aから取り外した後、ロータリカバー22の上部に備える左右一対の保持部材22aに係合保持せしめている。更に、ロータリ耕耘装置5の中央前方に設けたゲージ輪23を取り外すことによって、トレー状に形成した収容体25内に歩行型管理機1をコンパクトに収納できるようになっている。
【0015】
そして、図6(a)〜(c)は、上述した収容体の正面図、平面図、及び側面図、また、図7は、図6(b)におけるBB断面図、図8は、図6(b)におけるCC断面図、図9は、図6(b)におけるDD断面図、図10は、図6(b)におけるEE断面図であって、収容体25は、熱可塑性樹脂を用いてブロー(中空)成形してあり、その全体形状は長方形のトレー状に形成している。更に詳しく説明すると、図6(b)及び図7に示すように、収容体25の底部25aの長さ方向に中空部(イ)と平板面(ロ)を交互に形成することによって、収容体25の底部25aの剛性を確保すると共に、該収容体25の底部25a周縁から立ち上げた縁辺25bによって、当該収容体25の全体剛性と強度を確保している。
【0016】
また、図6(b)、図9及び図10に示すように、収容体25の底部25aには、その長さ方向の一端側に耕耘装置5の耕耘爪6を当接させた状態で保持し得る円弧状の保持部Fを形成すると共に、他端側には、走行車輪4に当接する回り止め角Rを有して当該走行車輪4を回転不能に保持し得る保持部Gを形成している。
【0017】
以上説明したように、収容体25の全体形状をトレー状に形成すると共に、その底部25aに、少なくとも歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5を保持し得る保持部F、Gを設けたことによって、歩行型管理機1を車両(軽自動車)26の荷室26aに積み込んで運搬する際は、当該歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5等から落下する土塊が車両26の荷室26aに直接落下することなく収容体25の底部25aに溜まるので、車両26の荷室26aが汚れるといった従来の不具合を解消することができる。そして、前記運搬時に歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5等が収容体25の底部に設けた保持部F、Gに確実に保持されるので、運搬時における不要な機体振動の発生を抑制することができる。また、収容体25は、繰り返し使用が可能であると共に、歩行型管理機1を倉庫等に保管する際にも用いることができるので汎用性に優れている。更に、収容体25は、熱可塑性樹脂を用いてブロー成形しているので、従来の段ボールからなる収容底材のように湿潤による変形が起こらない。
【0018】
また、収容体25の底部25a周縁から立ち上げた対向する幅方向の縁辺25b部位には、作業者が持つ(握る)ことができる把持部としての一対の取っ手Hを設けてあり、この取っ手Hを利用することにより車両26等の荷室26aへの歩行型管理機1の積み込み、または積み降ろし作業を容易に行えるようになる。更に、前記取っ手H(孔)を利用してロープ掛けすることによって、車両26等の荷室26aに収容体25を確実に固定することができる。
【実施例2】
【0019】
図11は、全体形状をトレー状に形成した収容体25に歩行型管理機1を収容し、しかる後に歩行型管理機1の上方からカバー体31を装着した状態を示す断面図であって、この時、実施例1と同様に、操縦ハンドル18を、その基端部に備えるノブ付ボルト27を緩めて前倒し方向に回動させることにより折り畳んだ状態にすると共に、ミッションケース2から後方斜め上方に向かって突設されている主変速レバー28を、その中途部Aから取り外した後、ロータリカバー22の上部に備える左右一対の保持部材22aに係合保持せしめている。更に、ロータリ耕耘装置5の中央前方に設けたゲージ輪23を取り外すことによって、トレー状に形成した収容体25内に歩行型管理機1をコンパクトに収納できるようになっている。
【0020】
上述した収容体25は、熱可塑性樹脂を用いてブロー(中空)成形してあり、その全体形状は実施例1と同様に長方形のトレー状に形成している。そして、図12(a)、(b)は、収容体25の長さ方向の断面図と幅方向の断面図、また、図13(a)、(b)は、熱可塑性樹脂を用いて射出成形されているカバー体31の長さ方向の側面図と幅方向の側面図であって、収容体25の底部25aには、その長さ方向の一端側に耕耘装置5の耕耘爪6を保持し得る凹状の保持部Fを形成すると共に、他端側には、走行車輪4に当接する回り止め角Rを有して当該走行車輪4を保持し得る保持部Gを形成している。
【0021】
そして、収容体25の底部25a周縁から立ち上げた対向する幅方向の縁辺25b部位には、作業者が両手を掛ける把持部(取っ手)として利用することができる2個口の孔Hを設けてあり、これら2個口の孔Hを利用することにより車両26等の荷室26aへの歩行型管理機1の積み込み、または積み降ろし作業を容易に行えるようになる。更に、前記2個口の孔Hを利用してロープ掛けすることによって、車両26等の荷室26aに収容体25を確実に固定することができる。
【0022】
また、収容体25の底部25a周縁から立ち上げた対向する幅方向の縁辺25b上部には、カバー体31の下部に形成した一対の係止孔(長孔)H1に嵌装して、当該カバー体31の不用意な外れ防止を図る一対の突起部Tを設けている。一方、カバー体31は、比較的浅い縁辺25bを有する収容体25に歩行型管理機1を収容した状態で、該歩行型管理機1を上方から覆わなければならないので、天板部31aの深さが深い長方形の箱体状に形成してある。尚、図中符号31bは、収容体25の縁辺25b上端の全周に亘って当接する補強リブを兼ねた段部である。また、図中符号31cは、カバー体31の外周に所定の間隔を存して形成する補強リブである。
【0023】
以上説明したように、実施例2の収容体25は、実施例1と同様に、収容体25の全体形状をトレー状に形成すると共に、その底部25aに、少なくとも歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5を保持し得る保持部F、Gを設けたことによって、歩行型管理機1を車両(軽自動車)26の荷室26aに積み込んで運搬する際は、当該歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5等から落下する土塊が車両26の荷室26aに直接落下することなく収容体25の底部25aに溜まるので、車両26の荷室26aが汚れるといった従来の不具合を解消することができる。そして、前記運搬時に歩行型管理機1の走行車輪4とロータリ耕耘装置5が収容体25の底部に設けた保持部F、Gに確実に保持されるので、運搬時における不要な機体振動の発生を抑制することができる。
【0024】
更には、全体形状をトレー状に形成した収容体25に歩行型管理機1を収容し、しかる後に歩行型管理機1の上方からカバー体31を装着しているので、歩行型管理機1を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着することを防止できるようになると共に、本実施例の如く収容体25とカバー体31を熱可塑性樹脂で成形すると、従来の段ボールからなる収容底材のように湿潤による変形が起こらない。また、歩行型管理機1を収容体25に収容し、且つ上方からカバー体31を装着した状態にすると倉庫等において段積み保管することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、車両等の荷室に積み込むことができる比較的小型の耕運機や運搬車に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 小型移動農機
4 走行車輪
5 耕耘装置
25 収容体
25a 底部
26 車両
26a 荷室
31 カバー体
F 保持部
G 保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型移動農機を車両等の荷室に積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機等の小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際は、この小型移動農機の基体部を構成する車輪や耕耘装置を段ボールからなる収容底材を用いて被包した状態で運搬作業が行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−202960号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した段ボールからなる収容底材は、小型移動農機の搬送が終了して開梱されると全てがゴミとなり廃棄しなければならなかった。一方、圃場において小型移動農機による耕耘作業を行なった後、この小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際は、当該小型移動農機の車輪や耕耘装置から落下する土塊により車両の荷室が汚れるといった不具合が起きていた。また、小型移動農機を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着すると共に、収容底材が湿潤して変形するといった問題点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであり、小型移動農機を車両等の荷室に積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機の収容体であって、該収容体の全体形状をトレー状に形成し、その底部に、少なくとも小型移動農機の走行車輪や耕耘装置を保持し得る保持部を設けると共に、当該収容体に小型移動農機を収容した状態で、該小型移動農機の上方を覆うカバー体を装着できるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収容体の全体形状をトレー状に形成し、その底部に、少なくとも小型移動農機の走行車輪や耕耘装置を保持し得る保持部を設けると共に、当該収容体に小型移動農機を収容した状態で、該小型移動農機の上方を覆うカバー体を装着できるように構成したことによって、小型移動農機を車両の荷室に積み込んで運搬する際は、当該小型移動農機の走行車輪や耕耘装置等から落下する土塊が車両の荷室に直接落下することなく収容体の底部に溜まるので、車両の荷室が汚れるといった従来の不具合を解消することができる。そして、前記運搬時に小型移動農機の走行車輪や耕耘装置等が収容体の底部に設けた保持部に確実に保持されるので、運搬時における不要な機体振動の発生を抑制することができる。また、収容体に歩行型管理機を収容した状態で歩行型管理機の上方をカバー体で覆うことができるので、歩行型管理機を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着することを防止できるようになる。更に、前記収容体とカバー体を例えば熱可塑性樹脂で成形すれば、従来の段ボールからなる収容底材のように湿潤による変形が起こらず、倉庫等において段積み保管することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歩行型管理機の側面図。
【図2】歩行型管理機の平面図。
【図3】カバー体の取り付け状態を示す平断面図。
【図4】カバー体の取り付け状態を示す側面図。
【図5】収容体を用いて歩行型管理機を車両の荷室に積み込んだ状態を示す概要図。
【図6】(a)〜(c)収容体の正面図、平面図、及び側面図。
【図7】図6(b)におけるBB断面図。
【図8】図6(b)におけるCC断面図。
【図9】図6(b)におけるDD断面図。
【図10】図6(b)におけるEE断面図。
【図11】歩行型管理機を収容した収容体にカバー体を装着した状態を示す断面図。
【図12】(a)、(b)収容体の長さ方向の断面図と幅方向の断面図。
【図13】(a)、(b)カバー体の長さ方向の側面図と幅方向の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び図2は、小型移動農機の一例である歩行型管理機1の側面図と平面図であって、歩行型管理機1は、その機体を構成する側面視で逆へ字状のミッションケース2を中央に配設してあり、該ミッションケース2の後側下部に車軸3を軸架して走行車輪4を取り付ける一方、ミッションケース2の前側下部には、ロータリ耕耘装置5を構成する複数の耕耘爪6を植設した耕耘軸7を横架している。
【0010】
そして、ミッションケース2の上部に取付けたエンジンフレーム8にエンジン9を載置すると共に、このエンジン9の左側に配設した箱蓋状のカバー体11によって、図3及び図4に示す如くエンジン9の動力を出力する出力プーリ12、ミッションケース2の入力プーリ13、及び両プーリ12,13に巻き掛けたVベルト14からなるベルト伝動装置15が露出しないように安全に覆われている。
【0011】
尚、前記両プーリ12,13間には、揺動自在なテンションプーリ16を備えたテンションクラッチ機構17が設けてあり、このテンションプーリ16の揺動によりVベルト14のテンションを緊緩することによって、エンジン9とミッションケース2間の動力の断接がなされる。そして、ミッションケース2内に入力された動力は、当該ミッションケース2内の図示しない変速機構を介して変速された後、走行車輪4やロータリ耕耘装置5に伝達されるようになっている。
【0012】
また、ミッションケース2の上部には、後方に向けて操縦ハンドル18が延設してあって、この操縦ハンドル18をオペレータが把持した状態で歩行型管理機1を走行させながら、ロータリ耕耘装置5の耕耘爪6を回転駆動させることによって耕耘作業が行えるようになっている。
【0013】
また、エンジン9の上部に燃料タンク19を配設すると共に、この燃料タンク19の周囲を覆うプラスチック製のエンジンカバー(ボンネット)21を取付けている。そして、ロータリ耕耘装置5の耕耘爪6の上方には、該耕耘爪6を覆うプラスチック製のロータリカバー22を設けている。尚、ロータリ耕耘装置5の中央前方には、高さ調節可能なゲージ輪23が配設してあり、このゲージ輪23の高さ位置を調節することによって、ロータリ耕耘装置5の耕深調節を行なうと共に、路上走行等の移動時においては、当該ゲージ輪23を走行補助輪として使用できるように構成している。
【0014】
ところで、図5は、全体形状をトレー状に形成した収容体25に歩行型管理機1を収容し、しかる後に歩行型管理機1を車両(軽自動車)26の荷室26aに積み込んだ状態を示す概要図であって、この時、操縦ハンドル18を、その基端部に備えるノブ付ボルト27を緩めて前倒し方向に回動させることにより折り畳んだ状態にすると共に、ミッションケース2から後方斜め上方に向かって突設されている主変速レバー28を、その中途部Aから取り外した後、ロータリカバー22の上部に備える左右一対の保持部材22aに係合保持せしめている。更に、ロータリ耕耘装置5の中央前方に設けたゲージ輪23を取り外すことによって、トレー状に形成した収容体25内に歩行型管理機1をコンパクトに収納できるようになっている。
【0015】
そして、図6(a)〜(c)は、上述した収容体の正面図、平面図、及び側面図、また、図7は、図6(b)におけるBB断面図、図8は、図6(b)におけるCC断面図、図9は、図6(b)におけるDD断面図、図10は、図6(b)におけるEE断面図であって、収容体25は、熱可塑性樹脂を用いてブロー(中空)成形してあり、その全体形状は長方形のトレー状に形成している。更に詳しく説明すると、図6(b)及び図7に示すように、収容体25の底部25aの長さ方向に中空部(イ)と平板面(ロ)を交互に形成することによって、収容体25の底部25aの剛性を確保すると共に、該収容体25の底部25a周縁から立ち上げた縁辺25bによって、当該収容体25の全体剛性と強度を確保している。
【0016】
また、図6(b)、図9及び図10に示すように、収容体25の底部25aには、その長さ方向の一端側に耕耘装置5の耕耘爪6を当接させた状態で保持し得る円弧状の保持部Fを形成すると共に、他端側には、走行車輪4に当接する回り止め角Rを有して当該走行車輪4を回転不能に保持し得る保持部Gを形成している。
【0017】
以上説明したように、収容体25の全体形状をトレー状に形成すると共に、その底部25aに、少なくとも歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5を保持し得る保持部F、Gを設けたことによって、歩行型管理機1を車両(軽自動車)26の荷室26aに積み込んで運搬する際は、当該歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5等から落下する土塊が車両26の荷室26aに直接落下することなく収容体25の底部25aに溜まるので、車両26の荷室26aが汚れるといった従来の不具合を解消することができる。そして、前記運搬時に歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5等が収容体25の底部に設けた保持部F、Gに確実に保持されるので、運搬時における不要な機体振動の発生を抑制することができる。また、収容体25は、繰り返し使用が可能であると共に、歩行型管理機1を倉庫等に保管する際にも用いることができるので汎用性に優れている。更に、収容体25は、熱可塑性樹脂を用いてブロー成形しているので、従来の段ボールからなる収容底材のように湿潤による変形が起こらない。
【0018】
また、収容体25の底部25a周縁から立ち上げた対向する幅方向の縁辺25b部位には、作業者が持つ(握る)ことができる把持部としての一対の取っ手Hを設けてあり、この取っ手Hを利用することにより車両26等の荷室26aへの歩行型管理機1の積み込み、または積み降ろし作業を容易に行えるようになる。更に、前記取っ手H(孔)を利用してロープ掛けすることによって、車両26等の荷室26aに収容体25を確実に固定することができる。
【実施例2】
【0019】
図11は、全体形状をトレー状に形成した収容体25に歩行型管理機1を収容し、しかる後に歩行型管理機1の上方からカバー体31を装着した状態を示す断面図であって、この時、実施例1と同様に、操縦ハンドル18を、その基端部に備えるノブ付ボルト27を緩めて前倒し方向に回動させることにより折り畳んだ状態にすると共に、ミッションケース2から後方斜め上方に向かって突設されている主変速レバー28を、その中途部Aから取り外した後、ロータリカバー22の上部に備える左右一対の保持部材22aに係合保持せしめている。更に、ロータリ耕耘装置5の中央前方に設けたゲージ輪23を取り外すことによって、トレー状に形成した収容体25内に歩行型管理機1をコンパクトに収納できるようになっている。
【0020】
上述した収容体25は、熱可塑性樹脂を用いてブロー(中空)成形してあり、その全体形状は実施例1と同様に長方形のトレー状に形成している。そして、図12(a)、(b)は、収容体25の長さ方向の断面図と幅方向の断面図、また、図13(a)、(b)は、熱可塑性樹脂を用いて射出成形されているカバー体31の長さ方向の側面図と幅方向の側面図であって、収容体25の底部25aには、その長さ方向の一端側に耕耘装置5の耕耘爪6を保持し得る凹状の保持部Fを形成すると共に、他端側には、走行車輪4に当接する回り止め角Rを有して当該走行車輪4を保持し得る保持部Gを形成している。
【0021】
そして、収容体25の底部25a周縁から立ち上げた対向する幅方向の縁辺25b部位には、作業者が両手を掛ける把持部(取っ手)として利用することができる2個口の孔Hを設けてあり、これら2個口の孔Hを利用することにより車両26等の荷室26aへの歩行型管理機1の積み込み、または積み降ろし作業を容易に行えるようになる。更に、前記2個口の孔Hを利用してロープ掛けすることによって、車両26等の荷室26aに収容体25を確実に固定することができる。
【0022】
また、収容体25の底部25a周縁から立ち上げた対向する幅方向の縁辺25b上部には、カバー体31の下部に形成した一対の係止孔(長孔)H1に嵌装して、当該カバー体31の不用意な外れ防止を図る一対の突起部Tを設けている。一方、カバー体31は、比較的浅い縁辺25bを有する収容体25に歩行型管理機1を収容した状態で、該歩行型管理機1を上方から覆わなければならないので、天板部31aの深さが深い長方形の箱体状に形成してある。尚、図中符号31bは、収容体25の縁辺25b上端の全周に亘って当接する補強リブを兼ねた段部である。また、図中符号31cは、カバー体31の外周に所定の間隔を存して形成する補強リブである。
【0023】
以上説明したように、実施例2の収容体25は、実施例1と同様に、収容体25の全体形状をトレー状に形成すると共に、その底部25aに、少なくとも歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5を保持し得る保持部F、Gを設けたことによって、歩行型管理機1を車両(軽自動車)26の荷室26aに積み込んで運搬する際は、当該歩行型管理機1の走行車輪4やロータリ耕耘装置5等から落下する土塊が車両26の荷室26aに直接落下することなく収容体25の底部25aに溜まるので、車両26の荷室26aが汚れるといった従来の不具合を解消することができる。そして、前記運搬時に歩行型管理機1の走行車輪4とロータリ耕耘装置5が収容体25の底部に設けた保持部F、Gに確実に保持されるので、運搬時における不要な機体振動の発生を抑制することができる。
【0024】
更には、全体形状をトレー状に形成した収容体25に歩行型管理機1を収容し、しかる後に歩行型管理機1の上方からカバー体31を装着しているので、歩行型管理機1を倉庫等に長期保管する際に機体に塵埃が付着することを防止できるようになると共に、本実施例の如く収容体25とカバー体31を熱可塑性樹脂で成形すると、従来の段ボールからなる収容底材のように湿潤による変形が起こらない。また、歩行型管理機1を収容体25に収容し、且つ上方からカバー体31を装着した状態にすると倉庫等において段積み保管することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、車両等の荷室に積み込むことができる比較的小型の耕運機や運搬車に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 小型移動農機
4 走行車輪
5 耕耘装置
25 収容体
25a 底部
26 車両
26a 荷室
31 カバー体
F 保持部
G 保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型移動農機(1)を車両(26)等の荷室(26a)に積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機(1)の収容体(25)であって、該収容体(25)の全体形状をトレー状に形成し、その底部(25a)に、少なくとも小型移動農機(1)の走行車輪(4)や耕耘装置(5)を保持し得る保持部(F,G)を設けると共に、当該収容体(25)に小型移動農機(1)を収容した状態で、該小型移動農機(1)の上方を覆うカバー体(31)を装着できるように構成したことを特徴とする小型移動農機の収容体。
【請求項1】
小型移動農機(1)を車両(26)等の荷室(26a)に積み込んで運搬する際に使用可能な小型移動農機(1)の収容体(25)であって、該収容体(25)の全体形状をトレー状に形成し、その底部(25a)に、少なくとも小型移動農機(1)の走行車輪(4)や耕耘装置(5)を保持し得る保持部(F,G)を設けると共に、当該収容体(25)に小型移動農機(1)を収容した状態で、該小型移動農機(1)の上方を覆うカバー体(31)を装着できるように構成したことを特徴とする小型移動農機の収容体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−167841(P2010−167841A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10454(P2009−10454)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]