説明

耐候性樹脂組成物

【課題】成形加工性に優れ、屋外等で長期間使用したときに、色調及び表面光沢の低下が抑制され、且つ、耐衝撃性に優れた成形品を与える耐候性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、〔A〕エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたグラフト共重合体、又は、グラフト共重合体並びに芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む共重合体の混合物を含有するゴム強化樹脂と、〔B〕アミン化合物と、〔C〕着色剤とを含有し、成分〔B〕及び〔C〕の含有割合は、成分〔A〕100質量部に対し0.1〜10質量部及び0.05〜5質量部であり、本組成物からなる成形品のL値は50以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性、耐衝撃性及び成形加工性に優れ、暗色系の成形品を製造することができる耐候性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用外板部材等、屋外で長期間使用される成形品を形成するための成形材料として、AES樹脂を含み、着色された組成物が用いられている。例えば、特許文献1には、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を主成分とする単量体混合物を共重合して得られるグラフト共重合体樹脂組成物と、メタクリル酸エステル化合物、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる単量体混合物を重合して得られる共重合体とを含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
上記成形品は、様々な気候に曝されるため、色調及び表面光沢の経時変化が少なく、外観性が維持されること、耐衝撃性に優れること、サイズの大小に関わらず、成形加工性に優れること等が求められている。尚、耐候性の評価項目である、色調及び表面光沢の経時変化は、促進耐候性試験方法として、サンシャインウェザーメーターを用いた方法に比べ、キセノンウェザーメーターを用いた方法の方が相関性のあることが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−34045号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、成形加工性に優れ、屋外等で長期間使用したときに、色調変化及び表面光沢の低下が抑制され、且つ、耐衝撃性に優れた成形品を与える耐候性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、暗色系着色された成形品を、屋外等、様々な気候に曝される環境下で使用したときに、色調変化及び表面光沢の低下が少ない樹脂組成物を得るべく、鋭意研究した。その結果、AES樹脂と、アミン化合物と、着色剤とを配合し、成形品のL値を50以下とした成形品は、キセノンウェザーメーターによる方法で、従来、公知のAES樹脂、又は、耐候性向上剤を含むAES樹脂を用いて得られた成形品に比べて、色調変化及び表面光沢の低下が抑制されたことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、以下に示される。
1.〔A〕エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(a2)を重合して得られたグラフト共重合体(A1)、又は、該グラフト共重合体(A1)並びに芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む共重合体(A2)の混合物、からなるゴム強化樹脂と、〔B〕アミン化合物と、〔C〕着色剤とを含有する耐候性樹脂組成物であって、上記アミン化合物〔B〕の含有割合は、上記ゴム強化樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部であり、上記着色剤〔C〕の含有量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、0.05〜5質量部であり、上記耐候性樹脂組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の含有量は6〜35質量%であり、且つ、上記耐候性樹脂組成物からなる成形品のL値が50以下であることを特徴とする耐候性樹脂組成物。
2.上記耐候性樹脂組成物に含まれるシアン化ビニル化合物単位の含有量が22〜35質量%である上記1に記載の耐候性樹脂組成物。
3.上記耐候性樹脂組成物からなる成形品を、キセノンウェザーメーター耐候性試験に供した場合、該試験の前後における色調変化ΔEが7以下である上記1又は2に記載の耐候性樹脂組成物。
4.上記耐候性樹脂組成物からなる成形品を、キセノンウェザーメーター耐候性試験に供した場合、試験前の光沢度に対する試験後の光沢度が80%以上である上記1乃至3のいずれかに記載の耐候性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の耐候性樹脂組成物によれば、成形加工性に優れ、屋外等で長期間使用したときに、色調変化及び表面光沢の低下が抑制され、且つ、耐衝撃性に優れた成形品を与えることができる。
本発明の耐候性樹脂組成物を用いて形成される成形品を、キセノンウェザーメーター耐候性試験に供した場合、該試験の前後における色調変化ΔEが7以下とすることができる。また、試験前の光沢度に対する試験後の光沢度を80%以上と高く保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の耐候性樹脂組成物は、〔A〕エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(a2)を重合して得られたグラフト共重合体(A1)、又は、該グラフト共重合体(A1)並びに芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む共重合体(A2)の混合物、からなるゴム強化樹脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、〔B〕アミン化合物(以下、「成分〔B〕」ともいう。)と、〔C〕着色剤(以下、「成分〔C〕」ともいう。)とを含有する耐候性樹脂組成物であって、上記アミン化合物〔B〕の含有割合は、上記ゴム強化樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部であり、上記着色剤〔C〕の含有量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、0.05〜5質量部であり、上記耐候性樹脂組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の含有量は6〜35質量%であり、且つ、上記耐候性樹脂組成物からなる成形品のL値が50以下であることを特徴とする。
【0009】
上記成分〔A〕は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(a2)を重合して得られたグラフト共重合体(A1)、又は、該グラフト共重合体(A1)並びに芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む共重合体(A2)の混合物、からなるゴム強化樹脂である。
【0010】
上記グラフト共重合体(A1)を形成するエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)は、エチレンからなるエチレン単位(a11)と、炭素数が3以上のα−オレフィンからなる単位(a12)とを含む共重合ゴムであれば特に限定されない。
上記単位(a11)の含有量は、上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは60〜88質量%である。上記単位(a11)の含有量がこの範囲にあると、耐候性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0011】
上記単位(a12)を形成することとなる炭素数が3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチルブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンからなる単位(a12)は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。また、上記単位(a12)のうち、プロピレンからなる単位、1−ブテンからなる単位等が好ましい。
上記単位(a12)の含有量は、上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、好ましくは95〜5質量%、より好ましくは50〜10質量%、特に好ましくは40〜12質量%である。上記単位(a12)の含有量がこの範囲にあると、耐候性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0012】
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)は、上記単位(a11)及び(a12)から構成される二元共重合体であってもよいし、これらの単位(a11)及び(a12)と、更に他の単位とから構成される重合体(三元共重合体、四元共重合体等)であってもよい。他の単位としては、非共役ジエン化合物からなる単位等が挙げられる。
【0013】
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)が三元共重合体である場合、例えば、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン三元共重合体等が挙げられる。
このエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン三元共重合体を構成する非共役ジエン単位(以下、「単位(a13)」という。)を形成することとなる非共役ジエン化合物としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン化合物、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐連鎖の非環状ジエン化合物、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン化合物等が挙げられる。これらの非共役ジエン化合物からなる単位(a13)は、1種単独で含まれてよいし、2種以上の組み合わせで含まれてもよい。また、上記単位(a13)のうち、1,4−ヘキサジエンからなる単位、ジシクロペンタジエンからなる単位、5−エチリデン−2−ノルボルネンからなる単位等が好ましい。
上記単位(a13)の含有量は、上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、上記単位(a13)の使用効果を得るために、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.3〜20質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。上記単位(a13)の含有量が上記範囲にあると、グラフト効率向上の効果が得られる。
【0014】
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)としては、分子中の水素原子の一部が塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されたハロゲン化共重合体を用いることもできる。
【0015】
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)のムーニー粘度(ML1+4、100℃で測定)は、好ましくは5〜80であり、より好ましくは10〜65、更に好ましくは15〜45である。このムーニー粘度が上記範囲にあると、成形加工性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0016】
上記グラフト共重合体(A1)の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
上記グラフト共重合体(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(a2)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む。このビニル系単量体(a2)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるものであってよいし、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、これらの化合物と共重合可能な化合物からなるものであってもよい。本発明において、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の合計量は、上記ビニル系単量体(a2)の全量に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%である。
【0018】
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されない。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
【0019】
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記芳香族ビニル化合物及び上記シアン化ビニル化合物と共重合可能な化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド系化合物;酸無水物;ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等が挙げられる。
【0021】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法等がある。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
また、上記化合物以外に、必要に応じて、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物を用いることができる。例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記ビニル系単量体(a2)は、上記のように、下記の組み合わせで用いることができる。
(1)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物
【0025】
上記態様(1)において、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用量は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは55〜80質量%及び45〜20質量%、より好ましくは55〜75質量%及び45〜25質量%である。上記割合とすることにより、成形加工性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0026】
上記グラフト共重合体(A1)の製造方法としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、及び、塊状−懸濁重合が挙げられる。いずれも、公知の方法を適用することができる。これらの重合方法のうち、溶液重合及び乳化重合が好ましい。
上記グラフト共重合体(A1)を製造する場合、反応系において、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)全量の存在下に、ビニル系単量体(a2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の一部存在下、又は、非存在下に、ビニル系単量体(a2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
【0027】
溶液重合によりグラフト共重合体(A1)を製造する場合、重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく、例えば、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシオクトエート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.05〜2質量%である。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
また、重合溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メチルエチルケトン等を用いることができる。
【0028】
乳化重合によりグラフト共重合体(A1)を製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
【0029】
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.1〜3質量%である。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
【0030】
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.1〜5質量%である。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
【0031】
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.3〜5質量%である。
【0032】
上記ビニル系単量体(a2)の乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
【0033】
上記のようにして得られたグラフト共重合体(A1)のグラフト率は、通常、10〜200質量%、好ましくは20〜120質量%、より好ましくは30〜90質量%である。グラフト率が上記範囲にあると、成形加工性、耐衝撃性及び成形外観性のバランスに優れる。
ここで、グラフト率とは、上記グラフト共重合体(A1)1グラム中のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)をxグラム、グラフト共重合体(A1)1グラムをアセトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、下記式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
【0034】
また、上記グラフト共重合体(A1)のアセトンに可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常、0.2〜0.8dl/g、好ましくは0.25〜0.7dl/g、より好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0035】
尚、上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記グラフト共重合体(A1)を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
【0036】
上記成分〔A〕が、グラフト共重合体(A1)のみからなる場合、この成分〔A〕は、グラフト共重合体(A1)を1種のみ含む成分であってよいし、2種以上含む成分であってもよい。後者の場合は、上記態様(1)のビニル系単量体(a2)を用いて得られたグラフト共重合体(A1)の2種以上からなる組合せ;上記態様(2)のビニル系単量体(a2)を用いて得られたグラフト共重合体(A1)の2種以上からなる組合せ;上記態様(1)のビニル系単量体(a2)を用いて得られたグラフト共重合体(A1)の1種以上と、上記態様(2)のビニル系単量体(a2)を用いて得られたグラフト共重合体(A1)の1種以上とからなる組合せ、等とすることができる。
【0037】
また、本発明においては、上記成分〔A〕は、グラフト共重合体(A1)と、芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む共重合体(A2)の混合物であってもよい。この場合、グラフト共重合体(A1)及び共重合体(A2)の含有割合は、特に限定されない。
【0038】
上記共重合体(A2)は、芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む重合体である。この共重合体(A2)は、芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位からなる共重合体であってよいし、芳香族ビニル化合物単位、シアン化ビニル化合物単位及び他の化合物に由来する構造単位(単量体単位)からなる共重合体であってもよい。
上記共重合体(A2)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記芳香族ビニル化合物単位を形成することとなる芳香族ビニル化合物は、上記グラフト共重合体(A1)の形成に用いられた芳香族ビニル化合物を用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物単位の含有割合は、上記共重合体(A2)を構成する単量体単位の合計を100質量%とした場合に、通常、55〜82質量%、好ましくは55〜80質量%、より好ましくは57〜80質量%である。上記芳香族ビニル化合物単位の含有割合がこの範囲にあると、成形加工性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0040】
また、上記シアン化ビニル化合物単位を形成することとなるシアン化ビニル化合物は、上記グラフト共重合体(A1)の形成に用いられたシアン化ビニル化合物を用いることができる。
上記シアン化ビニル化合物単位の含有割合は、上記共重合体(A2)を構成する単量体単位の合計を100質量%とした場合に、通常、45〜18質量%、好ましくは45〜20質量%、より好ましくは43〜20質量%である。上記シアン化ビニル化合物単位の含有割合がこの範囲にあると、成形加工性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0041】
上記共重合体(A2)が、他の構造単位を含有する場合、上記の芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物と共重合可能な化合物である、(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド系化合物;酸無水物;ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等に由来する構造単位とすることができる。
上記共重合体(A2)が、他の構造単位を含有する場合、その含有割合は、この共重合体(A2)を構成する単量体単位の合計を100質量%とした場合に、通常、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0042】
上記共重合体(A2)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合することにより製造することができる。重合方法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせて用いてもよい。上記共重合体(A2)の製造方法は、重合開始剤を用いる方法であってよいし、重合開始剤を用いない熱重合法であってもよい。重合開始剤を用いる場合は、上記グラフト共重合体(A1)の製造に適用される重合開始剤等を用いることができる。
【0043】
上記共重合体(A2)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜0.8dl/g、より好ましくは0.3〜0.8dl/g、更に好ましくは0.45〜0.8dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性、耐候性及び耐衝撃性のバランスに優れる。尚、上記共重合体(A2)の極限粘度[η]は、その製造条件により制御することができる。
【0044】
上記成分〔B〕は、好ましくは非イオン性界面活性剤として用いられるアミン化合物であり、特に好ましい化合物は、下記一般式(I)で示される化合物(ポリオキシアルキレンアルキルアミン)である。
【化1】

〔式中、Rは、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数8〜22のアルケニル基であり、Y及びZは、同一又は異なって、下記で表される2価の有機基
【化2】

【化3】

【化4】

のいずれかである。m及びnは1以上の整数であり、m及びnの和は、2〜5の整数である。〕
【0045】
上記一般式(I)で示される化合物としては、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン、ラウリルジイソプロノールアミン、ミリスチルジイソプロパノールアミン、パルミチルジイソプロパノールアミン、ステアリルジイソプロパノールアミン、オレイルジイソプロパノールアミン、N,N−ビスヒドロキシエチルアルキルアミン(アルキル基の炭素数12〜22)等が挙げられる。
上記成分〔B〕は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明の耐候性樹脂組成物に含有される上記成分〔B〕の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.2〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部である。この成分〔D〕の含有量が上記範囲にあると、耐候性の向上効果が優れる。尚、この成分〔B〕の含有量が少なすぎると、耐候性が劣る。一方、この含有量が多すぎると、成形品の表面にシルバー等が発生し、表面外観が劣る。
【0047】
次に、上記成分〔C〕は、本発明の耐候性樹脂組成物からなる成形品のL値を50以下とするために用いられる着色剤であり、1種又は2種以上からなるものとすることができる。この成分〔C〕は、顔料及び染料のいずれであってもよく、これらを組み合わせてもよい。
【0048】
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよい。
有機顔料としては、ペリノン系顔料;フタロシアニン系顔料;キナクリドン系顔料;パーマネントレッド、レーキレッド、ファーストイエロー等のアゾ系顔料;ニトロソ系顔料;ニトロ顔料等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料が好ましい。
無機顔料としては、カーボンブラック;焼成系顔料;群青系顔料;コバルトブルー(アルミン酸コバルト)等のコバルト系顔料;べんがら等の酸化鉄系顔料;硫化鉄、硫化カドミウム等の硫化物系顔料;クロム酸鉛、クロム酸亜鉛等のクロム酸塩系顔料;炭酸塩系顔料;金属粉系顔料;亜鉛華等の酸化亜鉛系顔料;チタンホワイト、チタンイエロー等の酸化チタン系顔料等が挙げられる。これらのうち、カーボンブラック、群青系顔料及び酸化鉄系顔料が好ましい。
染料としては、複素環系染料;アンスラキノン系染料;アゾ系染料;ペリノン系染料;ローダミンレーキ等の塩素性染料系レーキ等が挙げられる。
【0049】
本発明の耐候性樹脂組成物に含有される上記成分〔C〕の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜4質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。この成分〔C〕の含有量が少なすぎると、耐候性が劣る。一方、この含有量が多すぎると、成形加工性及び耐衝撃性が劣る。尚、上記成分〔C〕が複数成分からなる場合、例えば、黒色系着色剤及び白色系着色剤を併用した場合であっても、得られる成形品のL値が50以下となるように、上記成分〔C〕の含有量は、上記範囲内で調整される。
【0050】
本発明の耐候性樹脂組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤、他の重合体等を含有したものとすることができる。
上記添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、耐候剤、耐候性改良剤、難燃剤、帯電防止剤、相溶化剤、加工助剤、滑剤、離型剤、充填剤、光散乱剤、熱安定剤、抗菌剤、防かび剤、防汚剤、カップリング剤、シリコーンオイル、ミネラルオイル、発泡剤(化学発泡剤、物理発泡剤)、発泡助剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
【0051】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類;リン系化合物;ヒンダードアミン類;ハイドロキノン類;硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒンダードフェノール類としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルヒドロキシアニソール、3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルプロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
リン系化合物としては、ペンタエリスリトールジホスファイト、アルキルジアリールホスファイト等が挙げられる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
【0052】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.1〜3質量部である。
【0053】
老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.1〜3質量部である。
【0054】
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
【0055】
耐候剤としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、ヒドロキシル基を含有する有機化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記耐候剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.1〜3質量部である。
【0056】
耐候性改良剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物及びヒンダードアミン系化合物が挙げられるが、これらの混合物を用いることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物は、分子中にベンゾトリアゾール骨格を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2’−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ヒンダードアミン系化合物としては、分子中にヒンダードアミン骨格を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のベンゾトリアゾール系化合物及びヒンダードアミン系化合物の混合割合は、両者の合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは0〜80質量%及び100〜20質量%、より好ましくは10〜70質量%及び90〜30質量%である。
上記耐候性改良剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.2〜3質量部である。
【0057】
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、スズ酸亜鉛等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
上記難燃剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、3〜35質量部である。
尚、本発明の耐候性樹脂組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
帯電防止剤としては、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等が挙げられる。また、これらは、イオン伝導型でもよいし、電子伝導型でもよい。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、1〜20質量部である。
【0061】
充填剤としては、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、1〜35質量部である。
【0062】
抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、0.01〜3質量部である。
【0063】
本発明の耐候性樹脂組成物において、上記成分〔A〕に由来するエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の含有量は、6〜35質量%であり、好ましくは7〜34質量%、より好ましくは7〜30質量%である。このエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の含有量が上記範囲にあると、成形加工性、耐候性及び耐衝撃性のバランスに優れる。尚、このエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の含有量が少なすぎると、耐候性及び耐衝撃性が劣り、多すぎると、成形加工性が劣る。
【0064】
本発明の耐候性樹脂組成物において、含有される重合体成分に由来するシアン化ビニル化合物単位の含有量は、好ましくは20〜35質量%であり、好ましくは22〜35質量%、より好ましくは22〜34質量%である。このシアン化ビニル化合物単位の含有量が上記範囲にあると、成形加工性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
【0065】
本発明の耐候性樹脂組成物は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等を用いて、原料成分を混練することにより調製することができ、所定形状のペレット等とすることができる。混練温度は、通常、180℃〜300℃、好ましくは190℃〜280℃である。原料成分の使用方法は、特に限定されず、各成分を一括配合して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
【0066】
本発明の耐候性樹脂組成物は、射出成形、押出成形(フィルム押出成形、シート押出成形、異形押出成形)、真空成形、プレス成形、ブロー成形、インジェクションプレス等の成形方法に好適である。得られる成形品は、暗色系の色を呈しており、多光源分光測定計等により測定されるL値は、50以下であり、好ましくは48以下、より好ましくは45以下である。このL値が大きすぎると、耐候性が劣る。
【0067】
本発明の耐候性樹脂組成物は、耐候性及び耐衝撃性に優れた成形品を与え、この成形品を、キセノンウェザーメーター耐候性試験に供した場合、試験前後における色調変化ΔEを、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下とすることができる。また、上記成形品を、上記試験に供した場合、試験前の光沢度に対する試験後の光沢度を、好ましくは80%以上、より好ましくは83%以上、更に好ましくは85%以上とすることができる。
【0068】
本発明の耐候性樹脂組成物は、車両・船舶分野、家具・建材分野、スポーツ用品、OA・家電分野、玩具等の分野で用いられる成形品の成形材料として好適である。特に、耐候性及び耐衝撃性に優れた成形品を与えることから、ラジエーターグリル、ピラー、ドアミラー部品、ライセンスガーニッシュ、モール、フェンダー、バンパー、フロントグリル、カウル、ワイパーアーム、ルーフレール、エアスポイラー等の車両用外板部材に代表される、屋外で長期間使用される成形品の成形材料として好適である。
【実施例】
【0069】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない、尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0070】
1.原料成分
組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
1−1.成分〔A〕
組成物の製造に用いた成分〔A〕は、以下のA1−1又はA1−2からなるグラフト共重合体、並びに、以下のA2−1、A2−2、A2−3、A2−4又はA2−5からなるスチレン・アクリロニトリル共重合体の混合物である(表1及び表2参照)。
(1)A1−1
トルエン溶媒中、エチレン単位63%、プロピレン単位32%及びジシクロペンタジエン単位5%からなり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が33であるエチレン・α−オレフィン系ゴムの存在下、スチレン及びアクリロニトリルからなるビニル系単量体を、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを重合開始剤として、温度100℃で溶液重合して得られたグラフト共重合体である。このグラフト共重合体は、グラフト率が61%、エチレン・α−オレフィンゴムの含有量が30%、スチレン単位量が45.5%、アクリロニトリル単位量が24.5%である。また、アセトン可溶成分のアクリロニトリル単位量は35%である。
(2)A1−2
エチレン・プロピレンゴムの存在下、スチレン及びアクリロニトリルからなるビニル系単量体を乳化重合して得られたグラフト共重合体である。このグラフト共重合体は、グラフト率が72%、エチレン・プロピレンゴムの含有量が20%、スチレン単位量が56.0%、アクリロニトリル単位量が24.0%である。また、アセトン可溶成分のアクリロニトリル単位量は30%である。
(3)A’−1
この樹脂は、比較例に用いたグラフト共重合体である。
ポリブタジエンゴムの存在下、スチレン及びアクリロニトリルからなるビニル系単量体を乳化重合して得られたグラフト共重合体である。このグラフト共重合体は、グラフト率が62%、ポリブタジエンゴムの含有量が30%、スチレン単位量が45.6%、アクリロニトリル単位量が24.4%である。また、アセトン可溶成分のアクリロニトリル単位量は34.9%である。
【0071】
(4)A2−1
スチレン単位量75%及びアクリロニトリル単位量25%からなるスチレン・アクリロニトリル共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.60dl/gである。
(2)A2−2
スチレン単位量72%及びアクリロニトリル単位量28%からなるスチレン・アクリロニトリル共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.52dl/gである。
(3)A2−3
スチレン単位量69%及びアクリロニトリル単位量31%からなるスチレン・アクリロニトリル共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.52dl/gである。
(4)A2−4
スチレン単位量67%及びアクリロニトリル単位量33%からなるスチレン・アクリロニトリル共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.52dl/gである。
(5)A2−5
スチレン単位量67%及びアクリロニトリル単位量33%からなるスチレン・アクリロニトリル共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.40dl/gである。
【0072】
1−2.成分〔B〕
ラウリルジエタノールアミン(商品名「TB−128K」、松本油脂製薬社製)を用いた。
1−3.成分〔C〕
カーボンブラックを用いた。
1−4.成分〔D〕
スルホン酸系陰イオン界面活性剤及び脂肪酸の混合物である脂肪属スルホネート(商品名「TB−160」、松本油脂製薬社製)を用いた。
1−5.成分〔E〕
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名「トミソープ100」、吉富ファインケミカル社製)及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセパケート(商品名「アデカスタブ LA−77」)の1:1混合物を用いた。この混合物は、耐候性改良剤として知られている。
【0073】
2.耐候性樹脂組成物の製造及びその評価
実施例1〜13及び比較例1〜5
上記の成分〔A〕〜〔E〕を、表1及び表2に記載の割合で、ヘンシェルミキサーに供給し、室温で3分間混合した後、二軸押出機(型式名「TEX44」、日本製鋼所社製)を用いて溶融混練(バレル温度220℃)した。その後、これをペレット(耐候性樹脂組成物)とした。
【0074】
得られた耐候性樹脂組成物について、以下の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。尚、耐候性及び耐衝撃性の評価に用いた試験片は、いずれも、射出成形機(型式名「J−100E」、日本製鋼所社製)を用い、バレル温度220℃及び金型温度50℃の条件で作製した。
【0075】
(1)耐候性
スーパーキセノンウェザーメーター(型式名「SX75」、スガ試験機社製)を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの試験片を、降雨サイクル18分/120分、ブラックパネル温度63℃、照射エネルギー180W/mとして370時間曝露し、その前後の色調変化ΔE及び光沢保持率を求めた。
色調変化ΔEは、多光源分光測定計(スガ試験機社製)を用いて、SCE法による測色で、変色度Lab(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)を測定し、次式により算出した。
ΔE=√〔(L−L+(a−a+(b−b
(式中、L、a及びbは、曝露前の値を、L、a及びbは曝露後の値を示す。)
ΔEの値が小さいほど、色の変化の度合が小さく、色調が優れていることを示す。尚、Lは、詳細説明における「成形品のL値」を意味する。
また、光沢保持率は、曝露前後における試験片表面の光沢度を、JIS K7105に準じ、デジタル光沢計(型式名「GM−26D」、村上色彩技術研究所社製)を用い、測定角度60度で測定した後、曝露後の光沢度/曝露前の光沢度とした。
(2)シャルピー衝撃強さ
ISO 179に準じて測定した。
(3)メルトマスフローレート(MFR)
ISO 1133に準じて、温度220℃及び荷重10kgFの条件で測定した。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
表1及び表2から、以下のことが明らかである。
比較例1は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外で少ない例であり、耐候性が劣る。比較例2は、成分〔C〕の含有量が、本発明の範囲外で少ない例であり、成形品のL値が50を超えており、耐候性が劣る。比較例3は、成分〔B〕に代えて、成分〔D〕(脂肪族スルホネート)を用いた例であり、耐候性が劣る。比較例4は、成分〔B〕に代えて、成分〔E〕(耐候性改良剤)を配合した例であるが、本発明の目的とする耐候性が得られなかった。また、比較例5は、成分〔A〕に代えて、ABS樹脂を用いた例であるが、本発明の目的とする耐候性が得られなかった。
一方、実施例1〜13は、いずれも、本発明の耐候性樹脂組成物の例であり、本発明の目的とする性能が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の耐候性樹脂組成物は、車両・船舶分野、OA・家電分野、家具・建材分野、スポーツ用品、玩具等の分野で用いられる成形品の成形材料として好適である。特に、耐候性及び耐衝撃性に優れた成形品を与えることから、ラジエーターグリル、ピラー、ドアミラー部品、ライセンスガーニッシュ、モール、フェンダー、バンパー、フロントグリル、カウル、ワイパーアーム、ルーフレール、エアスポイラー等の車両用外板部材に代表される、屋外で長期間使用される成形品の成形材料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〔A〕エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(a2)を重合して得られたグラフト共重合体(A1)、又は、該グラフト共重合体(A1)並びに芳香族ビニル化合物単位及びシアン化ビニル化合物単位を含む共重合体(A2)の混合物、からなるゴム強化樹脂と、
〔B〕アミン化合物と、
〔C〕着色剤と、
を含有する耐候性樹脂組成物であって、
上記アミン化合物〔B〕の含有割合は、上記ゴム強化樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部であり、
上記着色剤〔C〕の含有量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、0.05〜5質量部であり、
上記耐候性樹脂組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(a1)の含有量は6〜35質量%であり、且つ、
上記耐候性樹脂組成物からなる成形品のL値が50以下であることを特徴とする耐候性樹脂組成物。
【請求項2】
上記耐候性樹脂組成物に含まれるシアン化ビニル化合物単位の含有量が22〜35質量%である請求項1に記載の耐候性樹脂組成物。
【請求項3】
上記耐候性樹脂組成物からなる成形品を、キセノンウェザーメーター耐候性試験に供した場合、該試験の前後における色調変化ΔEが7以下である請求項1又は2に記載の耐候性樹脂組成物。
【請求項4】
上記耐候性樹脂組成物からなる成形品を、キセノンウェザーメーター耐候性試験に供した場合、試験前の光沢度に対する試験後の光沢度が80%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の耐候性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−64164(P2013−64164A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−5766(P2013−5766)
【出願日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【分割の表示】特願2008−63289(P2008−63289)の分割
【原出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】