説明

計量装置

【課題】 大きなバランサをテコ部に取り付ける必要のないフォースバランス式の計量装置を提供する。
【解決手段】 物品を支持すると共に風袋として負荷される荷重受け部3と、該荷重受け部3に支持された物品を計量する計量部5と、荷重受け部3の重量バランスをとるバランサ59とを備えた計量装置1に関する。計量部5は第1端部53に加えられた重量により第1端部53が変位すると、該変位に応じて第2端部52eが変位するテコ部52と、テコ部52の第2端部52eに電磁力による抗力を加える電磁平衡手段20とを備えたフォースバランス式の計量部5であり、テコ部52の第2端部側52eに電磁平衡手段20の永久磁石22を固定し、電磁平衡手段20のコイル23を固定部側に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるフォースバランス式の計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、フォースバランス式の計量装置では、テコ部側にコイルを取り付け、固定側(装置フレーム等)に永久磁石とヨークとを配置する(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−350219号(図6,0038)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
風袋重量の軽い一般的な電子天秤ではこれで問題ないが、風袋重量の重い産業機械に用いる場合は、重量バランスをとるため、別途、大きなバランサ(カウンタウエイト)をテコ部に取り付ける必要がある。このため、バランサの分のスペースが大きくなる。また、重たいバランサを支えるため、テコ部に十分な剛性を持たせなければならないなどの問題があった。
【0004】
したがって、本発明の主目的は、大きなバランサをテコ部に取り付ける必要のないフォースバランス式の計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、物品を支持すると共に風袋として負荷される荷重受け部と、該荷重受け部に支持された物品を計量する計量部と、前記荷重受け部の重量バランスをとるバランサとを備えた計量装置であって、前記計量部は第1端部に加えられた重量により前記第1端部が変位すると、該変位に応じて第2端部が変位するテコ部と、前記テコ部の第2端部に電磁力による抗力を加える電磁平衡手段とを備えたフォースバランス式の計量部であり、前記テコ部の第2端部側に前記電磁平衡手段の永久磁石が固定され、前記電磁平衡手段のコイルが固定部側に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
電磁平衡手段のうち重量の重い永久磁石をテコ部の第2端部側に固定したので、バランサを兼ねることができ、別途設けるバランサは小型の微調整用のみを設置すればよく、計量装置全体をコンパクトにすることができる。
重量物である永久磁石がテコ部の一部を構成するので、テコ部の剛性を確保することが容易である。このように剛性を高めることにより高速応答が可能である。
変位するテコ部にコイルが設けられていないので、コイルへの複雑な配線が不要になる。したがって固定側と可動側を繋ぐ配線による計量精度の低下を招くことがない。
発熱源であるコイルが固定側にあるので筐体などの伝熱可能な部材を通じて放熱することができる。よって、コイルの発熱による計量誤差が発生しにくい。また、発熱が抑えられるので大容量のコイルを用いることが可能であり、秤量のより大きな計量装置を作ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においては、前記テコ部の支点を変更した場合に、前記電磁平衡手段の固定磁力発生部の重量を変更してもよい。
このように、固定磁力発生部の重量を変更することにより、バランサの重量を変更する必要がなくなる。そのため、バランサの重量変更によるモーメントの変化を抑制し得るので、計量精度の向上を図り得る。
【0008】
また、本発明においては、前記コイル側に伝熱可能な部材を介して冷却手段を設けてもよい。たとえば、放熱フィン等を取り付けることにより、より積極的にコイルの熱を放熱させることも可能である。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に従って説明する。
図1に示すように、計量装置1は、物品を搬送する搬送部3、該搬送部3を駆動する駆動部4、ならびに、前記搬送部3で搬送中の物品を計量する計量部5を備えている。前記搬送部3は、物品Mを支持すると共に、風袋として計量部5に負荷される荷重受け部を構成する。
【0010】
図2に示すように、各計量部5は、搬送部3、駆動部4および物品Mの重量が負荷されるロバーバル機構10を備えている。ロバーバル機構10は、いわゆる起歪体10Aで構成されており、一方の端である固定部11が電磁平衡手段20のL字型のブラケット2を介して、カバー6の内面に固定されている。前記ロバーバル機構10の他方の端である可動部12には、図1の連結部材51を介して駆動部4のギヤケース41が連結されている。
【0011】
図2の前記ロバーバル機構10を構成する起歪体10Aは、上下に各々、2つのノッチ部13を有しており、可動部12に負荷が加わると、上下一対の平行部14が斜めに傾き、当該可動部12が固定部11に対し下方に変位する。前記起歪体10Aには、テコ部52の力点(第1端部)53および支点54を構成する別のノッチ部が形成されている。前記テコ部52は、前記起歪体10Aの中央付近に固定されたレバー52aを有しており、前記力点53を介して重量(負荷)がテコ部52に加わって、当該力点53が下方に変位すると、該変位に応じて前記レバー52aの自由端部(第2端部)52eが上方に変位する。前記レバー52aの自由端部52eにはボルトを介してバランサ59が取り付けられている。バランサ59は前記力点53に作用する荷重受け部(搬送部3)との重量のバランスをとるために設けられている。
【0012】
前記電磁平衡手段20は、縦断面コ字状のヨーク21、永久磁石22およびコイル23を備えており、これらの部品により磁路を形成している。この電磁平衡手段20は、前記テコ部52の力点53に負荷される風袋重量および被計量物である物品M(図2)の重量に応じた電流がコイル23に通電されることにより、前記レバー52aが平衡状態となるように電磁力による抗力を加える。前記平衡状態となったか否かは、センサ5sによって検出され、前記平衡状態における電流値に基づいて、物品の重量が演算される。
【0013】
前記レバー52aの自由端部52e側(第2端部側)には、ヨーク21および永久磁石22が取り付けられている。一方、前記カバー6の内面(固定部側)には前記L字型のブラケット2を介してコイル23が固定されている。すなわち、ヨーク21および永久磁石22を含む固定磁力発生部は、レバー52aに取り付けられてレバー52aと共に変位可能な部位に取り付けられており、一方、コイル21は、レバー52aから離れた変位しないフレーム等に固定されている。
【0014】
図2(b)に示すように、前記レバー52aは起歪体10Aの両側に一対設けられている。前記一対のレバー52aの間に図2(a)のヨーク21の上端部分が挟み付けられて取り付けられている。なお、前記ヨーク21および永久磁石22を含む固定磁力発生部は、図2(b)のボルト52bを取り外すことにより取り換えることができるようになっている。
【0015】
図1(a)に示すように、前記計量部5は、カバー6に覆われている。前記カバー6の側壁61には前記連結部材51が貫通している。前記連結部材51とカバー6の側壁61との間は、ダイヤフラム62が設けられて防水が図られている。
【0016】
前記搬送部3は、前記コンベヤベルト30を回転させる駆動ローラ31を備えており、該駆動ローラ31がタイミングベルト42を介してモータ(図示せず)の出力軸43に連結されている。前記ギヤケース41には、支持フレーム32を介して搬送部3が支持されている。
【0017】
前記駆動部4は、搬送部3の一方の端部の下方に配置されている。前記電磁平衡手段20は、搬送部3の他方の端部の下方に配置されている。
【0018】
前記構成においては、図2(a)の電磁平衡手段20のうち重量の重いヨーク21および永久磁石22を自由端部52eに固定したので、これらの重量物によりバランサを兼ねることができ、別途設けるバランサ59は小型の微調整用のみを設置すればよく、計量部5全体をコンパクトにすることができる。
重量物である永久磁石22およびヨーク21がテコ部52の一部を構成するので、テコ部52の剛性を確保することが容易である。このように剛性を高めることにより高速応答が可能である。
変位するテコ部52にコイル23が設けられていないので、複雑な配線が不要になる。したがって、固定側と可動側を繋ぐ配線による計量精度の低下を招くことがない。
発熱源であるコイル23が固定側にあるので、金属ブラケット2やカバー6などの伝熱可能な部材を通じて放熱することができる。よって、コイル23の発熱による計量誤差が発生しにくい。また、発熱が抑えられるので大容量のコイル23を用いることが可能であり、秤量のより大きな計量部5を作ることが可能である。
【0019】
なお、本実施例では、前記L字型の金属ブラケット2等を介して、冷却フィン7が固定されている。該冷却フィン7は、前記コイル23の熱を伝熱可能なブラケット2などを介して放熱する。これにより、冷却効果による熱的な安定が図られる。なお、冷却フィン7は、テコ部5に取り付けられていないので、重量バランスを考慮する必要もない。
【0020】
ところで、秤量の対象が変わる場合などには、テコ部52の支点54の位置を変更する。たとえば、図2の起歪体10Aよりも支点54の位置が右側にある別の起歪体を用いる場合、自由端部52eに加わる荷重を大きくする必要がある。通常はバランサを大きくするので、テコ部52の強度を上げなければならないが、本実施例ではテコ部52にヨーク21および永久磁石22を取り外し可能に取り付けているので、前記ヨーク21および永久磁石22の重量を変更することにより、自由端部52eに加わる荷重を変更することができる。この際、バランサ59の重さを変える必要がないので、自由端部52eに加わるバランサ59の重量によるモーメントの変化も生じないから、計量の安定性が向上する。
【0021】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、計量装置は計量コンベアである必要はなく、荷重受け部としてホッパを備えた計量ホッパや計量皿を備えた計量装置であってもよい。
また、前記一対のレバーの間に取付部材を架設して設け、該取付部材の下面に前記ヨークの上端をボルトなどで接合してもよい。
さらに、冷却手段は必ずしも設ける必要がない。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は本発明の実施例1を示す計量装置を一部断面した縦断面図、(b)は同カバーを断面した平面図である。
【図2】(a)はヨークを断面した計量部の側面図、(b)は計量部の平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1:計量装置
3:搬送部(荷重受け部)
4:駆動部
5:計量部
7:冷却手段
10:ロバーバル機構
20:電磁平衡手段
21:ヨーク(固定磁力発生部)
22:永久磁石
23:コイル
52:テコ部
52e:第2端部
53:力点(第1端部)
54:支点
59:バランサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を支持すると共に風袋として負荷される荷重受け部と、該荷重受け部に支持された物品を計量する計量部と、前記荷重受け部の重量バランスをとるバランサとを備えた計量装置であって、
前記計量部は第1端部に加えられた重量により前記第1端部が変位すると、該変位に応じて第2端部が変位するテコ部と、前記テコ部の第2端部に電磁力による抗力を加える電磁平衡手段とを備えたフォースバランス式の計量部であり、
前記テコ部の第2端部側に前記電磁平衡手段の永久磁石が固定され、
前記電磁平衡手段のコイルが固定部側に固定されていることを特徴とする計量装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計量装置であって、前記テコ部の支点を変更した場合に、前記電磁平衡手段の固定磁力発生部の重量を変更することを特徴とする計量装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の計量装置であって、前記コイル側に伝熱可能な部材を介して冷却手段を設けたことを特徴とする計量装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−71587(P2006−71587A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258352(P2004−258352)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)