骨固定装置およびツール
【課題】頭部をロックするよう頭部受け部分を圧縮するよう外側ロッキングリングを利用し、取扱いが改善された骨固定装置を提供する。
【解決手段】骨固定装置は、骨に固定するシャンク2と頭部3とを有する骨固定要素1と、骨固定要素1にロッド6を結合する受け部5とを備える。受け部5は第1の端部9aと第2の端部9bとU字形凹部12を有するロッド受け部分9を有し、凹部12は第1の端部9aから第2の端部9bの方向に延在して2つの自由な脚部を形成し、受け部5はさらに第1の端部9aとは反対側の第2の端部9bの側に頭部3を収容する頭部受け部分17を有し、頭部受け部分は自由端17bを有し、頭部3の導入およびクランプを可能にするよう可撓性である。骨固定装置はさらに、頭部受け部分17のまわりに配置されるロッキングリング8を含む。
【解決手段】骨固定装置は、骨に固定するシャンク2と頭部3とを有する骨固定要素1と、骨固定要素1にロッド6を結合する受け部5とを備える。受け部5は第1の端部9aと第2の端部9bとU字形凹部12を有するロッド受け部分9を有し、凹部12は第1の端部9aから第2の端部9bの方向に延在して2つの自由な脚部を形成し、受け部5はさらに第1の端部9aとは反対側の第2の端部9bの側に頭部3を収容する頭部受け部分17を有し、頭部受け部分は自由端17bを有し、頭部3の導入およびクランプを可能にするよう可撓性である。骨固定装置はさらに、頭部受け部分17のまわりに配置されるロッキングリング8を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、骨固定要素と骨固定要素にロッドを結合するための受け部とを含む骨固定装置に関する。受け部は、ロッドを受けるためのロッド受け部分と、頭部の導入およびクランプを可能にするように可撓性である頭部受け部分とを含む。骨固定装置は、頭部受け部分のまわりに配置され、受け部の頭部受け部分の圧縮によって頭部がロックされるロッキング位置をとることができるロッキングリングをさらに含む。ロッキングリングは、ツールとの係合のための係合部分を有する外側表面部分を有する。ツールは、ロッキングリングが頭部をロックする位置からのロッキングリングの解放を可能にするように受け部およびロッキングリングと協働するように構成される。骨固定装置はたとえば多軸骨ねじの形で実現することができる。
【背景技術】
【0002】
US2009/0149887 A1は、骨固定具を支持ロッドに接続するための装置を開示し、装置はコネクタ本体とキャップとを含む。コネクタ本体は、骨固定具の挿入、角度付けおよび取外し用のソケットを有する。骨固定具の挿入を許す一時的な位置でコネクタ本体上に嵌まるよう構成されるスリーブが、骨固定具の角度付けを許す一方で骨固定具の取外しを防ぐ暫定的なロッキング位置に移動するよう、および骨固定具の角度付けおよび取外しの両方を防ぐロッキング位置に移動するよう、設けられる。ツールは、コネクタ本体、スリーブ、キャップおよび支持ロッドの設置のためにあたえられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2009/0149887 A1
【特許文献2】US 2010/0204735 A1
【特許文献3】US 2005/0096653 A1
【特許文献4】US 6,273,888 B1
【特許文献5】US 6,743,231 B1
【特許文献6】US 2004/0254576 A1
【特許文献7】US 2010/0160977 A1
【特許文献8】US 2006/0173454 A1
【特許文献9】US 2006/0074445 A1
【特許文献10】WO/2011/043799 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、頭部をロックするよう頭部受け部分を圧縮するために外側ロッキングリングを利用し、およびその取扱いに関して改善された骨固定装置を提供することである。さらに、改善された取扱いを可能にするツールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の骨固定装置、および請求項10に記載のツールによって解決される。さらなる展開は従属請求項であたえられる。
【0006】
骨固定装置は、頭部のロッキングを安全に緩めることを可能にする。さらに、骨固定装置によって、外科医は骨固定要素に関して受け部の角度の位置決めの修正を実行することができる。一実施例では、ロッドが挿入されたまま、ロッキングの解放が可能である。
【0007】
ツールは受け部を係合するよう構成され、受け部の中心軸に沿って操作されるよう確認される。したがって、横方向にツールを適用するためのさらなる空間を有する必要はない。さらに、ツールは一方の側からのみ作用する力の作用によっては詰められない。
【0008】
骨固定装置の取扱いは単純化され、なぜならば、一旦、頭部のロッキングが達成されれば、そのようなロッキングは、組織、血管または神経のような周囲の材料の損傷をもたらす結果となり得る大きな力をかけずに解放することができるからである。ロッドおよび受け部の修正または二次的な調整は、制御される態様において実行することができる。
【0009】
この骨固定装置で、実際の臨床の要件に依って、要求に応じて、さまざまな固定要素を任意の好適な受け部に組合せることを可能にするモジュラーシステムを設けることができる。これは多軸ねじの費用を低減し、在庫を低減し、外科医にインプラントの実質的な選択をあたえる。
【0010】
この発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面により実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】骨固定装置の第1の実施例の斜視分解図である。
【図2】組付けられた状態における図1の骨固定装置の斜視図である。
【図3】組付けられた状態における骨固定装置の拡大した側面図である。
【図4】図3に示される骨固定装置の、ロッド軸に垂直に得られる断面図である。
【図5】受け部の斜視図である。
【図6】ロッドを受けるためのチャネル軸に垂直にとった、図5の受け部の断面図である。
【図7】図5の受け部の上面図である。
【図8】第1の実施例に従う骨固定装置のロッキングリングの斜視図である。
【図9】ロッドチャネルに垂直にとった、ロッキングリングの断面図である。
【図10】図8のロッキングリングの上面図である。
【図11】第1の実施例に従う骨固定装置と協働する、第1の実施例に従うツールの斜視分解図である。
【図12】図11に従うツールの断面図を拡大図で示し、断面は、中心軸を通って、ハンドル部分の長辺に垂直にとられる図である。
【図13】骨固定装置にツールを取り付ける第1のステップの斜視図である。
【図14】第1の実施例に従う骨固定装置に第1の実施例に従うツールを取り付けるさらなるステップの断面図である。
【図15】ツールを取り付ける次のステップの斜視図である。
【図16】図15に示される骨固定装置に取付けられるツールの一部の拡大した断面図である。
【図17】骨固定装置にツールを取り付けるさらなるステップの斜視図である。
【図18】図17に示されるように骨固定装置に取り付けられるツールの一部の拡大した断面図である。
【図19】図18のさらなる拡大した部分を示す。
【図20】頭部のツールとのロッキングを解放する第1のステップの斜視図である。
【図21】図20に示されるツールおよび骨固定装置の拡大した断面図である。
【図22】図21の拡大した部分を示す図である。
【図23】ツールを除去するステップの斜視図である。
【図24】図23に示される骨固定装置をともなうツールの一部の拡大した断面図である。
【図25】組付けられた状態における第2の実施例に従う骨固定装置の斜視図である。
【図26】図25に示される第2の実施例に従う骨固定装置のロッキングリングの側面図である。
【図27】図26のロッキングリングの上面図である。
【図28】図26のロッキングリングの断面図である。
【図29】第2の実施例に従うツールの側面図である。
【図30】図29に示されるツールの断面図を示し、断面は中心軸を通って、ツールのハンドル部分の長辺に垂直にとられる図である。
【図31】骨固定装置に第2の実施例に従ってツールを取り付ける第1のステップの斜視図である。
【図32】骨固定装置にツールを取り付ける次のステップの斜視図である。
【図33】骨固定装置にツールを取り付ける手順中におけるさらなるステップを示す図である。
【図34】取付けの次のステップの斜視図を示し、ロッキングリングのリブがツールによって係合される図である。
【図35】第2の実施例に従うツールが上に取り付けられた、第2の実施例に従う骨固定装置の断面図である。
【図36】約45度回転された図35の装置の拡大した断面図である。
【図37】図36の拡大した部分を示す。
【図38】第2の実施例に従ってツールを除去するステップにおける、第2の実施例に従う骨固定装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および図2で示されるように、骨固定装置は、ねじ切り部分を有するシャンク2と球形に形状化された外側表面部分をともなう頭部3とを有する骨ねじの形式における骨固定要素1を含む。頭部3は、ドライバとの係合のための凹部4を有する。骨固定装置は、さらに、骨固定要素1に接続されるロッド6を受けるために受け部5を含む。さらに、内ねじの形式の固定要素7が、ロッド6を受け部5に固定するために設けられる。骨固定装置は頭部3を受け部5にロックするためのロッキングリング8を含む。
【0013】
図1〜図7を参照して、受け部5は、ロッド受け部分9を含み、それは、実質的に円筒形であり、第1の端部9aと、対向する第2の端部9bと、ロッド受け部分の第1の端部9aおよび第2の端部9bを通過する対称軸Cとを有する。同軸の第1のボア10は、たとえば図6および図7に示されるように、第2の端部9bに設けられる。第1のボア10の直径は骨固定要素の頭部3の直径より小さい。ロッド受け部分9は、第1の端部9aから、第2の端部9bからのある距離まで延在する、同軸の第2のボア11をさらに含む。第2のボア11の直径は、第1のボア10の直径より大きい。第2のボア11によって、当接面11aがロッド受け部分の内部に設けられ、以下に記載されるツールのための当接部として役立つ。実質的にU字形の凹部12は、ロッド受け部分9の第1の端部9aから第2の端部9bの方向に延在し、ロッド6を凹部に置いてそこで案内することができるように、凹部12の直径は、ロッド6の直径よりわずかに大きい。凹部12によって、2つの自由な脚部12a、12bが形成され、そこに、雌ねじ13が設けられる。雌ねじは、メートルねじ、平ねじ、負の角のねじ、のこ歯状ねじ、または任意の他のねじ筋形式で有り得る。好ましくは、内ねじ7がねじ込まれたときの脚部12a、12bの広がりを防ぐ平ねじまたは負の角のねじなどのねじの形態が用いられる。凹部12の深さは、ロッド6のためのチャネルを形成し、ロッド6および内ねじ7を脚部間に挿入することができるような深さである。カットアウト15は、ロッド受け部分9に設けられ、第2の端部9bから凹部12まで延在する。カットアウト15は、凹部12によって形成されたチャネルの両端部に設けられる。
【0014】
内ねじ7は、脚部12a、12bに設けられた雌ねじ13に対応するねじ筋を有する。脚部が開くのを防ぐねじ筋形式が用いられる場合、内ねじ7のような単一のロッキング要素で十分である。
【0015】
脚部12a、12bの領域におけるロッド受け部分9の外側表面では、周方向に延在し、ロッキングリング8の一部との係合に対して役立つ溝16が設けられる。ロッキングリング8が第2の端部9bから下方へシフトされるとき、ロッキングリング8および溝の係合解除を可能にするように、溝16は非対称である。
【0016】
第2の端部9bの側に、受け部は、骨固定要素1の頭部3のための収容空間を設ける頭部受け部分17をさらに含む。頭部受け部分17は、ロッド受け部分9の最大外径より小さい最大外径を有する。内部中空部分18は、骨固定要素1の頭部3のための座部を形成し、開口部19を介して頭部受け部分17の自由端17bに開いている。内部中空セクション18はその形状が頭部3の形状に適合され、示された実施例においては、球形の頭部3を収容する球状のセクションである。さらに、中空のセクション18は、頭部3の最大直径を含む領域をカバーする側から骨固定要素1の頭部3を包含するように構成される。
【0017】
自由端17bに開いている複数個のスリット20が頭部受け部分17に設けられる。スリット20は頭部受け部分17を可撓性にし、それにより、摩擦によって、そのとき中空の内部部分18に、頭部3をクランプし最終的にロックするよう、頭部受け部分17を圧縮することができる。スリット20の数およびサイズは頭部受け部分17の所望の可撓性に依存してあたえられる。頭部受け部分17の可撓性は、頭部受け部分17の拡張によって骨固定要素の頭部3を挿入することができ、頭部受け部分を圧縮することよってそれをクランプすることができるような可撓性である。
【0018】
頭部受け部分17の外側表面は、たとえば、外方向に湾曲しているか、または円錐形に広くなる態様において、自由端17bに向かって増加する外径を有する第1のセクション21を有する。第1のセクション21に近接して、第1のセクション21に関して窪ませられ、ロッキングリング8の一部との係合に対して役立つ、周方向溝22がある。溝22は、自由端17bに向かう方向にロッキングリングを移動するときにロッキングリングおよび溝22の係合解除を可能にするように形状化される。これは、たとえば溝の下部壁が自由端17bに向かって傾けられるという点で、実現される。
【0019】
溝22に近接して、実質的に円筒形の外側表面を有する、頭部受け部分の第3の部分23がある。第3の部分23は、ロッキングリングのクランプ効果を高めるよう、ロッキングリングの一部と協働するよう構成される。
【0020】
ロッキングリングを、ここで、図3、図4および図8〜図10に関して特に記載する。ロッキングリング8は実質的に円筒形で、上側端部8aおよび下側端部8bを有する。取り付けられた状態では、上側端部8aはロッド受け部分の第1の端部9aの方向に向き付けられ、下側端部8bは、頭部受け部分17の自由端17bの方向に向き付けられる。おおよそロッキングリングの真中において、内側壁に、頭部受け部分17の第1の外側表面部分21と協働して頭部受け部分を圧縮する第1の部分81が設けられる。第1の部分81はわずかに先細りであってもよく、または真っすぐもしくはロッキングリングの中心に向ける曲率で湾曲していてもよい。さらに、下側端部8bにおいては、ロッキングリングは内方向に突出する縁部82を含み、その内径は、ロッキングリングの他の部分の内径より小さい。内方向に突出する縁部82は頭部受け部分の溝22を係合するように構成され、最終的に頭部受け部分17の円筒形部分23を係合するように構成される。
【0021】
ロッキングリング8は、さらに、スリット84によって互いから分離される、上方へ延在する壁部部分83aからなる第3の部分を有する。上方へ延在する壁部部分83aは、ロッキングリングの内側周方向肩部85の外側周囲に配置され、ロッキングリングの第3の部分を可撓性にする。スリット84の数およびサイズ、ならびに壁部部分83aの厚みは、所望の可撓性が得られるように構成される。自由端においては、壁部部分83aは、ロッド受け部分9の外側表面に設けられた溝16を係合するよう構成される。
【0022】
直径に沿って互いと対向して位置する2つの突起86が、ロッキングリングの第2の部分83に形成される。突起86の高さは、突起86が実質的にU字形の凹部12の底部より上に突出し、肩部85がロッド受け部分の第2の端部9bと当接する位置にロッキングリングがあるとき、突起86がカットアウト15内に延在するような高さである。突起の自由端表面86aは湾曲していてもよい。ロッキングリングは、突起86が凹部12の位置に位置するように受け部5の頭部受け部分17の周りに配置される。これによって、突起86は、ロッドが挿入されていないときにロッキングリング8が回転するのを防ぐ。
【0023】
ロッキングリングは、さらに、上方へ延在する壁部部分83aに近接するその外側表面部分に、以下に記載されるツールとの係合のための係合部分88含む。第1の実施例では、係合部分88は雄ねじによって実現される。ねじ筋は、ロッキングリングの外側表面の部分に沿って、ロッキングリングの軸方向に延在する。周囲の組織または血管の妨害を回避するよう、ねじ筋の深さは浅い。突起86によって設けられたロッド支持の方向において、ちょうど突起86より下において、ねじ筋は、2つの対向するねじ筋なしのセクション89において中断される。ねじ筋は、ねじ筋なしのセクション89の中心に向かってそれぞれ平らにされてもよい。セクション89は破壊または圧縮ツールの適用に対して役立つ。ねじ筋なしのセクション89は他の位置においても設けることができ、または、2つを超えるねじ筋なしのセクション89を設けることができる。
【0024】
受け部、ロッキングリング、内ねじ、および骨固定要素は、チタンまたはステンレス鋼または生体適合性の合金、たとえばニチノールまたは生体適合性のプラスチック材料、たとえばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの生体適合性の材料から形成される。部品はすべて同じまたは異なる材料からなることができる。
【0025】
ロッキングリング8は3つの主な位置をとることができる。第1の位置では、ロッキングリングは、その内方向に突出する縁部82が頭部受け部分の溝22と係合している。この位置では、骨固定要素の頭部3は、頭部受け部分の自由端17bから内部中空空間18内に導入することができる。ロッキングリング8は、ロッド受け部分の第1の端部9aに向かって上方へ移動することを妨げられ、なぜならば、それは肩部85で頭部受け部分の第2の端部9bに対して当接するからである。
【0026】
第2の主な位置では、可撓性壁セクション83aが、それらの自由端で、ロッド受け部分の溝16内に留まるまで、ロッキングリング8は、頭部受け部分の自由端17bに向かってシフトされる。この位置では、頭部3はまだロックされないが、内部中空空間18からの除去を妨げられる。頭部は、この位置において、たとえば手でかけられる力が摩擦力を克服するようかけられるときに依然として移動可能であるような程度にまで、摩擦によってクランプされてもよい。頭部3はこの位置においては頭部受け部分17から除去されることができない。
【0027】
ロッキングリングの第3の位置では、頭部3が最終的にロックされるように、ロッキングリング8は頭部受け部分の自由端17bに向かってさらにシフトされる。この位置では、頭部が移動することができず、受け部5に関してその角度位置において固定されるように、頭部受け部分はロッキングリングによって圧縮される。可撓性壁セクション83aの上側端部と頭部受け部分9の溝16の上部壁との間には、図4に示されるように、隙間90がある。頭部3のロックされた状態では、ロッキングリング8は通常動作条件の下では緩めることができない。
【0028】
第1の実施例に従うツール50を、ここで、図11および図12を参照して記載する。
ツール50は、前端52、および前端52の反対の後端53を有する、管状部材51を含む。前端52に近接して、管状部材51はその内側壁に、ロッキングリングの係合部分88を係合するための係合部分54を含む。したがって、管状部材51の前端の内径は、管状部材を受け部5の上に置くことができ、ロッキングリング8を係合することができるような内径である。前端52からある距離において、停止部55が、管状部材内に設けられ、係合部分54が図14に示されるようにねじ切り部分88を係合するとき、それはロッキングリングの上側端縁8aに対して当接する。その後端53においては、管状部材は内部ねじ切り部分56を有する。
【0029】
ツール50は、さらに、前端61と、ハンドルとして形成される後端62とを有するシャフト60を含む。シャフト60は、ハンドルからある距離をおいて、管状部材の雌ねじ56と協働する外側ねじ切り部分63を有する。外側のねじ切りされた表面部分63に近接するのは、管状部材の中へのシャフト60の挿入深さを制限する停止部64である。停止部64はたとえば周方向肩部で有り得る。シャフト60は、管状部材50内に挿入することができ、そこで移動可能である。挿入深さは、管状部材のねじ筋56とシャフトのねじ筋63との協働によって調整することができる。図12に示されるように、停止部64が後端53に対して当接するまで、シャフトが管状部材に挿入されねじ込められるとき、シャフトの前端61は管状部材の前端52からある距離にある。
【0030】
シャフトはその前端61に盲穴65を有し、そこにおいて、柱66がばね67に支持される。柱66の端面61aはシャフトの前端61から外へ突出し、柱66は盲穴65において移動可能である。盲穴65における柱66の移動は、停止部によって2つの方向に限定される。停止部は、柱66を通って延在する軸方向に細長い穴68によって形成され、それを介してピン69が渡される。ピン69は、図11に特に示されるように、シャフト60に設けられた横断穴70を通って延在する。これによって、柱66は、ピンがばね67と面する長尺の穴68の端部にある第1の位置と、ピン69がシャフトの前端61と面する長尺の穴68の端部にある第2の位置との間で、移動可能である。第1の位置では、柱66は、前端61からさらに外方向へ突出し、ばね67の部分的な圧縮によって付勢されてもよい。第2の位置では、柱66は盲穴の端部に向かって促され、それによって、さらにばね67を圧縮する。ばね67は巻きばねとして示されるが、同じ目的を果たす任意の他のばねであり得る。たとえば、ばね67は、エラストマークッションによっても実現することができる。
【0031】
ツールの機能を、図13〜図24を参照して記載する。まず、管状部材50はシャフト60と別個である。図13に示されるように、図14に示されるように、ねじ切り部分54がロッキングリング8のねじ切り部分88を係合するまで、管状部材は受け部5にわたって置かれる。
【0032】
図15と図16に示される次のステップでは、柱66の前端66aが受け部5において当接面11aに対して当接するまで、シャフト60は管状部材50内に挿入される(図16)。この位置では、シャフト60の前端61は、受け部5のロッド受け部分9の第1の端部9aから離れて間隔を置かれる。柱66はその第1の位置にあり、そこでは、ピン69はばね67に面する。シャフト60は、管状部材50内にまだ完全には導入されない。図17および図18において示されるように、シャフト60はその後、シャフトの前端61が受け部のロッド受け部分9の第1の端部9aに対して当接するまで、管状部材50内にさらにねじ込められる。それによって、柱66の上に作用する反力が、ばね67の力に逆らって盲穴65の中へ柱66を押し込む。この状態では、ロッキングリング8は、依然としてその第3の位置にあり、頭部をロックする。これは、ロッキングリングの上側端部8aと上側端部8aに面する溝16の壁部との間の隙間90を示す、図19に従う拡大した図において理解することができる。
【0033】
ロッキングリング8をロッキング位置から解放するために、管状部材50は把持部分57にて把持され、この位置において保持され、一方、図21において示されるように、シャフト60は管状部材50内にさらにねじ込められる。これによって、図22において詳細に示されるように、可撓性壁セクション83aが溝16の上部壁と当接するまで、ロッキングリング8は上方へ引かれる。したがって、ロッキングリングは、ここで、第2の位置にあり、それは頭部をロックしない。
【0034】
ツールを除去するステップは、図23および図24に示される。ハンドル62は他方の方向に回される。ロッキングリング8は溝16に対して当接し、したがってそれはさらに上方へ引かれることができない。柱66が受け部の当接面11aに対して当接するので、シャフト60のねじ戻りは受け部およびロッキングリングの同時の回転をもたらす結果とならない。したがって、ツールは容易に除去することができる。次いで、骨固定要素とツールとの間の角度位置を再調整することができる。
【0035】
骨固定装置の第2の実施例が図25〜図28に示される。第2の実施例は、ロッキングリングの係合部分の設計によってのみ、第1の実施例に従う骨固定装置と異なる。他のすべての部品は第1の実施例と同一かまたは類似しており、同じ参照番号を付される。これらの部品の説明は繰り返されない。
【0036】
ロッキングリング8′は、直径に沿って対向してある周方向リブ部分88′の形式において、ツールのための係合部分を有する。示された実施例では、弾性的に変形可能な壁部部分83aの下においてロッキングリング8′の外側表面に配置される2つのリブ部分88a′および88b′が設けられる。リブ部分88a′、88b′は、おおよそ4分の1円または4分の1円未満である、ロッキングリングの外側周囲の弓形部分に亘って延在する。リブ部分88a′、88b′は、ロッド6を支持する突起86に関しておおよそ45度の角度に配置される。
【0037】
各リブ部分88a′、88b′は2つの周方向に延在するリブ881a′、882a′からなり、それらはロッキングリング8′の軸方向において互いから間隔を置かれる。リブ881a′、882a′、881b′、882b′は、図28において特に理解することができるように、ロッキングリング8′の第2の端部8bに向かってわずかに傾けられる。リブの下方への傾きは、以下に記載されたツールとの係合のためのアンダーカットを設け、それはツールとの係合の安全性を高める。示された実施例では、各リブ部分において2つのリブが設けられる。しかし、各リブ部分に対して、1つのリブで十分であろうことを注記すべきである。さらに、2つを超えるリブを設けることもできる。
【0038】
第2の実施例に従ってロッキングリングを解放するためのツールが、図29および図30を参照して記載される。ツール50′は2つの実質的に矩形の凹部51a′、51b′をその前端52′に含む。前端52′に近接して、リブ部分88a′、88b′に対応しそれらと協働する係合部分54′が、管状部材51′の内部に位置する。係合部分54a′、54b′は、前端52′から遠ざかる傾きを有するリブ部分である。前端52′からある距離をおいて、停止部55′が設けられる。実質的に矩形の凹部51a′、51b′は、おおよそ、周方向においてロッキングリングのリブなしの部分のサイズであるサイズを有し、管状部材51′が受け部分上に置かれ、ロッキングリングを係合するとき、ロッド6が凹部51a′、51b′を通過することができるような深さを軸方向において有する。
【0039】
管状部材51′は、さらに、内部がねじ切りされた部分56′を有する後端53′を含む。後端53′またはその近辺において、把持部分57′が把持を容易にするために設けられる。
【0040】
ツール50′は、さらに、前端61′とハンドルを設けられる後端62′とを有するシャフト部分60′を含む。後端62′からある距離に、第1の実施例におけるように、管状部材51′の内部がねじ切りされた部分56′と協働する、外部がねじ切りされた部分63′が設けられる。さらに、第1の実施例におけるように、環状の肩部64′の形をしている停止部が、後端からある距離をおいて設けられる。この実施例において、シャフト60′には、先の実施例におけるように、弾力的に支持された柱がない。シャフトの長さは、停止部64′が管状部材の後端53′に対して当接するまで、シャフトが管状部材に挿入されねじ込められるとき、前端52′の凹部51a′、51b′が、受け部およびそこに挿入されたロッドを覆うことができるような長さである。
【0041】
ロッドが挿入され、内ねじが除去されると、第2の実施例に従うツール50′を適用することができる。図31に示されるように、リブ54a′、54b′の形をしている係合部分がロッキングリング8′のリブなしの部分に置かれるように、ツールは向き付けられる。次いで、ロッド6は凹部51a′、51b′の一方の側に対して当接する。停止部55′がロッキングリング8′の上側端縁8aに対して当接するまで、管状部材50′は下方へシフトされる。その後、図32〜図34に示されるように、管状部材の内側の係合部分54a′、54b′がロッキングリングの外側表面上のリブ部分88a′、88b′を係合するように、管状部材を回転させる。凹部51a′および51b′が周方向において十分に大きいので、図34に示されるように、ロッドが凹部51a′、51b′の他方の側に対して当接するように、管状部材50′を回転させることができる。
【0042】
その後、図35〜図37に示されるように、前端61′が受け部の第1の端部9aに対して当接するまで、シャフト60′は管状部材50′内にねじ込められる。次のステップでは、図38に示されるように、管状部材が把持する部分57′にて保持されている一方、シャフトは管状部材内にさらに移動される。これによって、ロッキングリングは上方へ押圧され、ロッキング位置から解放される。
【0043】
ツール50′の除去については、シャフト60′はわずかにねじ戻され、次いで、管状部材の係合部分がもはやロッキングリングにおいて係合部分を係合しなくなるまで、管状部材51′を回転させる。次いで、ツールはそれを上方へ引くことによって除去することができる。
【0044】
示された実施例の修正物は旋回可能であることが注目される。たとえば、第2の実施例に従うツールは、ばねに支持される柱をさらに含むことが可能である。さらに、第2の実施例に従うツールは、第1の実施例に従ってねじ切りされたロッキングリングを係合するためのねじ筋係合部分を有してもよい。第1の実施例のツールは柱なしで設けられてもよい。
【0045】
ロッキングリングの係合については、他の修正もさらに考えられる。たとえば、他の形状を有する係合部分を有することが可能であってもよい。
【0046】
骨固定装置は修正された形式において設けることができる。たとえば、骨固定要素の頭部はたとえば円筒形状のような、任意の他の形状を有することができ、それによって単軸方向の骨ねじが、単一の軸のまわりにおいて受け部に関してねじ要素の回転を可能にして設けられる。頭部は円錐形または他の態様でも形状化することができ、そして、頭部受け部分の内部中空部分はこの形状に適合される。さらなる修正では、頭部受け部分の可撓性は、材料、たとえばプラスチック材料の属性に基づき、スリットは十分にまたは部分的に省略されてもよい。
【0047】
ロッドと係合するロッキングリングの突起は別の形状を有し得る。自由端の表面は平坦である可能性もあれば、その他の形状をしている可能性もある。突起も省略することができる。
【0048】
頭部受け部分は、1つの方向に頭部のより大きな角度付けを可能にするよう、傾けられた開放端を有することができるか、またはそうでなければ非対称になり得る。
【0049】
頭部受け部分の外側表面およびロッキングリングの内側表面は、ロッキングリングが下方へシフトされると、増加する力によってロッキングリングの圧縮を可能にする、他の形状を有することができる。
【0050】
ロッキングリングはさらに他の設計を有することもできる。たとえば、ロッキングリングは可撓性壁セクションなしで形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 骨固定要素、2 シャンク、3 頭部、5 受け部、8,8′ ロッキングリング、9a 第1の端部、9b 第2の端部、12 U字形の凹部、9 ロッド受け部分、12a,12b 脚部、17 頭部受け部分、17b 自由端、88,88′ 係合構造。
【技術分野】
【0001】
この発明は、骨固定要素と骨固定要素にロッドを結合するための受け部とを含む骨固定装置に関する。受け部は、ロッドを受けるためのロッド受け部分と、頭部の導入およびクランプを可能にするように可撓性である頭部受け部分とを含む。骨固定装置は、頭部受け部分のまわりに配置され、受け部の頭部受け部分の圧縮によって頭部がロックされるロッキング位置をとることができるロッキングリングをさらに含む。ロッキングリングは、ツールとの係合のための係合部分を有する外側表面部分を有する。ツールは、ロッキングリングが頭部をロックする位置からのロッキングリングの解放を可能にするように受け部およびロッキングリングと協働するように構成される。骨固定装置はたとえば多軸骨ねじの形で実現することができる。
【背景技術】
【0002】
US2009/0149887 A1は、骨固定具を支持ロッドに接続するための装置を開示し、装置はコネクタ本体とキャップとを含む。コネクタ本体は、骨固定具の挿入、角度付けおよび取外し用のソケットを有する。骨固定具の挿入を許す一時的な位置でコネクタ本体上に嵌まるよう構成されるスリーブが、骨固定具の角度付けを許す一方で骨固定具の取外しを防ぐ暫定的なロッキング位置に移動するよう、および骨固定具の角度付けおよび取外しの両方を防ぐロッキング位置に移動するよう、設けられる。ツールは、コネクタ本体、スリーブ、キャップおよび支持ロッドの設置のためにあたえられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2009/0149887 A1
【特許文献2】US 2010/0204735 A1
【特許文献3】US 2005/0096653 A1
【特許文献4】US 6,273,888 B1
【特許文献5】US 6,743,231 B1
【特許文献6】US 2004/0254576 A1
【特許文献7】US 2010/0160977 A1
【特許文献8】US 2006/0173454 A1
【特許文献9】US 2006/0074445 A1
【特許文献10】WO/2011/043799 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、頭部をロックするよう頭部受け部分を圧縮するために外側ロッキングリングを利用し、およびその取扱いに関して改善された骨固定装置を提供することである。さらに、改善された取扱いを可能にするツールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の骨固定装置、および請求項10に記載のツールによって解決される。さらなる展開は従属請求項であたえられる。
【0006】
骨固定装置は、頭部のロッキングを安全に緩めることを可能にする。さらに、骨固定装置によって、外科医は骨固定要素に関して受け部の角度の位置決めの修正を実行することができる。一実施例では、ロッドが挿入されたまま、ロッキングの解放が可能である。
【0007】
ツールは受け部を係合するよう構成され、受け部の中心軸に沿って操作されるよう確認される。したがって、横方向にツールを適用するためのさらなる空間を有する必要はない。さらに、ツールは一方の側からのみ作用する力の作用によっては詰められない。
【0008】
骨固定装置の取扱いは単純化され、なぜならば、一旦、頭部のロッキングが達成されれば、そのようなロッキングは、組織、血管または神経のような周囲の材料の損傷をもたらす結果となり得る大きな力をかけずに解放することができるからである。ロッドおよび受け部の修正または二次的な調整は、制御される態様において実行することができる。
【0009】
この骨固定装置で、実際の臨床の要件に依って、要求に応じて、さまざまな固定要素を任意の好適な受け部に組合せることを可能にするモジュラーシステムを設けることができる。これは多軸ねじの費用を低減し、在庫を低減し、外科医にインプラントの実質的な選択をあたえる。
【0010】
この発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面により実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】骨固定装置の第1の実施例の斜視分解図である。
【図2】組付けられた状態における図1の骨固定装置の斜視図である。
【図3】組付けられた状態における骨固定装置の拡大した側面図である。
【図4】図3に示される骨固定装置の、ロッド軸に垂直に得られる断面図である。
【図5】受け部の斜視図である。
【図6】ロッドを受けるためのチャネル軸に垂直にとった、図5の受け部の断面図である。
【図7】図5の受け部の上面図である。
【図8】第1の実施例に従う骨固定装置のロッキングリングの斜視図である。
【図9】ロッドチャネルに垂直にとった、ロッキングリングの断面図である。
【図10】図8のロッキングリングの上面図である。
【図11】第1の実施例に従う骨固定装置と協働する、第1の実施例に従うツールの斜視分解図である。
【図12】図11に従うツールの断面図を拡大図で示し、断面は、中心軸を通って、ハンドル部分の長辺に垂直にとられる図である。
【図13】骨固定装置にツールを取り付ける第1のステップの斜視図である。
【図14】第1の実施例に従う骨固定装置に第1の実施例に従うツールを取り付けるさらなるステップの断面図である。
【図15】ツールを取り付ける次のステップの斜視図である。
【図16】図15に示される骨固定装置に取付けられるツールの一部の拡大した断面図である。
【図17】骨固定装置にツールを取り付けるさらなるステップの斜視図である。
【図18】図17に示されるように骨固定装置に取り付けられるツールの一部の拡大した断面図である。
【図19】図18のさらなる拡大した部分を示す。
【図20】頭部のツールとのロッキングを解放する第1のステップの斜視図である。
【図21】図20に示されるツールおよび骨固定装置の拡大した断面図である。
【図22】図21の拡大した部分を示す図である。
【図23】ツールを除去するステップの斜視図である。
【図24】図23に示される骨固定装置をともなうツールの一部の拡大した断面図である。
【図25】組付けられた状態における第2の実施例に従う骨固定装置の斜視図である。
【図26】図25に示される第2の実施例に従う骨固定装置のロッキングリングの側面図である。
【図27】図26のロッキングリングの上面図である。
【図28】図26のロッキングリングの断面図である。
【図29】第2の実施例に従うツールの側面図である。
【図30】図29に示されるツールの断面図を示し、断面は中心軸を通って、ツールのハンドル部分の長辺に垂直にとられる図である。
【図31】骨固定装置に第2の実施例に従ってツールを取り付ける第1のステップの斜視図である。
【図32】骨固定装置にツールを取り付ける次のステップの斜視図である。
【図33】骨固定装置にツールを取り付ける手順中におけるさらなるステップを示す図である。
【図34】取付けの次のステップの斜視図を示し、ロッキングリングのリブがツールによって係合される図である。
【図35】第2の実施例に従うツールが上に取り付けられた、第2の実施例に従う骨固定装置の断面図である。
【図36】約45度回転された図35の装置の拡大した断面図である。
【図37】図36の拡大した部分を示す。
【図38】第2の実施例に従ってツールを除去するステップにおける、第2の実施例に従う骨固定装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および図2で示されるように、骨固定装置は、ねじ切り部分を有するシャンク2と球形に形状化された外側表面部分をともなう頭部3とを有する骨ねじの形式における骨固定要素1を含む。頭部3は、ドライバとの係合のための凹部4を有する。骨固定装置は、さらに、骨固定要素1に接続されるロッド6を受けるために受け部5を含む。さらに、内ねじの形式の固定要素7が、ロッド6を受け部5に固定するために設けられる。骨固定装置は頭部3を受け部5にロックするためのロッキングリング8を含む。
【0013】
図1〜図7を参照して、受け部5は、ロッド受け部分9を含み、それは、実質的に円筒形であり、第1の端部9aと、対向する第2の端部9bと、ロッド受け部分の第1の端部9aおよび第2の端部9bを通過する対称軸Cとを有する。同軸の第1のボア10は、たとえば図6および図7に示されるように、第2の端部9bに設けられる。第1のボア10の直径は骨固定要素の頭部3の直径より小さい。ロッド受け部分9は、第1の端部9aから、第2の端部9bからのある距離まで延在する、同軸の第2のボア11をさらに含む。第2のボア11の直径は、第1のボア10の直径より大きい。第2のボア11によって、当接面11aがロッド受け部分の内部に設けられ、以下に記載されるツールのための当接部として役立つ。実質的にU字形の凹部12は、ロッド受け部分9の第1の端部9aから第2の端部9bの方向に延在し、ロッド6を凹部に置いてそこで案内することができるように、凹部12の直径は、ロッド6の直径よりわずかに大きい。凹部12によって、2つの自由な脚部12a、12bが形成され、そこに、雌ねじ13が設けられる。雌ねじは、メートルねじ、平ねじ、負の角のねじ、のこ歯状ねじ、または任意の他のねじ筋形式で有り得る。好ましくは、内ねじ7がねじ込まれたときの脚部12a、12bの広がりを防ぐ平ねじまたは負の角のねじなどのねじの形態が用いられる。凹部12の深さは、ロッド6のためのチャネルを形成し、ロッド6および内ねじ7を脚部間に挿入することができるような深さである。カットアウト15は、ロッド受け部分9に設けられ、第2の端部9bから凹部12まで延在する。カットアウト15は、凹部12によって形成されたチャネルの両端部に設けられる。
【0014】
内ねじ7は、脚部12a、12bに設けられた雌ねじ13に対応するねじ筋を有する。脚部が開くのを防ぐねじ筋形式が用いられる場合、内ねじ7のような単一のロッキング要素で十分である。
【0015】
脚部12a、12bの領域におけるロッド受け部分9の外側表面では、周方向に延在し、ロッキングリング8の一部との係合に対して役立つ溝16が設けられる。ロッキングリング8が第2の端部9bから下方へシフトされるとき、ロッキングリング8および溝の係合解除を可能にするように、溝16は非対称である。
【0016】
第2の端部9bの側に、受け部は、骨固定要素1の頭部3のための収容空間を設ける頭部受け部分17をさらに含む。頭部受け部分17は、ロッド受け部分9の最大外径より小さい最大外径を有する。内部中空部分18は、骨固定要素1の頭部3のための座部を形成し、開口部19を介して頭部受け部分17の自由端17bに開いている。内部中空セクション18はその形状が頭部3の形状に適合され、示された実施例においては、球形の頭部3を収容する球状のセクションである。さらに、中空のセクション18は、頭部3の最大直径を含む領域をカバーする側から骨固定要素1の頭部3を包含するように構成される。
【0017】
自由端17bに開いている複数個のスリット20が頭部受け部分17に設けられる。スリット20は頭部受け部分17を可撓性にし、それにより、摩擦によって、そのとき中空の内部部分18に、頭部3をクランプし最終的にロックするよう、頭部受け部分17を圧縮することができる。スリット20の数およびサイズは頭部受け部分17の所望の可撓性に依存してあたえられる。頭部受け部分17の可撓性は、頭部受け部分17の拡張によって骨固定要素の頭部3を挿入することができ、頭部受け部分を圧縮することよってそれをクランプすることができるような可撓性である。
【0018】
頭部受け部分17の外側表面は、たとえば、外方向に湾曲しているか、または円錐形に広くなる態様において、自由端17bに向かって増加する外径を有する第1のセクション21を有する。第1のセクション21に近接して、第1のセクション21に関して窪ませられ、ロッキングリング8の一部との係合に対して役立つ、周方向溝22がある。溝22は、自由端17bに向かう方向にロッキングリングを移動するときにロッキングリングおよび溝22の係合解除を可能にするように形状化される。これは、たとえば溝の下部壁が自由端17bに向かって傾けられるという点で、実現される。
【0019】
溝22に近接して、実質的に円筒形の外側表面を有する、頭部受け部分の第3の部分23がある。第3の部分23は、ロッキングリングのクランプ効果を高めるよう、ロッキングリングの一部と協働するよう構成される。
【0020】
ロッキングリングを、ここで、図3、図4および図8〜図10に関して特に記載する。ロッキングリング8は実質的に円筒形で、上側端部8aおよび下側端部8bを有する。取り付けられた状態では、上側端部8aはロッド受け部分の第1の端部9aの方向に向き付けられ、下側端部8bは、頭部受け部分17の自由端17bの方向に向き付けられる。おおよそロッキングリングの真中において、内側壁に、頭部受け部分17の第1の外側表面部分21と協働して頭部受け部分を圧縮する第1の部分81が設けられる。第1の部分81はわずかに先細りであってもよく、または真っすぐもしくはロッキングリングの中心に向ける曲率で湾曲していてもよい。さらに、下側端部8bにおいては、ロッキングリングは内方向に突出する縁部82を含み、その内径は、ロッキングリングの他の部分の内径より小さい。内方向に突出する縁部82は頭部受け部分の溝22を係合するように構成され、最終的に頭部受け部分17の円筒形部分23を係合するように構成される。
【0021】
ロッキングリング8は、さらに、スリット84によって互いから分離される、上方へ延在する壁部部分83aからなる第3の部分を有する。上方へ延在する壁部部分83aは、ロッキングリングの内側周方向肩部85の外側周囲に配置され、ロッキングリングの第3の部分を可撓性にする。スリット84の数およびサイズ、ならびに壁部部分83aの厚みは、所望の可撓性が得られるように構成される。自由端においては、壁部部分83aは、ロッド受け部分9の外側表面に設けられた溝16を係合するよう構成される。
【0022】
直径に沿って互いと対向して位置する2つの突起86が、ロッキングリングの第2の部分83に形成される。突起86の高さは、突起86が実質的にU字形の凹部12の底部より上に突出し、肩部85がロッド受け部分の第2の端部9bと当接する位置にロッキングリングがあるとき、突起86がカットアウト15内に延在するような高さである。突起の自由端表面86aは湾曲していてもよい。ロッキングリングは、突起86が凹部12の位置に位置するように受け部5の頭部受け部分17の周りに配置される。これによって、突起86は、ロッドが挿入されていないときにロッキングリング8が回転するのを防ぐ。
【0023】
ロッキングリングは、さらに、上方へ延在する壁部部分83aに近接するその外側表面部分に、以下に記載されるツールとの係合のための係合部分88含む。第1の実施例では、係合部分88は雄ねじによって実現される。ねじ筋は、ロッキングリングの外側表面の部分に沿って、ロッキングリングの軸方向に延在する。周囲の組織または血管の妨害を回避するよう、ねじ筋の深さは浅い。突起86によって設けられたロッド支持の方向において、ちょうど突起86より下において、ねじ筋は、2つの対向するねじ筋なしのセクション89において中断される。ねじ筋は、ねじ筋なしのセクション89の中心に向かってそれぞれ平らにされてもよい。セクション89は破壊または圧縮ツールの適用に対して役立つ。ねじ筋なしのセクション89は他の位置においても設けることができ、または、2つを超えるねじ筋なしのセクション89を設けることができる。
【0024】
受け部、ロッキングリング、内ねじ、および骨固定要素は、チタンまたはステンレス鋼または生体適合性の合金、たとえばニチノールまたは生体適合性のプラスチック材料、たとえばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの生体適合性の材料から形成される。部品はすべて同じまたは異なる材料からなることができる。
【0025】
ロッキングリング8は3つの主な位置をとることができる。第1の位置では、ロッキングリングは、その内方向に突出する縁部82が頭部受け部分の溝22と係合している。この位置では、骨固定要素の頭部3は、頭部受け部分の自由端17bから内部中空空間18内に導入することができる。ロッキングリング8は、ロッド受け部分の第1の端部9aに向かって上方へ移動することを妨げられ、なぜならば、それは肩部85で頭部受け部分の第2の端部9bに対して当接するからである。
【0026】
第2の主な位置では、可撓性壁セクション83aが、それらの自由端で、ロッド受け部分の溝16内に留まるまで、ロッキングリング8は、頭部受け部分の自由端17bに向かってシフトされる。この位置では、頭部3はまだロックされないが、内部中空空間18からの除去を妨げられる。頭部は、この位置において、たとえば手でかけられる力が摩擦力を克服するようかけられるときに依然として移動可能であるような程度にまで、摩擦によってクランプされてもよい。頭部3はこの位置においては頭部受け部分17から除去されることができない。
【0027】
ロッキングリングの第3の位置では、頭部3が最終的にロックされるように、ロッキングリング8は頭部受け部分の自由端17bに向かってさらにシフトされる。この位置では、頭部が移動することができず、受け部5に関してその角度位置において固定されるように、頭部受け部分はロッキングリングによって圧縮される。可撓性壁セクション83aの上側端部と頭部受け部分9の溝16の上部壁との間には、図4に示されるように、隙間90がある。頭部3のロックされた状態では、ロッキングリング8は通常動作条件の下では緩めることができない。
【0028】
第1の実施例に従うツール50を、ここで、図11および図12を参照して記載する。
ツール50は、前端52、および前端52の反対の後端53を有する、管状部材51を含む。前端52に近接して、管状部材51はその内側壁に、ロッキングリングの係合部分88を係合するための係合部分54を含む。したがって、管状部材51の前端の内径は、管状部材を受け部5の上に置くことができ、ロッキングリング8を係合することができるような内径である。前端52からある距離において、停止部55が、管状部材内に設けられ、係合部分54が図14に示されるようにねじ切り部分88を係合するとき、それはロッキングリングの上側端縁8aに対して当接する。その後端53においては、管状部材は内部ねじ切り部分56を有する。
【0029】
ツール50は、さらに、前端61と、ハンドルとして形成される後端62とを有するシャフト60を含む。シャフト60は、ハンドルからある距離をおいて、管状部材の雌ねじ56と協働する外側ねじ切り部分63を有する。外側のねじ切りされた表面部分63に近接するのは、管状部材の中へのシャフト60の挿入深さを制限する停止部64である。停止部64はたとえば周方向肩部で有り得る。シャフト60は、管状部材50内に挿入することができ、そこで移動可能である。挿入深さは、管状部材のねじ筋56とシャフトのねじ筋63との協働によって調整することができる。図12に示されるように、停止部64が後端53に対して当接するまで、シャフトが管状部材に挿入されねじ込められるとき、シャフトの前端61は管状部材の前端52からある距離にある。
【0030】
シャフトはその前端61に盲穴65を有し、そこにおいて、柱66がばね67に支持される。柱66の端面61aはシャフトの前端61から外へ突出し、柱66は盲穴65において移動可能である。盲穴65における柱66の移動は、停止部によって2つの方向に限定される。停止部は、柱66を通って延在する軸方向に細長い穴68によって形成され、それを介してピン69が渡される。ピン69は、図11に特に示されるように、シャフト60に設けられた横断穴70を通って延在する。これによって、柱66は、ピンがばね67と面する長尺の穴68の端部にある第1の位置と、ピン69がシャフトの前端61と面する長尺の穴68の端部にある第2の位置との間で、移動可能である。第1の位置では、柱66は、前端61からさらに外方向へ突出し、ばね67の部分的な圧縮によって付勢されてもよい。第2の位置では、柱66は盲穴の端部に向かって促され、それによって、さらにばね67を圧縮する。ばね67は巻きばねとして示されるが、同じ目的を果たす任意の他のばねであり得る。たとえば、ばね67は、エラストマークッションによっても実現することができる。
【0031】
ツールの機能を、図13〜図24を参照して記載する。まず、管状部材50はシャフト60と別個である。図13に示されるように、図14に示されるように、ねじ切り部分54がロッキングリング8のねじ切り部分88を係合するまで、管状部材は受け部5にわたって置かれる。
【0032】
図15と図16に示される次のステップでは、柱66の前端66aが受け部5において当接面11aに対して当接するまで、シャフト60は管状部材50内に挿入される(図16)。この位置では、シャフト60の前端61は、受け部5のロッド受け部分9の第1の端部9aから離れて間隔を置かれる。柱66はその第1の位置にあり、そこでは、ピン69はばね67に面する。シャフト60は、管状部材50内にまだ完全には導入されない。図17および図18において示されるように、シャフト60はその後、シャフトの前端61が受け部のロッド受け部分9の第1の端部9aに対して当接するまで、管状部材50内にさらにねじ込められる。それによって、柱66の上に作用する反力が、ばね67の力に逆らって盲穴65の中へ柱66を押し込む。この状態では、ロッキングリング8は、依然としてその第3の位置にあり、頭部をロックする。これは、ロッキングリングの上側端部8aと上側端部8aに面する溝16の壁部との間の隙間90を示す、図19に従う拡大した図において理解することができる。
【0033】
ロッキングリング8をロッキング位置から解放するために、管状部材50は把持部分57にて把持され、この位置において保持され、一方、図21において示されるように、シャフト60は管状部材50内にさらにねじ込められる。これによって、図22において詳細に示されるように、可撓性壁セクション83aが溝16の上部壁と当接するまで、ロッキングリング8は上方へ引かれる。したがって、ロッキングリングは、ここで、第2の位置にあり、それは頭部をロックしない。
【0034】
ツールを除去するステップは、図23および図24に示される。ハンドル62は他方の方向に回される。ロッキングリング8は溝16に対して当接し、したがってそれはさらに上方へ引かれることができない。柱66が受け部の当接面11aに対して当接するので、シャフト60のねじ戻りは受け部およびロッキングリングの同時の回転をもたらす結果とならない。したがって、ツールは容易に除去することができる。次いで、骨固定要素とツールとの間の角度位置を再調整することができる。
【0035】
骨固定装置の第2の実施例が図25〜図28に示される。第2の実施例は、ロッキングリングの係合部分の設計によってのみ、第1の実施例に従う骨固定装置と異なる。他のすべての部品は第1の実施例と同一かまたは類似しており、同じ参照番号を付される。これらの部品の説明は繰り返されない。
【0036】
ロッキングリング8′は、直径に沿って対向してある周方向リブ部分88′の形式において、ツールのための係合部分を有する。示された実施例では、弾性的に変形可能な壁部部分83aの下においてロッキングリング8′の外側表面に配置される2つのリブ部分88a′および88b′が設けられる。リブ部分88a′、88b′は、おおよそ4分の1円または4分の1円未満である、ロッキングリングの外側周囲の弓形部分に亘って延在する。リブ部分88a′、88b′は、ロッド6を支持する突起86に関しておおよそ45度の角度に配置される。
【0037】
各リブ部分88a′、88b′は2つの周方向に延在するリブ881a′、882a′からなり、それらはロッキングリング8′の軸方向において互いから間隔を置かれる。リブ881a′、882a′、881b′、882b′は、図28において特に理解することができるように、ロッキングリング8′の第2の端部8bに向かってわずかに傾けられる。リブの下方への傾きは、以下に記載されたツールとの係合のためのアンダーカットを設け、それはツールとの係合の安全性を高める。示された実施例では、各リブ部分において2つのリブが設けられる。しかし、各リブ部分に対して、1つのリブで十分であろうことを注記すべきである。さらに、2つを超えるリブを設けることもできる。
【0038】
第2の実施例に従ってロッキングリングを解放するためのツールが、図29および図30を参照して記載される。ツール50′は2つの実質的に矩形の凹部51a′、51b′をその前端52′に含む。前端52′に近接して、リブ部分88a′、88b′に対応しそれらと協働する係合部分54′が、管状部材51′の内部に位置する。係合部分54a′、54b′は、前端52′から遠ざかる傾きを有するリブ部分である。前端52′からある距離をおいて、停止部55′が設けられる。実質的に矩形の凹部51a′、51b′は、おおよそ、周方向においてロッキングリングのリブなしの部分のサイズであるサイズを有し、管状部材51′が受け部分上に置かれ、ロッキングリングを係合するとき、ロッド6が凹部51a′、51b′を通過することができるような深さを軸方向において有する。
【0039】
管状部材51′は、さらに、内部がねじ切りされた部分56′を有する後端53′を含む。後端53′またはその近辺において、把持部分57′が把持を容易にするために設けられる。
【0040】
ツール50′は、さらに、前端61′とハンドルを設けられる後端62′とを有するシャフト部分60′を含む。後端62′からある距離に、第1の実施例におけるように、管状部材51′の内部がねじ切りされた部分56′と協働する、外部がねじ切りされた部分63′が設けられる。さらに、第1の実施例におけるように、環状の肩部64′の形をしている停止部が、後端からある距離をおいて設けられる。この実施例において、シャフト60′には、先の実施例におけるように、弾力的に支持された柱がない。シャフトの長さは、停止部64′が管状部材の後端53′に対して当接するまで、シャフトが管状部材に挿入されねじ込められるとき、前端52′の凹部51a′、51b′が、受け部およびそこに挿入されたロッドを覆うことができるような長さである。
【0041】
ロッドが挿入され、内ねじが除去されると、第2の実施例に従うツール50′を適用することができる。図31に示されるように、リブ54a′、54b′の形をしている係合部分がロッキングリング8′のリブなしの部分に置かれるように、ツールは向き付けられる。次いで、ロッド6は凹部51a′、51b′の一方の側に対して当接する。停止部55′がロッキングリング8′の上側端縁8aに対して当接するまで、管状部材50′は下方へシフトされる。その後、図32〜図34に示されるように、管状部材の内側の係合部分54a′、54b′がロッキングリングの外側表面上のリブ部分88a′、88b′を係合するように、管状部材を回転させる。凹部51a′および51b′が周方向において十分に大きいので、図34に示されるように、ロッドが凹部51a′、51b′の他方の側に対して当接するように、管状部材50′を回転させることができる。
【0042】
その後、図35〜図37に示されるように、前端61′が受け部の第1の端部9aに対して当接するまで、シャフト60′は管状部材50′内にねじ込められる。次のステップでは、図38に示されるように、管状部材が把持する部分57′にて保持されている一方、シャフトは管状部材内にさらに移動される。これによって、ロッキングリングは上方へ押圧され、ロッキング位置から解放される。
【0043】
ツール50′の除去については、シャフト60′はわずかにねじ戻され、次いで、管状部材の係合部分がもはやロッキングリングにおいて係合部分を係合しなくなるまで、管状部材51′を回転させる。次いで、ツールはそれを上方へ引くことによって除去することができる。
【0044】
示された実施例の修正物は旋回可能であることが注目される。たとえば、第2の実施例に従うツールは、ばねに支持される柱をさらに含むことが可能である。さらに、第2の実施例に従うツールは、第1の実施例に従ってねじ切りされたロッキングリングを係合するためのねじ筋係合部分を有してもよい。第1の実施例のツールは柱なしで設けられてもよい。
【0045】
ロッキングリングの係合については、他の修正もさらに考えられる。たとえば、他の形状を有する係合部分を有することが可能であってもよい。
【0046】
骨固定装置は修正された形式において設けることができる。たとえば、骨固定要素の頭部はたとえば円筒形状のような、任意の他の形状を有することができ、それによって単軸方向の骨ねじが、単一の軸のまわりにおいて受け部に関してねじ要素の回転を可能にして設けられる。頭部は円錐形または他の態様でも形状化することができ、そして、頭部受け部分の内部中空部分はこの形状に適合される。さらなる修正では、頭部受け部分の可撓性は、材料、たとえばプラスチック材料の属性に基づき、スリットは十分にまたは部分的に省略されてもよい。
【0047】
ロッドと係合するロッキングリングの突起は別の形状を有し得る。自由端の表面は平坦である可能性もあれば、その他の形状をしている可能性もある。突起も省略することができる。
【0048】
頭部受け部分は、1つの方向に頭部のより大きな角度付けを可能にするよう、傾けられた開放端を有することができるか、またはそうでなければ非対称になり得る。
【0049】
頭部受け部分の外側表面およびロッキングリングの内側表面は、ロッキングリングが下方へシフトされると、増加する力によってロッキングリングの圧縮を可能にする、他の形状を有することができる。
【0050】
ロッキングリングはさらに他の設計を有することもできる。たとえば、ロッキングリングは可撓性壁セクションなしで形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 骨固定要素、2 シャンク、3 頭部、5 受け部、8,8′ ロッキングリング、9a 第1の端部、9b 第2の端部、12 U字形の凹部、9 ロッド受け部分、12a,12b 脚部、17 頭部受け部分、17b 自由端、88,88′ 係合構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定装置であって、
骨に固定するためのシャンク(2)と頭部(3)とを有する骨固定要素(1)と;
骨固定要素にロッドを結合するための受け部(5)とを含み、受け部は、
第1の端部(9a)と第2の端部(9b)とロッドを受けるためのU字形の凹部(12)とを有するロッド受け部分(9)を含み、凹部は第1の端部から第2の端部の方向に延在し、それによって2つの自由な脚部(12a、12b)を形成し、受け部は、さらに、
第1の端部に対向する第2の端部の側における、頭部(3)を収容するための頭部受け部分(17)を含み、頭部受け部分は自由端(17b)を有し、頭部の導入およびクランプを可能にするように可撓性であり;前記骨固定装置はさらに、
頭部受け部分のまわりに配置されるロッキングリング(8、8′)を含み、
ロッキングリングは、受け部の頭部受け部分の圧縮によって頭部がロックされるロッキング位置をとることができ、
ロッキングリング(8、8′)は、ツールとの係合のために係合構造(88、88′)を有する外側表面部分を含む、骨固定装置。
【請求項2】
係合構造はロッキングリングの周方向において延在する複数個のリブを含む、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項3】
リブ(88、88′)は周方向において中断がある、請求項2に記載の骨固定装置。
【請求項4】
リブ(88′)は、ロッキングリングの軸方向において互いから距離を有し、ロッキングリングの中心軸に実質的に垂直に延在する少なくとも2つのリブ(88a′、88b′)を含む、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項5】
リブ(88)は、ねじ筋軸がロッキングリングの中心軸であるねじ筋によって形成される、請求項2〜4の1つに記載の骨固定装置。
【請求項6】
ロッキングリング(8、8′)は、ロッドとの係合のために互いから180度ずれて配置された2つの突起(86)を有する、請求項1〜5の1つに記載の骨固定装置。
【請求項7】
リブ(88、88′)は突起の左および右に2つの群においてグループ化される、請求項6に記載の骨固定装置。
【請求項8】
群は突起(86)に関して非対称に配置される、請求項6に記載の骨固定装置。
【請求項9】
頭部受け部分は、先細りのまたは外方向に湾曲した部分をともなう外部表面(21)を有し、ロッキングリングは、ロッキングリングが自由端(17b)に向かって移動されると、頭部がクランプされるように協働するように構成される先細りのまたは内方向に湾曲した部分をともなう内部表面(81)を有する、請求項1〜8の1つに記載の骨固定装置。
【請求項10】
請求項1〜9の1つに従う骨固定装置において頭部のロッキングを解放するためのツールであって、
前端(52、52′)と、前端の内側壁における、ロッキングリング(8、8′)の係合構造(88、88′)を係合するための係合部分(54、54a′、54b′)とを有する管状部材(51、51′)と、
管状部材(51、51′)内に挿入することができ、軸方向において管状部材に関して移動可能であるシャフト(60、60′)とを含み、シャフトは前端(61、61′)を有し、
シャフトの前端(61、61′)は、管状部材の前端(52、52′)の係合部分(54、54a′、54b′)が、ロッキングリングの係合部分(88、88′)を係合すると、受け部の第1の部分(9a)に対して当接するよう構成され、この状態において、ツールは、頭部のロッキングを解放するようロッキングリングを移動するように管状部材に関してシャフトを移動するよう構成される、ツール。
【請求項11】
シャフトの前端(61)は同軸のボア(65)を有し、ボアから外へ延在し、シャフトに関して移動可能な柱(66)が、ボア内に設けられ、柱は好ましくは弾性的に支持される、請求項10に記載のツール。
【請求項12】
シャフト(60)に関する柱(66)の移動の経路は、少なくとも1つの停止部(68、69)によって限定される、請求項10または11に記載のツール。
【請求項13】
柱(66)は受け部(5)の第2の部分(11a)に対して当接するよう構成される、請求項11〜13の1つに記載のツール。
【請求項14】
管状部材の前端(51′)においては、互いに対向して位置し、ロッドが通過するよう構成される2つの凹部(51a′、51b′)が設けられる、請求項10〜14の1つに記載のツール。
【請求項15】
凹部(51a′、51b′)は、ロッドが挿入されると係合部分を係合するように管状部材の回転を可能にするよう構成された幅を有して、実質的に矩形である、請求項15に記載のツール。
【請求項16】
管状部材の前端(52、52′)からある距離をおいて、ロッキングリング(8、8′)の上側端縁(8a)に対して当接するために、当接部(55、55′)が設けられる、請求項15または16に記載のツール。
【請求項17】
管状部材(51、51′)は把持部分(57、57′)を有し、好ましくは、シャフト(62、62′)はグリップまたはハンドル部分を有する、請求項10〜17の1つに記載のツール。
【請求項1】
骨固定装置であって、
骨に固定するためのシャンク(2)と頭部(3)とを有する骨固定要素(1)と;
骨固定要素にロッドを結合するための受け部(5)とを含み、受け部は、
第1の端部(9a)と第2の端部(9b)とロッドを受けるためのU字形の凹部(12)とを有するロッド受け部分(9)を含み、凹部は第1の端部から第2の端部の方向に延在し、それによって2つの自由な脚部(12a、12b)を形成し、受け部は、さらに、
第1の端部に対向する第2の端部の側における、頭部(3)を収容するための頭部受け部分(17)を含み、頭部受け部分は自由端(17b)を有し、頭部の導入およびクランプを可能にするように可撓性であり;前記骨固定装置はさらに、
頭部受け部分のまわりに配置されるロッキングリング(8、8′)を含み、
ロッキングリングは、受け部の頭部受け部分の圧縮によって頭部がロックされるロッキング位置をとることができ、
ロッキングリング(8、8′)は、ツールとの係合のために係合構造(88、88′)を有する外側表面部分を含む、骨固定装置。
【請求項2】
係合構造はロッキングリングの周方向において延在する複数個のリブを含む、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項3】
リブ(88、88′)は周方向において中断がある、請求項2に記載の骨固定装置。
【請求項4】
リブ(88′)は、ロッキングリングの軸方向において互いから距離を有し、ロッキングリングの中心軸に実質的に垂直に延在する少なくとも2つのリブ(88a′、88b′)を含む、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項5】
リブ(88)は、ねじ筋軸がロッキングリングの中心軸であるねじ筋によって形成される、請求項2〜4の1つに記載の骨固定装置。
【請求項6】
ロッキングリング(8、8′)は、ロッドとの係合のために互いから180度ずれて配置された2つの突起(86)を有する、請求項1〜5の1つに記載の骨固定装置。
【請求項7】
リブ(88、88′)は突起の左および右に2つの群においてグループ化される、請求項6に記載の骨固定装置。
【請求項8】
群は突起(86)に関して非対称に配置される、請求項6に記載の骨固定装置。
【請求項9】
頭部受け部分は、先細りのまたは外方向に湾曲した部分をともなう外部表面(21)を有し、ロッキングリングは、ロッキングリングが自由端(17b)に向かって移動されると、頭部がクランプされるように協働するように構成される先細りのまたは内方向に湾曲した部分をともなう内部表面(81)を有する、請求項1〜8の1つに記載の骨固定装置。
【請求項10】
請求項1〜9の1つに従う骨固定装置において頭部のロッキングを解放するためのツールであって、
前端(52、52′)と、前端の内側壁における、ロッキングリング(8、8′)の係合構造(88、88′)を係合するための係合部分(54、54a′、54b′)とを有する管状部材(51、51′)と、
管状部材(51、51′)内に挿入することができ、軸方向において管状部材に関して移動可能であるシャフト(60、60′)とを含み、シャフトは前端(61、61′)を有し、
シャフトの前端(61、61′)は、管状部材の前端(52、52′)の係合部分(54、54a′、54b′)が、ロッキングリングの係合部分(88、88′)を係合すると、受け部の第1の部分(9a)に対して当接するよう構成され、この状態において、ツールは、頭部のロッキングを解放するようロッキングリングを移動するように管状部材に関してシャフトを移動するよう構成される、ツール。
【請求項11】
シャフトの前端(61)は同軸のボア(65)を有し、ボアから外へ延在し、シャフトに関して移動可能な柱(66)が、ボア内に設けられ、柱は好ましくは弾性的に支持される、請求項10に記載のツール。
【請求項12】
シャフト(60)に関する柱(66)の移動の経路は、少なくとも1つの停止部(68、69)によって限定される、請求項10または11に記載のツール。
【請求項13】
柱(66)は受け部(5)の第2の部分(11a)に対して当接するよう構成される、請求項11〜13の1つに記載のツール。
【請求項14】
管状部材の前端(51′)においては、互いに対向して位置し、ロッドが通過するよう構成される2つの凹部(51a′、51b′)が設けられる、請求項10〜14の1つに記載のツール。
【請求項15】
凹部(51a′、51b′)は、ロッドが挿入されると係合部分を係合するように管状部材の回転を可能にするよう構成された幅を有して、実質的に矩形である、請求項15に記載のツール。
【請求項16】
管状部材の前端(52、52′)からある距離をおいて、ロッキングリング(8、8′)の上側端縁(8a)に対して当接するために、当接部(55、55′)が設けられる、請求項15または16に記載のツール。
【請求項17】
管状部材(51、51′)は把持部分(57、57′)を有し、好ましくは、シャフト(62、62′)はグリップまたはハンドル部分を有する、請求項10〜17の1つに記載のツール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2013−78576(P2013−78576A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212254(P2012−212254)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(511211737)ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(511211737)ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]