説明

α−リポ酸

【課題】生活環境の悪化、高齢化による成人病の増加、食品汚染に対する健康維持対策に有効な各種ドレッシングの提供。
【解決手段】ドレッシングにαーリポ酸と多価不飽和脂肪酸(アラキドン酸、リノール酸、γーリノレン酸、αーリノレン酸、EPA、DHA)とを組み合わせて配合する。
【効果】簡便に食卓で使用できて食材の機能性を高め、健康維持に役立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機能性を高めた各種ドレッシングに関する
【背景技術】
【0002】
本発明は、平成16年3月31日迄医薬品として使用されてきた「α−リポ酸」が、厚生労働省の承認を得て食品として使用可能になった。このα−リポ酸を生で食べられる多価不飽和脂肪酸に添加し、各種ドレッシングとして利用するものである。
現在、ドレッシングは嗜好食品で多くの種類があるが、大別するとマヨネーズのような乳化タイプと通常は分離している分離タイプの2種類がある。近年、食生活が向上するにつれて嗜好が多岐にわたってきたのに応じ、それぞれのタイプの中で香辛料などをさらに加えて、嗜好を凝らした商品が市販されている。
例えば、サウザンアイランド・ドレッシングは卵を使った乳化型でパプリカ、トマトケチャップなどを添加したものであるが、ピクルス、にんじんのみじん切りを入れたバリエーションがある。その他に、ガーリック、オニオン、アンチョビ、チーズなど枚挙にいとまがない。
分離型についてもいろいろのレシピがあり、代表的なフレンチドレッシングもすばらしいものだが、日本ではあっさりした風味で醤油ベースのドレッシングが好評である。
ドレッシングの摂取は、野菜サラダもドレッシングをかけることで生野菜のカロチンの吸収をよくし、ビタミンE(トコフェロール)や新鮮な摂取しにくい油を取るという意味があり、健康を維持していく上で、食卓には欠かすことができない嗜好食品である。
この健康嗜好食品であるドレッシングに、さらにα−リポ酸を添加した機能性を有する各種ドレッシングは未だ市販されていない。
【発明の開示】

【発明を解決しようとする課題】
【0003】
ドレシングは、油脂のため消化が悪い、太ると言うイメージが強く、最近ではノンオイルのドレッシングが販売されている。しかし、ドレッシングの消化率は大変高く、消化器の負担も少なく、腹持ちもよく、少しの量でも高カロリーが得られる。また、食用植物油脂(綿実油、菜種油、大豆油、とうもろこし油、亜麻仁油、オリーブ油)がサラダ油の原料として使用されるが、これらのサラダ油は優れた効果が認められている。
例えば、にんじん、小松菜、ほうれん草、トマトなどの有色野菜はプロビタミンAが多く、これらを油と一緒に摂取すると吸収率が高くなる。植物性油脂はトコフェロールが存在しビタミンEとして知られている。植物油の植物ステロールは、β−シトステロール、スチグマステロールなどからなり、血中コレステロールの濃度を低下させる。血中コレステロールの高い人は、脳卒中、心臓病、高血圧の死亡率が高く、植物油に含まれるビタミンF(リノール酸、アラキドン酸、リノレン酸)を与えるとコレステロールの濃度が低下することが認められている。
さらに、この多価不飽和脂肪酸(アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸)にα−リポ酸を添加することで、効能効果は何倍にも膨れ上がる。
α−リポ酸は、既に記載したとおり昨年の3月まで医薬品でした。特に、心臓発作(心筋虚血および再潅流)中および発作後の細胞のダメージを防ぐ作用が良く知られ、解毒・利尿・胆汁分泌促進・腸蠕動促進作用、高コレステロール血症、脳疾患、免疫不全、糖尿病、肝疾患および活性酸素消去、ミトコンドリアの活性による代謝改善・運動能力向上にも利用されている。
α−リポ酸は脂溶性であり、チオクト酸とも呼ばれビタミン様活性物質であるため、ドレッシングとして多価不飽和脂肪酸との組合せは最適である。今後、日本はますます生活環境の悪化、高齢化による成人病の増加、食品汚染に対する健康維持対策に、α−リポ酸と多価不飽和脂肪酸配合による機能性を有する各種ドレッシングが役立つものと考える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
α−リポ酸は、抗酸化防御ネットワークを活性化し、体内のビタミンCとE、グルタチオン、コエンザイムQ10などを維持する。その結果、老化に伴う脳卒中、心臓病、白内障などの予防、脳老化抑制、記憶力強化などに重要な役割を果たしている。ヨーロッパで20年以上前から糖尿病合併症予防の有効な治療薬、肝臓の解毒作用を強化することからC型肝炎の治療にも使用されている。
【0005】
抗酸化物質としては例外的な作用を有し、脂溶性でビタミン様活性物質のα−リポ酸を添加したドレッシングとしての多価不飽和脂肪酸は、単品または原料を配合して使用されるが、原料の選択、搾油、精製さらに耐寒性を良くするためにウインタリング工法で油を冷却して固形やロウ分を除去するなど、製品の充填にいたるまで全工程にわたって細心の注意をはらって製造される。一般に市販されている多価不飽和脂肪酸は、0℃で10時間以上清澄であって、冷蔵庫で長時間保存しても問題はない。
ビタミン様脂溶性物質の特性を充分に生かせるα−リポ酸と多価不飽和脂肪酸(アラキドン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、EPA、DHA)との組合せは、薬理薬効を有し、簡便に食卓で使用される食品として最適な商品(各種ドレッシング)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のα−リポ酸と多価不飽和脂肪酸を組合せた各種ドレッシングは、日々の食生活で摂取しなければならない必要不可欠な物質であり、効果効能は記載するまでもなく、あらゆる情報媒体で報道されている。
あえて記載するならば、多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸で体内では造りだせない物質で、皮膚細胞、脳細胞、筋肉細胞、骨細胞などの細胞の構成要素、プロスタグランジンというホルモンの構成要素でもあり、関節炎、アレルギー、心臓病、糖尿病、リウマチ様関節炎、生理不順、消化器関連の諸病、偏頭痛、老人性痴呆症、癌、骨粗鬆症などを予防することが出来る。
また、α−リポ酸は欠乏すると、微生物の増殖や代謝に障害が起こる。微生物から高等動物に至るまでピルビン酸や2−オキシソグルタル酸(α−ケトグルタル酸)デヒドロゲナーゼ複合体がα−リポ酸を必要とし、これがアセチルCoAやサクシニルCoAを生ずる中間段階において重要な役割を果たしている。
【0007】
1951年、生化学者レスター・リードがリポ酸を分離し、分子構造を決定した。わずか30mgのα−リポ酸を抽出するのに10トンもの牛の肝臓が必要であった。また、わずか1mgのα−リポ酸を摂取するためには、3kgのホウレンソウを食べなくてはならない。このように食品中にはほんのわずかしか含まれないため、毎日の食事だけで十分量のα−リポ酸をとることは困難である。
日本では、α−リポ酸の1日摂取量は定められていなかったが、今年になって厚生労働省は、一日の摂取量を100mg〜200mgに定めた。α−リポ酸もコエンザイムQ10と同じように、年を追うごとに体内生産量が減少していくため、日本の高齢者にとっては必要不可欠な物質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
α−リポ酸と多価不飽和脂肪酸配合の機能性を有する各種ドレッシングは、その素材をできる限り天然、自然な状態に維持しかつその新鮮さを保持しつつ素材から商品化への加工工程において、添加物や熱、水、圧力、空気、酸化等の品質劣化要因の少ない商品形態に考慮しなければならない。また、一日摂取量、体内吸収、食べやすさ、取扱い易さ、コスト、関係法規の要因も考慮しなければならない。
α−リポ酸と多価不飽和脂肪酸配合各種ドレッシングの製品化は、自体公知の食品或は食品成分、賦形剤、医薬担体と自体公知の方法で配合し、α−リポ酸と多価不飽和脂肪酸(n−6、n−3)の薬理薬効を有する食品とすることができる。用いる食品及び食品成分は特に限定するものではなく、目的とする薬理薬効の具体的用途に応じて当業者が適宜選択できる。また、形態も特に限定するものではなく、具体的用途に応じていろいろの形状にすることができる。
【実施例】
【0009】
製品の試作品をちば醤油株式会社開発部に依頼した。ちば醤油は醤油メーカーであるため、醤油をベースにしたドレッシングを試作することになった。多価不飽和脂肪酸はω3脂肪酸が多く含有している亜麻仁油を使用し、酸化防止しビタミンEを加え、さらに酢、味醂、ごま油、塩、水などを加え、最後にα−リポ酸を添加して製品化した。味覚についても甘味料は使用せず、醤油メーカーの技術を生かして、甘みのある醤油を使用しさらに味醂で甘さを調節した。また、機能性を追及するため原料の配合にも十分注意をはらった。α−リポ酸の1日摂取量は100mgと設定して、1日3回に分けて摂取することにした。
試飲に参加した人は、ちば醤油の社員の方々でそれぞれ体に注意をはらっている30人に限定して、1ヶ月間毎日食事のときに摂取していただいた。結果については集計中である。
【産業上の利用可能性】
【0010】
産業上の利用可能性については、食品界は機能性食品の開発でしのぎを削っている。エコナクッキングオイルを初め、ヘルシア緑茶が好調な売行きで、今後もあらゆる機能性食品が店頭に並ぶ時期がすぐそこに来ている。健康食品も時代の追い風を受けて、各社が競って新製品を開発している状況です。今後の可能性において、健康食品のような錠剤で摂取させる方法よりも、食事の中で自然に摂取する方向に進むと考える。
本来、食生活を充実させることで、健康を維持してきた。しかし、食生活環境の変化や食品の栽培、加工、保存方法が変わり、食材本来の栄養素が不足するようになってきた。その不足の栄養素を補う上で、機能性を有する原料を添加して、食材の機能性を高める必要が出てきた。
今後の食生活には、機能性を有する加工食品は必要不可欠になることは間違いない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−リポ酸と多価不飽和脂肪酸配合による機能性を有する各種ドレッシング